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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049768
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240403BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
E02F9/00 H
E02F3/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156204
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 実
(72)【発明者】
【氏名】関 誠治
(72)【発明者】
【氏名】江東 真也
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
【Fターム(参考)】
2D012EA00
2D015BA01
2D015BA02
(57)【要約】
【課題】多関節フロント装置に設けられた油圧ホースが地面に接触するのを抑える。
【解決手段】多関節フロント装置11を構成する第1ブーム13の背面13C側には、昇降シリンダ用油圧管路26および開閉シリンダ用油圧管路28の一部を構成し第1ブーム13に沿って延びる第1ブーム側固定管路26A,28Aが設けられ、第2ブーム14の腹面14D側には、第2ブーム14に沿って延びる第2ブーム側固定管路26B,28Bが設けられる。第1ブーム側固定管路26A,28Aと第2ブーム側固定管路26B,28Bとの間を接続する油圧ホース26C,28Cは、第1ブーム13の先端13Gを地面側に下げたときに、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面に向けて凸状に湾曲する凸湾曲部26D,28Dを有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、回動可能に連結された複数のフロント部材および油圧アクチュエータを有し前記車体に設けられた多関節フロント装置とを備え、
前記多関節フロント装置を構成する複数のフロント部材のうち互いに回動可能に連結された2つのフロント部材には、それぞれ前記車体に設けられた油圧源と前記油圧アクチュエータとの間を接続する油圧管路が設けられた作業機において、
前記多関節フロント装置が作業姿勢にある状態で前記2つのフロント部材のうち一方のフロント部材の地面に対向する腹面とは反対側となる背面側には、前記油圧管路の一部を構成し前記一方のフロント部材に沿って延びる第1の固定管路が設けられ、
前記多関節フロント装置が作業姿勢にある状態で前記2つのフロント部材のうち他方のフロント部材の地面に対向する腹面側には、前記第1の固定管路と共に前記油圧管路の一部を構成し前記他方のフロント部材に沿って延びる第2の固定管路が設けられ、
前記第1の固定管路と前記第2の固定管路との間には、前記一方のフロント部材の先端を地面側に下げたときに、前記一方のフロント部材の前記背面、前記他方のフロント部材における前記一方のフロント部材側の基端および前記他方のフロント部材の前記腹面に沿って延び、かつ地面に向けて凸状に湾曲する凸湾曲部を有する油圧ホースが設けられていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記多関節フロント装置は、基端が前記車体に回動可能に連結された前記一方のフロント部材である第1ブームと、前記第1ブームの先端に回動可能に連結された前記他方のフロント部材である第2ブームと、前記第2ブームの先端に回動可能に連結されたアームと、前記第2ブームおよび前記アームに設けられた前記油圧アクチュエータとを含んで構成され、前記第2ブームは、前記第1ブームとの連結部を中心として前記第1ブームの背面側に回動する構成とし、
前記第1の固定管路は前記第1ブームの背面側に設けられ、
前記第2の固定管路は前記第2ブームの腹面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記多関節フロント装置は、前記第1ブームの先端を地面側に下げると共に前記第2ブームの先端を地面よりも上方に持ち上げた状態で非作業姿勢となり、
前記油圧ホースの前記凸湾曲部は、前記多関節フロント装置が前記非作業姿勢となったときに地面に向けて凸状に湾曲することを特徴とする請求項2に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立抗の掘削作業、建築物の解体作業等に用いられる作業機に関し、特に複数のフロント部材が連結された多関節フロント装置を有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機を代表する油圧ショベルは、自走可能な車体と、車体に設けられたフロント装置とにより大略構成されている。フロント装置の先端には、作業内容に応じて各種の作業具(アタッチメント)が取り付けられる。油圧ショベルを用いて立抗を掘削するときには、フロント装置の先端にクラムシェルバケット等が取り付けられ、建築物の解体作業を行うときには、フロント装置の先端に破砕機等が取り付けられる。
【0003】
油圧ショベルには、複数のフロント部材を互いに回動可能に連結して構成された多関節フロント装置を備えるものが知られている。多関節フロント装置を備えた油圧ショベルは、フロント装置の全長が大きく設定され、高層建築物の解体作業、地下鉄あるいは建築物の基礎用の立抗の掘削作業に好適に用いられる。
【0004】
ここで、多関節フロント装置には、複数のフロント部材を回動させる油圧シリンダ、および作業具を駆動する油圧シリンダを含む複数の油圧シリンダが設けられている。これら複数の油圧シリンダと車体に搭載された油圧源との間は、油圧管路を介して連結されている。この油圧管路は、複数のフロント部材にそれぞれ固定される鋼管等の固定管路と、連結された2つのフロント部材に固定された固定管路間を連結する油圧ホースとにより構成されている。そして、固定管路は、通常、油圧ショベルが解体作業、掘削作業を行う作業姿勢において、多関節フロント装置を構成するフロント部材のうち地面と対向する腹面とは反対側となる背面側に固定され、フロント部材の長さ方向に延びている。
【0005】
ところで、多関節フロント装置を備えた油圧ショベルを、輸送車両に積載して作業現場に搬送する場合、あるいは作業現場で駐機させる場合には、多関節フロント装置を、フロント部材の連結部分で折り畳んだ状態で地面側に伏せた非作業姿勢に移行させる必要がある。しかし、折り畳んだ多関節フロント装置を地面側に伏せたときに、地面近くに配置された2つのフロント部材の固定管路間を接続する油圧ホースが弛むことにより、この油圧ホースが地面に接触して損傷してしまう虞がある。
【0006】
