(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049896
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/663 20180101AFI20240403BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20240403BHJP
F21S 41/265 20180101ALI20240403BHJP
F21S 41/36 20180101ALI20240403BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20240403BHJP
F21S 41/47 20180101ALI20240403BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20240403BHJP
F21S 41/39 20180101ALI20240403BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20240403BHJP
F21V 7/08 20060101ALI20240403BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240403BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20240403BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240403BHJP
F21W 102/135 20180101ALN20240403BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20240403BHJP
F21W 102/19 20180101ALN20240403BHJP
【FI】
F21S41/663
F21S41/148
F21S41/265
F21S41/36
F21S41/43
F21S41/47
F21S41/19
F21S41/39
F21V7/00 510
F21V7/08
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V23/06
F21Y115:10
F21W102:135
F21W102:20
F21W102:19
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156408
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 政輝
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA05
3K014AA01
3K014HA04
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制しつつすれ違い用配光パターンとその側方の追加配光パターンとを形成することのできる車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源(31から34)が実装された基板36と、光源(31から34)から出射された光を反射するリフレクタ部(41から44)と、リフレクタ部(41から44)で反射された光を投影して、車両の前方を照射する配光パターンPを形成する投影レンズ14と、基板36が取付部21aに取り付けられる取付部材11と、を備える車両用灯具10である。取付部材11には、取付部21aから突出して遮光壁23が設けられ、基板36には、光源(31、32、34)に対応する位置に遮光壁23を受け入れる遮光壁スリット37が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が実装された基板と、
前記光源から出射された光を反射するリフレクタ部と、
前記リフレクタ部で反射された光を投影して、車両の前方を照射する配光パターンを形成する投影レンズと、
前記基板が取付部に取り付けられる取付部材と、を備え、
前記取付部材には、前記取付部から突出して遮光壁が設けられ、
前記基板には、前記光源に対応する位置に前記遮光壁を受け入れる遮光壁スリットが設けられていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記遮光壁は、前記取付部材が部分的に折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源と前記リフレクタ部とは、対を為して複数設けられ、
前記遮光壁は、前記光源に個別に対応して複数設けられ、
前記遮光壁スリットは、複数の前記光源を結ぶ直線上に位置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源と前記リフレクタ部とは、対を為して複数設けられ、
複数の前記光源は、少なくとも、幅方向で間隔を置いて設けられた第1光源と第2光源とを有するとともに、幅方向で前記第1光源と前記第2光源との間であって前記第1光源および前記第2光源よりも前後方向の前側に設けられた第3光源を有し、
前記遮光壁は、前記第1光源と前記第2光源とに個別に対応して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源と前記リフレクタ部とは、少なくとも3つずつ設けられ、
3つの前記光源は、前記基板上において、三角形を描く位置関係とされていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記基板には、前記光源への電力の供給を可能とするコネクタ端子が設けられ、
前記リフレクタ部は、少なくとも2つが隣接して設けられ、
前記コネクタ端子は、隣接する2つの前記リフレクタ部の間に設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記投影レンズは、前記リフレクタ部における奥壁箇所の配光像を投影することにより前記配光パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具では、所望の配光パターンを形成する配光ユニットを組み込んだものが考えられている(例えば、特許文献1参照)。この車両用灯具では、配光ユニットが、光源からの光の一部をシェードで遮ることにより、所望の配光パターンを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の車両用灯具は、光源から投影レンズへと至る光路上と、その光路から外れた位置と、でシェードを移動可能に駆動機構が支持する構成とされているので、構成の複雑化と部品点数の増加とを招いてしまう。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、簡易な構成で部品点数の増加を招くことなく所望の配光パターンを形成することのできる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両用灯具は、光源が実装された基板と、前記光源から出射された光を反射するリフレクタ部と、前記リフレクタ部で反射された光を投影して、車両の前方を照射する配光パターンを形成する投影レンズと、前記基板が取付部に取り付けられる取付部材と、を備え、前記取付部材には、前記取付部から突出して遮光壁が設けられ、前記基板には、前記光源に対応する位置に前記遮光壁を受け入れる遮光壁スリットが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の車両用灯具によれば、簡易な構成で部品点数の増加を招くことなく所望の配光パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示に係る一実施形態としての車両用灯具を示す説明図である。
【
図2】車両用灯具の構成を分解して示す説明図である。
【
図3】取付部材に光源部が設けられた様子を示す説明図である。
【
図4】
図3のI-I線に沿って得られた端面図である。
【
図6】車両用灯具における投影レンズとリフレクタ部材と各光源との位置関係の把握のために、斜め下から見た様子を上下反転して示す説明図である。
【
