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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049836
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】出力バッファ回路及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20240403BHJP
   H03K 19/0185 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H03K19/0185
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156313
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA05
5J056BB02
5J056BB19
5J056BB22
5J056BB51
5J056CC01
5J056CC04
5J056DD13
5J056DD29
5J056FF08
5J056KK01
(57)【要約】
【目的】回路面積の増加を抑え、貫通電流に伴う消費電力の増加及びノイズの発生を抑制すると共に高速応答化を図ることが可能な出力バッファ回路及び半導体装置を提供する。
【構成】第1及び第2のバイアス電圧を生成するバイアス回路と、入力信号に応じて第1の電源電圧を第1のノードに供給する第1導電型の第1のトランジスタと、入力信号に応じて第2の電源電圧を第2のノードに供給する第2導電型の第2のトランジスタと、第1のバイアス電圧をゲートで受け、ソース及びドレインが夫々第2及び第1のノードに接続されている第2導電型の第3のトランジスタと、第2のバイアス電圧をゲートで受け、ソース及びドレインが夫々第1及び第2のノードに接続されている第1導電型の第4のトランジスタと、第1のノードの電圧に応じて第1の電源電圧を出力端子に供給する第1導電型の第5のトランジスタと、第2のノードの電圧に応じて第2の電源電圧を出力端子に供給する第2導電型の第6のトランジスタと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を増幅した出力信号を出力端子から出力する出力バッファ回路であって、
第1のバイアス電圧及び第2のバイアス電圧を生成するバイアス回路と、
前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を第1のノードに供給する第1導電型の第1のトランジスタと、
前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧を第2のノードに供給する第2導電型の第2のトランジスタと、
前記第1のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第2のノードに接続されておりドレインが前記第1のノードに接続されている第2導電型の第3のトランジスタと、
前記第2のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第1のノードに接続されておりドレインが前記第2のノードに接続されている第1導電型の第4のトランジスタと、
前記第1のノードの電圧をゲートで受け、前記第1のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧を前記出力端子に供給する第1導電型の第5のトランジスタと、
前記第2のノードの電圧をゲートで受け、前記第2のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第2の電源電圧を前記出力端子に供給する第2導電型の第6のトランジスタと、を有することを特徴とする出力バッファ回路。
【請求項2】
前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタ各々の電流駆動能力は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタ各々の電流駆動能力より低いことを特徴とする請求項1に記載の出力バッファ回路。
【請求項3】
前記第1のバイアス電圧は、前記第1の電源電圧より低く、且つ前記第2のノードの電圧が前記第2の電源電圧となる場合に前記第3のトランジスタのゲート・ソース間電圧が前記第3のトランジスタの閾値電圧を超えるような電圧値を有し、
前記第2のバイアス電圧は、前記第2の電源電圧より高く、且つ前記第1のノードの電圧が前記第1の電源電圧となる際に前記第4のトランジスタのゲート・ソース間電圧が閾値電圧を超えるような電圧値を有することを特徴とする請求項2に記載の出力バッファ回路。
【請求項4】
前記バイアス回路は、
第1の定電流を生成する第1の電流源と、
前記第1の定電流に対して電流電圧変換を施して得られた電圧を前記第1のバイアス電圧として出力する第1の電流電圧変換部と、
第2の定電流を生成する第2の電流源と、
前記第2の定電流に対して電流電圧変換を施して得られた電圧を前記第2のバイアス電圧として出力する第2の電流電圧変換部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の出力バッファ回路。
