(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004977
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B62D 7/14 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B62D7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104914
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石黒 皓幹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大翔
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】渡部 智明
(72)【発明者】
【氏名】浜野 友佑
(72)【発明者】
【氏名】細沼 奨
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
(72)【発明者】
【氏名】織田 湧平
(72)【発明者】
【氏名】長尾 康史
(72)【発明者】
【氏名】原 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
【テーマコード(参考)】
3D034
【Fターム(参考)】
3D034CA02
3D034CB05
3D034CC01
3D034CC03
3D034CD03
3D034CD10
3D034CD12
3D034CD18
3D034CD20
3D034CE02
3D034CE03
3D034CE05
3D034CE06
3D034CE13
(57)【要約】
【課題】本発明は、GPSの受信部装置と慣性計測装置から検出された慣性座標系が、地上の緯度経度による絶対座標系と位置ずれをおこしている場合、位置ずれ対応として、作業機をスリップ移動させることで作業前に位置合わせを行い、作業開始直後の作業できない範囲を無くし、また位置合わせする場合に圃場や作業機に負荷をかけないことを課題とした。
【解決手段】
GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された慣性座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された絶対座標系の位置を、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させ、四輪の回転数を一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを行いながら四輪操舵を行うことで対応する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四輪駆動で四輪操舵方式の走行部を備え、あらかじめ設定された進行方向(600)の走行ライン上の位置と、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置との位置ずれが生じている場合で、四輪の内の一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを伴う移動をすることで、進行方向(600)と前後の車軸(610)を合わせながら、位置ずれの対応を自動で行う作業機。
【請求項2】
前記位置ずれ対応後に、進行方向(600)と前後の車軸(610)が所定値を超え、方向を合わせる制御を行う場合、四輪の内の一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを行いながら四輪操舵を行いながらスリップ移動を行うことで、進行方向(600)と前後の車軸(610)が所定値内に収まると、四輪の回転数を同回転数に戻す方向制御を自動で行う請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
GPSの受信装置と、慣性計測装置より算出された自車位置の座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された座標系の位置を、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させ、
この合致させた位置を基準に走行しながら、四輪の内の一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを行いながら四輪操舵を行い、
GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系とセンシング用の撮像手段で検出された座標系の位置を合致させ、進行方向(600)と前後の車軸(610)の方向においても合致させた後に、四輪の回転数を同回転数に戻す走行に自動変更を行う請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された座標系の位置を、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させ、
この合致させた位置を基準に走行しながら、二輪操舵を利用して、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系とセンシング用の撮像手段で検出された座標系の位置が合致するまで、所定速度以上は走行速度が上昇しないように設定しておき、進行方向(600)と前後の車軸(610)の方向において合致した場合に設定された速度に上昇させる請求項1に記載の作業機。
【請求項5】
機体の前方に低電圧バッテリー(120)を配備し、その後方に高電圧のメインバッテリー(130)と、電動モータ(140)を前後方向に並列状態で備え、
