(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049891
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6473 20110101AFI20240403BHJP
H01R 13/6461 20110101ALI20240403BHJP
H01R 13/40 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01R13/6473
H01R13/6461
H01R13/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156399
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FB02
5E021FC19
5E021FC23
5E087GG02
5E087JJ03
5E087RR02
(57)【要約】
【課題】コモンモードノイズへの対策とインピーダンスの整合の両立を図る。
【解決手段】基板コネクタは、嵌合側伸長部26Aと、基板側伸長部26Bと、中間伸長部26Cと、を有する一対の内側端子26を備えている。また、基板コネクタは、端子ボディ30を備えている。さらに、基板コネクタは、端子ボディ30よりも比誘電率が低く設定され、一方の内側端子26の中間伸長部26Cと他方の内側端子26の中間伸長部26Cとの間に介在している低誘電率部70、72と、を備えている。一方の内側端子26の中間伸長部26Cと他方の内側端子26の中間伸長部26Cとの間の間隔が、一方の内側端子26の嵌合側伸長部26Aと他方の内側端子26の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔及び一方の内側端子26の基板側伸長部26Bと他方の内側端子26の基板側伸長部26Bとの間の間隔の少なくとも一方の間隔よりも狭い間隔に設定されている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続対象物が接続される第1接続部と、第2接続対象物が接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部と、を有し、互いに間隔をあけて配置され、差動信号が伝送される一対の端子と、
一対の前記端子を保持する誘電体部と、
前記誘電体部よりも比誘電率が低く設定され、一方の前記端子の前記連結部と他方の前記端子の前記連結部との間に介在している低誘電率部と、
を備え、
一方の前記端子の前記連結部と他方の前記端子の前記連結部との間の間隔が、一方の前記端子の前記第1接続部と他方の前記端子の前記第1接続部との間の間隔及び一方の前記端子の前記第2接続部と他方の前記端子の前記第2接続部との間の間隔の少なくとも一方の間隔よりも狭い間隔に設定されたコネクタ。
【請求項2】
一対の前記端子は、前記誘電体部に埋設された状態で保持されており、
前記低誘電率部は、一方の前記端子の前記連結部と他方の前記端子の前記連結部との間に形成された空隙となっている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記誘電体部は、一方の前記端子の前記連結部における前記低誘電率部とは反対側の部位を覆う覆い部を備えている請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、差動信号を伝送するためのコネクタが開示されている。この文献に記載されたコネクタでは、一対の端子のうちの内側端子の中間部がその長さ途中で外側端子に接近するように構成されている。つまり、内側端子の長さを調整することで、内側端子と外側端子の伝送路長を可能な限り等しくしようとしている。このようにすることで、信号のスキューが低下して伝送エラーの発生を抑制できるようになっている。
【0003】
また、下記特許文献1に記載されたコネクタでは、外側端子と内側端子とが接近している近接配置部では、コモンモードインピーダンスが上昇する。これにより、発生したコモンモードノイズが近接配置部を越えにくくなり、コモンモードノイズを原因とする伝送エラーの発生を抑制できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、外側端子と内側端子とを接近させるほどコモンモードインピーダンスが上昇して、コモンモードノイズの伝搬は抑制される。その一方で、外側端子と内側端子とを近接させると、差動インピーダンス(特性インピーダンス)が低下する。すなわち、上記特許文献1に記載されたコネクタには、コモンモードノイズへの対策とインピーダンスの整合の両立を図るという観点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、コモンモードノイズへの対策とインピーダンスの整合の両立を図ることができるコネクタを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様のコネクタは、第1接続対象物が接続される第1接続部と、第2接続対象物が接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部と、を有し、互いに間隔をあけて配置され、差動信号が伝送される一対の端子と、一対の前記端子を保持する誘電体部と、前記誘電体部よりも比誘電率が低く設定され、一方の前記端子の前記連結部と他方の前記端子の前記連結部との間に介在している低誘電率部と、を備え、一方の前記端子の前記連結部と他方の前記端子の前記連結部との間の間隔が、一方の前記端子の前記第1接続部と他方の前記端子の前記第1接続部との間の間隔及び一方の前記端子の前記第2接続部と他方の前記端子の前記第2接続部との間の間隔の少なくとも一方の間隔よりも狭い間隔に設定されている。
【0008】