図7】投影レンズとリフレクタ部材と各光源との位置関係を上下方向の下側から見た様子を示す説明図である。
【
図8】投影レンズとリフレクタ部材と各光源との位置関係を上下方向の上側から見た様子を示す説明図である。
【
図9】
図7に示す各光源からの光が各リフレクタ部材で反射されて各レンズ部から出射される様子を示す説明図である。
【
図10】投影光軸上の中心位置で水平線と鉛直線とが交差するスクリーン上において、車両用灯具の第1ユニットが形成する第1配光パターンを示す説明図である。
【
図11】投影光軸上の中心位置で水平線と鉛直線とが交差するスクリーン上において、車両用灯具の第2ユニットが形成する第2配光パターンを示す説明図である。
【
図12】投影光軸上の中心位置で水平線と鉛直線とが交差するスクリーン上において、車両用灯具の第3ユニットが形成する第3配光パターンを示す説明図である。
【
図13】投影光軸上の中心位置で水平線と鉛直線とが交差するスクリーン上において、車両用灯具の第4ユニットが形成する第4配光パターンを示す説明図である。
【
図14】投影光軸上の中心位置で水平線と鉛直線とが交差するスクリーン上において、すれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【
図15】投影光軸上の中心位置で水平線と鉛直線とが交差するスクリーン上において、すれ違い用配光パターンと第3配光パターンとを形成した様子を示す説明図である。
【
図16】
図8とは異なる構成の投影レンズとリフレクタ部材と各光源との位置関係を上下方向の上側から見た様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10の実施例1について図面を参照しつつ説明する。なお、各配光パターンを示す
図10から
図15では、車両用灯具10による照射の中心位置O(投影光軸Lp)を原点として水平線Hと鉛直線Vとが交差するスクリーン上で、明るさの分布を中に向かうほど明るさが高くなる等高線のように示している。
【実施例0010】
本開示に係る車両用灯具の一実施形態に係る実施例1の車両用灯具10を、
図1から
図15を用いて説明する。実施例1の車両用灯具10は、自動車等の車両の前照灯装置として用いられる。その前照灯装置は、車両の前部の左右両側にそれぞれ搭載され、開放された前端がアウターレンズ15(
図8参照)で覆われたランプハウジングにより形成される灯室に車両用灯具10が設けられて構成される。車両用灯具10は、上下方向用光軸調整機構や左右方向用光軸調整機構を介して灯室に設けられ、車両の前方を適宜照射する。以下の説明では、車両用灯具10において、車両が進行する方向を前後方向(図面ではZとする)とし、前後方向を水平面に沿う状態とした際の鉛直方向を上下方向(図面ではYとする)とし、前後方向および上下方向に直交する方向(水平方向)を幅方向(図面ではXとする)とする。ここで、車両用灯具10は、車両の右側に設けられるものと左側に設けられるものとで基本的に等しい構成とされつつ幅方向(左右)で反転されたものであるので、以下では、右側に設けられる車両用灯具10を用いて説明する。
【0011】
実施例1の車両用灯具10は、
図1、
図2に示すように、取付部材11に、光源部12とリフレクタ部材13と投影レンズ14とが取り付けられて、プロジェクタタイプの灯具ユニットを構成する。取付部材11は、光源部12が設けられる箇所であり、熱伝導性を有するアルミプレートやアルミダイカストや樹脂で形成され、全体として光源部12で発生する熱を外部に逃がすヒートシンクとして機能する。取付部材11は、光源取付部21とレンズ取付部22とを有する。
【0012】
光源取付部21は、
図2から
図4に示すように、上下方向に直交する平板状とされ、所定の位置に光源部12が取り付けられる。この光源取付部21には、3つの遮光壁23が設けられている。各遮光壁23は、光源取付部21と直交するように上下方向の上側へと突出する板状とされており、光源部12の後述する第1光源31、第2光源32、第4光源34に個別に対応されている。実施例1の各遮光壁23は、板状の光源取付部21が部分的にU字形状に切り欠かれ、そのU字形状開放端に相当する箇所が折り曲げられることにより、光源取付部21から上側へと突出する板状とされている。このため、光源取付部21では、各遮光壁23が設けられた箇所に貫通孔が形成されていることとなる。各遮光壁23は、対応する光源に対して前後方向の前側に設けられており、対応する光源からの光を吸収したり拡散させたりする。各遮光壁23は、対応する光源からの光が形成する後述するすれ違い用配光パターンLPにおけるカットオフラインCLの上方を照らすことを防止するもので、対応する光源に対する位置が設定されている。
【0013】
レンズ取付部22は、上下方向に略直交する平板状とされ、光源取付部21の前後方向の前側に設けられ、段差をつけて光源取付部21よりも上下方向の下側に位置されている。レンズ取付部22は、投影レンズ14を取り付ける箇所を構成するもので、光源取付部21に取り付けられた光源部12の前後方向の前側に投影レンズ14を位置させる。
【0014】
この取付部材11では、4つの位置決め孔11aと3つのネジ通し孔11bとが設けられている。各位置決め孔11aと各ネジ通し孔11bとは、対を為して設けられている。各位置決め孔11aは、後述するリフレクタ部材13の位置決め突起13aを嵌め入れることが可能とされている。各ネジ通し孔11bは、ネジ24を通すことが可能とされている。この取付部材11では、複数の放熱フィンを設けることができ、光源取付部21に取り付けられた光源部12で発生した熱を主に各放熱フィンから外部に放熱することとしてもよい。この取付部材11は、図示しないブラケットを介して、ランプハウジングに固定される。取付部材11では、冷却効率を高めるために適宜冷却ファンユニットを設けるものとしてもよい。
【0015】
光源部12は、
図5等に示すように、第1光源31と、第2光源32と、第3光源33と、第4光源34(
図2等参照)と、コネクタ端子35と、それらが実装される基板36と、を有する。この4つの光源(31から34)は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成されている。4つの光源(31から34)は、後述する各リフレクタ部(41から44)に対応する位置に設けられている。この位置関係については後述する。
【0016】
コネクタ端子35は、基板36の配線パターンと電気的に接続されており、点灯制御回路に接続された接続コネクタが着脱自在とされている。コネクタ端子35は、基板36の前後方向の後側の端部に設けられており、接続コネクタの着脱が容易とされている。コネクタ端子35は、接続コネクタが取り付けられることで、配線パターンを介する点灯制御回路から各光源(31から34)への電力の供給を可能とする。
【0017】
基板36は、アルミ基板で形成された板状とされ、各光源(31から34)が実装される。なお、基板36は、ガラスエポキシ基板等の樹脂材料で形成されていてもよく、他のもので形成されていてもよい。基板36には、各光源(31から34)とコネクタ端子35とを電気的に接続する配線パターンが設けられている。また、基板36では、取付部材11の光源取付部21の真ん中の位置決め孔11aに対応して位置決め孔36aが設けられるとともに、その近くのネジ通し孔11bに対応してネジ通し孔36bが設けられている。この基板36は、後述するリフレクタ部材13の位置決め突起13aが位置決め孔36aに通されつつ、ネジ通し孔36bに通されたネジ24が後述するリフレクタ部材13のネジ孔13bに捻じ込まれることにより、取付部材11(光源取付部21)に取り付けられる。基板36は、コネクタ端子35を介して点灯制御回路から電力を適宜供給して各光源(31から34)を適宜点灯させる。
【0018】
基板36には、第1光源31、第2光源32、第4光源34のそれぞれの前方に遮光壁スリット37が設けられている。この各遮光壁スリット37は、対応する光源の前方に位置されており、取付部材11の光源取付部21に設けられた各遮光壁23を受け入れることが可能とされている。実施例1の遮光壁スリット37は、第1光源31に対応する遮光壁スリット37aと第2光源32に対応する遮光壁スリット37bとが、基板36を貫通する貫通孔とされている。また、実施例1の遮光壁スリット37は、第4光源34に対応する遮光壁スリット37cが、基板36の外周縁部から内側へと切り込むものとされている。なお、遮光壁スリット37は、対応する各遮光壁23を受け入れるものであれば、基板36の位置に合わせて貫通孔とするか切り込みとするかを適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0019】
