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特開2024-49849三次元造形装置の管理方法、情報処理装置、及び、コンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049849
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】三次元造形装置の管理方法、情報処理装置、及び、コンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240403BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240403BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156330
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 航
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR11
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】三次元造形装置を効率的に管理可能な技術を提供する。
【解決手段】三次元造形装置の管理方法であって、時刻を表す時刻情報、三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、稼働情報又は三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、時刻情報、稼働情報、及び、ユーザー情報、を出力する出力工程、を備え、記憶部には、稼働情報が時刻情報に対応して記憶されており、ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、出力工程では、時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元造形装置の管理方法であって、
時刻を表す時刻情報、前記三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、前記稼働情報又は前記三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、前記時刻情報、前記稼働情報、及び、前記ユーザー情報、を出力する出力工程、を備え、
前記記憶部には、前記稼働情報が前記時刻情報に対応して記憶されており、
前記ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、
前記出力工程では、前記時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する、
管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の管理方法であって、
前記稼働情報に対応する前記モデルのモデル情報、及び、前記モデルの造形の進捗度合を表す進捗情報の少なくともいずれかを出力する工程を含む、管理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の管理方法であって、
前記ユーザー、又は複数の前記ユーザーが属するグループ毎に、前記三次元造形装置の累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量、モデルの取り出し可能持ち時間、及び、同時造形可能台数、の少なくともいずれかを出力する工程を含む、管理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の管理方法であって、
前記ユーザー、又は複数の前記ユーザーが属するグループ毎、且つ、三次元造形装置毎に、累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量、モデルの取り出し可能持ち時間、の少なくともいずれかを出力する工程を含む、管理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の管理方法であって、
前記三次元造形装置の累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量の少なくともいずれかに基づいて算出された前記ユーザー又は複数の前記ユーザーが属するグループ毎の使用料金又は炭酸ガス排出量に関する値を出力する工程を含む、管理方法。
【請求項6】
請求項1に記載の管理方法であって、
一の前記ユーザー、又は、複数の前記ユーザーが属する一のグループによる前記三次元造形装置の累積使用時間が、予め定められた使用時間を超えた場合に、前記一のユーザー、又は前記一のグループによる前記三次元造形装置の使用を制限する工程を含む、管理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の管理方法であって、
一の前記ユーザー、又は、複数の前記ユーザーが属する一のグループによって使用される三次元造形装置の台数が、予め定められた同時造形可能台数に達した場合に、前記一のユーザー、又は前記一のグループによる他の三次元造形装置の使用を制限する工程を含む、管理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の管理方法であって、
一の前記ユーザーによるモデルの造形後の予め定められた期間内、又は、前記一のユーザーの取出可能持ち時間が残存している場合は、前記一のユーザー又は認証を有する前記ユーザーの認証後に前記三次元造形装置に備えられた扉を開放可能とし、前記一のユーザー又は前記認証を有するユーザーによる前記モデルの取出しを許可し、
前記一のユーザーによるモデルの造形後に前記予め定められた期間を超えた場合、又は、前記一のユーザーの取出可能持ち時間がなくなった場合は、前記認証を行うことなく前記三次元造形装置の前記扉を開放可能として、不特定のユーザーによる前記モデルの取出しを許可する、工程を含む、
管理方法。
【請求項9】
三次元造形装置を管理するための情報処理装置であって、
時刻を表す時刻情報、前記三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、前記稼働情報又は前記三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、前記時刻情報、前記稼働情報、及び、前記ユーザー情報、を出力する出力制御部、を備え、
前記記憶部には、前記稼働情報が前記時刻情報に対応して記憶されており、
前記ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、
前記出力制御部は、前記時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する、
