(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049787
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】制御装置、および、制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 40/08 20120101AFI20240403BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240403BHJP
B60K 28/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B60W40/08
G08G1/16 C
B60K28/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156239
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 和哉
(72)【発明者】
【氏名】高木 智也
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D037FA01
3D037FA19
3D037FB05
3D241BA48
3D241BB06
3D241BB21
3D241CD12
3D241DB05Z
3D241DD02Z
5H181AA03
5H181AA05
5H181BB04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】コストを抑制しつつ、車両の走行に関する安全性を向上させる制御装置、および、制御方法を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る制御装置は、制御部を備える。制御部は、操作入力部に対する操作量に基づいて車両の走行駆動部を制御する。制御部は、操作量に基づいて走行駆動部を制御した際に検出した車両の加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合に、乗員不乗車時制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力部に対する操作量に基づいて車両の走行駆動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記操作量に基づいて前記走行駆動部を制御した際に検出した前記車両の加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合に、乗員不乗車時制御を行う、制御装置。
【請求項2】
前記乗員不乗車時制御は、前記車両を停止させる制御である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
乗員が前記車両に乗車している状態における、前記操作量と、前記車両の加速度とに基づいて前記不乗車判定を行うための加速度を学習し、
検出した前記車両の加速度が、学習した前記不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合、前記乗員不乗車時制御を行う、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記車両が走行する路面の傾斜角度を検出し、
乗員が前記車両に乗車した状態における、前記操作量と、前記傾斜角度と、前記車両の加速度とに基づいて前記不乗車判定を行うための加速度を学習する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記車両が走行しており、かつ、乗員が携帯する携帯機との距離が不乗車判定距離よりも大きい場合に、前記乗員不乗車時制御を行う、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記操作入力部は、ジョイスティックである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記車両は、車外と車内とを隔離する隔壁を有さない車両である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
操作入力部に対する操作量に基づいて車両の走行駆動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記操作量に基づいて前記走行駆動部を制御した際の前記車両の加速度を検出し、
乗車判定処理によって乗員が前記車両に乗車していると判定した場合に、前記操作量と、前記車両の加速度とに基づいて判定加速度の学習を行い、
前記乗車判定処理は、検出した前記車両の加速度と、現在の前記判定加速度とに基づいて乗員の乗車の有無を判定する、制御装置。
【請求項9】
操作入力部に対する操作量に基づいて車両の走行駆動部を制御する制御方法であって、
前記操作量に基づいて前記走行駆動部を制御した際に前記車両の加速度を検出し、
検出した前記車両の加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合に、乗員不乗車時制御を行う、制御方法。
【請求項10】
操作入力部に対する操作量に基づいて車両の走行駆動部を制御する制御方法であって、
前記操作量に基づいて前記走行駆動部を制御した際の前記車両の加速度を検出し、
乗車判定処理によって乗員が前記車両に乗車していると判定した場合に、前記操作量と、前記車両の加速度とに基づいて判定加速度を学習し、
前記乗車判定処理は、検出した前記車両の加速度と、現在の前記判定加速度とに基づいて乗員の乗車の有無を判定する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、および、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転席に着座センサを設け、着座センサによって運転者の着座が検出された場合に、運転操作を受け付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、着座の有無の検出のために着座センサを設ける場合、センサが追加されることで車両のコストが高くなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コストを抑制しつつ、車両の走行に関する安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る制御装置は、制御部を備える。制御部は、操作入力部に対する操作量に基づいて車両の走行駆動部を制御する。