(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049902
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】運転支援装置、車両、運転支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/654 20180101AFI20240403BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240403BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06F8/654
G08G1/09 F
B60R16/02 660U
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156414
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】京嶋 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中塚 睦
【テーマコード(参考)】
5B376
5H181
【Fターム(参考)】
5B376AB01
5B376CA05
5B376CA32
5B376CA43
5B376CA76
5B376FA11
5B376GA08
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】車両に搭載された機能の更新を効率よく且つ安全に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】車両の運転支援を行う運転支援装置は、前記車両の現在位置を検出する検出手段と、前記車両に搭載された運転支援機能を更新するためのデータを取得する取得手段と、前記取得手段で取得されたデータによる前記運転支援機能の更新を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置に基づいて、前記運転支援機能が作動する可能性がある状況になるまでに前記更新が完了すると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転支援を行う運転支援装置であって、
前記車両の現在位置を検出する検出手段と、
前記車両に搭載された運転支援機能を更新するためのデータを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記データによる前記運転支援機能の更新を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置に基づいて、前記運転支援機能が作動する可能性がある状況になるまでに前記更新が完了すると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行する、ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記状況は、前記運転支援機能が作動する可能性のある候補箇所に前記車両が到達することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置に基づいて前記車両が前記候補箇所に到達すると予測される第1時刻と、前記更新が完了すると予測される第2時刻とを比較することにより、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了するか否かを判定する、ことを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1時刻の方が前記第2時刻よりも遅い場合に、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了すると判定する、ことを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置から前記候補箇所までの距離に応じて、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了するか否かを判定する、ことを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記距離が閾値以上である場合に、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了すると判定する、ことを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記運転支援機能は、特定道路での前記車両の走行を支援する走行支援機能である、ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記状況になるまでに前記更新が完了すると判定したことに加え、第1の追加条件を満たしていると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行し、
前記第1の追加条件は、前記特定道路以外の道路を走行中であることを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記第1の追加条件は、前記検出手段で検出された前記現在位置から前記特定道路の入口までの距離が第1所定値以上であることを更に含む、ことを特徴とする請求項8に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記運転支援機能は、前記車両の駐車を支援する駐車支援機能である、ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記状況になるまでに前記更新が完了すると判定したことに加え、第2の追加条件を満たしていると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行し、
前記第2の追加条件は、前記車両が特定道路を走行中であることを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記第2の追加条件は、前記検出手段で検出された前記現在位置から前記特定道路の出口または休憩施設までの距離が第2所定値以上であることを更に含む、ことを特徴とする請求項11に記載の運転支援装置。運転支援装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記車両のユーザが前記更新に必要な権利を有することを確認した場合に、前記更新を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の運転支援装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項15】