電動モータ(140)の車体後方側にHST(油圧無断変速装置)(150)を備え、電動モータ(140)より動力入力し、HST(150)の出力軸より、走行系の車軸(190)、油圧ポンプ(200)へ動力分配し、HST(150)の余剰動力を回生するための回生モータ(550)を備え、回生モータ(550)により、低電圧バッテリー(120)に充電する請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業において、高精度で自動運転を可能とする作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転において検出精度を高め、検出位置のずれ対応を行う発明が記載されているが、その位置ずれを作業開始時に短時間で作業ロスなく対応するための、作業機の走行機構と操舵制御の記載はなされていない。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来技術では、走行車両の位置ずれの対応として位置偏差の演算と、方位偏差の演算を行うことの記載はあるが、走行車両自体には、位置ずれ対応解消に対応する操舵方法や走行機構の専用対応の記載は特に示されていない。本発明においては、位置ずれ偏差等の位置ずれ対応制御を、走行車両が短時間で短い作業走行距離で、あるいは作業走行前に位置ずれ対応を行うことが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の発明は、次の技術手段により解決される。
【0006】
四輪駆動で四輪操舵方式の走行部を備え、あらかじめ設定された進行方向600の走行ライン上の位置と、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置との位置ずれが生じている場合で、四輪の内の一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを伴う移動をすることで、進行方向600と前後の車軸610を合わせながら、位置ずれの対応を自動で行う。
【0007】
第二の発明は、次の技術手段により解決される。
【0008】
前記位置ずれ対応後に、進行方向600と前後の車軸610が所定値を超え、方向を合わせる制御を行う場合、四輪の内の一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを行いながら四輪操舵を行いながらスリップ移動を行うことで、進行方向600と前後の車軸610が所定値内に収まると、四輪の回転数を同回転数に戻す方向制御を自動で行う。
【0009】
第三の発明は、次の技術手段により解決される。
【0010】
GPSの受信装置と、慣性計測装置より算出された自車位置の座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された座標系の位置を、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させ、
この合致させた位置を基準に走行しながら、四輪の内の一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを行いながら四輪操舵を行い、
GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系とセンシング用の撮像手段で検出された座標系の位置を合致させ、進行方向600と前後の車軸610の方向においても合致させた後に、四輪の回転数を同回転数に戻す走行に自動変更を行う。
【0011】
第四の発明は、次の技術手段により解決される。
【0012】
GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された座標系の位置を、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させ、
この合致させた位置を基準に走行しながら、二輪操舵を利用して、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系とセンシング用の撮像手段で検出された座標系の位置が合致するまで、所定速度以上は走行速度が上昇しないように設定しておき、進行方向600と前後の車軸610の方向において合致した場合に設定された速度に上昇させる。
【0013】
第五の発明は、次の技術手段により解決される。
【0014】
機体の前方に低電圧バッテリー120を配備し、その後方に高電圧のメインバッテリー130と、電動モータ140を前後方向に並列状態で備え、
電動モータ140の車体後方側にHST(油圧無断変速装置)150を備え、電動モータ140より動力入力し、HST150の出力軸より、走行系の車軸190、油圧ポンプ200へ動力分配し、HST150の余剰動力を回生するための回生モータ550を備え、回生モータ550により、低電圧バッテリー120に充電する。
【発明の効果】
【0015】
第一の発明で、横移動や車体の中心位置を軸とした回転移動も可能であるため、ほぼ走行することなくスタート位置で位置ずれ合わせをすることが可能となる。
【0016】
第二の発明で、本機は位置ずれ合わせができたものの、作業開始した所、再度、進行方向600と前後の車軸610にずれがある場合、方向制御を可能とするものである。第一の発明と同様で、横移動や車体の中心位置を軸とした回転移動も可能であるため、早期に位置ずれ対応が可能となり、また位置ずれが無いことを確認すると、自動でスリップ移動を終了し自動走行に入るため、圃場や作業機への負荷も少なくなる。
【0017】
第三の発明で、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系とセンシング用の撮像手段で検出された座標系の位置がずれていた場合、ずれの関係を回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させることで、互いの方法で算出した座標系の検出誤差を考慮しながら位置合わせを行うことができる。
【0018】
第四の発明で、二輪駆動の場合で位置ずれ対応を行う場合は、横移動等ができないため位置ずれ解消までに走行する距離も長くなる。この間の走行速度を上昇させないことで、短い走行距離で位置合わせすることができる。
【0019】
第五の発明は、HSTへの出力が減少した場合は、動力ロスが発生するため、HSTから出力負荷が少ない場合は回生モータへ出力をつなぐことで、エネルギーを回収して電力ロスを少なくすることができる。低電圧バッテリーへ充電することはロボット作業機であるため、制御系を保護する点で有効である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態における、作業機の外装を外した斜視図
【
図2】本発明の実施形態における、作業機の外装を外した拡大斜視図
【
図3】本発明の実施形態における、作業機の電装系関連図
【
図4】本発明の作業前位置ずれをスリップ横移動で合わす図
【
図5】本発明の作業前位置ずれをスリップ横後方移動で合わす図
【
図6】本発明の作業前位置ずれをスリップ旋回移動で合わす図
【
