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特開2024-49811HSTレバーとブレーキペダルの連動機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049811
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】HSTレバーとブレーキペダルの連動機構
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240403BHJP
   B60K 17/10 20060101ALI20240403BHJP
   B60T 7/04 20060101ALN20240403BHJP
   F16H 59/08 20060101ALN20240403BHJP
   F16H 59/54 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
B60K20/02 H
B60K17/10 C
B60T7/04 C
F16H59/08
F16H59/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156272
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】小山内 悠平
【テーマコード(参考)】
3D040
3D042
3D124
3J552
【Fターム(参考)】
3D040AA22
3D040AB04
3D040AB08
3D040AC29
3D040AE09
3D040AF08
3D042AA05
3D042AB07
3D042AB11
3D042BA02
3D042BD09
3D124AA32
3D124BB15
3D124CC31
3D124DD61
3J552MA10
3J552NA05
3J552NB01
3J552PA47
3J552QC10
3J552TB02
3J552TB13
3J552UA05
3J552VA62Z
3J552VB16W
3J552VD11W
(57)【要約】
【課題】ブレーキペダルの操作に連動して必要とされるHSTレバーの操作を省き、手間のかからないHSTレバーとブレーキペダルの連動機構を提供する。
【解決手段】HSTレバー52を回動してHST25により車両2が前進状態又は後進状態にあるときに、ブレーキペダル60を踏みこむと、HSTレバー52を回動位置に保持した状態で、HST25を中立状態とし、ブレーキペダル60の踏み込みを解除すると、HST25を、ブレーキペダル60を踏みこむ前の状態に戻し、運転手がHSTレバー52を別途操作することなく保持したままで、車両2を引き続き前進又は後進させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)のHST(25)を操作するためのHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)であって、
回動することにより、前記車両(2)を前進させる前進状態と、前記車両(2)に動力を伝達しない中立状態と、前記車両(2)を後進させる後進状態との何れかに前記HST(25)を制御する前記HSTレバー(52)と、
前記車両(2)の制動を制御する前記ブレーキペダル(60)と、を備え、
前記HSTレバー(52)が回動し、前記HST(25)により前記車両(2)を前進させる前進状態又は後進させる後進状態にあるときに、前記ブレーキペダル(60)が踏みこまれると、前記HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、前記HST(25)を中立状態とし、前記ブレーキペダル(60)の踏み込みが解除されると、前記HST(25)を、前記ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の状態に戻すことを特徴とするHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)。
【請求項2】
前記HSTレバー(52)と共に回動する回動軸(65)及びレバー側ブラケット(57)と、
前記回動軸(65)周りに回動可能に支持されると共に、一端が前記HST(25)に接続され、他端が前記レバー側ブラケット(57)の径方向外側に位置し前記ブレーキペダル(60)の踏み込みに連動するブレーキ側ブラケット(67)と、
前記レバー側ブラケット(57)と前記ブレーキ側ブラケット(67)同士を付勢力により連結し、前記ブレーキペダル(60)が踏みこまれていないときには、前記HSTレバー(52)の回動による前記レバー側ブラケット(57)の回動に伴い前記ブレーキ側ブラケット(67)を回動させる付勢部材(66)と、
前記HSTレバー(52)の回動により前記レバー側ブラケット(57)及び前記ブレーキ側ブラケット(67)が回動した状態で、前記ブレーキペダル(60)が踏みこまれると、前記HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、前記ブレーキ側ブラケット(67)のみを前記付勢部材(66)の付勢力に抗して前記レバー側ブラケット(57)に対して回動させ、前記HST(25)を中立状態とするHST中立位置機構(63)と、を備え、
