(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049801
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/367 20210101AFI20240403BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240403BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240403BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240403BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20240403BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240403BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/342 101
H01M50/209
H01M50/271 S
H01G11/10
H01G11/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156257
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】川内 智弘
(72)【発明者】
【氏名】森口 卓
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 強志
(72)【発明者】
【氏名】米澤 翔
(72)【発明者】
【氏名】増田 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】浜川 恵太
【テーマコード(参考)】
5E078
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078HA05
5E078HA13
5E078HA24
5E078JA02
5E078JA07
5H012AA07
5H012BB02
5H012BB08
5H012CC01
5H012CC10
5H040AA36
5H040AA37
5H040AS02
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY08
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】正常な蓄電素子に対する熱影響を抑制できる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置10は、それぞれがガス排出弁111を有し、当該ガス排出弁111が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11のそれぞれのガス排出弁111上に配置され、当該ガス排出弁111から排出されたガスの排気経路59をなす排気部50と、を備えている。排気部50は、排気経路59を構成する壁部(蓋部651)と、複数の蓄電素子11に対し当該複数の蓄電素子11の並び方向の外方に配置された状態で、ガスを排気経路59から排出する排出口51と、を備えている。壁部は、排気部50の内部と蓄電装置10の外部とをつなぐ貫通孔653を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがガス排出弁を有し、当該ガス排出弁が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のそれぞれの前記ガス排出弁上に配置され、当該ガス排出弁から排出されたガスの排気経路をなす排気部と、を備える蓄電装置であって、
前記排気部は、
前記排気経路を構成する壁部と、
前記複数の蓄電素子に対し当該複数の蓄電素子の並び方向の外方に配置された状態で、前記ガスを前記排気経路から排出する排出口と、を備え、
前記壁部は、前記排気部の内部と前記蓄電装置の外部とをつなぐ貫通孔を有する
蓄電装置。
【請求項2】
前記貫通孔の開口面積は、前記排出口の開口面積よりも小さい
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記ガス排出弁の平面視で当該ガス排出弁に重ならない位置に配置されている
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記複数の蓄電素子のうち隣り合う一対の蓄電素子の前記ガス排出弁の間に配置されている
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記複数の蓄電素子及び前記排気部を覆うカバーを有し、
前記カバーは、前記貫通孔につながる開口を有する
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電装置には、所定の方向に配列された複数の蓄電素子(二次電池)に対して、排気部(上部プレート)が取り付けられている(例えば特許文献1参照)。排気部は、各蓄電素子のガス排出弁(ベント)から放出されたガスの排気経路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、蓄電素子が過剰に高温化するとガス排出弁からは高温のガスが噴出する。ガスが噴出しきった後には、ガス排出弁からは高温の煙が発生する。この煙は、それほど勢いがないので排気経路内で留まる場合がある。煙が排気経路内で留まってしまうと排気経路を高温化させてしまうため、その熱が正常な蓄電素子に伝わり、正常な蓄電素子に熱影響を与えるおそれがある。