図7】本発明の位置ずれを走行ながらスリップ旋回移動で合わす図
【
図8】本発明の位置ずれをスリップ旋回移動のスピンターンで合わす図
【
図9】本発明の位置ずれをスリップ旋回とブレーキにて合わす図
【
図11】慣性座標系と絶対座標系の座標系における回転運動図
【
図12】慣性座標系と絶対座標系の座標系における空間と時間の関係式図
【
図13】慣性座標系と絶対座標系の座標系合わせによる空間と時間の運動方程式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明を説明する。
【0022】
図1~
図17に示す作業機は、本実施形態の作業機の一例を示すものである。
【0023】
本発明の動力の伝達の流れについて説明する。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本機の前方部分のフード110の中には、機体の前方に左右方向で低電圧バッテリー120と、その後方に前後方向で高圧用のメインバッテリー130と、このメインバッテリー130の電力を利用して機体本体、作業機を作動させるための動力源となる電動モータ140をメインバッテリー130の横に前後方向で備えている。
【0025】
低電圧バッテリー120は、運転席ディスプレー330や作業機のコントローラ331の電源となっている。走行、作業の制御や外部通信、また各運転状態のデータの登録を行うコントローラであり補機バッテリーで、12V系等の低電圧バッテリーである。通常、高圧バッテリーも同時に備える場合は、高圧バッテリーより電圧コンバートされて、低圧バッテリーは充電される構成であるが、本発明においては、
図3に示すように低圧バッテリー120と高圧用のメインバッテリー130は独立しており、低圧バッテリー120は、HST150の余剰動力より回生モータ550によって回生電気として低圧バッテリー120に充電されるものである。 また高圧用のメインバッテリー130は、MDU131によって電圧管理され、電動モータ140を制御している。
【0026】
電動モータ140は、モータの後端に外扇141を備えており、モータ軸と連動しており、モータが作動中は外扇141により発生する風でモータ、低電圧バッテリー120、メインバッテリー130が空冷される。熱を持った風はフード110の前方のグリルの網部111や、フード前方下方から外部に排出される。またフード110は電動モータ140、低電圧バッテリー120、メインバッテリー130を完全に覆うことで雨や洗車における防滴対応を行う構成であり、適度な防塵対応も施されている。
【0027】
電動モータ140は、
図2のごとく出力軸を車体の前後方向の後方側とし、その後方に備えるHST150に電動している。伝達方法は、ベルトにより各軸に備えられたプーリーを繋ぐことであっても良いし、電動モータ140とHST軸を直結するも良い。電動モータ140の軸と、HST150の入力と出力軸は、ベルト駆動の場合では軸心は並行方向であり、動力機構としては直列的で曲がる事無く動力を伝えるためロスが少なく、コンパクトな配置を形成できる。
【0028】
図17は、電動モータ140の出力軸を車体の後方にしてHST150に繋ぐ構成をとることで、エンジン650構成とも互換性が容易にとれやすくなっている。重量のあるメインバッテリー130と電動モータ140をフード110に配備し、エンジン650に近しい重量とすることで、電動モータ140仕様とエンジン仕様のバランス差が出ないように構成される。BMSとインバーター160をフード110から外し、座席170後方に配備することで、メンテナンス性と熱ごもりに対応することが可能となる。この構成においても、低圧バッテリー120は、HST150の余剰動力より回生モータ550によって回生電気として低圧バッテリー120に充電されるものである。
【0029】
なお
図3に示すように、BMS(バッテリー・メネージメント・システム)は、高圧用のメインバッテリー130の管理を行うものであり、制御部180の指令を受け制御に応じた電圧管理等を行っている。同位置に配備されるインバーターはMDUとも呼ばれ電動モータの回転数を制御している。本提案においては、BMSとインバーター160は一体化したもので整備が容易にできる座席後部に配置となっており、熱ごもり対応や塵埃対応も可能である。構成によってはBMSとインバータ(MDU)は、別々の位置に配備するも良い。
【0030】
この配備により、電動モータ140は固定回転数で連続回転するも、必要な動力に合わせて回転が変動できるインバーター制御でも良い。本発明実施例では、本機の制御部180の指令に対して、BMSとインバーター160を介して、高圧用のメインバッテリー130の管理をしながら、電動モータ140の回転数を制御するシステムである。こうしたシステムであるため、本機が走行を停止し、作業機も停止の状態でも、電動モータ140の回転はHST150の基準油圧を発生できる範囲で低下し対応する。
【0031】
本発明のHST150以後の機構について説明する。
【0032】
電動モータ140の回転を直結で受ける方がHST150としては動力ロスは少ないが、電動モータ140を前部のフード110内に納め、電動モータ140に付く外扇141を利用して熱を排気するためには、高さ方向でフード110の中央部位に配備する必要がある。またHST150の燃ごもり対応として、外気に放熱させてやる必要がある。専用ファン等を設ければ効果的であるが、コンパクトな構成をとるため、HST150を本体フレームの下方で外気に対して開放した取り付けを行う構成で対応している。
【0033】
このため電動モータ140と、HST150は上下位置でずれがあるため、ベルト141にて動力を伝達している。しかし直列的に繋がっているため、動力ロスは少ない。同様に
図3に示すように、走行系の車軸190、油圧ポンプ200と、エアーコンプレッサー210と直列的に配備しているため、作業機も含めて動力ロスの少ない構成を取っている。
【0034】
このように動力系は電動モータ140からエアーコンプレッサー210に至るまで直列的に並び、熱籠り対応として、上下左右に電動ベルトにて配備する構成となっている。また、エアーコンプレッサー210は作業機220よりも上方に配備したことで、吸引時に塵埃による破損が発生しない構成も可能としている。
【0035】
回生モータ550について説明する。
【0036】