前記HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、前記ブレーキペダル(60)の踏みこみが解除されると、前記付勢部材(66)の付勢力により前記ブレーキ側ブラケット(67)が回動して前記ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の位置に戻り、前記HST(25)を、前記ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の状態に戻すことを特徴とする請求項1記載のHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)。
【請求項3】
前記付勢部材(66)は、前記回動軸(65)に巻装された捩りコイルバネ(66)であり、
前記レバー側ブラケット(57)と前記ブレーキ側ブラケット(67)には、回動軸心方向に並設されると共に回動軸心方向に直交する方向へ延びる第1の長孔(69)、第2の長孔(70)がそれぞれ設けられ、
前記捩りコイルバネ(66)の一端側が、前記レバー側ブラケット(57)及び前記ブレーキ側ブラケット(67)の前記第1の長孔(69,69)同士に通されると共に、前記捩りコイルバネ(66)の他端側が、前記レバー側ブラケット(57)及び前記ブレーキ側ブラケット(67)の前記第2の長孔(70,70)同士に通され、
前記ブレーキペダル(60)が踏みこまれていないときには、前記第1の長孔(69,69)の長手方向一方側の端部が、前記捩りコイルバネ(66)の前記一端側に当接すると共に、前記第2の長孔(70,70)の長手方向他方側の端部が、前記捩りコイルバネ(66)の前記他端側に当接することを特徴とする請求項2記載のHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)。
【請求項4】
前記付勢部材(66)は、前記回動軸(65)に巻装された捩りコイルバネ(66)であり、
前記レバー側ブラケット(57)と前記ブレーキ側ブラケット(67)には、回動軸心方向に並設されると共に回動軸心方向に直交する方向へ延びる第1の長孔(69)、第2の長孔(70)がそれぞれ設けられ、
前記捩りコイルバネ(66)の一端側が、前記レバー側ブラケット(57)及び前記ブレーキ側ブラケット(67)の前記第1の長孔(69.69)同士に通されると共に、前記捩りコイルバネ(66)の他端側が、前記レバー側ブラケット(57)及び前記ブレーキ側ブラケット(67)の前記第2の長孔(70,70)同士に通され、
前記ブレーキペダル(60)が踏みこまれていないときには、前記レバー側ブラケット(57)の前記第1の長孔(69)の長手方向一方側の端部に、前記捩りコイルバネ(66)の前記一端側が当接すると共に、前記レバー側ブラケット(57)の前記第2の長孔(70)の長手方向他方側の端部に、前記捩りコイルバネ(66)の前記他端側が当接し、且つ、前記ブレーキ側ブラケット(67)に設けられた高さ調整可能な第1の調整部材(71)が、当該ブレーキ側ブラケット(67)の前記第1の長孔(69)を通された前記捩りコイルバネ(66)の前記一端側に、前記捩りコイルバネ(66)の付勢力に抗する側から当接すると共に、前記ブレーキ側ブラケット(67)に設けられた高さ調整可能な第2の調整部材(72)が、当該ブレーキ側ブラケット(67)の前記第2の長孔(70)を通された前記捩りコイルバネ(66)の前記他端側に、前記捩りコイルバネ(66)の付勢力に抗する側から当接することを特徴とする請求項2記載のHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)。
【請求項5】
前記ブレーキ側ブラケット(67)に、ダンパ(81)を接続したことを特徴とする請求項2記載のHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)。
【請求項6】
前記付勢部材(66)は、上下方向に並設され、前記レバー側ブラケット(57)と前記ブレーキ側ブラケット(67)とを接続する引っ張りバネであることを特徴とする請求項2又は5記載のHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HSTレバーとブレーキペダルの連動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に記載されている乗用管理機では、静油圧式変速機(Hydraulic Static Transmission、以下、HSTという)が用いられている。HSTは、エンジンの動力を用いて油圧を発生させ、その油圧により車輪に回転駆動力を供給して、車両を走行させる機構である。HSTレバー(変速レバー)が操作されることにより、車両を前進させる前進状態と、車両(駆動輪)に動力を伝達しない中立状態と、車両を後進させる後進状態とのいずれかにHSTが制御される。特許文献1では、車両の制動を制御するブレーキペダルとHSTレバーが連動しているため、運転手がブレーキペダルを踏みこむと、HSTが中立状態となるように、HSTレバーが中立位置へ回動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-127064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ブレーキペダルとHSTレバーが連動しているため、車両前進時又は車両後進時にあってブレーキペダルを踏みこむと、HSTレバーから手を離してHSTレバーを中立位置へ回動させ、ブレーキペダルの踏み込みを解除したら、再度HSTレバーを、ブレーキペダルの踏みこみ前の位置に回動させなければならず、HSTレバー操作に手間がかかり、改善が求められている。