(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004988
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光デバイス及び光送信機
(51)【国際特許分類】
H04B 10/564 20130101AFI20240110BHJP
【FI】
H04B10/564
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104936
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 俊雄
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA51
5K102AH24
5K102AH26
5K102MA01
5K102MB02
5K102MB07
5K102MC12
5K102MD01
5K102MD03
5K102MD04
5K102MH02
5K102MH13
5K102MH22
5K102PH01
5K102PH15
5K102PH31
5K102PH49
(57)【要約】
【課題】光出力パワーの変動を改善して信号品質の向上を図る光デバイス等を提供する。
【解決手段】光デバイスは、生成部と、発光部と、変調部と、光増幅部と、電流源と、記憶部と、制御部とを有する。生成部は、多値振幅変調方式の電気信号を生成する。発光部は、レーザ光を発光する。変調部は、電気信号を用いてレーザ光を変調して光信号を出力する。光増幅部は、駆動電流に応じて、変調された光信号を光増幅する。電流源は、光増幅部に供給する駆動電流を調整する。記憶部は、光増幅部における光信号の入出力特性を、駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶した。制御部は、光増幅部に供給する駆動電流の駆動電流値に応じた入出力特性を記憶部から読み出し、読み出した入出力特性に基づき、電気信号を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多値振幅変調方式の電気信号を生成する生成部と、
レーザ光を発光する発光部と、
前記電気信号を用いて前記レーザ光を変調して光信号を出力する変調部と、
駆動電流に応じて、変調された前記光信号を光増幅する光増幅部と、
前記光増幅部に供給する前記駆動電流を調整する電流源と、
前記光増幅部における前記光信号の入出力特性を、前記駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶した記憶部と、
前記光増幅部に供給する前記駆動電流の駆動電流値に応じた前記入出力特性を前記記憶部から読み出し、読み出した前記入出力特性に基づき、前記電気信号を制御する制御部と、
を有することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記制御部は、
前記駆動電流値に応じた前記入出力特性、前記光増幅部の入力信号の振幅及び前記光増幅部の入力信号の各レベルの平均パワーに基づき、前記光増幅部の出力信号の前記多値振幅変調方式の各レベルのレベル間振幅比を均等に近づける前記電気信号を生成するように前記生成部を制御することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記光増幅部にて光増幅後の前記光信号の一部を分岐する分岐部と、
分岐された前記光信号の一部をモニタするモニタ部と、を備え、
前記電流源は、
前記モニタ部のモニタ値が目標値になるように前記光増幅部に供給する前記駆動電流を調整することを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項4】
多値振幅変調方式の電気信号を生成する生成部と、
第1の駆動電流に応じてレーザ光を発光する発光部と、
前記電気信号を用いて前記レーザ光を変調して光信号を出力する変調部と、
第2の駆動電流に応じて、変調された前記光信号を光増幅する光増幅部と、
前記発光部に供給する前記第1の駆動電流を調整する第1の電流源と、
前記光増幅部に供給する前記第2の駆動電流を調整する第2の電流源と、
前記光増幅部における前記光信号の入出力特性を、前記第1の駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶した記憶部と、
前記第1の駆動電流の前記駆動電流値に応じた前記入出力特性を前記記憶部から読み出し、読み出した前記入出力特性に基づき、前記電気信号を制御する制御部と、
を有することを特徴とする光デバイス。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の駆動電流の駆動電流値に応じた前記入出力特性、前記光増幅部の入力信号の振幅及び前記光増幅部の入力信号の各レベルの平均パワーに基づき、前記光増幅部の出力信号の各レベルのレベル間振幅比を均等に近づける前記電気信号を生成するように前記生成部を制御することを特徴とする請求項4に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記光増幅部にて光増幅後の前記光信号の一部を分岐する分岐部と、
分岐された前記光信号の一部をモニタするモニタ部と、を備え、
前記第1の電流源は、
前記モニタ部のモニタ値が目標値になるように前記発光部に供給する前記第1の駆動電流を調整することを特徴とする請求項5に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記光増幅部における前記光信号の入出力特性を、前記第1の駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶すると共に、前記光増幅部における前記光信号の入出力特性を、前記第2の駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶した記憶部を有し、
