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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049786
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】押し出し装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20240403BHJP
   B65B 35/24 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B65G47/46 B
B65B35/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156236
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良平
【テーマコード(参考)】
3E054
3F015
【Fターム(参考)】
3E054AA13
3E054DB03
3E054DB13
3E054EA03
3E054FA02
3F015AA25
3F015CA02
3F015GA01
(57)【要約】
【課題】物品の形態によらず、バケットから確実な押し出しをすることが可能な押し出し装置を提供する。
【解決手段】押し出し装置1は、第一の方向に沿い、且つ互いに異なる面内に位置する複数の押し出し面31と、複数の押し出し面31を第一の方向と交差する第二の方向に移動させることが可能な駆動手段4と、を有し、複数の押し出し面4をそれぞれ、バケット11の第二の方向の長さより小さい移動量Sで移動させ、物品XA1に複数の押し出し面31を段階的に当接させ、バケット11から物品XA1を押し出すようにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納して第一の方向に搬送するバケットから該物品を押し出す押し出し装置であって、
前記第一の方向に沿い、且つ互いに異なる面内に位置する複数の押し出し面と、
前記複数の押し出し面を前記第一の方向と交差する第二の方向に移動させることが可能な駆動手段と、
を有し、
前記複数の押し出し面をそれぞれ、前記バケットの前記第二の方向の長さより小さい移動量で移動させ、前記物品に前記複数の押し出し面を段階的に当接させ、該バケットから該物品を押し出す、
ことを特徴とする押し出し装置。
【請求項2】
前記複数の押し出し面は連続した階段状に構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の押し出し装置。
【請求項3】
前記複数の押し出し面が一体的に設けられた押し出しプレートを有し、
前記駆動手段は、前記押し出しプレートを前記第二の方向に往復移動させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の押し出し装置。
【請求項4】
前記バケットは、前記第一の方向に沿って間欠移動し、
前記駆動手段は、前記複数の押し出し面を前記第二の方向に沿って往復移動させるように構成され、
前記複数の押し出し面の往復周期は前記バケットの間欠移動の周期と同等か短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の押し出し装置。
【請求項5】
前記物品は、略扁平体であり、
前記バケットは鉛直の回転軸回りに移動するように構成され、
前記物品は前記バケット内において略起立状態で収容される、
ことを特徴とする請求項1に記載の押し出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットで搬送される物品をバケットから押し出す押し出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扁平薄型の物品を起立状態で搬送し、所定数毎に集積する集積装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この集積装置では、少数(例えば5個)の単位バケット群について収容される物品の有無を検知し、複数組の単位バケット群(例えば4組、20個)を一つの集積単位として、これらに収容される物品を集積して次工程に搬送するように構成されている。そして単位バケット群のうち一つでも物品が存在しないバケットがある場合には、物品が収容されているバケットも含めて当該集積単位については集積工程をスキップしている。そして集積工程をスキップされた物品については所定位置でバケットから押し出し、排出するようにしている。この物品の排出は、バケットの上方に斜めに配置したガイドによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6333572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている物品の押し出し(排出)機構では、物品によっては押し出し(排出)が良好に行えない問題があった。