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、ブレーキペダルの操作に連動して必要とされるHSTレバーの操作を省き、手間のかからないHSTレバーとブレーキペダルの連動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)は、車両(2)のHST(25)を操作するためのHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)であって、回動することにより、車両(2)を前進させる前進状態と、車両(2)に動力を伝達しない中立状態と、車両(2)を後進させる後進状態との何れかにHST(25)を制御するHSTレバー(52)と、車両(2)の制動を制御するブレーキペダル(60)と、を備え、HSTレバー(52)が回動し、HST(25)により車両(2)を前進させる前進状態又は後進させる後進状態にあるときに、ブレーキペダル(60)が踏みこまれると、HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、HST(25)を中立状態とし、ブレーキペダル(60)の踏み込みが解除されると、HST(25)を、ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の状態に戻すことを特徴としている。
【0007】
このようなHSTレバー(52)とブレーキペダル(60)の連動機構(100)によれば、HSTレバー(52)を回動してHST(25)により車両(2)が前進状態又は後進状態にあるときに、ブレーキペダル(60)が踏みこまれると、HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、HST(25)が中立状態とされ、ブレーキペダル(60)の踏み込みが解除されると、HST(25)が、ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の状態に戻されるため、運転手はHSTレバー(52)を別途操作することなく保持したままで、車両を引き続き前進又は後進できる。
【0008】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、HSTレバー(52)と共に回動する回動軸(65)及びレバー側ブラケット(57)と、回動軸(65)周りに回動可能に支持されると共に、一端がHST(25)に接続され、他端がレバー側ブラケット(57)の径方向外側に位置しブレーキペダル(60)の踏み込みに連動するブレーキ側ブラケット(67)と、レバー側ブラケット(57)とブレーキ側ブラケット(67)同士を付勢力により連結し、ブレーキペダル(60)が踏みこまれていないときには、HSTレバー(52)の回動によるレバー側ブラケット(57)の回動に伴いブレーキ側ブラケット(67)を回動させる付勢部材(66)と、HSTレバー(52)の回動によりレバー側ブラケット(57)及びブレーキ側ブラケット(67)が回動した状態で、ブレーキペダル(60)が踏みこまれると、HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、ブレーキ側ブラケット(67)のみを付勢部材(66)の付勢力に抗してレバー側ブラケット(57)に対して回動させ、HST(25)を中立状態とするHST中立位置機構(63)と、を備え、HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、ブレーキペダル(60)の踏みこみが解除されると、付勢部材(66)の付勢力によりブレーキ側ブラケット(67)が回動してブレーキペダル(60)を踏みこむ前の位置に戻り、HST(25)を、ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の状態に戻す構成が挙げられる。
【0009】
また、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、付勢部材(66)は、回動軸(65)に巻装された捩りコイルバネ(66)であり、レバー側ブラケット(57)とブレーキ側ブラケット(67)には、回動軸心方向に並設されると共に回動軸心方向に直交する方向へ延びる第1の長孔(69)、第2の長孔(70)がそれぞれ設けられ、捩りコイルバネ(66)の一端側が、レバー側ブラケット(57)及びブレーキ側ブラケット(67)の第1の長孔(69,69)同士に通されると共に、捩りコイルバネ(66)の他端側が、レバー側ブラケット(57)及びブレーキ側ブラケット(67)の第2の長孔(70,70)同士に通され、ブレーキペダル(60)が踏みこまれていないときには、第1の長孔(69,69)の長手方向一方側の端部が、捩りコイルバネ(66)の一端側に当接すると共に、第2の長孔(70,70)の長手方向他方側の端部が、捩りコイルバネ(66)の他端側に当接する構成が挙げられる。
【0010】
