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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049828
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】映像処理装置および映像信号結合装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/268 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
H04N5/268
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156297
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 知行
(72)【発明者】
【氏名】藤居 尚博
【テーマコード(参考)】
5C023
【Fターム(参考)】
5C023AA21
5C023BA16
5C023BA19
5C023DA04
5C023DA08
(57)【要約】
【課題】メモリを使用して複数の入力映像信号を結合して映像結合データを生成する場合にメモリ回路面積を削減可能な映像信号結合装置を提供する。
【解決手段】映像信号結合装置は、夫々が複数のラインメモリを有し、複数の入力端子からそれぞれ入力された映像信号のラインデータをそれぞれ取得して取得した当該ラインデータを複数のラインメモリに順次書込んで蓄積する複数のメモリ部と、ラインデータを順次複数のラインメモリのいずれかからファーストインファーストアウトで読出す読出制御部と、読出制御部によって読出されたラインデータが連なった映像結合データを出力するデータ出力部と、を有する。読出制御部は、複数のラインメモリのラインデータの蓄積状態に基づいて複数のラインメモリのうちから決まる1つからラインデータの読出しを行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々が複数のラインメモリを有し、複数の入力端子からそれぞれ入力された映像信号のラインデータをそれぞれ取得して取得した当該ラインデータを前記複数のラインメモリに順次書込んで蓄積する複数のメモリ部と、
前記ラインデータを順次前記複数のラインメモリのいずれかからファーストインファーストアウトで読出す読出制御部と、
前記読出制御部によって読出された前記ラインデータが連なった映像結合データを出力するデータ出力部と、を有し、
前記読出制御部は、前記複数のラインメモリの前記ラインデータの蓄積状態に基づいて前記複数のラインメモリのうちから決まる1つから前記ラインデータの読出しを行うことを特徴とする映像信号結合装置。
【請求項2】
前記読出制御部は、前記蓄積状態として、前記複数のラインメモリに蓄積可能なラインデータのデータ量で前記複数のラインメモリの全てに前記ラインデータが書込まれた際の書込データ量を除した値に基づきデータ蓄積割合として前記複数のラインメモリ毎に算出し、前記データ蓄積割合が最も小さいラインメモリから前記ラインデータを読出すことを特徴とする請求項1に記載の映像信号結合装置。
【請求項3】
前記読出制御部は、
前記複数のラインメモリの各々への前記ラインデータの書込みおよび前記複数のラインメモリの各々からの前記ラインデータの読出しを監視した監視結果に基づいて前記データ蓄積割合を算出することを特徴とする請求項2に記載の映像信号結合装置。
【請求項4】
前記複数のメモリ部の各々は、前記複数のラインメモリに前記ラインデータを書込む書込制御回路を有し、
前記読出制御部は、
前記複数のラインメモリのそれぞれからの前記ラインデータの読出しおよび出力を行う複数の読出制御回路と、
前記書込制御回路の各々の前記ラインデータの書込みと前記読出制御回路の各々の前記ラインデータの読出しを監視して、前記複数のラインメモリの各々の前記ラインデータの前記蓄積状態を監視するメモリ蓄積状態監視回路と、
前記蓄積状態に基づき、前記複数のラインメモリから前記ラインデータを読出すべきメモリを決定して当該決定されたメモリに設けられた前記読出制御回路に読出し指示を出力する優先出力決定回路と、
前記書込制御回路の前記ラインデータの書込みを監視し、前記優先出力決定回路からの前記読出し指示に基づく読出要求信号を前記読出制御回路に出力する読出要求選択回路と、
を有し、
前記データ出力部は、前記複数の読出制御回路からの出力を受け、前記優先出力決定回路によって決定されたメモリに設けられた読出制御回路からの出力を選択して出力することで前記映像結合データを出力するマルチプレクサと、
を有することを特徴とする請求項3に記載の映像信号結合装置。
【請求項5】
前記複数のラインメモリの各々は複数の格納部を有し、
前記優先出力決定回路は、前記複数の格納部のうちの同数の組の前記データ蓄積割合を比較して、前記データ蓄積割合が最も小さい前記組の前記ラインメモリの前記ラインデータを選択することを特徴とする請求項4に記載の映像信号結合装置。