これに対し、折り畳んだ多関節フロント装置を地面側に伏せたときに地面近くに配置される2つのフロント部材のうち、一方のフロント部材の背面と、他方のフロント部材の側面とに固定管路を設けた油圧ショベルが開示されている。この油圧ショベルにおいては、前記一方のフロント部材の固定管路と前記他方のフロント部材の固定管路との間を接続する油圧ホースが、地面から離れる方向(上方)に弧を描くように湾曲することにより、この油圧ホースが地面に接触するのを防止している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-317329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1による油圧ショベルでは、2つの固定管路間を接続する油圧ホースの上向きの湾曲部が、その自重によって下向きに湾曲することにより、油圧ホースが地面に接触して損傷する虞がある。
【0009】
本発明の目的は、多関節フロント装置に設けられた油圧ホースが地面に接触するのを抑えることができるようにした作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、自走可能な車体と、回動可能に連結された複数のフロント部材および油圧アクチュエータを有し前記車体に設けられた多関節フロント装置と備え、前記多関節フロント装置を構成する複数のフロント部材のうち互いに回動可能に連結された2つのフロント部材には、それぞれ前記車体に設けられた油圧源と前記油圧アクチュエータとの間を接続する油圧管路が設けられた作業機において、前記多関節フロント装置が作業姿勢にある状態で前記2つのフロント部材のうち一方のフロント部材の地面に対向する腹面とは反対側となる背面側には、前記油圧管路の一部を構成し前記一方のフロント部材に沿って延びる第1の固定管路が設けられ、前記多関節フロント装置が作業姿勢にある状態で前記2つのフロント部材のうち他方のフロント部材の地面に対向する腹面側には、前記第1の固定管路と共に前記油圧管路の一部を構成し前記他方のフロント部材に沿って延びる第2の固定管路が設けられ、前記第1の固定管路と前記第2の固定管路との間には、前記一方のフロント部材の先端を地面側に下ろしたときに、前記一方のフロント部材の前記背面、前記他方のフロント部材における前記一方のフロント部材側の基端および前記他方のフロント部材の前記腹面に沿って延び、かつ地面に向けて凸状に湾曲する凸湾曲部を有する油圧ホースが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連結された2つのフロント部材のうち一方のフロント部材の先端を地面側に下げたときに、第1の固定管路と第2の固定管路との間を接続する油圧ホースの凸湾曲部は、地面に向けて凸状に湾曲しつつ、一方のフロント部材の背面から他方のフロント部材の基端近傍を経由して他方のフロント部材の腹面に沿って延びるように配策される。これにより、多関節フロント装置を非作業姿勢とした状態においても、油圧ホースが地面に接触するのを抑えることができ、油圧ホースを保護することができる。しかも、第1の固定管路は一方のフロント部材の背面側に設けられ、第2の固定管路は他方のフロント部材の腹面側に設けられているので、第1の固定管路と油圧ホースとの接続部と、第2の固定管路と油圧ホースとの接続部との間隔を大きく確保することができる。これにより、第1の固定管路と第2の固定管路との間で湾曲する油圧ホースの曲率半径を大きくすることができ、油圧ホースの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態による深礎掘削機を示す左側面図である。
図2】多関節フロント装置をメンテナンス姿勢とした状態で示す左側面図である。
図3】多関節フロント装置を非作業姿勢とした状態で示す左側面図である。
図4】非作業姿勢とした多関節フロント装置を示す左側面図である。
図5図4中の第1ブーム、第2ブーム等を矢視V-V方向から見た斜視図である。
図6】第1ブーム、第1ブーム側固定管路等を図4中の矢視VI-VI方向から見た断面図である。
図7】第2ブーム、第2ブーム側固定管路等を図4中の矢視VII-VII方向から見た断面図である。
図8】本発明の第2の実施形態による多関節フロント装置を備えた油圧ショベルを示す左側面図である。
図9】非作業姿勢とした多関節フロント装置を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る作業機の実施形態について、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。図1ないし図7は、本発明の第1の実施形態が適用された深礎掘削機を例示している。なお、実施形態では、深礎掘削機の走行方向を前後方向とし、走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0014】
図1において、深礎掘削機1は、例えばクローラ式の油圧ショベルをベースにして製造されている。深礎掘削機1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3に設けられた多関節フロント装置11とにより構成されている。下部走行体2と上部旋回体3とは、深礎掘削機1の車体を構成している。
【0015】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に取付けられた旋回フレーム4を有している。旋回フレーム4は、一般的な油圧ショベルに適用されるもので、左右方向の中間部には、左右方向で対面しつつ前後方向に延びる左右の縦板が設けられている。これら左右の縦板の前端側は、後述する第1ブーム13およびブームシリンダ19を支持する左右の支持ブラケット4A(左側のみ図示)となっている。
【0016】
旋回フレーム4の前部左側には、運転室を画成するキャブ5が設けられている。キャブ5内には運転席が設けられ、運転席の周囲には、下部走行体2の走行動作を制御する走行用レバー・ペダル装置、上部旋回体3の旋回動作、多関節フロント装置11の動作を制御する操作レバー装置(いずれも図示せず)が配置されている。旋回フレーム4の後端側には、多関節フロント装置11との重量バランスをとるカウンタウエイト6が設けられている。カウンタウエイト6の前側には、原動機、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)を収容する外装カバー7が設けられている。
【0017】
多関節フロント装置11は、上部旋回体3の旋回フレーム4に回動可能に取付けられたブーム12と、ブーム12の先端に回動可能に連結されたアーム15と、アーム15の先端に後述の昇降ロープ17等を介して支持されたクラムシェルバケット16とを含んで構成され、ブーム12は、互いに回動可能に連結された第1ブーム13と第2ブーム14とを有している。
【0018】
これら第1ブーム13、第2ブーム14、アーム15は、それぞれ多関節フロント装置11のフロント部材を構成している。そして、第1ブーム13と第2ブーム14とは、互いに回動可能に連結された2つのフロント部材を構成し、2つのフロント部材のうち一方のフロント部材は第1ブーム13であり、他方のフロント部材は第2ブーム14である。
【0019】
一方のフロント部材としての第1ブーム13は、上部旋回体3の旋回フレーム4に取付けられている。第1ブーム13は、左右方向で一定の間隔をもって対面する左側面13Aおよび右側面13Bと、左側面13Aおよび右側面13Bを挟んで上下方向で対面する背面13Cおよび腹面13Dとにより、断面四角形状をなす角筒体として形成されている(図6参照)。第1ブーム13の腹面13Dは、多関節フロント装置11を図1に示す作業姿勢とした状態で地面Gに対向する。第1ブーム13の背面13Cは、多関節フロント装置11を作業姿勢とした状態で腹面13Dとは反対側の上向きとなる。