このような構成によれば、ブレーキペダル(60)が踏みこまれていないときには、捩りコイルバネ(66)により、HSTレバー(52)の回動によるレバー側ブラケット(57)の回動に伴いブレーキ側ブラケット(67)が回動し、HSTレバー(52)の回動によりレバー側ブラケット(57)及びブレーキ側ブラケット(67)が回動した状態で、ブレーキペダル(60)が踏みこまれると、HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、ブレーキ側ブラケット(67)のみが捩りコイルバネ(66)の付勢力に抗してレバー側ブラケット(67)に対して回動し、HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、ブレーキペダル(60)の踏みこみが解除されると、捩りコイルバネ(66)の付勢力によりブレーキ側ブラケット(67)が回動してブレーキペダル(60)を踏みこむ前の位置に戻り、HST(25)を、ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の状態に戻すことができる。
【0011】
また、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、付勢部材(66)は、回動軸(65)に巻装された捩りコイルバネ(66)であり、レバー側ブラケット(57)とブレーキ側ブラケット(67)には、回動軸心方向に並設されると共に回動軸心方向に直交する方向へ延びる第1の長孔(69)、第2の長孔(70)がそれぞれ設けられ、捩りコイルバネ(66)の一端側が、レバー側ブラケット(57)及びブレーキ側ブラケット(67)の第1の長孔(69,69)同士に通されると共に、捩りコイルバネ(66)の他端側が、レバー側ブラケット(57)及びブレーキ側ブラケット(67)の第2の長孔(70,70)同士に通され、ブレーキペダル(60)が踏みこまれていないときには、レバー側ブラケット(57)の第1の長孔(69)の長手方向一方側の端部に、捩りコイルバネ(66)の一端側が当接すると共に、レバー側ブラケット(57)の第2の長孔(70)の長手方向他方側の端部に、捩りコイルバネ(66)の他端側が当接し、且つ、ブレーキ側ブラケット(67)に設けられた高さ調整可能な第1の調整部材(71)が、当該ブレーキ側ブラケット(67)の第1の長孔(69)を通された捩りコイルバネ(66)の一端側に、捩りコイルバネ(66)の付勢力に抗する側から当接すると共に、ブレーキ側ブラケット(67)に設けられた高さ調整可能な第2の調整部材(72)が、当該ブレーキ側ブラケット(67)の第2の長孔(70)を通された捩りコイルバネ(66)の他端側に、捩りコイルバネ(66)の付勢力に抗する側から当接する構成が挙げられる。
【0012】
このような構成によれば、ブレーキ側ブラケット(67)の第1の長孔(69)の端部と捩りコイルバネ(66)の一端側との間、ブレーキ側ブラケット(67)の第2の長孔(70)の端部と捩りコイルバネ(66)の他端側との間に製造誤差等により隙間が生じていると、レバー側ブラケット(57)とブレーキ側ブラケット(67)が同期回転せず、HSTレバー(52)の回動とHST(25)の連動にずれが生じてしまうが、捩りコイルバネ(66)の一端側と第1の調整部材(71)、捩りコイルバネ(66)の他端側と第2の調整部材(72)とが当接するため、HSTレバー(52)の回動とHST(25)の連動にずれが生じることが防止される。
【0013】
また、ブレーキ側ブラケット(67)に、ダンパ(81)を接続していると、HSTレバー(52)を回動位置に保持した状態で、レバー側ブラケット(57)に付勢部材(66)により連結・保持されたブレーキ側ブラケット(67)が、付勢部材(66)の付勢力により、回動してブレーキペダル(60)を踏みこむ前の位置に戻る際に、HST(25)を、ブレーキペダル(60)を踏みこむ前の状態に急激に戻すことを防止できる。
【0014】
また、上記作用を効果的に奏する他の構成としては、具体的には、付勢部材(66)は、上下方向に並設され、レバー側ブラケット(57)とブレーキ側ブラケット(67)とを接続する引っ張りバネであると、引っ張りバネの付勢力により、レバー側ブラケット(57)とブレーキ側ブラケット(67)を連結でき、前述した作用を好適に実施できる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、ブレーキペダルの操作に連動して必要とされるHSTレバーの操作を省き、手間のかからないHSTレバーとブレーキペダルの連動機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るHSTレバーとブレーキペダルの連動機構を備えたブームスプレーヤを示す側面図である。
図2】ブームスプレーヤに搭載されるHSTレバーとブレーキペダルの連動機構、及び、HSTを示す斜視図である。
図3図2中のHSTレバーとブレーキペダルの連動機構を示す斜視図であり、HSTレバーが中立位置、ブレーキペダルが踏みこまれHSTが中立状態にあるときの斜視図である。
図4図3中の捩りコイルバネ、レバー側ブラケット、ブレーキ側ブラケット、及び、HST中立位置機構を拡大して示す斜視図である。
図5】HSTレバーが回動して前進位置に位置し、ブレーキペダルの踏みこみが解除されHSTが前進状態にあるときの斜視図である。
図6図5に続く斜視図であり、HSTレバーが前進位置に保持され、ブレーキペダルが踏みこまれHSTが中立状態にあるときの斜視図である。
図7図6に続く斜視図であり、HSTレバーが前進位置に保持され、ブレーキペダルの踏みこみが解除されHSTが前進状態にあるときの斜視図である。