車両の運転支援を行う運転支援方法であって、
前記車両の現在位置を検出する検出工程と、
前記車両に搭載された運転支援機能を更新するためのデータを取得する取得工程と、
前記検出工程で検出された前記現在位置に基づいて、前記運転支援機能が作動する可能性がある状況になるまでに、前記取得工程で取得された前記データによる前記運転支援機能の更新が完了するか否かを判定する判定工程と、
前記状況になるまでに前記更新が完了すると前記判定工程で判定された場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行する更新工程と、
を含む、ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項16】
請求項15に記載の運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された機能は、OTA(Over The Air)等を用いて更新されうる。特許文献1には、アプリケーション(スマートフォン)を介する自動車ソフトウェアのアップデートにおいて、アプリケーションへのデータセット送信をプライオリティ(優先順位)付けする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、車両に搭載された機能の更新するための更新データの取得(ダウンロード)は、イグニッションがオンしている状態で行われうる。そして、取得した更新データによる機能の更新(有効化、インストール)は、当該機能が確実に停止している状態、即ち、イグニッションがオフしている状態で実行されうる。しかしながら、機能の更新の実行がイグニッション・オフの期間に限られると、更新データが配信されている複数の機能の全てに対して更新が完了するまでに相応の時間(例えば数日)を要し、次回のイグニッション・オンまでに一部の機能が更新されていないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、車両に搭載された機能の更新を効率よく且つ安全に行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての運転支援装置は、車両の運転支援を行う運転支援装置であって、前記車両の現在位置を検出する検出手段と、前記車両に搭載された運転支援機能を更新するためのデータを取得する取得手段と、前記取得手段で取得された前記データによる前記運転支援機能の更新を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置に基づいて、前記運転支援機能が作動する可能性がある状況になるまでに前記更新が完了すると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、車両に搭載された機能の更新を効率よく且つ安全に行うことが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】運転支援装置に搭載される複数種類の運転支援機能の一例を示す図
【
図5】運転支援機能の更新方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両Vおよびその制御装置CNTのブロック図である。
図1では、車両Vの概略が平面図と側面図とで示されている。本実施形態の車両Vは、一例として、セダンタイプの四輪の乗用車であり、例えばパラレル方式のハイブリッド車両でありうる。なお、車両Vは、四輪乗用車に限られるものではなく、鞍乗型車両(自動二輪車、自動三輪車)であってもよいし、トラックやバスなどの大型車両であってもよい。
【0011】
[車両の制御装置の構成]
制御装置CNTは、車両Vの運転支援を含む車両Vの制御を実行する電子回路であるコントローラ1を含む。コントローラ1は、複数のECU(Electronic Control Unit)を備える。ECUは例えば制御装置CNTの機能ごとに設けられる。各ECUは、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスには、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。インタフェースは、入出力インタフェースや通信インタフェースが含まれる。各ECUは、複数のプロセッサ、複数の記憶デバイスおよび複数のインタフェースを備えていてもよい。
【0012】
コントローラ1は、パワーユニット(パワープラント)2を制御することによって車両Vの駆動(加速)を制御する。パワーユニット2は、車両Vの駆動輪を回転させる駆動力を出力する走行駆動部であり、内燃機関、モータおよび自動変速機を含むことができる。モータは、車両Vを加速させる駆動源として利用可能であるとともに、減速時等において発電機としても利用可能である(回生制動)。
【0013】
本実施形態の場合、コントローラ1は、アクセルペダルAPに設けられた操作検知センサ2aやブレーキペダルBPに設けられた操作検知センサ2bにより検知した運転者の運転操作や車速等に対応して、内燃機関やモータの出力を制御したり、自動変速機の変速段を切り替えたりする。なお、自動変速機には車両Vの走行状態を検知するセンサとして、自動変速機の出力軸の回転数を検知する回転数センサ2cが設けられている。車両Vの速度は、回転数センサ2cの検知結果から演算可能である。
【0014】
コントローラ1は、油圧装置3を制御することによって車両Vの制動(減速)を制御する。ブレーキペダルBPに対する運転者の制動操作はブレーキマスタシリンダBMにおいて液圧に変換されて油圧装置3に伝達される。油圧装置3は、ブレーキマスタシリンダBMから伝達された液圧に基づいて、四輪にそれぞれ設けられたブレーキ装置3a(例えばディスクブレーキ装置)に供給する作動油の液圧を制御可能なアクチュエータである。
【0015】
コントローラ1は、油圧装置3が備える電磁弁等の駆動制御を行うことにより、車両Vの制動を制御することができる。また、コントローラ1は、ブレーキ装置3aによる制動力と、パワーユニット2が備えるモータの回生制動による制動力との配分を制御することにより、電動サーボブレーキシステムを構成することもできる。コントローラ1は、制動時にブレーキランプ3bを点灯させてもよい。
【0016】