制御部は、操作量に基づいて走行駆動部を制御した際に検出した車両の加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合に、乗員不乗車時制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、コストを抑制しつつ、車両の走行に関する安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る制御方法を説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、不乗車判定を行うための加速度を設定するためのデータを説明する図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る不乗車判定を行うための加速度の設定処理を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る不乗車検出処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る制御装置、および、制御方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施形態に係る制御方法について、
図1を参照し説明する。
図1は、実施形態に係る制御方法を説明する図である。実施形態に係る制御方法は、車両Cに搭載された制御装置10によって実行される。
【0011】
車両Cは、乗車人数が一人もしくは少人数のパーソナルモビリティである。例えば、車両Cは、高齢者、および、身体障害者などが利用する電動車いすやシニアカ―といった4輪車両、および、立ち乗りの2輪車両である。車両Cの車輪の数は、2輪、および、4輪に限定されるものではない。車両Cの車輪の数は、1つ、および、3つであってもよく、5つ以上であってもよい。車両Cは、車外と車内とを隔離する隔壁を有さない車両である。車両Cであるパーソナルモビリティは、鞍乗り型車両、立ち乗りスクーター、および、バランススクーターを含む。なお、車両Cはパーソナルモビリティに限定されず、一般的な乗用車等の車両であってもよい。
【0012】
車両Cでは、操作入力部であるジョイスティック1の操作によって走行駆動部であるモータ2が制御される。車両Cは、左右の駆動輪3にそれぞれモータ2が設けられる。各モータ2に対してそれぞれ設けられたインバータ4(
図2参照)が制御されることで、モータ2の出力が制御され、車両Cの走行が制御される。車両Cは、モータ2を力行駆動することで駆動力(走行トルク)を発生させ、走行中にモータ2を回生駆動することで、制動力を発生させる。なお、車両Cは、制動力を発生させる手段として機械式のブレーキ装置を備えてもよい。
【0013】
車両Cは、ジョイスティック1の操作によって、前後進、および、旋回する。ジョイスティック1が中立位置から前方に向けて傾けられた場合、車両Cはモータ2に前進方向の駆動力を発生させる。ジョイスティック1が中立位置付近に操作、もしくは中立位置より少し後方に傾けられた場合、車両Cはモータ2に制動力を発生させる。ジョイスティック1が中立位置から後方に向けて傾けられた場合、車両Cはモータ2に後進方向の駆動力を発生させる。また、ジョイスティック1が左右方向に傾けられた場合、車両Cは車輪の転舵といった旋回制御を行う。
【0014】
車両Cは、中立位置に対する前後方向のジョイスティック1の傾き角度によって、車速が調整される。中立位置に対する傾き角度が大きくなるほど、車速、および、加速度が大きくなる。
【0015】
なお、前進する車両Cの速度は、第1上限速度に制限される。また、後進する車両Cの速度は、第2上限速度に制限される。第1上限速度、および、第2上限速度は、予め設定された速度である。たとえば、第2上限速度は、第1上限速度よりも小さい。第2上限速度は、第1上限速度と同じ速度であってもよい。
【0016】
車両Cは、車外と車内とを隔離する隔壁を有さないため、乗員(ドライバー)が乗車していない状態であっても、ジョイスティック1に乗員以外の人、または、物が接触する可能性が高くなる。そのため、車両Cは、乗員が乗車していない状態でジョイスティック1が操作されて動き出すおそれがある。乗員の乗車の有無、例えば不乗車の状態を検出する方法としては、たとえば、座席に着座センサを設けることが考えられる。
【0017】
しかしながら、乗員の不乗車を検出するために着座センサを設けると車両Cのコストが高くなる。
【0018】
そこで、実施形態に係る制御方法では、以下の制御方法によって、コストを抑制しつつ、乗員が不乗車であるのに走行している状態を検出することとした。
【0019】
制御装置10は、ジョイスティック1の傾き角度に基づいてモータ2を制御した際の車両Cの加速度を検出する(S1)。ジョイスティック1の傾き角度は、前後方向における傾き角度である。車両Cの加速度は、車両Cの前後方向における加速度である。
【0020】
制御装置10は、車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合、車両Cに対する乗員の不乗車を検出する(S2)。不乗車判定を行うための加速度は、車両Cに乗員が乗車している状態で車両Cが走行する場合に生じる加速度よりも高く設定された加速度である。不乗車判定を行うための加速度の詳細については、後述する。
【0021】
制御装置10は、乗員の不乗車が検出された場合、車両Cを停止させる(S3)。すなわち、制御装置10は、車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合、乗員不乗車時制御を行う。
【0022】
車両Cに乗員が乗車している場合と、車両Cに乗員が乗車していない場合とでは、車両Cに乗員が乗車していない場合の方が、加速度が大きくなる。
【0023】
車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合に、制御装置10は、乗員が不乗車であると判定する。よって、制御装置10は、着座センサを用いずに乗員の不乗車を検出することができる。また、乗員の不乗車が検出された場合、制御装置10は、車両Cを停止させることで、車両Cの走行に関する安全性を向上させることができる。
【0024】
次に、実施形態に係る制御装置10について
図2を参照し説明する。
図2は、実施形態に係る制御装置10の構成を示すブロック図である。
【0025】