前記制御部は、
前記第1の駆動電流の駆動電流値に応じた前記入出力特性を前記記憶部から読み出し、読み出した前記入出力特性に基づき、前記光増幅部の出力信号の各レベルのレベル間振幅比を均等に近づける前記電気信号を生成するように前記生成部を制御する第2の補償処理又は、前記第2の駆動電流の駆動電流値に応じた前記入出力特性を前記記憶部から読み出し、読み出した前記入出力特性に基づき、前記光増幅部の出力信号の各レベルのレベル間振幅比を均等に近づける前記電気信号を生成するように前記生成部を制御する第1の補償処理の何れか一方の処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記制御部は、
前記発光部に供給する前記第1の駆動電流に応じた第1の電力変化量が前記光増幅部に供給する前記第2の駆動電流に応じた第2の電力変化量を超えた場合に前記第1の補償処理を実行すると共に、前記第1の電力変化量が前記第2の電力変化量以下の場合に前記第2の補償処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記制御部は、
前記光増幅部に供給する前記第2の駆動電流が上限値未満の場合に前記第1の補償処理を実行すると共に、前記第2の駆動電流が前記上限値以上の場合に前記第2の補償処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の光デバイス。
【請求項10】
光信号を送信する光送信機であって、
多値振幅変調方式の電気信号を生成する生成部と、
レーザ光を発光する発光部と、
前記電気信号を用いて前記レーザ光を変調して光信号を出力する変調部と、
駆動電流に応じて、変調された前記光信号を光増幅する光増幅部と、
前記光増幅部にて光増幅後の前記光信号の一部を分岐する分岐部と、
分岐された前記光信号の一部をモニタするモニタ部と、
前記モニタ部のモニタ値に基づき、前記光増幅部への前記駆動電流を調整する電流源と、
前記光増幅部における前記光信号の入出力特性を、前記駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶した記憶部と、
前記光増幅部に供給する前記駆動電流の駆動電流値に応じた前記入出力特性を前記記憶部から読み出し、読み出した前記入出力特性に基づき、前記電気信号を制御する制御部と、
を有することを特徴とする光送信機。
【請求項11】
光信号を送信する光送信機であって、
多値振幅変調方式の電気信号を生成する生成部と、
第1の駆動電流に応じてレーザ光を発光する発光部と、
前記電気信号を用いて前記レーザ光を変調して光信号を出力する変調部と、
第2の駆動電流に応じて、変調された前記光信号を光増幅する光増幅部と、
前記光増幅部にて光増幅後の前記光信号の一部を分岐する分岐部と、
分岐された前記光信号の一部をモニタするモニタ部と、
前記モニタ部のモニタ値に基づき、前記発光部に供給する前記第1の駆動電流を調整する第1の電流源と、
前記光増幅部に供給する前記第2の駆動電流を調整する第2の電流源と、
前記光増幅部における前記光信号の入出力特性を、前記第1の駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶した記憶部と、
前記第1の駆動電流の前記駆動電流値に応じた前記入出力特性を前記記憶部から読み出し、読み出した前記入出力特性に基づき、前記電気信号を制御する制御部と、
を有することを特徴とする光送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及び光送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信速度の高速化に伴い、変調レートの高速化や変調フォーマットの多値化が求められている。例えば、データセンタ向けの1波100Gbps(Giga bit per second)超えの光送信機では、例えば、PAM4(4 Pulse Amplitude Modulation)の変調フォーマットを採用している。1波100Gbps(50ギガボーレート)の光送信機では、例えば、500mの光伝送路で光信号を伝送する短距離伝送に用いられているが、近年、データセンタ間の通信用途に、例えば、40kmの長距離伝送にも採用することが求められている。
【0003】
従来、例えば、40kmの長距離伝送に採用する25ギガボーレートのNRZ(Non-Return-to Zero)の光送信機では、光受信機側にAPD(Avalanche Photodiode)やSOA(Semiconductor Optical Amplifier)を搭載している。光信号の信号品質を高める機能を光受信機に備えることで、光信号を伝送する光伝送路に許容されるロスバジェットを確保している。
【0004】
そこで、1波100Gbps(50ギガボーレート)の光送信機では、例えば、40kmの長距離伝送を適用する場合に、従来のNRZの光送信機と同様に光受信機側にAPDやSOAを搭載することも考えられる。しかしながら、1波100Gbps(50ギガボーレート)の光送信機に対する光受信機では、従来のNRZの光送信機に比較して高レートや多値化の影響でNRZの光送信機に対する光受信機と同様の受信感度を確保することができない。従って、1波100Gbpsの光送信機では、光受信機側の構成を変更したとしても、従来のNRZの光送信機のようなロスバジェットの要件を満たすことができないのが実情である。
【0005】