【0020】
第1ブーム13の基端13Eは、旋回フレーム4の支持ブラケット4Aにピン13Fを用いて回動可能に連結されている。第1ブーム13の先端13Gには、第2ブーム14の基端14Eが回動可能に連結されている。第1ブーム13の背面13Cには、基端13E側に寄った位置に第1ブラケット13Hが突設され、この第1ブラケット13Hには、後述するポジショニングシリンダ20のボトム側がピン結合されている。
【0021】
他方のフロント部材としての第2ブーム14は、第1ブーム13の先端13Gに回動可能に連結されている。第2ブーム14は、左右方向で一定の間隔をもって対面する左側面14Aおよび右側面14Bと、左側面14Aおよび右側面14Bを挟んで上下方向で対面する背面14Cおよび腹面14Dとにより、断面四角形状をなす角筒体として形成されている(図7参照)。第2ブーム14の腹面14Dは、多関節フロント装置11を作業姿勢とした状態で地面Gに対向する。第2ブーム14の背面14Cは、多関節フロント装置11を作業姿勢とした状態で腹面14Dとは反対側の上向きとなる。
【0022】
第2ブーム14の基端14Eは、第1ブーム13の先端13Gにピン14Fを用いて回動可能に連結されている。第2ブーム14の先端14Gには、アーム15が回動可能に連結されている。第2ブーム14の背面14Cには、第2ブラケット14Hが突設されている。第2ブラケット14Hは、第2ブーム14の長さ方向の中央部よりも基端14E側に寄った位置に配置され、ポジショニングシリンダ20のロッド側が取付けられている。また、第2ブーム14の腹面14Dのうち基端14E側には、第3ブラケット14Jが突設されている。第3ブラケット14Jは、後述するアームシリンダ21のボトム側がピン結合されている。
【0023】
アーム15は、第2ブーム14の先端14Gに回動可能に取付けられている。アーム15は、左右方向で一定の間隔をもって対面する左右の側面15Aと、左右の側面15Aを挟んで上下方向で対面する背面15Bおよび腹面15Cとにより、断面四角形状をなす長尺な角筒体として形成されている。アーム15の腹面15Cは、多関節フロント装置11を作業姿勢とした状態で地面Gに対向する。アーム15の背面15Bは、多関節フロント装置11を作業姿勢とした状態で腹面15Cとは反対側の上向きとなる。
【0024】
アーム15の腹面15Cには、ブームブラケット15Dおよびシリンダブラケット15Eが、長さ方向に隣接して突設されている。ブームブラケット15Dには、第2ブーム14の先端14Gが、ピン15Fを用いて回動可能に連結されている。シリンダブラケット15Eには、アームシリンダ21のロッド側がピン結合されている。アーム15の先端15Gには、昇降ロープ17、および開閉ロープ18を下方に案内するガイドシーブ(図示せず)が設けられている。
【0025】
ここで、アーム15内およびアーム15の外部には、昇降ロープ17を用いてクラムシェルバケット16を上下方向に昇降させるバケット昇降シリンダ、開閉ロープ18を用いてクラムシェルバケット16のバケット16Bを開閉させるバケット開閉シリンダ、およびクラムシェルバケット16を閉じるときに開閉ロープ18の緩みを取る緩み取りシリンダ(いずれも図示せず)が設けられている。
【0026】
掘削用の作業具としてのクラムシェルバケット16は、アーム15の先端15Gから繰り出される昇降ロープ17および開閉ロープ18に支持されている。クラムシェルバケット16は、バケット支持部16Aと、バケット支持部16Aの下側に開閉可能に設けられた一対のバケット16Bと、一対のバケット16Bが回動可能に連結された連結ブラケット16Cと、バケット支持部16Aと一対のバケット16Bとの間を連結する一対の開閉アーム16Dとを有している。バケット支持部16Aには、複数枚の上側シーブ16Eが設けられ、連結ブラケット16Cには、上側シーブ16Eと上下方向で対向する複数枚の下側シーブ16Fが設けられている。
【0027】
クラムシェルバケット16のバケット支持部16Aには、昇降ロープ17の一端が固定され、昇降ロープ17の他端はアーム15に固定されている。バケット昇降装置は、アーム15の先端15Gからクラムシェルバケット16へと延びる昇降ロープ17の長さを変化させることにより、クラムシェルバケット16を昇降させる。
【0028】
クラムシェルバケット16の上側シーブ16Eと下側シーブ16Fには、開閉ロープ18が巻回されている。開閉ロープ18の一端は、クラムシェルバケット16のバケット支持部16Aに固定され、開閉ロープ18の他端はアーム15に固定されている。バケット開閉装置は、アーム15の先端15Gからクラムシェルバケット16へと延びる開閉ロープ18の長さを変化させることにより、クラムシェルバケット16を開閉させる。
【0029】
ブームシリンダ19は、上部旋回体3と第1ブーム13との間に設けられている。ブームシリンダ19は、第1ブーム13を挟んで左右両側に1本ずつ配置され、上部旋回体3に対してブーム12を回動させる。これら2本のブームシリンダ19のボトム側は、旋回フレーム4の支持ブラケット4Aに回動可能にピン結合されている。2本のブームシリンダ19のロッド側は、ピン19Aを介して第1ブーム13の左側面13Aおよび右側面13Bに、それぞれ回動可能にピン結合されている。従って、第1ブーム13は、ブームシリンダ19を伸縮させることにより、旋回フレーム4(支持ブラケット4A)との連結部を中心として上下方向に回動(俯仰動)する。
【0030】
ポジショニングシリンダ20は、第1ブーム13と第2ブーム14との間に1本設けられ、第1ブーム13に対して第2ブーム14を回動させる。ポジショニングシリンダ20のボトム側は、第1ブーム13の背面13Cに突設された第1ブラケット13Hに、回動可能にピン結合されている。ポジショニングシリンダ20のロッド側は、第2ブーム14の背面14Cに突設された第2ブラケット14Hに、ピン20Aを介して回動可能にピン結合されている。
【0031】
これにより、図2に示すように、ポジショニングシリンダ20を最伸長させたときには、第2ブーム14が、第1ブーム13に対して180°近い角度に開く。一方、ポジショニングシリンダ20を縮小させることにより、図1および図3に示すように、第2ブーム14は、第1ブーム13との連結部(ピン14F)を中心として、第1ブーム13の背面13C側に回動する。
【0032】
アームシリンダ21は、第2ブーム14とアーム15との間に設けられ、第2ブーム14に対してアーム15を回動させる。アームシリンダ21のボトム側は、第2ブーム14の腹面14Dに突設された第3ブラケット14Jに、回動可能にピン結合されている。アームシリンダ21のロッド側は、アーム15の腹面15Cに突設されたシリンダブラケット15Eに、ピン21Aを介して回動可能にピン結合されている。
【0033】