制御装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。通信部11は、たとえば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、端末装置20と、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、および、UWB(Ultra Wide Band)等を介して無線接続されて相互通信可能に設けられ、情報の送受信を行う。通信部11は、端末装置20から、乗員の体重に関する情報を受信する。受信された乗員の体重に関する情報は、記憶部12に記憶される。
【0026】
端末装置20は、スマートフォン、タブレット装置、およびPDA(Personal Digital Assistant)などを含む。端末装置20は、ラップトップPC(Personal Computer)、および、デスクトップPCを含んでもよい。
【0027】
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子などの記憶媒体によって実現される。記憶部12は、Gセンサ21を用いて検出される車両Cの加速度を記憶する。記憶部12は、乗員の体重を記憶する。
【0028】
Gセンサ21は、車両Cに設けられ、車両Cの加速度、および、車両Cが走行する路面の傾斜角度に関する情報を取得する。なお、制御装置10は、Gセンサ21を備えてもよい。傾斜角度は、車両Cの前後方向における路面の傾斜角度である。たとえば、路面が上り傾斜である場合、傾斜角度は正の値であり、路面が下り傾斜である場合、傾斜角度は負の値である。
【0029】
記憶部12は、
図3に示すように、不乗車判定を行うための加速度を設定するためのデータを記憶する。
図3は、不乗車判定を行うための加速度を設定するためのデータを説明する図である。
【0030】
記憶される加速度は、ジョイスティック1の傾き角度、および、路面の傾斜角度の2次元マップデータであり、マップデータの複数のエリア1~16毎に加速度が設定される。たとえば、ジョイスティック1の傾き角度が「A1」であり、かつ、路面の傾斜角度が「B1」である場合、不乗車判定を行うための加速度は、エリア7に対して設定された値に基づいた値となる。
【0031】
不乗車判定を行うための加速度は、乗員が乗車している状態で検出される加速度を加工した加速度が用いられ、乗員が乗車している状態で検出される加速度よりも大きい値が用いられる。2次元データマップに記憶する加速度は加工後の加速度であってもよい。2次元データマップに記憶される加速度は、乗員が乗車した状態で検出された加工前の加速度であってもよい。加工前の加速度を記憶する場合、不乗車判定を行う際に加速度の加工が行われる。例えば、乗員が乗車している状態で検出された加速度に予め設定された所定値が加算されて、不乗車判定を行うための加速度が設定される。所定値は、実験、および、シミュレーションなどの結果に基づいて設定される。そして、乗員が乗車している状態での加速度が検出される毎に、後述する学習が行われる。学習では、たとえば、検出された加速度に所定値が加算された加速度が算出され、更新記憶される。
【0032】
また、初期(出荷時)に、予め2次元データマップに、乗員が乗車していない状態で検出される加速度を記憶していてもよい。この場合、2次元データマップに記憶された加速度が、不乗車判定を行うための加速度として設定される。なお、乗員が車両Cの使用を開始した後に、後述される学習が行われる場合には、乗員が乗車している状態で検出された加速度に所定値が加算された加速度が算出され、更新記憶される。
【0033】
なお、
図3では、16のエリアに応じたマップデータの一例が示されたが、これに限られることはない。マップデータは、16よりも少ないエリアに対応して設定されてもよく、16よりも多いエリアに対応して設定されてもよい。
【0034】
記憶部12は、
図3に示すデータを、体重毎に設定される第1データと、体重が不明な場合用に設定される第2データとしてそれぞれ記憶する。記憶部12は、体重に応じた複数の第1データを記憶する。
【0035】
第1データ、および、第2データの加速度は、後述する学習が行われた場合、学習された値に設定、または、更新される。第1データの各エリアの加速度は、初期値を有する。すなわち、第1データの各エリアの加速度は、学習が行われていない場合、初期値に設定される。そして、第1データの各エリアにおいて学習が行われた場合、初期値は、学習値に更新される。第2データの各エリアの加速度は、学習が行われることで設定される。第2データの各エリアの加速度は、学習により設定された後、さらに学習が行われると、学習値に更新される。
【0036】
制御部13は、モータ制御部14と、加速度設定部15と、加速度学習部16と、不乗車検出部17とを備える。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0037】
コンピュータのCPUは、例えば、ROM等の記憶デバイスに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部13のモータ制御部14、加速度設定部15、加速度学習部16、および、不乗車検出部17として機能する。
【0038】
また、制御部13のモータ制御部14、加速度設定部15、加速度学習部16、および、不乗車検出部17の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。また、モータ制御部14、加速度設定部15、加速度学習部16、および、不乗車検出部17は、統合されてもよく、さらに複数に分けられてもよい。
【0039】
モータ制御部14は、ジョイスティック1に対する操作量に基づいてモータ2を制御する。モータ制御部14は、ジョイスティック1から、ジョイスティック1の操作量に関する情報を取得し、ジョイスティック1の操作量を検出する。具体的には、モータ制御部14は、ジョイスティック1の傾き角度と傾き方向を検出する。モータ制御部14は、ジョイスティック1の前後方向の傾き角度に基づいてモータ2を制御する。
【0040】
モータ制御部14は、ジョイスティック1の傾き角度と傾き方向に基づいて、各駆動輪3のモータ2の出力を制御する制御信号を生成する。モータ制御部14は、生成した制御信号を、各駆動輪3に設けられるインバータ4に出力する。
【0041】
不乗車検出部17によって、乗員の不乗車が検出された場合、モータ制御部14は、乗員不乗車時制御を行う。具体的には、モータ制御部14は、車両Cが停止するように、制御信号を生成し、インバータ4に出力する。これにより、乗員の不乗車が検出された場合、車両Cが減速し、停止する。
【0042】
