(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004989
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】歳差運動体
(51)【国際特許分類】
A63H 5/00 20060101AFI20240110BHJP
G10K 1/068 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A63H5/00 Q
G10K1/068 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104937
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150DF01
2C150DF36
(57)【要約】
【課題】風を受けるとねじれ回転方向の力が生じ、回転軸が周期運動する「みそすり運動」とも称されている歳差運動体の提供を目的とする。
【解決手段】本体部と、前記本体部に立設した受風体とを備え、前記受風体は風を受けるとねじれ回転方向のベクトルを生じるものであり、前記本体部は前記受風体にねじれ回転方向のベクトルが生じると歳差運動するものであることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部に立設した受風体とを備え、
前記受風体は風を受けるとねじれ回転方向のベクトルを生じるものであり、
前記本体部は前記受風体にねじれ回転方向のベクトルが生じると歳差運動するものであることを特徴とする歳差運動体。
【請求項2】
前記受風体の受風面は横幅Wの方が縦幅Hよりも同等か、それより大きいことを特徴とする請求項1記載の歳差運動体。
【請求項3】
前記本体部は、底面が凸部形状になっていることを特徴とする請求項2記載の歳差運動体。
【請求項4】
前記本体部は内部に転動子を有し、前記本体部が歳差運動すると内部の側壁部に当たり、音が鳴るものであることを特徴とする請求項3記載の歳差運動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風を受けると歳差運動する回転体に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に風あるいは軽い力を受けて揺動し、音が鳴る鈴装置を提案している(特許文献1)。
同技術は羽根状の作用体に風があたるか、軽い力を加えるとその力にて発音体が傾き、内部の転動体が転がり音が鳴ることを目的とし、さらには指で軽く押し下げることができる受け台を設けることで、発音体が鳴りやすい工夫をしたものである。
【0003】
本発明者はさらに、いろいろな形態を試作評価した結果、受風体等の条件によっては、ねじれ回転方向の動きが生じ、その変化を楽しむことができ、本発明に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、風を受けるとねじれ回転方向の力が生じ、回転軸が周期運動する「みそすり運動」とも称されている歳差運動体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る歳差運動体は、本体部と、前記本体部に立設した受風体とを備え、前記受風体は風を受けるとねじれ回転方向のベクトルを生じるものであり、前記本体部は前記受風体にねじれ回転方向のベクトルが生じると歳差運動するものであることを特徴とする。
【0007】
ここで本体部は、受風体を立設した状態で自立していて、受風体が風を受けて、やや斜めに傾くと、あるいは軽い力を受けてやや斜めに傾くと、本体部の底部側に重量部を有し、この重量部の自立方向の復元力が生じる際に、ねじれ回転方向のベクトルが発生することが明らかになった。
【0008】
このように受風体が傾くと、ねじれ回転方向のベクトルが生じる形態としては、風が受風体に向けて流れるとその流れが受風体の左右方向の端部に向けて変化する形態であればよい。
例えば、受風体の中央部から左右端部に向けて薄くなるように傾斜した面を有してもよい。
また、受風体に風が当たると本体部が傾きやすいように、受風体の両面に頂部から下側に向けて広がるように傾斜面を設けてもよい。
受風体を平坦面にした場合には、前記受風体の受風面は横幅Wの方が縦幅Hよりも同等か、それより大きいものであってもよい。
ここで風が止むと、ねじれ回転が弱くなり、自立静止する。
【0009】
本発明においては、本体部にねじれ回転力が生じるのを誘導するのに、前記本体部は、底面が凸部形状、例えば球面形状になっているのが好ましい。
【0010】
本発明に係る歳差運動体は、そのねじれるように回転する、みそすり運動そのものに特徴があるが、例えば、前記本体部は内部に転動子を有し、前記本体部が歳差運動すると、この転動子が転がり内部の側壁部に当たり、音が鳴るものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る歳差運動体は、風を受けて傾いたり、軽い力が加わり傾くと、ねじれ回転方向のベクトルが生じるので、その動きを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る歳差運動体の例を示す。なお、本体部は回転体であり、その断面図を示す。
【
図2】風を受けて歳差運動する動きを示し、dは本体部の底面の接地軌跡(周期回転運動)を示す。
【
図3】ねじれ回転運動する側面図を(a)~(d)に示す。
【
図4】ねじれ回転運動する平面図を(a)~(d)に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る歳差運動体の構成例を以下、図に基づいて説明する。
図1(a),
図3(a)に正面図を示し、
図1(a)は本体部の内部を説明するために一部断面図を示す。
図3(a)は平面図を示し、受風体12は正面と背面とが対称になった平面体であり、本体部は全体として略球形の回転体である。
【0014】
底面11aが凸面形状の本体部11の上部に脱着可能に受風体12が取り付けられ、全体として自立可能になっている。
受風体12は、紙,樹脂,織物でできている。
本実施例では、本体部11が略球形状になっている例であるが、底面11aが凸面形状になっているものであれば略球形状に限定されない。
また、凸面形状の曲率を変化させることで、歳差運動の傾きの調整ができる。
本体部11の底部側が重量部11fになっていて、ねじれ回転しながら自立する。
本体部は、金属製が好ましい。
【0015】
本実施例では、重量部11fの上面から軸部11cを立設し、周囲に空洞部11gを形成することで、この空洞部に球状の転動子11dを収納してある。
これにより本体部11がねじれ回転すると転動子11dが重量部11fの上面の転がり面11b上を転がり、側壁部11eの内側に当たると音が鳴るようになっている。
本発明は全体として自立しながら、ねじれ回転することに特徴があり、本体部11は限らずしも鈴構造になっている必要はない。
【0016】
受風体12は、
図3に平面図を示すように円形状の受風面12A,12Bが上部で二折りになっていて、下部の連結部側に向けて相互に少し広がるように傾斜面を有している例になっている。
受風体12の大きさは
図1に示すように、縦幅Hよりも横幅Wの方が同等あるいは幅広になっている。
受風体12に風fの力が加わると、
図2~
図4に示すように受風前の中心軸D
0が風を受けて傾くと、中心軸がD
1~D
3のように傾き、本体部11の底面の接地軌跡dが
図2に示すように円周期を描きながら、ねじれ回転する。
この接地軌跡dの大きさは、風の強弱により変化する。
【0017】
受風体12は、
図5に示すように蝶々型等いろいろな形状の装飾体であってもよい。
本発明に係る歳差運動体の具体例としては、転動子が本体部の内部を転がることで音がなるベル、本体部をりん棒で打りんするおりん、受風体をいろいろな装飾体に取り替えることで、ねじれながら回転する載置型風鈴、手で軽く傾けてねじれ回転し、その後に自立静止するおもちゃ等が例として挙げられる。
【符号の説明】
【0018】
11 本体部
11a 底面
11b 転がり面
11c 軸部
11d 転動子
11e 側壁部
11f 重量部
11g 空洞部
12 受風体
12a 連結部