【0005】
具体的に、図8を参照して説明する。図8は、従来の物品XA1の押し出し機構を説明する図である。従来の押し出し機構は、サーボループ装置で構成されるバケットコンベア510の上方に、バケット511の移動方向(矢印で示す物品XA1の搬送方向)に対して傾斜する傾斜面を有するガイドプレート503を配置していた。このガイドプレート503は、バケットコンベア510に固定配置されている。そしてバケット511の移動に伴って物品XA1の一部がガイドプレート503の傾斜面503Aに当接するようにして順次押し出され、排出されるように構成されていた。
【0006】
この場合、押し出す物品XA1がティーバッグのように張りのある材料で包装された軽量(小型)の包装体である場合には確実な押し出しが可能となる。しかしながら、比較的柔軟性のある(腰がない)材料で包装され、特にある程度の重量もあるような物品、例えば流動性のある食品(パスタソース等)を封入した四方シール包装体、または四方シール包装体の連包品などの場合には、固定のガイドプレート503による押し付けによって包装材が撓み、また収容物の重量によって物品XA1がバケット511内に留まりやすくなる。このため、ガイドプレート503に当接した場合であっても、包装体が変形して押し出し力が吸収されてしまったり、変形した包装体が傾斜面503を滑り、バケット511から押し出されることなく、バケット511と共に搬送されてしまうなど、バケットからの確実な排出が困難であった。
【0007】
これは、集積装置において物品を排出する場合に限らず、例えばバケットから他のバケットに物品を移載する場合においても、また包装体に限らず、非包装の物品をバケットで搬送する場合であっても同様の問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、物品の形態によらず、バケットから確実な押し出しをすることが可能な押し出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、物品を収納して第一の方向に搬送するバケットから該物品を押し出す押し出し装置であって、前記第一の方向に沿い、且つ互いに異なる面内に位置する複数の押し出し面と、前記複数の押し出し面を前記第一の方向と交差する第二の方向に移動させることが可能な駆動手段と、を有し、前記複数の押し出し面をそれぞれ、前記バケットの前記第二の方向の長さより小さい移動量で移動させ、前記物品に前記複数の押し出し面を段階的に当接させ、該バケットから該物品を押し出す、ことを特徴とする押し出し装置に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品の形態によらず、バケットから確実な押し出しをすることが可能な押し出し装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る押し出し装置を示す図であり、(A)上面図、(B)側面図、(C)正面図である。
図2】搬送装置を示す図であり(A)上面図、(B)正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る押し出し装置を示す図であり、(A)上面図、(B)押し出しプレートを示す上面図、(C)押し出しプレートを示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る押し出し装置を示す上面図である。
図5】本発明の実施形態に係る押し出し装置の動作を示す上面図である。
図6】本発明の実施形態に係る押し出し装置の変形例を示す上面図である。
図7】本発明の実施形態に係る押し出し装置を示す上面図である。
図8】従来の押し出し機構を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る押し出し装置1について詳細に説明する。ここでは押し出し装置1の一例として、移動するバケット11から物品XA1を排出することが可能な押し出し装置1について説明する。
【0013】
図1図2を用いて、押し出し装置1の構成について説明する。図1は押し出し装置1を示す図であり、図1(A)が上面(平面)図、図1(B)が物品XA1の搬送方向の上流側から見た側面図、図1(C)が正面図である。また、図2は搬送される物品XA1の状態を示す図であり、図2(A)が上面図、同図(B)が正面図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。
【0014】