図8】HSTレバーが回動して後進位置に位置し、ブレーキペダルの踏みこみが解除されHSTが後進状態にあるときの斜視図である。
図9図8に続く斜視図であり、HSTレバーが後進位置に保持され、ブレーキペダルが踏みこまれHSTが中立状態にあるときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1に示されるように、乗用管理機としての自走式ブームスプレーヤ1は、車両2と、薬液散布装置であるブームノズル装置3とから構成されている。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、特に断らない限り、車両2を基準とする。
【0019】
車両2は、前後方向に長い矩形状の車体フレーム4を有している。車体フレーム4の前部および後部には、車両2の幅方向に延びる車軸から上下方向に延びるナックル8a,9aを介して、前後の車輪6,7がそれぞれ取り付けられている。自走式ブームスプレーヤ1では、これらの前後の車輪6,7の駆動回転により、4輪駆動の走行が可能となっている。
【0020】
車体フレーム4の前端部には、4節リンク装置13が前方に延びるように設置されている。ブームノズル装置3は、4節リンク装置13を介して、車体フレーム4によって支持されている。この4節リンク装置13が油圧シリンダ14の伸縮動作により作動されることで、4節リンク装置13の前側リンクに固定されたブームノズル装置3のセンターブーム16が昇降移動されるようになっている。これにより、ブームノズル装置3の上下方向の位置が調節される。
【0021】
ブームノズル装置3のセンターブーム16は、車体フレーム4の左右方向に延びている。センターブーム16の左右両端部には、サイドブーム17,17がそれぞれ連結されている。サイドブーム17,17は、センターブーム16の両端部を回転中心として、センターブーム16に対して回転可能である。センターブーム16および各サイドブーム17には、それぞれノズルパイプが取り付けられており、各ノズルパイプには、ノズル20が等間隔に設けられている。
【0022】
車体フレーム4には、その前後方向の中央部において、薬液タンク10が配設されている。薬液タンク10の前端部の中央には、凹部が形成されており、この凹部に運転席11が設けられている。また、車体フレーム4の前端部には、運転席11の前側に間隔をおいて、運転操作のための操作機器および薬液(薬液)散布のための操作機器を備えた操作部12が配設されている。車体フレーム4には、薬液タンク10の後方側にエンジン部15が配設されている。エンジン部15には、エンジン21が収容されている。
【0023】
操作部12には、ステアリングホイール51と、副変速レバー53と、HSTレバー(主変速レバー)52とが設けられている。副変速レバー53は、車体フレーム4の下側に配置された副変速機24に接続されている。副変速レバー53により副変速機24が操作されることによって、高速、中速及び低速への変速が可能になっている。HSTレバー52は、図2に示すように、後述のレバー側ブラケット57、捩りコイルバネ66、ブレーキ側ブラケット67を介して、エンジン21の動力を副変速機24に伝達するためのHST25(図2参照)に接続されている。HST25は、エンジン21の動力を用いて油圧を発生させ、その油圧により車輪6,7に回転駆動力を供給して、車両2を走行させる機構である。HSTレバー52が操作されることにより、車両2を前進させる前進状態と、車両2(駆動輪)に動力を伝達しない中立状態と、車両2を後進させる後進状態とのいずれかにHST25が制御される。
【0024】
続いて、図2図4を参照して、HSTレバー52とブレーキペダル60の連動機構100について詳細に説明する。HSTレバー52とブレーキペダル60の連動機構100は、HST25を操作するためのHSTレバー52と、車両2の制動を制御するブレーキペダル60と、HST25を中立状態とするためのHST中立位置機構63等を備える。
【0025】
HSTレバー52は長尺に構成され、ブレーキペダル60が踏みこまれ、HST25が中立状態にあるときに、図2及び図3に示すように、直立し中立位置に位置する。HSTレバー52の下部は、ブラケット64等を介して、車両側固定軸に回動可能に支持された回動軸65に連結・固定されている。この回動軸65には、図2図4に示すように、付勢部材である捩りコイルバネ66が巻装されている。また、ブラケット64には側方へ突出する平板状のレバー側ブラケット57が固定されている。従って、HSTレバー52を前後(紙面左右方向)に回動すると、HSTレバー52と共に回動軸65及びレバー側ブラケット57が回動する。
【0026】
回動軸65には、回動軸65周りに回動可能に平板状のブレーキ側ブラケット67が支持されている。ブレーキ側ブラケット67は、捩りコイルバネ66よりブラケット64側(内方)へ配置され、車両前後方向へ長尺をなしている。ブレーキ側ブラケット67の一端(前側)は側方へ突出しプッシュプルワイヤ68を介してHST25に接続され(図2参照)、他端(後側)は一端と同様に側方へ突出している。ブレーキ側ブラケット67の他端は、レバー側ブラケット57より回動軸65の径方向外側に位置している。
【0027】
レバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67の他端には、回動軸65の軸心方向に並設されると共に、回動軸65の軸心方向に直交する方向へ延びる第1の長孔69、第2の長孔70がそれぞれ設けられている。レバー側ブラケット57及びブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69,69同士には、捩りコイルバネ66の一端側が通されている。レバー側ブラケット57及びブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70,70同士には、捩りコイルバネ66の他端側が通されている。
【0028】
図5図7図8を参照すれば、ブレーキペダル60が踏みこまれていないときには、レバー側ブラケット57の第1の長孔69の一方側(下側)の端部に、捩りコイルバネ66の一端側が当接すると共に、レバー側ブラケット57の第2の長孔70の他方側(上側)の端部に、捩りコイルバネ66の他端側が当接した状態になっている。
【0029】
また、ブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69の下方には後方へ延びる突部が突設され、この突部に設けられた雌螺子及び当該雌螺子に螺合するボルトにより、高さ調整可能な第1の調整部材71が構成されている。ブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70の上方には後方へ延びる突部が突設され、この突部に設けられた雌螺子及び当該雌螺子に螺合するボルトにより、高さ調整可能な第2の調整部材72が構成されている。
【0030】
この状態で、第1の調整部材71のボルト頭部が、ブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69を通された捩りコイルバネ66の一端側に、捩りコイルバネ66の付勢力に抗する側から当接し、第2の調整部材72のボルト頭部が、ブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70を通された捩りコイルバネ66の他端側に、捩りコイルバネ66の付勢力に抗する側から当接した状態となっている。すなわち、ブレーキペダル60が踏みこまれていないときには、レバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67は、捩りコイルバネ66の付勢力により一体的に保持され、共に回動可能となっている。
【0031】
また、ブレーキ側ブラケット67の内方側(図示奥側)の中央には、ブレーキ側ブラケット67の姿勢を制御するためのピン80が取り付けられている。
【0032】
図2に示すように、ブレーキペダル60には、ブレーキワイヤ73を介して、HST25を中立状態とするためのHST中立位置機構63が接続されている。図4に示すように、HST中立位置機構63は、車両側に固定された固定ピン74に回動可能に支持された上側プレート75と、固定ピン74の下方に配置された固定ピン85に回動可能に支持された下側プレート76と、を備え、下側プレート76の下部の突部にブレーキワイヤ73が接続されている。ブレーキワイヤ73のインナーワイヤ77は、引っ張りバネ88を介して上側プレート75の前側(図示左側)のピン78に係止されている。
【0033】
上側プレート75と下側プレート76との間で、固定ピン74,85寄りの位置には、水平固定ピン79が車両側に固定され、ブレーキペダル60が踏みこまれると、ブレーキワイヤ73が働いて、上側プレート75と下側プレート76との間に水平固定ピン79を挟んだ状態で、上側プレート75の下面と下側プレート76の上面が水平となる。この状態で、ブレーキ側ブラケット67のピン80が上側プレート75の下面と下側プレート76の上面との間に挟まれ、ブレーキ側ブラケット67が前後方向に延びる水平状態となり、ブレーキ側ブラケット67の一端に連結されたHST25(図2参照)が中立状態となる。
【0034】
一方、ブレーキペダル60の踏みこみが解除されると、上側プレート75と下側プレート76の回動が可能となり、HSTレバー52の回動に従いレバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67が捩りコイルバネ66により同期回動しながら、ブレーキ側ブラケット67のピン80が、下側プレート76の上面又は上側プレート75の下面に沿って移動し、下側プレート76、上側プレート75が固定ピン85,74を支点として回動するようになっている(図5図7及び図8参照)。
【0035】
なお、ブレーキ側ブラケット67には、回動軸65より一端側の位置に、緩衝用のダンパ(オイルダンパ)81の一端が接続され、ダンパ81の他端は車両側に接続されている。
【0036】
このように構成されたHSTレバー52とブレーキペダル60の連動機構100によれば、HSTレバー52が中立位置、ブレーキペダル60が踏みこまれHST25が中立状態にあるときは図3に示す状態である。
【0037】
そして、ブームスプレーヤ1を前進すべく、ブレーキペダル60の踏み込みを解除し、図5に示すように、HSTレバー52を中立位置から図示時計回りに回動して前進位置とし、HSTレバー52と共にレバー側ブラケット57及び回動軸65を図示時計回りに回動すると、捩りコイルバネ66によりレバー側ブラケット57及びブレーキ側ブラケット67が同期して図示時計回りに回動し、それに伴いブレーキ側ブラケット67のピン80が、HST中立位置機構63の下側プレート76の上面を下方へ押しながら下側プレート76が下方へ開いていく。