【請求項5】
前記第1の電流電圧変換部は、前記第1の定電流を第3のノードを介してゲート及びドレインで受け、ソースに前記第2の電源電圧が印加されている第2導電型の第7のトランジスタを含み、
前記第2の電流電圧変換部は、前記第2の定電流を第4のノードを介してゲート及びドレインで受け、ソースに前記第1の電源電圧が印加されている第1導電型の第8のトランジスタを含み、
前記第3のノードの電圧を前記第1のバイアス電圧として出力すると共に、前記第4のノードの電圧を前記第2のバイアス電圧として出力することを特徴とする請求項4に記載の出力バッファ回路。
【請求項6】
前記第1の電流電圧変換部は、前記第1の定電流を第3のノードを介して前記第7のトランジスタのゲート及びドレインで受け、前記第7のトランジスタのソースには第1の負荷素子を介して前記第2の電源電圧が印加され、
前記第2の電流電圧変換部は、前記第2の定電流を第4のノードを介して前記第8のトランジスタのゲート及びドレインで受け、前記第8のトランジスタのソースには第2の負荷素子を介して前記第1の電源電圧が印加されることを特徴とする請求項5に記載の出力バッファ回路。
【請求項7】
入力信号を増幅した出力信号を出力端子から出力する出力バッファ回路を有する半導体装置であって、
前記出力バッファ回路は、
第1のバイアス電圧及び第2のバイアス電圧を生成するバイアス回路と、
前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を第1のノードに供給する第1導電型の第1のトランジスタと、
前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧を第2のノードに供給する第2導電型の第2のトランジスタと、
前記第1のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第2のノードに接続されておりドレインが前記第1のノードに接続されている第2導電型の第3のトランジスタと、
前記第2のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第1のノードに接続されておりドレインが前記第2のノードに接続されている第1導電型の第4のトランジスタと、
前記第1のノードの電圧をゲートで受け、前記第1のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧を前記出力端子に供給する第1導電型の第5のトランジスタと、
前記第2のノードの電圧をゲートで受け、前記第2のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第2の電源電圧を前記出力端子に供給する第2導電型の第6のトランジスタと、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
第1~第k(kは2以上の整数)の入力信号を個別に受け、夫々が受けた前記入力信号を増幅した出力信号を自身の出力端子から出力する第1~第kの出力バッファ回路を含む半導体装置であって、
第1のバイアス電圧及び第2のバイアス電圧を生成するバイアス回路を有し、
前記第1~第kの出力バッファ回路の各々は、
自身が受けた前記入力信号をゲートで受け当該入力信号に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を第1のノードに供給する第1導電型の第1のトランジスタと、
前記自身が受けた前記入力信号をゲートで受け当該入力信号に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧を第2のノードに供給する第2導電型の第2のトランジスタと、
前記第1のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第2のノードに接続されておりドレインが前記第1のノードに接続されている第2導電型の第3のトランジスタと、
前記第2のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第1のノードに接続されておりドレインが前記第2のノードに接続されている第1導電型の第4のトランジスタと、
前記第1のノードの電圧をゲートで受け、前記第1のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧を自身の前記出力端子に供給する第1導電型の第5のトランジスタと、
前記第2のノードの電圧をゲートで受け、前記第2のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第2の電源電圧を前記自身の前記出力端子に供給する第2導電型の第6のトランジスタと、を有することを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を駆動する出力バッファ回路及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路には、外部接続される信号線等の容量性負荷をパルス信号駆動する出力バッファが設けられるものがある。
【0003】