リフレクタ部材13は、樹脂材料からなる成形品とされ、第1リフレクタ部41と、第2リフレクタ部42と、第3リフレクタ部43と、第4リフレクタ部44(
図2、
図6等参照)と、が一体的に設けられている。各リフレクタ部(41から44)は、対応する光源(31から34)を覆うように湾曲された形状とされた反射面Rsを有し、その各反射面Rsが対応する光源(31から34)から出射された光を投影レンズ14側へと反射する。この各反射面Rsは、各リフレクタ部(41から44)の内側に設けられている。各反射面Rsは、対応する光源(31から34)(その中心位置またはその近傍)を第1焦点とし、対応する投影レンズ14の後述するレンズ部(51から54)の近傍を第2焦点とする楕円を基本とした椀状の自由曲面とされている。これにより、各リフレクタ部(41から44)は、第1焦点の近傍の各光源(31から34)から出射された光を、効率よく対応するレンズ部(51から54)へと進行させることができる。この各リフレクタ部(41から44)の位置関係等については後述する。
【0020】
リフレクタ部材13には、
図2、
図6、
図7等に示すように、4つの位置決め突起13aと、3つのネジ孔13bと、が設けられている。各位置決め突起13aは、各リフレクタ部(41から44)からの光路を阻害しない位置で上下方向の下側に突出された棒状とされている。各ネジ孔13bは、各リフレクタ部(41から44)からの光路を阻害しない位置で対応する位置決め突起13aの近傍に設けられ、ネジ24を捻じ込んで固定することが可能とされている。
【0021】
リフレクタ部材13は、光源取付部21との間に光源部12を介在させた状態で、各位置決め突起13aにより位置決めされつつ各ネジ孔13bにネジ24が捻じ込まれることにより、取付部材11に固定される。すると、光源部12は、取付部材11の光源取付部21の上面(21a)に固定されるので、その上面(21a)が、光源部12(その各光源(31から34))およびリフレクタ部材13の各リフレクタ部(41から44)が取り付けられる取付部21aとなる(
図3、
図4等参照)。これにより、光源部12は、取付部21a上において、基板36に実装された各光源(31から34)を、それぞれが対応するリフレクタ部(41から44)に対向させる(
図6、
図7等参照)。すると、光源部12では、取付部材11(光源取付部21)の取付部21aに設けられた3つの遮光壁23が、基板36の対応する遮光壁スリット37に通されることで、第1光源31、第2光源32、第4光源34のそれぞれの前方に突出される(
図3、
図4等参照)。各遮光壁23は、第1光源31、第2光源32、第4光源34からの光のうち、投影レンズ14の対応する箇所(後述する各レンズ部(51、52、54))へと直接向かった後に後述するすれ違い用配光パターンLPにおけるカットオフラインCLの上方へと進行する光を遮る。これにより、光源部12では、第1光源31、第2光源32、第4光源34からの光が、後述するすれ違い用配光パターンLPにおけるカットオフラインCLの上方を照らすことを防止できる。
【0022】
ここで、車両用灯具10では、後述するように、各レンズ部(51から54)が対応するリフレクタ部(41から44)の各反射面Rsの奥壁箇所(41cから44c)(その近傍の所定の領域)の複数の配光像を適宜重ねて形成することにより配光パターンPを形成する。このため、車両用灯具10では、リフレクタ部で反射された光がカットオフラインCLよりも上方へと光が向かうことは防止されている。しかしながら、車両用灯具10は、対応する光源(31から34)から直接投影レンズ14へと向かう光が、カットオフラインCLよりも上方へと向かう虞がある。そして、車両用灯具10では、後述するように、第1光源31、第2光源32、第4光源34からの光ですれ違い用配光パターンLPを形成するので、カットオフラインCLよりも上方へと光が向かうことは好ましくない。このため、車両用灯具10では、第1光源31、第2光源32、第4光源34の前方に各遮光壁23を設けることにより、上記のようにカットオフラインCLよりも上方へと光が向かうことを遮ることができ、後述するようにすれ違い用配光パターンLPを適切に形成できる。
【0023】
また、光源部12は、上記のようにリフレクタ部材13が取付部材11に固定されると、基板36に設けられたコネクタ端子35を、幅方向で隣り合わせられた第1リフレクタ部41と第2リフレクタ部42との間に位置させる(
図8参照)。ここで、第1リフレクタ部41と第2リフレクタ部42とは、それぞれが椀状とされるとともに、互いの開放端41b、42bを隣接させているので、互いの奥壁箇所41c、42cの間には隙間が形成されている。コネクタ端子35は、この両奥壁箇所41c、42cの近傍に形成された隙間を利用することで、幅方向で隣接する第1リフレクタ部41と第2リフレクタ部42との間に配置されている。このため、コネクタ端子35は、取付部21a上を効率よく利用して設けることができ、大型化を抑制できる。
【0024】
このリフレクタ部材13では、3つの区画壁部25が設けられている。各区画壁部25は、投影レンズ14の後述する第1レンズ部51と第2レンズ部52との間と、第2レンズ部52と第3レンズ部53との間と、第3レンズ部53と第4レンズ部54との間と、に位置されており、上下方向に伸びる板状とされている。この各区画壁部25は、後述する各照射ユニット(61から64)を通る光が隣接する他の照射ユニットへと進行することを防止する。
【0025】
投影レンズ14は、
図6から
図9等に示すように、リフレクタ部材13(その各反射面Rs)で反射された光を車両の前方へ投影し、所定の配光パターンを形成する。この投影レンズ14は、樹脂材料からなる成形品とされており、第1レンズ部51と、第2レンズ部52と、第3レンズ部53と、第4レンズ部54(
図2等参照)と、が一体的に設けられている。各レンズ部(51から54)は、対応するリフレクタ部(41から44)と対向する位置、すなわち対応する光源(31から34)からの光がリフレクタ部(41から44)により反射される方向に位置されている。具体的には、投影レンズ14では、幅方向において、車両の内側(
図7では右側で、
図8では左側)から、第4レンズ部54、第1レンズ部51、第2レンズ部52、第3レンズ部53の順に互いに隣接して設けられている。
【0026】
この各レンズ部(51から54)は、対応するリフレクタ部(41から44)の後述する奥壁箇所(41bから44b)の近傍に焦点(後側焦点)が位置されている。各レンズ部(51から54)は、対応するリフレクタ部(41から44)からの光を照射することで、車両用灯具10による照射の中心位置Oを原点として水平線Hと鉛直線Vとが交差するスクリーン上において、光学特性に応じた位置に奥壁箇所(41bから44b)(その近傍の所定の領域)の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、各レンズ部(51から54)の曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではその曲率を漸次的に変化させて設定されている。
【0027】
第1レンズ部51は、凸レンズとされ、第2レンズ部52は、凹レンズとされ、第3レンズ部53は、凹レンズとされ、第4レンズ部54は、凹レンズとされている。そして、第4レンズ部54および第1レンズ部51は、幅方向に伸びるものとされている。第2レンズ部52は、外側に向かうに連れて後側に変位するように第1レンズ部51によりも少し後側へと傾けられている。第3レンズ部53は、外側に向かうに連れて後側に変位するように第2レンズ部52によりも大きく後側へと傾けられている。実施例1の第3レンズ部53は、その軸線が第3リフレクタ部43の後述する第3投影光軸Lp3と一致されており、前後方向に対して40度から80度の間で外側へと傾けられ、実施例1ではこの傾きが60度とされている。これにより、投影レンズ14は、全体として、幅方向で内側から外側へと向かうに従って前後方向の後側へと向かう(スラントする)ものとされ、アウターレンズ15(
