(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049824
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ヒートポンプサイクル装置の室外機、及び、ヒートポンプサイクル装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/56 20110101AFI20240403BHJP
【FI】
F24F1/56
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156293
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔太
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA04
(57)【要約】
【課題】筐体のパネルに大型化されたファンガードを取り付ける際の作業性を改善できる。
【解決手段】室外熱交換器と、室外熱交換器に空気を送風する室外ファンとを格納する筐体30を有し、筐体30は、室外ファンの回転により室外熱交換器で冷媒と熱交換した空気を筐体30の外部に吹き出すための吹出口を設けた第1前面部36Aと、第1前面部36Aに取り付けられて吹出口を覆うファンガード42とを有し、第1前面部36Aの下部には、ファンガード42が支持される支持部70が設けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、前記熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、
前記筐体は、前記ファンの回転により前記熱交換器で冷媒と熱交換した空気を前記筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前記前面パネルに取り付けられて前記吹出口を覆うファンガードとを有し、
前記前面パネルの下部には、前記ファンガードが支持される支持部が設けられることを特徴とするヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項2】
前記ファンガードの下端には、前記支持部に載置される載置部と、下方に突出する下突起部とが設けられることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項3】
前記下突起部は、後方側に配置される第1下突起部と、前方側に配置される第2下突起部を備えることを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項4】
前記支持部は、前記第1下突起部が挿し込まれる下受け部を有することを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項5】
前記ファンガードは、縦に延びる複数の縦線材と横に延びる複数の横線材とを網目状に組み合わせて形成され、
前記下突起部は、少なくとも一部の前記縦線材の下端を下方に突出させて形成されることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項6】
前記ファンガードは、前記筐体の前記前面パネルの前記吹出口を覆う前面部と、前記筐体の側面側の一部を覆う側面部とを備えて一体に形成され、
前記下突起部は、前記前面部の下端に形成されることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項7】
一部の前記横線材の両端には、第1横突起部と第2横突起部とが形成されており、
前記前面パネルは、前記第1横突起部及び前記第2横突起部に対応する位置に、前記第1横突起部が挿し込まれる第1横受け部と、前記第2横突起部が挿し込まれる第2横受け部とを有することを特徴とする請求項5に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項8】
前記前面パネルは、該前面パネルの一部が前記筐体の背面側に凹んだ凹部を有し、
前記凹部に前記支持部が形成される請求項1~4のいずれか一項に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項9】
前記ファンガードは、前記筐体の前記前面パネルの前記吹出口を覆う前面部と、前記筐体の側面側の一部を覆う側面部とを備えて一体に形成され、
前記凹部は、前記ファンガードを該凹部の内部に収めることができることを特徴とする請求項8に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【請求項10】
室外に配置される室外機と、室内に配置される室内機とを備えたヒートポンプサイクル装置であって、
前記室外機は、熱交換器と、前記熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、
前記筐体は、前記ファンの回転により前記熱交換器で冷媒と熱交換した空気を前記筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前記前面パネルに取り付けられて前記吹出口を覆うファンガードとを有し、
前記前面パネルの下部には、前記ファンガードが支持される支持部が設けられることを特徴とするヒートポンプサイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の外部に空気を吹き出す吹出口を覆うファンガードを備えたヒートポンプサイクル装置の室外機、及び、ヒートポンプサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヒートポンプサイクル装置の室外機は、熱交換器やファンなどを格納する筐体と、この筐体の内部に配置される熱交換器で冷媒と熱交換を行った空気を筐体外部に吹き出すための吹出口を覆うファンガードとを有する。この種の室外機では、ファンガードは、人がファンに直接手を触れないような形状、大きさとされ、ねじ止めなどの手段で筐体のパネルに取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、ヒートポンプサイクル装置は高い省エネ性も求められることから従来の室外機よりも伝熱面積を増加させるために熱交換器が大型化しており、これに伴い室外機の吹出口やファンガードも大型化される傾向にある。ファンガードは、大型化に伴い重量も増加するため、ファンガード自体が取り扱い難くなる。