情報処理装置。
【請求項10】
三次元造形装置を管理するためのコンピュータープログラムであって、
時刻を表す時刻情報、前記三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、前記稼働情報又は前記三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、前記時刻情報、前記稼働情報、及び、前記ユーザー情報、を出力する出力機能、をコンピューターに実現させ、
前記記憶部には、前記稼働情報が前記時刻情報に対応して記憶されており、
前記ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、
前記出力機能は、前記時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する、
コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元造形装置の管理方法、情報処理装置、及び、コンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元造形を管理するための技術に関し、特許文献1には、共有仮想ワークスペースへの複数ユーザーの参加をサポートするインタラクティブプラットフォームが開示されている。このプラットフォームでは、第1のユーザーから受けとった電子化された第1のモデルが仮想トレイに配置され、第2のユーザーから受け取った電子化された第2のモデルが仮想トレイに配置され、第2のモデルを難読化した仮想トレイのビューが第1のユーザーに提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0173889号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のように複数のユーザーで三次元造形装置を使用する場合において、三次元造形装置を効率的に管理することのできる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、三次元造形装置の管理方法が提供される。この管理方法は、時刻を表す時刻情報、前記三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、前記稼働情報又は前記三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、前記時刻情報、前記稼働情報、及び、前記ユーザー情報、を出力する出力工程、を備え、前記記憶部には、前記稼働情報が前記時刻情報に対応して記憶されており、前記ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、前記出力工程では、前記時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置を管理するための情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、時刻を表す時刻情報、前記三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、前記稼働情報又は前記三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、前記時刻情報、前記稼働情報、及び、前記ユーザー情報、を出力する出力制御部、を備え、前記記憶部には、前記稼働情報が前記時刻情報に対応して記憶されており、前記ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、前記出力制御部は、前記時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、三次元造形装置を管理するためのコンピュータープログラムが提供される。このコンピュータープログラムは、時刻を表す時刻情報、前記三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、前記稼働情報又は前記三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、前記時刻情報、前記稼働情報、及び、前記ユーザー情報、を出力する出力機能、をコンピューターに実現させ、前記記憶部には、前記稼働情報が前記時刻情報に対応して記憶されており、前記ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、前記出力機能は、前記時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】三次元造形システムの概略構成を示す説明図である。
図2】三次元造形装置の概略構成を示す説明図である。
図3】フラットスクリューの概略構成を示す斜視図である。
図4】バレルの概略平面図である。
図5】三次元造形装置がモデルを造形する様子を模式的に示す説明図である。
図6】情報処理装置の概略構成を示す説明図である。
図7】管理画面の一例を示す図である。
図8】管理処理のフローチャートである。
図9】記憶部に記憶される各種の情報の例を示す図である。
図10】グループ毎に各種の情報を管理する例を示す図である。
図11】使用料金、及び、炭酸ガス排出量の一覧を示す図である。
図12】グループ毎に各種の割合を算出する例を示す図である。
図13】使用制限処理の第1の説明図である。
図14】使用制限処理の第2の説明図である。
図15】取出制御処理の説明図である。
図16】各種の情報によって実現される処理内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における三次元造形システム10の概略構成を示す説明図である。三次元造形システム10は、複数の三次元造形装置100と、それらの三次元造形装置100と通信する情報処理装置400と、を含む。情報処理装置400と複数の三次元造形装置100とは、インターネットやLANなど、所定の通信回線を介して相互に通信可能である。三次元造形システム10は、例えば、工場や研究所、商業施設などの場所に設置される。本実施形態では、複数の三次元造形装置100及び情報処理装置400は、同一の場所に設置されている。なお、三次元造形装置100と情報処理装置400とは、同一の場所ではなく、離れた場所に配置されてもよい。以下の説明では、三次元造形装置100のことを、単に「装置」と呼ぶ場合がある。
【0010】
