(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049844
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20240403BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20240403BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240403BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/22
F24F8/80 238
F24F8/80 252
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156325
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田坂 圭次郎
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD03
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180HH20
(57)【要約】
【課題】異音の発生を抑制できる空気処理装置を提供する。
【解決手段】空気処理装置10は、筐体11と、ファン62と、処理エリア43と、整流部63と、を備える。ファン62は、送風により外部から筐体11内に空気を吸い込み、筐体11内に吸い込んだ空気を外部に排気する。処理エリア43は、筐体11内でファン62の送風方向の上流側に設けられ、紫外領域の光を照射される。整流部63は、筐体11内で、処理エリア43とファン62の間に設けられる遮光装置61を備える。遮光装置61は、ファン62が動作した際に、遮光装置61の一端側から他端側へ空気が流れる通風部75と、遮光装置61の一端側から他端側へ空気が流れない非通風部76と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と;
送風により外部から前記筐体内に空気を吸い込み、前記筐体内に吸い込んだ空気を外部に排気するファンと;
前記筐体内で前記ファンの送風方向の上流側に設けられ、紫外領域の光を照射される処理エリアと;
前記筐体内で、前記処理エリアと前記ファンの間に設けられる遮光装置であって、前記ファンが動作した際に、前記遮光装置の一端側から他端側へ空気が流れる通風部と、前記遮光装置の一端側から他端側へ空気が流れない非通風部と、を備える遮光装置を備える整流部と;
を備えることを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記整流部は、前記非通風部と対向するように、前記遮光装置の前記ファンの送風方向の上流側に配設された整流板を備える
ことを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記通風部は、前記遮光装置において前記ファンに対向する領域に設けられ、前記非通風部は、前記遮光装置において前記ファンに対向しない領域に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内にファンおよび紫外線照射部が配設され、ファンの回転により外部から筐体内に空気を取り込むとともに、取り込んだ空気に紫外線を照射する処理を行ったり、光触媒の作用による処理を行ったりした後、処理を行った空気を排気する空気処理装置が知られている。
【0003】
このような空気処理装置では、筐体の内部のサイズと、筐体内から空気を吸い込んで排気するファンのサイズと、が合っていない場合、筐体の内側面とファンとの間で空気が抜けずに渦流が生じ、異音が発生してしまうという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異音の発生を抑制できる空気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空気処理装置は、筐体と、ファンと、処理エリアと、整流部と、を備える。ファンは、送風により外部から筐体内に空気を吸い込み、筐体内に吸い込んだ空気を外部に排気する。処理エリアは、筐体内でファンの送風方向の上流側に設けられ、紫外領域の光を照射される。整流部は、筐体内で、処理エリアとファンの間に設けられる遮光装置を備える。遮光装置は、ファンが動作した際に、遮光装置の一端側から他端側へ空気が流れる通風部と、遮光装置の一端側から他端側へ空気が流れない非通風部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の空気処理装置によれば、異音の発生を抑制することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の空気処理装置の斜視図である。