電動モータ140は、BMSとインバーター160によって回転数を制御することは可能であるが、走行速度やPTO230の回転数の変更はHSTで行うため、作業中は、電動モータ140は高回転で固定した状態である。そのため作業中で走行速度を落としたり、PTO230の出力を低下させると、HST150では電動モータ140からの動力をフルに受けているため余剰動力が発生する。HST150では内部で、逃がし動力で対応して油温の上昇を防止する場合もあるが、本発明ではHST150の走行系への出力やPTO230の出力が減少した場合は、回生モータ550へ動力伝達を行うことでHSTへの余剰動力に対応するものである。HST150には回生モータ550への動力出力軸151があり、ここから回生モータ550に動力が入力される。回生モータ550は、低電圧発生用のモータでありDC12Vを発生させ、低圧バッテリー110へ充電するものである。
【0037】
別の実施形態として、回生モータ550を高圧電圧用を発生するものとし、回生電気を高圧バッテリーであるメインバッテリー130に充電するシステムも考えられる。この場合はコンバータにて降圧させ、低電圧に変換して低電圧バッテリー120へ充電する流れとなる。
【0038】
第五の発明の回生電気の回収は、HSTの出力が下がり、余剰動力が発生した場合に、その動力を低電圧用の回生モータで発電させ、直接、低電圧バッテリー110に充電することである。これによって高圧バッテリーから低圧バッテリーへのコンバータが不要になるだけではなく、高圧から低圧へとコンバータによる電圧変換することや、バッテリー間で再度電気の渡し合いを無くすことで、エネルギーロスを防ぐことにある。
【0039】
このように第五の発明は、自動運転を可能とする作業機の特徴を示している。スリップ移動では負荷も大きく、走行系の動力であるHSTが安定的に即時に動力を出力する構成でなくてはならない。そのため一定回転以上は、HSTへの動力の入力が必要である。また電動モータは、BMSによって回転数の変更指令を行うものの、HSTの変速に即時に対応できないため高回転でキープされる場合が多い。つまり電動モータからHSTや油圧ポンプに動力を伝える機構では、電動モータの回転数を細やかに制御して動力ロスを防ぐことは困難であり、HSTや油圧ポンプの出力から余剰となる動力を回収する方法が望ましい。
【0040】
このようにHSTへの出力が減少した場合は、動力ロスが発生するため、HSTから出力負荷が少ない場合は回生モータへ出力をつなぐことで、エネルギーを回収して電力ロスを少なくすることができる。また低電圧バッテリーへ充電することはロボット作業機であるため、制御系を保護する点で有効である。
【0041】
本発明の油圧ポンプ200について説明する。
【0042】
前記のHST150の出力軸から回転動力を得て油圧ポンプ200を作動させ、油圧アクチュエータ260を作動させる。油圧アクチュエータ260までは油圧用の配管270で繋がっている。本発明においては電動モータ280で作動する実施例であるが、小型の油圧モータを利用する構成も可能である。本発明においては、HSTの出力軸より動力を受けて油圧ポンプを作動させる構成であるが、別形態として、電動モータ140より直接、油圧ポンプで動力を受けることも可能である。
【0043】
本発明のエアーコンプレッサー210について説明する。
【0044】
HST150の出力を介して、座席170下にエアーコンプレッサー210を配備している。本機の中では各作業機の上部にあたる位置に配備することで、吸引時に塵埃やごみ類を重量選別することが可能である。エアーコンプレッサー210で発生した圧力風は、エアーノズルを利用することで吸引作業や、あるいはエアーシリンダーを利用することで作業機の動作に利用することができる。
【0045】
運転席ディスプレー330操作部について説明する。
【0046】
手動運転する場合の対応として、バッテリーの残容量、車速、主変速、副変速の設定、GNSSの感度と自車の走行ラインと目標ラインの状況、エンジン仕様の場合は燃料ゲージが表示され、ディスプレー330上で設定や各レバー、ダイヤルで条件設定できる。これらと同機能の表示と設定は、リモコンでも可能である。
【0047】
作業系操作装置340について説明する。
【0048】
運転席の右側の操作装置340を利用して、作業機を操作することが可能である。操作装置340には大型のディスプレーが配備され、撮像手段A410、B411、C412、D413による撮像の表示がなされ、作業機の操作や設定が可能である。装備される作業機に応じて、ディスプレーの設定画面や、操作レバーや操作スイッチの役割が変更される。
【0049】
自動運転と手動運転について説明する。
【0050】
本機は、ロボット作業機100であり、あらかじめ設定登録された内容で自動運転が可能である。またリモコンによる遠隔操作も行うこともできる。
【0051】
本機は転倒対応としてロプス300が座席170後方に配備されており、またロプス300の上方先端にはGPSの受信装置310と、本機の位置を確認、補正するための慣性計測装置IMU320も備えてある。この受信部を利用することで、本機は自車位置を正確に把握でき、自動運転を可能としている。
【0052】
またロボット作業機100は、乗車しての手動運転も可能である。本機の中央部には人が運転できるように、座席170とステアリング171が備えられており、運転操作装置175が動作検出すれば運転の切り替えが行われ、人が座席しての運転も可能である。
【0053】
ロボット作業機100の基本的な位置ずれ対応、自動操舵について説明する。
【0054】
GPSの受信装置310と、測位方式である測位ユニットは、測位衛星と既知の位置に設けられた基地局とに設けられた移動局で構成されている。これにより測位衛星から移動局に送信されてくる位置情報と基地局から移動局に送信されてくる補正用の位置情報から移動局の位置、すなわち作業機の位置を正確に得ることができる。
【0055】
基地局は、固定用通信機と測位衛星からの位置情報を受信するGPSの受信装置310と、移動局に補正用の位置情報を送信する固定用データ送信アンテナで構成されている。
【0056】
移動局は、移動用通信機と、測位衛星からの位置情報を受信する移動用GPSの受信装置と、基地局からの補正用の位置情報を受信する移動用データ送信アンテナで構成されている。作業機の制御部180は、CPU等からなる処理部と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部と、外部とのデータ通信用の通信部から形成されている。
【0057】
