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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049841
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20240403BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240403BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/86
A61K8/06
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156320
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】原 優介
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝治
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC072
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC422
4C083AD041
4C083AD042
4C083BB04
4C083BB11
4C083CC19
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】塗布時にべたつかず、乳化安定性に優れ、日焼け止め化粧料の肌への付着性を改善し、日焼け止め化粧料の白浮きを改善する化粧料を提供する。
【解決手段】乳化化粧料は,成分(a)を0.1~25質量%、成分(b)を0.01~3質量%、成分(c)を1~50質量%、成分(d)を1~10%および成分(e)を含有し、成分(b)の成分(a)に対する質量比((b)/(a))が1/100~1/5である。
(a)式(1)のポリアルキレンオキシド誘導体
Z-[O(AO)l(EO)m(BO)n-H] ・・・ (1)
(b)式(2)のアルキレンオキシド誘導体
R-[(PO)(EO)-H ・・・ (2)
(c) 油剤
(d) ノニオン性界面活性剤
(e) 水
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(a)を0.1~25質量%、成分(b)を0.01~3質量%、成分(c)を1~50質量%、成分(d)を1~10質量%および成分(e)を含有し、前記成分(b)の前記成分(a)に対する質量比((b)/(a))が1/100~1/5であることを特徴とする、乳化化粧料。

(a) 下記の式(1)で示されるポリアルキレンオキシド誘導体
Z-[O(AO)l(EO)m(BO)n-H] ・・・ (1)

(式(1)中、
Zは炭素数3~9のアルコールからすべての水酸基を除いた残基であり、
pは前記アルコールの価数であって、3以上、9以下であり、
AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基であり、EOはオキシエチレン基であり、BOはオキシブチレン基であり、前記オキシアルキレン基AOと前記オキシエチレン基EOと前記オキシブチレン基BOとはブロック状またはランダム状に付加していてよい。ただし、少なくとも前記オキシアルキレン基AOと前記オキシブチレン基BOがランダム状に付加している場合、AOはオキシプロピレン基である。
前記誘導体における前記オキシアルキレン基AOの平均付加モル数p×lが1≦p×l≦50を満足しており、
前記誘導体における前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数p×mが1≦p×m≦50を満足しており、
前記誘導体における前記オキシブチレン基BOの平均付加モル数p×nが1≦p×n≦10を満足しており、
前記オキシアルキレン基AOの平均付加モル数と前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数との合計に対する前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数の割合m/(l+m)が0.15~0.75である。)

(b) 下記の式(2)で示されるアルキレンオキシド誘導体
R-[(PO)(EO)-H ・・・ (2)

(式(2)中、
Rは炭素数2~3のアルコールからすべての水酸基を除いた残基であり、
qは前記アルコールの価数であって、2以上、3以下であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
前記誘導体における前記オキシプロピレン基POの平均付加モル数x×qが1≦x×q≦30を満足しており、
前記誘導体における前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数y×qが1≦y×q≦40を満足しており、
前記オキシプロピレン基POの平均付加モル数と前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数との合計に対する前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数の割合y/(x+y)が0.45~0.75である
前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOとがランダム状に付加している。)