コントローラ1は、電動パワーステアリング装置4を制御することによって車両Vの操舵を制御する。電動パワーステアリング装置4は、ステアリングホイールSTに対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。電動パワーステアリング装置4は、操舵操作のアシストあるいは前輪を自動操舵するための駆動力(操舵アシストトルクと表記することがある)を発揮するモータを含む駆動ユニット4a、操舵角センサ4b、運転者が負担する操舵トルク(操舵負担トルクと呼び、操舵アシストトルクと区別する。)を検知するトルクセンサ4c等を含む。
【0017】
コントローラ1は、後輪に設けられている電動パーキングブレーキ装置3cを制御する。電動パーキングブレーキ装置3cは、後輪をロックする機構を備える。コントローラ1は電動パーキングブレーキ装置3cによる後輪のロックおよびロック解除を制御可能である。
【0018】
コントローラ1は、車内に情報を報知する情報出力装置5を制御する。情報出力装置5は、例えば、運転者に対して画像により情報を報知する表示装置5a、および/または、運転者に対して音声により情報を報知する音声出力装置5bを含む。表示装置5aは、例えばインストルメントパネル、ステアリングホイールSTに設けられうる。表示装置5aはヘッドアップディスプレイであってもよい。情報出力装置5は、乗員に対して振動や光により情報を報知してもよい。
【0019】
コントローラ1は、入力装置6を介して乗員(例えば運転者)から指示入力を受け付ける。入力装置6は、運転者が操作可能な位置に配置され、例えば、運転者が車両Vに対して指示を行うスイッチ群6a、および/または、方向指示器(ウィンカ)を作動させるウィンカレバー6bを含む。
【0020】
コントローラ1は、車両Vの現在位置および進路(姿勢)を認識・判定する。本実施形態の場合、車両Vには、ジャイロセンサ7aと、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ7bと、通信装置7cとが設けられる。ジャイロセンサ7aは、車両Vの回転運動(ヨーレート)を検知する。GNSSセンサ7bは、車両Vの現在位置を検知する。また、通信装置7cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。本実施形態の場合、コントローラ1は、ジャイロセンサ7aおよびGNSSセンサ7bの検知結果に基づいて車両Vの進路を判定するとともに、当該進路に関する高精度な地図情報を通信装置7cを介してサーバから逐次取得してデータベース7d(記憶デバイス)に格納する。なお、車両Vには、車両Vの速度を検知する速度センサや、車両Vの加速度を検知する加速度センサなど、車両Vの状態を検知するためのセンサが設けられてもよい。
【0021】
コントローラ1は、車両Vに設けられた各種の検知ユニットの検知結果に基づいて車両Vの運転支援を実行する。車両Vには、車両Vの外部(周囲状況)を検知する外界センサである周囲検知ユニット8a~8bと、車内の状況(運転者の状態)を検知する車内センサである車内検知ユニット9a~9bとが設けられている。コントローラ1は、周囲検知ユニット8a~8bの検知結果に基づいて車両Vの周囲状況を把握し、当該周囲状況に応じて運転支援を実行することができる。また、コントローラ1は、車内検知ユニット9a~9bの検知結果に基づいて、運転支援を実行する際に運転者に課される所定の動作義務を運転者が行っているか否かを判定することができる。
【0022】
周囲検知ユニット8aは、車両Vの前方を撮影する撮像装置であり(以下、前方カメラ8aと表記することがある)、例えば車両Vのルーフ前部におけるフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。コントローラ1は、前方カメラ8aで撮影された画像を解析することにより、物標の輪郭抽出や道路上の車線の区画線(白線等)を抽出することができる。
【0023】
周囲検知ユニット8bは、ミリ波レーダであり(以下、レーダ8bと表記することがある)、電波を用いて車両Vの周囲の物標を検知し、物標までの距離や、車両Vに対する物標の方向(方位)を検知(計測)する。
図1に示す例では、レーダ8bは5つ設けられており、車両Vの前部の中央に1つ、前部の左右の各隅部に1つずつ、後部の左右の各隅部に1つずつ設けられている。
【0024】
なお、車両Vに設けられる周囲検知ユニットは、上記の構成に限られず、カメラの数およびレーダの数を変更してもよいし、車両Vの周囲の物標を検知するライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が設けられてもよい。
【0025】
車内検知ユニット9aは、車内を撮影する撮像装置であり(以下、車内カメラ9aと表記することがある)、例えば車内Vのルーフ前部における車室内側に取り付けられる。本実施形態の場合、車内カメラ9aは、運転者(例えば運転者の目や顔)を撮影するドライバーモニタカメラである。コントローラ1は、車内カメラ9aで撮影された画像(運転者の顔画像)を解析することにより、運転者の視線や顔の向きを判定することができる。
【0026】
車内検知ユニット9bは、運転者によるステアリングホイールSTの把持を検知する把持センサであり(以下、把持センサ9bと表記することがある)、例えばステアリングホイールSTの少なくとも一部に設けられる。なお、車内検知ユニットとしては、運転者の操舵トルクを検知するトルクセンサ4cが用いられてもよい。
【0027】
車両Vの運転支援としては、例えば、加減速支援と車線維持支援と車線変更支援とを挙げることができる。加減速支援は、パワーユニット2および油圧装置3を制御することにより、先行車との車間距離を保ちながら所定の車速内で車両Vの加減速を制御する運転支援(ACC:Adaptive Cruise Control)である。車線維持支援は、電動パワーステアリング装置4を制御することにより、車両Vを車線の内側に維持させる運転支援(LKAS:Lane Keeping Assist System)である。車線変更支援とは、電動パワーステアリング装置4を制御することにより、隣接車線へ車両Vの走行車線を変更する運転支援(ALC:Auto Lane Changing、ALCA:Active Lane Change Assist)である。また、コントローラ1で実行される運転支援は、油圧装置3を制御することにより道路上の物標(例えば歩行者や他車両、障害物)との衝突回避を支援する衝突軽減ブレーキ、ABS機能、トラクションコントロール、および/または、車両Vの姿勢制御を含んでもよい。
【0028】
車両Vの運転支援(加減速支援、車線維持支援、車線変更支援)は、手動運転モード、通常支援モードおよび拡張支援モードを含む複数の運転モードで実行される。
図2は、本実施形態の手動運転モード、通常支援モードおよび拡張支援モードの各々で実行される運転支援を示している。手動運転モードでは、加減速支援、車線維持支援および車線変更支援が実行されず、運転者によって車両Vの手動運転が行われる。