そこで、1波100Gbps超え、かつ、多値変調振幅方式を採用した光送信機では、長距離伝送に適用する場合、変調器での光変調後の光信号を光増幅するSOAを内蔵することで、ロスバジェットの要件を確保することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-198269号公報
【特許文献2】特開2016-9897号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0336212号明細書
【特許文献4】特開2020-53423号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2021/0273407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、SOAを内蔵した多値振幅変調方式の光送信機では、SOAと、SOAの出力段の光部品との間で光結合変動が生じ、光結合変動を含む、SOAの光出力パワーが変動して信号品質が劣化してしまう。
【0008】
一つの側面では、光出力パワーの変動を改善して信号品質の向上を図る光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様の光デバイスは、生成部と、発光部と、変調部と、光増幅部と、電流源と、記憶部と、制御部とを有する。生成部は、多値振幅変調方式の電気信号を生成する。発光部は、レーザ光を発光する。変調部は、電気信号を用いてレーザ光を変調して光信号を出力する。光増幅部は、駆動電流に応じて、変調された光信号を光増幅する。電流源は、光増幅部に供給する駆動電流を調整する。記憶部は、光増幅部における光信号の入出力特性を、駆動電流の駆動電流値毎に予め記憶した。制御部は、光増幅部に供給する駆動電流の駆動電流値に応じた入出力特性を記憶部から読み出し、読み出した入出力特性に基づき、電気信号を制御する。
【発明の効果】
【0010】
一つの側面によれば、光出力パワーの変動を改善して信号品質の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施例1の光送信機の構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、SOA駆動電流毎のSOA利得カーブの一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、利得テーブルのテーブル内容の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、SOAの初期設定時の光入出力特性の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、パワー補償後のSOAの光入出力特性におけるレベル0及びレベル3の光入力パワーを算出する際の説明図である。
【
図6】
図6は、パワー補償後のSOAの光入出力特性におけるレベル0及びレベル3の光出力パワーを算出する際の説明図である。
【
図7】
図7は、光出力パワーのレベル間の振幅比を均等にするための光入力パワーを算出する際の説明図である。
【
図8】
図8は、パワー補償後の非線形歪補正後のSOAの光入出力特性の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第1の補償処理に関わる光送信機の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施例2の光送信機の構成の一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、SOAの初期設定時の光入出力特性の一例を示す説明図である。
【
図12B】
図12Bは、LD駆動電流対光出力パワーの特性の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、LD駆動電流変化前後の光波形例の一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、パワー補償後の非線形歪補正後のSOAの光入出力特性の一例を示す説明図である。
【
図15】
図15は、第2の補償処理に関わる光送信機の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施例3の光送信機の構成の一例を示す説明図である。
【
図17】
図17は、第3の補償処理に関わる光送信機の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、第4の補償処理に関わる光送信機の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、比較例1の光送信機の構成の一例を示す説明図である。
【
図20】
図20は、比較例1でのSOAの初期設定時の光入出力特性の一例を示す説明図である。
【
図21】
図21は、比較例2の光送信機の構成の一例を示す説明図である。
【
図22】
図22は、比較例2でのSOAの初期設定時の光入出力特性の一例を示す説明図である。
【
図23】
図23は、比較例1でのパワー補償後のSOAの光入出力特性の一例を示す説明図である。
【
図24】
図24は、比較例2でのパワー補償後のSOAの光入出力特性の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
先ず、SOAを内蔵した光送信機において、SOAと、SOAの出力段に配置された光部品との間の光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消する比較例の光送信機について説明する。
【0013】
<比較例1>
図19は、比較例1の光送信機100の構成の一例を示す説明図である。