GPSの受信装置310は、単独測位方式、DGPS(相対測位)方式、RTK(干渉測位)方式等のうち、作業をする地域に適したものを用いるとよい。しかしながら、機体の傾斜や振動の影響によりGPSの受信装置310の地上高が変動すると、実際の機体位置と異なる座標位置が測定され、受信精度が低下すると共に、直進からずれた方向に機体が走行してしまう問題が生じる。これを防止すべく、GPSの受信装置310に加えて、慣性計測装置IMU320を設ける。慣性計測装置IMU320は、ロボット作業機100が傾斜姿勢になるときの地表からGPSの受信装置310までの高さと、傾斜していないときの地表からGPSの受信装置310までの高さの差に基づき、GPSの受信装置310が取得した位置座標を制御部180に修正させるものである。
【0058】
なお、地表からGPSの受信装置310までの高さは、ロボット作業機100の傾斜等の挙動を、慣性計測装置IMU320に内蔵される三軸の加速度センサと角速度センサで計測して割り出すものとする。これに加えて、自動直進システムによる機体の走行方向が正しいかどうかをより確実に制御部180に判定させるべく、方位センサ311を設ける。このときの位置座標の補正については、
図10のSS1からSS5に示すとおりである。これにより、機体の進路を計測される方位により定めることができるので、直進走行の精度がいっそう向上する。
【0059】
GPSの受信装置310が取得する位置情報は、慣性計測装置IMU320と方位センサ311が検出する情報に基づき、制御部180により補正される。そして、制御部180は、現在の位置情報と先に取得されている位置情報を比較し、位置情報の相違が許容範囲を超えていると、機体を直進走行位置に戻すべく、前輪左560と前輪右570を左右方向に操舵させる。
【0060】
前輪左560と前輪右570の操舵を自動化すべく、ステアリング171を操舵アクチュエータ173で回動させる自動操舵装置172を設ける。自動操舵装置172は、
図15のSS6~SS9に示すとおり制御部180が算出した現在の位置情報のX座標と、先に取得されている基準となる位置情報のX座標の差異に基づき、操舵アクチュエータ173の作動量が変動されることで、機体を直進走行位置に向かわせるべく、ステアリング171を左右に切ると共に、直進走行位置に来ると操舵アクチュエータ173を停止させてステアリング171の自動操舵172を停止させるものである。
【0061】
操舵アクチュエータ173は、電動や油圧式のモータ、あるいはシリンダで構成する。上記構成により、算出された位置情報のX座標の差異に合わせてステアリング171が自動的に操舵され、機体を直進走行位置に自動的に合わせることができるので、作業装置による作業位置が左右方向にずれることが防止され、圃場内に作業が行われない箇所が発生しにくくなる。これにより、作業が行われなかった箇所に、後から人手で作業を行う必要が無くなり、作業者の労力が軽減される。
【0062】
GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置、慣性座標について説明する。
【0063】
ロボット作業機100において、自車の座標位置として、東西をX軸とし南北をY軸として、GPSの受信装置310の座標を重ね合わせる制御を行う。またロボット作業機100の自動直進の開始点である圃場の一側と自動直進の終了点である圃場の他側の座標を取得させる。
【0064】
第1基準点A601を取得した状態で、第2基準点B602を取得し、この直線ラインが進行方向600となる。進行方向600に向かう走行ラインに対して、自車の前後の車軸610、いわゆる方向ラインが傾いている場合は、
図6の如く、方向変更を行う。
【0065】
圃場の一端と他端の所定位置、例えば、直進走行を終えて作業機が旋回を開始する位置と、旋回終了後に直進走行を開始する位置に第1基準点A601と第2基準点B602を移設設定し、直進走行する。
【0066】
上記のとおり、新規に第1基準点A601と第2基準点B602を取得していると、該第1基準点A601と第2基準点B602の各Y座標を結んだ基準線が、移設設定した自動直進の目安となる線となり、走行中の機体の位置座標のX座標が、自動直進の目安となる線のX座標と合致しているか否かを判定し、合致していなければ自動操舵装置172により合致する方向にステアリング171を自動操舵させることで、自動直進走行を実現することができる。制御部180は、GPSの受信装置310が取得する位置座標のY座標と基準線のY座標を比較し、操舵アクチュエータ173を作動させてステアリング171を左右方向に回転させ、ロボット作業機100を直進走行すべき位置に移動させる制御を開始する。この自動操舵は、ステアリング171が所定の時間内に走行車体を旋回させる角度まで操作されるか、自動直進設定部材207が第2の方向に操作されると終了する。前記ステアリング171の操舵角度は、ハンドルポテンショメータ172によって検知するものとする。第1基準点Aまたは第2基準点BのY座標と一致する場所に走行車体2が到達すると、自動直進制御が終了され、旋回制御に入る構成としてもよい。
【0067】
本実施の形態では、基準ラインの位置情報を作業工程ごとに取得し、そのたびに作業工程の次の工程における目標ラインの位置情報を決定する。これにより、基準ラインのズレを最小限に抑えることが出来て、次の作業工程における目標ラインもズレを少なく出来ると共に、自動旋回工程における条合わせも実施出来る。
【0068】
時間の経過とともに基準ラインにズレが生じたり、雲等の影響で基準ラインのズレが生じる場合もあるので、上記の様に作業工程ごとに基準ラインを新たに取得することにより、基準ラインのズレを最小限に抑えることが出来て、次の植付け作業工程における目標ラインもズレを少なく出来ると共に、自動旋回工程における条合わせも実施出来る。
【0069】
四輪駆動四輪操舵走行について説明する。
【0070】
本作業機は、四輪駆動で四輪操舵を可能とするものである。前輪左560、前輪右570、後輪左580、後輪右590と配備され、560、570、580、590の各車輪は、同じHST150からの動力を受けて回転しているが、動力伝達経路において各軸への個別変速が行われ、各車輪にあるファイナルケース内の遊星ギヤーで回転数は個別に変更可能である。また各車輪のブレーキも電子制御にて、個別にかけることも可能である。
【0071】