従って、アームシリンダ21を伸縮させることにより、アーム15は第2ブーム14との連結部(ピン15F)を中心として回動する。これにより、多関節フロント装置11を、図1に示す作業姿勢とした状態で、アーム15の先端15Gの高さを作業現場に応じて適宜に変更することができる。また、多関節フロント装置11を、図2に示すメンテナンス姿勢としたときには、ポジショニングシリンダ20が最伸長すると共にアームシリンダ21が最縮小することにより、アーム15は、第2ブーム14との連結部(ピン15F)を中心として半回転する。この状態で、アーム15の背面15Bは、地面Gと僅かな隙間をもって対面するようになり、アーム15全体を、上部旋回体3よりも低い位置に保持することができる。この結果、アーム15内およびアーム15の外部に設けられたバケット昇降シリンダ、バケット開閉シリンダ、緩み取りシリンダ等(いずれも図示せず)に対するメンテナンスを行うときの作業性を高めることができる。
【0034】
さらに、多関節フロント装置11を、図3および図4に示す非作業姿勢(輸送姿勢)としたときには、ポジショニングシリンダ20が最縮小すると共にアームシリンダ21が伸長することにより、第2ブーム14の先端14Gが、第1ブーム13の背面13Cに最接近する。このとき、第1ブーム13と上部旋回体3との連結部であるピン13Fの中心と、第1ブーム13と第2ブーム14との連結部であるピン14Fの中心とを結ぶ直線を第1の基準線22とし、ピン14Fの中心と、第2ブーム14とアーム15との連結部であるピン15Fの中心とを結ぶ直線を第2の基準線23とする。多関節フロント装置11を非作業姿勢としたときには、第1の基準線22と第2の基準線23とがなす角度θは、90度未満(θ<90°)となるように設定されている。
【0035】
これにより、第2ブーム14に連結されたアーム15の先端15Gを、上部旋回体3側に引き寄せることができる。従って、多関節フロント装置11を、アーム15の長さ寸法内に車体とクラムシェルバケット16を収納したコンパクトな姿勢とし、深礎掘削機1を分解することなく、トレーラ101の荷台101Aに積載して作業現場に搬送することができる。
【0036】
次に、上部旋回体3に設けられた油圧源(図示せず)と、多関節フロント装置11に設けられた複数の油圧アクチュエータとの間を接続する油圧管路について、図4ないし図7を参照して説明する。
【0037】
多関節フロント装置11には、ブームシリンダ用油圧管路(図示せず)、ポジショニングシリンダ用油圧管路(図示せず)、アームシリンダ用油圧管路24、昇降シリンダ用油圧管路26、開閉シリンダ用油圧管路28、緩み取りシリンダ用油圧管路29、バルブパイロット用油圧管路32等が設けられている。ブームシリンダ用油圧管路は、油圧源と2本のブームシリンダ19との間を接続し、ポジショニングシリンダ用油圧管路は、油圧源と2本のポジショニングシリンダ20との間を接続している。
【0038】
一対のアームシリンダ用油圧管路24は、油圧源とアームシリンダ21との間を接続し、両者間で圧油を給排させる。アームシリンダ用油圧管路24は、2本の第1ブーム側固定管路24Aと、2本のシリンダ側固定管路24Bと、2本の油圧ホース24Cとを含んで構成されている。2本の第1ブーム側固定管路24Aは、鋼管等の金属管からなり、それぞれ第1ブーム13の背面13C側に複数の支持部材25を用いて固定されている。支持部材25は、第1ブーム13の左側面13Aから左側方に張り出した左支持部材25Aと、第1ブーム13の右側面13Bから右側方に張り出した右支持部材25Bとを有している(図6参照)。2本の第1ブーム側固定管路24Aのうち一方は、左支持部材25Aに支持された状態で第1ブーム13に沿って延び、他方の第1ブーム側固定管路24Aは、右支持部材25Bに支持された状態で第1ブーム13に沿って延びている。第1ブーム側固定管路24Aの基端側は、それぞれコントロールバルブ等(図示せず)を介して油圧源に接続されている。
【0039】
2本のシリンダ側固定管路24Bは、鋼管等の金属管からなり、それぞれアームシリンダ21にバンド等を用いて固定されている。一方のシリンダ側固定管路24Bの先端は、アームシリンダ21のロッド側油室に接続され、他方のシリンダ側固定管路24Bの先端は、アームシリンダ21のボトム側油室に接続されている。
【0040】
2本の油圧ホース24Cは、可撓性を有するゴムホース等を用いて形成されている。油圧ホース24Cは、それぞれ第1ブーム側固定管路24Aの先端とシリンダ側固定管路24Bの基端との間を接続している。油圧ホース24Cの長さ方向の中間部は、第1ブーム13の先端13Gを地面G側に下げたときに、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する凸湾曲部24Dとなっている。
【0041】
一対の昇降シリンダ用油圧管路26は、アーム15内に設けられた昇降シリンダ(図示せず)と油圧源との間を接続し、両者間で圧油を給排させる。昇降シリンダ用油圧管路26は、2本の第1ブーム側固定管路26Aと、2本の第2ブーム側固定管路26Bと、2本の油圧ホース26Cとを含んで構成されている。
【0042】
第1の固定管路としての2本の第1ブーム側固定管路26Aは、鋼管等の金属管からなり、それぞれ第1ブーム13の背面13C側に支持部材25を用いて固定されている。2本の第1ブーム側固定管路26Aのうち一方は、左支持部材25Aに支持された状態で第1ブーム13に沿って延び、他方の第1ブーム側固定管路26Aは、右支持部材25Bに支持された状態で第1ブーム13に沿って延びている。第1ブーム側固定管路26Aの基端側は、それぞれコントロールバルブ等(図示せず)を介して油圧源に接続されている。
【0043】
第2の固定管路としての2本の第2ブーム側固定管路26Bは、鋼管等の金属管からなり、それぞれ第2ブーム14の腹面14D側に支持部材27を用いて固定されている。支持部材27は、第2ブーム14の左側面14Aから左側方に張り出した左支持部材27Aと、第2ブーム14の右側面14Bから右側方に張り出した右支持部材27Bとを有している(図7参照)。2本の第2ブーム側固定管路26Bのうち一方は、左支持部材27Aに支持された状態で第2ブーム14に沿って延び、他方の第2ブーム側固定管路26Bは、右支持部材27Bに支持された状態で第2ブーム14に沿って延びている。一方の第2ブーム側固定管路26Bの先端は、落下防止弁(図示せず)等を介して昇降シリンダのボトム側油室に接続され、他方の第2ブーム側固定管路26Bの先端は、接続ホース等を介して昇降シリンダのロッド側油室に接続されている。
【0044】
2本の油圧ホース26Cは、可撓性を有するゴムホース等を用いて形成されている。油圧ホース26Cは、それぞれ第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と第2ブーム側固定管路26Bの基端26B1との間を接続している。油圧ホース26Cの長さ方向の中間部は、第1ブーム13の先端13Gを地面G側に下げたときに、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する凸湾曲部26Dとなっている。
【0045】
一対の開閉シリンダ用油圧管路28は、アーム15の外部に設けられた開閉シリンダ(図示せず)と油圧源との間を接続し、両者間で圧油を給排させる。開閉シリンダ用油圧管路28は、2本の第1ブーム側固定管路28Aと、2本の第2ブーム側固定管路28Bと、2本の油圧ホース28Cとを含んで構成されている。
【0046】