加速度設定部15は、不乗車判定を行うための加速度を設定する。加速度設定部15は、車両Cが走行する路面の傾斜角度に関する情報をGセンサ21から取得し、路面の傾斜角度を検出する。不乗車検出部17は、ジョイスティック1の操作量に関する情報を取得し、ジョイスティック1の傾き角度を検出する。加速度設定部15は、ジョイスティック1の傾き角度、および、路面の傾斜角度に基づいて不乗車判定を行うための加速度を設定する。
【0043】
加速度設定部15は、乗員の体重に関する情報の登録の有無に応じて不乗車判定を行うための加速度を設定する。加速度設定部15は、乗員の体重が登録されているか否かを判定する。乗員の体重が登録されている場合、加速度設定部15は、第1データを用いて不乗車判定を行うための加速度を設定する。
【0044】
乗員の体重が登録されている場合、加速度設定部15は、乗員の体重に応じた第1データを記憶部12から読み出す。加速度設定部15は、読み出した第1データを用いて、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度とが対応するエリアを選定する。そして、加速度設定部15は、選定したエリアの加速度を読み出す。加速度設定部15は、読み出した加速度に基づいて、不乗車判定を行うための加速度を設定する。すなわち、加速度設定部15は、車両Cに搭乗する乗員の体重と、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を設定する。
【0045】
乗員の体重が登録されていない場合、加速度設定部15は、第2データを用いて不乗車判定を行うための加速度を設定する。乗員の体重が登録されていない場合、加速度設定部15は、乗員の体重に拠らない第2データを記憶部12から読み出す。加速度設定部15は、読み出した第2データを用いて、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度とが対応するエリアを選定する。そして、加速度設定部15は、選定したエリアの加速度を読み出す。加速度設定部15は、読み出した加速度に基づいて、不乗車判定を行うための加速度を設定する。
【0046】
加速度学習部16は、不乗車判定を行うための加速度を学習する。加速度学習部16は、乗員が車両Cに乗車した状態における、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習する。加速度学習部16は、乗員の体重が登録されているか否かを判定する。具体的には、加速度学習部16は、乗員の体重の登録の有無に応じて、第1データの加速度、または、第2データの加速度を学習する。すなわち、第1データの加速度、または、第2データの加速度が学習されることで、不乗車判定を行うための加速度が学習される。
【0047】
加速度学習部16は、車両Cが停止状態から走行を開始した際のジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習する。
【0048】
具体的には、加速度学習部16は、車両Cが停止状態から、所定速度となるまでに検出された、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習する。所定速度は、予め設定された速度である。所定速度は、車両Cが停止状態から動き始めたと判定できる速度である。たとえば、所定速度は、2km/hである。
【0049】
また、加速度学習部16は、車両Cが動き始めてから、所定時間内に検出された、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習してもよい。所定時間は、予め設定された時間である。所定時間は、ジョイスティック1が中立位置から前後方向に傾いて車両Cが動き始めたと判定できる時間である。たとえば、所定時間は、3秒である。車両Cの動き始めは、たとえば、ジョイスティック1の傾き角度によって判定される。ジョイスティック1の傾き角度が、所定傾き角度以上になると、車両Cが動き始めたと判定される。所定傾き角度は、予め設定された角度であり、ジョイスティック1が前後方向に操作されたか否かを判定できる角度である。
【0050】
乗員の体重が記憶部12に登録されている場合、加速度学習部16は、第1データの加速度を学習する。加速度学習部16は、以下の手順によって、第1データの加速度を学習する。
【0051】
加速度学習部16は、ジョイスティック1の傾き角度を検出する。加速度学習部16は、ジョイスティック1が前後方向に操作されているか否かを判定する。
【0052】
具体的には、加速度学習部16は、ジョイスティック1の傾き角度が、所定傾き角度よりも大きいか否かを判定する。ジョイスティック1の傾き角度が、所定傾き角度よりも大きい場合、加速度学習部16は、ジョイスティック1の前後方向への操作が行われたと判定する。ジョイスティック1の傾き角度が、所定傾き角度以下である場合、加速度学習部16は、ジョイスティック1の前後方向への操作が行われていないと判定する。
【0053】
たとえば、ジョイスティック1が中立位置である場合の角度を0度とした場合、所定傾き角度は、0度である。また、所定傾き角度は、-5度から+5度程度の所定の角度範囲を有してもよい。すなわち、ジョイスティック1の傾き角度の絶対値が、5度よりも大きい場合、加速度学習部16は、ジョイスティック1の前後方向への操作が行われたと判定する。
【0054】
加速度学習部16は、ジョイスティック1の前後方向への操作が行われたと判定した場合、Gセンサ21から取得される情報に基づいて車両Cの加速度を検出する。また、加速度学習部16は、Gセンサ21から取得される情報に基づいて路面の傾斜角度を検出する。
【0055】
加速度学習部16は、乗員の体重に応じた第1データから、検出したジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度と基づいて学習エリアを選定する。学習エリアは、
図3に示すような第1データのエリアから、検出したジョイスティック1の傾き角度と、検出した路面の傾斜角度とに対応するエリアが選定される。
【0056】
加速度学習部16は、乗車判定処理を行う。乗車判定処理では、検出した車両Cの加速度と、現在の不乗車判定を行うための加速度(判定加速度)とに基づいて、乗員の乗車の有無が判定される。加速度学習部16は、検出した車両Cの加速度が、乗員が車両Cに乗車している状態における加速度であるか否かを判定する。加速度学習部16は、検出した車両Cの加速度と、選定された学習エリアにおける現在の不乗車判定を行うための加速度との差が、所定差未満であるか否かを判定する。所定差は、予め設定された値であり、車両Cに乗員が乗車していない場合に生じる差である。たとえば、所定差は、乗員の体重に応じて設定される。所定差は、一定の値であってもよい。
【0057】