第1の態様のコネクタでは、差動信号が、一対の端子を介して第1接続対象物と第2接続対象物との間において伝送される。ここで、一対の端子は、誘電体部によって保持されている。また、一方の端子の連結部と他方の端子の連結部との間には、誘電体部よりも比誘電率が低く設定された低誘電率部が介在している。これにより、誘電体部の一部が一方の端子の連結部と他方の端子の連結部との間に介在している構成と比べて、インピーダンスの下降を抑制することができる。これに加えて、一方の端子の連結部と他方の端子の連結部との間の間隔が、一方の端子の第1接続部と他方の端子の第1接続部との間の間隔及び一方の端子の第2接続部と他方の端子の第2接続部との間の間隔の少なくとも一方の間隔よりも狭い間隔に設定されている。これにより、一方の端子の連結部と他方の端子の連結部との間の間隔が上記範囲外に設定されている構成と比べて、差動信号のスキューを低減することができる。また、一方の端子の連結部と他方の端子の連結部との間の間隔が上記範囲外に設定されている構成と比べて、一対の端子の連結部におけるコモンモードインピーダンスを上昇させることができる。これにより、発生したコモンモードノイズが一対の端子の連結部間を超えにくくなり、その結果、コモンモードノイズの伝搬を抑制することができる。このように、第1の態様のコネクタでは、コモンモードノイズへの対策とインピーダンスの整合の両立を図ることができる。
【0009】
第2の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、一対の前記端子は、前記誘電体部に埋設された状態で保持されており、前記低誘電率部は、一方の前記端子の前記連結部と他方の前記端子の前記連結部との間に形成された空隙となっている。
【0010】
第2の態様のコネクタでは、一対の端子は、誘電体部に埋設された状態で保持されている。また、低誘電率部は、一方の端子の連結部と他方の端子の連結部との間に形成された空隙となっている。この構成では、例えば、インサート成形によって、一対の端子を誘電体部に保持させることができる。また、インサート成形の金型を開くことで、金型の一部が位置していた箇所が上記空隙となるようにすることができる。これにより、コネクタの生産性を良好にすることができる。
【0011】
第3の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、前記誘電体部は、一方の前記端子の前記連結部における前記低誘電率部とは反対側の部位を覆う覆い部を備えている。
【0012】
第3の態様のコネクタでは、誘電体部が覆い部を備えており、この覆い部は、一方の端子の連結部における低誘電率部とは反対側の部位を覆っている。この構成では、一方の端子の連結部の全体が誘電体部の一部によって覆われる構成と比べて、一方の端子の電気長が短くなることに伴う差動信号のスキューの増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコネクタは、コモンモードノイズへの対策とインピーダンスの整合の両立を図ることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】基板コネクタを
図2とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図3】端子ユニットハウジング内に配列された複数の端子ユニットと連結部材とを示す斜視図である。
【
図4】端子ユニットハウジングを示す斜視図である。
【
図5】端子ユニットハウジングを
図4とは反対側から見た斜視図である。
【
図6】互いに係合している状態の複数の端子ユニットを示す斜視図である。
【
図9】端子ユニットを分解して示す分解斜視図である。
【
図10】端子ユニットを
図9とは異なる方向から見た分解斜視図である。
【
図12】内側端子体を
図11とは反対側から見た側面図である。
【
図14】内側端子体を製造する際の第1の工程を示す側面図である。
【
図15】内側端子体を製造する際の第2の工程を示す側面図である。
【
図16】内側端子体を製造する際の第3の工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図16を用いて、本発明の実施形態に係るコネクタとしての基板コネクタ12について説明する。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、基板コネクタ12は、図示しない回路基板に固定される。また、基板コネクタ12には、相手側コネクタである図示しない電線コネクタが接続される。なお、基板コネクタ12と図示しない電線コネクタとが接続される方向を接続軸方向と呼ぶ。また、接続軸方向と直交する方向でかつ後述する複数の端子ユニット20、22が並べられている方向を幅方向と呼ぶ。さらに、接続軸方向及び幅方向と直交する方向を上下方向と呼ぶ。また、接続軸方向一方側を矢印Zで示し、幅方向一方側を矢印Wで示し、上下方向の上側を矢印Uで示す。
【0017】
図1、
図2及び
図3に示されるように、基板コネクタ12は、端子ユニットハウジング18と、端子ユニットハウジング18に収容された複数の端子ユニット20、22と、端子ユニットハウジング18に係止された連結部材24と、を含んで構成されている。
【0018】
図4及び
図5に示されるように、端子ユニットハウジング18は、矩形枠状に形成されている。この端子ユニットハウジング18は、幅方向に間隔をあけて配置された一対の側壁部18Aと、一対の側壁部18Aの上端を幅方向につなぐ上壁部18Bと、一対の側壁部18Aの下端を幅方向につなぐ下壁部18Cと、を備えている。
【0019】
一対の側壁部18Aにおける接続軸方向一方側の部分は、上壁部18B及び下壁部18Cに対して接続軸方向一方側へ向けて延出している分離規制部18Dとなっている。一対の側壁部18Aのそれぞれの分離規制部18Dには、後述する連結部材24が係止される係止溝18Eが形成されている。
【0020】
上壁部18Bにおける幅方向の中央部には、第1保持部18Fが形成されている。また、上壁部18Bにおける接続軸方向一方側の端部は、後述する複数の端子ユニット20、22の上方側の部分が係止される上側係止部18Gとなっている。この上側係止部18Gは、上下方向を厚み方向として幅方向に延在する上側基板部18Hと、上側基板部18Hにおける接続軸方向一方側の端から上方側へ向けて屈曲して延びる上側フランジ部18Jと、を含んで構成されている。また、上側係止部18Gには、幅方向に間隔をあけて配置された複数の上側係止溝18Kが接続軸方向に沿って形成されている。この上側係止溝18Kの数は、後述する端子ユニット20、22の数と一致している。すなわち、本実施形態では、上側係止部18Gには、7個の上側係止溝18Kが形成されている。また、上側係止溝18Kは、上側基板部18Hを貫通するように形成されていると共に上側フランジ部18Jの下方側の部分において下方側が開放するように形成されている。