【0029】
手動運転モードにおいて、加減速支援(ACC)を設定する指示入力が入力装置6(例えばスイッチ群6a)を介して運転者によって行われた場合、加減速支援が開始され、手動運モードから通常支援モードに移行する。通常支援モードでは、加減速支援に加えて、車線維持支援(LKAS)を実行することができる。車線維持支援は、加減速支援の設定中に、車線維持支援を設定する指示入力が入力装置6(例えばスイッチ群6a)を介して運転者によって行われた場合に開始される。加減速支援および車線維持支援は、その設定を解除する指示入力が入力装置6(例えばスイッチ群6a)を介して運転者によって行われた場合に終了する。
【0030】
また、通常支援モードでは、周辺監視やハンドル把持などの所定の動作義務が運転者に課される。車内検知ユニット9bの検知結果に基づいて、運転者が所定の動作義務を行っていないと判定された場合には、所定の動作義務を行うことを促すための通知が情報出力装置5を介して行われる。
【0031】
通常支援モードの実行中に特定道路の走行が開始された場合、高精度な地図情報が通信装置7cによって取得される。そして、高精度な地図情報と前方カメラ8aで撮影された画像とのマッチングが成功した場合、通常支援モードから拡張支援モードに自動的に移行する。特定道路とは、高精度な地図情報の提供を行っている道路であり、例えば高速道路や自動車専用道路などが挙げられる。高精度な地図情報は、特定道路のルートや位置などの通常の情報に加えて、特定道路におけるカーブの有無や曲率、車線の増減、勾配など、特定道路の詳細な形状に関する情報を含む。通常支援モードから拡張支援モードに移行した場合、例えばステアリングホイールSTに設けられた表示装置5aの発光色を変更するなど、情報出力装置5により、拡張支援モードに移行したことを示す通知が行われる。
【0032】
拡張支援モードでは、高精度な地図情報と連携した加減速支援(および車線維持支援)が行われる。例えば、コントローラ1は、高精度な地図情報に基づいて、例えば、カーブの手前や車線が減少する地点の手前で車両Vを減速させたり、カーブの曲率に応じて車両Vの速度を調整したりといった、通常支援モードより高度な加減速支援を行うことができる。なお、拡張支援モードにおいても、通常支援モードと同様に、周辺監視やハンドル把持などの所定の動作義務が運転者に課される。車内検知ユニット9bの検知結果に基づいて、運転者が所定の動作義務を行っていないと判定される場合には、所定の動作義務を行うことを促すための通知が情報出力装置5を介して行われる。
【0033】
また、拡張支援モードでは、車線変更支援を更に実行可能である。本実施形態の場合、車線変更支援は、コントローラ1の判断によって自動的に車線変更を行うシステム主導の車線変更支援(ALC:Auto Lane Changing)と、運転者の指示入力に応じて自動的に車線変更を行う運転者主導の車線変更支援(ALCA:Active Lane Change Assist)とを含む。なお、システム主導の車線変更支援(ALC)および運転者主導の車線変更支援(ALCA)のどちらにおいても、車線変更支援を行う際には、周辺監視やハンドル把持などの所定の動作義務が運転者に課される。
【0034】
システム主導の車線変更支援(ALC)は、拡張支援モードにおいてALCを設定する指示入力が入力装置6(例えばスイッチ群6a)を介して運転者によって行われた場合に開始される。ALCの設定中では、コントローラ1は、高精度な地図情報(車線の増減や分岐などの情報)に基づいて、運転者により事前に設定された目的地に到着するために車線変更を実行する必要があるか否かを逐次判定し、車線変更を実行する必要があると判定した場合に車線変更を自動的に行う。ALCの設定中では、コントローラ1の判定に応じて1回以上の車線変更を実行可能である。ALCは、目的地に到着した場合、或いは特定道路が終了した場合に終了する。ALCは、設定を解除する指示入力が入力装置6(例えばスイッチ群6a)を介して運転者によって行われた場合に終了してもよい。
【0035】
運転者主導の車線変更支援(ALCA)は、運転者の指示入力に応じて1回の車線変更を行うものであり、拡張支援モードにおいてALCAの実行を指示する指示入力が入力装置6(例えばウィンカレバー6b)を介して運転者によって行われた場合に実行される。ALCAでは、運転者は、入力装置6(ウィンカレバー6b)を介して車線変更を要求する方向の指示入力を行うことが可能であり、コントローラ1は、運転者により指示入力された方向の隣接車線への車線変更を自動的に行う。ALCAは、本実施形態では高精度な地図情報に基づいて実行されうるが、それに限られず、高精度な地図情報を用いずに実行されてもよい。また、ALCAは、システム主導の車線変更支援(ALC)の設定中においても実行可能である。
【0036】
[運転支援装置の構成]
以下、本実施形態の運転支援装置10の構成例について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、運転支援装置10の構成例を示すブロック図であり、前述した制御装置CNTから本発明に特に関連する構成・機能を抽出したものである。本実施形態の運転支援装置10は、車両Vの運転支援を行う装置であり、例えば、周囲検知部11と、車内検知部12と、受付部13と、情報出力部14と、状態検出部15と、取得部16と、支援制御部17とを備えうる。運転支援装置10の各部11~17は、システムバスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0037】
周囲検知部11は、
図1に示す前方カメラ8aおよびレーダ8bを含み、車両Vの周囲状況を検知する。本実施形態の場合、周囲検知部11は、車両Vの周囲における物標(例えば障害物や他車両、歩行者)を検知するとともに、検知した物標までの距離、および、車両Vに対する物標の位置・方向を計測することもできる。
【0038】
車内検知部12は、
図1に示す車内カメラ9aおよび把持センサ9bを含み、車両Vの運転者の状態を検知する。本実施形態の場合、車内検知部12は、車内カメラ9aによって運転者(例えば運転者の目や顔)を撮影し、それにより得られた画像を解析することで、運転者の視線や顔の向きを検知することができる。また、車内検知部12は、把持センサ9bによって運転者のステアリングホイールSTの把持状態(即ち、ステアリングホイールSTを把持しているか否か)を検知することができる。
【0039】
受付部13は、
図1に示す入力装置6(スイッチ群6a、ウィンカレバー6b)を含み、各種の運転支援に関する設定を指示するための指示入力を乗員(運転者)から受け付ける。また、情報出力部14は、
図1に示す情報出力装置5(表示装置5a、音声出力装置5b)であり、各種の運転支援に関する情報を乗員(運転者)に通知(報知)する。