図8参照)と同じような形状とされて一体感のある見た目にできる。
【0028】
ここで、実施例1の投影レンズ14において、第1レンズ部51は、第1出射面51aが略平滑な湾曲面とされつつ、第1入射面51bが第1光源31(第1リフレクタ部41)側に膨らむ凸面とされることで凸レンズとされている。また、第2レンズ部52は、第2出射面52aが略平滑な湾曲面とされつつ、第2入射面52bが第2光源32(第2リフレクタ部42)とは反対側に凹む凹面とされることで凹レンズとされている。さらに、第3レンズ部53は、第3出射面53aが略平滑な湾曲面とされつつ、第3入射面53bが第3光源33(第3リフレクタ部43)とは反対側に凹む凹面とされることで凹レンズとされている。そして、第4レンズ部54は、第4出射面54aが略平滑な湾曲面とされつつ、第4入射面54bが第4光源34(第4リフレクタ部44)とは反対側に凹む凹面とされることで凹レンズとされている。この各入射面(51bから54b)は、後述する各照射ユニット(61から64)における光学設定に応じて曲率が設定されている。
【0029】
そして、実施例1の投影レンズ14では、幅方向の内側から、第4出射面54aと第1出射面51aと第2出射面52aとを連続して並べて設けており、単一の湾曲面を形成している。ここで、単一の湾曲面とは、屈曲箇所がなく、曲率の変化が連続したものとされていることをいう。これにより、実施例1の投影レンズ14では、第1レンズ部51と第2レンズ部52と第4レンズ部54とが後述するように異なる光学特性とされているにも拘らず,第4出射面54aと第1出射面51aと第2出射面52aとが単一の面を形成しているように見せることができ、見栄えを向上させている。
【0030】
加えて、実施例1の投影レンズ14では、第3レンズ部53の第3出射面53aを、単一の湾曲面としている。また、実施例1の投影レンズ14では、第2レンズ部52(その第2出射面52a)と第3レンズ部53(その第3出射面53a)との間に屈曲面部55を設けている。この屈曲面部55は、第2レンズ部52の第2出射面52aと、第3レンズ部53の第3出射面53aと、の間に屈曲しつつ連続する箇所を形成している。すなわち、第2出射面52aと第3出射面53aとは、それぞれが異なる方向へと延びる単一の湾曲面とされているが、それらが屈曲面部55により方向を変化させつつ連続するものとされている。これにより、投影レンズ14では、4つの出射面(51aから54a)を、凹凸がなく滑らかな2つの湾曲面で構成された全体として纏まりのある一体のデザインとしつつ、外側へと向かうに従って後側へと向かう(スラントする)ものにできる。また、投影レンズ14では、第2レンズ部52を後述する第2照射ユニット62の第2投影光軸Lp2と略直交するものとしつつ、第3レンズ部53を後述する第3照射ユニット63の第3投影光軸Lp3と略直交するものにできる。
【0031】
また、実施例1の投影レンズ14では、第2レンズ部52から第3レンズ部53の入射面側において、滑らかに連続しつつ緩やかに湾曲された共通の基準曲線が設定され、第2入射面52bと第3入射面53bとを基準曲線に対して凹む凹面としている。このため、第2入射面52bと第3入射面53bとは、間に段差を生じさせることなく隣り合わせることができ、段差に起因する光により各配光パターンP上に意図しない明暗が形成されることを防止できる。また、第2入射面52bと第3入射面53bとは、互いに凹面とされているので、一方の照射ユニットの入射面が凹面とされるとともに他方の照射ユニットの入射面が凸面とされていることと比較して、一方の照射ユニットからの光が他方の照射ユニットの入射面に入射することを抑制できる。
【0032】
投影レンズ14には、
図2から
図7等に示すように、2つの位置決め孔14aと、1つのネジ通し孔14bと、が設けられている。各位置決め孔14aは、幅方向で各レンズ部(51から54)が設けられた領域の外側の双方に1つずつ設けられており、リフレクタ部材13の対応する位置決め突起13aを嵌め入れることが可能とされている。ネジ通し孔14bは、ネジ24と通すことが可能とされている。この投影レンズ14は、リフレクタ部材13の各位置決め突起13aが位置決め孔14aに通されつつ、ネジ通し孔14bに通されたネジ24がリフレクタ部材13のネジ孔13bに捻じ込まれることにより、取付部材11(レンズ取付部22)とリフレクタ部材13との間に取り付けられる。これにより、投影レンズ14は、各レンズ部(51から54)が対応するリフレクタ部(41から44)に対向される位置関係とされる。
【0033】
次に、各リフレクタ部(41から44)の位置関係等について説明する。先ず、各リフレクタ部(41から44)は、対応する光源(31から34)やレンズ部(51から54)と協働して、それぞれが所定の配光パターンを形成する照射ユニットを形成する。詳細には、第1リフレクタ部41は、第1光源31と第1レンズ部51とで第1照射ユニット61を構成し、第2リフレクタ部42は、第2光源32と第2レンズ部52とで第2照射ユニット62を構成する。また、第3リフレクタ部43は、第3光源33と第3レンズ部53とで第3照射ユニット63を構成し、第4リフレクタ部44は、第4光源34と第4レンズ部54とで第4照射ユニット64を構成する。
【0034】
ここで、各照射ユニット(61から64)では、それぞれのリフレクタ部(41から44)の軸線をそれぞれにおける投影光軸Lpとしている。その軸線(各投影光軸Lp)は、各反射面Rsにおいて基本とした楕円の長径としている。以下では、第1照射ユニット61の軸線を第1投影光軸Lp1とし、第2照射ユニット62の軸線を第2投影光軸Lp2とし、第3照射ユニット63の軸線を第3投影光軸Lp3とし、第4照射ユニット64の軸線を第4投影光軸Lp4とする(
図7参照)。
【0035】
第1照射ユニット61では、
図6から
図8等に示すように、第1リフレクタ部41が、幅方向で中央側に設けられており、その第1投影光軸Lp1が前後方向に一致されている。この第1投影光軸Lp1は、車両用灯具10における投影光軸Lpとしても機能する。この第1リフレクタ部41は、水平面上において椀状とされて光が出射される開放端41aが前後方向の前側に位置され、椀状の頂点となる奥壁箇所41bが前後方向の後側に位置されている。第1リフレクタ部41の前後方向の前側すなわち第1投影光軸Lp1上には、投影レンズ14の第1レンズ部51が位置されている。
【0036】
この第1リフレクタ部41では、奥壁箇所41bの下端がカットオフ形成面41cとされている(
図3、
図4等参照)。このカットオフ形成面41cは、カットオフラインCLを形成するために、下端が高さの異なる2つの水平エッジが傾斜エッジで繋ぎ合わされた形状とされている。第1リフレクタ部41は、
図6に示すように、その反射面Rsの第1焦点(その近傍)に位置する第1光源31からの光を、第1レンズ部51へ向けて反射する。その第1レンズ部51は、
図6、
図7に示すように、第1リフレクタ部41で反射された光を第1投影光軸Lp1方向へと投影する。このとき、第1レンズ部51は、凸レンズとされているので、第1リフレクタ部41からの光を集光させつつ、第1投影光軸Lp1方向へと進行させる。なお、カットオフ形成面41cは、車両用灯具10が車両の左側に設けられるものの場合でも、その傾斜の方向および高さの関係は幅方向で反転されない。すなわち、車両用灯具10は、車両の右側と左側とで幅方向で反転されたものとされるが、カットオフ形成面41cの傾斜に関しては互いに等しい向きとされる。
【0037】
これにより、第1照射ユニット61は、
図10に示すように、上記のスクリーン上において、第1光源31からの光を集光した集光配光パターンとしての第1配光パターンP1を形成する。この第1配光パターンP1は、高さの異なる2つの水平エッジが傾斜エッジで繋ぎ合わされたカットオフラインCLが上側に設けられている。第1配光パターンP1は、投影光軸Lp上にカットオフラインCLを位置させるとともに、そのカットオフラインCLの下方に光を集めて明るさが強調され、カットオフラインCLの明暗を明確とされている。
【0038】
第2照射ユニット62では、
図3から