【0005】
このため、本発明の目的は、正常な蓄電素子に対する熱影響を抑制できる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、それぞれがガス排出弁を有し、当該ガス排出弁が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子のそれぞれの前記ガス排出弁上に配置され、当該ガス排出弁から排出されたガスの排気経路をなす排気部と、を備える蓄電装置であって、前記排気部は、前記排気経路を構成する壁部と、前記ガスを前記排気経路から排出する排出口と、を備え、前記壁部は、前記排気部の内部と前記蓄電装置の外部とをつなぐ貫通孔を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の蓄電装置によれば、正常な蓄電素子に対する熱影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る排気部及びバスバーフレームの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る貫通孔と、蓄電素子のガス排出弁との位置関係を示す上面図である。
【
図5】実施の形態に係る蓄電素子のガス排出弁からガスが噴出した状態を示す説明図である。
【
図6】実施の形態に係る蓄電素子のガス排出弁から煙が噴出した状態を示す説明図である。
【
図7】変形例に係る貫通孔の設置箇所の例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明の一態様に係る蓄電装置は、それぞれがガス排出弁を有し、当該ガス排出弁が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子のそれぞれの前記ガス排出弁上に配置され、当該ガス排出弁から排出されたガスの排気経路をなす排気部と、を備える蓄電装置であって、前記排気部は、前記排気経路を構成する壁部と、前記複数の蓄電素子に対し当該複数の蓄電素子の並び方向の外方に配置された状態で、前記ガスを前記排気経路から排出する排出口と、を備え、前記壁部は、前記排気部の内部と前記蓄電装置の外部とをつなぐ貫通孔を有する。
【0010】
これによれば、排気部の壁部には、当該排気部の内部と蓄電装置の外部とをつなぐ貫通孔が設けられているので、この貫通孔によって煙を排出することができる。これにより、排気経路内での高温化を抑制でき、正常な蓄電素子に伝わる熱量を抑制できる。したがって、正常な蓄電素子に対する熱影響を低減できる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の蓄電装置において、前記貫通孔の開口面積は、前記排出口の開口面積よりも小さくてもよい。
【0012】
これによれば、貫通孔の開口面積が排出口の開口面積よりも小さいので、ガスの噴出時に貫通孔からガスが漏れ出ることを抑制できる。したがって、排出口からガスをより確実に排出することができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)に記載の蓄電装置において、前記貫通孔は、前記ガス排出弁の平面視で当該ガス排出弁に重ならない位置に配置されていてもよい。
【0014】
これによれば、ガス排出弁の平面視で貫通孔がガス排出弁に重ならない位置に配置されているので、ガス排出弁から排出されたガスが貫通孔に直行しない。したがって、貫通孔からガスが漏れ出ることをより抑制することができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の蓄電装置において、前記貫通孔は、前記複数の蓄電素子のうち隣り合う一対の蓄電素子の前記ガス排出弁の間に配置されていてもよい。
【0016】
これによれば、貫通孔が、隣り合う一対の蓄電素子のガス排出弁の間に配置されているので、ガス排出弁から排出されたガスが貫通孔に直行しない。したがって、貫通孔からガスが漏れ出ることをより抑制することができる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の蓄電装置において、前記複数の蓄電素子及び前記排気部を覆うカバーを有し、前記カバーは、前記貫通孔につながる開口を有してもよい。
【0018】
これによれば、複数の蓄電素子及び排気部を覆うカバーには、貫通孔につながる開口が形成されているので、貫通孔及び開口を介して煙をカバー外に排出することができる。したがって、カバー内に熱が籠もることを抑制できる。
【0019】
(実施の形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0020】
以下の説明及び図面中において、蓄電装置の幅方向、1つの蓄電素子における一対(正極及び負極)の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。蓄電装置の長手方向、複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向をY軸方向と定義する。蓄電装置の高さ方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0021】
以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。本実施の形態では、Y軸方向プラス方向は後方であり、Y軸マイナス方向は前方であるものとする。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0022】
[蓄電装置]