このため、従来のようにファンガードをねじで筐体のパネルに取り付ける際に、ファンガードの取付孔とパネルのねじ孔とが位置ずれを起こすなど、ファンガードの取り付け作業の困難性が増すといった問題があった。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、筐体のパネルに大型化されたファンガードを取り付ける際の作業性を改善できるヒートポンプサイクル装置の室外機、及び、ヒートポンプサイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示するヒートポンプサイクル装置の室外機は、熱交換器と、熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、筐体は、ファンの回転により熱交換器で冷媒と熱交換した空気を筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前面パネルに取り付けられて吹出口を覆うファンガードとを有し、前面パネルの下部には、ファンガードが支持される支持部が設けられることを特徴とする。
【0007】
本願の開示するヒートポンプサイクル装置は、室外に配置される室外機と、室内に配置される室内機とを備え、室外機は、熱交換器と、熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、筐体は、ファンの回転により熱交換器で冷媒と熱交換した空気を筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前面パネルに取り付けられて吹出口を覆うファンガードとを有し、前面パネルの下部には、ファンガードが支持される支持部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示するヒートポンプサイクル装置の室外機、及び、ヒートポンプサイクル装置の一態様によれば、筐体のパネルに大型化されたファンガードを取り付ける際の作業性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置の冷媒回路と水回路の一例を示す回路構成図である。
【
図2】
図2は、室外機を前面側から見た外観斜視図である。
【
図3】
図3は、室外機を背面側から見た外観斜視図である。
【
図4】
図4は、室外機の内部構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ファンガードを前面側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、ファンガードを取り外した室外機を前面側から見た外観斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2のA-A線で示す断面をX方向から見た室外機の支持部の部分断面図である。
【
図8】
図8は、
図2のB-B線で示す断面をX方向から見た室外機の突条部の部分断面図である。
【
図9】
図9は、
図2のC-C線で示す断面をZ方向から見た室外機の左側凹部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本願の開示するヒートポンプサイクル装置の室外機の実施例を詳細に説明する。なお、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜変形しても良い。
【実施例0011】
<ヒートポンプサイクル装置の構成>
図1は、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置の冷媒回路と水回路の一例を示す回路構成図である。ヒートポンプサイクル装置1は室外機2と室内機3とを備え、これら室外機2と室内機3とは水配管により接続されて水回路4を形成する。ヒートポンプサイクル装置1は、室外機2及び室内機3の水回路4に冷水または温水を循環させることにより、室内機3が配置された部屋(空間)の冷房または暖房を行う。なお、
図1では、ヒートポンプサイクル装置1は1台の室内機3を備えたものを例示したが、室外機2に並列接続された複数台の室内機3を備えたものであってもよい。
【0012】
図1に示すように、室外機2は、圧縮機11と、四方弁12と、室外熱交換器(熱交換器)13と、室外膨張弁14と、水冷媒熱交換器15と、アキュムレータ16と、室外ファン(ファン)17とを有する。これら圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、室外膨張弁14、水冷媒熱交換器15及びアキュムレータ16は、それぞれ冷媒配管18により接続されて冷媒回路10を形成する。この冷媒回路10は、室外機2の内部で完結して冷凍サイクルを構成する。また、水冷媒熱交換器15には、冷媒配管18とは別に水配管19が接続されている。この水配管19は、室外機2の外部に延びて室内機3の室内ユニット23(後述する)に接続されて水回路4を形成する。
【0013】
圧縮機11は、例えば、運転容量を変更できる高圧容器型の能力可変型圧縮機であり、吸入した低圧のガス冷媒を圧縮して高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機11の冷媒吐出側には四方弁12が接続され、冷媒吸入側にはアキュムレータ16が接続されている。
【0014】
四方弁12は、冷媒回路10における冷媒の流れる方向を切替えるための弁であり、第1のポート12A~第4のポート12Dを備えている。第1のポート12Aは、圧縮機11の冷媒吐出側と接続されている。第2のポート12Bは、室外熱交換器13の一方の冷媒出入口13Aと接続されている。第3のポート12Cは、アキュムレータ16の冷媒流入側と接続されている。そして、第4のポート12Dは、水冷媒熱交換器15の一方の冷媒出入口15Aと接続されている。
【0015】
室外熱交換器13は、例えば、フィンチューブ熱交換器が用いられる。室外熱交換器13は、冷媒と室外ファン17の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気とを熱交換させる。室外熱交換器13の他方の冷媒出入口13Bは、室外膨張弁14を介して、水冷媒熱交換器15の他方の冷媒出入口15Bと接続されている。室外熱交換器13は、ヒートポンプサイクル装置1が冷房運転を行う場合に凝縮器として機能して、ガス冷媒を凝縮(液化)させる。また、室外熱交換器13は、ヒートポンプサイクル装置1が暖房運転を行う場合に蒸発器として機能して、液冷媒を蒸発(気化)させる。
【0016】