図1に示される押し出し装置1は、搬送手段10から物品XA1を排出する、あるいは搬送手段10から他の搬送手段(図1では不図示)に移送するラインで使用される。本実施形態の物品XA1は例えば略扁平で比較的薄型の物品であり、特に、比較的柔軟な材料で収容物を包装した包装体や比較的軟体の物品である。包装体の収容物としては、例えば流動性があり比較的重量のある飲食品や日用品等であり、より具体的にはソース類(パスタソース等)や飲料、あるいはシャンプー、ソープや消毒液等である。包装体の包装態様は、例えば、上包み包装、ピロー包装、三包・四包シール包装などである。
【0015】
本実施形態の搬送手段10は一例として、鉛直方向VTに延びる回転軸10Cの周りに複数のバケット11を循環移動させるサーボループコンベア(横型サーボループコンベア)である。以下、この搬送手段10をバケットコンベアと称して説明する。バケットコンベア(搬送手段)10は、所定方向(図1(A)では例えば時計周り方向)に所定ピッチでバケット11を間欠移動させる。
【0016】
本実施形態における押し出し装置1における各種方向の定義として、説明の便宜上、押し出し装置1の近傍(直下を含む)において物品XA1が搬送される第一の方向を搬送方向Tとする。サーボループコンベアの場合、バケット11は周回移動するため、押し出し装置1から見た物品XA1の搬送方向は変化するが、本実施形態では、押し出し装置1を基準とし、押し出し装置1が物品XA1を押し出す区間(以下、「押し出し区間PO」という。)において物品XA1が搬送される方向(第一の方向)を搬送方向Tとする。また搬送方向Tと水平面内で直交する第二の方向を搬送幅方向Wとし、搬送方向T及び搬送幅方向Wに対して直交する方向(鉛直方向VT)を搬送高さ方向Hとする。また、搬送幅方向Wにおいて、バケットコンベア10の内周側を押し出し元BS、外周側を押し出し先TPとして説明する。
【0017】
図2を参照して、バケット11は、鉛直方向VTに起立する物品保持部(側面)11Aを備える。物品XA1は、略扁平の面部分を略起立状態として搬送方向Tに並ぶ物品保持部(側面)11Aの間に保持(指示)され、例えば矢印に示す一の方向に搬送される。この例では物品XA1は略扁平の面部分を起立させた場合に自立が困難な外形状を有し、バケット11の物品保持部11Aと当接した状態で搬送される。しかしながら物品XA1はバケット11内において自立して(物品保持部11Aと当接することなく)搬送されるものであってもよい。
【0018】
再び図1を参照し、この例のバケットコンベア10は、押し出し区間POに、押し出された物品XA1を例えば不図示のバッファ等に供給する排出シュート12が設けられている。
【0019】
押し出し装置1は、バケットコンベア10の上方に配置され、支持部2と、押し出し部3と、支持部2に対して相対的に押し出し部3を移動させる駆動手段4を有する。支持部2は、押し出し部3と駆動手段4を支持する。支持部2は、この例では図示を省略しているが、バケットコンベア10の一部(例えば、基台、フレーム、本体など)に固定され、バケットコンベア10の押し出し区間POの上方に押し出し部3が配置されるようにこれを支持する。
【0020】
押し出し部3は、例えばプレート部材であり、複数の押し出し面31を有する。複数の押し出し面31は、搬送方向Tに沿い、且つ互いに異なる面内に位置しており、この例ではプレート部材(以下、「押し出しプレート3」という。)の一部として、一体的かつ連続に並ぶように構成される。
【0021】
駆動手段(駆動部)4は、押し出しプレート3を物品XA1の搬送方向Tと交差する方向に往復移動させる。この例では、搬送方向Tと交差する方向は搬送方向Tに直交する方向であり、搬送幅方向Wである。
【0022】
バケットコンベア10および押し出し装置1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROM等から構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。このような制御ユニットによって、例えば、バケットコンベア10はバケット11を所定の速度およびピッチで間欠移動させ、また押し出し装置1は所定の速度で押し出しプレート3を搬送幅方向Wに往復移動させる。
【0023】
図3および図4を参照してさらに説明する。図3は押し出し装置1を示す図であり、図3(A)が上面図、図3(B)が押し出しプレート3の上面図、図3(C)が押し出しプレート3を押し出し面31方向から見た斜視図である。図4は駆動手段4および、駆動手段4による押し出しプレート3の動作を説明する上面図である。
【0024】
図3(A)を参照して、支持部2は、押し出しプレート3および駆動手段4をバケットコンベア10の上方に例えば片持ち梁状態で吊り下げる支持フレーム21と、支持フレーム21に固定された駆動手段4の収容部22(図1(B)、図1(C)参照、図3では図示を省略)と、収容部22内に固定された例えば2本のシャフト23を有する。2本のシャフト23は、搬送幅方向Wに延在するように平行して配置される。