図19に示す光送信機100は、生成部111と、LD(Laser Diode)112と、変調器113と、SOA114と、第1のレンズ115と、第2のレンズ116と、分岐部117と、を有する。更に、光送信機100は、PD(Photo Diode)118と、電圧変換部119と、比較器120と、可変電流源122と、固定電流源123と、を有する。光送信機100は、SOA114と光ファイバ101との間の光部品に関わる光結合変動を解消すべく、SOA114に供給するSOA駆動電流を調整するSOA電流帰還制御方式を採用している。
【0014】
生成部111は、多値振幅変調方式の電気信号、例えば、PAM4の駆動電圧を生成する。LD112は、レーザ光を発光する。変調器113は、PAM4の駆動電圧を用いてレーザ光を変調して光信号を出力する、例えば、EA(Electro-Absorption)変調器である。SOA114は、可変電流源122からのSOA駆動電流に応じて、変調器113で変調された光信号を光増幅する。第1のレンズ115は、SOA114で光増幅された光信号を集光するレンズである。第2のレンズ116は、第1のレンズ115で集光された光信号を光ファイバ101内の光導波路に集光して出力するレンズである。分岐部117は、第1のレンズ115と第2のレンズ116との間に配置され、第1のレンズ115で集光された光増幅後の光信号の一部を分岐する。
【0015】
PD118は、分岐部117にて分岐された光信号の一部をモニタ電流に光電変換する。電圧変換部119は、PD118で光電変換されたモニタ電流をモニタ電圧に変換する。比較器120は、電圧変換部119にて変換されたモニタ電圧に応じたモニタ電圧値と目標電圧値とを比較し、比較結果である差分信号を可変電流源122に設定する。尚、目標電圧値は、SOA114の光信号の光出力パワーの目標電流値に応じた電圧値である。
【0016】
可変電流源121は、差分信号に応じてSOA114の出力段の光結合変動を含む光出力パワーの変動が解消する方向にSOA114に供給するSOA駆動電流を調整する電流源である。固定電流源123は、LD112に供給する固定のLD駆動電流を供給する電流源である。
【0017】
図20は、比較例1でのSOA114の初期設定時の光入出力特性の一例を示す説明図である。比較例1のSOA114は、SOA114の光信号の光入力パワーに応じてSOA114の線形領域内で光増幅し、光増幅後の光信号の光出力パワーを出力する。光入力パワーは、例えば、レベル0,レベル1、レベル2、レベル3の4段階のレベル間の振幅比がほぼ均等になる。光出力パワーも、例えば、レベル0,レベル1、レベル2、レベル3の4段階のレベル間の振幅比が均等に近づく。SOA114の光信号の光入力パワー及び光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近いことが望ましく、信号品質が良好な状態となる。
【0018】
比較例1の光送信機100は、光結合変動を含む光出力パワーの変動が解消するようにSOA114に供給するSOA駆動電流を調整し、調整後のSOA駆動電流をSOA114に供給する。その結果、SOA114を内蔵する光送信機100であっても、SOA114を駆動制御して光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消して信号品質の向上を図ることができる。
【0019】
尚、比較例1では、SOA電流帰還制御方式でSOA114の光出力パワーの光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消する場合を例示したが、LD112の駆動電流を調整しても良く、その比較例2の構成について説明する。
【0020】
<比較例2>
図21は、比較例2の光送信機100Aの構成の一例を示す説明図である。尚、比較例1の光送信機100と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。比較例1の光送信機100と比較例2の光送信機100Aとが異なるところは、光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消させるべく、SOA114に供給するSOA駆動電流を調整する代わりに、LD112に供給するLD駆動電流を調整する点にある。光送信機100は、光結合変動を解消すべく、LD112に供給するLD駆動電流を調整するLD電流帰還制御方式を採用している。
【0021】
光送信機100Aは、生成部111、LD112、変調器113、SOA114、第1のレンズ115、第2のレンズ116、分岐部117、PD118、電圧変換部119の他に、比較器120Aと、固定電流源122Aと、可変電流源123Aとを有する。
【0022】
比較器120Aは、モニタ電圧値と目標電圧値との比較結果である差分信号を可変電流源123Aに設定する。可変電流源123Aは、LD112に供給するLD駆動電流を可変する電流源である。可変電流源123Aは、比較器120Aからの差分信号に応じて、SOA114の出力段の光結合変動を含む光出力パワーの変動が解消する方向にLD駆動電流を出力する。固定電流源122Aは、SOA114に供給する固定のSOA駆動電流を供給するための電流源である。
【0023】
図22は、比較例2でのSOA114の初期設定時の光入出力特性の一例を示す説明図である。比較例2のSOA114は、SOA114の光信号の光入力パワーに応じてSOA114の線形領域内で光増幅し、光増幅後の光信号の光出力パワーを出力する。光入力パワーは、例えば、レベル0,レベル1、レベル2、レベル3の4段階のレベル間の振幅比がほぼ均等になる。光出力パワーも、例えば、レベル0,レベル1、レベル2、レベル3の4段階のレベル間の振幅比が均等に近づく。SOA114の光信号の光入力パワー及び光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近いことが望ましく、信号品質が良好な状態である。