(c) 油剤

(d) ノニオン性界面活性剤

(e) 水
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布時の感触に優れ、日焼け止め化粧料の肌への付着性を改善し、日焼け止め化粧料の白浮きを改善する乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料は、紫外線によるダメージから肌を守る働きを持つ。紫外線を防ぐ成分には大きく分けて紫外線吸収剤と紫外線散乱剤があり、特に紫外線散乱剤は、紫外線吸収剤に比べて肌への刺激が弱いイメージがあることから、特に敏感肌用やベビー用などの分野で多く使用されている。しかし、日焼け止め化粧料は、塗布時にべたつく、ムラになりやすく白浮きする、肌への親和性が低く付着性に劣るなどの課題がある。
【0003】
特許文献1では、N-アシルアミノ酸又はその塩で表面処理された微粒子酸化亜鉛、揮発性油分、トリメチルシロキシケイ酸を組み合わせることで、塗布後の肌のきしみや乾燥感を改善した日焼け止め化粧料が提供されている。
【0004】
特許文献2では、表面処理された酸化チタン粒子、アクリル酸またはスルホン酸由来の構成単位を有する水溶性高分子、HLBが6以上10以下のノニオン性界面活性剤及び油剤を組み合わせることにより、塗布時にきしみ感がなく、肌への伸びが良好で、かつ塗布後の白残りが生じない水中油型の日焼け止め化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-8910号公報
【特許文献2】特開2017-197434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の化粧料は、白浮きのなさの点で不十分であった。また、特許文献2記載の化粧料は、肌への付着性の点で不十分であった。
【0007】
本発明の課題は、塗布時にべたつかず、乳化安定性に優れ、日焼け止め化粧料の肌への付着性を改善し、日焼け止め化粧料の白浮きを改善する化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明者は、日焼け止め化粧料そのものではなく、日焼け止め化粧料を塗布する前に使用する乳化化粧料により、日焼け止め化粧料の肌への付着性ならびに白浮きを改善できるのではないかと考えた。本発明者らの鋭意検討の結果、本発明者は二種類の特定アルキレンオキシド誘導体と油剤、ノニオン性界面活性剤を特定比率で組み合わせた乳化化粧料が上記課題を余すことなく解決することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下に示されるものである。
(1)下記の成分(a)を0.1~25質量%、成分(b)を0.01~3質量%、成分(c)を1~50質量%、成分(d)を1~10%および成分(e)を含有し、前記成分(b)の前記成分(a)に対する質量比((b)/(a))が1/100~1/5であることを特徴とする、乳化化粧料。

(a) 下記の式(1)で示されるポリアルキレンオキシド誘導体
Z-[O(AO)l(EO)m(BO)n-H] ・・・ (1)

(式(1)中、
Zは炭素数3~9のアルコールからすべての水酸基を除いた残基であり、
pは前記アルコールの価数であって、3以上、9以下であり、
AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基であり、EOはオキシエチレン基であり、BOはオキシブチレン基であり、前記オキシアルキレン基AOと前記オキシエチレン基EOと前記オキシブチレン基BOとはブロック状またはランダム状に付加していてよい。ただし、少なくとも前記オキシアルキレン基AOと前記オキシブチレン基BOがランダム状に付加している場合、AOはオキシプロピレン基である。
前記誘導体における前記オキシアルキレン基AOの平均付加モル数p×lが1≦p×l≦50を満足しており、
前記誘導体における前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数p×mが1≦p×m≦50を満足しており、
前記誘導体における前記オキシブチレン基BOの平均付加モル数p×nが1≦p×n≦10を満足しており、
前記オキシアルキレン基AOの平均付加モル数と前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数との合計に対する前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数の割合m/(l+m)が0.15~0.75である。)

(b) 下記の式(2)で示されるアルキレンオキシド誘導体
R-[(PO)(EO)-H ・・・ (2)

(式(2)中、
Rは炭素数2~3のアルコールからすべての水酸基を除いた残基であり、
qは前記アルコールの価数であって、2以上、3以下であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
前記誘導体における前記オキシプロピレン基POの平均付加モル数x×qが1≦x×q≦30を満足しており、
前記誘導体における前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数y×qが1≦y×q≦40を満足しており、
前記オキシプロピレン基POの平均付加モル数と前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数との合計に対する前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数の割合y/(x+y)が0.45~0.75である
前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOとがランダム状に付加している。)