また各車輪は、個別のリンクによって操舵を可能としている。本発明では各車軸に個別の電動式ギヤーモータが前輪左モータ561、前輪右モータ571、後輪左モータ581、後輪右モータ591と配備され配備されており、制御部180にて回転を制御されている。各車軸にはポテンショメータ562、572、573、574が配備さてており個別で操舵角を検出している。制御部180による操舵角の指示に対して検出角度が異なる場合は、各電動式ギヤーモータを作動させる。
【0072】
図4~
図9は、第一の発明の実施例を示すものである。
【0073】
この発明では、前述のように本機は自動運転が可能であり、四輪の回転数がそれぞれに変更でき、四輪の車輪方向もそれぞれに変更できるため、横移動や車体の中心位置を軸とした回転移動も可能である。二輪操舵機構では、位置ずれが検出された場合は、走行しながら徐々に位置合わせをしなければならなかった。しかし1mを超えて位置ずれが発生した場合では、作業走行しながらの位置合わせでは作業できない範囲が発生してしまうため、作業前に前進、後進と操舵を切替しながら位置合わせ対応しなければならず、圃場を傷める場合があった。本発明では、横移動や車体の中心位置を軸とした回転移動も可能であるため、ほぼ走行することなくスタート位置で位置ずれ合わせをすることが可能となる。
【0074】
走行の仕方について説明する。前述に記載した第1基準点A601と第2基準点B602を取得し、走行ラインを決定する。またGPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置は慣性座標である。
【0075】
自動運転においては、慣性座標で検出した位置と、第1基準点A601と第2基準点B602を取得による走行ラインによる位置とGPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の位置ずれを合わせる制御も行いながら、進行方向600と前後の車軸610を合わせながら、進行方向と位置を合わせるものである。
【0076】
図4は、進行方向600に対して、方位は同じであるが、自車中心位置611が進行方向600の走行ライン上におらず位置ずれしている場合である。従来技術であれば、この位置のずれを走行しながら合わせていくものである。したがって方位が合致しているにもかかわらず、方位変更を許可して位置ずれ合わせのために所定の範囲内で方位を変更し、走行をしながら徐々に位置を進行方向ライン内に合わせるものである。こうした位置合わせでは、走行経路に合致するまでの間で、作業ができていない部位をつくることになる。
【0077】
単純に走行経路にそって運転するシステムであれば問題は無いが、本発明は作業機であり、作業できていない部分があると再度、その部位の対応を行わなければならない。こうした煩わしさへの対応のためには、走行によって徐々に位置合わせを行うのではなく、可能であれば走行することなく、位置移動することで位置合わせすることができれば良い。
【0078】
図4に示すように進行方向600に対して、左側に平行に位置ずれをしている場合は、前輪左560、前輪右570を左側に切る。後輪左580、後輪右590は、前輪と反対側に操舵を切る。この場合は前輪が左側であるため右側に向く操舵を切る。その上で前輪左560、前輪右570は後方への車輪の回転とし、後輪左580、後輪右590は前方への車輪の回転とする。
【0079】
つまり車体の中心から右側に操舵方向も進行方向も向かうように設定する。この操舵と車輪の回転制御によって車体は前後の車輪が押し合うように動き、車輪と接地部のスリップを行いながら右側に平行移動することができる。これによって作業走行しないで、また方向が合致しているものを方向変更しながら合わせるのではなく、平行移動で位置合わせ制御ができるものとなる。
【0080】
図5では方向においては合致しているが、位置のずれがあり、横移動と後方への移動が必要となった場合である。この場合、前後の車輪を同じ方向に操舵させて斜め移動する走行もある。位置ずれの距離が長い場合は、こうした斜め移動する方法が良いが、微小な距離では行き過ぎする場合があり、この時に切換し操舵を行うと圃場を傷める場合がある。そのため、
図4で示したスリップ走行を利用するものである。図に示す→の長さの違いは車輪の回転数の違いを示している。この図では前輪左560、前輪右570を左側に切り、後方への回転として回転数は速い設定である。また後輪左580、後輪右590は右側に切り、前方への車輪の回転であるが回転数は遅い設定である。これによって車体は斜め後ろに徐々に平行移動する。位置ずれ観測しながら、前後車輪の回転数を変更制御しながら対応する。例えば後方への下がり方が足りないと移動中に判定されれば、さらに後輪左580、後輪右590の回転数を低下させることで対応できる。
【0081】
図6では、方向と位置の両方がずれている場合の対応である。進行方向に対して左に向いており、車体位置は左で前方に寄っていると判断される。この場合、
図5と同じ制御をとるが、異なる点は前輪と後輪の操舵角である。前輪の左向きの操舵角を後輪の右向きの操舵角よりも大きくすることで前側の移動量を大きくすることで、回転移動を行うことができる。これによって後方へ回転移動させながら進行方向600と前後の車軸610を合わせ、また座標位置の両方を合致させることが可能である。
【0082】
図7では作業走行しながら位置合わせしていく方法を説明する。ただし徐々に位置合わせするのではなく、スリップ走行しながら短距離で行うものであり、従来技術とは異なるものである。
図7では、進行方向600に対して、前後の車軸610は左に向いており、車体座標位置は左に寄っていると判断される。4輪とも右側へ切るが、回転移動を伴うため、前輪の操舵角を大きくし、また車輪の回転数も前輪の回転数を高くする。この場合走行しながらの位置合わせのため位置検出精度もずれが生じるため前輪の操舵はしばらく柔軟に対応し、直進のための操舵固定制御には入らない。
【0083】
図8はスピン制御である。コンバイン等のクローラでは左右の回転方向を違えることで対応できるが4輪の場合は接地圧が低いため圃場でスリップして回転することはできない。そのため四輪の操舵は同じ方向として前後の回転数を変更して対応する場合、あるいは左右の車輪の回転数を違えたり、回転の中心とする内側の車輪の一車輪の回転を止めたり、極端に低下させることで、その車輪を軸にして回転させるものである。
【0084】
図9は固定車輪による車体回し制御である。この図では後輪右590にブレーキをかけて、前輪左560と後輪左580を駆動させる。前輪570は従動回転するのみである。この制御によって、後輪右590を中心軸とした方向変更制御を可能とする。
【0085】
図4から