【0040】
状態検出部15は、車両Vの走行状態を検出する。本実施形態の場合、状態検出部15は、
図1に示すGNSSセンサ7bを含み、車両Vの現在位置を走行状態として検出する。状態検出部15は、
図1に示すジャイロセンサ7aを含み、車両Vの回転運動を走行状態として検出してもよい。また、状態検出部15は、速度センサ(回転数センサ2c)および/または加速度センサを含み、車両Vの速度および/または加速度を走行状態として検出してもよい。
【0041】
取得部16は、
図1に示す通信装置7cを含み、OTA(Over The Air)等を用いてサーバと無線通信を行うことにより、サーバから各種データを取得する。本実施形態の場合、取得部16は、各種の運転支援機能について、機能を更新するためのデータ(更新データ)を取得する。更新データは、任意のタイミングでサーバから提供される。なお、更新データは、各種の運転支援機能のソフトウェハを更新するための更新プログラムとして理解されてもよい。
【0042】
支援制御部17は、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含むコンピュータによって構成され、
図1に示すコントローラ1(ECU)の一部として機能する。記憶デバイスには、車両Vにおける各種の運転支援機能を制御するためのプログラム(運転支援プログラム)が記憶されており、支援制御部17は、記憶デバイスに記憶された運転支援プログラムを読み出して実行する。
【0043】
本実施形態の支援制御部17は、周囲検知部11での検知結果に基づいて、各種の運転支援機能を制御する。支援制御部17は、運転者に所定の動作義務が課される運転支援機能については、車内検知部12での検知結果に基づいて所定の動作義務を運転者が履行していると判定した場合に、当該運転支援機能を実行する。また、詳細については後述するが、支援制御部17は、各種の運転支援機能の更新データを取得部16によって取得(ダウンロード)して記憶デバイスに記憶するとともに、更新データによる各種の運転支援機能の更新(有効化、インストール)を実行する。
【0044】
[運転支援機能の更新]
運転支援装置10には複数種類の運転支援機能が搭載されており、支援制御部17は、複数種類の運転支援機能の各々によって車両Vを制御する。
図4は、運転支援装置10に搭載される複数種類の運転支援機能の一例を示している。複数種類の運転支援機能は、衝突回避機能、特定道路支援機能、低速支援機能、視覚支援機能、および認識支援機能を含みうる。
【0045】
衝突回避支援機能は、道路上の物標との衝突回避を支援する機能であり、衝突軽減ブレーキ(CMBS:Collision Mitigation Brake System)や路外逸脱抑制機能(RDM:Road Departure Mitigation)などを含みうる。走行支援機能(特定道路支援機能)は、特定道路の走行を支援する機能であり、車線維持支援機能(LKAS:Lane Keeping Assist System)や加減速支援機能(ACC:Adaptive Cruise Control)などを含みうる。特定道路とは、前述したように、高精度な地図情報の提供を行っている道路であり、例えば高速道路や自動車専用道路などが挙げられる。また、駐車支援機能(低速支援機能)は、駐車場における車両Vの駐車を支援する機能であり、自動駐車機能やマルチビューカメラシステムなどを含みうる。マルチビューカメラシステムとは、車両Vに設けられたカメラを用いて車両Vの周囲の映像を情報出力装置5(表示装置5a)に表示する機能である。
【0046】
視覚支援機能は、運転者の視覚を支援する機能であり、マルチビューカメラシステムやレーンウォッチ機能、カメラモニタシステムなどを含みうる。レーンウォッチ機能およびカメラモニタシステムとは、車両Vに設けられたカメラを用いて車両Vの側後方の映像を情報出力装置5(表示装置5a)に表示する機能である。また、認識支援機能は、車両Vの周囲の認識を支援するための機能であり、カメラ8aやレーダ8b自体の機能、センサフュージョンなどを含みうる。
【0047】
このような各種の運転支援機能においては、機能を改善および/または向上させるため、機能を更新するための更新データが任意のタイミングで外部のサーバから提供(配信)され、当該更新データによって機能が更新(有効化、インストール)されうる。一般に、サーバからの更新データの取得(ダウンロード)は、車両Vのイグニッションがオンしている状態で行われうる。そして、取得した更新データによる機能の更新は、当該機能が確実に停止している状態、即ち、車両Vのイグニッションがオフしている状態で実行されうる。しかしながら、機能の更新の実行がイグニッション・オフの期間に限られると、更新データが提供されている複数の運転支援機能の全てに対して更新が完了するまでに相応の時間(例えば数日)を要し、次回のイグニッション・オンまでに一部の運転支援機能が更新されていないことがある。
【0048】
そこで、本実施形態の支援制御部17は、運転支援機能が作動する可能性がある状況になるまでに運転支援機能の更新が完了すると判断した場合に、車両Vのイグニッションがオンしている状態で運転支援機能の更新(有効化、インストール)を実行する。以下、本実施形態における運転支援機能の更新方法について説明する。本実施形態では、運転支援機能が作動する可能性がある状況として、運転支援機能が作動する可能性がある候補箇所に車両Vが到着する例を説明する。候補箇所とは、運転支援機能が作動する可能性がある箇所(場所、エリア)の候補のことであり、以下では単に「候補箇所」と表記することがある。候補箇所は、複数あってもよく、例えば、取得部16(通信装置7c)によって事前に取得された地図情報に設定(特定)されている。
【0049】
図5は、本実施形態の運転支援機能の更新方法を示すフローチャートであり、運転支援装置10において運転支援プログラムが実行されたときに支援制御部17によって実行されうる。
図5に示すフローチャートは、車両Vのイグニッションがオンの状態で開始され、複数種類の運転支援機能の各々について個別に実行されうる。なお、以下の説明で「運転支援機能」と記載されている場合、それは、運転支援装置10(車両V)に搭載されている複数種類の運転支援機能のうち着目する1つの運転支援機能を指すものとする。また、以下の説明では、車両Vのイグニッションがオンの状態を「IG-ON状態」と表記し、車両Vのイグニッションがオフの状態を「IG-OFF状態」と表記することがある。
【0050】
ステップS101で、支援制御部17は、サーバから運転支援機能の更新データの提供があるか否かを判定する。例えば、支援制御部17は、更新データの提供があるとの通知(情報)を取得部16によってサーバから受信した場合に、更新データの提供があると判定することができる。更新データの提供があると判定した場合にステップS102に進む。