検出した車両Cの加速度と、選定された学習エリアにおける現在の不乗車判定を行うための加速度との差が、所定差未満である場合、加速度学習部16は、検出した車両Cの加速度が、車両Cに乗員が乗車している状態における加速度であると判定する。すなわち、加速度学習部16は、車両Cの乗員が乗車していると判定する。
【0058】
検出した車両Cの加速度と、選定された学習エリアにおける現在の不乗車判定を行うための加速度との差が、所定差以上である場合、加速度学習部16は、検出した車両Cの加速度が、車両Cに乗員が乗車していない状態における加速度であると判定する。すなわち、加速度学習部16は、車両Cの乗員が乗車していないと判定する。検出した車両Cの加速度と、選定された学習エリアにおける現在の不乗車判定を行うための加速度との差が、所定差以上である場合、加速度学習部16は、学習に不適切な車両Cの加速度であると判定する。
【0059】
検出した車両Cの加速度が、乗員が車両Cに乗車している状態における加速度である場合、加速度学習部16は、検出した車両Cの加速度を保存情報として、選定した学習エリアに紐付けて記憶部12に記憶させる。学習エリアに紐付けて記憶される保存情報、すなわち、乗員が車両Cに乗車している状態における加速度は、不乗車判定を行うための加速度の学習に用いられる。乗員が車両Cに乗車している状態における加速度が不乗車判定を行うための加速度の学習に用いられることで、不乗車判定を行うための加速度の学習精度が向上する。
【0060】
各エリアに紐付けて記憶される保存情報の数は、第1所定数である。第1所定数の保存情報が記憶された後に、新たな保存情報を記憶する場合、一番古い保存情報が消去されて、新たな保存情報が記憶される。第1所定数は、予め設定された値である。たとえば、第1所定数は、「5」である。
【0061】
加速度学習部16は、選定した学習エリアに紐付けて記憶した保存情報の数が、第1所定数以上であるか否かを判定する。
【0062】
加速度学習部16は、選定した学習エリアに紐付けて記憶された保存情報の数が、第1所定数以上である場合、選定した学習エリアにおける現在の加速度を更新する。
【0063】
具体的には、選定した学習エリアの現在の加速度が、初期値である場合、加速度学習部16は、第1所定数の車両Cの加速度の平均値に基づいて2次元データマップにおいて選定した学習エリアの加速度を更新する。たとえば、加速度学習部16は、第1所定数の車両Cの加速度の平均値に所定値が加算された加工後の加速度を、選定した学習エリアの加速度として更新する。
【0064】
また、選定した学習エリアの現在の加速度が、初期値から更新された値である場合、加速度学習部16は、現在の加速度を、最新の保存情報に基づいてなまし処理を行うことで、加速度を更新する。これにより、不乗車判定を行うための加速度も更新される。たとえば、加速度学習部16は、現在の加速度に第1所定割合を乗算した値と、最新の保存情報に含まれる車両Cの加速度に第2所定割合を乗算した値とを加算することで、新たな加速度を算出する。なお、2次元データマップに記憶される加速度が、加工後の加速度である場合、現在の加速度(加工後の加速度)から所定値が減算された値に、第1所定割合が乗算される。第1所定割合、および、第2所定割合は、予め設定された値であり、第1所定割合と第2所定割合との合計が「1」となる値である。たとえば、第1所定割合は「0.9」であり、かつ、第2所定割合は「0.1」である。加速度学習部16は、算出した加速度に基づいて2次元データマップにおいて選定した学習エリアの加速度を更新する。たとえば、加速度学習部16は、算出した加速度に所定値を加算した加工後の加速度を、選定した学習エリアの加速度として更新する。
【0065】
なお、複数の保存情報を、必ずしも記憶しておく必要はない。たとえば、学習エリアには、学習済みの加速度のみが記憶され、最新の加速度が検出された場合、上記したなまし処理が、記憶された加速度、および、最新の加速度を用いて行われる。そして、なまし処理後の加速度が、最新の学習済みの加速度として学習エリアに上書きされて、記憶されてもよい。
【0066】
このように、加速度学習部16は、学習回数によって不乗車判定を行うための加速度の学習方法を変更する。これにより、加速度学習部16は、車両Cの状態変化、たとえば、経年劣化などによる加速度の変化に応じた不乗車判定を行うための加速度を学習することができる。
【0067】
なお、加速度学習部16は、最新の保存情報を含む第1所定数の保存情報に含まれる車両Cの加速度の平均値に基づいて、2次元データマップにおいて選定した学習エリアの加速度を更新してもよい。たとえば、加速度学習部16は、車両Cの加速度の平均値に所定値を加算した加工後の加速度を、選定した学習エリアの加速度として更新してもよい。
【0068】
乗員の体重が記憶部12に登録されていない場合、加速度学習部16は、第2データの加速度を学習する。加速度学習部16は、以下の手順によって、第2データを学習する。
【0069】
加速度学習部16は、第1データにおける学習と同様に、ジョイスティック1の傾き角度を検出し、ジョイスティック1の前後方向への操作が行われたか否かを判定する。
【0070】
加速度学習部16は、ジョイスティック1の前後方向への操作が行われたと判定した場合、Gセンサ21から取得される情報に基づいて車両Cの加速度を検出する。また、加速度学習部16は、Gセンサ21から取得される情報に基づいて路面の傾斜角度を検出する。
【0071】
加速度学習部16は、検出したジョイスティック1の傾き角度と、検出した路面の傾斜角度と基づいて学習エリアを選定する。学習エリアは、
図3に示すような第2データのエリアから、検出したジョイスティック1の傾き角度と、検出した路面の傾斜角度とが対応するエリアが選定される。
【0072】
加速度学習部16は、検出した車両Cの加速度を保存情報として、選定した学習エリアに紐付けて記憶部12に記憶させる。
【0073】
各エリアに紐付けて記憶される保存情報の数は、第2所定数である。第2所定数は、予め設定された値である。第2所定数は、第1所定数よりも大きい。第2所定数は、第1所定数と同じであってもよい。たとえば、第2所定数は、「10」である。
【0074】
加速度学習部16は、選定した学習エリアに紐付けて記憶した保存情報の数が第2所定数以上であるか否かを判定する。
【0075】