上記出力バッファは、例えば2値(論理レベル0、1)の入力信号を夫々のゲート端で受け、且つ夫々のドレイン端同士が出力ノードに接続されているPチャネルMOS(metal oxide semiconductor)型のトランジスタ及びNチャネルMOS型のトランジスタを含む。出力バッファは、上記した両トランジスタを2値の入力信号によって相補的にオン状態に設定することで、出力ノードから、容量性負荷を駆動する駆動信号を出力する。
【0004】
ところで、電圧差が比較的大きい2電源電圧を駆動する出力バッファでは、両トランジスタのうちの一方のトランジスタがオフ状態からオン状態へ切り替わるタイミングに対して、他方のトランジスタがオフ状態からオン状態へ切り替わるタイミングが遅れる場合がある。この際、一時的に両トランジスタが同時にオン状態となり、両者の間で貫通電流が流れてしまう。
【0005】
特に、比較的大きな負荷容量を有する駆動する高出力型の出力バッファは、自身のトランジスタサイズが大きいことから、消費電力の大幅な増加や電源ノイズの発生を招くという問題が生じる。
【0006】
そこで、かかる問題を解決するために、上記したPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタからなるバッファ部の前段に、プリバッファ部を設けた出力バッファ回路が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載の出力バッファ回路に含まれるプリバッファ部は、入力信号を受けその反転信号を上記したPチャネルMOSトランジスタのゲートに供給する第1のインバータと、入力信号を受けその反転信号を上記したNチャネルMOSトランジスタのゲートに供給する第2のインバータと、を有する。この際、第1のインバータのNチャネルMOSトランジスタのソースには電流源が接続されており、第2のインバータのPチャネルMOSトランジスタのソースには電流源が接続されている。特許文献1に記載の出力バッファ回路では、プリバッファ部の電流源各々に流れる電流を制御することで、バッファ部の両トランジスタのオン状態からオフ状態への遷移をオフ状態からオン状態への遷移よりも遅くさせる。これにより、当該出力バッファ回路では、バッファ部の両トランジスタが同時にオン状態となる状態が回避され、貫通電流を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-152374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のプリバッファ部に含まれる第1及び第2のインバータには、入力信号の論理レベルの変化時に、上記した電流源が生成する電流に伴う貫通電流が流れてしまう。
【0010】
よって、特に高駆動能力の出力バッファの場合、自身のトランジスタサイズが大きいことから、消費電力の増加や電源ノイズの発生を抑えられないという問題があった。
【0011】
そこで、本願発明は、回路面積の増加を抑え、貫通電流に伴う消費電力の増加及びノイズの発生を抑制すると共に高速応答化を図ることが可能な出力バッファ回路及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る出力バッファ回路は、入力信号を増幅した出力信号を出力端子から出力する出力バッファ回路であって、第1のバイアス電圧及び第2のバイアス電圧を生成するバイアス回路と、前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を第1のノードに供給する第1導電型の第1のトランジスタと、前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧を第2のノードに供給する第2導電型の第2のトランジスタと、前記第1のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第2のノードに接続されておりドレインが前記第1のノードに接続されている第2導電型の第3のトランジスタと、前記第2のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第1のノードに接続されておりドレインが前記第2のノードに接続されている第1導電型の第4のトランジスタと、前記第1のノードの電圧をゲートで受け、前記第1のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧を前記出力端子に供給する第1導電型の第5のトランジスタと、前記第2のノードの電圧をゲートで受け、前記第2のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第2の電源電圧を前記出力端子に供給する第2導電型の第6のトランジスタと、を有する。
【0013】