(c) 油剤
(d) ノニオン性界面活性剤
(e) 水
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚用乳化化粧料は、塗布時の感触に優れ、この上に塗布する日焼け止め化粧料の肌への付着性を改善し、日焼け止め化粧料の白浮きを改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
[成分(a)]
成分(a)は、式(1)で表されるアルキレンオキシド誘導体である。Zは、炭素数3~9のアルコール(Z(OH))からすべての水酸基を除いた残基であり、pはアルコールの価数を示し、3~9である。
前記アルコール(Z(OH))の炭素数が9を超える場合、べたつき感が生じてしまうため、9以下とするが、8以下が好ましく、更に好ましくは6以下である。
また、アルコール(Z(OH))の炭素数が3未満の場合には、日焼け止め化粧料の付着性が低下してしまうので、3以上とする。
【0012】
前記アルコール(Z(OH))は、具体的にはグリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、アルキルグルコシド、ジグリセリン、キシリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、ショ糖、トレハロース、マルチトールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0013】
AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基であり、具体的にはプロピレンオキシド由来のオキシプロピレン基、1,2-ブチレンオキシド由来のオキシブチレン基、オキシトリメチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、より好ましくはオキシプロピレン基である。
【0014】
lは、前記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのAOの平均付加モル数である。ゆえに、前記アルキレンオキシド誘導体におけるAOの平均付加モル数はp×lとなる。p×lが50を超える場合には、塗布時のべたつきの観点から、50以下とするが、20以下とすることが好ましい。また、p×lが1未満の場合には、日焼け止め化粧料の付着性が低下してしまうので、1以上とするが、2以上とすることが好ましい。
mは、前記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数である。ゆえに、前記アルキレンオキシド誘導体におけるAOの平均付加モル数はp×mとなる。p×mが50を超えると、べたつき感が生じるので、p×mを50以下とするが、20以下とすることが好ましい。また、p×mが1未満の場合は日焼け止め化粧料の付着性が低下するので、1以上とするが、2以上とすることが好ましい。
【0015】
nは、前記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのオキシブチレン基(BO)の平均付加モル数である。
オキシブチレン基(BO)は、1,2-ブチレンオキシド由来のオキシブチレン基である。前記アルキレンオキシド誘導体におけるBOの平均付加モル数p×nが1より少ないと、日焼け止め化粧料の付着性に劣るので、1以上とする。また、p×nが10を超えると、べたつき感が生じてしまうので、10以下とするが、8以下が好ましく、5以下とすることが更に好ましい。
【0016】
前記オキシアルキレン基AOの平均付加モル数と前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数との合計(l+m)に対する前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数mの割合「m/(l+m)」は、0.15~0.75とする。この割合「m/(l+m)」が0.75を超える場合はべたつき感が生じるので、0.75以下とするが、0.72以下が好ましく、0.70以下が更に好ましい。また、割合「m/(l+m)」が0.15未満では日焼け止め化粧料の白浮きのなさが損なわれるので、0.15以上とするが、0.30以上が好ましく、0.45以上が更に好ましい。
【0017】
AOとEOとBOの付加する順序は特に指定はなく、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。すなわち、AOとEOとBOとがすべてランダム状に付加していてよく、また、AOがブロック状に付加していてよく、EOがブロック状に付加していてよく、BOがブロック状に付加していてもよい。またブロック状に付加している部分とランダム状に付加している部分が混在していてもよい。ただし、少なくともAOとBOがランダム状に付加している場合、AOはオキシプロピレン基である。ここで、AOとBOがランダム状に付加している場合、EOもAOおよびBOとともにランダム状に付加していてもよいが、EOがブロック状に付加していてもよい。
特に好適な実施形態においては、BOがブロック状に付加している。また、特に好適な実施形態においては、AOとEOとがランダム状に付加している。
【0018】
式(1)においては、AOが末端水素原子に結合していてよく、EOが末端水素原子に結合していてよく、BOが末端水素原子に結合していてよい。好適な実施形態においては、BOが末端水素原子に結合している。
【0019】
本発明の式(1)アルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。
すなわち、水酸基を有している化合物に対して、炭素数3~4のアルキレンオキシド(AO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド(BO)を適宜付加重合させる。付加重合時の各モノマーの添加順序は、目的とする構造によって決定する。
好適な実施形態においては、水酸基を有している化合物に炭素数3~4のアルキレンオキシド(AO)およびエチレンオキシド(EO)を付加重合させる。この際には、AOとEOとをランダム重合してよく、また、AOをブロック重合してよく、EOをブロック重合してよい。次いで、AOとEOとの付加重合後に、BOを付加重合させることによって、末端水素原子に結合したBOブロックを生成させることができる。