図5等に示すように、第2リフレクタ部42が、第1リフレクタ部41と幅方向の外側で隣り合って設けられている。第2リフレクタ部42は、その第2投影光軸Lp2が前後方向に一致されるまたは前後方向よりも外側に僅かに傾けられている。この第2リフレクタ部42は、開放端42aが前後方向の前側に位置され、椀状の頂点となる奥壁箇所42bが前後方向の後側に位置されている。第2リフレクタ部42の第2投影光軸Lp2上には、投影レンズ14の第2レンズ部52が位置されている。この第2レンズ部52は、第1レンズ部51よりも幅方向の外側でその第1レンズ部51と隣り合わされている。
【0039】
第2リフレクタ部42は、
図9に示すように、その反射面Rsの第1焦点(その近傍)に位置する第2光源32からの光を、第2レンズ部52へ向けて反射する。その第2レンズ部52は、
図7に示すように、第2リフレクタ部42で反射された光を第2投影光軸Lp2へと投影する。このとき、第2レンズ部52は、凹レンズとされつつ第2投影光軸Lp2が外側に少し傾けられているので、第2リフレクタ部42からの光を拡散させつつ、第2投影光軸Lp2方向すなわち投影光軸Lp(第1投影光軸Lp1)よりも幅方向で少し外側(
図7、
図9では左側)へと進行させる。実施例1の第2レンズ部52では、凹面とされた第2入射面52bの凹みの度合い、すなわち第2入射面52bの曲率が、第3入射面53bよりも小さいとともに、第4入射面54bよりも大きくされている。
【0040】
これにより、第2照射ユニット62は、
図11に示すように、上記のスクリーン上において、第2光源32からの光を大きく拡散した大拡散配光パターンとしての第2配光パターンP2を形成する。この第2配光パターンP2は、明るさの中心を投影光軸Lpよりも幅方向の外側(右側)に位置させている。第2配光パターンP2は、第1配光パターンP1のカットオフラインCLの下方において、部分的に第1配光パターンP1に重複させつつその外側に大きく拡がるとともに第1配光パターンP1よりも広範な領域を明るくされている。
【0041】
第3照射ユニット63では、
図6から
図8等に示すように、第3リフレクタ部43が、幅方向で第1リフレクタ部41と第2リフレクタ部42との間であって、前後方向で第1リフレクタ部41および第2リフレクタ部42の前側に設けられている。換言すると、第3リフレクタ部43は、第1リフレクタ部41(その開放端41a)および第2リフレクタ部42(その開放端42a)と前後方向で接触する位置まで前方に位置されることにより、幅方向で隣接する第1リフレクタ部41と第2リフレクタ部42との間に位置されている。この第3リフレクタ部43は、その第3投影光軸Lp3が前後方向に対して40度から80度の間で外側へと傾けられており、実施例1ではこの傾きが60度とされている。
【0042】
この第3リフレクタ部43は、水平面上において椀状とされて光が出射される開放端43aが前後方向の前側に位置され、椀状の頂点となる奥壁箇所43bが前後方向の後側に位置されている。第3リフレクタ部43と対向する位置すなわち第3投影光軸Lp3上には、投影レンズ14の第3レンズ部53が位置されている。この第3レンズ部53は、上記のように幅方向で第2レンズ部52よりも外側に位置されている。これは、第3リフレクタ部43は、第3投影光軸Lp3が外側に60度傾斜されていることによる。このように、幅方向において、第2リフレクタ部42と第3リフレクタ部43との並びの順番と、第2レンズ部52と第3レンズ部53との並びの順番と、が逆転されている。このため、第2照射ユニット62と第3照射ユニット63とは、互いの光路(両投影光軸Lp2、Lp3)が交差されている。
【0043】
また、第3リフレクタ部43は、第3投影光軸Lp3が大きく傾斜されることにより、第1リフレクタ部41や第2リフレクタ部42に対して、大きく外側に傾けた姿勢とされている。このため、第3リフレクタ部43では、奥壁箇所43bの近傍(第3光源33)が、第1光源31の前後方向の前側に位置されている。ここで、第1照射ユニット61では、第1光源31からの有効な光が第1リフレクタ部41で反射されて第1レンズ部51へと進行する軌跡が、第1配光パターンP1を形成するための光路となる。その第1照射ユニット61の光路は、第1リフレクタ部41から第1レンズ部51へと至る中間位置で幅方向での寸法が小さくされている(
図9参照)。そして、第3リフレクタ部43は、第1照射ユニット61における光の進行を阻害することを可能な限り抑制できるように、第1照射ユニット61の光路の態様(上記した有効な光の軌跡)に合わせて、第1光源31の前側に配置されている。換言すると、第3リフレクタ部43は、第1照射ユニット61の光路を阻害することを抑制できるように、第1照射ユニット61の光路上での位置と大きさとが設定されている。
【0044】
また、第3リフレクタ部43では、開放端43b側の半分以上が、第2照射ユニット62の光路上、すなわち第2配光パターンP2を形成するために用いられる第2光源32からの有効な光が第2リフレクタ部42で反射されて第2レンズ部52へと進行する軌跡の上に位置されている。そして、第3リフレクタ部43では、一方の第2光源32側に光源側切欠部45が設けられているとともに、他方の第2レンズ部52側に反対側切欠部46が設けられている。この光源側切欠部45および反対側切欠部46は、第2リフレクタ部42で反射されて第2レンズ部52へ向かう第2光源32からの光の進行を阻害することを防ぐために、第3リフレクタ部43が部分的に切り欠かれて形成されている。実施例1の光源側切欠部45および反対側切欠部46は、第2投影光軸Lp2またはその近傍を中心として湾曲状に切り欠かれている。
【0045】
実施例1では、第2照射ユニット62の光路は、第2リフレクタ部42から第2レンズ部52へと至る中間位置で幅方向での寸法が小さくされている(
図9参照)。このため、光源側切欠部45は、反対側切欠部46よりも大きく切り欠かれたもの、すなわち反対側切欠部46よりも大きな曲率半径とされている。換言すると、第3リフレクタ部43では、第2照射ユニット62の光路を阻害することを抑制しつつ、第3リフレクタ部43における反射面Rsを可能な限り大きくするように、光源側切欠部45を大きく切り欠くものとし、それよりも反対側切欠部46を小さく切り欠くものとしている。これにより、両切欠部(45、46)は、第2照射ユニット62および第3照射ユニット63の双方の光路をバランスよく確保することを可能としており、第2配光パターンP2および第3配光パターンP3の双方を適切に形成することを可能としている。
【0046】
第3リフレクタ部43は、
図9に示すように、その反射面Rsの第1焦点(その近傍)に位置する第3光源33からの光を、第3レンズ部53へ向けて反射する。その第3レンズ部53は、
図7に示すように、第3リフレクタ部43で反射された光を第3投影光軸Lp3の方向へと投影する。このとき、第3レンズ部53は、凹レンズとされつつ第3投影光軸Lp3が外側に大きく傾けられているので、第3リフレクタ部43で反射された光を拡散させつつ、第3投影光軸Lp3方向すなわち投影光軸Lp(第1投影光軸Lp1)よりも幅方向で大きく外側(
図7、
図9では左側)へと進行させる。実施例1の第3レンズ部53では、他の凹面の入射面(52b、54b)と比較して、第3入射面53bの凹みの度合い、すなわち第3入射面53bの曲率が大きくされている。
【0047】
これにより、第3照射ユニット63は、
図12に示すように、上記のスクリーン上において、第3光源33からの光を拡散して第3配光パターンP3を形成する。この第3配光パターンP3は、明るさの中心を投影光軸Lpよりも大きく幅方向の外側(右側)に位置させている。第3配光パターンP3は、第2配光パターンP2と一部を重複させつつ、その幅方向の外側(右側)の広範な領域を明るくする。第3配光パターンP3は、後述するすれ違い用配光パターンLPの側方を照射することができ(
図15参照)、すれ違い用配光パターンLPだけでは死角となり得る位置を照らすことのできる所謂側方配光パターンとして機能する。この第3配光パターンP3は、実施例1では、中心位置O(投影光軸Lp)から水平線Hに沿って外側の30度から90度の範囲を明るくしている。
【0048】
第4照射ユニット64では、
図6から