【0051】
ステップS102で、支援制御部17は、取得部16によって運転支援機能の更新データをサーバから取得(ダウンロード)する。例えば、支援制御部17は、IG-ON状態において、取得部16によりOTA等を用いてサーバと無線通信を行うことにより、サーバから更新データを取得することができる。
【0052】
ステップS103で、支援制御部17は、ステップS102で更新データが取得された運転支援機能がIG-ON状態で更新可能(有効化可能、インストール可能)な機能であるか否かを判定する。IG-ON状態で更新可能か否かは、
図4に示すように、各種の運転支援機能について事前に設定されている。例えば、衝突防止支援機能は、IG-ON状態ではいつでも作動する可能性があるため、IG-ON状態での更新は回避される。視覚支援機能および認識支援機能についても同様である。それに対し、走行支援機能(特定道路支援機能)は、高精度な地図情報が提供される特定道路(高速道路、自動車専用道路)でのみ作動する可能性を有し、特定道路以外の道路(例えば一般道)では作動する可能性が低い。また、駐車支援機能は、駐車場を有する箇所(場所)でのみ作動する可能性を有し、車両Vを駐車し得ない特定道路で作動する可能性が低い。そのため、走行支援機能および駐車支援機能については、所定の条件下においてIG-ON状態での更新が可能である。
【0053】
ステップS103において、運転支援機能がIG-ON状態で更新可能ではない、即ち、IG-ON状態で更新不可であると支援制御部17が判定した場合にはステップS104に進む。ステップS104で、支援制御部17は、車両Vのイグニッションがオフされた(IG-OFF)か否かを判定する。そして、車両Vのイグニッションがオフされた場合にステップS105に進む。ステップS105で、支援制御部17は、ステップS102で取得された更新データにより、IG-OFF状態で運転支援機能の更新を実行(開始)する。一方、ステップS103において、運転支援機能がIG-ON状態で更新可能であると支援制御部17が判定した場合にはステップS106に進む。
【0054】
ステップS106で、支援制御部17は、車両Vが候補箇所に到達する到達時刻(第1時刻)と、更新データによる運転支援機能の更新が完了する更新完了時刻(第2時刻)とを予測する。ここで、走行支援機能に関する候補箇所としては、特定道路(特定道路の入口)などが挙げられる。また、駐車支援機能に関する候補箇所としては、店舗の駐車場や特定道路の休憩施設(サービスエリア、パーキングエリア)、自宅の駐車場などが挙げられる。
【0055】
支援制御部17は、状態検出部15で検出された車両Vの現在位置に基づいて、当該現在位置と候補箇所との距離を算出することにより到達時刻を予測することができる。具体的には、支援制御部17は、事前に取得した地図情報に基づいて、車両Vの現在位置と車両Vに最も近い候補箇所との距離を求め、当該距離を任意の速度で除することにより得られた時間を現在時刻に加算することにより、到達時刻を予測しうる。任意の速度としては、地図情報に含まれる法定速度が用いられてもよいし、これまでに状態検出部15で検出された車両Vの速度の平均値が用いられてもよい。到達時刻の予測は、カーナビゲーションシステム等で用いられている公知の計算方法を使用して行われてもよい。また、支援制御部17は、ステップS102で取得部16により取得された更新データのデータサイズを求めることにより、更新完了時刻を予測することができる。更新完了時刻の予測は、コンピュータに更新プログラムをインストールする場合等で用いられている公知の計算方法を使用して行われてもよい。
【0056】
ステップS107で、支援制御部17は、ステップS106で予測された到達時刻と更新完了時刻とを比較することにより、到達時刻の方が更新完了時刻よりも遅いか否かを判定する。当該判定は、車両Vが候補箇所(例えば、車両Vに最も近い候補箇所)に到達するまでに更新データによる運転支援機能の更新が完了するか否かを判定するものと理解されてもよい。到達時刻の方が更新完了時刻よりも遅い場合には、車両Vが候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了すると判定してステップS108に進む。一方、到達時刻の方が更新可能時刻よりも早い場合、即ち、更新可能時刻の方が到達時刻よりも早い場合には、車両Vが候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了すると判定してステップS110に進む。
【0057】
ここで、本実施形態では、到達時刻および更新可能時刻を予測したが、時刻に限られず、時間を予測してもよい。この場合、支援制御部17は、ステップS106において、車両Vが候補箇所に到達するまでに要する到達時間と、更新データによる運転支援機能の更新が完了するまでに要する更新時間とを予測する。そして、支援制御部17は、ステップS107において、予測した到達時間と更新時間とを比較し、到達時間の方が更新時間よりも長い場合に、車両Vが候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了すると判定する。
【0058】
また、本実施形態では、到達時刻と更新可能時刻との比較により、車両Vが候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了するか否かの判定を行ったが、車両Vの現在位置から候補箇所までの距離に応じて当該判定を行ってもよい。例えば、支援制御部17は、事前に取得された地図情報に基づいて、状態検出部15で検出された車両Vの現在位置から候補箇所までの距離を求め、当該距離が閾値以上である場合に、車両Vが候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了すると判定する。閾値は、更新データによる運転支援機能の更新が完了するまでに要する更新時間において、任意の速度で車両Vが走行すると仮定した場合に得られる走行距離(以下では単に「走行距離」と表記することがある)として決定されうる。支援制御部17は、更新時間および走行距離を逐次算出することにより閾値を決定してもよいが、データサイズと走行距離との関係を示す情報を事前に取得しておき、ステップS102で取得された更新データのデータサイズに応じて当該情報から得られる走行距離を閾値として決定してもよい。なお、任意の速度としては、前述したように、地図情報に含まれる法定速度が用いられてもよいし、これまでに状態検出部15で検出された車両Vの速度の平均値が用いられてもよい。
【0059】