図2は、三次元造形装置100の概略構成を示す説明図である。図2には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向及びY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、鉛直上向きに沿った方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図示の方向が図2と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、方向の向きを特定する場合には、各図において矢印が指し示す方向を「+」、その反対の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。以下では、+Z方向のことを「上」、-Z方向のことを「下」ともいう。
【0011】
本実施形態の三次元造形装置100は、材料押出方式によって三次元造形物を造形する装置である。三次元造形装置100は、三次元造形装置100の各部を制御するための制御部300を備えている。制御部300と情報処理装置400とは、相互に通信可能に接続されている。以下では、三次元造形物のことを、モデルともいう。
【0012】
三次元造形装置100は、造形材料を生成して吐出する造形部110と、モデルの基台となる造形用のステージ210と、造形材料の吐出位置を制御する移動機構230とを備える。造形部110とステージ210と移動機構230とは、三次元造形装置100に備えられた筐体105内に配置されている。筐体105には、扉106が設けられている。ユーザーは、扉106を開くことで、筐体105内で造形されたモデルを取り出すことができる。
【0013】
造形部110は、制御部300の制御下において、固体状態の材料を可塑化させた造形材料をステージ210上に吐出する。造形部110は、造形材料に転化される前の原材料の供給源である材料供給部20と、原材料を造形材料へと転化させる可塑化部30と、造形材料を吐出する吐出部60とを備える。
【0014】
材料供給部20は、可塑化部30に、原材料MRを供給する。材料供給部20は、例えば、原材料MRを収容するホッパーによって構成される。材料供給部20は、連通路22を介して、可塑化部30に接続されている。原材料MRは、ペレットや粉末等の形態で材料供給部20に投入される。原材料としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂材料が用いられる。
【0015】
可塑化部30は、材料供給部20から供給された原材料MRを可塑化させて流動性を発現させたペースト状の造形材料を生成し、吐出部60へと導く。本実施形態において「可塑化」とは 、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0016】
可塑化部30は、スクリューケース31と、駆動モーター32と、フラットスクリュー40と、バレル50と、を有する。フラットスクリュー40は、ローターあるいはスクロールとも呼ばれる。バレル50は、スクリュー対面部とも呼ばれる。
【0017】
フラットスクリュー40は、スクリューケース31内に収納されている。フラットスクリュー40の上面47は駆動モーター32に連結されており、フラットスクリュー40は、駆動モーター32が発生させる回転駆動力によって、スクリューケース31内で回転する。駆動モーター32は、制御部300の制御下において駆動される。なお、フラットスクリュー40は、減速機を介して駆動モーター32によって駆動されてもよい。
【0018】
図3は、フラットスクリュー40の下面48側の概略構成を示す斜視図である。図3に示したフラットスクリュー40は、技術の理解を容易にするため、図2に示した上面47と下面48との位置関係を、鉛直方向において逆向きとした状態で示されている。フラットスクリュー40は、その中心軸に沿った方向である軸線方向における長さが、軸線方向に垂直な方向における長さよりも小さい略円柱状を有する。フラットスクリュー40は、その回転中心となる回転軸RXがZ方向に平行になるように配置される。
【0019】
フラットスクリュー40の、回転軸RXと交差する面である下面48には、渦状の溝部42が形成されている。上述した材料供給部20の連通路22は、フラットスクリュー40の側面から、当該溝部42に連通する。本実施形態では、溝部42は、凸条部43によって隔てられて3本分形成されている。なお、溝部42の数は、3本に限られず、1本でもよいし、2本以上であってもよい。溝部42は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0020】
図2に示すように、フラットスクリュー40の下面48は、バレル50の上面52に対面しており、フラットスクリュー40の下面48の溝部42と、バレル50の上面52との間には空間が形成される。フラットスクリュー40とバレル50との間のこの空間には、材料供給部20から図3に示した材料流入口44を通じて原材料MRが供給される。
【0021】
図4は、バレル50の上面52側を示す概略平面図である。バレル50の中心には連通孔56が設けられている。バレル50の上面52には、連通孔56に接続され、連通孔56から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝54が形成されている。案内溝54の一端は、連通孔56に接続されていなくてもよい。また、案内溝54は省略することも可能である。図2に示すように、バレル50には、回転しているフラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRを加熱するためのバレルヒーター58が埋め込まれている。
【0022】
フラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRは、溝部42内において可塑化されながら、フラットスクリュー40の回転によって溝部42に沿って流動し、造形材料としてフラットスクリュー40の中央部46へと導かれる。中央部46に流入した流動性を発現しているペースト状の造形材料は、バレル50の中心に設けられた連通孔56を介して吐出部60に供給される。なお、造形材料では、造形材料を構成する全ての種類の物質が可塑化していなくてもよい。造形材料は、造形材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が可塑化することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。
【0023】
図2の吐出部60は、造形材料を吐出するノズル61と、フラットスクリュー40とノズル開口62との間に設けられた造形材料の流路65と、造形材料の吐出を制御する吐出制御部77を備える。
【0024】
ノズル61は、流路65を通じて、バレル50の連通孔56に接続されている。ノズル61は、可塑化部30において生成された造形材料を、先端のノズル開口62からステージ210に向かって吐出する。
【0025】
吐出制御部77は、流路65を開閉する吐出調整部70と、造形材料を吸引して一時的に貯留する吸引部75とを備える。
【0026】