【請求項6】
前記複数の入力端子からそれぞれ入力された前記ラインデータはそれぞれ複数のカメラの出力であることを特徴とする請求項1に記載の映像信号結合装置。
【請求項7】
夫々が複数のラインメモリを有し、複数の入力端子からそれぞれ入力された映像信号のラインデータをそれぞれ取得して取得した当該ラインデータを前記複数のラインメモリに順次書込んで蓄積する複数のメモリ部と、
前記ラインデータを順次前記複数のラインメモリのいずれかからファーストインファーストアウトで読出し、前記複数のラインメモリの前記ラインデータの蓄積状態に基づいて前記複数のラインメモリのうちから決まる1つから前記ラインデータの読出しを行う読出制御部と、
前記読出制御部によって読出された前記ラインデータが連なった映像結合データを出力するデータ出力部と、
出力された前記映像結合データを処理する映像処理部と、
を有することを特徴とする映像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号を処理する映像処理装置に関し、特に、映像信号を結合する映像信号結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車載アプリケーションには、カーナビゲーションやバックカメラ等様々な入力映像ソースが存在する。これらの入力映像ソースは増加の一途をたどっている。例えば、車両の死角を補うために車両の前後左右にカメラを搭載し運転席のディスプレイに撮影映像を運転者に提供する技術が開発されている。一例として、画像を処理するASIC等の集積回路である画像処理装置として、4つの撮影画像を結合して4つの撮影画像の全ての内容を含む一の結合画像を生成する画像結合回路が知られている(特許文献1、段落0057を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-138875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
映像処理装置の映像処理LSI(大規模集積回路)におけるカメラ用ポート数を節約するため、複数入力を結合し1本の出力にする技術を用いる技術も考えられるが、複数入力データが該LSIに同時に入ってくるので、入力データ待ちが存在するため、入力データを格納するメモリが大量に必要となる。一般的に入力データを大量に蓄積できるメモリを搭載することにより映像結合出力が可能となるが、メモリ回路面積の増加によって製造コストが高くなる。
【0005】
このように、複数の撮影画像の全ての内容を含む1つの結合画像を生成する映像処理装置において、大量のメモリを使用して複数の入力映像信号を結合して映像結合データを生成する場合にメモリ回路面積の増加によってLSIの製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、メモリを使用して複数の入力映像信号を結合して映像結合データを生成する場合にメモリ回路面積を削減可能な映像処理装置および映像信号結合装置を提供することがその目的の一つとして挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の映像信号結合装置は、夫々が複数のラインメモリを有し、複数の入力端子からそれぞれ入力された映像信号のラインデータをそれぞれ取得して取得した当該ラインデータを前記複数のラインメモリに順次書込んで蓄積する複数のメモリ部と、
前記ラインデータを順次前記複数のラインメモリのいずれかからファーストインファーストアウトで読出す読出制御部と、
前記読出制御部によって読出された前記ラインデータが連なった映像結合データを出力するデータ出力部と、を有し、
前記読出制御部は、前記複数のラインメモリの前記ラインデータの蓄積状態に基づいて前記複数のラインメモリのうちから決まる1つから前記ラインデータの読出しを行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の映像処理装置は、夫々が複数のラインメモリを有し、複数の入力端子からそれぞれ入力された映像信号のラインデータをそれぞれ取得して取得した当該ラインデータを前記複数のラインメモリに順次書込んで蓄積する複数のメモリ部と、
前記ラインデータを順次前記複数のラインメモリのいずれかからファーストインファーストアウトで読出し、前記複数のラインメモリの前記ラインデータの蓄積状態に基づいて前記複数のラインメモリのうちから決まる1つから前記ラインデータの読出しを行う読出制御部と、
前記読出制御部によって読出された前記ラインデータが連なった映像結合データを出力するデータ出力部と、
出力された前記映像結合データを処理する映像処理部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、映像信号結合装置等の映像処理装置において、映像結合時におけるメモリ容量を節約でき回路面積を削減できるという有利な効果が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例の映像信号結合装置とこれに接続された映像処理装置とを含む映像処理システムの一例を示す概略ブロック図である。