ステップS108で、支援制御部17は、運転支援機能の更新を許可するための追加条件を満たすか否かを判定する。追加条件は、
図4に示すように、各種の運転支援機能について個別に設定されうる。追加条件を満たすと判定した場合にはステップS109に進み、支援制御部17は、ステップS102で取得された更新データにより、IG-ON状態で運転支援機能の更新を実行(開始)する。一方、追加条件を満たさないと判定した場合にはステップS110に進む。なお、追加条件がない運転支援機能については、本ステップS108は省略される。
【0060】
例えば、走行支援機能(特定道路支援機能)は、特定道路の走行中に作動するものであり、特定道路以外の道路の走行中では作動しない。そのため、走行支援機能の更新を許可するための追加条件(第1の追加条件)は、車両Vが特定道路以外の道路(例えば一般道)を走行中であることを含みうる。また、走行支援機能の更新が完了するまでに車両Vが特定道路に侵入する可能性があるため、第1の追加条件は、状態検出部15で検出された車両Vの現在位置から特定道路の入口(例えばインターチェンジ)までの距離が第1所定値以上であることを更に含んでもよい。第1所定値は、前述した閾値と同様に、更新データによる走行支援機能の更新が完了するまでに要する更新時間において、任意の速度で車両Vが走行すると仮定した場合に得られる走行距離として決定されうる。
【0061】
駐車支援機能は、駐車場などで作動するものであり、特定道路の走行中では作動しない。そのため、駐車支援機能の更新を許可するための追加条件(第2の追加条件)は、車両Vが特定道路を走行中であることを含みうる。また、駐車支援機能の更新が完了するまでに車両Vが特定道路から退出したり、特定道路の休憩施設(例えばサービスエリア、パーキングエリア)に侵入したりする可能性があるため、第2の追加条件は、状態検出部15で検出された車両Vの現在位置から特定道路の出口(例えばインターチェンジ)または休憩施設までの距離が第2所定値以上であることを更に含んでもよい。第2所定値は、前述した閾値と同様に、更新データによる駐車支援機能の更新が完了するまでに要する更新時間において、任意の速度で車両Vが走行すると仮定した場合に得られる走行距離として決定されうる。
【0062】
また、追加条件は、車両Vのユーザが運転支援機能の更新に必要な権利を有することを含んでもよい。当該権利は、ユーザが運転支援機能の更新に必要な責務を履行した場合に発生しうるものである。責務としては、例えば、運転支援機能の更新の申請、および/または、金銭や特典ポイント、金銭に相当する他の特典等による料金の支払いが挙げられる。支援制御部17は、取得部16(通信装置7c)によってサーバと無線通信を行い、車両Vのユーザが運転支援機能の更新に必要な権利を有することを確認した場合に、追加条件を満たす(即ち、運転支援装置の更新を許可する)と判定することができる。
【0063】
ステップS110で、支援制御部17は、車両Vのイグニッションがオフされた(IG-OFF)か否かを判定する。車両Vのイグニッションが未だオフされていない場合にはステップS106に戻り、車両Vのイグニッションがオフされた場合にはステップS111に進む。ステップS111で、支援制御部17は、ステップS102で取得された更新データにより、IG-OFF状態で運転支援機能の更新を実行(開始)する。
【0064】
上述したように、本実施形態の運転支援装置10(支援制御部17)は、状態検出部15で検出された車両Vの現在位置に基づいて、車両Vが候補箇所に到達するまでに更新データによる運転支援機能の更新が完了するか否かを判定する。そして、車両Vが候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了すると判定した場合に、IG-ON状態で当該更新を実行する。これにより、一部の運転支援機能について、IG-ON状態で機能の更新が実行されるため、運転支援装置10に搭載されている各種の運転支援機能の更新を効率よく行うことができる。また、IG-ON状態での運転支援機能の更新は、車両Vが候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了するとの条件下で実行されるため、安全性も確保することができる。
【0065】
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態を基本的に引き継ぐものであり、以下で言及する事項以外は第1実施形態に従いうる。
【0066】
更新データによる運転支援装置の更新は、信号待ちのためにIG-ON状態で車両Vが停止している期間において行われてもよい。例えば、走行支援機能および駐車支援機能については、車両Vが停止している状態では作動しないため、信号待ちの間に機能の更新が行われてもよい。衝突防止支援についても、
図4の例ではIG-ON中の更新が禁止されていたが、車両Vが停止している状態であれば作動しないため、信号待ちの間に機能の更新が行われてもよい。つまり、運転支援機能が作動する可能性がある状況として、信号機が赤信号から青信号に切り替わる等により、停止している車両Vが発進する例が挙げられる。
【0067】
支援制御部17は、車両Vに対して赤信号を示している信号機が青信号に切り替わるタイミング(以下では「切り替わりタイミング」と表記することがある)を、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)により取得部16を介して取得する。そして、支援制御部17は、切り替わりタイミングと更新完了時刻とを比較することにより、当該タイミングの方が更新完了時刻よりも遅いか否かを判定する。切り替わりタイミングの方が更新完了時刻よりも遅い場合、支援制御部17は、信号待ちの間にIG-ONの状態で運転支援機能の更新を実行する。ここで、本実施形態では、運転支援機能の更新を許可する追加条件として、周囲の他車両が停止している状態が周囲検知部11によって検知されたことを含むことができる。本実施形態によっても、運転支援機能の更新を効率よく且つ安全に実行することができる。
【0068】
<その他の実施形態>
上記実施形態で説明された運転支援プログラムは、ネットワークまたは記憶媒体を介して運転支援装置10に供給され、運転支援装置10のコンピュータ(例えば、支援制御部17を構成する1以上のプロセッサ)が、このプログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0069】
<実施形態のまとめ>
[項目1]上記実施形態の運転支援装置は、
車両(例えばV)の運転支援を行う運転支援装置(例えば10)であって、
前記車両の現在位置を検出する検出手段(例えば15)と、
前記車両に搭載された運転支援機能を更新するためのデータを取得する取得手段(例えば16)と、