室外膨張弁14は、室外熱交換器13の他方の冷媒出入口13Bと水冷媒熱交換器15の他方の冷媒出入口15Bとの間に設けられている。室外膨張弁14は、例えば電子膨張弁であり、弁開度を調整することで、室外膨張弁14を通過する液冷媒を減圧(膨張)する。
【0017】
水冷媒熱交換器15は、例えばプレート熱交換器が用いられる。水冷媒熱交換器15は、冷媒回路10を循環する冷媒と水回路4を循環する水とを熱交換する。水冷媒熱交換器15は、ヒートポンプサイクル装置1が冷房運転や除霜運転を行う場合に蒸発器として機能して、液冷媒を蒸発(気化)させる。また、水冷媒熱交換器15は、ヒートポンプサイクル装置1が暖房運転を行う場合に凝縮器として機能して、ガス冷媒を凝縮(液化)させる。水冷媒熱交換器15は、水入口15Cと水出口15Dとを有し、これら水入口15Cと水出口15Dにそれぞれ水配管19が接続されて水回路4の一部を構成する。また、例えば、水入口15C側には、水回路4に水を循環させる循環ポンプ21が設けられ、水出口15D側には、水回路4内に進入した空気を抜くための空気抜き弁22が設けられる。
【0018】
アキュムレータ16の冷媒流入側は、四方弁12の第3のポート12Cと接続され、冷媒流出側は圧縮機11の冷媒流入側と接続される。アキュムレータ16は、中空の圧力容器として形成され、内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離して、ガス冷媒のみを圧縮機11に吸入させる。
【0019】
室外ファン17は、室外熱交換器13の近傍に配置され、該室外熱交換器13に向けて空気を送る。具体的には、室外ファン17は、室外機2の後述する吸込口44および吸込開口46から該室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器13において冷媒と熱交換した外気を後述する吹出口41から室外機2の外部へ放出する。
【0020】
一方、室内機3は、室内ユニット23を有する。室内ユニット23は、例えば、床暖房装置やラジエタが用いられる。室内ユニット23の一方の冷媒出入口23Aは、水冷媒熱交換器15の水出口15Dと接続されている。また、室内ユニット23の他方の冷媒出入口23Bは、循環ポンプ21を介して、水冷媒熱交換器15の水入口15Cと接続されている。これにより、室内ユニット23は、水配管19により水冷媒熱交換器15と接続されて水回路4を構成し、この水回路4を循環する水と室内ユニット23において放熱あるいは吸熱を行うことで、室内機3が設置された空調空間の暖房あるいは冷房が行われる。
【0021】
<運転時の動作>
次に、ヒートポンプサイクル装置1の運転時の冷媒の流れと水の流れについて説明する。尚、
図1における破線矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示し、実線矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示している。
【0022】
ヒートポンプサイクル装置1が暖房運転を行う場合、四方弁12は、第1のポート12Aと第4のポート12Dとが連通し、第2のポート12Bと第3のポート12Cとが連通するように切替えている。これにより、冷媒回路10は、水冷媒熱交換器15が凝縮器として機能し、室外熱交換器13が蒸発器として機能する暖房サイクルとなる。
【0023】
冷媒回路10が上記の状態で圧縮機11が駆動すると、圧縮機11から吐出された冷媒は、四方弁12に流入し、四方弁12から水冷媒熱交換器15に流入する。水冷媒熱交換器15に流入した高温のガス冷媒は、循環ポンプ21の動作により水冷媒熱交換器15の水回路4を循環する水との間で熱交換することで凝縮する。一方、水回路4を循環する水は、水冷媒熱交換器15で冷媒によって加熱されて温水となる。この温水は、水回路4の水配管19を通じて、室内機3の室内ユニット23に流入する。そして、室内ユニット23で温水が放熱することで、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。
【0024】
水冷媒熱交換器15で水と熱交換して凝縮した液冷媒は、室外膨張弁14を通過して減圧された後、室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン17の回転によって室外機2内に流入した外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器13で蒸発したガス冷媒は、四方弁12、アキュムレータ16の順に通過し、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
【0025】
また、ヒートポンプサイクル装置1が冷房運転あるいは除霜運転を行う場合、四方弁12は、第1のポート12Aと第2のポート12Bとが連通し、第3のポート12Cと第4のポート12Dとが連通するように切替えられる。これにより、冷媒回路10は、水冷媒熱交換器15が蒸発器として機能し、室外熱交換器13が凝縮器として機能する冷房サイクルとなる。
【0026】
冷媒回路10が上記の状態で圧縮機11が駆動すると、圧縮機11から吐出された冷媒は、四方弁12に流入し、四方弁12から室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した高温のガス冷媒は、室外ファン17の回転により室外機2内に取り込まれた室外空気との間で熱交換することで凝縮する。なお、除霜運転を行っている場合は、室外熱交換器13で発生した霜が、室外熱交換器13に流入する冷媒の熱によって融解される。
【0027】
室外熱交換器13で凝縮した液冷媒は、室外膨張弁14を通過して減圧された後、水冷媒熱交換器15に流入する。水冷媒熱交換器15に流入した液冷媒は、循環ポンプ21の運転により水冷媒熱交換器15の水回路4を循環する水との間で熱交換することで蒸発する。一方、水回路4を循環する水は、水冷媒熱交換器15で冷媒によって冷却されて冷水となる。この冷水は、水回路4の水配管19を通じて、室内機3の室内ユニット23に流入する。そして、室内ユニット23で冷水によって室内の空気が吸熱されることで、室内機3が設置された室内の冷房が行われる。なお、除霜運転を行っている場合は、室内温度の低下を抑制するために循環ポンプ21を停止させて水回路4における水の循環を止める。
【0028】
水冷媒熱交換器15で蒸発したガス冷媒は、四方弁12、アキュムレータ16の順に通過し、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
【0029】
<室外機の構造>
次に、室外機2の外観および内部構造について説明する。