吐出調整部70は、流路65内に設けられており、流路65内で回転することにより流路65の開度を変化させる。本実施形態において、吐出調整部70は、バタフライバルブによって構成されている。吐出調整部70は、制御部300による制御下において、第1駆動部74によって駆動される。第1駆動部74は、例えば、ステッピングモーターによって構成される。制御部300は、第1駆動部74を用いて、バタフライバルブの回転角度を制御することによって、可塑化部30からノズル61に流れる造形材料の流量、つまり、ノズル61から吐出される造形材料の吐出量を調整することができる。吐出調整部70は、造形材料の吐出量を調整可能であると共に、造形材料の流出のオン/オフを制御可能である。
【0027】
吸引部75は、流路65において吐出調整部70とノズル開口62との間に接続されている。吸引部75は、ノズル61からの造形材料の吐出停止時に、流路65中の造形材料を一時的に吸引することによって、造形材料がノズル開口62から糸を引くように垂れる尾引き現象を抑制する。本実施形態において、吸引部75は、プランジャーにより構成されている。吸引部75は、制御部300による制御下において、第2駆動部76によって駆動される。第2駆動部76は、例えば、ステッピングモーターや、ステッピングモーターの回転力をプランジャーの並進運動に変換するラックアンドピニオン機構等によって構成される。
【0028】
ステージ210は、ノズル61のノズル開口62に対向する位置に配置されている。第1実施形態では、ノズル61のノズル開口62に対向するステージ210の造形面211は、X,Y方向、すなわち水平方向に平行となるように配置される。ステージ210には、ステージ210上に吐出された造形材料が急激に冷却することを抑制するためのステージヒーター212が備えられている。ステージヒーター212は制御部300によって制御される。
【0029】
移動機構230は、制御部300の制御下において、ステージ210とノズル61との相対位置を変化させる。本実施形態では、ノズル61の位置が固定されており、移動機構230は、ステージ210を移動させる。移動機構230は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ210をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。本明細書において、特に断らない限り、ノズル61の移動とは、ノズル61や吐出部60をステージ210に対して相対的に移動させることを意味する。
【0030】
なお、他の実施形態では、移動機構230によってステージ210を移動させる構成の代わりに、ステージ210の位置が固定された状態で、移動機構230がステージ210に対してノズル61を移動させる構成が採用されてもよい。また、移動機構230によってステージ210をZ方向に移動させ、ノズル61をX,Y方向に移動させる構成や、移動機構230によってステージ210をX,Y方向に移動させ、ノズル61をZ方向に移動させる構成が採用されてもよい。これらの構成であっても、ノズル61とステージ210との相対的な位置関係が変更可能である。
【0031】
制御部300は、三次元造形装置100全体の動作を制御する装置である。制御部300は、1つ、又は、複数のプロセッサー310と、主記憶部や補助記憶部からなる記憶部320と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターとによって構成される。プロセッサー310は、記憶部320に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、記憶部320に記憶された造形データに従い、造形部110及び移動機構230を制御して、ステージ210上にモデルの造形を行う。なお、制御部300は、コンピューターによって構成される代わりに、回路を組み合わせた構成により実現されてもよい。
【0032】
図5は、三次元造形装置100がモデルを造形する様子を模式的に示す説明図である。三次元造形装置100では、上述したように、固体状態の原材料MRが可塑化されて造形材料MMが生成される。制御部300は、ステージ210の造形面211とノズル61との距離を保持したまま、ステージ210の造形面211に沿った方向に、ステージ210に対するノズル61の位置を変えながら、ノズル61から造形材料MMを吐出させる。ノズル61から吐出された造形材料MMは、ノズル61の移動方向に連続して堆積されていく。
【0033】
制御部300は、ノズル61の移動を繰り返して層MLを形成する。制御部300は、1つの層MLを形成した後、ステージ210に対するノズル61の位置を、Z方向に相対移動させる。そして、これまでに形成された層MLの上に、更に層MLを積み重ねることによってモデルを造形していく。
【0034】
制御部300は、例えば、一層分の層MLを完了した場合のノズル61のZ方向への移動や、各層で独立する複数の造形領域がある場合には、ノズル61からの造形材料の吐出を一時的に中断させることがある。この場合、吐出調整部70によって流路65を閉塞させて、ノズル開口62からの造形材料MMの吐出を停止させ、吸引部75によって、ノズル61内の造形材料を一時的に吸引する。制御部300は、ノズル61の位置を変更した後、吸引部75内の造形材料を排出しつつ吐出調整部70によって流路65を開くことによって、変更後のノズル61の位置から造形材料MMの堆積を再開させる。
【0035】
図6は、情報処理装置400の概略構成を示す説明図である。情報処理装置400は、CPU410と、メモリー420と、記憶部430と、通信インターフェイス440と、入出力インターフェイス450と、がバス460によって相互に接続されたコンピューターとして構成されている。入出力インターフェイス450には、キーボードやマウスなどの入力装置470と、液晶ディスプレイなどの表示部480とが接続されている。
【0036】
情報処理装置400は、通信インターフェイス440を介して、三次元造形装置100の制御部300に接続される。制御部300から情報処理装置400には、例えば、三次元造形装置100の材料供給部20に投入されている材料の残量を表す情報や、造形中のモデルの進捗を表す情報、使用時間を表す情報、使用材料量を表す情報、ノズル61のクリーニング回数を表す情報、使用電力量を表す情報、が送信される。情報処理装置400から制御部300には、例えば、情報処理装置400において造形時間がスケジューリングされた造形データや、三次元造形装置100に備えられた扉106の開閉を制御するための信号、が送信される。
【0037】
CPU410は、記憶部430に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、出力制御部411として機能する。出力制御部411は、記憶部430を参照して記憶部430に記憶された各種の情報を出力する出力機能を有する。本実施形態では、出力制御部411は、入出力インターフェイス450を通じて表示部480に各種の情報を出力して表示させる。