【0021】
下壁部18Cにおける接続軸方向一方側の端部は、後述する複数の端子ユニット20、22の下方側の部分が係止される下側係止部18Lとなっている。この下側係止部18Lは、下壁部18Cにおける接続軸方向一方側の端から上方側へ向けて屈曲して延びる下側フランジ部18Mを備えている。また、下側フランジ部18Mには、幅方向に間隔をあけて配置された複数の下側係止溝18Nが接続軸方向に沿って形成されている。この下側係止溝18Nの数は、後述する端子ユニット20、22の数と一致している。すなわち、本実施形態では、下側フランジ部18Mには、7個の下側係止溝18Nが形成されている。また、下側係止溝18Nは、下側フランジ部18Mの上方側の部分において上方側が開放するように形成されている。
【0022】
図6、
図7及び
図8に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12は、5個の端子ユニット20及び2個の端子ユニット22を含んで構成されている。ここで、
図7及び
図8に示されるように、端子ユニット20及び端子ユニット22の構成は、内側端子26の数が異なることを除いては同様に構成されている。そのため、以下においては、端子ユニット22の構成について説明し、端子ユニット20の構成の説明を省略する。なお、端子ユニット20において端子ユニット22と対応する部材及び部分には、端子ユニット22と対応する部材及び部分と同じ符号を付すことにする。
【0023】
図7、
図9及び
図10に示されるように、端子ユニット22は、端子としての二対の内側端子26と、二対の内側端子26を覆う外側端子28と、を備えている。また、端子ユニット22は、誘電体部としての端子ボディ30を備えている。
【0024】
二対の内側端子26は、導電性の金属材料を用いて形成されている。なお、二対の内側端子26の詳細な構成については後に詳述することにする。
【0025】
図9及び
図10に示されるように、外側端子28は、金属板で形成された単一の第1端子形成板34と、金属板で形成されていると共に第1端子形成板34に対して幅方向他方側に配置された2つの第2端子形成板36と、を含んで構成されている。
【0026】
第1端子形成板34は、所定の形状に裁断された金属板が折り曲げられること等により形成されている。この第1端子形成板34は、幅方向を厚み方向として上下方向及び接続軸方向に延在する矩形状の第1主板部34Aと、第1主板部34Aにおける接続軸方向他方側の端から接続軸方向他方側へ向けて延在する矩形状の端子側延出部34Bと、を備えている。第1主板部34Aと端子側延出部34Bとの境目には、幅方向に高さの差を有する段差部34Cが形成されている。これにより、端子側延出部34Bが、第1主板部34Aに対して幅方向一方側にオフセットしている。また、第1端子形成板34は、第1主板部34Aから突出すると共に図示しない回路基板に接続される接続片部34Gを備えている。
【0027】
一方の第2端子形成板36は、所定の形状に裁断された金属板が折り曲げられること等により形成されている。この第2端子形成板36は、幅方向を厚み方向として上下方向及び接続軸方向に延在する第2主板部36Aを備えている。第2主板部36Aの形状は、幅方向から見て二対の内側端子26のうちの一対の内側端子26と対応する形状となっている。また、第2端子形成板36は、第2主板部36Aの端から第1端子形成板34の第1主板部34A側へ向けて延出する複数の第2側板部36Bを備えている。さらに、第2端子形成板36は、第2主板部36Aから突出すると共に図示しない回路基板に接続される接続片部36Cを備えている。
【0028】
他方の第2端子形成板36は、一方の第2端子形成板36よりも小さな所定の形状に裁断された金属板が折り曲げられること等により形成されている。この第2端子形成板36は、一方の第2端子形成板36の第2主板部36A及び複数の第2側板部36Bとそれぞれ対応する第2主板部36A及び複数の第2側板部36Bを備えている。他方の第2端子形成板36の第2主板部36Aの形状は、幅方向から見て二対の内側端子26のうちの残りの一対の内側端子26と対応する形状となっている。
【0029】
そして、
図7、
図9及び
図10に示されるように、第1端子形成板34と一方の第2端子形成板36とによって、二対の内側端子26のうちの一対の内側端子26の大部分を覆う端子側被覆部38が形成される。また、第1端子形成板34と他方の第2端子形成板36とによって、二対の内側端子26のうちの残りの一対の内側端子26の大部分を覆う端子側被覆部38が形成される。
【0030】
図9、
図10、
図11及び
図12に示されるように、端子ボディ30は、樹脂材料を用いて矩形の箱状に形成されている。この端子ボディ30には、幅方向他方側が開放された2つの内側端子支持凹部30Aが形成されている。これら2つの内側端子支持凹部30Aの底部分は、後に詳述する二対の内側端子26がそれぞれ支持される端子支持部30Bとなっている。また、一方の第2端子形成板36の第2主板部36A及び第2側板部36Bは、一方の内側端子支持凹部30A内に配置されるようになっている。さらに、他方の第2端子形成板36の第2主板部36A及び第2側板部36Bは、他方の内側端子支持凹部30A内に配置されるようになっている。
【0031】
また、端子ボディ30は、幅方向他方側が開放された孔を有する3つの被嵌合部30Dを備えている。また、端子ボディ30は、幅方向一方側へ向けて突出する突起部分である3つの嵌合部30Eを備えている。そして、
図6、
図9、
図10、
図11及び
図12に示されるように、幅方向に隣り合う一方の端子ユニット20、22の端子ボディ30の嵌合部30Eと他方の端子ユニット20、22の端子ボディ30の被嵌合部30Dとが嵌合することで、一方の端子ユニット20、22の他方の端子ユニット20、22に対する接続軸方向及び上下方向への相対変位が制限されようになっている。なお、第1端子形成板34の第1主板部34Aには、3つの嵌合部30Eが挿通される開口が形成されている。