【0024】
光送信機100Aは、光結合変動を含む光出力パワーの変動が解消するようにLD112に供給するLD駆動電流を調整し、調整後のLD駆動電流をLD112に供給する。その結果、SOA114を内蔵する光送信機100Aであっても、LD112を駆動制御してSOA114への光入力パワーを調整することで、光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消して信号品質の向上を図ることができる。
【0025】
図23は、比較例1でのパワー補償後のSOA114の光入出力特性の一例を示す説明図である。比較例1の光送信機100では、SOA114に供給するSOA駆動電流を調整し、調整後のSOA駆動電流をSOA114に供給することで、光出力パワーの変動を解消するパワー補償を実行することになる。パワー補償を実行した場合に、SOA114の利得が変化することになるが、
図23に示すように、利得変化に伴い線形領域が変化する。その結果、線形領域と非線形領域との間の飽和領域を境に非線形歪で光出力パワーのレベル間の振幅比の不均等が大きくなるため、信号品質が劣化することになる。
【0026】
図24は、比較例2でのパワー補償後のSOA114の光入出力特性の一例を示す説明図である。比較例2の光送信機100Aでは、LD112に供給するLD駆動電流を調整し、調整後のLD駆動電流をLD112に供給することで、光出力パワーの変動を解消するパワー補償を実行することになる。パワー補償を実行した場合に、LD112のレーザ光を調整してSOA114に入力する光信号の光入力パワーを調整することで、SOA114の利得が変化することになるが、
図24に示すように、利得変化に伴い線形領域が変化する。その結果、線形領域と非線形領域との間の飽和領域を境に非線形歪で光出力パワーのレベル間の振幅比の不均等が大きくなるため、信号品質が劣化することになる。
【0027】
そこで、光結合変動を含む光出力パワーの変動を補償しながら、非線形歪による光出力パワーのレベル間の振幅比を均等に近づけることができる光送信機が求められている。
【0028】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光デバイス及び光送信機の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0029】
図1は、実施例1の光送信機1の構成の一例を示す説明図である。
図1に示す光送信機1は、1波100Gbps(50ギガボーレート)超える高レート、かつ、多値変調振幅方式であるPAM4を採用し、長距離の光伝送に適用した光送信機である。
図1に示す光送信機1は、生成部11と、LD(Laser Diode)12と、変調器13と、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)14と、第1のレンズ15と、第2のレンズ16と、分岐部17と、PD(Photo Diode)18と、電圧変換部19と、を有する。光送信機1は、比較器20と、可変電流源21と、電流モニタ22と、固定電流源23と、制御部24と、利得テーブル25と、を有する。光送信機1は、光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消すべく、SOA14に供給するSOA駆動電流を調整するSOA電流帰還制御方式を採用している。
【0030】
生成部11は、多値振幅変調方式の電気信号、例えば、PAM4の駆動電圧を生成する。LD12は、レーザ光を発光する発光部である。変調器13は、PAM4の駆動電圧を用いてレーザ光を変調して光信号を出力する、例えば、EA変調器やMZ(Mach Zender)変調器等の変調部である。SOA14は、可変電流源21からのSOA駆動電流に応じて、変調された光信号を光増幅する光増幅部である。第1のレンズ15は、SOA14で光増幅された光信号を集光するレンズである。第2のレンズ16は、第1のレンズ15で集光された光信号を光ファイバ2内の光導波路に集光して出力するレンズである。分岐部17は、第1のレンズ15と第2のレンズ16との間に配置され、第1のレンズ15で集光された光増幅後の光信号の一部を分岐する。
【0031】
PD18は、分岐部17にて分岐された光信号の一部をモニタ電流に光電変換する。電圧変換部19は、PD18で光電変換されたモニタ電流をモニタ電圧に変換する。比較器20は、電圧変換部19にて変換されたモニタ電圧に相当するモニタ電圧値と目標電圧値とを比較し、比較結果である差分信号を可変電流源21に設定する。尚、目標電圧値は、SOA14の光信号の光出力パワーの目標電流値に応じた電圧値である。PD18、電圧変換部19及び比較器20は、分岐された光信号の一部をモニタするモニタ部である。
【0032】
可変電流源21は、差分信号に応じてSOA14の出力段の光結合変動を含む光出力パワーの変動が解消する方向にSOA14に供給するSOA駆動電流を調整する電流源である。電流モニタ22は、可変電流源21からのSOA駆動電流の駆動電流値をモニタし、駆動電流値を制御部24に通知する。固定電流源23は、LD12に供給する固定のLD駆動電流を供給する電流源である。尚、LD12、変調器13及びSOA14は、1個のチップ30Aで構成するものとする。
【0033】
制御部24は、SOA14に供給するSOA駆動電流電流の駆動電流値に応じた利得カーブに基づき、SOA14の光出力パワーのレベル間の振幅比を均等に近づけるように駆動電圧を生成するための設定値を算出し、算出した設定値を生成部11に設定する。つまり、SOA14の光出力パワーのレベル間の振幅比が均等に近づくことで、レベル間のアイが均等に近づくため、信号品質の向上を図ることができる。