【0038】
図7は、出力制御部411によって表示部480に表示される管理画面MSの一例を示す図である。出力制御部411は、記憶部430を参照し、記憶部430に記憶された時刻情報D1と、稼働情報D2と、残量情報D3とを表示部480に出力して表示させる。時刻情報D1は、時刻を表す情報である。稼働情報D2は、各三次元造形装置100におけるモデルの造形時間を表す情報を含む。モデルの造形時間は、造形開始時刻及び造形終了時刻を含む。本実施形態において、造形終了時刻とは、造形後のモデルの冷却が完了する時刻である。造形開始時刻及び造形終了時刻は、時刻情報D1によって表される。つまり、記憶部430には、稼働情報D2が、時刻情報D1に対応して記憶されている。図7には、稼働情報D2として、三次元造形装置100毎にモデルの造形に要する時間が帯状に表示され、その帯内に、モデルの名称が表示された例を示している。1つの稼働情報D2が、その三次元造形装置100における1つの印刷ジョブに相当する。残量情報D3は、複数の三次元造形装置100のうちの選択された三次元造形装置100で使用されている材料の残量を表す情報である。ユーザーは、管理画面MSの左側に表示された三次元造形装置100のリストから入力装置470を用いて任意の三次元造形装置100を選択できる。なお、本実施形態では、上記のように、造形終了時刻はモデルの冷却が完了する時刻であるが、造形終了時刻は、モデルの造形が完了した時刻であってもよい。
【0039】
出力制御部411は、時刻情報D1に対応させて稼働情報D2を表示する。つまり、出力制御部411は、共通した時間軸に沿って、時刻情報D1と稼働情報D2とを並べて表示する。ユーザーは、入力装置470を用いることにより、時刻情報D1及び稼働情報D2を、管理画面MSの左右方向に沿ってスクロール表示させることができる。また、図7に示した管理画面MSでは、時刻情報が表す時刻のタイムゾーンと、時刻のスケールとを指定可能となっている。ユーザーは、入力装置470を用いて、タイムゾーンと、時刻のスケールとを指定することができる。タイムゾーンとは、共通の標準時を採用している地域全体のことである。時刻のスケールとは、画面上における時間軸の縮尺のことをいう。タイムゾーンが指定された場合、出力制御部411は、指定されたタイムゾーンに従って、時刻情報D1を表示する。また、時刻のスケールが変更された場合、出力制御部411は、時刻情報D1及び稼働情報D2の時間軸に沿った長さを拡大又は縮小する。タイムゾーンとスケールとは、いずれか一方のみが指定可能であってもよい。また、タイムゾーンとスケールとは、図7に示した管理画面MSとは異なる画面でそれぞれ設定可能であってよい。
【0040】
本実施形態における出力制御部411は、更に、記憶部430を参照し、記憶部430に記憶されたモデル情報D4と、進捗情報D5と、ユーザー情報D6とを表示部480に出力して表示させる。モデル情報D4とは、稼働情報D2に対応するモデルの形状を表す情報である。進捗情報D5とは、選択された三次元造形装置100で造形中のモデルの進捗度合いを表す情報である。ユーザー情報D6とは、稼働情報D2又は三次元造形装置100に対応するユーザーの情報である。本実施形態において、モデル情報D4及びユーザー情報D6は、稼働情報D2に含まれる。つまり、本実施形態において、稼働情報D2には、モデルの造形時間を表す情報と、そのモデルのユーザーを表すユーザー情報D6と、そのモデルの形状を表すモデル情報D4とが含まれている。
【0041】
出力制御部411は、管理画面MSに表示された複数の稼働情報D2のうちのいずれかの稼働情報D2が入力装置470によって選択された場合に、その稼働情報D2に対応するモデルの形状をモデル情報D4として表示すると共に、その稼働情報D2に対応するモデルのユーザーをユーザー情報D6として表示する。ユーザー情報D6には、ユーザーの顔情報D61、及び、氏名情報D62の少なくともいずれかが含まれる。顔情報D61とは、ユーザーの顔を表す情報である。顔情報D61は、例えば、ユーザーの顔をカメラで撮影した画像である。顔情報D61は、ユーザーを区別可能であればよく、アイコン化或いはイラスト化した顔の画像であってもよい。氏名情報D62は、ユーザーの氏名を表す情報である。ユーザーの氏名は、本名であってもよいし、ニックネームやハンドル名であってもよい。また、ユーザーの氏名は、フルネームであってもよいし、氏名の一部であってもよい。
【0042】
出力制御部411は、管理画面MSの左側にリスト表示された複数の三次元造形装置100のうち、任意の三次元造形装置100が選択された場合に、その三次元造形装置100において造形中のモデルの進捗を表す情報を、進捗情報D5として表示する。なお、出力制御部411は、管理画面MSに表示された複数の稼働情報D2のうちのいずれかの稼働情報D2が入力装置470によって選択された場合に、その稼働情報D2に対応するモデルの進捗を表す進捗情報D5を表示してもよい。また、出力制御部411は、管理画面MSの左側にリスト表示された複数の三次元造形装置100のうち、任意の三次元造形装置100が選択された場合に、その三次元造形装置100において造形中のモデルの形状を、モデル情報D4として表示し、そのモデルのユーザーをユーザー情報D6として表示してもよい。
【0043】
出力制御部411は、図7に示した時刻情報D1、稼働情報D2、残量情報D3、モデル情報D4、進捗情報D5、ユーザー情報D6の全てを表示する必要はない。例えば、残量情報D3、モデル情報D4、進捗情報D5のうちの少なくとも一つは表示されなくてもよい。
【0044】
図8は、情報処理装置400のCPU410によって繰り返し実行される管理処理のフローチャートである。この管理処理は、情報処理装置400が、三次元造形装置100を管理するための処理である。
【0045】
ステップS10において、情報処理装置400のCPU410は、三次元造形装置100の管理に用いる各種の情報を、三次元造形装置100或いは情報処理装置400自身から取得して記憶部430に記憶させる。
【0046】
図9は、記憶部430に記憶される各種の情報の例を示す図である。図9に示すように、記憶部430には、例えば、ユーザー毎に、三次元造形装置100毎の累積使用時間、三次元造形装置100毎の累積使用材料量、三次元造形装置100毎の累積クリーニング回数、三次元造形装置100毎の累積使用電力量、同時使用可能台数、三次元造形装置100毎の取出可能持ち時間、が記憶される。これらの情報のうち、累積使用時間や、累積使用材料量、累積クリーニング回数といった累積値は、CPU410が三次元造形装置100から取得した値を予め定められた期間、累積することで算出する。CPU410は、例えば、月末や四半期、部品交換時、費用支払時といった予め定められたタイミングでこれらの累積値をリセットする。
【0047】