【0032】
また、端子ボディ30の上部における幅方向の中央部には、上方側へ向けて突出する上側係止突起30Fが接続軸方向に沿って形成されている。また、端子ボディ30の下部における幅方向の中央部には、下方側へ向けて突出する下側係止突起30Gが接続軸方向に沿って形成されている。さらに、端子ボディ30の接続軸方向側の端部における幅方向の中央部には、後述する連結部材24が係止される連結部材係止部30Hが上下方向に沿って形成されている。
【0033】
図3に示されるように、連結部材24は、金属板を用いて形成されている。この連結部材24の下部には、端子ボディ30の連結部材係止部30Hが嵌まり込む複数の係止溝24Aが形成されている。複数の係止溝24Aは、幅方向に間隔をあけて配置されている。また、係止溝24Aの数は、端子ユニット20、22の数と一致している。すなわち、本実施形態では、連結部材24には、7個の係止溝24Aが形成されている。また、連結部材24の幅方向の両端部は、端子ユニットハウジング18の分離規制部18Dに形成された係止溝18Eに係止されるハウジング係止部24Bとなっている。
【0034】
図1~
図12に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12は以下の手順で組み立てられる。
【0035】
先ず、隣接するもの同士が互いに接している状態で複数の端子ユニット20、22を幅方向に並べる。このとき、端子ユニット20、22の端子ボディ30の嵌合部30Eを隣接する他の端子ユニット20、22の端子ボディ30の被嵌合部30Dへ嵌合させる。なお、本実施形態では、幅方向一方側にスペーサ41が設けられている。このスペーサ41には、幅方向一方側の端部に配置された端子ユニット20の端子ボディ30の嵌合部30Eが嵌合している。
【0036】
次に、幅方向に並べられた複数の端子ユニット20、22を端子ユニットハウジング18に組み付ける。すなわち、幅方向に並べられた複数の端子ユニット20、22を接続方向他方側へ移動させることで、幅方向に並べられた複数の端子ユニット20、22を端子ユニットハウジング18に挿入する。このとき、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の上側係止突起30Fを端子ユニットハウジング18に形成された上側係止溝18K内に配置させると共に、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の下側係止突起30Gを端子ユニットハウジング18に形成された下側係止溝18N内に配置させる。そして、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の上側係止突起30Fが、端子ユニットハウジング18の上側係止部18Gを乗り越えて、上側係止部18Gに係止される。また、各端子ユニット20、22の端子ボディ30の下側係止突起30Gが、端子ユニットハウジング18の下側係止部18Lを乗り越えて、下側係止部18Lに係止される。これにより、端子ユニット20、22が端子ユニットハウジング18に組み付けられた状態となる。
【0037】
次に、連結部材24のハウジング係止部24Bを端子ユニットハウジング18の分離規制部18Dに形成された係止溝18Eに係止させると共に、連結部材24の各係止溝24Aに各端子ユニット20、22の端子ボディ30の連結部材係止部30Hを係止させる。
【0038】
以上の工程を経て、基板コネクタ12が組み立てられる。
【0039】
次に、本実施形態の要部の構成である二対の内側端子26及び端子ボディ30の細部の構成について説明する。
【0040】
図11及び
図13に示されるように、端子ボディ30の上方側及び接続軸方向一方側に形成された一方の内側端子支持凹部30Aの端子支持部30Bには、二対の内側端子26のうちの一対の内側端子26(後述する第1内側端子26T1及び第2内側端子26T2)が支持されている。また、端子ボディ30の下方側及び接続軸方向他方側に形成された他方の内側端子支持凹部30Aの端子支持部30Bには、二対の内側端子26のうちの残りの一対の内側端子26(後述する第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4)が支持されている。
【0041】
これらの内側端子26は、差動信号が伝送される端子である。これらの内側端子26は、当該内側端子26の一方側の端部を構成する第1接続部としての嵌合側伸長部26Aと、内側端子26の他方側の端部を構成する第2接続部としての基板側伸長部26Bと、嵌合側伸長部26Aと基板側伸長部26Bとをつなぐ連結部としての中間伸長部26Cと、を備えている。嵌合側伸長部26Aは、接続軸方向に伸びており、図示しない配線コネクタの端子が嵌合する部分となっている。基板側伸長部26Bは、上下方向に伸びており、図示しない回路基板に接続される部分となっている。
【0042】
ここで、最も上方側に配置された嵌合側伸長部26Aを有する内側端子26を第1内側端子26T1と呼ぶことにする。また、第1内側端子26T1と隣り合って配置された内側端子26を第2内側端子26T2と呼ぶことにする。さらに、第2内側端子26T2の嵌合側伸長部26Aに対して下方側に配置された嵌合側伸長部26Aを有する内側端子26を第3内側端子26T3と呼ぶことにする。また、第3内側端子26T3と隣り合って配置された内側端子26を第4内側端子26T4と呼ぶことにする。
【0043】
第1内側端子26T1の中間伸長部26Cは、嵌合側伸長部26Aから接続軸方向一方側へ延びる第1中間部T11と、第1中間部T11における嵌合側伸長部26Aとは反対側の端から嵌合方向一方側へ向かうにつれて下方側へ傾斜して延びる第2中間部T12と、を備えている。また、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cは、第2中間部T12における第1中間部T11とは反対側の端から下方側へ向けて延びると共にその下端が基板側伸長部26Bとつながっている第3中間部T13を備えている。