図2は、室外機を前面側から見た外観斜視図であり、
図3は、室外機を背面側から見た外観斜視図である。
図4は、室外機の内部構造を示す斜視図である。なお、以下に述べる前後、上下及び左右といった方向は、室外機2を設置した状態で、後述する吹出口41から空気が吹き出される方向を前方とし、前面側から室外機2を見た場合の方向を示している。なお、「後方」については「背面」と記載する場合がある。
【0030】
図2及び
図3に示すように、室外機2は、左右方向(幅方向)の寸法の方が前後方向(奥行方向)の寸法よりも大きい直方体箱形状の筐体30を備える。この筐体30は、設置面に対向するように配置される底板(底面パネル)31と、底板31よりも高さ方向の上方に配置される天面パネル32と、底板31と天面パネル32とを接続し、筐体30の内部と外部とを区画する側面パネル部33とを備えている。
【0031】
筐体30の内部は、
図4に示すように、底板31に立設された仕切り板34によって、熱交換室RAと機械室RBとに区分けされている。熱交換室RAには、該熱交換室RAの背面側に室外熱交換器13が収容され、前面側に室外ファン17が収容される。室外熱交換器13は、上面(天面パネル32側)から見たときにL字形状に屈曲されて形成され、熱交換室RAの背面側から左側面側に沿わせて底板31に支持されている。
【0032】
室外ファン17は、底板31に立設された一対の支持部材35,35に取り付けられている。室外ファン17は、いわゆる軸流ファンであり、図示しないファンモータによる室外ファン17の回転駆動により、室外機2の外側、すなわち室外熱交換器13の背面側に形成される吸込口44(後述する)および左側面側に形成される吸込開口46(後述する)から外気を熱交換室RA内に吸い込む。そして、室外熱交換器13で熱交換後の空気を熱交換室RAの前面側に形成された吹出口41(後述する)から前方に吹き出す。このように、室外機2は、前面側から熱交換後の空気を吹き出す前面吹き出しタイプの室外機である。
【0033】
機械室RBの下部空間には、冷媒回路10の一部を構成する圧縮機11、アキュムレータ16、四方弁12(
図1)、室外膨張弁14(
図1)などの回路構成部品が配置され、それぞれの回路構成部品は冷媒配管18により接続される。圧縮機11及びアキュムレータ16は、底板31に固定されている。また、機械室RBの下部空間には、水回路4の一部を構成する水冷媒熱交換器15、空気抜き弁22、循環ポンプ21などの回路構成部品が配置され、それぞれの回路構成部品は水配管19により接続される。この実施例では、水冷媒熱交換器15は、機械室RB(筐体30)の下部空間における背面側と右側面側との角部の近くに配置され、背面側に後述する水配管19の接続口47が設けられている。
【0034】
また、機械室RBの上部空間には、室外機2および室内機3の動作を制御するための電装部品を有する電装ユニット25が配置されている。この電装ユニット25は、制御基板27と、電源線や制御線などの配線(以下、電線ともいう)を接続するためのターミナル部26と、を備え、仕切り板34に固定されている。
【0035】
次に、筐体30の側面パネル部33について説明する。側面パネル部33は、複数のパネル部材を組み合わせて形成されている。本実施例では、
図2及び
図3に示すように、側面パネル部33は、前面パネル36と、背面パネル37と、右側面パネル38と、左側面パネル39と、サービスパネル40とを備える。これら前面パネル36、背面パネル37、右側面パネル38及び左側面パネル39は、筐体30を上面から見たときに、筐体30の隣接する2つの面と、これら2つの面に挟まれる角部とを含んだL字形状にそれぞれ形成されている。
【0036】
具体的には、前面パネル36は、筐体30の前面の一部を形成する第1前面部36Aと、筐体30の左側面の一部を形成する第1左側面部36Bとを一体に備える。背面パネル37は、筐体30の背面の一部を形成する第1背面部37Aと、筐体30の右側面の一部を形成する第1右側面部37Bとを一体に備える。右側面パネル38は、筐体30の右側面の一部を形成する第2右側面部38Aと、筐体30の前面の一部を形成する第2前面部38Bとを一体に備える。左側面パネル39は、筐体30の左側面の一部を形成する第2左側面部39Aと、筐体30の背面の一部を形成する第2背面部39Bとを一体に備える。
【0037】
前面パネル36の第1前面部36Aは、熱交換室RAの前面側に配置され、右側面パネル38の第2前面部38Bは、機械室RBの前面側に配置される。これら第1前面部36A及び第2前面部38Bは、左右に並べて配置され、筐体30の前面を形成する。第1前面部36Aには、熱交換室RA内部で熱交換された空気が吹き出す吹出口41が形成される。この吹出口41は、例えば円形のベルマウス41Aを有し、このベルマウス41A内に室外ファン17の一部が配置される。前面パネル36の前方には、吹出口41を覆う網状のファンガード42が設けられている。このファンガード42は、該ファンガード42を上方から見たときにL字形状に形成され、前面パネル36の第1前面部36Aから第1左側面部36Bに沿って配置されている。このファンガード42は、該ファンガード42の上端部(上方側の端部)42Aと天面パネル32との間に所定の間隔をあけて、前面パネル36に固定されている。また、第1前面部36Aにおける吹出口41の上方には、左右(幅)方向に延在する遮水板43が設けられている。
【0038】
背面パネル37の第1背面部37Aと左側面パネル39の第2背面部39Bとは、間隔をあけて左右に並べて配置され、筐体30の背面を形成する。これら第1背面部37Aと第2背面部39Bとの間には、室外熱交換器13が露出して配置され、この露出した領域が吸込口44となる。この吸込口44の後方には、網状のフィンガード45が設けられている。また、第1背面部37Aは、機械室RBの背面側に配置されており、第1背面部37Aの下部には、上記した水回路4の水配管19に接続するための一対の接続口47,47と、上記した電装ユニット25に接続される配線(電線)を筐体30内に導入するための配線口48とが設けられている。
【0039】
右側面パネル38の第2右側面部38Aと背面パネル37の第1右側面部37Bとは、間隔をあけて前後に並べて配置され、筐体30の前面と背面とを繋ぐ右側面(機械室RB側の側面)を形成する。これら第2右側面部38Aと第1右側面部37Bとの間には、上記したサービスパネル40が着脱自在に配置されている。このサービスパネル40を取り外すことにより、機械室RB内にアクセスすることができ、電装ユニット25や各種回路構成部品のメンテナンスを容易に実行できる。
【0040】