【0020】
成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)および成分(e)の合計質量を100質量%としたとき、成分(a)の含有量は0.1~25質量%とする。成分(a)の含有量が0.1質量%未満の場合、日焼け止め化粧料の付着性及び白浮きのなさが十分でないため、0.1質量%以上とするが、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上が更に好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、成分(a)の含有量が25質量%を超える場合は、べたつきが長時間生じるので、25質量%以下とするが、20質量%以下が好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0021】
[成分(b)]
本発明において、式(2)で表されるアルキレンオキシド誘導体において、Rは、炭素数1~3のアルコール(R(OH))からすべての水酸基を除いた残基であり、qはアルコールの価数を示し、2以上、3以下である。
前記アルコール(R(OH))の炭素数が3を超える場合、べたつき感が生じてしまう。
【0022】
POは、オキシプロピレン基である。
xは前記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのPOの平均付加モル数である。前記アルキレンオキシド誘導体におけるPOの平均付加モル数はq×xとなる。q×xが1未満の場合は、日焼け止め化粧料の白浮きのなさに劣るため、1以上とするが、3以上とすることが更に好ましい。また、q×xが30を超える場合、べたつきが生じるので、30以下とするが、25以下が好ましく、10以下が更に好ましい。
【0023】
yは、前記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのEOの平均付加モル数である。前記アルキレンオキシド誘導体におけるEOの平均付加モル数はq×yとなる。q×yが40を超える場合、べたつき感が生じるので、40以下とするが、35以下が好ましく、10以下が更に好ましい。また、q×yが1未満の場合は日焼け止め化粧料の白浮きのなさに劣るので、1以上とするが、3以上とすることが更に好ましい。
【0024】
前記オキシプロピレン基POの平均付加モル数と前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数との合計に対する前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数の割合「y/(x+y)」は、0.45~0.75とする。「y/(x+y)」が0.75を超える場合はべたつき感が生じるので、0.75以下とするが,0.70以下が好ましく、0.65以下が更に好ましい。また、「y/(x+y)」が0.15未満であると、日焼け止め化粧料の付着性に劣るので、0.15以上とするが、0.30以上が好ましく、0.45以上が更に好ましい。
【0025】
オキシプロピレン基POとオキシエチレン基EOはべたつきのなさの観点からランダム状に付加させる。
【0026】
本発明の式(2)のアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にプロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO)を反応させることによって得られる。
【0027】
成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)および成分(e)の合計質量を100質量%としたとき、成分(b)の含有量は0.01~3質量%とする。成分(b)の含有量が0.01質量%未満の場合、日焼け止め化粧料の付着性が十分でないため,0.01質量%以上とする。また、成分(b)の含有量が3質量%を超える場合はべたつきが長時間生じるので、3質量%以下とするが、2質量%以下が好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
【0028】
[成分(c)]
本発明で用いる油剤(成分(c))は、一般の化粧料に用いられ得る油剤を用いることができ、例えば、炭化水素油、エステル油、ビタミン類、ホルモン類、美白剤類、抗炎症・抗ヒスタミン剤類、抗酸化剤類、細胞間脂質類、紫外線吸収剤類、各種保湿剤、各種香料類などを挙げることができる。
【0029】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、プリスタン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、テトラデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、α―オレフィンオリゴマー、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ポリエチレン、セレシン等を挙げることができる。
【0030】
エステル油はエステル基を有する油剤であり、脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド、油脂類、さらには、アミノ酸もしくは脂肪酸と一価以上のアルコールとのエステルが例示できる。
トリグリセリドとしては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、エイコサン酸、べへン酸、テトラコサン酸、ミリストレン酸、パルミトレン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸などの脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリドが例示できる。
【0031】
油脂類としては、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヤシ油、ツバキ油、カカオ脂、シア脂などの油脂類などが例示できる。
【0032】