【0044】
第2内側端子26T2の中間伸長部26Cは、嵌合側伸長部26Aから接続軸方向一方側へ延びる第1中間部T21と、第1中間部T21における嵌合側伸長部26Aとは反対側の端から嵌合方向一方側へ向かうにつれて上方側へ傾斜して延びる第2中間部T22と、を備えている。また、第2内側端子26T2の中間伸長部26Cは、第2中間部T22における第1中間部T21とは反対側の端から接続軸方向一方側へ延びる第3中間部T23と、第3中間部T23における第2中間部T22とは反対側の端から嵌合方向一方側へ向かうにつれて下方側へ傾斜して延びる第4中間部T24と、を備えている。さらに、第2内側端子26T2の中間伸長部26Cは、第4中間部T24における第3中間部T23とは反対側の端から下方側へ向けて延びる第5中間部T25と、第5中間部T25における第4中間部T24とは反対側の端から下方側へ向かうにつれて接続軸方向他方側へ傾斜して延びる第6中間部T26と、を備えている。また、第2内側端子26T2の中間伸長部26Cは、第6中間部T26における第5中間部T25とは反対側の端から下方側へ向けて延びると共にその下端が基板側伸長部26Bとつながっている第7中間部T27を備えている。
【0045】
そして、本実施形態では、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第1中間部T11と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第1中間部T21及び第3中間部T23とが、平行に延びている。また、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24とが、平行に延びている。さらに、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第3中間部T13と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第5中間部T25及び第7中間部T27とが、平行に延びている。
【0046】
ここで、第1内側端子26T1の嵌合側伸長部26Aと第2内側端子26T2の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔をD1とする。また、第1内側端子26T1の基板側伸長部26Bと第2内側端子26T2の基板側伸長部26Bとの間の間隔をD2とする。さらに、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間の間隔をD3とする。そして、本実施形態では、間隔D3が間隔D1及び間隔D2よりも狭い間隔となるように、第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの経路が設定されている。これにより、第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの電気長が、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの電気長に近づけられている。
【0047】
第3内側端子26T3の中間伸長部26Cは、嵌合側伸長部26Aから接続軸方向一方側へ延びる第1中間部T31と、第1中間部T31における嵌合側伸長部26Aとは反対側の端から嵌合方向一方側へ向かうにつれて下方側へ傾斜して延びる第2中間部T32と、を備えている。また、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cは、第2中間部T32における第1中間部T31とは反対側の端から下方側へ向けて延びると共にその下端が基板側伸長部26Bとつながっている第3中間部T33を備えている。
【0048】
第4内側端子26T4の中間伸長部26Cは、嵌合側伸長部26Aから接続軸方向一方側へ延びる第1中間部T41と、第1中間部T41における嵌合側伸長部26Aとは反対側の端から嵌合方向一方側へ向かうにつれて上方側へ傾斜して延びる第2中間部T42と、を備えている。また、第4内側端子26T4の中間伸長部26Cは、第2中間部T42における第1中間部T41とは反対側の端から接続軸方向一方側へ延びる第3中間部T43と、第3中間部T43における第2中間部T42とは反対側の端から嵌合方向一方側へ向かうにつれて下方側へ傾斜して延びる第4中間部T44と、を備えている。さらに、第4内側端子26T4の中間伸長部26Cは、第4中間部T44における第3中間部T43とは反対側の端から下方側へ向けて延びる第5中間部T45と、第5中間部T45における第4中間部T44とは反対側の端から下方側へ向かうにつれて接続軸方向他方側へ傾斜して延びる第6中間部T46と、を備えている。また、第4内側端子26T4の中間伸長部26Cは、第6中間部T46における第5中間部T45とは反対側の端から下方側へ向けて延びると共にその下端が基板側伸長部26Bとつながっている第7中間部T47を備えている。
【0049】
そして、本実施形態では、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第1中間部T31と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第1中間部T41及び第3中間部T43とが、平行に延びている。また、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44とが、平行に延びている。さらに、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第3中間部T33と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第5中間部T45及び第7中間部T47とが、平行に延びている。
【0050】