図2】実施例の映像信号結合装置の概略を示すブロック図である。
図3】実施例の映像信号結合装置を示すブロック図である。
図4】実施例の映像信号結合装置における入力される映像信号(フレーム時間およびライン時間)との映像のフレームレートとの関係の例を示す説明図である。
図5】実施例の映像信号結合装置による結合映像信号の生成動作を示す説明図である。
図6】実施例の映像信号結合装置による結合映像信号の生成動作を示す説明図である。
図7】実施例の映像信号結合装置による結合映像信号の生成動作を示す説明図である。
図8】実施例の映像信号結合装置による結合映像信号の生成動作を示す説明図である。
図9】比較例の映像信号結合装置を示すブロック図である。
図10】比較例の映像信号結合装置による結合映像信号の生成動作を示す説明図である。
図11】実施例の変形例として映像信号結合部と映像処理部を含めた映像処理装置の一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の映像信号結合装置の実施例について詳細に説明する。なお、実施例において、実質的に同一の機能および構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
(構成の説明)
図1は、映像処理装置10に接続される実施例のLSI(大規模集積回路)である映像信号結合装置20を含む映像処理システムの一例を示す概略ブロック図である。この映像処理システムは、一例として、複数のカメラCM1~CMnから映像信号をそれぞれ取得する車両搭載映像処理システムとして利用することができる。
【0013】
カメラCM1~CMnは映像信号結合装置20の複数の入力端子INに接続されている。映像信号結合装置20の出力端子OUTは映像処理装置10の入力端(図示せず)に接続されている。
【0014】
カメラCM1~CMnはそれぞれ、映像データ(映像信号ともいう)V1~Vnを生成し、シリアル伝送で映像信号結合装置20に供給する。
【0015】
映像信号結合装置20は、カメラからの複数の映像データV1~Vnを結合して複数の映像データの全ての内容を含む1つの結合映像データV1Vn(結合映像信号ともいう)のストリームを生成する。映像信号結合装置20は、結合映像信号V1Vnを映像処理装置10に受け渡す。
【0016】
映像処理装置10は映像データV1Vnに基づいて、表示すべき合成映像等を生成して、例えば、生成した映像をディスプレイ(図示せず)に出力する。
【0017】
図2および図3は、実施例の映像信号結合装置20を示すブロック図である。実施例の映像信号結合装置20は、カメラCM1~CMnからの複数の映像データV1~Vnが供給され、複数のメモリ部MMと、読出制御部RCと、データ出力部DOと、を有する。図4は、実施例の映像信号結合装置における映像信号V1~V2(それぞれのフレーム時間およびライン時間)との映像のフレームレートの関係の例を示す説明図である。
【0018】
メモリ部MMのそれぞれは、書込制御回路21_1、21_2、…21_nと、それぞれに接続された対応するラインメモリ22_1、22_2、…22_nと、を有する。書込制御回路21_1、21_2、…21_nは、複数の入力端子INからそれぞれ入力された映像信号V1~VnのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxをそれぞれ取得する。複数の入力端子INからそれぞれ入力されたラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxはそれぞれカメラCM1~CMnの出力(映像信号V1~Vn)である。
【0019】
また、書込制御回路21_1、21_2、…21_nは、取得した当該ラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxをラインメモリ22_1、22_2、…22_nに順次書込む。
【0020】
また、メモリ部MMに含まれるラインデータを蓄積するラインメモリ22_1、22_2、…22_nの各々は、順次書込まれる同一容量の3つの格納部m1,m2,m3を有している。
【0021】
更に、書込制御回路21_1、21_2、…21_nは、各ラインメモリの格納部m1,m2,m3毎にラインデータが書込まれて充填された時点で書込完了信号WD1、WD2、…WDnを、読出制御部RCの読出要求選択回路25(後述する)に出力する。
【0022】
図3に示されるように、書込制御回路21_1、21_2、…21_nの各々は、ライン番号生成回路21aを含んでいる。
【0023】
ここで、図4を用いて、各書込制御回路(ライン番号生成回路21a)の機能と、書込制御回路により処理されるカメラCM1、CM2の映像信号V1、V2と、当該カメラの撮像素子の1フレーム映像領域から得られる映像データのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxと、の関係を説明する。