図8等に示すように、第4リフレクタ部44が、第1リフレクタ部41の幅方向の内側でその第1リフレクタ部41と隣り合って設けられている。第4リフレクタ部44は、その第4投影光軸Lp4が前後方向に一致されるまたは前後方向よりも内側に僅かに傾けられている。この第4リフレクタ部44は、水平面上において椀状とされて光が出射される開放端44aが前後方向の前側に位置され、椀状の頂点となる奥壁箇所44bが前後方向の後側に位置されている。第4リフレクタ部44の前後方向の前側すなわち第4投影光軸Lp4上には、投影レンズ14の第4レンズ部54が位置されている。ここで、第4リフレクタ部44は、幅方向の内側で第1リフレクタ部41と隣り合わせており、第2レンズ部52は、幅方向の内側で第1レンズ部51と隣り合わせている。
【0049】
第4リフレクタ部44は、
図9に示すように、その反射面Rsの第1焦点(その近傍)に位置する第4光源34からの光を、第4レンズ部54へ向けて反射する。その第4レンズ部54は、
図7に示すように、第4リフレクタ部44で反射された光を第4投影光軸Lp4へと投影する。このとき、第4レンズ部54は、凹レンズとされつつ第4投影光軸Lp4が内側に少し傾けられているので、第4リフレクタ部44で反射された光を拡散させつつ、第4投影光軸Lp4方向すなわち投影光軸Lp(第1投影光軸Lp1)よりも幅方向で少し内側(
図7、
図9では右側)へと進行させる。実施例1の第4レンズ部54では、他の凹面の入射面(52b、53b)と比較して、凹面とされた第4入射面54bの凹みの度合い、すなわち第4入射面54bの曲率が小さくされている。
【0050】
これにより、第4照射ユニット64は、
図13に示すように、上記のスクリーン上において、第4光源34からの光を拡散した中拡散配光パターンとしての第4配光パターンP4を形成する。この第4配光パターンP4は、明るさの中心を投影光軸Lpよりも幅方向の内側(左側)に位置させている。第4配光パターンP4は、第1配光パターンP1のカットオフラインCLの下方において、第1配光パターンP1の略全域を含みつつその左側に大きく拡がるとともに第1配光パターンP1よりも広範な領域を明るくする。
【0051】
車両用灯具10は、第1光源31、第2光源32、第4光源34を点灯させて、第1配光パターンP1と第2配光パターンP2と第4配光パターンP4とを同時に形成して重ねることにより、
図14に示すように、すれ違い用配光パターンLPを形成できる。このすれ違い用配光パターンLPは、投影光軸Lp上にカットオフラインCLを有し、投影光軸Lpの近傍を最も明るくしつつカットオフラインCLの下方で幅方向に大きな領域を明るくできる。
【0052】
そして、車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPを形成した状態において、第3光源33を点灯させて第3配光パターンP3を形成することにより、
図15に示すように、すれ違い用配光パターンLPに一部を重複させつつその外側(
図15では右側)を明るくできる。これにより、車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPに加えて、その右側の広い範囲の視界を確保させることができる。ここで、車両用灯具10は、搭載された車両のステアリングが右に大きく切られる操作や、右側のウインカーを点灯させる操作が為されると、それらの操作に連動して第3光源33を点灯させるものとすることで、車両の動作に応じて自動で広い範囲の視界を確保させることができ、運転を適切に支援できる。また、車両用灯具10は、車両に設けられた第3光源33を点灯させるための操作部への操作に応じて第3光源33を点灯させて第3配光パターンP3を形成するものとしてもよい。さらに、車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPを形成する際には、第3配光パターンP3を常時形成するものとしてもよい。なお、車両用灯具10は、車両の左側に設けられている場合には、ステアリングが左に大きく切られる操作や、左側のウインカーを点灯させる操作に連動して、すれ違い用配光パターンLPの左側に第3配光パターンP3を形成することとなる。
【0053】
この車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPを形成する第1照射ユニット61、第2照射ユニット62、第4照射ユニット64に加えて、第3配光パターンP3を形成する第3照射ユニット63を一体として構成している。このため、車両用灯具10は、車両への搭載時に各照射ユニット(61から64)間での位置決めの調整作業をなくすことができるとともに、その各照射ユニット(61から64)の相対的な位置関係の精度を高めることができる。また、車両用灯具10は、各照射ユニット(61から64)を個別に車両に搭載する場合と比較して、取り付けるための部品を低減できるとともに、その取付作業を簡易なものにできる。
【0054】
また、車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPを形成するために、投影レンズ14において、第1光源31からの光を集光して第1配光パターンP1を形成する第1レンズ部51と、第2光源32からの光を拡散して第2配光パターンP2を形成する第2レンズ部52と、を設けている。車両用灯具10は、内側の第1レンズ部51でカットオフラインCLを有する第1配光パターンP1と、それよりも外側の第2レンズ部52で形成した第2配光パターンP2と、を同時に形成することで、すれ違い用配光パターンLP(実施例1では第4配光パターンP4も)を形成する。このように、車両用灯具10は、内側に位置されて幅方向に伸びる第1レンズ部51からの光でカットオフラインCLを形成するので、車両の前方に形成されるすれ違い用配光パターンLPにおけるカットオフラインCLを明確に形成することを容易なものにできる。また、車両用灯具10は、第1レンズ部51よりも外側の第2レンズ部52からの光で第2配光パターンP2を形成するので、その第2配光パターンP2を第1配光パターンP1よりも大きなものすることを容易なものにできる。これらは、内側の第1レンズ部51の方が車両の前方に位置するカットオフラインCLの周辺に光を集めるのに有利であり、外側の第2レンズ部52の方が第1配光パターンP1に少なくとも一部を重複させつつ拡散させるのに有利であることによる。このため、車両用灯具10は、その第1配光パターンP1と第2配光パターンP2とを同時に形成することで、カットオフラインCLを強調しつつ大きな領域を照射する適切なすれ違い用配光パターンLPを形成できる。
【0055】
さらに、車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPの側方を照射する第3配光パターンP3を形成する第3照射ユニット63を設け、投影レンズ14において、第2レンズ部52の幅方向の外側に第3レンズ部53を隣接させて設けている。このため、車両用灯具10は、第2光源32から第2レンズ部52へと向かう光路と、第3光源33から第3レンズ部53へと向かう光路と、を交差させることができる。これにより、車両用灯具10は、第2光源32よりも内側の第3光源33からの光を、第2レンズ部52よりも外側の第3レンズ部53から出射させて第3配光パターンP3を形成するので、その第3配光パターンP3を第1配光パターンP1や第2配光パターンP2の外側に位置させることを容易なものにできる。これらのことから、車両用灯具10は、カットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンLPと、その側方の第3配光パターンP3と、を適切に形成できる。
【0056】
ついで、車両用灯具10は、投影レンズ14において、幅方向で内側から外側へと向かうに従って前後方向の後側へと向かう(スラントする)ものとしている。このため、車両用灯具10は、第1照射ユニット61や第4照射ユニット64よりも、第2照射ユニット62における第2リフレクタ部42と第2レンズ部52との間隔を小さくできるので、第2レンズ部52の焦点距離を小さくできる。これにより、第2照射ユニット62は、第1照射ユニット61の位置に配置された場合と比較して、第2光源32からの光を拡散させ易くできる。加えて、第2照射ユニット62は、第2レンズ部52を第1レンズ部51よりも少し後側へと傾けているので、明るさの中心を投影光軸Lpよりも幅方向の外側に位置させつつ大きく拡がる第2配光パターンP2を形成することを容易なものにできる。
【0057】