【
図3】同上空気処理装置の分空気処理ユニットの分解斜視図である。
【
図4】同上空気処理装置の内部構造を示す正面図である。
【
図5】第2の実施形態の空気処理装置の内部構造を示す正面図である。
【
図6】第3の実施形態の空気処理装置の内部構造を示す正面図である。
【
図7】第4の実施形態の空気処理装置の内部構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、
図1ないし
図4を参照して説明する。
【0010】
なお、以下の実施形態における空気処理装置は、空気処理装置の内部に流通する空気に対して、所定の手法により、殺菌、除菌、滅菌、減菌、脱臭、消臭のいずれかの空気処理を行う装置である。以下では、空気処理装置の処理としては殺菌処理として説明を行うが、殺菌処理は、除菌処理、滅菌処理、減菌処理、脱臭処理、消臭処理、などに置き換えて解釈可能である。また、以下での空気処理機能とは、殺菌、除菌、滅菌、減菌、脱臭、消臭のいずれかの機能を指す。また、ここでの所定の手法とは、光照射、光触媒などである。光照射は、UV-C領域、UV-B領域、UV-A領域、可視光領域、赤外領域などの波長の光を照射することをいう。光触媒は、空気処理装置の内部に配設された、酸化チタンなどの光触媒に光(紫外光や可視光)を照射することで生成される活性酵素やOHラジカルによって、空気中に浮遊する菌、ウイルス、においの元などの活動を抑制したり、水と二酸化炭素に分解したりすることをいう。
【0011】
図1に、据置タイプの空気処理装置10の斜視図を示す。空気処理装置10は、筐体11と、例えば床面に対して筐体11を立位姿勢に支持する脚部材12と、を備える。筐体11は、前後方向の奥行よりも左右方向の幅が広く、前後および左右方向よりも上下方向の長さが長い縦型形状に形成される。
【0012】
筐体11は、本体部14と、この本体部14の前面側に着脱可能に配設される前面パネル15と、を備える。筐体11の下端側に吸気口16が設けられ、上端側に排気口17が設けられる。本体部14の上面で排気口17の前側には、空気処理装置10を操作する操作部および動作状態などを表示する表示部を有する操作パネル部18が設けられる。なお、筐体11は、四角形筒状(略直方体形状)の四角形筐体や、円筒状(略円柱形状)の円筒形筐体に形成されていてもよい。
【0013】
脚部材12は、床面に対して筐体11を立位姿勢に支持する。脚部材12は、筐体11の下面の吸気口16と床面との間に隙間を形成し、吸気口16からの空気の吸い込みを可能とする。
【0014】
図2に示すように、筐体11は、外郭をなす外部筐体20と、この外部筐体20内に配置されるように、外部筐体20によって覆われる内部筐体21と、を備える。
【0015】
外部筐体20は、内部筐体21の左右両側に取り付けられる一対のサイドパネル23と、内部筐体21の背面側に取り付けられる背面カバー24と、内部筐体21(第2部材63)の上面側に取り付けられる上面カバー25と、内部筐体21の前面側に着脱可能に配置される前面パネル15と、を備える。サイドパネル23、背面カバー24、上面カバー25、および内部筐体21などで本体部14が構成され、この本体部14の前面側に前面パネル15が着脱可能に取り付けられる。上面カバー25の上面前側に操作パネル部18が配設され、上面後側には排気口17が形成される。排気口17には排気する空気の方向を例えば斜め前方とするように整流するルーバー26が配設される。そして、外部筐体20は、前面パネル15、サイドパネル23、背面カバー24および上面カバー25のいずれも樹脂材料で形成された樹脂筐体である。
【0016】
図2および
図3に示すように、内部筐体21は、上下方向に開口する反射筒28と、この反射筒28の左右両側に取り付けられる一対の側面フレーム29と、を備える。反射筒28は、前面反射板30と、左右両側の側面反射板31と、背面反射板32と、を備え、左右方向の幅が広い四角形筒状に形成される。両側の側面反射板31および背面反射板32は一体に折曲形成され、前面反射板30は別体で両側の側面反射板31に取り付けられた両側の側面フレーム29の前縁部に取り付けられる。そして、内部筐体21は、反射筒28の各反射板30、31、32および側面フレーム29のいずれも金属材料で形成された金属筐体である。なお、反射筒28は、両側の側面反射板31、背面反射板32、前面反射板30が一体に折曲形成される構造であってもよい。