本発明に係る半導体装置は、入力信号を増幅した出力信号を出力端子から出力する出力バッファ回路を有する半導体装置であって、前記出力バッファ回路は、第1のバイアス電圧及び第2のバイアス電圧を生成するバイアス回路と、前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を第1のノードに供給する第1導電型の第1のトランジスタと、前記入力信号をゲートで受け、前記入力信号に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧を第2のノードに供給する第2導電型の第2のトランジスタと、前記第1のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第2のノードに接続されておりドレインが前記第1のノードに接続されている第2導電型の第3のトランジスタと、前記第2のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第1のノードに接続されておりドレインが前記第2のノードに接続されている第1導電型の第4のトランジスタと、前記第1のノードの電圧をゲートで受け、前記第1のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧を前記出力端子に供給する第1導電型の第5のトランジスタと、前記第2のノードの電圧をゲートで受け、前記第2のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第2の電源電圧を前記出力端子に供給する第2導電型の第6のトランジスタと、を有する。
【0014】
また、本発明に係る半導体装置は、第1~第k(kは2以上の整数)の入力信号を個別に受け、夫々が受けた前記入力信号を増幅した出力信号を自身の出力端子から出力する第1~第kの出力バッファ回路を含む半導体装置であって、第1のバイアス電圧及び第2のバイアス電圧を生成するバイアス回路を有し、前記第1~第kの出力バッファ回路の各々は、自身が受けた前記入力信号をゲートで受け当該入力信号に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧を第1のノードに供給する第1導電型の第1のトランジスタと、前記自身が受けた前記入力信号をゲートで受け当該入力信号に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧を第2のノードに供給する第2導電型の第2のトランジスタと、前記第1のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第2のノードに接続されておりドレインが前記第1のノードに接続されている第2導電型の第3のトランジスタと、前記第2のバイアス電圧をゲートで受け、ソースが前記第1のノードに接続されておりドレインが前記第2のノードに接続されている第1導電型の第4のトランジスタと、前記第1のノードの電圧をゲートで受け、前記第1のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第1の電源電圧を自身の前記出力端子に供給する第1導電型の第5のトランジスタと、前記第2のノードの電圧をゲートで受け、前記第2のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に前記第2の電源電圧を前記自身の前記出力端子に供給する第2導電型の第6のトランジスタと、を有する
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る出力バッファ回路では、出力段の一対のトランジスタをオン状態からオフ状態に遷移させる場合には電流駆動能力の高いトランジスタで出力段の一対のトランジスタのゲート電圧を制御し、オフ状態からオン状態に遷移させる場合には電流駆動能力を低下させたトランジスタでそのゲート電圧を制御している。
【0016】
かかる構成により、比較的小規模な回路構成で出力段の一対のトランジスタ間に流れる貫通電流が抑えられ、当該貫通電流に伴う消費電力の増加及びノイズの発生を抑制することが可能となる。
【0017】
更に、本発明に係る出力バッファ回路では、入力信号が受ける容量が2つのトランジスタ各々のゲート容量だけなので高速応答化が図られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る出力バッファ回路100の構成を示す回路図である。
図2】出力バッファ回路100の内部動作を示すタイムチャートである。
図3】バイアス回路20の一例としてのバイアス回路20_1の構成を示す回路図である。
図4】k個の出力チャネルを有する出力装置200の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0019】
図1は、本発明に係る出力バッファ回路100の構成を示す回路図である。
【0020】
出力バッファ回路100は、入力端子Tiで受けた2値(論理レベル0又は1)の入力信号SIの電流を増幅した出力信号SOを出力端子Toを介して出力する、いわゆる非反転バッファである。尚、入力信号SIにおける論理レベル1の実際の信号レベルは例えば電源電圧VDDであり、論理レベル0信号レベルは例えば接地電圧VSSである。
【0021】
出力バッファ回路100は、例えば半導体装置としての半導体ICチップに形成されており、バッファ部10及びバイアス回路20を有する。
【0022】
バッファ部10は、Pチャネル型のトランジスタQ11及びNチャネル型のトランジスタQ12からなる出力段と、Nチャネル型のトランジスタQ14、Q15及びPチャネル型のトランジスタQ13及びQ16からなるプリバッファ段と、を有する。
【0023】
