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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049966
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】フィルム切断用円形刃
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/14 20060101AFI20240403BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B26D1/14 B
B26D3/00 601B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156508
(22)【出願日】2022-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390024132
【氏名又は名称】オルファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真一
【テーマコード(参考)】
3C027
【Fターム(参考)】
3C027MM03
3C027MM13
3C027MM14
3C027MM20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い精度で円形刃を装置側に取り付ける。円形刃の刃付けにおける切り刃精度を向上させ、加工を容易とする。
【解決手段】フィルム切断用の円形刃1であって、円板状の円形刃本体2と、この円形刃本体2に取り付けられる樹脂部3とを備える。円形刃本体2の外周部には、フィルムを切断するための刃部21が形成される。円形刃本体2の中心には、この円形刃本体2の厚さ方向に貫通する貫通孔22が形成される。樹脂部3は、貫通孔22の側縁を覆うようにして、円形刃本体2の表面に取り付けられる。樹脂部3には、円形刃1を、フィルム切断用の切断装置に取り付けるための取付孔4が形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム切断用の円形刃であって、
円板状の円形刃本体と、この円形刃本体に取り付けられる樹脂部とを備えており、
前記円形刃本体の外周部には、前記フィルムを切断するための刃部が形成されており、
前記円形刃本体の中心には、この円形刃本体の厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記樹脂部は、前記貫通孔の側縁を覆うようにして、前記円形刃本体の表面に取り付けられており、
前記樹脂部には、前記円形刃を、前記フィルム切断用の切断装置に取り付けるための取付孔が形成されている
円形刃。
【請求項2】
前記樹脂部は、前記円形刃本体の一面側に配置される第1樹脂板と、前記円形刃本体の他面側に配置される第2樹脂板とを有しており、
前記第1樹脂板の略中心部には、前記取付孔の一部を構成する第1孔部が形成されており、前記第1孔部の周縁には、前記貫通孔の内部に嵌合される第1ボスが形成されており、
前記第2樹脂板の略中心部には、前記第1孔部と同軸とされた第2孔部が形成されており、前記第2孔部は、前記第1ボスの外側に嵌合し、これによって、前記第1樹脂板の表面と前記第2樹脂板の表面との間に前記円形刃本体を挟み込んで保持できるようになっている
請求項1に記載の円形刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム切断用のスリッタ(切断装置)に装着されてフィルムを切断するための円形刃に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のように、円形刃を用いてフィルムを切断するためスリッタが知られている。このスリッタでは、フィルムを所定量切断するごとに円形刃を間欠的に回転させることにより、円形刃上の別の位置で切断を行うことができる。円形刃を連続的に回転させつつフィルムを切断するスリッタも知られている。
【0003】
ところでスリッタにおいては、フィルムと円形刃との接触位置(空間上での位置)や接触角を維持するためには円形刃の位置精度が極めて高くなければならない。フィルムと円形刃との接触位置や接触角が変化すると、フィルム切断性能に影響する可能性がある。
【0004】
一般に、円形刃の軸心位置には、装置側(軸側)に装着するために取付孔が形成される。この形成には通常機械加工が用いられる。しかしながら、機械加工の加工精度によっては、スリッタ用円形刃として十分な位置精度が出ないことがあるという問題がある。すなわち、従来の技術では、円形刃の位置精度について改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-164955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、円形刃をプレス加工で製造することができれば、量産性が向上し、製造コストを下げることができる。しかしながらプレス加工の加工精度は、バリなどの影響により一般的に低く、前記した位置精度の条件を満たすことが難しい。また、プレスを用いる場合、打ち抜きの容易性のために肉厚を薄くする必要があるが、肉厚を薄くすると刃付け加工の作業工程が煩雑化し、しかも加工精度が低くなるという問題もある。