【0017】
反射筒28の下端側であって、両側の側面フレーム29の下端間には、内部筐体21の内部下端側に配設される吸気側ユニット34が取り付けられ、また、反射筒28の上端側であって、両側の側面フレーム29の上端間には、内部筐体21の内部上端側に配設される排気側ユニット35が取り付けられる。側面フレーム29のそれぞれの下端には、吸気側ユニット34を取り付ける下側取付部36が設けられ、また、側面フレーム29のそれぞれの上端には、排気側ユニット35を取り付ける上側取付部37が設けられる。一側の側面フレーム29にはファン用電源部38が取り付けられ、他側の側面フレーム29には光源用電源部39が取り付けられる。
【0018】
そして、内部筐体21、吸気側ユニット34、排気側ユニット35および各電源部38,39によって、本体ユニットである空気処理ユニット40が構成される。空気処理ユニット40は、筐体11(外部筐体20)の内部に配設される。
【0019】
【0020】
筐体11の下端側の吸気口16に内部筐体21(反射筒28)の下端側が連通され、筐体11の上端側の排気口17に内部筐体21(反射筒28)の上端側が連通される。内部筐体21(反射筒28)の内部には、吸気口16と排気口17との間で空気が流通する処理空間42が形成される。処理空間42は、空気が流通しその空気に紫外領域の光を照射する処理エリア43と、吸気口16側の吸気側エリア44と、排気口17側の排気側エリア45と、を備える。吸気側エリア44から処理エリア43に空気を吸気し、排気側エリア45から処理エリア43外に空気を排気する。処理空間42は、前後面および左右面が紫外領域の光を反射する金属製の反射板30,31,32で囲まれて形成される。
【0021】
また、
図3および
図4に示すように、吸気側ユニット34は、内部筐体21の下端側に取り付けられ、処理空間42の吸気側エリア44に配設される。吸気側ユニット34は、吸気側の遮光装置50と、異物捕捉フィルタ51と、光触媒フィルタ52と、を備える。空気の流通方向の上流側から、遮光装置50、異物捕捉フィルタ51、光触媒フィルタ52の順に配設される。なお、空気の流通方向の上流側から、異物捕捉フィルタ51、遮光装置50、光触媒フィルタ52の順に配設されていてもよい。
【0022】
遮光装置50は、上下面が開口された枠部54と、この枠部54の内側に上下面の開口に沿って複数配設された板状の遮光部材55と、を備える。枠部54は、金属材料で形成される。遮光部材55は、特に紫外線に対する耐光性が高く、紫外線や可視領域の光の反射率が低いものが好ましく、例えば、鉄、亜鉛メッキ鋼板、ステンレスのような金属、あるいはフッ化物樹脂、ABS樹脂などによって形成される。遮光部材55は、所定の角度に折曲された頂点部56と、この頂点部56から所定の角度の方向に向けて延びる一対の遮光板部57と、を有する断面略「く」の字形に形成される。
【0023】
遮光装置50の隣接する遮光部材55は、上面視で、隣接する一方の遮光部材55の頂点部56または遮光板部57と隣接する他方の遮光部材55の遮光板部57または頂点部56とが重なり合うピッチに配置される。
【0024】
遮光装置50の左右方向の中央を境とした左右の各領域に配設される遮光部材55は、頂点部56が互いに対向する向きとして同一間隔で複数配設される。これにより、遮光装置50の遮光部材55間を通じて処理エリア43に吸い込まれる空気が処理エリア43の左右方向に広がるように流れ、処理エリア43内を流通する空気が偏ることなく拡散されて流れる。なお、遮光部材55は、頂点部56が全て同じ向きとなるように配設されてもよく、あるいは頂点部56が前方向および後方向に向くように配設されてもよく、あるいは筐体11が円筒状や四角筒状などの筒状の場合には周方向に頂点部56が向くように円周上に配設されてもよい。
【0025】
異物捕捉フィルタ51は、吸気口16の略全体、もしくは、遮光部装置50の枠部54の吸気口16と対向する面を覆うように配置される。異物捕捉フィルタ51は、吸気口16から空気とともに吸い込まれる埃や紙片などの異物を捕捉する。異物捕捉フィルタ51は、金属材料で網状の金網が用いられる。異物捕捉フィルタ51は、前面パネル15を外した本体部14の前面側から着脱可能とし、清掃や交換が可能となっている。なお、異物捕捉フィルタ51は、非金属で、紫外線への耐光性が低い材料(例えば、樹脂、布材、紙材など)で形成されてもよいが、この場合には、遮光装置50よりも空気の流通方向の上流側に配置することで、紫外線の照射による劣化を防止して長期間使用することが可能となる。