【0024】
図4に示されるように、フレームレートが60Hz(fps)のカメラCM1における撮像素子の1フレーム映像領域が例えば1280画素×720画素である場合、カメラCM1の映像信号V1は、フレーム時間16.6ms中に連続する720個のデータブロックのラインデータV1L1~V1L720として書込制御回路21_1に取り込まれる。
【0025】
書込制御回路21_1のライン番号生成回路21aは、ラインメモリ22_1に書込まれるラインデータV1L1~V1L720に付加されるライン番号L1~L720(図4のカメラCM1の撮像素子1フレーム映像領域の上から下に順に1ラインずつ+1だけ増加する走査ラインL1~L720に対応する(ここでは最大走査ラインLmaxがL720である))を生成すると共に、カメラCM1の識別子V1(映像信号識別子)を生成して、当該ラインデータにそれぞれ付与する。一例として、ライン番号は、走査順序で1つのラインデータV1L1が次のラインデータV1L2に変わる毎に、+1だけ増加する番号であり、例えば、720ラインの場合に10ビット、1080ラインの場合に11ビットを要するので、11ビットをデータに追加する。
【0026】
同様に、図4に示されるように、フレームレートが60Hz(fps)のカメラCM2の撮像素子の1フレーム映像領域が例えば1920画素×1080画素である場合、カメラCM2の映像信号V2は、フレーム時間16.6ms中に連続する1080個のデータブロックのラインデータV2L1~V2L1080として書込制御回路21_2に取り込まれる。
【0027】
書込制御回路21_2のライン番号生成回路21aは、ラインメモリ22_2に書込まれるラインデータV2L1~V2L1080に付加されるライン番号L1~L1080(図4のカメラCM2の撮像素子1フレーム映像領域の上から下に順に1ラインずつ+1だけ増加する走査ラインL1~L1080に対応する(ここでは最大走査ラインLmaxがL1080である))を生成すると共に、カメラCM2の識別子V2(映像信号識別子)を生成して、当該ラインデータにそれぞれ付与する。
【0028】
このように実施例の映像信号結合装置20によれば、それぞれの書込制御回路21_1、21_2、…21_nがラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxに、それぞれの映像データのライン番号L1~LmaxやL1~Lmax並びにカメラCM1~CMnの識別子V1~Vn(映像信号識別子)が含まれるので、出力する結合映像データV1Vn(結合映像信号)からの復号が確実になる。なお、上記のようなライン番号付与は、一例であって、フレームの先頭と最後に映像データとは別の制御データを送信してライン番号を判断してもよい。
【0029】
翻って、図3に示されるように、メモリ部MMの各々に含まれるラインメモリ22_1、22_2、…22_nの3つの格納部m1,m2,m3の各々は、3走査ライン分のラインデータ(図4のカメラCM1、CM2の撮像素子1フレーム映像領域の連続する3本の走査ラインのラインデータ)をそれぞれ記憶することができる同一容量を有する。すなわち、格納部m1,m2,m3の各容量は記憶する走査ライン1本分のラインデータ容量である。
【0030】
また、図3に示す読出制御部RCは、ラインメモリ22_1、22_2、…22_nのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの蓄積状態を監視して、該蓄積状態に基づいてラインメモリ22_1、22_2、…22_nのうちから決まる1つからラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの読出しを行う。すなわち、読出制御部RCは、ラインメモリ22_1、22_2、…22_nの格納部m1,m2,m3からそれぞれラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxを順次、ファーストインファーストアウトで読出す機能部である。
【0031】
読出制御部RCは、読出制御回路23_1、23_2、…23_nと、メモリ蓄積状態監視回路26_1、26_2、…26_nと、優先出力決定回路27と、読出要求選択回路25と、を備えている。
【0032】
読出制御回路23_1、23_2、…23_nはラインメモリ22_1、22_2、…22_nにそれぞれに接続され、それぞれの対応するラインメモリ(格納部m1,m2,m3)からのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの読出しとデータ出力部DOへの該ラインデータの出力を行う。
【0033】