本実施の形態における蓄電装置10の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0023】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及び化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0024】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置10は、Y軸方向に長尺の略直方体形状を有する電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、複数の蓄電素子11と、バスバーフレーム12と、排気部50と、複数のバスバー13と、これらを収容する外装体18と、を有している。蓄電装置10は、主回路配線の一部をなすケーブル30と検出線13aとを含んでいる。蓄電装置10は、複数の蓄電素子11を拘束する拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)等を有していてもよい。
【0025】
蓄電素子11は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子11は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、16個の蓄電素子11がY軸方向に並んで配列されている。なお、蓄電素子11の形状、配置位置及び個数等は、特に限定されない。蓄電素子11は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子11は、二次電池ではなく、一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子11は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子11は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。
【0026】
具体的には、蓄電素子11は、金属製の容器11aを備え、容器11aの上壁部11dには、金属製の電極端子である端子11b、11cが設けられている。端子11bは正極端子であり、端子11cは負極端子である。容器11aの上壁部11dには、容器11a内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁111が端子11b、11cの間に設けられている。蓄電素子11は、厚さ(Y軸方向の寸法)が、幅(X軸方向の寸法)よりも小さい扁平な直方体状の形状を有しており、上面視(Z軸方向視)において上壁部11dは長方形の形状を有している。蓄電素子11は、XZ平面に平行な長側面とYZ平面に平行な短側面を備えており、複数の蓄電素子11の長側面同士が対向するように配列している。複数の蓄電素子11は、それぞれのガス排出弁111が同一方向(Z軸プラス方向)を向く姿勢で配列されている。隣り合う蓄電素子11同士の間には、断熱性を有する平板状のスペーサ11eが配置されている。なお、容器11aの上壁部11dには、電解液を注液するための注液部等が設けられていてもよい。容器11aの内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0027】
ここで、端子11b、11cは、容器11aの上壁部11dから上方(Z軸プラス方向)に向けて突出して配置されている。そして、複数の蓄電素子11が有する最も外側の端子11b、11cが、ケーブル30に接続されることにより、蓄電装置10が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。
【0028】
ケーブル30は、蓄電装置10(蓄電素子11)を充放電するための電流(充放電電流、主電流ともいう)が流れる電線(電源ケーブル、電力ケーブル、電源線、電力線、主回路ケーブルともいう)であり、正極の正極電源ケーブル31と、負極の負極電源ケーブル32とを有している。つまり、複数の蓄電素子11のうちの、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の端子11bに、ケーブル30の正極電源ケーブル31が接続され、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の端子11cに、ケーブル30の負極電源ケーブル32が接続される。
【0029】
バスバーフレーム12は、バスバー13と他の部材との電気的な絶縁、及び、バスバー13の位置制限を行うことができる扁平な矩形状の部材である。バスバーフレーム12は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の絶縁部材により形成されている。具体的には、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11の上方に載置され、複数の蓄電素子11に対して位置決めされる。バスバーフレーム12上には、複数のバスバー13が載置されて位置決めされている。これにより、各バスバー13は、複数の蓄電素子11に対して位置決めされて、当該複数の蓄電素子11が有する端子11b、端子11cに接合される。バスバーフレーム12の詳細については後述する。
【0030】
排気部50は、バスバーフレーム12上に配置されており、各蓄電素子11のガス排出弁111から排出されたガスの排気経路59(
図5等参照)を構成している。排気部50のY軸プラス方向の一端部は、ガスが排出される排出口51であり、外装体18のY軸プラス方向の一端部から突出している。排気部50の詳細については後述する。