図9までは、スリップ走行の代表的な動きである。基本は、四輪の内、一輪あるいは二輪の回転数を変更することで、スリップをさせることである。自動車等でアスファルトの上では困難であるが、圃場で土の上で作業する作業機では、スリップ走行は容易であり、四輪駆動、四輪操舵の組み合わせにより、作業走行を伴わない位置移動を行うことで、作業前に位置ずれ対応を入れることで良好な自動運転を即時にとりかかれる制御とするものある。作業しながら合わせるのはなく、作業開始前に位置合わせできることで作業漏れもなくロボット運転ができる。
【0086】
第二の発明の説明となるが、位置ずれ制御は、微小な違いでも反応していれば、常にスリップ走行を行わなければならず、逆に誤作動する場合もある。この対応方法として、位置ずれの対応範囲を設ける必要がある。方向角においては所定角を設け、この範囲に収まれば位置ずれ検出は継続し、操舵制御は行うものの、四輪の回転数を同回転数として駆動輪の回転数の差によるスリップ走行を停止するものである。これによって走行ロスがなくなり、安定した直線走行ができ、また燃費向上ともなる。作業機自体も負荷がかからないことも消耗部品等の点で良好となる。このようにスリップ走行は効果が高いがリスクもあり、早期対応、早期解除する制御を織り込むことで自動運転制御を安定的に対応できるようになる。
【0087】
GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された座標系の位置を、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させる第三の発明について説明する。
【0088】
この発明は、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された慣性座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された絶対座標系の位置を、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させ、四輪の回転数を一輪、あるいは二輪の回転数を他の車輪の回転数と異なる回転数とし、車輪と接地部のスリップを行いながら四輪操舵を行うことで対応するものである。
【0089】
まず慣性座標系について説明する。GPSの受信装置310は、単独測位方式、DGPS(相対測位)方式、RTK(干渉測位)方式等のうち、作業をする地域に適したものを用いる。しかしいずれの方策をもちいても地球を座標基準とした場合において、計測された座標にはオフセット量が存在する。そのオフセット量を補正する対応として、複数の衛星からの情報と地上の基地局からの位置情報で補正を行い対応している。
【0090】
既存の技術としては、衛星だけの情報ではなく、慣性計測装置IMU320によって位置情報を補正する発明が上げられている。しかるに慣性計測装置はロボット作業機100である本機が走行を行い、走行によるヨーレイト等の力を計測することで算出が可能となるものであり停止状態では、障害物等の検出にしかならず、本来の位置検出の補正の役割をなすものではない。
【0091】
本発明においては、作業開始で停止している状態で位置ずれ対応をするものである。慣性計測装置IMU320は十分に機能しておらず、GPSの受信装置310の衛星からのデータによる座標系を十分に補正することはできていない状態であるが、GPSの受信装置310と慣性計測装置IMU320より算出された自車位置の座標系、これを慣性座標として定める。
【0092】
次に絶対座標系について説明する。ロボット作業機100には、制御部180には、あらかじめ作業する圃場とその圃場の作業開始位置の座標系を登録している圃場位置データ621がある。緯度経度から地表における絶対位置としての登録がなされている。圃場データとして作業開始位置や基準となる位置は数か所の絶対位置座標が座標数値データとして登録されており、圃場マップデータとしてデータ登録し、読み出すことも可能である。圃場位置選択端末620からマップ上の目標位置を押さえることで、各圃場の基準点の絶対座標を読み出しできるものある。
【0093】
またロボット作業機100には撮像手段B411、C412、D413が備えられている。この映像は圃場の作物の確認や周辺の障害物を確認するものであるが方位を確認できる機能を有している。あらかじめ作業開始位置で決定した位置において、撮像手段B411、C412、D413が捉えた画像が登録されている。制御部180は、このあらかじめ撮影された画像の造形物の配置や面積から方位ずれの算出機能を有している。ロボット作業機100では、撮像手段B411、C412、D413による画像とあらかじめ登録された画像を比較しながら機体の移動量の判定を行う。
【0094】
絶対座標系では、地球を基準とした各圃場の座標基準と、撮像手段による画像合わせによる座標基準によって初期の絶対座標位置のオフセット量の補正を行う。この座標位置は、GPSの受信装置310から算出させる位置より精度としては正確であり、絶対座標として利用できるものである。
【0095】
一方、GPSの受信装置310の位置データは、慣性計測装置IMU320の補正によって精度が向上するものである。走行を伴わない圃場の作業開始位置では誤差は大きい状態であるが、この座標を慣性座標として絶対座標との位置合わせを行っていく。
【0096】
このように座標位置においては、絶対座標と慣性座標がある。また本提案における絶対座標はあらかじめ登録された圃場位置であり、その時点では正確であるが、作業車が走行を開始すると絶対座標を設定しておいても、慣性座標に頼るところが大きい。こうした従来技術の課題も含め、絶対座標と慣性座標を作業開始位置で合わせ込むことができれば、その後の位置ずれは、GPSの受信装置310と絶対座標と定義した位置がはじめから内包しているオフセット量のみとなり、位置算出としての精度は高いものが期待される。
【0097】
本発明は、こうした課題に対応すべく、作業開始時に作業開始位置で、絶対座標と慣性座標を合わせ込むようにロボット作業機100を移動することにある。この絶対座標と慣性座標の合致として慣性座標を仮想座標として、絶対座標系と合わせる制御を行う。方策としては、ロボット作業機100がスリップ走行しながら座標を合わせていくとするものである。
【0098】
現実的なGPSの受信装置310の慣性座標と絶対座標の位置ずれは、数センチメートル~数十センチメートル程度である場合が多く、数メートルを超えて位置ずれすることは無いため、僅かに横移動すれば対応できるものである。むしろ方位のずれの方が大きいともいえる。こうしたことも踏まえ、方位合わせを優先し位置ずれ対応が可能な、回転系の座標合わせを用いる論理を適用する。絶対座標と慣性座標をX軸とY軸の起点を合わせ、互いのずれを合わせる論理である。