メモリ蓄積状態監視回路26_1、26_2、…26_nは、それぞれに接続された書込制御回路21_1、21_2、…21_nのそれぞれのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxのラインメモリ22_1、22_2、…22_nへの書込みと、それらからの対応する読出制御回路によるラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの読出しを監視して、それぞれの対応するラインメモリ(格納部m1,m2,m3)のラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの蓄積状態を監視する。メモリ蓄積状態監視回路26_1、26_2、…26_nは、蓄積状態として、対応するラインメモリ22_1、22_2、…22_nに蓄積可能なラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxのデータ量でラインメモリ22_1、22_2、…22_nの全てにラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxが書込まれた際の書込データ量を除した値に基づきデータ蓄積割合としてラインメモリ22_1、22_2、…22_n毎に算出して、データ蓄積割合R1、R2、…Rnを優先出力決定回路27に出力する。例えば、データ蓄積割合は除算値から判定される制御値が使用される。
【0034】
ここでは、優先出力決定回路27は、次のルールにより監視と優先読出しを行う。
(1)1走査ライン分のラインデータの書込みが終わっているラインメモリ(未読出しのラインデータがある格納部)が1つしか無い場合はその格納部から読出す。いわゆる書込完了信号WD1、WD2、…WDnのいずれかが出ているラインメモリ格納部が1つしか無い場合、その格納部から読出す。
(2)1走査ライン分のラインデータの書込みが終わっているラインメモリ(未読出しのラインデータがある格納部)が複数ある場合には、メモリ蓄積可能量が少ないラインメモリから読出す。いわゆる書込完了信号WD1、WD2、…WDnが出ているラインメモリが2つある場合、メモリ蓄積可能量(すなわちデータ蓄積割合R1、R2、…Rn)が少ないラインメモリから読出す。
(3)上記の(1)(2)の判断は1のラインデータの読出しが終わった時点で行う。
(4)「メモリ蓄積可能量」は、[3つの格納部m1,m2,m3の全ラインメモリにラインデータを書込んだ際のデータ量]-(ラインメモリへの書込みデータ量-読出しデータ)である。
【0035】
このように、優先出力決定回路27は、当該蓄積状態(データ蓄積割合R1、R2、…Rn)に基づき、ラインメモリ22_1、22_2、…22_nからラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxを読出すべきメモリを決定して当該決定されたメモリに設けられた読出制御回路に読出し指示(読出要求信号RQ1、RQ2、…RQn)を読出要求選択回路25を介して出力する。
【0036】
このように、読出要求選択回路25は、書込制御回路21_1、21_2、…21_nのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの書込み、特に書込み完了(書込完了信号WD1、WD2、…WDn)を監視しすると共に、優先出力決定回路27からの読出し指示ISTに基づく読出要求信号RQ1、RQ2、…RQnを読出制御回路23_1、23_2、…23_nに出力する。
【0037】
このように、読出制御部RCは、ラインメモリ22_1、22_2、…22_nの各々へのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの書込みおよびラインメモリ22_1、22_2、…22_nの各々からのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxの読出しを監視した監視結果に基づいてデータ蓄積割合R1、R2、…Rnを算出する。
【0038】
優先出力決定回路27は、複数の格納部m1,m2,m3の同数の組(すなわち3個分の格納部の集合)毎のデータ蓄積割合を比較して、上記ルール(2)により、データ蓄積割合が最も小さい組のラインメモリのラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxを選択する。すなわち、読出制御部RCは蓄積状態として、上記データ蓄積割合をラインメモリ22_1、22_2、…22_n毎に算出し、データ蓄積割合が最も小さいラインメモリから該当するラインデータを読出す。
【0039】
データ出力部DOは、読出制御回路23_1、23_2、…23_nからの出力を受け、優先出力決定回路27によって決定されたメモリに設けられた読出制御回路からの出力を選択して出力することで映像結合データを出力するマルチプレクサ24を有する。すなわち、データ出力部DOは、読出制御回路23_1、23_2、…23_nによって読出されたラインデータV1L1~V1Lmax、V2L1~V2Lmax、…VnL1~VnLmaxが連なった結合映像データV1Vn(結合映像信号)を出力する。