アミノ酸と一価以上アルコールとのエステルとしては、例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジヘキシルデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジイソステアリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ビス(ヘキシルデシル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニンフィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル/イソステアリル)などが例示できる。
【0033】
脂肪酸と一価以上アルコールとのエステルとしては、例えば、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸イソセチル、2-エチルへキサン酸ステアリル、2-エチルへキサン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、アジピン酸ジデシル、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸バチル、イソステアリン酸フィトステリル、オキシステアリン酸オクチル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ラノリン脂肪酸イソステアリル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸セチル、コハク酸ジオクチル、乳酸セチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどが例示できる。また、ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ、ラノリン、キャンデリラロウ、ホホバ油などロウ類も使用できる。
【0034】
エステル油として、これらの1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。
好ましいエステル油としては、例えば、炭素数6以上の脂肪酸のトリグリセリド、油脂類、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミツロウ、モクロウ、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニンフィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル/イソステアリル)などが挙げられる。
【0035】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンB2脂溶性誘導体、ビタミンB6脂溶性誘導体、ビタミンC脂溶性誘導体、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムなどのビタミンC両親媒性誘導体、ビタミンD、トコフェロールや酢酸トコフェロールなどのビタミンEおよびその誘導体、ビタミンH、パントテン酸脂溶性誘導体、コエンザイムQ10(ビタミンQ)などを挙げることができる。
【0036】
ホルモン類としては、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、エストラジオール、エストロンなどを挙げることができる。
美白剤類としては、例えば、コウジ酸、プラセンタエキス、アルブチン、エラグ酸、ルシノール、リノール酸などを挙げることができる。
抗炎症剤・抗ヒスタミン剤類としては、例えば、グリチルレチン酸およびその誘導体、グリチルリチン酸およびその誘導体、アラントイン、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンなどを挙げることができる。
抗酸化剤(老化防止剤)類としては、例えば、ポリフェノール、カロテノイド、フラボノイド等の抗酸化剤類;N-メチル-L-セリン、ウルソール酸などを挙げることができる。
細胞間脂質類としては、例えば、セラミドやコレステロールなどを挙げることができる。
紫外線吸収剤類としては、例えば、パラアミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体などを挙げることができる。
保湿剤としては、例えば、ヒアルロン酸誘導体、コラーゲン誘導体、エラスチン誘導体、ケラチン誘導体などを挙げることができる。
香料類としては、例えば、各種植物エキスやリモネンなどを挙げることができる。
これら油性成分の中から1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。
【0037】
成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)および成分(e)の合計質量を100質量%としたとき、成分(c)の含有量は1~50質量%とする。成分(c)の含有量が1質量%未満の場合、日焼け止め化粧料の付着性、白浮きのなさが十分でないため、1質量%以上とするが、3質量%以上が好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、成分(c)の含有量が50質量%を超える場合はべたつきが長時間生じるので、50質量%以下とするが、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0038】
[成分(d)]
成分(d)は、化粧料一般に用いられるノニオン性界面活性剤である。
成分(d)のHLBは2~16であることが好ましい。HLBとは、Hyrophile-Lipophile Balanceの略で、界面活性剤の親水基および親油基のバランスを数値化した概念である。一般的に、0から20で示され、数値が高い方が、親水性が高いことを示す。HLBの算出は、Griffinによって提唱された下記の何れかの式により算出する。
POEアルキルエーテル型: HLB=オキシエチレン基の重量分率/5
多価アルコール脂肪酸エステル型およびポリグリセリン型非イオン性界面活性剤: HLB=20(1-S/A)S: エステルのけん化価、A:脂肪酸の酸価
(出典: 新版 界面活性剤ハンドブック 工学図書株式会社)
【0039】