【0038】
このブレーキ側ブラケット67の図示時計回りに回動により、プッシュプルワイヤ68を介してHST25(図2参照)が前進状態とされる。
【0039】
運転手がHSTレバー52を保持しブームスプレーヤ1が前進している状態で、ブレーキペダル60が踏みこまれると、図6に示すように、運転手がHSTレバー52を保持しているため、レバー側ブラケット57は回動しないが、ブレーキワイヤ73を介してHST中立位置機構63が働き、上側プレート75と下側プレート76との間に、水平固定ピン79及びピン80が挟まれ、ブレーキ側ブラケット67がレバー側ブラケット57に対して回動し、当該ブレーキ側ブラケット67が水平状態となり、HST25は中立状態となる。
【0040】
このとき、捩りコイルバネ66の一端側は、レバー側ブラケット57の第1の長孔69の長手方向途中に位置すると共に、ブレーキ側ブラケット67の第1の調整部材71に当接し、捩りコイルバネ66の他端側は、レバー側ブラケット57の第1の長孔69の他方側の端部に当接すると共に、ブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70の長手方向途中に位置している。
【0041】
この状態で、ブレーキペダル60の踏み込みを解除すると、図7に示すように、運転手がHSTレバー52を保持しているため、レバー側ブラケット57は回動しないが、HST中立位置機構63の働きが解除され、捩りコイルバネ66の付勢力により、ブレーキ側ブラケット67は図示時計回りに回動して元の位置、すなわち、ブレーキペダル60の踏み込み前の位置に戻る。
【0042】
一方、ブームスプレーヤ1を後進すべく、図3の状態から、ブレーキペダル60の踏み込みを解除し、図8に示すように、HSTレバー52を中立位置から図示反時計回りに回動して後進位置とし、HSTレバー52と共にレバー側ブラケット57及び回動軸65を図示反時計回りに回動すると、捩りコイルバネ66によりレバー側ブラケット57及びブレーキ側ブラケット67が同期して図示反時計回りに回動し、それに伴いブレーキ側ブラケット67のピン80が、HST中立位置機構63の上側プレート75の下面を上方へ押しながら上側プレート75が上方へ開いていく。
【0043】
このブレーキ側ブラケット67の図示反時計回りに回動により、プッシュプルワイヤ68を介してHST25が後進状態とされる。
【0044】
運転手がHSTレバー52を保持しブームスプレーヤ1が後進している状態で、ブレーキペダル60が踏みこまれると、図9に示すように、運転手がHSTレバー52を保持しているため、レバー側ブラケット57は回動しないが、ブレーキワイヤ73を介してHST中立位置機構63が働き、上側プレート75と下側プレート76との間に、水平固定ピン79及びピン80が挟まれ、ブレーキ側ブラケット67がレバー側ブラケット57に対して回動し、当該ブレーキ側ブラケット67が水平状態となり、HST25は中立状態となる。
【0045】
このとき、捩りコイルバネ66の一端側は、レバー側ブラケット57の第1の長孔69の一方側の端部に当接すると共に、ブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69の長手方向途中に位置すると共に、捩りコイルバネ66の他端側は、レバー側ブラケット57の第2の長孔70の長手方向途中に位置すると共に、ブレーキ側ブラケット67の第2の調整部材72に当接する。
【0046】
この状態で、ブレーキペダル60の踏み込みを解除すると、図8に示すように、運転手がHSTレバー52を保持しているため、レバー側ブラケット57は回動しないが、HST中立位置機構63の働きが解除され、捩りコイルバネ66の付勢力により、ブレーキ側ブラケット67は図示反時計回りに回動して元の位置、すなわち、ブレーキペダル60の踏み込み前の位置に戻る。
【0047】
このように、本実施形態によれば、HSTレバー52を回動してHST25によりブームスプレーヤ1が前進状態又は後進状態にあるときに、ブレーキペダル60が踏みこまれると、HSTレバー52を回動位置に保持した状態で、HST25が中立状態とされ、ブレーキペダル60の踏み込みが解除されると、HST25が、ブレーキペダル60を踏みこむ前の状態に戻されるため、運転手はHSTレバーを別途操作することなく保持したままで、ブームスプレーヤ1を引き続き前進又は後進できる。
【0048】
具体的には、HSTレバー52と共に回動する回動軸65及びレバー側ブラケット57と、回動軸65周りに回動可能に支持されると共に、一端がHST25に接続され、他端がレバー側ブラケット57の径方向外側に位置しブレーキペダル60の踏み込みに連動するブレーキ側ブラケット67と、レバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67同士を付勢力により連結し、ブレーキペダル60が踏みこまれていないときには、HSTレバー52の回動によるレバー側ブラケット57の回動に伴いブレーキ側ブラケット67を回動させる付勢部材66と、HSTレバー52の回動によりレバー側ブラケット57及びブレーキ側ブラケット67が回動した状態で、ブレーキペダル60が踏みこまれると、HSTレバー52を回動位置に保持した状態で、ブレーキ側ブラケット67のみを付勢部材66の付勢力に抗してレバー側ブラケット57に対して回動させ、HST25を中立状態とするHST中立位置機構63と、を備え、HSTレバー52を回動位置に保持した状態で、ブレーキペダル60の踏みこみが解除されると、付勢部材66の付勢力によりブレーキ側ブラケット67が回動してブレーキペダル60を踏みこむ前の位置に戻り、HST25を、ブレーキペダル60を踏みこむ前の状態に戻すように構成されているため、上記作用を好適に実施できる。