左側面パネル39の第2左側面部39Aと前面パネル36の第1左側面部36Bとは、前後に並べて配置され、筐体30の前面と背面とを繋ぐ左側面を形成する。第2左側面部39Aは、室外熱交換器13の一部と対向し、この第2左側面部39Aには、複数の吸込開口46が形成されている。
【0041】
また、室外機2は重量物であるため、筐体30の側面パネル部33には、室外機2を運搬するための複数の取手部51,52,53が設けられている。これらの取手部51~53は、それぞれ筐体30の角部近傍に配置されている。すなわち、複数の取手部51~53は、サービスパネル40を避けた背面パネル37、右側面パネル38及び左側面パネル39にそれぞれ設けられている。また、サービスパネル40を外して、機械室RB内の機器の作業をしている場合に、例えば、結線時に配線がターミナル部26に届かないといった事態が生じたとしても、取手部51~53を用いて室外機2を容易に移動することができる。
【0042】
<ファンガード>
次に、ファンガード42について説明する。
図5は、ファンガードを前面側から見た斜視図であり、
図6は、ファンガードを取り外した室外機を前面側から見た外観斜視図である。
図7は、
図2のA-A線で示す断面をX方向から見た室外機の支持部の部分断面図である。
図8は、
図2のB-B線で示す断面をX方向から見た室外機の突条部の部分断面図である。
図9は、
図2のC-C線で示す断面をZ方向から見た室外機の左側凹部の部分断面図である。なお、
図7~
図9において、筐体30に取り付けられる前の状態のファンガード42を二点鎖線で示している。ファンガード42は、前面パネル36の前方に配置されて吹出口41を覆い、例えば吹出口41から手指や異物を挿入して室外ファン17に触れることで発生する事故を未然に防止する。ファンガード42は、
図5に示すように、前面部420と左側面部(側面部)421とを一体に備え、該ファンガード42を上方から見たときにL字形状に形成されている。
【0043】
また、ファンガード42は、
図2に示すように、底板31から天面パネル32までの領域において前面パネル36の前方に配置され、該前面パネル36に固定される。
図2の例では、ファンガード42の前面部420は前面パネル36の第1前面部36Aに固定され、左側面部421は前面パネル36の第1左側面部36Bに固定されている。
【0044】
ファンガード42は、
図5に示すように、横方向に延在する複数本の横線材60と、縦方向に延在する複数本の縦線材61とを網目状に組み合わせて形成される。これら横線材60及び縦線材61は、本実施例では鉄製であり、各線材の接点をそれぞれスポット溶接することでファンガード42が形成される。複数本の横線材60は、それぞれL字形状に曲げられて形成されている。複数本の横線材60は、それぞれ上下にほぼ等間隔に配置され、横線材60同士の間隔は少なくとも手指の挿入を防止できる間隔となっている。
【0045】
複数本の横線材60の一端(
図5の左端)には、それぞれ先端を前面パネル36の第1左側面部36B(
図2)側に屈曲した左屈曲部(第1横屈曲部)601が設けられている。また、複数本の横線材60の他端(
図5の右端)には、それぞれ先端を前面パネル36の第1前面部36A(
図2)側に屈曲した右屈曲部(第2横屈曲部)602が設けられている。さらに、本実施例では、複数本の横線材60のうちの1本(一部)の横線材60Aの一端には、左屈曲部601に連なる左突起部(第1横突起部)603が設けられている。この左突起部603は、左屈曲部601の先端を階段状に屈曲させて形成され、横線材60Aの延在方向(
図5の後方)に突出している。また、上記した横線材60Aの他端には、右屈曲部602に連なる右突起部(第2横突起部)604が設けられている。この右突起部604は、右屈曲部602の先端を下方に屈曲させて形成され、そのまま下方に突出している。
【0046】
これら左突起部603及び右突起部604は、前面パネル36に対するファンガード42の位置決め及び仮固定をするための突起である。左突起部603及び右突起部604は、前面パネル36の高さ寸法の半分よりも上方の領域に形成され、
図5の例では、上から約1/3の高さ位置に形成されている。なお、
図5の例では、左突起部603と右突起部604とは、それぞれ同じ横線材60Aの両端に形成されているが、異なる横線材60Aに形成される構成としてもよい。この場合、左突起部603及び右突起部604は、いずれも前面パネル36の高さ寸法の半分よりも上方の領域に形成され、例えば上から1/3程度の高さ位置に形成されることが好ましい。これにより、作業者は前面パネル36に対するファンガード42の位置決め及び仮固定を容易に行うことができる。
【0047】
一方、複数の縦線材61は、横線材60を該縦線材61にスポット溶接により固定してファンガード42の強度を確保するために設けられている。本実施例では、縦線材61は、横線材60よりも径の太い線材が用いられ、複数の縦線材61同士の間隔は、横線材60同士の間隔よりも広く形成されている。
図5に示すように、複数の縦線材61のうち、ファンガード42の前面部420における左右の両端にはそれぞれ固定用縦線材(一部の縦線材)61Aが配置される。また、ファンガード42の左側面部421における後端(背面側の端)には固定用縦線材61Aが配置される。これら固定用縦線材61Aは、前面パネル36にファンガード42を取り付け・固定するためのものであり、上下の両端にそれぞれ、輪形状に形成される上ねじ止め部611及び下ねじ止め部612を備える。上ねじ止め部611は、ファンガード42の上方に突出する。下ねじ止め部612は、ファンガード42の下方に突出する。本実施例では、下ねじ止め部612は、ファンガード42の下端に設けられて下方に突出しており、特に前面部420の下端に設けられた下ねじ止め部612は、後述する下突起部(第2下突起部)として機能する。これら上ねじ止め部611及び下ねじ止め部612を前面パネル36にそれぞれねじ止めすることでファンガード42が前面パネル36に固定される。
【0048】
また、ファンガード42の前面部420における2本の固定用縦線材61Aの間に配置される複数本の縦線材61は、それぞれ上端が前面パネル36の第1前面部36A(
図2)側に屈曲して上記したファンガード42の上端部42Aを形成する。
【0049】
また、ファンガード42の前面部420における2本の固定用縦線材61Aの間に配置される複数本の縦線材61の下端には、それぞれ前面パネル36の第1前面部36A(
図2)側に屈曲する下屈曲部613が設けられている。本実施例では、室外機を水平面上に設置した場合に、これら下屈曲部613は、水平よりも斜め上方に折り返すように屈曲され、該下屈曲部613の先端には、ファンガード42の強度を保つため横方向の補助線材62が設けられている。