バッファ部10では、入力端子Tiが、トランジスタQ13及びQ14各々のゲートに接続されている。トランジスタQ13のソースには電源電圧VDDが印加されており、そのドレインは、ノードn1を介してトランジスタQ16のソース、及びトランジスタQ15のドレインに接続されている。トランジスタQ14のソースには接地電圧VSSが印加されており、そのドレインは、ノードn2を介してトランジスタQ16のドレイン、及びトランジスタQ15のソースに接続されている。
【0024】
トランジスタQ11のソースには電源電圧VDDが印加されており、トランジスタQ12のソースには接地電圧VSSが印加されている。トランジスタQ11及びQ12各々のドレインは出力端子Toに接続されており、当該出力端子Toに生じた電圧を有する信号が出力信号SOとして出力される。
【0025】
バイアス回路20は、所定の第1の電圧値を有するバイアス電圧VBNを生成し、これをノードn3を介してトランジスタQ15のゲートに供給する。更に、バイアス回路20は、所定の第2の電圧値を有するバイアス電圧VBPを生成し、これをノードn4を介してトランジスタQ16のゲートに供給する。
【0026】
尚、バイアス電圧VBNは、電源電圧VDDより低く、且つノードn2の電圧(V2)が接地電圧VSSとなる場合にトランジスタQ15のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えるような電圧値を有する。また、バイアス電圧VBPは、接地電圧VSSより高く、且つノードn1の電圧(V1)が電源電圧VDDとなる場合にトランジスタQ16のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えるような電圧値を有する。
【0027】
次に、出力バッファ回路100の内部動作について説明する。
【0028】
図2は、論理レベル0(接地電圧VSS)の状態から論理レベル1(電源電圧VDD)の状態に遷移し、再び論理レベル0の状態に戻る入力信号SIを受けた場合における出力バッファ回路100の内部動作を示すタイムチャートである。
【0029】
先ず、入力信号SIが論理レベル0(VSS)の状態にある間は、トランジスタQ13がオン状態となり、電源電圧VDDをノードn1に供給する。またトランジスタQ14がオフ状態となり、ノードn2は接地電圧VSSから遮断される。これにより、ノードn1の電圧V1が電源電圧VDDとなってトランジスタQ16のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えることで、当該トランジスタQ16がオン状態となる。よって、当該トランジスタQ16を介してノードn1の電圧V1(VDD)がノードn2に供給され、当該ノードn2の電圧V2が電源電圧VDDとなる。その結果、トランジスタQ12のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えるので、トランジスタQ12がオン状態となり、論理レベル0(VSS)の出力信号SOが出力端子Toから出力される。なお、トランジスタQ15はノードn2の電圧V2が上昇することでゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vth未満となるためオフ状態となる。
【0030】
その後、図2に示す時点tr0で入力信号SIの電圧が上昇を開始し、時点tr1でトランジスタQ14の閾値電圧Vthを超えると、トランジスタQ14がオン状態となり、接地電圧VSSをノードn2に供給する。これにより、トランジスタQ14の電流駆動能力が増加する一方、トランジスタQ13の電流駆動能力は低下して行き、トランジスタQ13はオフ状態に遷移する。この際、トランジスタQ14の電流駆動能力がトランジスタQ16の電流駆動能力よりも高いことから、時点tr1以降、ノードn2の電圧V2は、図2に示すように電源電圧VDDの状態から比較的急峻に低下し、時点tr2にて接地電圧VSSに至る。これにより、トランジスタQ15のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えて、当該トランジスタQ15がオン状態となる。その結果、トランジスタQ15は、バイアス電圧VBNに応じた電流駆動能力でノードn2の電圧V2(VSS)をノードn1に供給し、当該ノードn1の電圧V1を図2に示すように緩やかに低下させる。また、これにより、トランジスタQ16のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを下回り、トランジスタQ16はオフ状態に遷移する。
【0031】
そして、図2に示す時点tr3で、トランジスタQ11のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えると、トランジスタQ11がオン状態となり、電源電圧VDDが出力端子Toに供給される。その結果、図2に示すように、出力信号SOの電圧は、電圧V1の変化速度と同様な速度で緩やかに上昇して論理レベル0(VSS)の状態から論理レベル1の状態に遷移する。
【0032】