【0031】
各バスバー13は、複数の蓄電素子11上(バスバーフレーム12上)に配置され、複数の蓄電素子11の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー13は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル材等の金属で形成されている。本実施の形態では、バスバー13は、隣り合う蓄電素子11の正極端子(端子11b)と負極端子(端子11c)とを接続することで、16個の蓄電素子11を直列に接続している。複数のバスバー13は、X軸プラス方向側(一側方)でY軸方向に沿って配列された第一バスバー群と、X軸マイナス方向側(他側方)でY軸方向に沿って配列された第二バスバー群とに分けられる。なお、蓄電素子11の接続の態様は上記には限定されず、直列接続及び並列接続がどのように組み合わされていてもよい。
【0032】
バスバー13、または、蓄電素子11の電極端子には、検出線13aが接続されている。なお、これらの接続構造の図示は省略している。検出線13aは、各蓄電素子11の状態を検出するためのケーブルである。検出線13aは、蓄電素子11の電圧計測用、温度計測用、または、蓄電素子11間の電圧バランス用の電線(通信ケーブル、制御ケーブル、通信線、制御線ともいう)である。なお、バスバー13または蓄電素子11の電極端子には、蓄電素子11の温度を計測するためのサーミスタ(図示せず)が配置されているが、説明は省略する。検出線13aのY軸マイナス方向の端部には、コネクタ13bが接続されている。コネクタ13bは、図示しない基板ユニットの基板に接続されるコネクタである。
【0033】
基板ユニットは、蓄電装置10が有する蓄電素子11の状態の監視、及び、蓄電素子11の制御を行うことができる機器である。基板ユニットは、蓄電装置10の長手方向の端部、つまり、蓄電装置10のY軸マイナス方向の側面に取り付けられる。このように、検出線13aは、コネクタ13bを介して、蓄電素子11の電圧及び温度等の情報を、基板ユニットの基板に伝達する。検出線13aは、基板の制御によって、電圧が高い蓄電素子11を放電させて、蓄電素子11間の電圧をバランスさせる機能も有している。
【0034】
外装体18は、蓄電装置10の外装体を構成する矩形状(箱状)の筐体(モジュールケース)である。つまり、外装体18は、蓄電素子11等の外方に配置され、蓄電素子11等を所定の位置で固定し、衝撃などから保護する。ここで、外装体18は、外装体18の本体を構成する外装体本体14と、外装体本体14を支持する外装体支持体15と、外装体18の蓋体(外蓋)を構成する外装体蓋体17と、を有している。
【0035】
外装体本体14は、上面に開口が形成された有底矩形箱状のハウジングである。外装体本体14は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。外装体本体14は、これにより、蓄電素子11等が外部の金属部材等に接触することを回避する。蓄電素子11等の絶縁性が保たれる構成であれば、外装体本体14は、金属等の導電部材で形成されてもよい。外装体本体14は、複数の蓄電素子11、排気部50及びバスバーフレーム12などを収容している。
【0036】
外装体本体14内部の底部には蓄電素子11を支持する複数の仕切り壁部142が設けられている。隣り合う仕切り壁部142の間に蓄電素子11が挿入されて配列されている。このことにより、蓄電素子11の間隔が所定の間隔になるように位置決めされている。なお、蓄電素子11を外装体本体14に支持、位置決めする構成は他の構成であってもよい。外装体本体14は、側面にも側面開口部143を有している。この側面開口部143により、隣接する蓄電素子11の間の空間と蓄電装置10の外部の空間とが連通し、蓄電素子11を含む蓄電装置10の冷却に寄与している。外装体本体14におけるY軸プラス方向側の端部であって、その上部中央には排気部50の排出口51が貫通する切欠部141が形成されている。切欠部141は、上方が開放された矩形状の切欠である。
【0037】
外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を保護(補強)する外装部材である。外装体支持体15及び外装体蓋体17は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材により形成されている。なお、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0038】
外装体支持体15は、外装体本体14を下方(Z軸マイナス方向)から支持する部材であり、底部15aと、基板ユニット取付部16と、接続部15b、15cと、固定部15dとを有している。底部15aは、蓄電装置10の底部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延びた平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の下方に配置される。
【0039】
接続部15bは、底部15aのY軸マイナス方向の端部から外装体蓋体17に向けてZ軸プラス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、さらに、Z軸プラス方向の端部からY軸方向マイナス方向に突出する突出片を有している。接続部15bは、当該突出片において外装体蓋体17と接続される。接続部15bは、蓄電装置10の前方の側面の一部をなす。接続部15cは、底部15aのY軸プラス方向の端部から外装体蓋体17に向けてZ軸プラス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、さらにY軸プラス方向に突出する突出片を有している。接続部15cは当該突出片において外装体蓋体17と接続される。接続部15cは蓄電装置10の後方の側面の一部をなす。