【0007】
本発明は、前記した状況に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、円形刃に対する機械加工の精度が不十分であっても、高い精度で円形刃をスリッタに取り付けることができる技術を提供することである。さらに、本発明の他の目的は、円形刃の刃付け加工における加工精度を向上させるとともに加工を容易とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の項目に記載の発明として表現することができる。
【0009】
(項目1)
フィルム切断用の円形刃であって、円板状の円形刃本体と、この円形刃本体に取り付けられる樹脂部とを備えており、前記円形刃本体の外周部には、前記フィルムを切断するための刃部が形成されており、前記円形刃本体の中心には、この円形刃本体の厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、前記樹脂部は、前記貫通孔の側縁を覆うようにして、前記円形刃本体の表面に取り付けられており、前記樹脂部には、前記円形刃を、前記フィルム切断用の切断装置に取り付けるための取付孔が形成されている円形刃。
【0010】
(項目2)
前記樹脂部は、前記円形刃本体の一面側に配置される第1樹脂板と、前記円形刃本体の他面側に配置される第2樹脂板とを有しており、前記第1樹脂板の略中心部には、前記取付孔の一部を構成する第1孔部が形成されており、前記第1孔部の周縁には、前記貫通孔の内部に嵌合される第1ボスが形成されており、前記第2樹脂板の略中心部には、前記第1孔部と同軸とされた第2孔部が形成されており、前記第2孔部は、前記第1ボスの外側に嵌合し、これによって、前記第1樹脂板の表面と前記第2樹脂板の表面との間に前記円形刃本体を挟み込んで保持できるようになっている項目1に記載の円形刃。
【発明の効果】
【0011】
本発明の技術によれば、円形刃に対する機械加工の精度が不十分であっても、高い精度で円形刃をスリッタに取り付けることが可能になる。さらに、本発明によれば、刃付け前の円形刃本体に樹脂部を取り付けた後に刃付け加工を行うことにより、円形刃の刃付け加工の精度を向上させ、さらにはこの加工を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る円形刃の正面図である。
図2図1の右側面図である。
図3図1のA-A線に沿う要部拡大断面図である。
図4図1の円形刃に用いられる円形刃本体の正面図である。
図5図1の要部拡大断面図である。
図6図1の円形刃に用いられる第1樹脂板の正面図である。
図7図6の断面図である。
図8図1の円形刃に用いられる第2樹脂板の正面図である。
図9図8の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る、フィルム切断用の円形刃1を、添付の図面を参照しながら説明する。この円形刃1は、円板状の円形刃本体2と、この円形刃本体2に取り付けられる樹脂部3とから構成されている(図1及び図2参照)。
【0014】
(円形刃)
円形刃本体2の外周部には、フィルム(図示せず)を切断するための刃部21(図3及び図5参照)が形成されている。
【0015】
円形刃本体2の中心には、円形刃本体2の厚さ方向に貫通する貫通孔22(図4参照)が形成されている。
【0016】
さらに、円形刃本体2における、貫通孔22の周囲の位置には、装置側に取り付けられた位置決め用のボス(図示せず)に嵌合して、装置と円形刃1との位置決め(装着)を行うための三つの貫通孔23が形成されている(図4参照)。貫通孔23の数は1以上であればよい。
【0017】
(樹脂部)
樹脂部3は、貫通孔22の側縁を覆うようにして、円形刃本体2の表面に取り付けられている。樹脂部3には、円形刃1を、フィルム切断用の切断装置に取り付けるための取付孔4が形成されている(図6参照)。以下、樹脂部3のさらに具体的な構成について説明する。
【0018】
樹脂部3は、円形刃本体2の一面側(図3中右側)に配置される第1樹脂板5(図6及び図7参照)と、円形刃本体2の他面側に配置される第2樹脂板6(図8及び図9参照)とから構成されている。
【0019】
第1樹脂板5の中心部には、取付孔4を構成する第1孔部51が形成されている。第1孔部5の周縁には、貫通孔22の内部に嵌合される円筒状の突起である第1ボス52が形成されている。
【0020】
さらに、第1樹脂板5における、前記第1孔部51の周囲には、第1樹脂板5を円形刃本体2に取り付けた状態において円形刃本体2の貫通孔23と同軸となる位置に孔部53が形成されている。孔部53の周縁には、位置決め用のボス54が設けられている。
【0021】