上述した情報のうち、同時使用可能台数とは、各ユーザーが同時に複数の三次元造形装置100を使用可能な台数である。同時使用可能台数は、ユーザー毎に同じ台数であってもよいし、ユーザー毎に異なる台数であってもよい。例えば、多くの使用料を支払っているユーザーほど、同時使用可能台数を増加させてもよい。
【0048】
取出可能持ち時間とは、モデルの造形後、そのモデルを三次元造形装置100から取り出し可能な持ち時間である。取出可能持ち時間の初期値は例えば1時間である。取出可能持ち時間は、モデルの造形完了後、モデルが三次元造形装置100から取り出されるまで、時間の経過と共に減少する。取出可能持ち時間は、上述した累積値と同様に、月末や四半期、部品交換時、費用支払時といった予め定められたタイミングで、初期値にリセットされる。取出可能持ち時間の初期値は、ユーザー毎に同じ値であってもよいし、ユーザー毎に異なる値であってもよい。例えば、多くの使用料を支払っているユーザーほど、初期値を増加させてもよい。
【0049】
図9には、各種の情報が、ユーザー毎、且つ、三次元造形装置100毎に記憶されているが、例えば、三次元造形システム10に含まれる三次元造形装置100の数が1台の場合などでは、各種の情報は、ユーザー毎に記憶されていればよく、三次元造形装置100毎に記憶されていなくてもよい。
【0050】
図10は、グループ毎に各種の情報を管理する例を示す図である。図9には、ユーザー毎に各種の情報を記憶部430に記憶させる例を示したが、各種の情報は、図10に示すように、複数のユーザーが属するグループ毎に記憶部430に記憶されてもよい。
【0051】
図8のステップS20において、CPU410は、記憶部430に記憶された累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量の少なくともいずれかに基づいて、ユーザー毎に三次元造形装置100の使用料金、又は、炭酸ガス排出量に関する値を算出し、記憶部430に記憶させる。
【0052】
図11は、三次元造形装置100の使用料金、及び、炭酸ガス排出量の一覧を示す図である。CPU410は、例えば、三次元造形装置100の単位時間当たりの使用料に累積使用時間を乗じた額と、材料の単価に累積使用材料量を乗じた額と、クリーニング1回当たりに消費される消耗品の額と、三次元造形装置100の単位時間当たりの消費電力に累積使用時間を乗じた額と、を加算することで使用料金を算出する。また、CPU410は、例えば、累積使用電力量に、単位電力当たりの炭酸ガス排出量を乗じることで、炭酸ガス排出量を算出する。なお、CPU410は、使用料金に関する値として、各ユーザーの使用料金の負担割合を算出してもよい。また、CPU410は、炭酸ガス排出量に関する値として、各ユーザーの炭酸ガス排出割合を算出してもよい。
【0053】
図12は、グループ毎に各種の割合を算出する例を示す図である。図11には、ユーザー毎に使用料金と炭酸ガス排出量とを算出した例を示したが、情報処理装置400は、図12に示すように、グループ毎に、使用料金の負担割合や、炭酸ガス排出量割合を算出してもよい。図12には、使用料金の負担割合として、装置管理費の負担割合と、材料費の負担割合とを示している。装置管理費の負担割合は、例えば、グループ毎の累積使用時間によって算出される。材料費の負担割合は、グループ毎の累積使用材料量によって算出される。装置管理費は、例えば、三次元造形装置100の購入費、維持費、部品交換費を含む。
【0054】
図8のステップS30において、出力制御部411は、記憶部430を参照して、図9図12に示した各種の情報を表示部480に出力して表示させる。出力制御部411は、例えば、図9及び図10に示すような表形式で各種情報を表示部480に表示させてもよいし、円グラフや棒グラフ、折れ線グラフなど、様々な形式で各種情報を表示部480に表示させてもよい。出力制御部411は、このステップS30において、図7に示した管理画面MSも、表示部480に出力する。表示部480は、図7に示した管理画面MSと、図9図12に示した各種の情報とを同時に表示してもよいし、切り替え可能に表示してもよい。ステップS30の工程を、出力工程ともいう。
【0055】
ステップS40において、CPU410は、使用制限処理を実行する。この使用制限処理では、CPU410は、一のユーザー又は一のグループによる三次元造形装置100の累積使用時間が、予め定められた使用時間(例えば、24時間)を超えた場合に、その一のユーザー又は一のグループによる三次元造形装置100の使用を制限する。
【0056】
図13は、使用制限処理の第1の説明図である。図13には、「グループ1」に所属する「ユーザー2」の「装置1」に対する累積使用時間が、所定の使用時間を超えたために、「装置1」の使用が一時的に制限された状態が示されている。CPU410は、使用制限処理において、累積使用時間に限らず、累積使用材料量や累積使用電力量と予め定められた値とを比較して、使用制限を行ってもよい。図13には、「グループ2」全体が「装置2」で使用した材料の累積使用材料量が、所定の量を超えたために、「グループ2」による「装置2」の使用が一時的に制限された状態が示されている。なお、CPU410は、各累積値がリセットされたタイミングで、各装置に対する使用制限を解除する。
【0057】
図14は、使用制限処理の第2の説明図である。図13では、三次元造形装置100毎に使用制限を行った例を示した。これに対して、図14には、「グループ1」に属する「ユーザー2」の累積使用時間が所定の使用時間を超えたために、ユーザー2の全装置の使用を一時的に制限した状態を示している。また、図14には、「グループ2」全体で、累積使用材料量が所定の使用量を超えたために、グループ2全体が全装置の使用を一時的に制限された状態を示している。
【0058】
CPU410は、上記ステップS40において、更に、記憶部430に記憶された同時使用可能台数に基づいて、ユーザー毎に、三次元造形装置100の使用台数を制限する。具体的には、一のユーザーによって使用される三次元造形装置100の台数が、そのユーザーに対して予め定められた同時造形可能台数に達した場合に、そのユーザーによる他の三次元造形装置100の使用を制限する。
【0059】
上記ステップS40における使用制限処理は、種々の方法によって実現することが可能である。例えば、
(1)三次元造形装置100に対して造形データを送信する情報処理装置400に対して使用制限対象のユーザーあるいはグループをログインできなくする。
(2)情報処理装置400において造形時間をスケジューリングする際に警告を出す。
(3)情報処理装置400から三次元造形装置100に造形を指令する際に警告を出す。
といった方法により使用制限を行うことが可能である。なお、同時使用可能台数は、グループ毎に定められてもよい。この場合、上記ステップS40では、CPU410は、記憶部430に記憶されたグループ毎の同時使用可能台数に基づいて、グループ毎に、三次元造形装置100の使用台数を制限する。