その後、図2に示す時点tf0で入力信号SIの電圧が低下を開始し、時点tf1でトランジスタQ13の閾値電圧Vthを超えると、トランジスタQ13がオン状態となり、電源電圧VDDがノードn1に供給される。これにより、トランジスタQ13の電流駆動能力が増加する一方、トランジスタQ14の電流駆動能力が低下して行きオフ状態に遷移する。この際、トランジスタQ13の電流駆動能力がトランジスタQ15の電流駆動能力よりも高いことから、時点tf1以降、ノードn1の電圧V1は、図2に示すように接地電圧VSSの状態から比較的急峻に上昇し、時点tf2にて電源電圧VDDに至る。これにより、トランジスタQ16のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えて、当該トランジスタQ16がオン状態となる。その結果、トランジスタQ16は、バイアス電圧VBPに応じた電流駆動能力でノードn1の電圧V1(VDD)をノードn2に供給し、当該ノードn2の電圧V2を図2に示すように緩やかに上昇させる。また、これにより、トランジスタQ15のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを下回り、トランジスタQ15はオフ状態に遷移する。
【0033】
そして、図2に示す時点tf3で、トランジスタQ12のゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthを超えると、トランジスタQ12がオン状態となり、接地電圧VSSが出力端子Toに供給される。その結果、図2に示すように、出力信号SOの電圧は、電圧V2の変化速度と同様な速度で緩やかに低下して論理レベル1(VDD)の状態から論理レベル0の状態に遷移する。
【0034】
以上、詳述したように、出力バッファ回路100では、出力段の一対のトランジスタ(Q11、Q12)をオン状態からオフ状態に遷移させる場合には電流駆動能力の高いトランジスタ(Q13、Q14)で当該一対のトランジスタのゲート電圧(V1、V2)を制御する。一方、当該一対のトランジスタ(Q11、Q12)をオフ状態からオン状態に遷移させる場合には、出力バッファ回路100では、バイアス電圧(VBN、VBP)によって電流駆動能力を低下させたトランジスタ(Q15、Q16)で上記した一対のトランジスタのゲート電圧(V1、V2)を制御する。
【0035】
これにより、入力信号SIに応じて、出力段の一方のトランジスタQ11(Q12)がオフ状態に遷移した後に、他方のトランジスタQ12(Q11)がオン状態に遷移するので、両者の同時オンが回避され、貫通電流が抑制される。
【0036】
ここで、図1に示す回路構成によると、トランジスタQ14がオフ状態に遷移する直前の時点tf2にて、電圧V1及びV2が夫々電源電圧VDD及び接地電圧VSSとなる際に、トランジスタQ15及びQ16を介してノードn1及びn2間に貫通電流が流れるおそれがある。しかしながら、ノードn1が電源電圧VDDから接地電圧VSSに遷移するときは遷移開始直後にトランジスタQ16はオフとなり、またノードn2が接地電圧VSSから電源電圧VDDに遷移するときは遷移開始直後にトランジスタQ15はオフなるため、トランジスタQ15とQ16の一方はほぼオフしている。更に、電圧V1及びV2が夫々電源電圧VDD及び接地電圧VSSとなる期間は極めて短いので、ノードn1及びn2間に流れる貫通電流も微小となる。
【0037】
よって、出力バッファ回路100によれば、特許文献1に記載の出力バッファ回路よりも貫通電流を減らすことが可能となり、消費電力を低下させると共にノイズの発生を確実に抑制することが可能となる。
【0038】
また、出力バッファ回路100では、入力端子Tiに接続されている負荷は2つのトランジスタQ13及びQ14各々のゲートだけとなる。よって、特許文献1に記載の出力バッファ回路のように、入力端子が4つのトランジスタのゲートに接続されるものに比べて、入力容量を小さくすることができるので、その分だけ高速応答が可能となる。
【0039】
要するに、出力バッファ回路100は、第1及び第2のバイアス電圧(VBN、VBP)を生成するバイアス回路(20)と、以下のような第1~第6のトランジスタ(Q11~Q16)とからなる比較的小規模な回路構成によって、貫通電流に伴う消費電力の増加及びノイズの発生を抑制すると共に高速応答化を図るものである。
【0040】
つまり、第1導電型の第1のトランジスタ(Q13)は、入力信号(SI)をゲートで受け、この入力信号に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧(VDD)を第1のノード(n1)に供給する。第2導電型の第2のトランジスタ(Q14)は、入力信号(SI)をゲートで受け、この入力信号に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧(VSS)を第2のノード(n2)に供給する。第2導電型の第3のトランジスタ(Q15)は、第1のバイアス電圧(VBN)をゲートで受け、ソースが第2のノードに接続されておりドレインが第1のノードに接続されている。第1導電型の第4のトランジスタ(Q16)は、第2のバイアス電圧(VBP)をゲートで受け、ソースが第1のノードに接続されておりドレインが第2のノードに接続されている。第1導電型の第5のトランジスタ(Q11)は、第1のノードの電圧をゲートで受け、この第1のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に第1の電源電圧(VDD)を出力端子(To)に供給する。第2導電型の第6のトランジスタ(Q12)は、第2のノードの電圧をゲートで受け、この第2のノードの電圧に応じてオン状態となった場合に第2の電源電圧(VSS)を出力端子(To)に供給する。