【0050】
また、上記した複数本の縦線材61のうちの一部(
図5では3本)の縦線材61Bの下端には、下屈曲部613に連なる位置決め突起部614が設けられている。この位置決め突起部614は、下屈曲部613の先端を階段状に下方に屈曲させて形成され、下方にそのままに突出している。この位置決め突起部614は、前面パネル36に対するファンガード42の位置決めをするための突起であり、後述する下突起部(第1下突起部)として機能する。
【0051】
また、下屈曲部613は、前面パネル36の第1前面部36A側に向けて、水平よりも斜め上方に折り返すように屈曲される。このため、下屈曲部613は、該下屈曲部613と縦線材61との角部、すなわち下屈曲部613の前方側(一部)に、最も下方に位置する下部613Aを有する。この下部613Aは、ファンガード42を前面パネル36に配置された際に、前面パネル36の第1前面部36Aに設けられた後述する支持部70上に載置され、ファンガード42は支持部70に支持される。このため、本実施例では、下屈曲部613の下部613Aは、ファンガード42の下端に設けられ支持部70に載置される載置部として機能する。また、上記した位置決め突起部614は、下屈曲部613の下部613Aよりもファンガード42の後方側に形成され、下ねじ止め部612は、該下屈曲部613の下部613Aよりもファンガード42の前方側に形成される。この構成によれば、ファンガード42の前面部420が外郭パネルと同一面か、設計上許容できる範囲で少し出っ張る位置に設けることができ、ファンガード42を適切に配置できる。
【0052】
筐体30の前面パネル36は、
図6に示すように、第1前面部36Aの下部にファンガード42が支持される支持部70を備える。具体的には、第1前面部36Aは、該第1前面部36Aの前端部36A1よりも後方(筐体の背面側)に凹んだ凹部71を有し、この凹部71における前端部36A1と連なる下部壁面に支持部70が形成される。
【0053】
この支持部70は、ファンガード42における下屈曲部613の下部613Aと当接して、該ファンガード42を支持する平坦面を含む。なお、支持部70は、
図7に示すように、凹部71に連なる箇所は断面円弧形状となっている。また、
図6に示すように、支持部70には、左右方向に間隔をあけて複数(
図6では3つ)の孔部(下受け部)72が設けられている。これら孔部72は、一部の縦線材61Bの下端に設けられた位置決め突起部614が挿し込まれるものであり、該位置決め突起部614に対応する位置に設けられている。また、本実施例では、3つの孔部72のうち、中央の孔部72が丸孔として形成され、左右2つの孔部72は、左右方向に長軸を有する長孔として形成される。このため、中央の位置決め突起部614を中央の孔部72に挿し込むことで、ファンガード42の左右方向のセンター位置を位置決めすることができる。また、左右の孔部72を長孔とすることで、センターを位置決めしつつ、ファンガード42(左右の位置決め突起部614)の寸法誤差を吸収できる。
【0054】
また、
図7に示すように、第1前面部36Aに形成された凹部71の奥行寸法は、ファンガード42を該凹部71の内部に収めることができる寸法となっている。具体的には、ファンガード42が支持部70上に配置されるとき、ファンガード42の下屈曲部613の下部613Aが支持部70に当接する。また、該下部613Aよりも後方側に設けられる位置決め突起部614が支持部70に形成された孔部72にそれぞれ挿し込まれる。このように、ファンガード42が該凹部71の内部に収まるため、ファンガード42の前面部420は前端部36A1や第2前面部38Bと略面一となるように配置される。さらに、下部613Aよりも前方側に設けられる下ねじ止め部612は、第1前面部36Aの前端部36A1に沿って延在し、ボルト(ねじ)100によって前端部36A1に固定される。これにより、ファンガード42は、位置決め突起部614及び下ねじ止め部612によって、前面パネル36に対して前後及び左右方向の位置決めがされる。本実施例では、ファンガード42は、第1前面部36Aの前端部36A1と面一、もしくは設計上の許容する範囲内で少し出張った位置に位置決めした状態で固定される。
【0055】
前面パネル36は、
図6に示すように、第1前面部36Aにおける右側面パネル38の第2前面部38B側に上下方向に延在する突条部74を備える。この突条部74は凹部71と隣接して設けられ、該凹部71よりも前方に突出するものの、右側面パネル38の第2前面部38Bよりも後方に凹んで形成されている。この突条部74の前面側には、ファンガード42の右突起部604に対応する位置に該右突起部604が挿し込まれる右孔部(第2横受け部)75が形成されている。この右孔部75は、
図8に示すように、下方に屈曲された右突起部604の上下方向の長さ寸法よりも長い上下方向の長さ寸法を有する長孔として形成される。右突起部604が右孔部75に挿し込まれた状態で、上記した位置決め突起部614が各孔部72に挿し込まれると、ファンガード42は、下屈曲部613の下部613Aと支持部70とが当接するまで第1前面部36Aに対して下降して該支持部70に支持される。このため、右孔部75の下端75Aと右突起部604の下端604Aとが高さ方向の所定寸法だけ重なることにより、ファンガード42が前方、すなわち作業者側に傾倒することが防止される。これにより、ファンガード42を前面パネル36に仮固定することができるため、作業者は積極的にファンガード42を手で保持しなくても該ファンガード42の固定を行うことができる。
【0056】
また、前面パネル36は、
図6、
図9に示すように、第1左側面部36Bに設けられた左側凹部80を有する。この左側凹部80は、第1左側面部36Bの左側端部36B1よりも筐体の右側面側に凹み、上下方向に延在している。また、前面パネル36は、第1左側面部36Bにおける左側面パネル39の第2左側面部39A側に上下方向に延在し、左側端部36B1と左側凹部80とを繋ぐ壁部81を備える。この壁部81には、上記したファンガード42の左突起部603に対応する位置に該左突起部603が挿し込まれる左孔部(第1横受け部)82が形成されている。
【0057】
ファンガード42を前面パネル36に取り付ける場合、