加えて、車両用灯具10は、投影レンズ14を上記のようにスラントさせることにより、第2照射ユニット62よりも、第1照射ユニット61における第1リフレクタ部41と第1レンズ部51との間隔を大きくできるので、第1レンズ部51の焦点距離を大きくできる。このため、第1照射ユニット61は、第2照射ユニット62よりも内側に配置することにより、第2照射ユニット62の位置に配置された場合と比較して、第1光源31からの光を集光させ易くできる。加えて、第1照射ユニット61は、第1レンズ部51を幅方向に沿うものとしているので、光を集めて明るさを強調してカットオフラインCLを明確とした第1配光パターンP1を、明るさの中心を投影光軸Lpの近傍に形成することを容易なものにできる。
【0058】
車両用灯具10は、取付部材11の取付部21aにおいて、幅方向で第1リフレクタ部41と第2リフレクタ部42とを隣り合って設けるとともに、幅方向でそれらの間であって前後方向の前側に第3リフレクタ部43を設けている。このため、車両用灯具10は、3つのリフレクタ部(41、42、43)を単純に幅方向に並べるのではなく、前後方向にもずらして配置することにより、取付部21a上を効率よく利用して設けることができ、大型化を抑制できる。
【0059】
特に、車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPの側方を照射する第3配光パターンP3を形成する第3リフレクタ部43の第3投影光軸Lp3を、前後方向に対して外側に60度傾けている。そして、車両用灯具10は、すれ違い用配光パターンLPを形成するために投影光軸(Lp1、Lp2)を前後方向に略沿うものとしている第1リフレクタ部41および第2リフレクタ部42よりも、第3リフレクタ部43を前方に設けている。これにより、車両用灯具10は、3つの照射ユニット(61から63)からの光の出射位置を近接させることができる。このため、車両用灯具10は、投影レンズ14における3つのレンズ部(51から53)を隣接させることができ、各レンズ部が間隔を置いて設けられる場合と比較して、コンパクトな構成にできるとともに見栄えを向上させることができる。ここで、車両用灯具10では、各レンズ部(51から54)の間に区画壁部25を設けているが、この各区画壁部25は、各照射ユニット(61から64)を通る光が隣接する他の照射ユニットへと進行することを防止するものであって間隔を置くものではなく、見栄えを低下させることは抑制されている。
【0060】
車両用灯具10は、
図5等に示すように、3つのリフレクタ部(41、42、43)の位置関係に伴って、それぞれに対応する3つの光源(31、32、33)を基板36上において三角形を描く位置関係としている。そして、車両用灯具10は、そのうちの第1光源31の前後方向の前側に設けた遮光壁23と遮光壁スリット37とを、第1光源31と第3光源33とを結ぶ直線SL上に位置させている。また、車両用灯具10は、そのうちの第2光源32の前後方向の前側に設けた遮光壁23と遮光壁スリット37とを、第2光源32と第3光源33とを結ぶ直線SL上に位置させている。そして、各遮光壁23は、自らが形成されることにより、光源取付部21において貫通孔を形成している。加えて、第1光源31と第2光源32とに対応された2つの遮光壁スリット37は、基板36において貫通孔とされている。
【0061】
ここで、取付部材11は、光源部12すなわち各光源(31から34)で発生する熱を外部に逃がすヒートシンクとして機能するものであり、各光源(31から34)からの熱が基板36を経て放射方向へと伝達されて、全体から放熱させることとなる。このとき、取付部材11では、第1光源31と第3光源33との間において、遮光壁23および遮光壁スリット37により貫通孔が設けられているので、両光源31、33からの熱を分断することができる。同様に、取付部材11では、第2光源32と第3光源33との間において、遮光壁23および遮光壁スリット37により貫通孔が設けられているので、両光源32、33からの熱を分断することができる。これらのことから、取付部材11は、第1光源31と第3光源33との熱が干渉することを抑制できるとともに、第2光源32と第3光源33との熱が干渉することを抑制でき、全体を効率よく利用して放熱できる。加えて、各遮光壁23は、遮光壁スリット37を経て基板36よりも上下方向の上側へと突出する板状とされているので、各光源(主に31から33)からの熱を上方へと逃がす対流を形成することができ、放熱作用を促進させることができる。これらのことから、車両用灯具10は、各遮光壁23および各遮光壁スリット37を設けていることにより、光源部12すなわち各光源(31から34)で発生する熱を、効率よく外部に逃がすことができる。
【0062】
ここで、従来の車両用灯具の技術の課題について説明する。従来の車両用灯具は、すれ違い配光ユニットを設けることにより、所望の配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンを形成する。この従来の車両用灯具は、すれ違い配光ユニットにおいて、光源からの光の一部をシェードで遮ることにより、すれ違い用配光パターンを形成する。この従来の車両用灯具は、シェードを駆動機構が支持する構成とし、光源から投影レンズへと至る光路上と、その光路から外れた位置と、でシェードを移動可能としている。このように、従来の車両用灯具は、光源からの光の一部を遮るために、シェードと駆動機構とを設ける必要があり、構成の複雑化と部品点数の増加とを招いてしまう。
【0063】
これに対し、本開示の車両用灯具10は、取付部材11(その光源取付部21)の3つの遮光壁23を、光源部12の基板36の各遮光壁スリット37を通すことにより、3つの光源(31、32、34)の前後方向の前方に各遮光壁23を設けている。ここで、取付部材11は、光源部12で発生する熱を外部に逃がすために光源部12が取り付けられるものであるので、各遮光壁23を設けない場合であっても設けられることとなる。また、各遮光壁23は、取付部材11の取付部21aから上下方向の上側に突出して設けられているので、極めて簡易な構成である。さらに、基板36は、取付部材11の取付部21a上に取り付けられるものであり、そこに各遮光壁23を受け入れ可能に各遮光壁スリット37を設けるものなので、極めて簡易な構成である。これらのことから、車両用灯具10では、構成の複雑化と部品点数の増加とを招くことなく、各光源(31、32、34)の前方に遮光壁23を設けることができ、各光源からの光の一部を各遮光壁23により遮ることができる。このため、車両用灯具10は、各遮光壁23の位置や形状を形成する配光パターンに合わせて適宜設定することにより、所望の配光パターンを形成することができ、簡易な構成で部品点数の増加を招くことを防止できる。
【0064】
ここで、各遮光壁は、各光源の前方に設けるためには、基板上に設けることが考えられるが、基板上に設けることは困難である。そこで、各遮光壁は、基板の端縁に近い位置に設けることも考えられるが、複数の光源が前後方向および幅方向に点在して設けられると、各光源の前方の適切な位置に配置することが困難である。
これに対して、本開示の車両用灯具10は、ヒートシンクとして機能する取付部材11をアルミプレートで形成し、その一部をU字形状に切り欠いて折り曲げることとにより、各遮光壁23を形成している。そして、車両用灯具10は、基板36において、各遮光壁23を通すことのできる各遮光壁スリット37を設けている。これにより、車両用灯具10は、各光源(31、32、34)が点在された構成であっても、各遮光壁スリット37から各遮光壁23を突出させることにより、各光源の前方の適切な位置に各遮光壁23を配置することができる。このことから、車両用灯具10は、各光源と各遮光壁23とを接近させて配置することができ、全体としてコンパクトな構成としつつ、各遮光壁23により各光源からの光の一部を適切に遮光することができる。
【0065】
本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0066】