【0049】
また、付勢部材66は、回動軸65に巻装された捩りコイルバネ66であり、レバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67には、回動軸心方向に並設されると共に回動軸心方向に直交する方向へ延びる第1の長孔69、第2の長孔70がそれぞれ設けられ、捩りコイルバネ66の一端側が、レバー側ブラケット57及びブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69,69同士に通されると共に、捩りコイルバネ66の他端側が、レバー側ブラケット57及びブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70,70同士に通され、ブレーキペダル60が踏みこまれていないときには、レバー側ブラケット57の第1の長孔69の長手方向一方側の端部に、捩りコイルバネ66の一端側が当接すると共に、レバー側ブラケット57の第2の長孔70の長手方向他方側の端部に、捩りコイルバネ66の他端側が当接し、且つ、ブレーキ側ブラケット67に設けられた高さ調整可能な第1の調整部材71が、当該ブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69を通された捩りコイルバネ66の一端側に、捩りコイルバネ66の付勢力に抗する側から当接すると共に、ブレーキ側ブラケット67に設けられた高さ調整可能な第2の調整部材72が、当該ブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70を通された捩りコイルバネ66の他端側に、捩りコイルバネ66の付勢力に抗する側から当接するように構成されている。ここで、ブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69の端部と捩りコイルバネ66の一端側との間、ブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70の端部と捩りコイルバネ66の他端側との間に製造誤差等により隙間が生じていると、レバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67が同期回転せず、HSTレバー52の回動とHST25の連動にずれが生じてしまうが、上述のように、捩りコイルバネ66の一端側と第1の調整部材71、捩りコイルバネ66の他端側と第2の調整部材72とが当接するため、HSTレバー52の回動とHST25の連動にずれが生じることを防止できる。
【0050】
なお、製造誤差等で上記隙間が生じなければ、第1の調整部材71、第2の調整部材72をなくし、ブレーキペダル60が踏みこまれていないときには、レバー側ブラケット57の第1の長孔69の長手方向一方側の端部に、捩りコイルバネ66の一端側が当接すると共に、レバー側ブラケット57の第2の長孔70の長手方向他方側の端部に、捩りコイルバネ66の他端側が当接し、且つ、ブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69の長手方向一方側の端部に、捩りコイルバネ66の一端側が当接すると共に、ブレーキ側ブラケット67の第2の長孔70の長手方向他方側の端部に、捩りコイルバネ66の他端側が当接する構成とし、同期回転可能としても良い。
【0051】
また、本実施形態によれば、ブレーキ側ブラケット67に、ダンパ81を接続しているため、HSTレバー52を回動位置に保持した状態で、レバー側ブラケット57に捩りコイルバネ66により連結・保持されたブレーキ側ブラケット67が、捩りコイルバネ66の付勢力により、回動してブレーキペダル60を踏みこむ前の位置に戻る際に、HST25を、ブレーキペダル60を踏みこむ前の状態に急激に戻すことを防止できる。
【0052】
また、上記作用を効果的に奏する他の構成としては、具体的には、捩りコイルバネ66、レバー側ブラケット57の第1の長孔69、第2の長孔70、ブレーキ側ブラケット67の第1の長孔69、第2の長孔70をなくし、付勢部材として、上下方向に並設され、レバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67とを接続する引っ張りバネとしても良い。このような構成によれば、引っ張りバネの付勢力により、レバー側ブラケット57とブレーキ側ブラケット67を連結でき、前述した作用を好適に実施できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、本発明は、自走式ブームスプレーヤ1の車両2に限られず、他の乗用管理機の車両に適用されても良い。本発明は、農作業機の車両に限られず、HSTを備える農作業機以外の車両(例えば建設機械や除雪機など)に適用されても良い。
【符号の説明】
【0054】
2…車両、25…HST、52…HSTレバー、60…ブレーキペダル、100…連動機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9