【0025】
図3(B),図3(C)に示すように、押し出しプレート3は、複数の押し出し面31A~31Hを有する。複数の押し出し面31A~31Hは、搬送方向Tに沿い、且つ互いに異なる面内に位置しており、この例では押し出しプレート3の一部として、一体的かつ連続に並ぶように構成される。押し出しプレート3は、細長板状部材であり、その長手方向に延びる一辺側に複数の押し出し面31A~31Hが互いに平行に連続するように配置される。より具体的には、押し出しプレート3の長手方向に延びる一辺側において、押し出し面31A~31Hが例えば踏面(または蹴上面)となる階段状に配置される。
【0026】
この例では押し出しプレート3は例えば8の押し出し面31A~31Hを有し、それぞれの搬送方向Tに沿う長さL1は、例えば、10mm~30mm(好適には、15mm~25mm、一例として20mm)であり、押し出し面31A~31Hに連続する面32(32A~32H)の搬送幅方向Wに沿う長さL2も、例えば、10mm~30mm(好適には、15mm~25mm、一例として20mm)である。押し出し面31A~31Hを階段の踏面とした場合、これに連続する面32A~32Hは蹴上面となり、以下これらを蹴上面32A~32Hと称する。
【0027】
プレート部材3は、全体としてその長手方向が搬送方向Tに対して所定の角度で傾斜するように、バケットコンベア10の押し出し区間POの上方に配置される。プレート部材3は詳細には、押し出し面31A~31Hがいずれも搬送方向Tに沿う(搬送方向Tと平行な)面であり搬送幅方向Wに直交する面となるように配置される。
【0028】
また、押し出しプレート3は、上面視において、押し出し面31A~31Hが設けられる辺を押し出し先TP側に向け、バケットコンベア10において上流側となる押し出しプレート3の一方の端部(図3(A)、同図(B)では右側端部)が押し出し元BS側、バケットコンベア10において下流側となる他方の端部(左側端部)が押し出し先TP側に位置するように、搬送方向Tに対して長手方向を傾斜させて配置される。
【0029】
図3(A)を参照して、押し出し装置1の駆動手段(駆動部)4は、例えばカム機構5によりモータ6(図1(B),同図(C))の回転運動を直線運動に変換し、複数の押し出し面31を、物品XA1の搬送方向Tと交差する方向に往復移動させる。この例では、搬送方向Tと交差する方向は搬送方向Tに直交する方向であり、搬送幅方向Wである。
【0030】
図4を参照して、カム機構5は例えば、モータ6の回転軸7に対して偏心する偏心ピン51と、カムフォロアとなる従動円板52および従動枠53を有する。従動枠53は中央付近に搬送方向Tに長い略矩形状の穴部54が設けられ、穴部54を挟むように2本の円柱状のスライドブッシュ55が設けられる。2本のスライドブッシュ55の内部には、支持部2のシャフト23がそれぞれ挿通される。従動枠53は例えばその外周に吊り下げ支持部56が固定される(図1(B),図1(C)参照)。
【0031】
偏心ピン51は、従動円板52に嵌合しており従動円板52はモータ6の回転軸7の周りを回転軸7から偏心して回転可能となっている。従動円板52は従動枠53に設けられた穴部54と嵌合し穴部54内を摺動する。従動枠53はスライドブッシュ55に挿通したシャフト23によって一方向(この例では搬送幅方向W)にのみ移動可能に拘束されている。
【0032】
押し出しプレート3は例えば長手方向の両端側が吊り下げ支持部56を介して従動枠53に固定されている。これによりモータ6が回転すると、カム機構5によって回転軸7の回転運動(ここでは一方向への回転運動)が、搬送幅方向Wの往復運動に変換され、押し出しプレート3がバケット11上において搬送幅方向Wに(押し出し元BSから押し出し先TPに向けて(またはその逆に)進退するように往復移動する。このようにして駆動部4は複数の押し出し面31A~31Hを搬送幅方向Wに往復移動させることができる。
【0033】
図5を参照して、押し出し装置1による物品XA1の押し出し動作について説明する。図5(A)~同図(E)は、説明の便宜上、或る1つのバケット11に収容される1つの物品XA1が押し出し装置1によって押し出される状態を時系列で示す上面図であり、図5(F)は複数の物品XA1を連続して搬送中の或るタイミングにおける上面図である。
【0034】
本実施形態では、駆動部4による押し出しプレート3(押し出し面31A~31H)1回の移動量(押し出し量)S(図5(A)に示す破線の状態から実線の状態に移動する量)は、バケット11の搬送幅方向Wの長さW0(例えば150mm~200mm、好適には、165mm~175mm、より好適には170mm程度)より小さい量に設定されている。具体的には、駆動部4による押し出しプレート3の1回の移動量(押し出し量)Sは、蹴上面32(32A~32H)の長さL2と同等(一例として20mm)に設定されている。また間欠移動するバケット11の移動のピッチMは例えば、25mm~30mm(一例として28.55mm)である。また、押し出し区間POの搬送方向Tに沿う長さL0は例えば、250mm~300mm程度、好適には、270mm~290mm程度である。