【0026】
光触媒フィルタ52は、通気孔が複数設けられた担持体に酸化チタンなどの光触媒が保持・塗布されて担持されており、排気側ユニット35に配設される光源、もしくはこの光源とは別の光源から、少なくとも360nmから420nmのUV-Aの波長成分の紫外線もしくは可視光を受けることで、活性酵素とOHラジカルを生成し、生成された活性酵素やOHラジカルによって、空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、ウイルスの活動を抑制したりする。光触媒フィルタ52は、前面パネル15を外した本体部14の前面側から着脱可能とし、清掃や交換が可能となっている。
【0027】
例えば、異物捕捉フィルタ51と光触媒フィルタ52とは一体に組み合わせてフィルタユニットとして構成し、前面パネル15を外した本体部14の前面側から一体に着脱可能とする。遮光装置50の枠部54の左右両側には、このフィルタユニットを本体部14の前面側から着脱可能に保持するフィルタ保持部54aが配設される。
【0028】
図2および
図3に示すように、遮光装置50の枠部54には、吸気側ユニット34に装着された異物捕捉フィルタ51および光触媒フィルタ52を前面側から押える金属製の開閉扉58が開閉可能に取り付けられる。
【0029】
また、
図3および
図4に示すように、排気側ユニット35は、紫外線照射部60と、この紫外線照射部60を下面側に配設される排気側の遮光装置61と、この遮光装置61の上面側に配設される2つのファン62と、少なくとも処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間に設けられる整流部63と、を備える。空気の流通方向の上流側から、紫外線照射部60、遮光装置61および整流部63、ファン62の順に配設される。
【0030】
紫外線照射部60は、長尺状の基板66の表面の長手方向に沿ってLEDや有機EL、レーザーダイオードなどの発光素子67が1つないし複数実装された光源モジュールを備える。本実施形態においては、紫外線照射部60の光源モジュールは、2つ用いられ、遮光装置61の下面側で前後方向に間隔を空けた2箇所に取り付けられ、下方の処理エリア43内に向けて紫外領域の光を照射する。なお、紫外線照射部60が備える光源モジュールは、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0031】
基板66は、例えばアルミニウムなどの金属材料や、ガラスエポキシなどの樹脂材料や、例えば酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックスなどの無機材料で形成されたベース板を有し、ベース板が金属の場合はこのベース板の前面側に絶縁層が形成され、ベース板や絶縁層上に発光素子67を実装する複数のパッドやこれらパッドを直列または直並列に接続する配線部を含む配線パターンが形成される。
【0032】
発光素子67には、空気を殺菌するためのピーク波長が300nm以下のUV-Cの波長成分の紫外線であって、好ましくは260~280nmの波長成分の紫外線を放射する第1LED(殺菌LED)と、光触媒フィルタ52に担持された光触媒を励起するための少なくとも360nmから420nmのUV-Aもしくは可視領域の波長成分の光を放射する第2LED(光触媒LED)と、が用いられる。第1LED(殺菌LED)が放射する光の波長は、第2LED(光触媒LED)が放射する光の波長よりも短い。UV-Cの発光素子67とUV-Aの発光素子67とは、基板66の長手方向に混合した状態で配置され、例えば交互に配置される。発光素子67は、光源用電源部39から所定の点灯電力が供給されて点灯する。なお、紫外線照射部60が2つ以上の光源モジュールを備える場合は、殺菌LEDのみを備える光源モジュールと、光触媒LEDのみを備える光源モジュールと、を備えていてもよい。また、空気処理装置10が、紫外線照射部60外に、第2LED(光触媒LED)を備える構造の場合、紫外線照射部60は、第1LED(殺菌LED)のみを備える構成であってもよい。
【0033】
また、遮光装置61は、枠部70と、この枠部70の内側に複数配設された遮光部材71と、を備える。
【0034】