【0040】
固定部15dは、底部15aのY軸マイナス方向の端部からZ軸マイナス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、蓄電装置10を図示しない棚などの構造体に固定する突出片である。固定部15dは、X軸方向において底部15aの中央部に配置されている。本実施の形態では、固定部15dと棚との固定にネジ止めを用いているが、固定及びその解除を自在に行えるのであれば固定方法は如何様でもよい。
【0041】
外装体蓋体17は、複数の蓄電素子11及び排気部50の上方を覆うカバーである。具体的には、外装体蓋体17は、外装体本体14の開口を塞ぐように配置される部材であり、天板部17aと、接続部17b、17cと、を有している。天板部17aは、蓄電装置10の上面部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延びた平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の上方に配置される。天板部17aにおいてX軸方向の中央には、Y軸方向に延びる矩形状の開口171が形成されている。開口171は、天板部17aのY軸マイナス方向の端部からY軸プラス方向の端部まで延びている。この開口171により排気部50の一部が蓄電装置10の外部に露出されることになる。
【0042】
接続部17bは、天板部17aのY軸マイナス方向の端部に配置され、外装体支持体15に向けて曲げられ、さらにY軸マイナス方向に突出する突出片を備え、外装体支持体15の接続部15bと接続される。接続部17cは、天板部17aのY軸プラス方向の端部からZ軸マイナス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位と、さらにY軸プラス方向に突出する突出片を有している。接続部17cは、当該突出片において外装体支持体15の接続部15cと接続される。接続部17cは蓄電装置10の後方の側面の一部をなす。このように、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を上下方向から挟み込んだ状態で、接続部15b、15cと接続部17b、17cとが各突出片においてネジ止め等で接続されることで固定される構成となっている。これにより、外装体本体14内に収容される各部材(バスバーフレーム12、複数の蓄電素子11及び排気部50)は、外装体支持体15及び外装体蓋体17によって上下方向で挟持されている。
【0043】
外装体蓋体17の接続部17cには、上端部(Z軸プラス方向側の端部)の中央に、排気部50の排出口51が貫通する排出口用開口(図示省略)が形成されている。排出口用開口は、排気部50の外形形状に対応した平面視形状を有している。排気部50の排出口51は、排出口用開口と、外装体本体14の切欠部141とを貫通することで外装体18から突出している。
【0044】
バスバーフレーム12には蓄電素子11の電極端子(端子11b、11c)、バスバー13、検出線13a等の通電部品が配置されている。このため、金属部品である外装体蓋体17との電気的絶縁を確保するべく、外装体蓋体17の天板部17aの裏面(下面)に絶縁板を配置してもよい。絶縁板は、天板部17aに対してネジ止めされていたり、貼付されていていてもよい。
【0045】
[バスバーフレーム]
次にバスバーフレーム12の詳細について説明する。
図3は、実施の形態に係る排気部50及びバスバーフレーム12の概略構成を示す分解斜視図である。具体的には、
図3は、排気部50及びバスバーフレーム12を上方から見た斜視図である。
【0046】
図3に示すように、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11上に配置されて、複数のバスバー13を保持するフレーム状の部材である。具体的には、バスバーフレーム12は、第一保持部71と、第二保持部72と、連結部73とを有している。ここで、複数の検出線13aのうち、第一保持部71で保持される複数の検出線13aを第一検出線と称す。複数の検出線13aのうち、第二保持部72で保持される複数の検出線13aを第二検出線と称す。
【0047】
第一保持部71は、バスバーフレーム12におけるX軸プラス方向側(一側方)の部位であり、第一バスバー群と正極電源ケーブル31と複数の第一検出線とを保持する部位である。複数の第一検出線は、各蓄電素子11におけるX軸プラス方向の電極端子または、第一バスバー群に含まれるバスバー13に接続されている。
【0048】
第一保持部71は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸プラス方向に配置されている。第一保持部71は、当該第一保持部71の外周を囲む第一外壁部711を有している。
【0049】
第一外壁部711は、Y軸方向に長尺な上面視矩形状の枠壁であり、その内部に第一バスバー群と正極電源ケーブル31と複数の第一検出線とが収容されている。第一外壁部711におけるY軸マイナス方向の端部には、一対の第一切欠711a、711bが形成されている。一方の第一切欠711aには、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線が貫通するように配置されている。他方の第一切欠711bには負極電源ケーブル32が貫通するように配置されている。