記憶した保存情報の数が、第2所定数以上である場合、加速度学習部16は、不乗車判定を行うための加速度を更新する。加速度学習部16は、記憶した保存情報を用いて、第2データにおける加速度を算出する。選定した学習エリアに加速度が設定されていない場合、加速度学習部16は、算出した加速度に基づいて、2次元データマップにおいて選定した学習エリアの加速度を設定する。たとえば、加速度学習部16は、算出した加速度に所定値が加算された加工後の加速度を、選定した学習エリアの加速度として設定する。選定した学習エリアに加速度が設定されている場合、加速度学習部16は、算出した加速度に基づいて、選定した学習エリアの加速度を更新する。選定した学習エリアに加速度が設定されている場合、たとえば、加速度学習部16は、算出した加速度に所定値が加算された加工後の加速度を、選定した学習エリアの新たな加速度として更新する。
【0076】
具体的には、加速度学習部16は、保存情報に含まれる車両Cの加速度に所定の統計解析処理を行い、中央値付近の加速度を用いて選定した学習エリアの加速度を算出する。すなわち、中央値から大きく外れた値の加速度は、選定した学習エリアの加速度の算出に用いられない。
【0077】
たとえば、加速度学習部16は、中央値付近の加速度の平均値に所定値が加算された加工後の加速度を、選定した学習エリアの加速度として設定する。
【0078】
なお、第2所定数の保存情報が記憶された後に、新たな保存情報を記憶する場合、一番古い保存情報が消去されて、新たな保存情報が記憶される。第2データの各エリアには、各エリアにおける最初の学習が終了するまで、各エリアに対する加速度として、予め設定された初期値が設定される。第2データでは、最初の学習が終了するまで、各エリアに加速度は設定されなくてもよい。
【0079】
不乗車検出部17は、Gセンサ21から車両Cの加速度に関する情報を取得し、車両Cの加速度を検出する。
【0080】
不乗車検出部17は、車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きいか否かを判定する。車両Cの加速度が不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合、不乗車検出部17は、車両Cに乗員が乗車していないと判定し、車両Cに対する乗員の不乗車を検出する。車両Cの加速度が不乗車判定を行うための加速度以下である場合、不乗車検出部17は、車両Cに乗員が乗車していると判定し、車両Cに対する乗員の不乗車を検出しない。
【0081】
次に、実施形態に係る不乗車判定を行うための加速度の設定処理について
図4を参照し説明する。
図4は、実施形態に係る不乗車判定を行うための加速度の設定処理(学習処理)を説明するフローチャートである。
【0082】
制御部13は、乗員の体重が登録されているか否かを判定する(S100)。乗員の体重が登録されている場合(S100:Yes)、制御部13は、ジョイスティック1の傾き角度を検出する(S101)。
【0083】
制御部13は、ジョイスティック1が前後方向に操作されているか否かを判定する(S102)。具体的には、制御部13は、ジョイスティック1の傾き角度が、所定傾き角度よりも大きいか否かを判定する。ジョイスティック1の傾き角度が、所定傾き角度よりも大きい場合、制御部13は、ジョイスティック1が前後方向に操作されていると判定する。ジョイスティック1の傾き角度が、所定傾き角度以下である場合、制御部13は、ジョイスティック1が前後方向に操作されていないと判定する。
【0084】
ジョイスティック1が前後方向に操作されていない場合(S102:No)、制御部13は、今回の処理を終了する。ジョイスティック1が前後方向に操作されている場合(S102:Yes)、制御部13は、車両Cの加速度を検出し(S103)、路面の傾斜角度を検出する(S104)。
【0085】
制御部13は、学習エリアを選定する(S105)。制御部13は、登録された乗員の体重と、検出したジョイスティック1の傾き角度と、検出した路面の傾斜角度とに基づいて、第1データから学習エリアを選定する。具体的には、制御部13は、乗員の体重に応じた第1データを読み出し、検出したジョイスティック1の傾き角度と、検出した路面の傾斜角度とに基づいて、学習エリアを選定する。
【0086】
制御部13は、検出した加速度が、乗員が車両Cに乗車した状態の加速度であるか否かを判定する(S106)。具体的には、制御部13は、検出した車両Cの加速度と、選定された学習エリアにおける現在の不乗車判定を行うための加速度との差が、所定差未満であるか否かを判定する。検出した車両Cの加速度と、選定された学習エリアにおける現在の不乗車判定を行うための加速度との差が、所定差未満である場合、制御部13は、検出した加速度が、乗員が車両Cに乗車した状態の加速度であると判定する。検出した車両Cの加速度と、選定された学習エリアにおける現在の不乗車判定を行うための加速度との差が、所定差以上である場合、制御部13は、検出した加速度が、乗員が車両Cに乗車した状態の加速度ではないと判定する。
【0087】
検出した加速度が、乗員が車両Cに乗車した状態の加速度ではない場合(S106:No)、制御部13は、今回の処理を終了する。
【0088】
検出した加速度が、乗員が車両Cに乗車した状態の加速度である場合(S106:Yes)、制御部13は、保存情報を記憶させる(S107)。制御部13は、検出した車両Cの加速度を保存情報として、選定した学習エリアに紐付けて記憶部12に記憶させる。
【0089】
制御装置10は、選定した学習エリアに紐付けて記憶された保存情報の数が、第1所定数以上であるか否かを判定する(S108)。選定した学習エリアに紐付けて記憶された保存情報の数が、第1所定数未満である場合(S108:No)、制御部13は、今回の処理を終了する。
【0090】
選定した学習エリアに紐付けて記憶された保存情報の数が、第1所定数以上である場合(S108:Yes)、制御部13は、不乗車判定を行うための加速度を更新する(S109)。具体的には、選定した学習エリアの現在の加速度が、初期値である場合、制御部13は、第1所定数の車両Cの加速度の平均値を算出し、算出した平均値に基づいて、選定した学習エリアの加速度を更新する。選定した学習エリアの現在の加速度が、初期値から更新された値である場合、制御部13は、たとえば、最新の保存情報になまし処理を行って新たな加速度を算出し、算出した新たな加速度に基づいて、選定した学習エリアの加速度を更新する。
【0091】
乗員の体重が登録されていない場合(S100:No)、制御部13は、ジョイスティック1の傾き角度を検出する(S110)。制御部13は、ジョイスティック1が前後方向に操作されているか否かを判定する(S111)。具体的な判定方法は、ステップS102と同じである。
【0092】
ジョイスティック1が前後方向に操作されていない場合(S111:No)、制御部13は、今回の処理を終了する。ジョイスティック1が前後方向に操作されている場合(S111:Yes)、制御部13は、車両Cの加速度を検出し(S112)、路面の傾斜角度を検出する(S113)。
【0093】