図9に示すように、ファンガード42を前面パネル36に対して、矢印γ方向に移動させることにより、ファンガード42の左突起部603は、上記した壁部81に形成された左孔部82に挿入される。この左孔部82は、後方に突出した左突起部603を受け入れることにより、ファンガード42の左右方向の移動が規制されて、該ファンガード42の左右方向の位置決めをすることができる。このため、ファンガード42の外側の開き(左右方向の移動)を規制でき、ファンガード42に形成された上ねじ止め部611及び下ねじ止め部612と、筐体30に形成されたねじ穴との左右方向のズレを防止し、作業者は上ねじ止め部611及び下ねじ止め部612とねじ穴とがそれぞれ合致した状態でねじ止めすることができる。さらに、
図7及び8に示すように、ファンガード42を前面パネル36に対して、矢印α方向(β方向)に移動させることにより、ファンガード42の右突起部604が上記突条部74の右孔部75に挿し込まれるとともに、ファンガード42の位置決め突起部614が上記支持部70に形成された孔部72にそれぞれ挿し込まれる。このため、右突起部604が右孔部75に挿し込まれた状態で、位置決め突起部614が各孔部72に挿し込まれると、ファンガード42は、下屈曲部613の下部613Aと支持部70とが当接するまで第1前面部36Aに対して下降して該支持部70に支持される。この構成により、ファンガード42の下方への落ち込みを規制でき、上ねじ止め部611及び下ねじ止め部612と、筐体30に形成されたねじ穴との上下方向のズレを防止し、作業者は上ねじ止め部611及び下ねじ止め部612とねじ穴とがそれぞれ合致した状態でねじ止めすることができ、作業効率が向上する。さらには、右孔部75の下端75Aと右突起部604の下端604Aとが高さ方向の所定寸法だけ重なることにより、ファンガード42が前方、すなわち作業者側に傾倒することが防止される。このため、作業者は、積極的に片手でファンガード42を保持しつつ、ねじ止めするなどの作業が発生しない。このような構成によれば、本実施例のような大型のファンガード42を前面パネル36に取り付ける際に、該前面パネル36に対するファンガード42の位置決め及び仮固定が行える。このため、ファンガード42のねじ止め作業が容易となる。
【0058】
以上、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2は、室外熱交換器13と、室外熱交換器13に空気を送風する室外ファン17とを格納する筐体30を有し、筐体30は、室外ファン17の回転により室外熱交換器13で冷媒と熱交換した空気を筐体30の外部に吹き出すための吹出口41を設けた前面パネル36と、前面パネル36に取り付けられて吹出口41を覆うファンガード42とを有し、前面パネル36の下部には、ファンガード42が支持される支持部70が設けられる。この構成によれば、例えば大型化されたファンガード42を前面パネル36の下部に設けられた支持部70に支持させた状態で、該ファンガード42の取り付け作業を行うことができるため、この取り付け作業の作業性を改善することができる。
【0059】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、ファンガード42の下端には、支持部70に載置される下屈曲部613の下部613Aと、下方に突出する位置決め突起部614及び下ねじ止め部612とが設けられているため、下屈曲部613の下部613Aを支持部70上に載せた状態で、ファンガード42の位置決め及び取り付けを容易に行うことができる。
【0060】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、ファンガード42は、下屈曲部613の下部613Aよりも後方側に配置される位置決め突起部614と、該下部613Aよりも前方側に配置される下ねじ止め部612とを備えるため、これら位置決め突起部614及び下ねじ止め部612によって、ファンガード42の前面パネル36に対する前後及び左右方向の位置決めを行うことができる。このため、ファンガード42の取り付けを容易に行うことができる。
【0061】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、支持部70は、位置決め突起部614が挿し込まれる孔部72を有するため、これら孔部72に位置決め突起部614を挿し込むことにより、ファンガード42の前面パネル36に対する前後及び左右方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0062】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、ファンガード42は、縦に延びる複数の縦線材61と横に延びる複数の横線材60とを網目状に組み合わせて形成され、位置決め突起部614及び下ねじ止め部612は、少なくとも一部の縦線材61A,61Bの下端を下方に突出させて形成される。このため、ファンガード42の位置決め及び取り付けを簡易な構成で実現することができる。
【0063】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、ファンガード42は、筐体30の前面パネル36の吹出口41を覆う前面部420と、筐体30の左側面側の一部を覆う左側面部421とを備えて一体に形成され、位置決め突起部614は、前面部420の下端に形成される。このため、吹出口41に対する前面部420の位置決めを容易に行うことができ、ファンガード42を前面パネル36に容易に取り付けることができる。
【0064】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、一部の横線材60Aの両端には、左突起部603と右突起部604とが形成されており、前面パネル36は、左突起部603及び右突起部604に対応する位置に、左突起部603が挿し込まれる左孔部82と、右突起部604が挿し込まれる右孔部75とを有する。このため、ファンガード42を前面パネル36に取り付ける際に、該前面パネル36に対するファンガード42の位置決め及び仮固定を実行できる。このため、ファンガード42のねじ止め作業が容易となり、ファンガード42を前面パネル36に容易に取り付けることができる。
【0065】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、前面パネル36は、該前面パネル36の一部が筐体30の背面側に凹んだ凹部71を有し、凹部71に支持部70が形成されるため、前面パネル36の一部を背面側に凹ませることで容易に支持部70を形成することができる。
【0066】