【0050】
第一外壁部711内において、X軸マイナス方向の端部領域は、Y軸方向に沿って貫通された第一ケーブル経路部715となっている。第一ケーブル経路部715は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第一バスバー群に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第一ケーブル経路部715は、バスバーフレーム12内において、第一バスバー群よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0051】
第一ケーブル経路部715には、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線が配置されている。第一ケーブル経路部715は、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線の配索経路をなしている。複数の第一検出線及び正極電源ケーブル31は、第一ケーブル経路部715内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0052】
第二保持部72は、バスバーフレーム12におけるX軸マイナス方向側(他側方)の部位である。第二保持部72は、第二バスバー群と、各蓄電素子11におけるX軸マイナス方向の電極端子、または、第二バスバー群に含まれるバスバー13に接続される複数の第二検出線とを保持している。
【0053】
第二保持部72は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸マイナス方向に配置されている。第二保持部72は、当該第二保持部72の外周を囲む第二外壁部721を有している。
【0054】
第二外壁部721は、Y軸方向に長尺な上面視矩形状の枠壁であり、その内部に第二バスバー群と複数の第二検出線とが収容されている。第二外壁部721におけるY軸マイナス方向の端部には、第二切欠721aが形成されている。第二切欠721aには、複数の第二検出線が貫通するように配置されている。
【0055】
第二外壁部721内においてX軸プラス方向の端部領域は、Y軸方向に沿って貫通された第二ケーブル経路部725である。第二ケーブル経路部725は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第二バスバー群に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第二ケーブル経路部725は、バスバーフレーム12内において、第二バスバー群よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0056】
第二ケーブル経路部725には、複数の第二検出線が配置されている。複数の第二検出線は、第二ケーブル経路部725内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0057】
連結部73は、第一保持部71と第二保持部72とを連結する部位である。具体的には、連結部73は、一端部が第一保持部71に連結され、他端部が第二保持部72に連結されたX軸方向に延びる複数の梁部731を有している。複数の梁部731は、Y軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。複数の梁部731上には、排気部50が配置されている。複数の梁部731のうち、Y軸マイナス方向の端部の梁部731は、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。Y軸プラス方向の端部の梁部731は、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。これら以外の梁部731は、隣り合う一対の蓄電素子11の間に配置されている。このように、複数の梁部731は、各蓄電素子11のガス排出弁111から退避した位置に配置されている。換言すると、各蓄電素子11のガス排出弁111は、上面視で複数の梁部731の間から露出された状態となっている。
【0058】
[排気部]
図3に示すように、排気部50は、排気部材60と、蓋部材65とを有している。排気部材60と蓋部材65とは排気経路59を形成している。
【0059】
排気部材60は、全体としてバスバーフレーム12に収納された状態で、各蓄電素子11のガス排出弁111の直上に配置されている。排気部材60は、底壁部61と、一対の第一壁部62とを備えている。
【0060】
底壁部61は、XY平面に平行なかつY軸方向に延びた矩形状の壁部である。底壁部61においてX軸方向の中央部には、各蓄電素子11のガス排出弁111を露出させる複数の孔部611が形成されている。各孔部611は、各ガス排出弁111から排出されたガス及び煙を排気経路59内に導入する部位である。
【0061】
一対の第一壁部62は、底壁部61のX軸方向の両端部から立設した壁部である。排気部材60のY軸方向の長さは、外装体本体14のY軸方向の全長に対応した長さとなっている。このため、排気部材60は、全体を外装体本体14内に収めることができる。排気部材60は、蓄電素子11から排出される高温のガス及び高温の煙の排気経路59となるため、耐熱性の高い樹脂から形成されている。
【0062】