【0060】
図8のステップS50において、CPU410は、取出制御処理を実行する。
【0061】
図15は、取出制御処理の説明図である。この取出制御処理において、CPU410は、一のユーザーによるモデルの造形後の予め定められた期間(例えば、10分)内、又は、そのユーザーの取出可能持ち時間が残存している場合は、図15の上部に示すように、そのユーザーの認証後に、三次元造形装置100に備えられた扉を開放可能とし、そのユーザーによるモデルの取出しを許可する。ユーザーの認証は、例えば、三次元造形装置100に備えられた認証装置107によって行われる。認証の方式としては、パスワード認証や生体認証など、種々の方式を適用できる。なお、モデルの取出しは、そのユーザーに限られず、そのユーザーから認証されたユーザーによる取出しを許可してもよい。具体的には、ユーザーから認証されたユーザーであることを認証後に、三次元造形装置100に備えられた扉を開放可能とし、ユーザーから認証されたユーザーによるモデルの取出しを許可してもよい。
【0062】
これに対して、そのユーザーによるモデルの造形後に予め定められた期間を超えた場合、又は、そのユーザーの取出可能持ち時間がなくなった場合は、図15の下部に示すように、CPU410は、ユーザー認証を行うことなく三次元造形装置100に備えられた扉106を開放可能とすることで、不特定のユーザーによるモデルの取出しを許可する。ユーザー認証や扉106の開放制御は、情報処理装置400と三次元造形装置100とが、情報や指令を授受して連携した動作を行うことで実現される。
【0063】
図16は、上述した管理処理で用いられる各種の情報と、それらの情報によって実現される処理内容の対応関係を示す図である。図16に示すように、累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量は、それぞれ、使用料金の算出、メンテナンス時期の算出、装置の使用制限、に利用することができる。このうち、累積使用電力量は、炭酸ガス排出量の算出に用いることができる。同時使用可能台数は、使用制限処理に利用でき、取出可能持ち時間は、取出制御処理に利用できる。
【0064】
以上で説明した第1実施形態によれば、情報処理装置400によって表示部480に、時刻情報D1、稼働情報D2、ユーザー情報D6等が表示される。このうち、ユーザー情報D6には、ユーザーの顔情報、及び、氏名情報の少なくともいずれかが含まれ、時刻情報D1は、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで表示される。そのため、ユーザーは、表示部480に表示された各種の情報を確認することで、三次元造形装置100を効率的に管理できる。
【0065】
また、本実施形態では、稼働情報に対応するモデルのモデル情報D4、及び、モデルの造形の進捗度合を表す進捗情報D5の少なくともいずれかが表示部480に表示される。そのため、ユーザーは、これらの情報を確認しながら三次元造形装置100を管理できる。
【0066】
また、本実施形態では、ユーザー或いはグループ毎に、三次元造形装置100の累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量、モデルの取り出し可能持ち時間、同時造形可能台数、の少なくともいずれかを表示部480に表示する。そのため、ユーザー毎に出力される各種の情報を確認しながら三次元造形装置100を管理できる。
【0067】
また、本実施形態では、ユーザー或いはグループ毎、且つ、三次元造形装置100毎に、累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量、モデルの取り出し可能持ち時間、の少なくともいずれかを表示部480に表示する。そのため、ユーザー或いはグループ毎、且つ、三次元造形装置毎に出力される各種の情報を確認しながら三次元造形装置100を管理できる。
【0068】
また、本実施形態では、累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量の少なくともいずれかに基づいて算出されたユーザー或いはグループ毎の使用料金、又は、炭酸ガス排出量に関する値を表示部480に表示する。そのため、ユーザー毎の使用料金又は炭酸ガス排出量を確認しながら三次元造形装置100を管理できる。
【0069】
また、本実施形態では、一のユーザー或いは一のグループによる三次元造形装置100の累積使用時間が、予め定められた使用時間を超えた場合に、そのユーザー或いはグループによる三次元造形装置の使用を制限する。そのため、三次元造形装置100が特定のユーザー或いはグループに占有されることを抑制できる。
【0070】
また、本実施形態では、一のユーザー或いは一のグループによって使用される三次元造形装置100の台数が、予め定められた同時造形可能台数に達した場合に、そのユーザー或いはグループによる他の三次元造形装置100の使用を制限する。そのため、特定のユーザー或いはグループによって複数の三次元造形装置100が占有されることを抑制できる。
【0071】
また、本実施形態では、一のユーザーによるモデルの造形後の予め定められた期間内、又は、そのユーザーの取出可能持ち時間が残存している場合は、そのユーザーの認証後に三次元造形装置100に備えられた扉106を開放可能として、そのユーザーによるモデルの取出しを許可する。そして、そのユーザーによるモデルの造形後に予め定められた期間を超えた場合、又は、そのユーザーの取出可能持ち時間がなくなった場合は、認証を行うことなく三次元造形装置100の扉106を開放可能として、不特定のユーザーによるモデルの取出しを許可する。そのため、モデルの造形後、一定期間内に、第三者にモデルの取出しが行われることを抑制できると共に、一定期間が経過した後にもモデルの取出しが行われないことによって他のユーザーが三次元造形装置100を利用できなくなることを抑制できる。
【0072】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態において、図8に示した管理処理のうち、一部のステップを実行しないものとしてもよい。例えば、ステップS20における使用料金及び炭酸ガス排出量の算出と、ステップS40における使用制限処理と、ステップS50における取出制御処理とのうち、一部又は全部を実行しないものとしてもよい。また、上記実施形態において、図8に示した管理処理の実行を省略し、図7に示した管理画面MSを出力する態様であってもよい。
【0073】
(B2)上記実施形態では、出力制御部411は、入出力インターフェイス450を通じて表示部480に管理画面MSや各種の情報を出力して表示させている。これに対して、出力制御部411は、通信インターフェイス440を通じて他の装置に管理画面MSや各種の情報を出力してもよい。
【0074】