枠部70は、アルミニウムなどの金属材料で形成される。枠部70の上面側に2つのファン62が左右方向に間隔を空けて並設され、この枠部70の上面側には各ファン62が連通する通気口72が設けられている。通気口72は、ファン62が有する通風口と略同じ形状および大きさに設けられている。枠部70の下面側は開口され、この枠部70の下部側で前後に間隔を空けた2箇所に紫外線照射部60が取り付けられている。
【0035】
遮光部材71は、所定の角度に折曲された頂点部73と、この頂点部73から所定の角度の方向に向けて延びる一対の遮光板部74と、を有する断面略「く」の字形に形成される。遮光部材71は、特に紫外線に対する耐光性が高く、紫外線反射率が低いものが好ましく、例えば、鉄、亜鉛メッキ鋼板、ステンレスのような金属、あるいはフッ化物樹脂、ABS樹脂などによって形成される。なお、排気側の遮光装置61は、紫外線を照射する紫外線照射部60の光照射方向と反対方向に配設されており、排気側の遮光装置61まで到達する紫外線量(例えば、単位時間あたりの紫外線強度)は、吸気側の遮光装置50へ到達する紫外線量より小さいため、排気側の遮光装置61は、吸気側の遮光装置50を構成する材料よりも紫外線に対する耐光性が低いものであってもよい。例えば、排気側の遮光装置61は、絶縁性を備える樹脂材料で構成されていてもよい。
【0036】
遮光装置61の隣接する遮光部材71は、上面視で、隣接する一方の遮光部材71の頂点部73または遮光板部74と隣接する他方の遮光部材71の遮光板部74または頂点部73とが重なり合うピッチに配置される。
【0037】
遮光装置61の左右方向の中央を境とした左右の各領域に配設される遮光部材71は、頂点部73が互いに対向する向きとして同一間隔で複数配設される。これにより、遮光装置61の遮光部材71間を通じて処理エリア43から吸い込む空気が処理エリア43の左右方向に広い範囲から流れ込み、処理エリア43内を流通する空気が偏ることなく流れる。なお、遮光部材55は、頂点部73が全て同じ向きとなるように配設されてもよく、あるいは頂点部73が前方向および後方向に向くように配設されてもよく、あるいは筐体11が円筒状や四角筒状などの筒状の場合には周方向に頂点部73が向くように円周上に配設されてもよい。
【0038】
遮光装置61は、各ファン62に対向する領域に通風部75を有するとともに、各ファン62に対向しない領域に非通風部76を有する。つまり、遮光装置61において、上面視でファン62と重なる領域が通風部75であり、上面視でファン62と重ならない領域が非通風部76である。
【0039】
通風部75は、ファン62の有する通風口が円筒形であるのに対して四角筒形で、上下方向に開口され、内側に複数の遮光部材71が配置されている。通風部75の左右方向および前後方向の幅は、ファン62の幅と略同じ寸法か、ファン62の有する円筒形の通風口の直径寸法と略同じ寸法となっている。
【0040】
非通風部76は、処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間に対向して設けられる側面側の非通風部76aと、2つのファン62の間に対向して設けられるファン間の非通風部76bと、を備えている。非通風部76a,76bは、ファン62に対向しない領域を閉塞する閉塞部材で構成されている。
【0041】
また、
図3および
図4に示すように、ファン62は、軸流ファンが用いられる。ファン62は、軸方向に空気を送る羽根車80と、この羽根車80を回転させるモータ81と、このモータ81を支持し、羽根車80が配置される円筒形の通風口82を有するフレーム83と、を備える。ファン62の羽根車80およびフレーム83は非金属の材料であって樹脂材料で形成される。ファン62は、羽根車80の回転軸を鉛直方向とし、羽根車80が上面視時計回り方向に回転することにより、筐体11の下端側の吸気口16から外部の空気を処理エリア43に吸い込み、筐体11の上端側の排気口17から処理エリア43内の空気を外部に排気し、筐体11内の処理エリア43に外部からの空気を循環させる気流を発生させる。
【0042】
ファン62は、通風口82が枠部70の通気口72に連通するように枠部70の上面側に取り付けられている。ファン62の通風口82と枠部70の通気口72とは、略同じ形状および大きさとなっている。ファン62は、ファン用電源部38から所定の動作電力が供給されて回転する。
【0043】
なお、ファン62は、1台でもよく、あるいは3台以上用いてもよい。また、ファン62は、下面側から空気を吸い込むことが可能であれば、軸流ファンに限らず、遠心ファン、シロッコファンなどの他のファン形式のものを用いてもよい。
【0044】