ここで、第3内側端子26T3の嵌合側伸長部26Aと第4内側端子26T4の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔をD1とする。また、第3内側端子26T3の基板側伸長部26Bと第4内側端子26T4の基板側伸長部26Bとの間の間隔をD2とする。さらに、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44との間の間隔をD3とする。そして、本実施形態では、間隔D3が間隔D1及び間隔D2よりも狭い間隔となるように、第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの経路が設定されている。これにより、第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの電気長が、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの電気長に近づけられている。
【0051】
図11に示されるように、以上説明した第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4のそれぞれの中間伸長部26Cは、内側端子支持凹部30Aの端子支持部30Bに部分的に埋設されている。これにより、第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4が端子ボディ30に保持されている。
【0052】
ここで、本実施形態では、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間に低誘電率部70が介在するようにしている。なお、低誘電率部70とは、端子ボディ30を形成する樹脂材料よりも比誘電率が低く設定された部分のことである。本実施形態の低誘電率部70は、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間に形成された空隙である。低誘電率部70である空隙には、空気のみが存在し、端子ボディ30の一部分等の固体は存在していない。また、端子ボディ30を幅方向から見た状態で、端子支持部30Bにおいて上記低誘電率部70と対応する箇所には、矩形状の開口30Jが形成されている。この開口30Jは、端子支持部30Bを幅方向に貫通している。
【0053】
第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44との間に低誘電率部72が介在するようにしている。この低誘電率部72は、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間に介在している低誘電率部70と同じ空隙である。低誘電率部72である空隙には、空気のみが存在し、端子ボディ30の一部分等の固体は存在していない。端子ボディ30を幅方向から見た状態で、端子支持部30Bにおいて上記低誘電率部72と対応する箇所には、矩形状の開口30Kが形成されている。この開口30Kは、端子支持部30Bを幅方向に貫通している。
【0054】
また、本実施形態では、第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24における低誘電率部70とは反対側が、端子支持部30Bの一部分(以下「覆い部30L」と呼ぶ)によって幅方向から覆われている。この覆い部30Lは、第4中間部T24における低誘電率部70とは反対側かつ第4中間部T24の長手方向の中央部を幅方向から覆う矩形状に形成されている。第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44における低誘電率部72とは反対側が、端子支持部30Bの一部分(以下「覆い部30M」と呼ぶ)によって幅方向から覆われている。この覆い部30Mは、第4中間部T44における低誘電率部72とは反対側かつ第4中間部T44の長手方向の中央部を幅方向から覆う矩形状に形成されている。
【0055】
また、本実施形態では、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12における低誘電率部70とは反対側かつ第2中間部T12の長手方向の中央部が、低誘電率部70とは反対側のみへ膨出している。これにより、第2中間部T12の長手方向の中央部の幅寸法W1が、第2中間部T12の長手方向の両端部の幅寸法W2と比べて大きくなっている。これに加えて、本実施形態では、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32における低誘電率部72とは反対側かつ第2中間部T32の長手方向の中央部が、低誘電率部72とは反対側のみへ膨出している。これにより、第2中間部T32の長手方向の中央部の幅寸法W1が、第2中間部T32の長手方向の両端部の幅寸法W2と比べて大きくなっている。
【0056】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0057】
図1~
図3並びに
図6~
図13に示されるように、本実施形態の基板コネクタ12は、内側端子26と、外側端子28と、端子ボディ30と、を有する複数の端子ユニット20、22を備えている。そして、複数の端子ユニット20、22は、隣接するもの同士が互いに接している状態で幅方向に並べられて配置されている。このように、本実施形態の基板コネクタ12の構成では、複数の端子ユニット20、22の数を適宜設定することにより、図示しない電線コネクタのバリエーションに対応させた基板コネクタ12のバリエーション展開を容易にすることができる。
【0058】
また、本実施形態の基板コネクタ12は、前述の構成の端子ユニット22を備えている。この端子ユニット22では、差動信号が二対の内側端子26(第1内側端子26T1及び第2内側端子26T2、並びに、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4)を介して配線コネクタと回路基板との間において伝送される。
【0059】