図3に示すように、蓋部材65は、排気部材60の上方に配置されており、排気部材60の開放部分を閉塞し、排気経路59の上方を覆っている。具体的には、蓋部材65は、金属製であり、排気部材60よりも放熱性が高い。蓋部材65は、Y軸方向視で下方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な部材である。蓋部材65は、排気部材60内に収容されている。蓋部材65のY軸方向の長さは、排気部材60のY軸方向の全長よりも長い。このため、蓋部材65のY軸プラス方向の他端部を排気部材60から突出させることができる。
【0063】
蓋部材65のY軸プラス方向の他端部は、排気部材60から突出した状態で下方及び先端が開放されている。一方、蓋部材65のY軸マイナス方向の一端部は、前方壁部659によって閉塞されている。この前方壁部659は、XZ平面に平行な平板状かつ矩形状の部位であり、排気部材60のY軸マイナス方向の基端部677を外方から覆っている。つまり、蓋部材65の前方壁部659と、排気部材60の基端部677とで、Y軸マイナス方向の一端部からのガスの漏出を防止し、確実に排出口51からガスを排出できる。蓋部材65は、排気部材60内に収容された状態で、排気部材60とともにガスの排気経路59を構成している。前述した蓋部材65の他端部における開放された部位からはガスが排出される。つまり、蓋部材65の他端部はガスが排出される排出口51である。これにより、排出口51は、ガスの進行方向視(Y軸方向視)でU字状となっている。具体的には、排出口51は、開放部が下方を向くU字状となっている。上述したように、蓋部材65における排出口51は、外装体蓋体17の排出口用開口と、外装体本体14の切欠部141とを貫通することで外装体18から突出している。このため、排出口51は、複数の蓄電素子11に対し、当該複数の蓄電素子11の並び方向(Y軸方向)の外方に配置されている。
【0064】
蓋部材65は、蓋部651と、一対の第二壁部652とを備えており、これらによってY軸方向視でU字状の外形をなしている。蓋部651は、下方が開放された壁部である。蓋部651は、外装体蓋体17の天板部17aに対して取り付けられ、蓋部材65と外装体蓋体17とが一体化されている。蓋部651には、排気部50の内部と、蓄電装置10の外部とをつなぐ複数の貫通孔653が形成されている。複数の貫通孔653は、Y軸方向に沿って配列されている。各貫通孔653は、天板部17aの開口171内に配置されることで、当該天板部17aから露出している。つまり、天板部17aの開口171は各貫通孔653に空間的につながっている。開口171によって各貫通孔653が蓄電装置10の外部に露出されている。これにより、各貫通孔653が、排気部50の内部(排気経路59)と、蓄電装置10の外部空間とをつないでいる。
【0065】
図4は、実施の形態に係る貫通孔653と、蓄電素子11のガス排出弁111との位置関係を示す上面図である。
図4は、ガス排出弁111を平面視した図である。
図4では、1つの貫通孔653と隣り合う一対の蓄電素子11とを図示しているが、他の貫通孔653と、他の隣り合う一対の蓄電素子11においても同様である。
図4に示すように、ガス排出弁111の平面視において、貫通孔653は、ガス排出弁111に重ならない位置に配置されている。具体的には、貫通孔653は、隣り合う一対の蓄電素子11の間に配置されている。つまり、貫通孔653は、バスバーフレーム12の梁部731上に配置されている。
【0066】
図3に示すように、一対の第二壁部652は、蓋部651におけるX軸方向の両端部から下方に向けて延びている。具体的には、各第二壁部652は、YZ平面に平行かつY軸方向に延びた板状かつ矩形状の壁部である。各第二壁部652は、排気部材60の一対の第一壁部62に対してX軸方向の内方で隣接するように収容されている。この状態においては、蓋部材65の蓋部651は、排気部材60の一対の第一壁部62よりも上方に配置されている。このため、蓋部材65の蓋部651が、外装体蓋体17の天板部17aによって下方に向けて押されている。この圧力によって、蓋部材65の一対の第二壁部652が、排気部材60の底壁部61に押し当てられている。蓄電素子11のガス排出弁111からガスが噴出した場合には、蓋部材65がガスを受けるために蓋部材65が浮くおそれもある。蓋部材65が外装体蓋体17から下方への圧力を受けているので、ガスの噴出を起因とした蓋部材65の浮きを抑制することができる。
【0067】
[ガス排出弁が開弁した際の説明]
次に、蓄電素子11のガス排出弁111が開弁した際について説明する。蓄電素子11が過剰に高温化すると、蓄電素子11の内部にガスが発生して内圧が上昇する。内圧上昇によりガス排出弁111が開弁すると、まず、ガスがガス排出弁111から噴出する。
図5は、実施の形態に係る蓄電素子11のガス排出弁111からガスが噴出した状態を示す説明図である。
図5ではガスを矢印で図示している。このガスは、排気部50の孔部611から排気経路59内に導入される。上記したように、ガス排出弁111の平面視で蓋部材65の貫通孔653がガス排出弁111に重ならない位置に配置されているので、孔部611から排気経路59内に導入されたガスが直接的に貫通孔653に進入せずに、蓋部材65の蓋部651にあたることで進行方向を変える。これにより、ガスは排気経路59内を移動して排出口51から排出される。このとき、ガスは排気経路59内を勢いよく流れるために、各貫通孔653から排気部50外に漏れにくくなっている。さらに1つの貫通孔653の開口面積は、排出口51の開口面積よりも小さいので、ガスが各貫通孔653から漏れ出ることをより確実に抑制できる。1つの貫通孔653の開口面積は、当該貫通孔653を平面視した場合(Z軸方向視)の貫通孔653がなす面積である。排出口51の開口面積は、当該排出口51を平面視した場合(Y軸方向視)の排出口51がなす面積である。全ての貫通孔653の開口面積の合計値をA1とし、排出口51の開口面積をA2とした場合、A1/A2<1/2であることが、ガス漏れ抑制の観点で好ましい。