【0034】
利得テーブル25は、SOA14のSOA駆動電流の駆動電流値毎にSOA14の利得カーブを管理する記憶部である。
図2は、SOA駆動電流毎のSOA利得カーブの一例を示す説明図、
図3は、利得テーブル25のテーブル内容の一例を示す説明図である。
【0035】
光送信機1では、
図2に示すようにSOA14の駆動電流値毎にSOA14の入出力特性である利得カーブを予め準備しておく。そして、光送信機1では、SOA駆動電流に応じた駆動電流値毎に利得カーブを利得テーブル25内に事前に記憶している。
【0036】
図3に示す利得テーブル25は、SOA14の駆動電流値毎にSOA14の利得カーブを管理している。利得カーブは、図中の駆動電流値毎の縦一列のデータである。制御部24は、電流モニタ22で現在のSOA14の駆動電流値(SOA駆動電流モニタ値)を検出した場合、駆動電流値(SOA駆動電流モニタ値)に応じた利得カーブを利得テーブル25から読み出す。
【0037】
制御部24は、電流モニタ22で検出したSOA駆動電流モニタ値に応じた利得カーブが利得テーブル25内にない場合、SOA駆動電流モニタ値に近似する駆動電流値に応じた利得カーブを利得テーブル25から読み出すものとする。尚、制御部24は、SOA駆動電流モニタ値に応じた利得カーブが利得テーブル25内にない場合、SOA駆動電流モニタ値に近似する上位2位の駆動電流値に対応する2個の利得カーブを読み出す。そして、制御部24は、読み出した2個の利得カーブを線形補間して現在の駆動電流値に対応した利得カーブを生成しても良い。また、利得テーブル25は、SOA14の駆動電流値を誤差が無視できる程度に分解能を細かくして駆動電流値の単位を細かくして駆動電流値毎の利得カーブを準備しても良く、適宜変更可能である。
【0038】
制御部24は、読み出した利得カーブ、光入力パワーの振幅、光入力パワーの平均パワーを算出する。制御部24は、利得カーブ、光入力パワーの振幅及び平均パワーに基づき、SOA14の光信号である光出力パワーのレベル間の振幅比が均等に近づく光入力パワーを生成する駆動電圧を生成部11で生成させるための設定値を算出する。
【0039】
図4は、SOA14の初期設定時の光入出力特性の一例を示す説明図である。SOA14は、
図4に示す通り、SOA14の光信号の光入力パワーに応じてSOA14の線形領域内で光増幅し、光増幅後の光信号の光出力パワーを出力する。光入力パワーは、例えば、レベル0,レベル1、レベル2、レベル3の4段階のレベル間の振幅比が均等に近づく。光出力パワーも、例えば、レベル0,レベル1、レベル2、レベル3の4段階のレベル間の振幅比が均等に近づく。SOA14の光信号の光入力パワー及び光出力パワーのレベル間振幅比がほぼ均等であることが望ましく、信号品質が良好な状態にある。
【0040】
図5は、パワー補償後のSOA14の光入出力特性におけるレベル0及びレベル3の光入力パワーを算出する際の説明図である。制御部24は、光入力パワーの振幅(OMAin)及び、光入力パワーの平均パワー(Pin(ave))を取得する。制御部24は、光入力パワーの振幅(OMAin)及び光入力パワーの平均パワー(Pin(ave))を(数1)に代入することで、レベル0の光入力パワー(Lv0in)及びレベル3の光入力パワー(Lv3in)を算出する。
【0041】
【0042】
図6は、パワー補償後のSOAの光入出力特性におけるレベル0及びレベル3の光出力パワーを算出する際の説明図である。制御部24は、SOA駆動電流値に応じた利得カーブを読み出す。更に、制御部24は、読み出した利得カーブに基づき、レベル0の光入力パワー(Lv0in)及びレベル3の光入力パワー(Lv3in)を(数2)に代入することで、レベル0の光出力パワー(Lv0out)及びレベル3の光出力パワー(Lv3out)を算出する。ここで、fはSOA駆動電流に応じたSOAの入出力特性を表す関数であり、ある光入力パワー(Pin)に対する光出力パワー(Pout)はf(Pin)で表される。
【0043】
【0044】
更に、制御部24は、レベル0の光出力パワー(Lv0out)及びレベル3の光出力パワー(Lv3out)を(数3)に代入することで、光出力パワーの振幅(OMAout)を算出する。
【0045】
【0046】
図7は、光出力パワーのレベル間の振幅比を均等に近づけるための光入力パワーを算出する際の説明図である。制御部24は、レベル0の光出力パワー(Lv0out)及び光出力パワーの振幅(OMAout)を(数4)に代入することで、レベル間振幅比が均等に近づくレベル1の光出力パワー(Lv1out’)及びレベル2の光出力パワー(Lv2out’)を算出する。
【0047】
【0048】
制御部24は、レベル間振幅比が均等に近づくレベル1及びレベル2の光出力パワーを(数5)に代入する。つまり、制御部24は、入出力特性の逆関数で、レベル間振幅比が均等に近づく光出力パワーに対応したレベル1の光入力パワー(Lv1in’)及びレベル2の光入力パワー(Lv2in’)を算出する。
【0049】
【0050】
制御部24は、レベル間振幅比が均等に近づく光出力パワーに対応したレベル1及びレベル2の光入力パワーを(数6)に代入することで、レベル間振幅比が均等に近づく光出力パワーに対応した変調器13に入力するレベル1及びレベル2の駆動電圧を算出する。つまり、制御部24は、変調器13で駆動電圧に応じて変調する光信号の入出力特性が線形の場合、SOA14の入力光波形と変調器13の駆動電圧波形のアイバランスは同じである。従って、制御部24は、SOA14の入力光波形のLv1in、Lv1inと同じ比率で駆動電圧波形のレベル1の駆動電圧(V1)及びレベル2の駆動電圧(V2)を生成するように生成部11を制御することになる。また、制御部24は、変調器13で駆動電圧に応じて変調する光信号の入出力特性が線形でない場合、変調器13の入出力特性の逆関数により、設定電圧を求め、生成部11を制御することになる。