また、本実施例に係るヒートポンプサイクル装置1の室外機2において、ファンガード42は、筐体30の前面パネル36の吹出口41を覆う前面部420と、筐体30の左側面側の一部を覆う左側面部421とを備えて一体に形成され、凹部71の奥行寸法は、前面部420を該凹部71の内部に収めることができる寸法であるため、ファンガード42を前面パネル36における第1前面部36Aの前端部36A1とほぼ面一に位置決めした状態で固定することができる。従って、ファンガード42と前面パネル36とほぼ同一面になることで全体の一体感を高め、室外機2のデザイン性を向上させることができる。なお、室外機2のデザイン性を重視しない場合には、ファンガード42は前面パネル36に対して出っ張って配置されてもよい。
【0067】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。例えば、本実施例では、ファンガード42が取り付けられる前面パネル36は、筐体30の前面の一部を形成する第1前面部36Aと、筐体30の左側面の一部を形成する第1左側面部36Bとを一体に備えた構成として説明したが、前面パネルは前面部を少なくとも備えていれば、側面部を備えることを要しない。また、本実施例では、ファンガード42は、下突起部として機能する位置決め突起部614(第1下突起部)と下ねじ止め部612(第2下突起部)とを備えた構成として説明したが、少なくとも位置決め突起部614を備えていれば、下ねじ止め部612を備えることを要しない。
【0068】
なお、本開示は以下の発明を包含するものとする。
【0069】
(1)熱交換器と、熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、筐体は、ファンの回転により熱交換器で冷媒と熱交換した空気を筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前面パネルに取り付けられて吹出口を覆うファンガードとを有し、前面パネルの下部には、ファンガードが支持される支持部が設けられることを特徴とするヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0070】
(2)ファンガードの下端には、支持部に載置される載置部と、下方に突出する下突起部とが設けられることを特徴とする(1)に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0071】
(3)下突起部は、後方側に配置される第1下突起部と、前方側に配置される第2下突起部を備えることを特徴とする(2)に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0072】
(4)支持部は、第1下突起部が挿し込まれる下受け部を有することを特徴とする(3)に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0073】
(5)ファンガードは、縦に延びる複数の縦線材と横に延びる複数の横線材とを網目状に組み合わせて形成され、下突起部は、少なくとも一部の縦線材の下端を下方に突出させて形成されることを特徴とする(2)~(4)のいずれか1つに記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0074】
(6)ファンガードは、筐体の前面パネルの吹出口を覆う前面部と、筐体の側面側の一部を覆う側面部とを備えて一体に形成され、下突起部は、前面部の下端に形成されることを特徴とする(2)~(5)のいずれか1つに記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0075】
(7)一部の横線材の両端には、第1横突起部と第2横突起部とが形成されており、前面パネルは、第1横突起部及び第2横突起部に対応する位置に、第1横突起部が挿し込まれる第1横受け部と、第2横突起部が挿し込まれる第2横受け部とを有することを特徴とする(5)に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0076】
(8)前面パネルは、該前面パネルの一部が前記筐体の背面側に凹んだ凹部を有し、凹部に支持部が形成される(1)~(7)のいずれか1つに記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0077】
(9)ファンガードは、筐体の前面パネルの吹出口を覆う前面部と、筐体の側面側の一部を覆う側面部とを備えて一体に形成され、凹部は、ファンガードを該凹部の内部に収めることができることを特徴とする(8)に記載のヒートポンプサイクル装置の室外機。
【0078】
(10)室外に配置される室外機と、室内に配置される室内機とを備えたヒートポンプサイクル装置であって、室外機は、熱交換器と、熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、筐体は、ファンの回転により熱交換器で冷媒と熱交換した空気を筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前面パネルに取り付けられて吹出口を覆うファンガードとを有し、前面パネルの下部には、ファンガードが支持される支持部が設けられることを特徴とするヒートポンプサイクル装置。
本願の開示するヒートポンプサイクル装置の室外機は、熱交換器と、熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、筐体は、ファンの回転により熱交換器で冷媒と熱交換した空気を筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前面パネルに取り付けられて吹出口を覆うファンガードとを有し、前面パネルは、筐体の前面側に位置する前端部と、この前端部よりも筐体の背面側に凹んだ凹部とを有し、前面パネルの凹部の下部における前端部に連なる下部壁面には、ファンガードが支持される支持部が設けられ、ファンガードの下端には、支持部に載置される載置部と、下方に突出する下突起部と、が設けられることを特徴とする。
本願の開示するヒートポンプサイクル装置は、室外に配置される室外機と、室内に配置される室内機とを備え、室外機は、熱交換器と、熱交換器に空気を送風するファンとを格納する筐体を有し、筐体は、ファンの回転により熱交換器で冷媒と熱交換した空気を筐体の外部に吹き出すための吹出口を設けた前面パネルと、前面パネルに取り付けられて吹出口を覆うファンガードとを有し、前面パネルは、筐体の前面側に位置する前端部と、この前端部よりも筐体の背面側に凹んだ凹部とを有し、前面パネルの凹部の下部における前端部に連なる下部壁面には、ファンガードが支持される支持部が設けられ、ファンガードの下端には、支持部に載置される載置部と、下方に突出する下突起部と、が設けられることを特徴とする。