第1の固定管路としての2本の第1ブーム側固定管路28Aは、鋼管等の金属管からなり、それぞれ第1ブーム13の背面13C側に支持部材25を用いて固定されている。2本の第1ブーム側固定管路28Aのうち一方は、左支持部材25Aに支持された状態で第1ブーム13に沿って延び、他方の第1ブーム側固定管路28Aは、右支持部材25Bに支持された状態で第1ブーム13に沿って延びている。第1ブーム側固定管路28Aの基端側は、それぞれコントロールバルブ等(図示せず)を介して油圧源に接続されている。
【0047】
第2の固定管路としての2本の第2ブーム側固定管路28Bは、鋼管等の金属管からなり、それぞれ第2ブーム14の腹面14D側に支持部材27を用いて固定されている。2本の第2ブーム側固定管路28Bのうち一方は、左支持部材27Aに支持された状態で第2ブーム14に沿って延び、他方の第2ブーム側固定管路28Bは、右支持部材27Bに支持された状態で第2ブーム14に沿って延びている。一方の第2ブーム側固定管路28Bの先端は、接続ホース等を介して開閉シリンダのボトム側油室に接続され、他方の第2ブーム側固定管路28Bの先端は、接続ホース等を介して開閉シリンダのロッド側油室に接続されている。
【0048】
2本の油圧ホース28Cは、可撓性を有するゴムホース等を用いて形成されている。油圧ホース28Cは、それぞれ第1ブーム側固定管路28Aの先端28A1と第2ブーム側固定管路28Bの基端28B1との間を接続している。油圧ホース28Cの長さ方向の中間部は、第1ブーム13の先端13Gを地面G側に下げたときに、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する凸湾曲部28Dとなっている。油圧ホース28Cは、アームシリンダ用油圧管路24の油圧ホース24C、昇降シリンダ用油圧管路26の油圧ホース26Cと同等な管路径を有している(図5参照)。
【0049】
一対の緩み取りシリンダ用油圧管路29は、アーム15の外部に設けられた緩み取りシリンダ(図示せず)と油圧源との間を接続し、両者間で圧油を給排させる。緩み取りシリンダ用油圧管路29は、2本の第1ブーム側固定管路29Aと、2本の第2ブーム側固定管路29Bと、2本の油圧ホース29Cとを含んで構成されている。油圧ホース29Cは、アームシリンダ用油圧管路24の油圧ホース24C、昇降シリンダ用油圧管路26の油圧ホース26C、開閉シリンダ用油圧管路28の油圧ホース28Cに比較して、管路径が小さく設定されている(図5参照)。
【0050】
2本の第1ブーム側固定管路29Aは、鋼管等の金属管からなり、第1ブーム13の背面13C側に位置して左側面13Aおよび右側面13Bにそれぞれ固定されている。即ち、2本の第1ブーム側固定管路29Aのうち一方は、第1ブーム13の左側面13Aに設けられた複数の左クランプ部材30Aに固定され、他方の第1ブーム側固定管路29Aは、第1ブーム13の右側面13Bに設けられた右クランプ部材30Bに固定されている。第1ブーム側固定管路29Aの基端側は、それぞれコントロールバルブ等(図示せず)を介して油圧源に接続されている。
【0051】
2本の第2ブーム側固定管路29Bは、鋼管等の金属管からなり、第2ブーム14の腹面14D側に位置して左側面14Aおよび右側面14Bにそれぞれ固定されている。即ち、一方の第2ブーム側固定管路29Bは、第2ブーム14の左側面14Aに設けられた左クランプ部材31Aに固定され、他方の第2ブーム側固定管路29Bは、第2ブーム14の右側面14Bに設けられた右クランプ部材31Bに固定されている。一方の第2ブーム側固定管路29Bの先端は、接続ホース等を介して緩み取りシリンダのロッド側油室に接続され、他方の第2ブーム側固定管路29Bの先端は、接続ホース等を介して緩み取りシリンダのボトム側油室に接続されている。
【0052】
2本の油圧ホース29Cは、可撓性を有するゴムホース等を用いて形成されている。油圧ホース29Cは、それぞれ第1ブーム側固定管路29Aの先端と第2ブーム側固定管路29Bの基端との間を接続している。油圧ホース29Cの長さ方向の中間部は、第1ブーム13の先端13Gを地面G側に下げたときに、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する凸湾曲部29Dとなっている。
【0053】
バルブパイロット用油圧管路32は、昇降シリンダのボトム側油室に接続された落下防止弁の油圧パイロット部とパイロットポンプ(いずれも図示せず)との間を接続している。落下防止弁は、昇降シリンダに対してクラムシェルバケット16を下降させる操作が行われていない状態で、クラムシェルバケット16が自重で下降(落下)するのを防止する落下防止機能を有している。昇降シリンダに対し、クラムシェルバケット16を下降する操作が行われるときには、パイロットポンプからのパイロット圧が、バルブパイロット用油圧管路32を通じて落下防止弁(油圧パイロット部)に供給される。これにより、落下防止弁による落下防止機能が解除され、昇降シリンダに対する操作に応じてクラムシェルバケット16が下降する。
【0054】
バルブパイロット用油圧管路32は、第1ブーム側固定管路32Aと、第2ブーム側固定管路32Bと、油圧ホース32Cとを含んで構成されている。油圧ホース32Cは、緩み取りシリンダ用油圧管路29の油圧ホース29Cと同等な管路径を有している(図5参照)。第1ブーム側固定管路32Aは、鋼管等の金属管からなり、第1ブーム13の右側面13Bに設けられた右クランプ部材30Bに支持されている。第1ブーム側固定管路32Aの基端側は、パイロットポンプ(図示せず)に接続されている。
【0055】
第2ブーム側固定管路32Bは、鋼管等の金属管からなり、第2ブーム14の右側面14Bに設けられた右クランプ部材31Bに固定されている。第2ブーム側固定管路32Bの先端は、接続ホース等を介して落下防止弁の油圧パイロット部に接続されている。
【0056】
油圧ホース32Cは、可撓性を有するゴムホース等を用いて形成され、第1ブーム側固定管路32Aと第2ブーム側固定管路32Bとの間を接続している。油圧ホース32Cの中間部は、第1ブーム13の先端13Gを地面G側に下げたときに、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する凸湾曲部32Dとなっている。
【0057】
ここで、多関節フロント装置11が、図3ないし図5に示す非作業姿勢に移行すると、第1ブーム13の先端13Gが地面G側に下がり、第2ブーム14の先端14Gが地面Gよりも上方に持ち上がる。この非作業姿勢において、アームシリンダ用油圧管路24を構成する油圧ホース24Cの凸湾曲部24D、昇降シリンダ用油圧管路26を構成する油圧ホース26Cの凸湾曲部26D、開閉シリンダ用油圧管路28を構成する油圧ホース28Cの凸湾曲部28D、緩み取りシリンダ用油圧管路29を構成する油圧ホース29Cの凸湾曲部29D、バルブパイロット用油圧管路32を構成する油圧ホース32Cの凸湾曲部32Dは、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつそれぞれ地面Gに向けて凸状に湾曲する。これにより、油圧ホース24C,26C,28C,29C,32Cが地面Gに接触するのを抑えることができる構成となっている。
【0058】