【0051】
【0052】
図8は、パワー補償後の非線形歪補正後のSOAの光入出力特性の一例を示す説明図である。制御部24は、(数6)で算出した駆動電圧の設定値を生成部11に設定した後、SOA14のパワー補償後の光入力パワーのレベル間振幅比が異なるものの、SOA14の光増幅後のパワー補償後の光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近づく。その結果、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を補償できる。
【0053】
図9は、第1の補償処理に関わる光送信機1の処理動作の一例を示すフローチャートである。尚、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を補償する第1の補償処理は、対向側の光受信機との通信中に継続して実行するものとする。光送信機1内の比較器20は、比較器20の差分信号に基づき、SOA14の光出力パワーの変動を検出したか否かを判定する(ステップS11)。尚、光出力パワーの変動とは、SOA14と光ファイバ2との間の光部品に関わる光結合変動を含む光出力パワーの変動である。比較器20は、光出力パワーの変動を検出した場合(ステップS11:Yes)、比較器20の差分信号に基づき、光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消する方向にSOA14に供給するSOA駆動電流を可変電流源21に設定する(ステップS12)。その結果、光送信機1は、SOA駆動電流に応じてSOA14を駆動制御することで、光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消できる。
【0054】
比較器20は、光出力パワーの変動を解消するためのSOA駆動電流を設定した後、光出力パワー変動を検出したか否かを判定すべく、ステップS11に移行する。光送信機1内の制御部24は、光出力パワーの変動を検出したのでない場合(ステップS11:No)、電流モニタ22から現在のSOA駆動電流に相当するSOA駆動電流値を取得する(ステップS13)。
【0055】
制御部24は、現在のSOA駆動電流値に応じたSOA14の利得カーブを利得テーブル25から取得し(ステップS14)、取得した利得カーブ、SOA14の光入力パワーの振幅、光入力パワーの平均パワーを算出する(ステップS15)。
【0056】
制御部24は、SOA14の利得カーブ、SOA14の光入力パワーの振幅、平均パワーに基づき、光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近づくように光入力パワーを生成するための駆動電圧に相当する設定値を算出する(ステップS16)。更に、制御部24は、算出した設定値を生成部11に設定し(ステップS17)、SOA14の光出力パワーの変動を検出したか否かを判定すべく、ステップS11の処理に戻る。つまり、生成部11は、SOA14の光信号の光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近づくように、変調器13に印加する駆動電圧を生成する。そして、変調器13は、駆動電圧に応じてレーザ光を光変調して光信号をSOA14に出力する。そして、SOA14は、SOA駆動電流に応じて光増幅し、光増幅後のレベル間振幅比が均等に近づく光出力パワーを出力することになる。その結果、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を解消することで信号品質の向上を図ることができる。
【0057】
実施例1の光送信機1は、SOA駆動電流に応じた入出力特性(利得カーブ)を利得テーブル25から読み出し、読み出した利得カーブに基づき、SOA14の光出力パワーの各レベルのレベル間振幅比を均等に近づけるための駆動電圧を生成するように生成部11を制御する。その結果、光送信機1は、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を補償することで信号品質の向上を図る。
【0058】
光送信機1は、SOA駆動電流に応じた利得カーブ、SOA14の光入力パワーの振幅及びSOA14の各レベルの平均パワーに基づき、SOA14の光出力パワーのレベル間振幅比を均等に近づけるための駆動電圧を生成するように生成部11を制御する。その結果、光送信機1は、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を補償することで信号品質の向上を図る。
【0059】
光送信機1は、PD18のモニタ値に基づき、SOA14へのSOA駆動電流を調整する。その結果、光送信機1では、光結合変動を含む光出力パワー(光出力強度)の変動を解消できる。
【0060】
光送信機1では、SOA14の非線形性による光出力波形歪みを補償して信号品質を担保しながら、光出力パワーの光結合変動を含む光出力パワーの変動を解消できる。SOA14の非線形歪を補償することで線形度の低い高利得条件でSOA14が使用可能となり、光出力パワーの高出力化を実現できる。
【0061】
PD18は、光送信機1内になくても良く、例えば、光送信機1の対向側の光受信機や中継機内にあっても良く、適宜変更可能である。
【0062】