【0099】
図11、12では、絶対座標と慣性座標を合わせ込む方策として、回転系の座標変換法による運動方程式に基づき合致させる制御を行う。東西をX軸とし南北をY軸として、絶対座標系に、GPSの受信装置310の座標を重ね合わせる。慣性座標系の軸ずれ角を算出し、現在位置からの移動速度、スリップ率より、所定時間における空間移動量を推定し、合致する位置までの推定時間とその位置におけるロボット作業機100のX軸とY軸の移動速度を算出することで、ロボット作業機100の初期移動の操舵方向と移動速度を決定するものである。
【0100】
この論理を適用するのは、絶対座標と定義するものにも慣性座標と定義するものにも、衛星からの位置情報は利用されており、地上座標とには少なからずともオフセット量が存在しているためである。よって双方の位置ずれ合わせを行いながらも、互いが持つオフセット量を内部で解消していく方策となる。したがって絶対座標と慣性座標の差を数値で算出し、この差異の移動距離を計測しながら位置合わせする手段ではない。簡易な表現で示せば、ロボット作業機100が回転エネルギーを受けて横すべりをおこして目標とする位置まで移動した。この横すべりをX軸とY軸への速度を持ちながらも地表との間にすべり摩擦が働いており、この影響を受けながら移動したとする運動方程式を立て、ロボット作業機100の初期移動の操舵方向と移動速度を決定し、その時間の空間移動で合致すると考えるものである。
【0101】
図11は、前述に記載した回転系の座標変換法による運動方程式を示している。座標系のXとYで示される位置が絶対座標系である。またX’とY’で示される座標が慣性座標である。
【0102】
現在、p(x、y)にロボット作業機100が検出されており、絶対座標系と慣性座標系ではωtの角度をもって位置ずれが発生していると検出される。この場合、絶対座標系(X、Y)と慣性座標系(X’、Y’)の両者を回転座標で位置合わせするには、それぞれの変換式(S1,S2)で算出できる。
【0103】
またp(x、y)のロボット作業機100は、位置合わせのための移動走行として、Fの移動量が働くと考え、各座標においてはFxとFyの移動量が発生すると定義する。この移動量を時間変化でとらえ、移動走行を時間による管理制御とするため、時間による運動方程式を定義する。本発明では慣性座標系を位置合わせしていく方式である。(S3,S4)この式に示すmは、ロボット作業機100の移動走行時に利用する重量に相当するものであり、ωはX軸とY軸における角速度である。つまり各軸ですべり摩擦を受けてスリップ走行しながら移動する定義を意味している。
【0104】
図12は、絶対座標と慣性座標を一致させるとし、空間相当(距離的)、時間相当における変化量の軌跡を推定するための論理である。S5、S6、S5a、S5b
空間相当(距離的)、時間相当の変化量を元のnと比較し、n+1の変化量を合わせ込む論理である。
【0105】
図13は、微小変化のΔtにおける変化式として、S7とS8を定義したものである。この微小変化をFx’とFy’での方向成分とすることで、S9とS10が算出される。この運動方程式を利用することで、横すべり走行の時間変化を推定できる。
【0106】
S9、S10の論理式にスリップ走行によるX、Y方向における初速度を加え、スリップ率を加味し運動方程式を成立させ、S1、S2の座標変換式において、ルンゲ=クッタ法等を利用することで、絶対座標と慣性座標系を合致させるべく演算を行う。
【0107】
演算解析により、操舵の方向と車輪の回転速度、移動時間が算出されるため、この方向で所定時間移動することで位置合わせ対応できる。
【0108】
こうした制御によって合致した座標を絶対座標として再登録を行い、以後の作業機の運転においては、GPSの受信装置310と慣性計測装置IMU320より算出された自車位置の座標系とセンシング用の撮像手段で検出された座標系の位置で補正を行いながら、自動運転を行うものである。
【0109】
またGPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の慣性座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された絶対座標系の位置が合致し、進行方向600と前後の車軸610の方向においても合致した時点で四輪の回転数を同回転数に戻す走行に自動変更を行うことで、ロボット作業機100の誤作動や再び走行ラインを外れる等の不具合を防止することが可能となる。
【0110】
また本発明は、四輪駆動、四輪操舵に限定されるものではない。第四の発明のように、二駆、二輪操舵でも対応は可能である。作業前における移動走行での位置合わせは困難であるが、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系と、センシング用の撮像手段とあらかじめ登録された地上における緯度経度情報で検出された座標系の位置を比較することで、位置ずれの想定ができる。
【0111】
この合致位置を基準に走行しながら、この合致位置を基準に走行しながら、二輪操舵を利用して、GPSの受信装置と慣性計測装置より算出された自車位置の座標系とセンシング用の撮像手段で検出された座標系の位置が合致するまで位置ずれ対応を行う。作業前に位置ずれ対応する制御ではないが、位置ずれの対応が終わるまでの間、走行速度を落として位置合わせ制御を行うため、従来技術での位置合わせ制御よりも精度良く対応できる。
【0112】
所定速度以上は走行速度が上昇しないように設定しておき、進行方向600と前後の車軸610の方向において合致した場合に設定された速度に上昇させるシステムで対応することで、二輪操舵の特徴を生かせた位置ずれ対応も可能である。
【符号の説明】
【0113】
100 ロボット作業機
120 低圧バッテリー
130 高圧のメインバッテリー
140 電動モータ
141 外扇
150 HST
160 BMSとインバーター
180 制御部
190 走行系車軸
200 油圧ポンプ
210 エアーコンプレッサー
220 作業装置
310 GPSの受信装置
320 慣性計測装置 IMU
410 撮像手段A
550 回生モータ
560 前輪左
570 前輪右
580 後輪左
590 後輪右
600 進行方向
601 第1基準点A
602 第2基準点B
610 前後の車軸