成分(d)は、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。中でもHLBが10未満のノニオン性界面活性剤の1種以上と、HLBが10以上のノニオン性界面活性剤の1種以上を組み合わせることが好ましい。その理由として乳化安定性に優れる効果を奏するためである。HLBが10未満のノニオン性界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタンなどを例示できる。HLBが10以上のノニオン性界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)
ソルビタンなどを挙げられる。
【0040】
HLBが10未満のノニオン性界面活性剤とHLBが10以上のノニオン性界面活性剤の配合比率は、重量比として1 : 10~10: 1、より好ましくは、1:5~5:1である。HLBが10未満のノニオン性界面活性剤の量が、HLBが10以上のノニオン性界面活性剤の量の0.1倍より少ない場合、又は10倍より多い場合には、乳化安定性に劣る。成分(d)の市販品としては、モノステアリン酸グリセリル(HLB;3.0)(太陽化学社製「サンソフトNo.2500-C」)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン(HLB;14.9)(東邦化学工業株式会社製「ソルボンT-60」)等がある。
【0041】
成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)および成分(e)の合計質量を100質量%としたとき、成分(d)の含有量は1~10質量%とする。成分(d)の含有量が1質量%未満の場合、日焼け止め化粧料の付着性が十分でないため、1質量%以上とするが、2質量%以上が好ましく、4質量%以上がさらに好ましい。また、成分(d)の含有量が10質量%を超える場合はべたつきが長時間生じるので、10質量%以下とするが、8質量%以下が好ましく、6質量%以下が更に好ましい。
【0042】
[成分(e)]
本発明の成分(e)は水であり、化粧品や医薬品等で一般に使用されている水を使用することができる。例えば、イオン交換水や精製水などを使用することができる。
【0043】
成分(e)の含有量は、100質量%から、成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)の合計含有量を引いた残部である。
【0044】
本発明において、成分(b)の成分(a)に対する質量比((b)/(a))は1/100~1/5とする。((b)/(a))が1/100未満の場合には、日焼け止め化粧料の付着性に劣るので、1/100以上とする。また、((b)/(a))が1/5より大きい場合はべたつきが生じるので、1/5以下とするが、1/10が好ましく、1/50が更に好ましい。
【0045】
本発明の乳化化粧料には、発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を添加することができる。その他任意成分としては、アルコール類、糖類、多糖類、アミノ酸、各種界面活性剤、有機塩、無機塩、pH調整剤、キレート剤、抗酸化剤、殺菌剤、血流促進剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ビタミン類、色素、香料などを適宜配合することができる。
【実施例0046】
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0047】
(合成例a1、a2、a3、a’1、a’2、a’3、a’4)
表1に示すアルコール1モルと触媒として水酸化カリウムをアルキレンオキシド誘導体最終重量に対して0.1質量%をオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら110℃で触媒を完全に溶解した。次に、滴下装置により、滴下装置からプロピレンオキシドp×lモルとエチレンオキシドp×mモルの混合液を滴下した。滴下終了後、110℃で3時間反応させた。その後、滴下装置よりブチレンオキシドp×nモルをオートクレーブ内に滴下した。滴下終了後、110℃で2時間反応させた。その後オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために、-0.095
MPa(50mmHg)、100℃ で1時間脱水した。さらに、脱水により生成した中和塩を除去するためにろ過を行い、合成例a1、a2、a3、a’1、a’2、a’3、a’4の化合物を得た。
【0048】
(合成例a4)
グリセリン1モルと触媒として水酸化カリウムをアルキレンオキシド誘導体最終重量に対して0.1質量%をオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら110℃で触媒を完全に溶解した。次に、滴下装置により、滴下装置からブチレンオキシド3モルとエチレンオキシド3モルの混合液を滴下した。滴下終了後、110℃で3時間反応させた。その後、滴下装置よりブチレンオキシド1.5モルをオートクレーブ内に滴下した。滴下終了後、110℃で2時間反応させた。その後オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために、-0.095
MPa(50mmHg)、100℃ で1時間脱水した。さらに、脱水により生成した中和塩を除去するためにろ過を行い、合成例a4の化合物を得た。
【0049】
(合成例a5)
ショ糖1モルと触媒として水酸化カリウムをアルキレンオキシド誘導体最終重量に対して0.1質量%をオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら110℃で触媒を完全に溶解した。次に、滴下装置により、滴下装置からプロピレンオキシド48モルを滴下した。滴下終了後、2時間反応させた。その後、滴下装置よりエチレンオキシド10モルを滴下した。滴下終了後、110℃で1時間反応させた。その後、滴下装置よりブチレンオキシド8モルをオートクレーブ内に滴下した。滴下終了後、110℃で2時間反応させた。その後オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために、-0.095
MPa(50mmHg)、100℃ で1時間脱水した。さらに、脱水により生成した中和塩を除去するためろ過を行い、合成例a5の化合物を得た。
【0050】
【表1】