【実施例0041】
図3は、図1に示すバイアス回路20の一例としてのバイアス回路20_1の構成を示す回路図である。
【0042】
図3に示すように、バイアス回路20_1は、電流源21及び22と、夫々が電流電圧変換部としてのNチャネル型のトランジスタ25及びPチャネル型のトランジスタ26を含む。
【0043】
電流源21は、電源電圧VDDに基づき電流値一定の定電流I1を生成しこれをノードn3に送出する。トランジスタ25は、自身のドレイン及びゲートがノードn3に接続されており、自身のソースに接地電圧VSSが印加されている、いわゆるダイオード接続されたトランジスタである。
【0044】
トランジスタ26は、自身のドレイン及びゲートがノードn4に接続されており、自身のソースに電源電圧VDDが印加されている、いわゆるダイオード接続されたトランジスタである。電流源22は、ノードn4の電圧に基づき電流値一定の定電流I2を生成し、これをノードn4から、接地電圧VSSが印加されている接地端子に流し込む。
【0045】
かかる構成により、図3に示すバイアス回路20_1では、電流源21にて生成された定電流I1を、ダイオード接続されたトランジスタ25によって電流電圧変換する。この際、ノードn3に生じた電圧がバイアス電圧VBNとして出力される。
【0046】
更に、バイアス回路20_1では、電流源22にて生成された定電流I2を、ダイオード接続されたトランジスタ26によって電流電圧変換する。この際、ノードn4に生じた電圧がバイアス電圧VBPとして出力される。
【0047】
ところで、上記したバイアス電圧VBNが図1に示すバッファ部10に対して作用するのは、入力信号SIが論理レベル0(VSS)から論理レベル1(VDD)への遷移時においてノードn2の電圧V2が接地電圧VSSに変化した時である。この際、バイアス回路20_1のトランジスタ25と、バッファ部10のトランジスタQ15がカレントミラーを形成し、トランジスタ25に流れる定電流I1がトランジスタQ15に流れる電流としてコピーされる。
【0048】
同様に、バイアス電圧VBPが図1に示すバッファ部10に対して作用するのは、入力信号SIが論理レベル1(VDD)から論理レベル0(VSS)への遷移時においてノードn1の電圧V1が電源電圧VDDに変化した時である。この際、バイアス回路20_1のトランジスタ26と、バッファ部10のトランジスタQ16がカレントミラーを形成し、トランジスタ26に流れる定電流I2がトランジスタQ16に流れる電流としてコピーされる。
【0049】
尚、上記したカレントミラーでの電流ミラー比は、トランジスタQ15及び25(Q16及び26)のサイズ(ゲート幅、ゲート長)や、並列に接続する個数を調整することで所望とする電流ミラー比に変えることができる。
【0050】
また、バイアス回路20_1では、ダイオード接続されているトランジスタ25(26)のソースへの接地電圧VSS(電源電圧VDD)への供給を負荷素子を介して行う構成を採用することで、トランジスタQ15(Q16)に流れる電流を増加するようにしても良い。また、上記負荷素子は、例えば、単数又は複数個のトランジスタの縦積みした構成としてもよい。
【実施例0051】
図4は、k(kは2以上の整数)個の出力チャネルを有する出力装置200の構成を示すブロック図である。
【0052】
出力装置200は、複数の入力信号SI_1~SI_kを入力端子Ti_1~Ti_kで受け、夫々を個別に増幅した出力信号SO_1~SO_kを出力端子To_1~To_kを介して出力する。
【0053】
図4に示すように、出力装置200は、夫々が図1に示すバッファ部10と同一の構成を有するバッファ部10_1~10_kと、図3に示すバイアス回路20_1と同一の構成を有するバイアス回路30と、を含む。
【0054】
バイアス回路30は、前述したバイアス電圧VBNを生成し、これをノードn3を介してバッファ部10_1~10_k各々のトランジスタQ15のゲートに供給する。更に、バイアス回路30は、前述したバイアス電圧VBPを生成し、これをノードn4を介して、バッファ部10_1~10_k各々のトランジスタQ16のゲートに供給する。
【0055】
ノードn3には、バイアス電圧VBNの変動を抑えて安定化させる為のコンデンサC3の一端が接続されている。また、ノードn4には、バイアス電圧VBPの変動を抑えて安定化させる為のコンデンサC4の一端が接続されている。
【0056】
このように、出力装置200では、k個の出力チャネルに対して、夫々が図1に示すバッファ部10と同一構成を有するk個のバッファ部10_1~10_kが必要になるものの、バイアス回路30の数は、出力チャネル数に拘わらず1つである。よって、k個の出力チャネルを実現するために、特許文献1に記載の出力バッファ回路をk個設ける場合に比べて、装置全体の回路規模を縮小化することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
10 バッファ部
20、30 バイアス回路
21、22 電流源
25、26 トランジスタ
Q11~Q16 トランジスタ
図1
図2
図3
図4