前記取得手段で取得された前記データによる前記運転支援機能の更新を制御する制御手段(例えば17)と、
を備え、
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置に基づいて、前記運転支援機能が作動する可能性がある状況になるまでに前記更新が完了すると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行する。
この項目によれば、車両のイグニッションがオンしている状態で運転支援機能の更新が実行されるため、運転支援機能の更新を効率よく行うことができる。また、車両のイグニッションがオンしている状態での運転支援機能の更新は、運転支援機能が作動する可能性がある状況になるまでに運転支援機能の更新が完了するとの条件下で実行されるため、安全性も確保することができる。
【0070】
[項目2]上記項目1に記載の運転支援装置において、
前記状況は、前記運転支援機能が作動する可能性のある候補箇所に前記車両が到達することを含む。
この項目によれば、運転支援機能の更新が、車両が候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了するとの条件下において、車両のイグニッションがオンしている状態で行われる。そのため、運転支援機能の更新を効率よく且つ安全に行うことができる。
【0071】
[項目3]上記項目2に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置に基づいて前記車両が前記候補箇所に到達すると予測される第1時刻と、前記更新が完了すると予測される第2時刻とを比較することにより、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了するか否かを判定する。
この項目によれば、時間的な観点で、車両が候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了するか否かを精度よく判定することができる。
【0072】
[項目4]上記項目3に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記第1時刻の方が前記第2時刻よりも遅い場合に、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了すると判定する。
この項目によれば、時間的な観点で、車両が候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了するか否かを精度よく判定することができる。
【0073】
[項目5]上記項目2に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記現在位置から前記候補箇所までの距離に応じて、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了するか否かを判定する。
この項目によれば、空間的な観点(距離の観点)で、車両が候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了するか否かを精度よく判定することができる。
【0074】
[項目6]上記項目5に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記距離が閾値以上である場合に、前記車両が前記候補箇所に到達するまでに前記更新が完了すると判定する。
この項目によれば、空間的な観点(距離の観点)で、車両が候補箇所に到達するまでに運転支援機能の更新が完了するか否かを精度よく判定することができる。
【0075】
[項目7]上記項目1乃至6のいずれか1項目に記載の運転支援装置において、
前記運転支援機能は、特定道路での前記車両の走行を支援する走行支援機能である。
この項目によれば、高速道路や自動車専用道路などの特定道路での運転支援機能を効率よく且つ安全に更新することができる。
【0076】
[項目8]上記項目7に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記状況になるまでに前記更新が完了すると判定したことに加え、第1の追加条件を満たしていると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行し、
前記第1の追加条件は、前記特定道路以外の道路を走行中であることを含む。
この項目によれば、特定道路での運転支援機能をより安全に更新することができる。
【0077】
[項目9]上記項目8に記載の運転支援装置において、
前記第1の追加条件は、前記検出手段で検出された前記現在位置から前記特定道路の入口までの距離が第1所定値以上であることを更に含む。
この項目によれば、特定道路での運転支援機能を更に安全に更新することができる。
【0078】
[項目10]上記項目1乃至6のいずれか1項目に記載の運転支援装置において、
前記運転支援機能は、前記車両の駐車を支援する駐車支援機能である。
この項目によれば、車両の駐車に関する運転支援機能を効率よく且つ安全に更新することができる。
【0079】
[項目11]上記項目10に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記状況になるまでに前記更新が完了すると判定したことに加え、第2の追加条件を満たしていると判定した場合に、前記車両のイグニッションがオンしている状態で前記更新を実行し、
前記第2の追加条件は、前記車両が特定道路を走行中であることを含む。
この項目によれば、車両の駐車に関する運転支援機能をより安全に更新することができる。
【0080】
[項目12]上記項目11に記載の運転支援装置において、
前記第2の追加条件は、前記検出手段で検出された前記現在位置から前記特定道路の出口または休憩施設までの距離が第2所定値以上であることを更に含む。
この項目によれば、車両の駐車に関する運転支援機能を更に安全に更新することができる。
【0081】
[項目13]上記項目1乃至12のいずれか1項目に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記車両のユーザが前記更新に必要な権利を有することを確認した場合に、前記更新を実行する。
この項目によれば、車両のユーザが運転支援機能の更新に必要な権利を有していない場合に、当該更新が行われることを防止することができる。
【0082】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0083】
10:運転支援装置、11:周囲検知部、12:車内検知部、13:受付部、14:情報出力部、15:支援制御部