また、整流部63は、処理エリア43の左右方向の内側面(つまり反射筒28の側面反射板31の左右方向の内面側)と、この内側面に対向するファン62の側部と、を結んで、空気の流れを整流する。
【0045】
整流部63は、2つのファン62に対向する領域に通風部75を有するとともに、2つのファン62に対向しない領域に非通風部76を有する遮光装置61を備えている。
【0046】
整流部63は、処理エリア43の左右方向の内側面からこの内側面に対向する遮光装置61の通風部75に亘って斜めに配設される整流板90をさらに備えている。整流板90は、板金で構成され、処理エリア43内に対向する面に、上述した光触媒フィルタ52と同様の光触媒が保持・塗布されて担持されている。
【0047】
そして、空気処理装置10の動作を説明する。
【0048】
ファン62の回転により、外部の空気を筐体11の下端側の吸気口16から遮光装置50、異物捕捉フィルタ51および光触媒フィルタ52を通じて処理空間42の処理エリア43に吸い込むとともに、処理エリア43内の空気を筐体11の上端側の排気側の遮光装置61およびファン62を通じて排気口17から外部に排気し、処理エリア43内に外部からの空気が循環する。
【0049】
紫外線照射部60の発光素子67が処理エリア43に向けて紫外領域の光を発光し、処理エリア43内を流通する空気に紫外領域の光を照射して殺菌する。紫外領域の光が照射された空気は、排気側の遮光装置61を通じて排気口17から筐体11の外部に排気する。
【0050】
また、吸気側の遮光装置50では、複数の遮光部材55間の間隙を通じて、吸気口16から外部の空気が処理エリア43に吸い込まれる。さらに、遮光装置50では、光触媒フィルタ52の開口領域、および異物捕捉フィルタ51を通過してくる紫外領域の光を遮光し、吸気口16からの光漏れを防止する。遮光装置50では、断面略「く」の字形の遮光部材55を同一間隔で複数配設することで、隣り合う遮光部材55間を紫外線が一直線上に通過することを不可能とするため、吸気口16からの光漏れを防止できる。
【0051】
異物捕捉フィルタ51では、吸気口16から空気とともに吸い込まれる埃や紙片などの異物を捕捉する。異物捕捉フィルタ51は、吸気口16から光触媒フィルタ52へ到達するまでの空気の経路上に配設されることが好ましい。異物捕捉フィルタ51は、例えば、吸気口16と遮光装置50との間に配設されたり、遮光装置50と光触媒フィルタ52との間に配設されたりする。異物捕捉フィルタ51は、金属材料で形成されるため、遮光装置50よりも空気の流通方向の下流側に光触媒フィルタ52とともに配置しても、紫外領域の光の照射による劣化を防止できる。
【0052】
光触媒フィルタ52では、紫外線照射部60から照射される少なくとも360nmから420nmのUV-Aの波長成分の紫外領域の光もしくは可視光が照射されることで、活性酵素とOHラジカルを生成し、生成された活性酵素やOHラジカルによって、空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、ウイルスの活動を抑制したりする。
【0053】
また、排気側の遮光装置61では、複数の遮光部材71間の間隙を通じて、処理エリア43内の空気がファン62に吸い込まれる。さらに、遮光装置61では、処理エリア43内から向ってくる紫外領域の光を遮光し、排気口17からの光漏れを防止する。遮光装置61では、断面略「く」の字形の遮光部材71を同一間隔で複数配設することで、隣り合う遮光部材71間を紫外領域の光が一直線上に通過することを不可能とするため、排気口17からの光漏れを防止できる。
【0054】
ファン62は、羽根車80およびフレーム83が非金属である樹脂材料で形成されるが、処理エリア43に対して遮光装置61よりも空気の流通方向の下流側に配設されるため、紫外領域の光が照射されるのが防止され、紫外領域の光による樹脂部品の劣化を防止できる。
【0055】
また、ファン62の回転時において、処理エリア43内の空気が遮光装置61の通風部75を通じてファン62に吸い込まれる。
【0056】
処理エリア43の左右方向の内側面と、この内側面に対向するファン62の側部との間に対向する遮光装置61の領域では、空気が流れ込んでも抜けないために渦流が生じ、遮光部材71が振動して異音が発生しやすい。
【0057】
遮光装置61は、処理エリア43の左右方向の内側面と、この内側面に対向するファン62との間に対向する領域に、非通風部76(側面側の非通風風部76a)を備えるため、この領域に空気が流れ込んで渦流が生じることがなく、遮光部材71の振動による異音の発生を低減できる。