ここで、二対の内側端子26(第1内側端子26T1及び第2内側端子26T2、並びに、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4)は、樹脂材料を用いて形成された端子ボディ30によって保持されている。また、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間には、端子ボディ30を形成する樹脂材料よりも比誘電率が低く設定された低誘電率部70が介在している。さらに、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44との間にも、端子ボディ30を形成する樹脂材料よりも比誘電率が低く設定された低誘電率部72が介在している。これにより、端子ボディ30を形成する樹脂材料が低誘電率部70、72と対応する部分に介在している構成と比べて、インピーダンスの下降を抑制することができる。
【0060】
これに加えて、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間の間隔D3が、第1内側端子26T1の嵌合側伸長部26Aと第2内側端子26T2の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔D1及び第1内側端子26T1の基板側伸長部26Bと第2内側端子26T2の基板側伸長部26Bとの間の間隔をD2よりも狭い間隔に設定されている。また、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44との間の間隔D3が、第3内側端子26T3の嵌合側伸長部26Aと第4内側端子26T4の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔D1及び第3内側端子26T3の基板側伸長部26Bと第4内側端子26T4の基板側伸長部26Bとの間の間隔D2よりも狭い間隔に設定されている。これにより、間隔D1、D2及びD3が上記範囲外に設定されている構成と比べて、差動信号のスキューを低減することができる。また、間隔D1、D2及びD3が上記範囲外に設定されている構成と比べて、第1内側端子26T1の中間伸長部26C及び第2内側端子26T2の中間伸長部26Cにおけるコモンモードインピーダンスを上昇させることができると共に、第3内側端子26T3の中間伸長部26C及び第4内側端子26T4の中間伸長部26Cにおけるコモンモードインピーダンスを上昇させることができる。これにより、発生したコモンモードノイズが第1内側端子26T1の中間伸長部26C及び第2内側端子26T2の中間伸長部26C間、並びに、第3内側端子26T3の中間伸長部26C及び第4内側端子26T4の中間伸長部26C間を超えにくくなり、その結果、コモンモードノイズの伝搬を抑制することができる。このように、本実施形態の基板コネクタ12では、コモンモードノイズへの対策とインピーダンスの整合の両立を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態の端子ユニット22では、第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4のそれぞれの中間伸長部26Cが、内側端子支持凹部30Aの端子支持部30Bに部分的に埋設されている。これにより、第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4が端子ボディ30に保持されている。これに加えて、本実施形態の端子ユニット22では、前述の低誘電率部70、72が空隙となっている。この構成では、例えば、インサート成形によって、第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4を端子ボディ30に保持させることができる。また、インサート成形の金型を開くことで、金型の一部が位置していた箇所が上記空隙(低誘電率部70、72)となるようにすることができる。これにより、コネクタの生産性を良好にすることができる。以下、このインサート成形の工程を簡単に説明する。
【0062】
図14には、製造途中における第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4が示されている。この図に示された段階においては、第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4のそれぞれの基板側伸長部26Bが、第1接続部74Aを介してつながれている。また、第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24と第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32とが、第2接続部74Bを介してつながれている。さらに、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第1中間部T11と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第1中間部T21とが、第3接続部74Cを介してつながれている。
【0063】
図15には、
図14に示された工程の次の工程における第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4が示されている。この図に示されるように、この工程では、第2接続部74B及び第3接続部74Cの大部分が除去される。そして、
図15に示された状態で、第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4が金型にセットされる。次に、金型の内部に樹脂材料が充填される。
【0064】
次に、
図16に示されるように、金型を開くことで、第1内側端子26T1、第2内側端子26T2、第3内側端子26T3及び第4内側端子26T4が保持された状態の端子ボディ30が形成されている。なお、この工程の後に第1接続部74Aが除去される。
【0065】
また、
図11に示されるように、本実施形態の端子ユニット22では、端子支持部30Bの一部分が覆い部30Lとなっており、この覆い部30Lが第4中間部T24における低誘電率部70とは反対側かつ第4中間部T24の長手方向の中央部を幅方向から覆っている。この構成では、第4中間部T24の全体が端子ボディ30を形成する樹脂材料によって覆われる構成と比べて、第4中間部T24の電気長が短くなることに伴う差動信号のスキューの増加を抑制することができる。これに加えて、本実施形態の端子ユニット22では、端子支持部30Bの一部分が覆い部30Mとなっており、この覆い部30Mが第4中間部T44における低誘電率部72とは反対側かつ第4中間部T44の長手方向の中央部を幅方向から覆っている。この構成では、第4中間部T44の全体が端子ボディ30を形成する樹脂材料によって覆われる構成と比べて、第4中間部T44の電気長が短くなることに伴う差動信号のスキューの増加を抑制することができる。