尚、実施例1の光送信機1は、SOA14の駆動電流を調整して光結合変動を補償しながら、SOA14の光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近づく駆動電圧を生成させるように生成部11を制御する場合を例示した。しかしながら、SOA14の駆動電流の代わりに、LD12の駆動電流を調整して光結合変動を補償しても良く、その場合の実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
比較器20は、モニタ電圧値と目標電圧値との比較結果である差分信号を可変電流源32に設定する。可変電流源32は、差分信号に応じてLD12に供給するLD駆動電流を可変する電流源である。固定電流源31は、SOA14に供給する固定のSOA駆動電流を供給する電流源である。
制御部24Aは、LD12に供給するLD駆動電流に応じた、SOA14の光出力パワーのレベル間の振幅比が均等に近づく駆動電圧を生成部11で生成するための設定値を算出し、算出した設定値を生成部11に設定する。つまり、SOA14の光出力パワーのレベル間の振幅比を均等に近づけることで、レベル間のアイが均等に近づくため、信号品質の向上を図ることができる。利得テーブル25Aは、LD駆動電流値毎にSOA14の利得カーブを管理するテーブルである。
光送信機1Aでは、LD駆動電流値に応じたSOA駆動電流値毎にSOA14の入出力特性である利得カーブを予め準備しておく。そして、光送信機1Aでは、SOA駆動電流に応じた駆動電流値毎にSOA14の利得カーブを利得テーブル25A内に事前に記憶している。
利得テーブル25Aは、SOA駆動電流値毎にSOA14の利得カーブを管理している。制御部24Aは、電流モニタ33で現在のLD駆動電流値を検出した場合、LD駆動電流値に応じたSOA駆動電流値に対応する利得カーブであるSOA14の入出力に関わる光信号である光入力パワー及び光出力パワーを利得テーブル25Aから読み出す。制御部24Aは、読み出した利得カーブ、光入力パワーの振幅及び平均パワーを算出する。制御部24Aは、利得カーブ、光入力パワーの振幅及び平均パワーに基づき、SOA14の光信号である光出力パワーのレベル間の振幅比が均等に近づく光入力パワーを生成するための駆動電圧を生成部11で生成させるための設定値を算出する。
制御部24Aは、LD光出力PLD1及びLD光出力PLD2や変化後の光入力パワーの平均パワーave’を(数9)に代入することで、LD駆動電流変化後の光入力パワーの振幅OMA’を算出する。
制御部24Aは、変化後のLD駆動電流値に対応する利得カーブ、LD駆動電流変化後の光入力パワーの平均パワーave’及び振幅OMA’に基づき、SOA14の入出力特性に対する光入力パワーを算出する。尚、本実施例では、(数8)及び(数9)に基づき、LD駆動電流変化後の光入力パワーの平均パワーave’及び振幅OMA’を算出する場合を例示したが、事前に準備したルックアップテーブルで記憶しておいても良く、適宜変更可能である。
比較器20は、光出力パワーの変動を解消するためのLD駆動電流を設定した後、光出力パワー変動を検出したか否かを判定すべく、ステップS21に移行する。光送信機1A内の制御部24Aは、光出力パワーの変動を検出したのでない場合(ステップS21:No)、電流モニタ33から現在のLD駆動電流値及びSOA駆動電流値を取得する(ステップS23)。尚、SOA駆動電流値は固定値である。
制御部24Aは、取得した現在のLD駆動電流値からSOA14への光信号の光入力パワーの振幅及び平均パワーを算出する(ステップS24)。更に、制御部24Aは、現在のSOA駆動電流値に応じたSOA14の利得カーブを利得テーブル25Aから取得し(ステップS25)、取得した利得カーブ、SOA14の光入力パワーの振幅、光入力パワーの平均パワーを算出する(ステップS26)。
制御部24Aは、SOA14の利得カーブ、SOA14の光入力パワーの振幅、平均パワーに基づき、光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近づくように光入力パワーを生成するための駆動電圧に相当する設定値を算出する(ステップS27)。更に、制御部24Aは、算出した設定値を生成部11に設定し(ステップS28)、光出力パワーの変動を検出したか否かを判定すべく、ステップS21の処理に戻る。つまり、生成部11は、SOA14の光信号の光出力パワーのレベル間振幅比が均等に近づくように、変調器13に印加する駆動電圧を生成する。そして、変調器13は、駆動電圧に応じてレーザ光を光変調して光信号をSOA14に出力する。そして、SOA14は、SOA駆動電流に応じて光増幅し、光増幅後のレベル間振幅比が均等に近づく光出力パワーを出力することになる。その結果、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を解消することで信号品質の向上を図ることができる。
実施例2の光送信機1Aは、LD駆動電流に応じたSOA14の利得カーブを利得テーブル25Aから読み出す。光送信機1Aは、読み出したSOA14の利得カーブに基づき、SOA14の光出力パワーのレベル間振幅比を均等に近づけるための駆動電圧を生成するように生成部11を制御する。その結果、光送信機1Aは、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を補償することで信号品質の向上を図る。
光送信機1Aは、LD駆動電流に応じたSOA14、SOA14の光入力パワーの振幅及びSOA14の各レベルの平均パワーに基づき、SOA14の光出力パワーの各レベルのレベル間振幅比を均等に近づけるための駆動電圧を生成するように生成部11を制御する。その結果、光送信機1Aは、SOA14の非線形歪による光出力波形歪を補償することで信号品質の向上を図る。
光送信機1Aは、PD18の電流モニタ値に基づき、LD12へのLD駆動電流を調整する。その結果、光送信機1Aでは、光結合変動を含む光出力パワー(光出力強度)の変動を解消できる。