【0058】
さらに、処理エリア43の側部から、この処理エリア43の側部に対向する遮光装置61の通風部75の側部に亘って設けられた整流板90により、処理エリア43内の空気が遮光装置61の通風部75に導風され、渦流の発生を抑制できる。
【0059】
処理エリア43に対向する整流板90の内面には光触媒が担持されているため、紫外線照射部60から処理エリア43に照射される紫外領域の光が整流板90の光触媒に照射され、上述した光触媒フィルタ52と同様に、活性酵素とOHラジカルを生成し、生成された活性酵素やOHラジカルによって、空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、ウイルスの活動を抑制したりする。
【0060】
このように、第1の実施形態の空気処理装置10では、処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間に設けられる整流部63を備えるため、処理エリア43の内側面とこの処理エリア43の内側面に対向するファン62の側部との間の領域での空気の渦流に伴う異音の発生を抑制できる。
【0061】
整流部63は、2つのファン62に対向する領域に通風部75を有するとともに、2つのファン62に対向しない領域に非通風部76を有する遮光装置61を備えるため、処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間の遮光装置61の領域と、2つのファン62間の遮光装置61の領域と、での異音の発生を抑制できる。
【0062】
整流部63は、処理エリア43の内側面からこの内側面に対向する遮光装置61の通風部75の側部に亘って整流板90を備えるため、処理エリア43内の空気を遮光装置61の通風部75に導風でき、空気の流れをスムーズにして渦流の発生を抑制できる。
【0063】
整流板90は、処理エリア43に対向する内面に光触媒が担持されているため、紫外線照射部60から処理エリア43に照射される紫外領域の光を利用し、空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、ウイルスの活動を抑制したりできる。
【0064】
【0065】
第1の実施形態に対して、整流部63として整流板90を用いないだけで、他の構成は同様である。
【0066】
整流部63は、整流板90を用いない場合でも、2つのファン62に対向する領域に通風部75を有するとともに、2つのファン62に対向しない領域に非通風部76を有する遮光装置61を備えるため、処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間の遮光装置61の領域と、2つのファン62間の遮光装置61の領域と、での異音の発生を抑制できる。
【0067】
【0068】
第2の実施形態に対して、整流部63としてファン間の非通風部76bを備えないだけで、他の構成は同様である。
【0069】
整流部63は、処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間に対向する非通風部76を有する遮光装置61を備えるため、処理エリア43の内側面と遮光装置61との間の領域での異音の発生を抑制できる。
【0070】
【0071】
第1ないし第3の実施形態に対して、排気側の遮光装置61を備えない例である。
【0072】
整流部63は、処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間に設けられる整流板90を備える。
【0073】
処理エリア43の左右方向の内側面とこの内側面に対向するファン62の側部との間の領域では、流れ込んだ空気が抜けず、空気の渦流が生じ、異音が生じやすいが、整流板90を用いることにより、上述の領域に空気が流れ込まず、ファン62に導風することができ、異音の発生を抑制できる。
【0074】
なお、空気処理装置10は、床置きタイプに限らず、壁面取付タイプとしても使用できる。壁面取付タイプとする場合には、脚部材12が用いられず、代わりに吸気口16に配設される通気カバーが用いられる。そして、壁面に取り付けられる壁面取付部材が別途用いられ、壁面に取り付けられた壁面取付部材に対して空気処理装置10の背面側が取り付けられる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10 空気処理装置
11 筐体
43 処理エリア
61 遮光装置
62 ファン
63 整流部
75 通風部
76,76a,76b 非通風部
90 整流板