【0040】
(動作の説明)
図3に示す映像信号結合装置20が図4に示す1280×720の解像度のハイビジョン映像信号V1と1920×1080の解像度のフルハイビジョン映像信号V2から結合映像信号V1V2を生成する動作の一例について説明する。映像信号V1とV2は、書込みタイミングが同一で、双方のフレームレート60Hz(fps)も同一であるとする。
【0041】
図5に示すように、映像信号V1、V2のラインデータV1L1、V2L1はそれぞれ書込制御回路21_1、21_2、…21_nによってラインメモリ22_1、22_2に書込まれる。時間経過により、ラインデータV1L1のラインメモリ22_1の蓄積よりも先に、ラインデータV2L1のラインメモリ22_2の格納部m1への書き込みが完了して格納部m1満たされる。優先出力決定回路27は3走査ライン分(3格納部毎)のラインメモリ残量で読出優先度判定し、上記ルール(1)(3)により、読出要求選択回路25と読出制御回路23_2を介してラインデータV2L1を映像結合データ用にマルチプレクサ24に出力させる。出力する結合映像信号V1V2には書込みタイミングから遅延DLがある。
【0042】
時間が経過して、図6に示すように、映像信号V1、V2のラインデータV1L1、V2L3がそれぞれ対応する書込制御回路により対応するラインメモリに書込まれ、優先出力決定回路27は、上記ルール(1)(3)により、読出要求選択回路25と読出制御回路23_2を介してラインデータV1L1、V2L2、V2L3を映像結合データ用にマルチプレクサ24に出力させる。
【0043】
時間が経過して、図7に示すように、映像信号V1、V2のラインデータV1L2、V1L3、V2L4、V2L5がそれぞれ対応する書込制御回路により対応するラインメモリに書込まれるが、優先出力決定回路27は、上記ルール(2)(3)により、読出要求選択回路25と読出制御回路23_2を介してラインデータV2L4を映像結合データ用にマルチプレクサ24に出力させる。
【0044】
時間が経過して、図8に示すように、映像信号V1、V2のラインデータV1L3、V2L5がそれぞれ対応する書込制御回路により対応するラインメモリに更に書込まれ、ラインメモリ22_2で書込完了信号WD2が出力された時点で、優先出力決定回路27は、上記ルール(2)(3)により、読出要求選択回路25と読出制御回路23_1を介してラインデータV1L2を映像結合データ用にマルチプレクサ24に出力させる。
【0045】
(効果の説明)
本実施例の効果を検証するために、図9に示すようなメモリ蓄積状態監視回路と優先出力決定回路を設けない以外、本実施例の映像信号結合装置20と同様な構成の比較例の映像信号結合装置20Bを用意した。
【0046】
図10は、比較例の映像信号結合装置20Bを本実施例と同様に動作させて、本実施例の図7に示す経過時点の前の比較例の映像信号結合装置による結合映像信号の生成動作を示す説明図である。
【0047】
図10に示すように、比較例の映像信号結合装置20Bでは、映像信号V1のラインデータV1L2が、読出要求選択回路25により選択されて、読出制御回路23_2を介してラインデータV1L2を映像結合データ用にマルチプレクサ24に出力された。これにより、その後の動作において、映像信号V2のラインメモリ22_2の格納部m1のラインデータV2L4にラインデータV2L7が上書きされ、映像結合データから映像信号V2のラインデータV2L4の出力が抜けることが生じて、信号結合動作が失敗した。
【0048】
以上の比較結果から、メモリ蓄積状態監視回路と優先出力決定回路を含む本実施例の映像信号結合装置20では、信号結合処理中にラインメモリのラインデータが上書きされることを回避され、出力された結合映像データ(結合映像信号)からの復号が確実に実行されることが確認された。
【0049】
本実施例の映像信号結合装置では、入力映像信号用のメモリ蓄積量をモニタし、次にどの入力映像を出力すべきかを判断することによって、動作時におけるメモリを節約でき、更に、装置における回路面積を削減できるという有利な効果が得られた。
【0050】
また、本実施例では映像信号結合装置20を説明したが、図11に示すように、変形例として映像信号結合装置20を映像信号結合部20Aとして用い、これから出力された映像結合データV1Vnを処理する映像処理部10Aを含めた映像処理装置100も本発明に包含される。
【符号の説明】
【0051】
10 映像処理装置
20 映像信号結合装置
21_1、21_2、…21_n 書込制御回路
21a ライン番号生成回路
22_1、22_2、…22_n ラインメモリ
m1,m2,m3 格納部
23_1、23_2、…23_n 読出制御回路
26_1、26_2、…26_n メモリ蓄積状態監視回路
24 マルチプレクサ
25 読出要求選択回路
27 優先出力決定回路
MM メモリ部
RC 読出制御部
DO データ出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11