(B3)上記実施形態では、情報処理装置400に備えられた記憶部430に各種の情報が記憶されている。これに対して、各種の情報は、通信インターフェイス440を通じてアクセス可能な他の装置やサーバーに備えられた記憶部に記憶されていてもよい。
【0075】
(B4)上記実施形態において、複数の三次元造形装置100は、各々造形方式が異なっていてもよい。造形方式とは、例えば、材料押出方式、インクジェット方式や、DMD方式(Direct Metal Deposition)、バインダージェット方式等である。
【0076】
(B5)上記実施形態において、造形部110は、フラットスクリュー40によって材料を可塑化している。これに対して造形部110は、例えば、インラインスクリューを回転させることによって材料を可塑化するものであってもよい。また、造形部110は、フィラメント状の材料をヒーターで可塑化するものであってもよい。
【0077】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0078】
(1)本開示の第1の形態によれば、三次元造形装置の管理方法が提供される。この管理方法は、時刻を表す時刻情報、前記三次元造形装置におけるモデルの造形時間を表す情報を含む稼働情報、及び、前記稼働情報又は前記三次元造形装置に対応するユーザー情報、を記憶する記憶部を参照して、前記時刻情報、前記稼働情報、及び、前記ユーザー情報、を出力する出力工程、を備え、前記記憶部には、前記稼働情報が前記時刻情報に対応して記憶されており、前記ユーザー情報は、ユーザーの顔情報及び氏名情報の少なくともいずれかを含み、前記出力工程では、前記時刻情報を、指定されたスケール又は指定されたタイムゾーンで出力する。このような形態によれば、出力された各種の情報を確認することで、三次元造形装置を効率的に管理できる。
【0079】
(2)上記形態は、前記稼働情報に対応する前記モデルのモデル情報、及び、前記モデルの造形の進捗度合を表す進捗情報の少なくともいずれかを出力する工程を含んでもよい。このような形態によれば、モデル情報や造形の進捗度合いを確認しながら三次元造形装置を管理できる。
【0080】
(3)上記形態は、前記ユーザー、又は複数の前記ユーザーが属するグループ毎に、前記三次元造形装置の累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量、モデルの取り出し可能持ち時間、及び、同時造形可能台数、の少なくともいずれかを出力する工程を含んでもよい。このような形態によれば、ユーザー或いはグループ毎に出力される各種の情報を確認しながら三次元造形装置を管理できる。
【0081】
(4)上記形態は、前記ユーザー、又は複数の前記ユーザーが属するグループ毎、且つ、三次元造形装置毎に、累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量、モデルの取り出し可能持ち時間、の少なくともいずれかを出力する工程を含んでもよい。このような形態によれば、ユーザー或いはグループ毎、且つ、三次元造形装置毎に出力される各種の情報を確認しながら三次元造形装置を管理できる。
【0082】
(5)上記形態は、前記三次元造形装置の累積使用時間、累積使用材料量、累積クリーニング回数、累積使用電力量の少なくともいずれかに基づいて算出された前記ユーザー又は複数の前記ユーザーが属するグループ毎の使用料金又は炭酸ガス排出量に関する値を出力する工程を含んでもよい。このような形態によれば、ユーザー或いはグループ毎の使用料金又は炭酸ガス排出量を確認しながら三次元造形装置を管理できる。
【0083】
(6)上記形態は、一の前記ユーザー、又は、複数の前記ユーザーが属する一のグループによる前記三次元造形装置の累積使用時間が、予め定められた使用時間を超えた場合に、前記一のユーザー、又は前記一のグループによる前記三次元造形装置の使用を制限する工程を含んでもよい。このような形態によれば、三次元造形装置が特定のユーザー或いはグループに占有されることを抑制できる。
【0084】
(7)上記形態は、一の前記ユーザー、又は、複数の前記ユーザーが属する一のグループによって使用される三次元造形装置の台数が、予め定められた同時造形可能台数に達した場合に、前記一のユーザー、又は前記一のグループによる他の三次元造形装置の使用を制限する工程を含んでもよい。このような形態によれば、特定のユーザー或いはグループによって複数の三次元造形装置が占有されることを抑制できる。
【0085】
(8)上記形態は、一の前記ユーザーによるモデルの造形後の予め定められた期間内、又は、前記一のユーザーの取出可能持ち時間が残存している場合は、前記一のユーザー又は認証を有する前記ユーザーの認証後に前記三次元造形装置に備えられた扉を開放可能とし、前記一のユーザー又は前記認証を有するユーザーによる前記モデルの取出しを許可し、前記一のユーザーによるモデルの造形後に前記予め定められた期間を超えた場合、又は、前記一のユーザーの取出可能持ち時間がなくなった場合は、前記認証を行うことなく前記三次元造形装置の前記扉を開放可能として、不特定のユーザーによる前記モデルの取出しを許可する、工程、を含んでもよい。このような形態によれば、モデルの造形後、一定期間内に、第三者にモデルの取出しが行われることを抑制できると共に、一定期間が経過した後にもモデルの取出しが行われないことによって他のユーザーが三次元造形装置を利用できなくなることを抑制できる。
【0086】
本開示は、上述した三次元造形装置の管理方法に限らず、三次元造形装置を管理するための情報処理装置や、三次元造形装置を管理するためのコンピュータープログラム、コンピュータープログラムをコンピューターが読み取り可能に記録した一時的でない有形な記録媒体など、種々の態様によって実現することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
10…三次元造形システム、20…材料供給部、22…連通路、30…可塑化部、31…スクリューケース、32…駆動モーター、40…フラットスクリュー、42…溝部、43…凸条部、44…材料流入口、46…中央部、47…上面、48…下面、50…バレル、52…上面、54…案内溝、56…連通孔、58…バレルヒーター、60…吐出部、61…ノズル、62…ノズル開口、65…流路、70…吐出調整部、74…第1駆動部、75…吸引部、76…第2駆動部、77…吐出制御部、100…三次元造形装置、105…筐体、106…扉、107…認証装置、110…造形部、210…ステージ、211…造形面、212…ステージヒーター、230…移動機構、300…制御部、310…プロセッサー、320…記憶部、400…情報処理装置、410…CPU、411…出力制御部、420…メモリー、430…記憶部、440…通信インターフェイス、450…入出力インターフェイス、460…バス、470…入力装置、480…表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16