【0035】
バケットコンベア10はバケット11を所定の速度およびピッチで搬送方向Tに間欠移動させる。バケット11の移動速度(処理能力)は、例えば、120回/分の間欠送りである。押し出し装置1は所定の速度で押し出しプレート3を搬送幅方向Wに往復移動させる。押し出しプレート3の移動速度は、例えば、モータ6の回転数で260回転/分程度である。
【0036】
このような条件下において、押し出しプレート3(複数の押し出し面31A~31H)の往復周期はバケット11の間欠移動の周期と同等か短くなるように設定される(押し出しプレート3の回転周期(260回転/分)>=バケット11の間欠送り周期(120回/分)。すなわち、バケット11が1ピッチ移動する際に、押し出し装置1は押し出しプレート3を搬送幅方向Wに1往復させる。具体的に、押し出し元BS側から押し出し先TP側に移動し、再び押し出し元BS側に戻す。
【0037】
また、バケット11の移動ピッチ毎に当該バケット11に収容される物品XA1は複数の押し出し面31A~31Hのいずれかと当接するように設定されている。より詳細には、物品XA1が搬送方向Tに1ピッチ移動する毎に、階段状の全ての押し出し面31A~31Hと段階的に(順次)当接するように設定されている。
【0038】
まず図5(A)に示すように、物品XA1(これを収容するバケット11)が、押し出し区間POの上流側のバケット位置P1に侵入したタイミングでは、押し出しプレート3は例えば最も押し出し元BS側(破線で示す初期位置)に位置しているとする。このとき物品XA1は、押し出しプレート3の例えば最上流側の押し出し面31Aと当接する。押し出し装置1は押し出しプレート3を押し出し先TPに向けて移動させる。これにより物品XA1は、搬送幅方向Wに沿って押し出し先TP側に押し出される。この移動量(押し出し量)Sは、この例では押し出し面31Aに連続する蹴上面32Aの長さL2と同等である。また、移動量Sは、バケット11の間欠移動の1ピッチの長さM(この例では、28.55mm)以下である。そしてバケット11が1ピッチ進行して隣のバケット位置P2に移動するまでの間に、駆動部4は押し出しプレート3を、押し出し元BS側の位置(初期位置)に移動させる。
【0039】
図5(B)は、バケット11がバケット位置P1から1ピッチ移動してバケット位置P2にあるタイミングを示している。この場合物品XA1は押し出しプレート3の次の押し出し面31Bと当接して押し出される。これにより物品XA1は、搬送幅方向Wに沿ってさらに移動量S(押し出し面31Bに連続する蹴上面32Bの長さL2と同等)分、押し出し先TP側に押し出される。そしてバケット11が1ピッチ進行して隣のバケット位置P3に移動するまでの間に、駆動部4は押し出しプレート3を、押し出し元BS側の位置(初期位置)に移動させる。
【0040】
これを繰り返すことで、バケット11内の物品XA1は、段階的に、階段状の押し出し面31C~31Hと当接し、毎回移動量Sずつ押し出し先方向に移動する(図5(C)~図5(E))。押し出し面31Hは、押し出し先側まで移動した場合、略バケット11の押し出し先側の端部近傍に位置し、この例の場合、物品XA1は自重によりバケット11から落下し排出シュート12に沿って排出される(図5(F))。
【0041】
この例では、バケット11が搬送方向Tに1ピッチ移動する間に駆動部4は押し出しプレート3を搬送幅方向Wに1回、往復移動させているが、押し出しプレート3(複数の押し出し面31A~31H)の往復周期はバケットの間欠移動の周期の1/2と同等か短くなるように設定してもよい(押し出しプレート3の回転周期(260回転/分)>=バケット11の間欠送り周期(120回/分)×2。すなわち、バケット11が1ピッチ移動する際に、押し出し装置1は押し出しプレート3を搬送幅方向Wに2往復させるようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、押し出しプレート3とバケット11の動作のタイミングが合わず、1回目の動作で押し出しプレート3が物品XA1に当接できない場合がであっても、2回目の動作で押し出すことができる。
【0042】
本実施形態の押し出し装置1における各構成の設計値または設定量は、バケットコンベア10の処理能力、物品XA1の形態(形状、重量、包装材または物品XA1の材質等)、押し出し区間POの搬送方向Tにおける最小長さL0などにより適宜選択する。
【0043】