【0066】
また、
図13に示されるように、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12の長手方向の中央部の幅寸法W1が、第2中間部T12の長手方向の両端部の幅寸法W2と比べて大きくなっている。これにより、第2中間部T12の幅寸法が一定の幅寸法W2となっている構成と比べて、第2中間部T12の電気長を短くすることができる。また、第2中間部T12における低誘電率部70とは反対側かつ第2中間部T12の長手方向の中央部が、低誘電率部70とは反対側のみへ膨出している構成とすることで、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24とを近接して配置することができる。また、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32の長手方向の中央部の幅寸法W1が、第2中間部T32の長手方向の両端部の幅寸法W2と比べて大きくなっている。これにより、第2中間部T32の幅寸法が一定の幅寸法W2となっている構成と比べて、第2中間部T32の電気長を短くすることができる。また、第2中間部T32における低誘電率部72とは反対側かつ第2中間部T32の長手方向の中央部が、低誘電率部72とは反対側のみへ膨出している構成とすることで、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44とを近接して配置することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12の長手方向の中央部の幅寸法W1が、第2中間部T12の長手方向の両端部の幅寸法W2と比べて大きくなっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12の幅寸法は、第1内側端子26T1の電気長と第2内側端子26T2の電気長とのバランスを考慮して適宜設定すればよい。また、本実施形態では、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32の長手方向の中央部の幅寸法W1が、第2中間部T32の長手方向の両端部の幅寸法W2と比べて大きくなっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32の幅寸法は、第3内側端子26T3の電気長と第4内側端子26T4の電気長とのバランスを考慮して適宜設定すればよい。
【0068】
また、本実施形態では、端子支持部30Bの一部分を覆い部30L、30Mとした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。端子支持部30Bの一部分を覆い部30L、30Mとするか否かについては、差動信号のスキューのレベルを考慮して適宜設定すればよい。
【0069】
また、本実施形態では、低誘電率部70、72が空隙となっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、端子ボディ30を形成する樹脂材料よりも比誘電率が低く設定された低誘電率部を上記低誘電率部70、72と対応する箇所に介在させてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間の間隔D3が、第1内側端子26T1の嵌合側伸長部26Aと第2内側端子26T2の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔D1及び第1内側端子26T1の基板側伸長部26Bと第2内側端子26T2の基板側伸長部26Bとの間の間隔をD2よりも狭い間隔に設定されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1内側端子26T1の中間伸長部26Cの第2中間部T12と第2内側端子26T2の中間伸長部26Cの第4中間部T24との間の間隔D3が、第1内側端子26T1の嵌合側伸長部26Aと第2内側端子26T2の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔D1及び第1内側端子26T1の基板側伸長部26Bと第2内側端子26T2の基板側伸長部26Bとの間の間隔をD2のどちらか一方よりも狭い間隔に設定されている構成としてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44との間の間隔D3が、第3内側端子26T3の嵌合側伸長部26Aと第4内側端子26T4の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔D1及び第3内側端子26T3の基板側伸長部26Bと第4内側端子26T4の基板側伸長部26Bとの間の間隔D2よりも狭い間隔に設定されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3内側端子26T3の中間伸長部26Cの第2中間部T32と第4内側端子26T4の中間伸長部26Cの第4中間部T44との間の間隔D3が、第3内側端子26T3の嵌合側伸長部26Aと第4内側端子26T4の嵌合側伸長部26Aとの間の間隔D1及び第3内側端子26T3の基板側伸長部26Bと第4内側端子26T4の基板側伸長部26Bとの間の間隔D2のどちらか一方よりも狭い間隔に設定されている構成としてもよい。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
12 基板コネクタ(コネクタ)
26 内側端子(端子)
26A 嵌合側伸長部(第1接続部)
26B 基板側伸長部(第2接続部)
26C 中間伸長部(連結部)
30 端子ボディ(誘電体部)
30L 覆い部
30M 覆い部
70 低誘電率部
72 低誘電率部