この場合、昇降シリンダ用油圧管路26を構成する第1ブーム側固定管路26Aは、第1ブーム13の背面13C側に固定され、第2ブーム側固定管路26Bは、第2ブーム14の腹面14D側に固定されている。これにより、仮に、第2ブーム側固定管路26Bが、第2ブーム14の背面14Cあるいは左側面14Aに固定された場合に比較して、油圧ホース26Cが接続される第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と、第2ブーム側固定管路26Bの基端26B1との間隔が大きく確保される。このため、第1ブーム側固定管路26Aと第2ブーム側固定管路26Bとの間で湾曲する油圧ホース26Cの凸湾曲部26Dの曲率半径が大きくなり、油圧ホース26Cに無理な力が作用するのを抑えることができる。
【0059】
同様に、開閉シリンダ用油圧管路28を構成する第1ブーム側固定管路28Aは、第1ブーム13の背面13C側に固定され、第2ブーム側固定管路28Bは、第2ブーム14の腹面14D側に固定されている。これにより、仮に、第2ブーム側固定管路28Bが、第2ブーム14の背面14Cあるいは右側面14Bに固定された場合に比較して、油圧ホース28Cが接続される第1ブーム側固定管路28Aの先端28A1と、第2ブーム側固定管路28Bの基端28B1との間隔が大きく確保される。このため、第1ブーム側固定管路28Aと第2ブーム側固定管路28Bとの間で湾曲する油圧ホース28Cの凸湾曲部28Dの曲率半径が大きくなり、油圧ホース28Cに無理な力が作用するのを抑えることができる。
【0060】
なお、緩み取りシリンダ用油圧管路29を構成する第1ブーム側固定管路29Aは、第1ブーム13の左側面13Aおよび右側面13Bに固定され、第2ブーム側固定管路29Bは、第2ブーム14の左側面14Aおよび右側面14Bに固定されている。このため、第1ブーム側固定管路29Aの先端と、第2ブーム側固定管路29Bの基端との間隔は、昇降シリンダ用油圧管路26の第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と、第2ブーム側固定管路26Bの基端26B1との間隔に比較して小さくなり、この分、油圧ホース29Cの凸湾曲部29Dの曲率半径は小さくなる。しかし、緩み取りシリンダ用油圧管路29の油圧ホース29Cは、昇降シリンダ用油圧管路26の油圧ホース26Cよりも管路径が小さいため、油圧ホース29Cに無理な力が作用することはない。
【0061】
本実施形態による深礎掘削機1は、上述の如き構成を有するもので、図1に示すように、深礎掘削機1を用いて立抗を掘削するときには、オペレータはキャブ5に搭乗し、走行用レバー・ペダル装置(図示せず)を操作して深礎掘削機1を作業場所まで走行させる。次に、オペレータは、操作レバー装置(図示せず)を操作し、ブームシリンダ19、ポジショニングシリンダ20、アームシリンダ21を伸縮させる。これにより、多関節フロント装置11は、例えば図1に示すように、第1ブーム13の先端13Gを水平方向に対して上向きとした状態で、アーム15を第2ブーム14よりも上側に配置した作業姿勢となる。
【0062】
多関節フロント装置11を作業姿勢とした状態で、昇降シリンダ(図示せず)によって昇降ロープ17を繰り出すことにより、立抗内にクラムシェルバケット16を降下させる。そして、開閉シリンダ(図示せず)によって穴底に着地したバケット16Bを閉じることにより、クラムシェルバケット16によって土砂を掘削することができる。そして、昇降シリンダによってクラムシェルバケット16を立抗の上方へと引上げた後、上部旋回体3を旋回させ、所望の排土場所で開閉シリンダによってバケット16Bを開くことにより、掘削した土砂を排出することができる。
【0063】
多関節フロント装置11が作業姿勢にある状態では、第2ブーム14の先端14Gが、第1ブーム13の背面13Cから離れた位置に配置される。従って、昇降シリンダ用油圧管路26を構成する第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と、第2ブーム側固定管路26Bの基端26B1との間隔が大きく保たれる。これにより、油圧ホース26Cは、上向きに湾曲することなく、自重によって緩やかに下向きに湾曲した姿勢を保持する。また、開閉シリンダ用油圧管路28を構成する第1ブーム側固定管路28Aの先端28A1と、第2ブーム側固定管路28Bの基端28B1との間隔が大きく保たれる。これにより、油圧ホース28Cは、上向きに湾曲することなく、自重によって緩やかに下向きに湾曲した姿勢を保持する。
【0064】
同様に、アームシリンダ用油圧管路24を構成する油圧ホース24C、緩み取りシリンダ用油圧管路29を構成する油圧ホース29C、バルブパイロット用油圧管路32を構成する油圧ホース32Cも、上向きに湾曲することなく自重によって緩やかに下向きに湾曲した姿勢を保持する。
【0065】
次に、図2に示すように、多関節フロント装置11に対するメンテナンスを行うときには、ブームシリンダ19とアームシリンダ21を縮小させると共に、ポジショニングシリンダ20を伸長させる。これにより、アーム15は、第2ブーム14との連結部(ピン15F)を中心として回動し、背面15Bが地面Gに対面する。この状態でブームシリンダ19を縮小させることにより、多関節フロント装置11は、アーム15を第2ブーム14よりも下側に配置したメンテナンス姿勢となる。このメンテナンス姿勢では、アーム15を上部旋回体3よりも低い位置で地面に対してほぼ平行な姿勢に保つことができ、例えば昇降ロープ17および開閉ロープ18等に対する点検、交換作業、給脂作業といったメンテナンス作業を地上作業によって行うことができる。
【0066】
多関節フロント装置11がメンテナンス姿勢にある状態では、昇降シリンダ用油圧管路26を構成する第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と、第2ブーム側固定管路26Bの基端26B1との間隔が最大となる。これにより、油圧ホース26Cは、上向きに湾曲することなく、第1ブーム側固定管路26Aと第2ブーム側固定管路26Bとの間を前方に向けて斜め下向きに延びた姿勢を保持する。また、開閉シリンダ用油圧管路28を構成する第1ブーム側固定管路28Aの先端28A1と、第2ブーム側固定管路28Bの基端28B1との間隔が最大となる。これにより、油圧ホース28Cは、上向きに湾曲することなく、第1ブーム側固定管路28Aと第2ブーム側固定管路28Bとの間を前方に向けて斜め下向きに延びた姿勢を保持する。
【0067】
同様に、アームシリンダ用油圧管路24を構成する油圧ホース24C、緩み取りシリンダ用油圧管路29を構成する油圧ホース29C、バルブパイロット用油圧管路32を構成する油圧ホース32Cも、上向きに湾曲することなく、前方に向けて斜め下向きに延びた姿勢を保持する。
【0068】
次に、図3および図4に示すように、深礎掘削機1をトレーラ101に積載して作業現場に搬送する場合、あるいは作業現場に留め置きする場合には、多関節フロント装置11を非作業姿勢(輸送姿勢)に移行させる。即ち、昇降シリンダによりアーム15の先端15G側にクラムシェルバケット16を引上げた状態で、ブームシリンダ19とポジショニングシリンダ20を縮小させる。このように、多関節フロント装置11は、ブームシリンダ19を縮小させて第1ブーム13の先端13Gを地面G側に下げると共に、第2ブーム14の先端14Gを地面Gよりも上方に持ち上げた状態(水平方向に対して上向とした状態)で、アーム15を第2ブーム14よりも上側に配置することにより、非作業姿勢に移行する。