例えば、押し出しプレート3の移動量(押し出し量)Sおよび押し出しプレート3の往復移動の速度と、押し出し面31の数(段数)Nは、バケットコンベア10の移動速度(1ピッチ間欠送りの速度(処理能力))、バケット11の搬送幅方向Wの長さW0、物品XA1の形態(形状、重量、包装材または物品XA1の材質等)、押し出し区間POの搬送方向Tにおける最小長さL0などにより適宜選択する。なお、モータ6の回転制御により、押し出しプレート3の往復移動の速度を高速にすることは可能であるが、高速にしすぎると押し出しプレート3の移動速度に物品XA1が追従できず、特に包装材が柔軟な場合にはこれが変形し、押し出しプレート3による押送ができなくなる問題がある。これは押し出しプレート3の押し出し面31の数(段数)Nを極端に少なくする場合も同様である。
【0044】
ここでバケット11の搬送速度と押し出し装置1の押し出しプレート3の移動速度は同期する必要はなく、独立制御でよいため、押し出し装置1における処理の複雑化を回避できる。
【0045】
また別の観点では、押し出し装置1は、押し出し区間POを移動する間に、物品XA1がバケット11の搬送幅方向Wの長さW0と概ね同等の距離を移動するように(押し出し区間POが終了する以前に押し出しが完了するように)、加えて、その条件下においてなるべく小さい移動量Sとなるように、押し出しプレート3の押し出し面31の数、押し出し面31の長さL1およびこれに隣り合う蹴上面32の長さL2(=移動量S)を適宜選択する。なお、押し出し面31の長さL1と蹴上面32の長さL2は同じでなくてもよい。
【0046】
また、別の観点では、バケット11の第二の方向(搬送幅方向W)の長さをW0、押し出し区間POの第一の方向(搬送方向T)における最小長さをL0、移動量をS、複数の押し出し面31A~31H(押し出しプレート3)の送り単位時間(移動量Sの1回の押し出し動作に要する時間)をts秒、バケット11の送り単位時間(1ピッチの間欠移動に要る時間)をtm秒、間欠移動のピッチをMとした場合、以下の関係を満たすことが望ましい。
L0>={(W0/S)×ts}/tm×M
ここで、{(W0/S)×ts}は、押し出しプレート3の押し出し総時間Tであり、{(W0/S)×ts}/tmは、押し出し総時間Tにおけるバケット11の送り回数である。
【0047】
また、別の観点では、押し出しプレート3の移動量Sは、バケット11の間欠移動の1ピッチM(この例では、28.55mm)以下である。移動量Sを小さくすることで押し出しのエラーを最小限にすることができる。
【0048】
本実施形態の押し出し装置1によれば、バケット11に収容された物品XA1を複数回(この例では8回)に分けて段階的に(小刻みに)搬送幅方向Wに移動させることができる。これにより、例えば、物品XA1が比較的柔軟な(腰のない)材料により包装され、また収容物が流動性を有するなどある程度重量のあるものである場合であっても、物品XA1を確実に押し出すことができる。
【0049】
また、バケット11の搬送速度と押し出し装置1の押し出しプレート3の移動速度は同期する必要はなく、独立制御でよいため、押し出し装置1における処理の複雑化を回避できる。
【0050】
上記の例では、駆動部4は押し出し面31A~31Hの数(段数)と同数(8回)往復移動する。しかしこれに限らず、或る一つのバケット11が押し出し区間POを通過する期間において、当該バケット11に収容される物品XA1が全ての押し出し面31A~31Hに当接して押送される構成であればよい。また、押し出し面31A~31Hが物品XA1と当接する位置は、常に同じ位置(例えば押し出し面31A~31Hのそれぞれの中心位置)などに限らず、押し出し面31A~31H毎に異なる位置であってもよい(当接して押送されればよい)。
【0051】
以上の実施形態では、押し出し部3が、複数の押し出し面31A~31Hを一体的に備えるプレート部材(押し出しプレート)であり、このプレート部材を搬送幅方向Wに沿って水平に往復移動させる構成を例示した。しかし押し出し部3の構成はこれに限らない。本実施形態の押し出し装置1は、複数の押し出し面31A~31Hが搬送幅方向Wに移動し、一つの物品XA1に対してこれらが段階的に当接して、押し出し量(移動量)Sずつ搬送幅方向Wに押し出す構成であればよい。以下、図6および図7を参照して押し出し装置1(押し出し部3)の変形例について説明する。
【0052】
<変形例>
図6は、駆動手段4と押し出し部3の他の例を示す上面図である。まず、図6(A)の例では、押し出し部3は、略直角三角形のプレート部材であり、その斜辺に搬送幅方向Wに直交する複数の押し出し面31が設けられる。そして、搬送方向Tに沿う一辺にリンク機構9(平行クランク)を接続し、バケットコンベア10の搬送方向Tに進退するようにリンク機構9を回転させる。これにより、複数の押し出し面31は、搬送幅方向Wに物品XA1を押し出すことができる。
【0053】