【0068】
ガス排出弁111からガスが噴出しきると、ガス排出弁111からは煙が発生する。
図6は、実施の形態に係る蓄電素子11のガス排出弁111から煙が噴出した状態を示す説明図である。
図6では煙をドットハッチングで図示している。煙は、ガスと比較して勢いが弱いために排出口51に向かいにくく排気経路59内で留まりやすい。煙は、高温であるので排気経路59内では上部、つまり蓋部651に沿って徐々に広がり、貫通孔653に到達する。これにより、煙は、貫通孔653から排気部50の外部へと排出される。排気部50の外部へと排出された煙は、外装体蓋体17の開口171を介して蓄電装置10外に排出される。これにより、煙を起因とした排気経路59内の高温化を抑制できる。
【0069】
[効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置10によれば、排気部50の蓋部651(壁部)には、当該排気部50の内部と蓄電装置10の外部とをつなぐ貫通孔653が設けられているので、この貫通孔653によって煙を排出することができる。これにより、排気経路59内での高温化を抑制できるので、正常な蓄電素子11に伝わる熱量を抑制できる。したがって、正常な蓄電素子11に対する熱影響を抑制できる。
【0070】
貫通孔653の開口面積が排出口51の開口面積よりも小さいので、ガスの噴出時に貫通孔653からガスが漏れ出ることを抑制できる。したがって、排出口51からガスをより確実に排出することができる。
【0071】
ガス排出弁111の平面視で貫通孔653がガス排出弁111に重ならない位置に配置されているので、ガス排出弁111から排出されたガスが貫通孔653に直行しない。したがって、貫通孔653からガスが漏れ出ることをより抑制することができる。
【0072】
貫通孔653が、隣り合う一対の蓄電素子11の間に配置されているので、ガス排出弁111から排出されたガスが貫通孔653に直行しない。したがって、貫通孔653からガスが漏れ出ることをより抑制することができる。
【0073】
複数の蓄電素子11及び排気部50を覆う外装体蓋体17(カバー)には、貫通孔653につながる開口171が形成されているので、貫通孔653及び開口171を介して煙を外装体蓋体17外に排出することができる。したがって、外装体蓋体17内に熱が籠もることを抑制できる。
【0074】
(その他)
以上、上記実施の形態に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0075】
例えば、上記実施の形態では、隣り合う全ての対の蓄電素子11の間に貫通孔653が設けられている場合を例示した。しかしながら貫通孔は、排気部に対して少なくとも1つ設けられていればよい。
【0076】
上記実施の形態では、隣り合う一対の蓄電素子11の間に貫通孔653が配置されている場合を例示した。しかしながら、排気経路を構成する壁部であれば如何なる箇所に貫通孔が配置されていてもよい。
図7は、変形例に係る貫通孔の設置箇所の例を示す上面図である。
図7は
図4に対応する図である。
図7に示すように、ガス排出弁111の平面視で蓄電素子11に重なるもののガス排出弁111には重ならない設置箇所P1、P2に貫通孔が配置されていてもよい。この場合においても、ガス排出弁111から噴出したガスが貫通孔に直行せずに好適である。なお、ガス排出弁111の平面視でガス排出弁111に重なる設置箇所P3に貫通孔が配置されてもよい。
【0077】
上記実施の形態では、排気経路59を構成する壁部の一例である蓋部651に貫通孔653が設けられている場合を例示した。しかしながら、貫通孔が蓄電装置の外部につながるのであれば排気経路を構成する他の壁部(排気部材の底壁部及び第一壁部、蓋部材の第二壁部及び前方壁部等)に貫通孔を形成してもよい。
【0078】
上記実施の形態では、排気部50が排気部材60と蓋部材65との二部材で構成されている場合を例示した。しかしながら排気部は例えば筒状の一部材で構成されていてもよい。
【0079】
上記実施の形態では、カバーの一例として、貫通孔653につながる開口171を備えた外装体蓋体17を例示した。しかしながら、カバーは開口を有していなくてもよい。この場合であっても、煙はカバーと他の部材との隙間から外部へ排出させることが可能である。
【0080】
上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
10 蓄電装置
11 蓄電素子
11a 容器
11b、11c 端子
11d 上壁部
11e スペーサ
12 バスバーフレーム
13 バスバー
13a 検出線
13b コネクタ
14 外装体本体
15 外装体支持体
15a 底部
15b、15c、17b、17c 接続部
15d 固定部
16 基板ユニット取付部
17 外装体蓋体(カバー)
17a 天板部
18 外装体
30 ケーブル
31 正極電源ケーブル
32 負極電源ケーブル
50 排気部
51 排出口
59 排気経路
60 排気部材
61 底壁部
62 第一壁部
65 蓋部材
71 第一保持部
72 第二保持部
73 連結部
111 ガス排出弁
141 切欠部
142 仕切り壁部
143 側面開口部
171 開口
611 孔部
651 蓋部(壁部)
652 第二壁部
653 貫通孔
659 前方壁部
677 基端部
711 第一外壁部
711a、711b 第一切欠
715 第一ケーブル経路部
721 第二外壁部
721a 第二切欠
725 第二ケーブル経路部
731 梁部
P1、P2、P3 設置箇所