第2樹脂板6の中心部には、第1孔部51と同軸とされた第2孔部61が形成されている。第2孔部61は、第1ボス52の外側に嵌合し、これによって、第1樹脂板5の表面と第2樹脂板6の表面との間に円形刃本体2を挟み込んで保持できるようになっている。
【0022】
第2樹脂板6における、第2孔部61の周囲には、前記位置決め用のボス54に嵌合する孔部62が設けられている。
【0023】
本実施形態の円形刃1では、樹脂部3の取付孔4を利用して円形刃を装置(スリッタ)の軸に取り付けることができる。ここで従来は、円形刃の加工精度の問題により、円形刃の位置決め精度が不十分となることがあった。これに対して本実施形態の円形刃では、樹脂部3をモールド成形することにより、取付孔4をモールド成形の精度で形成することができる。これにより円形刃の位置決め精度を改善することができる。するとスリッタ装置において、円形刃を間欠的に回転させてフィルムを切断する作業を安定的に行うことができるという利点がある。すなわち本実施形態によれば、円形刃に対するプレス加工精度が不十分であっても、高い精度で円形刃をスリッタに取り付けることが可能になる。
【0024】
また本実施形態では、刃付け前の円形刃本体2に樹脂部3を取り付けた後に円形刃本体2に刃付けを行うことができる。このようにすると、高精度で形成された取付孔4を基準として刃付けを行うことができるので、刃付け精度を向上させることができる。しかも、フィルム切断用の円形刃は薄肉であるため変形しやすいが、樹脂部3により円形刃本体2の変形を抑制できるので、この点でも刃付けにおける加工精度を向上させることができ、しかも加工を容易とすることができる。
【0025】
さらに本実施形態では、プレス加工により円形刃本体2を製造した場合であっても、円形刃1の位置決め精度の低下を抑制できるので、円形刃1の量産性を向上させて、製造コストを低減させることができる。
【0026】
また本実施形態では、円形刃1の取付孔4の内面を樹脂部3で覆っているので、円形刃1をスリッタ装置の回転軸に取り付けた場合において、回転軸を損耗させず、樹脂部3を損耗させることになる。回転軸を傷つけてしまうと修理コストが増大してしまうが、本実施形態では、消耗品であって定期的に交換される円形刃1を損耗させているので、装置の維持コストを低減させることができるという利点もある。
【0027】
なお、前記実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
【符号の説明】
【0028】
1 円形刃
2 円形刃本体
21 刃部
22 軸取付用の貫通孔
23 位置決め用の貫通孔
3 樹脂部
4 取付孔
5 第1樹脂板
51 第1孔部
52 第1ボス
53 位置決め用の孔部
54 位置決め用のボス
6 第2樹脂板
61 第2孔部
62 位置決め用の孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に回転するようにスリッタに取り付けられて、停止状態においてフィルム切断するための円形刃であって、
円板状の円形刃本体と、この円形刃本体に取り付けられる樹脂部とを備えており、
前記円形刃本体の外周部には、前記フィルムを切断するための刃部が形成されており、
前記円形刃本体の中心には、この円形刃本体の厚さ方向に貫通する貫通孔(22)が形成されており、
前記樹脂部は、前記貫通孔の側縁を覆うようにして、前記円形刃本体の表面に取り付けられており、
前記樹脂部には、前記円形刃を、前記フィルム切断用のスリッタに取り付けるための取付孔(4)が形成されており、
前記円形刃本体の前記貫通孔(22)の周囲の位置には、前記スリッタ側に設けられた位置決め用のボスに嵌合する、位置決め用の貫通孔(23)が形成されており、
前記樹脂部は、前記円形刃本体の一面側に配置される第1樹脂板(5)と、前記円形刃本体の他面側に配置される第2樹脂板(6)とを有しており、
前記第1樹脂板の略中心部には、前記取付孔(4)の一部を構成する第1孔部(51)が形成されており、前記第1孔部(51)の周縁には、前記貫通孔(22)の内部に嵌合される第1ボス(52)が形成されており、
前記第2樹脂板の略中心部には、前記第1孔部(51)と同軸とされた第2孔部(61)が形成されており、前記第2孔部(61)は、前記第1ボスの外側に嵌合し、これによって、前記第1樹脂板の表面と前記第2樹脂板の表面との間に前記円形刃本体を挟み込んで保持できるようになっており、
さらに、前記第1樹脂板における、前記第1孔部の周囲には、前記第1樹脂板を前記円形刃本体に取り付けた状態において前記位置決め用の貫通孔(23)と同軸となる位置に位置決め用の孔部(53)が形成されており、前記孔部(53)の周縁には、位置決め用のボス(54)が設けられており、
前記第2樹脂板における、前記第2孔部(61)の周囲には、前記位置決め用のボス(54)に嵌合する位置決め用の孔部(62)が設けられている
円形刃。
【請求項2】
前記第1ボス(52)の先端、及び、前記位置決め用のボス(54)の先端は、前記第2樹脂板(6)の表面と同じ位置になっており、表面方向に突出しないようになっている
請求項1に記載の円形刃。