制御部13は、学習エリアを選定する(S114)。制御部13は、検出したジョイスティック1の傾き角度と、検出した路面の傾斜角度とに基づいて、第2データから学習エリアを選定する。
【0094】
制御部13は、検出した車両Cの加速度を保存情報として、選定した学習エリアに紐付けて記憶部12に記憶させる(S115)。
【0095】
制御部13は、選定した学習エリアに紐付けて記憶された保存情報の数が、第2所定数以上であるか否かを判定する(S116)。選定した学習エリアに紐付けて記憶された保存情報の数が、第2所定数未満である場合(S116:No)、制御部13は、今回の処理を終了する。
【0096】
選定した学習エリアに紐付けて記憶された保存情報の数が、第2所定数以上である場合(S116:Yes)、制御部13は、不乗車判定を行うための加速度を更新する(S117)。具体的には、制御部13は、保存情報に含まれる車両Cの加速度に所定の統計解析処理を行い、中央値付近の加速度を用いて選定したエリアの加速度を算出し、選定したエリアの加速度を更新する。
【0097】
次に、実施形態に係る不乗車検出処理について、
図5を参照し説明する。
図5は、実施形態に係る不乗車検出処理を説明するフローチャートである。
【0098】
制御部13は、路面の傾斜角度を検出し(S200)、ジョイスティック1の傾き角度を検出する(S201)。
【0099】
制御部13は、乗員の体重が登録されているか否かを判定する(S202)。乗員の体重が登録されている場合(S202:Yes)、制御部13は、第1データを用いて不乗車判定を行うための加速度を設定する(S203)。具体的には、制御部13は、乗員の体重に応じた第1データを記憶部12から読み出す。制御部13は、読み出した第1データを用いて、検出した路面の傾斜角度と、検出したジョイスティック1の傾き角度とが対応するエリアを選定する。制御部13は、選定したエリアの加速度を読み出す。制御部13は、読み出した加速度に基づいて、不乗車判定を行うための加速度を設定する。
【0100】
乗員の体重が登録されていない場合(S202:No)、制御部13は、第2データを用いて不乗車判定を行うための加速度を設定する(S204)。不乗車判定を行うための加速度の設定方法は、第2データを用いること以外、ステップS203と同じである。
【0101】
制御部13は、車両Cの加速度を検出する(S205)。制御部13は、検出した車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きいか否かを判定する(S206)。
【0102】
検出した車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度以下である場合(S206:No)、制御部13は、今回の処理を終了する。具体的には、制御部13は、車両Cに乗員が乗車していると判定し、今回の処理を終了する。
【0103】
検出した車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合(S206:Yes)、制御部13は、車両Cに対する乗員の不乗車を検出する(S207)。制御部13は、車両Cを減速させて、車両Cを停止させる(S208)。すなわち、制御部13は、乗員不乗車時制御として、車両Cを停止させる。
【0104】
上記する、
図4に関する不乗車判定を行うための加速度の設定処理、および、
図5に関する不乗車検出処理は、それぞれ車両Cが起動された状態で、定期的に実行される。たとえば、不乗車判定を行うための加速度の設定処理、および、不乗車検出処理は、所定間隔が経過する毎に実行される。不乗車判定を行うための加速度の設定処理、および、不乗車検出処理は、車両Cの動き出しが検出された場合に、処理か開始されてもよい。車両Cの動き出しは、車速が検出されて、検出された車速に基づいて判定可能である。
【0105】
また、不乗車判定を行うための加速度の設定処理、および、不乗車検出処理は、別々に実行されているが、まず、不乗車検出処理が行われ、乗員が乗車中であると判定された場合に、不乗車判定を行うための加速度の設定処理(学習処理)が行われてもよい。この場合、各処理にいて共通する処理、たとえば、ジョイスティック1の傾き角度の検出、および、路面の傾斜角度の検出などは、1回の処理の結果が共有されて用いられてもよい。
【0106】
制御装置10は、制御部13を備える。制御部13は、ジョイスティック1の傾き角度に基づいて車両Cのモータ2を制御する。制御部13は、ジョイスティック1の傾き角度に基づいてモータ2を制御した際に検出した車両Cの加速度が、不乗車判定を行うための加速度よりも大きい場合に、車両Cを停止させる。
【0107】
制御部13は、ジョイスティック1の傾き角度に基づいてモータ2を制御した際の車両Cの加速度を検出する。制御部13は、乗車判定処理によって乗員が車両Cに乗車していると判定した場合に、ジョイスティック1の傾き角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習する。乗車判定処理は、検出した車両Cの加速度と、現在の不乗車判定を行うための加速度とに基づいて乗員の乗車の有無を判定する。
【0108】
これにより、制御装置10は、たとえば、着座センサを用いずに、車両Cに対する乗員の乗車の有無を検出することができ、乗員の不乗車による車両Cの走行を抑制することができる。そのため、制御装置10は、コストを抑制しつつ、車両Cの走行に関する安全性を向上させることができる。
【0109】
また、制御部13は、車両Cが走行する路面の傾斜角度を検出する。制御部13は、車両Cに乗車する乗員の体重と、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を設定する。
【0110】
これにより、制御装置10は、不乗車判定を行うための加速度を精度よく設定することができ、乗員の不乗車による走行を精度よく検出することができる。そのため、制御装置10は、乗員の不乗車による車両Cの走行を抑制することができる。従って、制御装置10は、車両Cの走行に関する安全性を向上させることができる。
【0111】
また、制御部13は、乗員が車両Cに乗車した状態における、ジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習する。
【0112】
これにより、制御装置10は、乗員の体重が登録されていない場合であっても、不乗車判定を行うための加速度を設定することができ、乗員の不乗車による走行を検出することができる。そのため、制御装置10は、乗員の不乗車による車両Cの走行を抑制することができる。従って、制御装置10は、車両Cの走行に関する安全性を向上させることができる。