また図6(B)に示すように、2個のローラ36に無端ベルト33を掛け回し、無端ベルト33の表面に搬送幅方向Wに直交するように立ち上がる押し出し面31を設けてもよい。無端ベルト33の走行によって押し出し面31が搬送幅方向Wに移動する。なお、無端ベルト33は、タイミングベルト、ローラ36は、タイミングプーリであってもよい。
【0054】
図6(C)に示す押し出し部3は、図示を簡略化しているが、押し出し面31のそれぞれを個別に移動させる構成の例である。各押し出し面31は、搬送高さ方向H(図6(C)の紙面垂直方向)の両端と、押し出し面31の並び方向ALの前後に(1段につき)計4個のローラ35が設けられる。前側のローラ35と後ろ側のローラ35は別のガイドレール(不図示)上を走行する。このガイドレールの位置関係を変えることで、エスカレータのように各段の蹴上面32と押し出し面31とのなす角αが変化し、最大(90度)になった場合に押し出し面31が搬送幅方向Wと直交するように設定する。そして角αが90度の状態を維持して各段が並び方向ALに移動しつつ、押し出し面31が搬送幅方向Wに移動する。
【0055】
図6(D)に示す押し出し部3は、円柱軸34の周りにスパイラル状に連続する押し出し面31を巻き付ける構成である。ここでは不図示の支持部2は押し出し面31が搬送幅方向Wと直交するように円柱軸34を支持する。ここでは不図示のモータ6の回転軸7の動力により円柱軸34が回転すると、複数の押し出し面31は、搬送幅方向Wに移動する。
【0056】
更に上記の実施形態では、バケットコンベア10から物品XA1を排出する際に押し出し装置1を用いる場合を例示したが、これに限らず、例えば図7に示すように、バケットコンベア10から他のバケットコンベア10´に物品XA1を移載する際にも使用できる。バケットコンベア10,10´は、等速で矢印で示す同方向にバケット11、11´を移動させる。そしてバケットコンベア10の上方に設けた押し出し装置1(押し出しプレート3)によって物品XA1を順次押し出し、他のバケットコンベア10´に移載する。
【0057】
なお、押し出し装置1の支持部2は物品XA1の搬送手段(バケットコンベア)10に固定する方式でもよいし、これらとは別体で移動可能(可搬型)とし、任意の搬送手段11に必要に応じて移動させて物品XA1の押し出しを可能としてもよい。また、複数の押し出し面31(押し出し部3)の鉛直方向VH(搬送高さ方向)の位置(吊り下げ位置)、水平方向位置(搬送装置10上方への突出量)、押し出し部3の搬送方向Tに対する角度などを変更可能としてもよい。また、押し出し面31(階段)の数(段数)や大きさが異なる押し出し部3を複数準備し、物品XA1や装置の運転速度に応じて適宜交換可能としてもよい。
【0058】
また、バケットコンベア10を構成するサーボループコンベアは上述の横型サーボループコンベアに限らず、水平方向に延びる回転軸に巻回されて循環する搬送面に複数のバケット11設けた縦型サーボループコンベアであってもよい。その場合は、押し出し面31は搬送面と平行に、すなわち鉛直方向に押し出し面31が沿うように、押し出し部3を配置する。
【0059】
また、例えば、バケット11が搬送方向Tに1ピッチ移動する間に駆動部4は押し出しプレート3を搬送幅方向Wに複数回、往復移動させる構成であってもよい。
また、バケットコンベア10は、垂直面内を回転するバケットコンベア、または物品XA1を押送する所定数のフィンガーを2セット有し、各セットが独立して走行するダブルループ装置でもよい。
【0060】
さらに、場合によっては(例えば物品XA1が比較的軽量の場合などには)、複数の押し出し面31の全てと順次当接する必要はなく、例えば一つの押し出し面31との当接、およびそれによる押し出し動作がスキップされる場合があってもよい。その場合、スキップ後の押し出し量は増える(2×S)が、物品XA1が軽量であったり、包装材が硬質な場合などには問題なく押し出せる場合がある。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、各変形例は、可能な範囲で他の変形例に適用してもよい。
【0062】
すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
【符号の説明】
【0063】
1 押し出し装置
2 支持部
3 押し出し部、プレート部材、押し出しプレート
4 駆動手段(駆動部)
5 カム機構
6 モータ
7 回転軸
9 リンク機構
10 搬送手段(バケットコンベア)
10C 回転軸
11 バケット
11A 物品保持部(側面)
12 排出シュート
21 支持フレーム
22 収容部
23 シャフト
31、31A~31H 押し出し面
32、32A~32H 蹴上面
33 無端ベルト
34 円柱軸
35、36 ローラ
51 偏心ピン
52 従動円板
53 従動枠
54 穴部
55 スライドブッシュ
56 支持部
XA1 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8