【0069】
多関節フロント装置11が非作業姿勢にある状態では、昇降シリンダ用油圧管路26を構成する第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と、第2ブーム側固定管路26Bの基端26B1との間隔が最小となる。この状態において、油圧ホース26Cの凸湾曲部26Dは、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲した状態となる。また、開閉シリンダ用油圧管路28を構成する第1ブーム側固定管路28Aの先端28A1と、第2ブーム側固定管路28Bの基端28B1との間隔が最小となる。この状態において、油圧ホース28Cの凸湾曲部28Dは、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲した状態となる。
【0070】
同様に、アームシリンダ用油圧管路24を構成する油圧ホース24Cの凸湾曲部24D、緩み取りシリンダ用油圧管路29を構成する油圧ホース29Cの凸湾曲部29D、バルブパイロット用油圧管路32を構成する油圧ホース32Cの凸湾曲部32Dも、それぞれ第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する。
【0071】
このように、多関節フロント装置11が非作業姿勢にある状態において、アームシリンダ用油圧管路24を構成する油圧ホース24Cの凸湾曲部24D、昇降シリンダ用油圧管路26を構成する油圧ホース26Cの凸湾曲部26D、開閉シリンダ用油圧管路28を構成する油圧ホース28Cの凸湾曲部28D、緩み取りシリンダ用油圧管路29を構成する油圧ホース29Cの凸湾曲部29D、バルブパイロット用油圧管路32を構成する油圧ホース32Cの凸湾曲部32Dは、それぞれ第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する。この結果、油圧ホース24C,26C,28C,29C,32Cが地面Gに接触して損傷するのを抑え、これらを保護することができる。
【0072】
しかも、昇降シリンダ用油圧管路26の第1ブーム側固定管路26A、および開閉シリンダ用油圧管路28の第1ブーム側固定管路28Aは、第1ブーム13の背面13C側に固定され、昇降シリンダ用油圧管路26の第2ブーム側固定管路26B、および開閉シリンダ用油圧管路28の第2ブーム側固定管路28Bは、第2ブーム14の腹面14D側に固定されている。これにより、油圧ホース26Cが接続される第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と第2ブーム側固定管路26Bの基端26B1との間隔、および油圧ホース28Cが接続される第1ブーム側固定管路28Aの先端28A1と第2ブーム側固定管路28Bの基端28B1との間隔を大きく確保することができる。この結果、油圧ホース26Cの凸湾曲部26Dの曲率半径、および油圧ホース28Cの凸湾曲部28Dの曲率半径を大きくすることができ、これら油圧ホース26C,28Cに無理な力が作用するのを抑え、その寿命を延ばすことができる。
【0073】
かくして、本実施形態による深礎掘削機1は、下部走行体2と上部旋回体3とからなる自走可能な車体と、回動可能に連結された複数のフロント部材および油圧アクチュエータを有し上部旋回体3に設けられた多関節フロント装置11とを備え、多関節フロント装置11を構成する複数のフロント部材のうち互いに回動可能に連結された第1ブーム13(一方のフロント部材)および第2ブーム14(他方のフロント部材)には、それぞれ上部旋回体3に設けられた油圧源と昇降シリンダおよび開閉シリンダとの間を接続する昇降シリンダ用油圧管路26および開閉シリンダ用油圧管路28が設けられている。そして、多関節フロント装置11が作業姿勢にある状態で第1ブーム13の地面に対向する腹面13Dとは反対側となる背面13C側には、昇降シリンダ用油圧管路26および開閉シリンダ用油圧管路28の一部を構成し第1ブーム13に沿って延びる第1ブーム側固定管路26A,28Aが設けられ、多関節フロント装置11が作業姿勢にある状態で第2ブーム14の地面に対向する腹面14D側には、第2ブーム14に沿って延びる第2ブーム側固定管路26B,28Bが設けられ、第1ブーム側固定管路26A,28Aと第2ブーム側固定管路26B,28Bとの間には、第1ブーム13の先端13Gを地面側に下げたときに、第1ブーム13の背面13C、第2ブーム14の基端(第1ブーム13側の端部)14Eおよび腹面14Dに沿って延び、かつ地面に向けて凸状に湾曲する凸湾曲部26D,28Dを有する油圧ホース26C,28Cが設けられている。
【0074】
この構成によれば、多関節フロント装置11が非作業姿勢にある状態において、昇降シリンダ用油圧管路26を構成する油圧ホース26C、および開閉シリンダ用油圧管路28を構成する油圧ホース28Cが地面Gに接触して損傷するのを抑え、これらを保護することができる。しかも、第1ブーム13の背面13C側に固定された第1ブーム側固定管路26Aの先端26A1と、第2ブーム14の腹面14D側に固定された第2ブーム側固定管路28Bの基端28B1との間隔を可及的に大きく確保することができる。このため、地面Gに向けて凸状に湾曲した油圧ホース26Cの凸湾曲部26Dの曲率半径が大きくなり、油圧ホース26Cに無理な力が作用するのを抑えることができ、その寿命を延ばすことができる。同様に、開閉シリンダ用油圧管路28の油圧ホース28Cについても、凸湾曲部28Dの曲率半径が大きくなることにより無理な力が作用するのを抑え、その寿命を延ばすことができる。
【0075】
実施形態では、多関節フロント装置11は、基端13Eが上部旋回体3に回動可能に連結された第1ブーム13と、第1ブーム13の先端13Gに回動可能に連結された第2ブーム14と、第2ブーム14の先端14Gに回動可能に連結されたアーム15と、第2ブーム14およびアーム15に設けられた油圧アクチュエータとを含んで構成され、第2ブーム14は、第1ブーム13との連結部を中心として第1ブーム13の背面13C側に回動する構成とし、第1ブーム側固定管路26A,28Aは第1ブーム13の背面13C側に設けられ、第2ブーム側固定管路26B,28Bは第2ブーム14の腹面14D側に設けられている。
【0076】
実施形態では、多関節フロント装置11は、第1ブーム13の先端13Gを地面G側に下げると共に第2ブーム14の先端14Gを地面Gよりも上方に持ち上げた状態で非作業姿勢となり、油圧ホース26C,28Cの凸湾曲部26D,28Dは、多関節フロント装置11が非作業姿勢となったときに地面Gに向けて凸状に湾曲する。この構成によれば、多関節フロント装置11を非作業姿勢として作業現場に留め置きしたり、車両に積載して搬送する場合に、油圧ホース26C,28Cが地面Gに接触するのを防止することができる。
【0077】
次に、図8および図9は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態では、多関節フロント装置を備えた作業機として、解体作業用の油圧ショベルを例示している。
【0078】