【0113】
また、制御部13は、ジョイスティック1の傾き角度に基づいてモータ2を制御する。
【0114】
これにより、制御装置10は、簡易な操作によって走行可能な車両Cについて、乗員の不乗車による車両Cの走行を抑制することができる。
【0115】
また、制御部13は、車両Cが停止状態から走行を開始した際のジョイスティック1の傾き角度と、路面の傾斜角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習する。
【0116】
これにより、制御装置10は、車両Cの動き始めに生じる加速度に基づいた不乗車判定を行うための加速度を学習することができる。そのため、乗員が乗車しない状態で車両Cが動き出した場合に、早期に乗員の不乗車を検出し、車両Cを停止させることができる。
【0117】
また、車両Cは、車外と車内とを隔離する隔壁を有さない車両である。
【0118】
これにより、制御装置10は、乗車人数が一人もしくは少人数のパーソナルモビリティにおける乗員の不乗車を検出し、乗員の不乗車による走行を抑制することができる。
【0119】
変形例に係る制御装置10は、車両Cに乗車する乗員の体重と、ジョイスティック1の傾き角度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を設定してもよい。また、制御装置10は、乗員が車両Cに乗車している状態における、ジョイスティック1の傾き角度と、車両Cの加速度とに基づいて不乗車判定を行うための加速度を学習してもよい。すなわち、制御装置10は、路面の傾斜角度にかかわらず、不乗車判定を行うための加速度を設定、および、学習してもよい。
【0120】
これにより、変形例に係る制御装置10は、簡易な制御によって乗員の不乗車を検出することができる。
【0121】
変形例に係る制御装置10は、乗員の端末装置20(携帯機)と、車両Cとの距離が所定距離(不乗車判定距離)よりも大きい場合、乗員の不乗車を検出してもよい。たとえば、制御装置10は、通信部11によって受信される端末装置20の受信強度に基づいて、乗員の端末装置20と車両Cとの距離を算出する。所定距離は、予め設定される。所定距離は、乗員が車両Cに乗車していないと判定できる距離である。たとえば、所定距離は、2mである。制御装置10は、車両Cが走行しており、かつ、端末装置20との距離が、所定距離よりも大きい場合に、乗員不乗車時制御を行う。具体的には、制御装置10は、車両Cが走行しており、かつ、端末装置20との距離が、所定距離よりも大きい場合に、車両Cを停止させる。
【0122】
たとえば、加速度に基づく不乗車の判定では、乗員が車両Cに乗車しておらず、かつ、車両Cに乗員の体重と同程度の荷物が載せてある場合には、不乗車の判定が難しい。変形例に係る制御装置10では、このような場合にも、乗員の不乗車を検出し、乗員の不乗車による車両Cの走行を抑制することができる。
【0123】
乗員の端末装置20を用いた変形例に係る制御は、上記した実施形態に係る制御を組み合わせて行うことも可能である。すなわち、乗員の端末装置20を用いた不乗車判定、および、上記した実施形態に係る不乗車判定のいずれか一方の判定によって乗員の不乗車が判定された場合、乗員不乗車時制御が実行される。
【0124】
これにより、制御装置10は、乗員が車両Cに乗車していない状態で、車両Cが走行することをより抑制することができる。
【0125】
変形例に係る制御装置10は、登録された体重が変更された場合には、第1データにおける不乗車判定を行うための加速度の学習をやり直してもよい。
【0126】
変形例に係る制御装置10は、複数の乗員に対して、第1データにおける加速度を記憶してもよい。制御装置10は、複数の乗員の体重が登録され、登録された体重毎、すなわち、乗員毎に、第1データにおける加速度を学習し、記憶する。制御装置10は、車両Cに乗車する乗員が選択されると、該当する乗員の第1データにおける加速度を設定する。
【0127】
これにより、異なる乗員が車両Cに乗車する場合であっても、制御装置10は、乗員に適した不乗車判定を行うための加速度を設定、および、学習することができる。
【0128】
なお、制御装置10が、複数の乗員に対して、乗員毎に第1データを学習し、記憶する場合、体重別に複数の第1データを設けなくてもよい。
【0129】
変形例に係る制御装置10は、たとえば、学習モードがONにされた場合に検出した車両Cの加速度を、乗員が乗車した状態の加速度であると判定し、不乗車判定を行うための加速度を学習してもよい。また、たとえば、乗員の体重が登録されてから初めて車両Cが走行する場合に、制御装置10は、学習モードをONにするように通知してもよい。通知は、車両Cによって行われてもよく、乗員の端末装置20によって行われてもよい。なお、車両Cに乗車してから学習モードをONにするように通知が行われることが望ましい。
【0130】
これにより、変形例に係る制御装置10は、乗員が乗車した状態の加速度に基づいて、不乗車判定を行うための加速度を学習することができ、不乗車判定を行うための加速度の学習精度を向上させることができる。
【0131】
なお、不乗車時制御は、車両Cを停止させる制御に限られることはない。不乗車時制御は、車両Cの使用者、および、車両Cの周囲の人への報知制御であってもよい。報知制御では、たとえば、車両Cに設けられたブザー、および、ランプなどによって報知が行われる。報知制御は、乗員の端末装置20によって報知が行われてもよい。たとえば、端末装置20によって不乗車による走行に関する情報が通知される。また、不乗車時制御は、車両Cを停止させる場合、車両Cの減速度が、通常の車両Cの減速度よりも大きくなるような、制動制御を含んでもよい。制動制御では、たとえば、乗員が乗車している場合には禁止されるような、急制動が実行されてもよい。
【0132】
体重毎に第1データの初期値が設定されて記憶されている場合、初回の車両Cの使用開始時に、乗員の体重の入力を促す案内処理が実行されてもよい。案内処理では、たとえば、乗員の端末装置20に体重を入力する入力画像が表示される。
【0133】
第2データは、たとえば、統計的に標準的な体格の人の体重に対する加速度が、初期値として記憶部12に記憶されてもよい。
【0134】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0135】
1 ジョイスティック(操作入力部)
2 モータ(走行駆動部)
10 制御装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
14 モータ制御部
15 加速度設定部
16 加速度学習部
17 不乗車検出部
20 端末装置
21 Gセンサ
C 車両