【0051】
(合成例b1、b2、b3)
表2に示すアルコール1モルと触媒として水酸化カリウムをアルキレンオキシド誘導体最終重量に対して0.1質量%をオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら110℃で触媒を完全に溶解した。次に、滴下装置により、滴下装置からプロピレンオキシドq×xモルとエチレンオキシドq×yモルの混合液を滴下した。滴下終了後、110℃で3時間反応させた。その後、オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために、-0.095
MPa(50mmHg)、100℃ で1時間脱水した。さらに、脱水により生成した中和塩を除去するためろ過を行い、合成例b1、b2、b3の化合物を得た。
【0052】
(合成例b’1)
ソルビトール1モルと触媒として水酸化カリウムをアルキレンオキシド誘導体最終重量に対して0.1質量%をオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら110℃で触媒を完全に溶解した。次に、滴下装置により、滴下装置からプロピレンオキシド12モルを滴下した。滴下終了後、2時間反応させた。その後オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために、-0.095
MPa(50mmHg)、100℃ で1時間脱水した。さらに、脱水により生成した中和塩を除去するためにろ過を行い、合成例b’1の化合物を得た。
【0053】
(合成例b’2)
グリセリン1モルと触媒として水酸化カリウムをエチレンオキシド誘導体最終重量に対して0.1質量%をオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら110℃で触媒を完全に溶解した。次に、滴下装置により、滴下装置からエチレンオキシド12モルを滴下した。滴下終了後、2時間反応させた。その後オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために、-0.095
MPa(50mmHg)、100℃ で1時間脱水した。さらに、脱水により生成した中和塩を除去するためろ過を行い、合成例b’2の化合物を得た。
【0054】
【表2】
【0055】
<乳化化粧料の調整方法>
(1) 成分(c)、成分(d)、および共通成分のうちベヘニルアルコールからなる油相と共通成分のうちプロピレングリコール、グリセリンおよび水からなる水相を、それぞれ80℃で混合する。
(2) 80℃にて(1)にて調整した油相と水相をホモミキサーにて混合する(3000rpm、5分)。
(3) 混合物を冷却し、続いて混合物に対して成分(a)および成分(b)を加え、均一になるまで攪拌する。
【0056】
<評価方法>
専門パネラー20名による使用感テストを行った。調整した乳化化粧料0.5gを手に取って顔に塗布してもらい、(1)塗布時のべたつきのなさ、(2)日焼け止め化粧料の付着性、(3)日焼け止め化粧料の白浮きのなさについて、パネラー各人が下記絶対評価にして0~3点の4段階に評価した。そして、評点の合計からAA~Dの5段階に分類し、AA、A、Bを合格とした。
【0057】
<絶対評点の合計による最終評価>
AA: 評点の合計が50~60点
A: 評点の合計が40~49点
B: 評点の合計が30~39点
C: 評点の合計が20~29点
D: 評点の合計が20点未満
【0058】
(1)塗布時のべたつきのなさ
調製した乳化化粧料を顔に塗布しなじませた際のべたつきを官能評価により下記評価基準により評価した。
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
3: 塗布時のべたつきがない
2: 塗布時のべたつきをあまり感じない
1: 塗布時のべたつきを少し感じる
0: 塗布時のべたつきを感じる
【0059】
(2)日焼け止め化粧料の付着性
調製した乳化化粧料を顔に塗布しなじませた後、市販の日焼け止め化粧料(株式会社資生堂、アネッサパーフェクトUVスキンケアミルク N)を0.5g塗布し、日焼け止め化粧料の顔への付着性(なじみのよさ)を下記の基準で評価した。
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
3: 付着性(なじみのよさ)が極めて良好
2: 付着性(なじみのよさ)が良好
1: 付着性が(なじみのよさ)あまり感じられない
0: 付着性が(なじみのよさ)全く感じられない
【0060】
(3)日焼け止め化粧料の白浮きのなさ
調製した乳化化粧料を顔に塗布しなじませた後、市販の日焼け止め化粧料(株式会社資生堂、アネッサパーフェクトUVスキンケアミルク N)を0.5g塗布した際の日焼け止め化粧料の白浮き(白残り)を下記の基準で目視にて評価した。
(評点):(評価)
3: 白浮きが全くみられない
2: 白浮きがほとんどみられない
1: 白浮きが多少みられる
0: 白浮きがみられる
【0061】
<実施例1~6および比較例1~11>
上記の方法により化粧料を調製し、評価した。表3、表4、表5に処方および結果を示す。尚、全ての処方において100gスケールで調製した。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
実施例1~6については、塗布時にべたつかず、日焼け止め化粧料の付着性、日焼け止め化粧料の白浮きのなさが優れていた。
一方、比較例1~13では、十分な効果が得られなかった。
すなわち、比較例1~4では、本発明の成分(a)の範囲から外れた構造を有する比較成分(a´)を含有しているため、本発明の効果を同時に満たすことができなかった。
比較例5、6では、本発明の成分(b)の範囲から外れた構造を有する比較成分(b´)を有しているため、本発明の効果を同時に満たすことはできなかった。
【0066】
比較例7では、成分(b)を含まないため、日焼け止め化粧料の付着性が低かった。
比較例8では、(b/a)が1/5を超えているため、べたつきが生じた。
比較例9では、成分(a)と成分(b)の含有量がそれぞれ25質量%、3質量%を超えているため、べたつきが生じた。
比較例10では、成分(a)を含有しないため、本発明の効果を同時に満たすことはできなかった。
比較例11では、成分(c)および成分(d)を含有しないため、日焼け止め化粧料の付着性、白浮きのなさが劣っていた。
比較例12では、成分(c)を含有しないため、塗布時のべたつきのなさ、日焼け止め化粧料の白浮きのなさが劣っていた。
なお、実施例2において、成分(d)の比率を0としたところ、成分が分離してしまい、乳化化粧料を調製できなかった。