図中、高層建築物等の解体作業に用いられる油圧ショベル41は、自走可能なクローラ式の下部走行体42と、下部走行体42上に旋回可能に搭載された上部旋回体43と、上部旋回体43に回動可能に設けられたハイリフト仕様の多関節フロント装置45とを含んで構成されている。下部走行体42と上部旋回体43は、油圧ショベル41の車体を構成し、上部旋回体43にはキャブ44等が搭載されている。
【0079】
多関節フロント装置45は、上部旋回体43のベースとなる旋回フレーム46に回動可能に取付けられたロアブーム47Aおよびアッパブーム47Bからなるブーム47と、アッパブーム47Bの先端に回動可能に取り付けられたミドルアーム48と、ミドルアーム48の先端に回動可能に取付けられたアーム49と、アーム49の先端に回動可能に取付けられた作業具としての圧砕機50とを有している。旋回フレーム46とロアブーム47Aとの間には、ブームシリンダ51が設けられ、アッパブーム47Bとミドルアーム48との間には、第1アームシリンダ52が設けられている。ミドルアーム48とアーム49との間には、第2アームシリンダ53が設けられ、アーム49と圧砕機50との間には、作業具シリンダ54が設けられている。
【0080】
これらブーム47、ミドルアーム48、アーム49は、それぞれ多関節フロント装置45のフロント部材を構成している。本実施形態では、ミドルアーム48とアーム49とが、互いに回動可能に連結された2つのフロント部材を構成し、2つのフロント部材のうち一方のフロント部材はミドルアーム48であり、他方のフロント部材はアーム49である。
【0081】
ミドルアーム48は、多関節フロント装置45が作業姿勢(図8の姿勢)にあるときに地面Gに対向する腹面48Aと、腹面48Aとは反対側となる背面48Bとを有している。アーム49も、多関節フロント装置45が作業姿勢にあるときに地面Gに対向する腹面49Aと、腹面49Aとは反対側となる背面49Bとを有している。
【0082】
多関節フロント装置45を、図9に示す非作業姿勢(輸送姿勢)に移行させるときには、第1アームシリンダ52および第2アームシリンダ53を最縮小させる。これにより、ミドルアーム48の先端48Cが地面G側に下がり、アーム49は、背面49Bが地面Gに対向した状態でブーム47の下方に折り畳まれる。
【0083】
図9に示すように、多関節フロント装置45には、ブームシリンダ用油圧管路(図示せず)、第1アームシリンダ用油圧管路55、第2アームシリンダ用油圧管路56、作業具シリンダ用油圧管路57、作業具用油圧管路58等が設けられている。ブームシリンダ用油圧管路は、上部旋回体43に搭載された油圧源(図示せず)とブームシリンダ51との間を接続している。第1アームシリンダ用油圧管路55は、油圧源と第1アームシリンダ52との間を接続し、第2アームシリンダ用油圧管路56は、油圧源と第2アームシリンダ53との間を接続している。作業具シリンダ用油圧管路57は、油圧源と作業具シリンダ54との間を接続し、作業具用油圧管路58は、圧砕機50に設けられた駆動用の油圧アクチュエータ(図示せず)と油圧源との間を接続している。
【0084】
作業具シリンダ用油圧管路57は、鋼管等の金属管からなるブーム側固定管路57A、ミドルアーム側固定管路57B、アーム側固定管路57Cと、可撓性を有するゴムホース等からなる第1油圧ホース57D、第2油圧ホース57Eとを含んで構成されている。ブーム側固定管路57Aはブーム47に固定され、ブーム側固定管路57Aの基端側はコントロールバルブ等(図示せず)を介して油圧源に接続されている。ミドルアーム側固定管路57Bは、ミドルアーム48の背面48Bに固定されている。アーム側固定管路57Cは、アーム49の腹面49Aに固定されている。本実施形態においては、ミドルアーム側固定管路57Bが第1の固定管路を構成し、アーム側固定管路57Cが第2の固定管路を構成している。
【0085】
第1油圧ホース57Dは、ブーム側固定管路57Aの先端57A1とミドルアーム側固定管路57Bの基端57B1との間を接続している。第2油圧ホース57Eは、ミドルアーム側固定管路57Bの先端57B2とアーム側固定管路57Cの基端57C1との間を接続している。アーム側固定管路57Cの先端57C2は、接続ホース等を介して作業具シリンダ54に接続されている。第2油圧ホース57Eの長さ方向の中間部は、ミドルアーム48の先端48Cを地面G側に下げたときに、ミドルアーム48の背面48B、アーム49の基端(ミドルアーム48側の端部)および腹面49Aに沿って延び、かつ地面Gに向けて凸状に湾曲する凸湾曲部57E1となっている。
【0086】
本実施形態による油圧ショベル41は、上述の如き多関節フロント装置45を有するもので、多関節フロント装置45が非作業姿勢に移行した状態において、作業具シリンダ用油圧管路57を構成する第2油圧ホース57Eの凸湾曲部57E1は、地面Gに向けて凸状に湾曲しつつミドルアーム48の背面48B、アーム49の基端および腹面49Aに沿って配策される。これにより、第2油圧ホース57Eが地面Gに接触するのを抑え、第2油圧ホース57Eを保護することができる。
【0087】
しかも、ミドルアーム側固定管路57Bは、ミドルアーム48の背面48B側に固定され、アーム側固定管路57Cは、アーム49の腹面49A側に固定されている。これにより、仮に、アーム側固定管路57Cが、アーム49の背面49Bあるいは左右の側面に固定された場合に比較して、第2油圧ホース57Eが接続されるミドルアーム側固定管路57Bの先端57B2と、アーム側固定管路57Cの基端57C1との間隔が大きく確保される。このため、ミドルアーム側固定管路57Bとアーム側固定管路57Cとの間で湾曲する第2油圧ホース57Eの凸湾曲部57E1の曲率半径が大きくなり、第2油圧ホース57Eに無理な力が作用するのを抑え、その寿命を延ばすことができる。
【0088】
なお、第1の実施形態では、緩み取りシリンダ用油圧管路29の第1ブーム側固定管路29Aを、第1ブーム13の左側面13Aおよび右側面13Bに固定し、第2ブーム側固定管路29Bを、第2ブーム14の左側面14Aおよび右側面14Bに固定した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第1ブーム側固定管路29Aを第1ブーム13の背面13Cに固定し、第2ブーム側固定管路29Bを第2ブーム14の腹面14Dに固定してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 深礎掘削機
2,42 下部走行体(車体)
3,43 上部旋回体(車体)
11,45 多関節フロント装置
13 第1ブーム(一方のフロント部材)
13C,14C 背面
13D,14D 腹面
13G,14G 先端
14 第2ブーム(他方のフロント部材)
26 昇降シリンダ用油圧管路
26A,28A 第1ブーム側固定管路(第1の固定管路)
26B,28B 第2ブーム側固定管路(第2の固定管路)
26C,28C 油圧ホース
26D,28D 凸湾曲部
28 開閉シリンダ用油圧管路
41 油圧ショベル
48 ミドルアーム(一方のフロント部材)
48A,49A 腹面
48B,49B 背面
49 アーム(他方のフロント部材)
57 作業具シリンダ用油圧管路
57B ミドルアーム側固定管路(第1の固定管路)
57C アーム側固定管路(第2の固定管路)
57E 第2油圧ホース
57E1 凸湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9