車両用灯具10では、取付部材11の取付部21aから突出して遮光壁23を設け、基板36において、光源(31、32、34)に対応する位置に遮光壁23を受け入れる遮光壁スリット37を設けている。このため、車両用灯具10は、遮光壁23を基板36の遮光壁スリット37を通すことにより、光源に対応する位置に遮光壁23を設けることができる。これにより、車両用灯具10は、構成の複雑化と部品点数の増加とを招くことなく、光源に対応させて遮光壁23を設けることができ、光源からの光の一部を遮光壁23により遮ることができ、所望の配光パターンを形成することができる。また、車両用灯具10は、遮光壁23を遮光壁スリット37を経て基板36よりも上下方向の上側へと突出する板状としているので、光源(31から33)からの熱を上方へと逃がす対流を形成することができ、放熱作用を促進させることができる。
【0067】
また、車両用灯具10では、取付部材11を部分的に折り曲げて遮光壁23を形成している。このため、車両用灯具10は、より簡易な構成で遮光壁23を設けることができる。
【0068】
さらに、車両用灯具10では、光源(31から34)とリフレクタ部(41から44)とを対を為して複数設け、遮光壁23を光源(31から33)に個別に対応して複数設け、遮光壁スリット(37a、37b)を複数の光源(31から34)を結ぶ直線SL上に位置させている。このため、車両用灯具10は、遮光壁スリット37が直線SL上に位置する2つの光源からの熱を分断することができ、双方の熱が干渉することを抑制でき、取付部材11の全体を効率よく利用して放熱できる。
【0069】
車両用灯具10では、光源(31から34)とリフレクタ部(41から44)とを対を為して複数設けている。また、車両用灯具10では、複数の光源が、少なくとも、幅方向で間隔を置いて設けられた第1光源31と第2光源32とを有するとともに、幅方向で第1光源31と第2光源32との間であってそれらよりも前後方向の前側に設けられた第3光源33を有する。そして、車両用灯具10では、遮光壁23が、第1光源31と第2光源32とに個別に対応して設けられている。このため、車両用灯具10は、第1光源31および第2光源32と第3光源33との間であって基板36が存在する位置であっても、第1光源31と第2光源32とのそれぞれに接近する位置に遮光壁23を設けることができる。これにより、車両用灯具10は、全体としてコンパクトな構成としつつ、各遮光壁23により第1光源31および第2光源32からの光の一部を適切に遮光することができる。
【0070】
車両用灯具10では、少なくとも3つずつの光源(31、32、33)とリフレクタ部(41、42、43)とを設け、その3つの光源(31から34)が基板36上において三角形を描く位置関係としている。このため、車両用灯具10は、第1光源31と第3光源33との間と、第2光源32と第3光源33との間と、のそれぞれに遮光壁23および遮光壁スリット37を位置させることができ、第3光源33に対して第1光源31および第2光源32からの熱を分断できる。これにより、車両用灯具10は、それらの熱が干渉することを抑制でき、取付部材11の全体を効率よく利用して放熱できる。
【0071】
車両用灯具10は、基板36に光源(31から34)への電力の供給を可能とするコネクタ端子35を設け、リフレクタ部(41から44)のうちの少なくとも2つを隣接して設け、隣接する2つのリフレクタ部(41、42)の間にコネクタ端子35を設けている。このため、車両用灯具10は、両リフレクタ部(41、42)の間の隙間を利用してコネクタ端子35を配置することができ、取付部21a上を効率よく利用することができ、大型化を抑制できる。
【0072】
車両用灯具10では、投影レンズ14が、リフレクタ部(41から44)における奥壁箇所(41cから44c)の配光像を投影することにより配光パターンPを形成する。このため、車両用灯具10は、対応する光源(31、32、34)から直接投影レンズ14へと向かう光が、カットオフラインCLよりも上方へと向かう虞があるが、光源の前方に各遮光壁23を設けることにより、カットオフラインCLよりも上方へと光が向かうことを遮ることができ、すれ違い用配光パターンLPを適切に形成できる。
【0073】
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、簡易な構成で部品点数の増加を招くことなく所望の配光パターンPを形成することができる。
【0074】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0075】
なお、上記した実施例1では、リフレクタ部材13と投影レンズ14とで光を制御して所定の配光パターンを形成しているが、リフレクタ部材のみで制御してもよく、投影レンズのみで制御してもよく、他の構成でもよく、上記した実施例1の構成に限定されない。
【0076】
また、上記した実施例1では、第1配光パターンP1と第2配光パターンP2と第4配光パターンP4とを同時に形成することで、すれ違い用配光パターンLPを形成するものとしている。しかしながら、第1配光パターンP1と第2配光パターンP2とですれ違い用配光パターンLPを形成するものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。この場合、第1配光パターンP1を主要なものとするとともに、第2配光パターンP2を補助的なものとしてもよい。すなわち、第1配光パターンP1は、すれ違い用配光パターンLPとして求められる法規を満たすものとすることができる。そして、第2配光パターンP2は、第1配光パターンP1と同時に形成されることにより、走行時の視界をより向上させるためにすれ違い用配光パターンLPの少なくとも一部を形成するものとすることができる。
【0077】
さらに、上記した実施例1では、4つの照射ユニット(61から64)を設けていたが、この照射ユニットの数は適宜設定すればよく、上記した実施例1の構成に限定されない。この他の一例として、3つの照射ユニット(61から63)を設けた例を、
図16、
図17に示す。この
図16、
図17の例の車両用灯具10´は、実施例1の構成から、第4照射ユニット64をなくしたものであり、これに伴って光源部12´の基板36´が小さなものとされている。車両用灯具10´は、第4照射ユニット64を設けていないことを除くと、基本的な構成は実施例1の車両用灯具10の構成であるので車両用灯具10と同一の符号を付して示している。この車両用灯具10´は、各遮光壁23および各遮光壁スリット37の構成が車両用灯具10と等しいので、車両用灯具10と同一の効果を得ることができる。
【0078】
上記した実施例1では、第3照射ユニット63には遮光壁23を設けていなかった。これは、第3照射ユニット63は、すれ違い用配光パターンLPの側方を照射する第3配光パターンP3を形成するものであるので、上方を照射しても対向車の乗員等を幻惑しないことによる。この第3照射ユニット63では、側方を照射する第3配光パターンP3であっても上方への光が問題となる場合には、他の照射ユニットと同様に遮光壁23を設けてもよい。ここで、第3照射ユニット63は、第3リフレクタ部43(第3光源33)を第1リフレクタ部41および第2リフレクタ部42よりも前方に設けている。このため、第3照射ユニット63では、対応する遮光壁23が、
図5に二点像線で示すように、基板36の外側に位置させることができる。この場合には、第3照射ユニット63の遮光壁23を受け入れるための遮光壁スリット37を設ける必要がなくなる。また、第3照射ユニット63では、対応する遮光壁23が、
図17に二点像線で示すように、基板36´に少しだけ重複する位置とある場合もある。この場合には、基板36´の外周縁部の一部を切り欠くように遮光壁スリット37´を設けてもよい。
【0079】
上記した実施例1では、板状の光源取付部21を部分的にU字形状に切り欠き、そのU字形状開放端に相当する箇所を折り曲げて各遮光壁23を形成している。しかしながら、各遮光壁は、取付部21aから上側へと突出する板状とされていればよく、実施例1の構成に限定されない。
10 車両用灯具 11 取付部材 21a 取付部 14 投影レンズ 23 遮光壁 31 第1光源 32 第2光源 33 第3光源 34 第4光源 35 コネクタ端子 36 基板 37 遮光壁スリット 41 第1リフレクタ部 41c 奥壁箇所 42 第2リフレクタ部 42c 奥壁箇所 43 第3リフレクタ部 43c 奥壁箇所 44 第4リフレクタ部 44c 奥壁箇所 LP すれ違い用配光パターン P1 第1配光パターン P2 第2配光パターン P3 第3配光パターン P4 第4配光パターン SL 直線