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特開2024-49969周術期看護記録システム、周術期看護記録方法、クライアント端末、及び、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049969
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】周術期看護記録システム、周術期看護記録方法、クライアント端末、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 15/00 20180101AFI20240403BHJP
【FI】
G16H15/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156515
(22)【出願日】2022-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)展示による公開 令和3年10月13日から15日に幕張メッセにおける第4回医療と介護の総合展 東京(メディカルジャパン東京)で展示 (2)展示による公開 令和4年6月29日から7月1日に東京ビッグサイトにおける第1回地域防災EXPOで展示
(71)【出願人】
【識別番号】596146968
【氏名又は名称】株式会社NESI
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平山 勇一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐樹
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】円滑な手術を妨げることなく、周術期における看護師の記録業務をスムーズにし、記録の平準化、記録の即時性を実現する周術期看護記録システムの提供。
【解決手段】
クライアント端末1と、クラウドコンピューティング2において提供されるコンピュータプログラム3と、を備え、コンピュータプログラムは、クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続されるクライアント端末に出力させる質問を生成する段階と、クライアント端末に出力させる音声データを合成する段階と、クライアント端末に質問を音声出力させ、クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識して、手術前の患者情報を取得するステップS1、手術前の確認事項としての申し送り事項を取得するステップS2、及び、手術中の看護記録を取得するステップS3、を実行し、取得された情報をクライアント端末に表示させる段階とを実現する、周術期看護記録システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムであって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、
コンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムと、を備え、
前記コンピュータプログラムは、
前記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続される前記クライアント端末に出力させる質問を生成する段階と、
前記クライアント端末に出力させる音声データを合成する段階と、
前記クライアント端末に前記質問を音声出力させ、前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識して、
手術前の患者情報を取得するステップS1、
手術前の確認事項としての申し送り事項を取得するステップS2、及び、
手術中の看護記録を取得するステップS3、を実行し、前記取得された情報を前記クライアント端末に表示させる段階と、を実現する、周術期看護記録システム。
【請求項2】
前記ステップS1は質問形式、前記ステップS2は選択形式、前記ステップS3は定型文形式でそれぞれ行われる、請求項1に記載の周術期看護記録システム。
【請求項3】
前記質問は、前記患者情報、前記確認事項、前記看護記録に含まれる所定のキーワードに関連付けて記憶された質問リストを元に生成される、請求項1又は2に記載の周術期看護記録システム。
【請求項4】
前記ステップS1において、前記クライアント端末には、前記患者情報の取得を行うステップであることが表示される、請求項2に記載の周術期看護記録システム。
【請求項5】
前記ステップS1における前記患者情報の記録において、前記クライアント端末には、入力項目として患者の姓、患者の名、性別、生年月日、及び、年齢が表示される、請求項2に記載の周術期看護記録システム。
【請求項6】
前記クライアント端末は、前記音声認識の結果と、その修正を開始するための修正ボタンを表示する、請求項2に記載の周術期看護記録システム。
【請求項7】
前記修正ボタンは、前記結果のそれぞれに対応して設けられ、前記クライアント端末に対する音声入力により個々に識別される、請求項6に記載の周術期看護記録システム。
【請求項8】
前記ステップS3において、前記クライアント端末は、前記看護記録の取得を行うステップであること、及び、前記取得が、定型文の穴埋めモードで行われることが表示される、請求項2に記載の周術期看護記録システム。
【請求項9】
前記ステップS1、前記ステップS2、及び、前記ステップS3において取得されたデータは、データベース化され、Webブラウザにて閲覧・修正が可能とされる、請求項2に記載の周術期看護記録システム。
【請求項10】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録方法であって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、
コンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムと、を備える周術期看護記録システムを用いて、
前記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続される前記クライアント端末に出力させる質問を生成することと、
前記クライアント端末に出力させる音声データを合成することと、
前記クライアント端末に前記質問を音声出力させ、前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識して、
手術前の患者情報を取得するステップS1、
手術前の確認事項としての申し送り事項を取得するステップS2、及び、
手術中の看護記録を取得するステップS3、を実行し、前記取得された情報を前記クライアント端末に表示させることと、を含む、周術期看護記録方法。
【請求項11】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成するクライアント端末であって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有し、
通信ネットワークを介して接続されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムによって生成された質問を、前記コンピュータプログラムによって合成された音声により出力し、
手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録に関するユーザの音声による回答の入力を受付け、
前記コンピュータプログラムにより音声認識された前記回答を画面表示する、クライアント端末。
【請求項12】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成する、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末において提供されるコンピュータプログラムであって、
前記クライアント端末と通信ネットワークを介して接続されるクラウドコンピューティングによって生成された質問を、前記クラウドコンピューティングによって合成された音声により出力する段階と、
手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録に関するユーザの音声による回答の入力を受付ける段階と、
前記クラウドコンピューティングにより音声認識された前記回答を画面表示する段階と、を実現するコンピュータプログラム。
【請求項13】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成する、コンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムであって、
前記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続され、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末に出力させる質問を生成する段階と、
前記クライアント端末に出力させる音声データを合成する段階と、
前記クライアント端末に前記質問を音声出力させ、前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識して、
手術前の患者情報を取得するステップS1、
手術前の確認事項としての申し送り事項を取得するステップS2、及び、
手術中の看護記録を取得するステップS3、を実行し、前記取得された情報を前記クライアント端末に表示させる段階と、を実現する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周術期(手術前、手術中、手術後)において手術室看護師が担う一連のプロセスのうち、看護過程と手術経過に係わる記録業務における周術期看護記録システム、周術期看護記録方法、クライアント端末、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
周術期は、手術の適応が決定したときから、手術が終了して退院し、通院に至る一連の期間を指し、手術前期、手術期、手術後期の3期を合わせた期間である。そして、周術期(手術前、手術中、手術後)にある患者に対して、手術中を中心として、安全・安心な看護を提供することが必要とされる。また、現行の業務は、手術前の確認事項を記録用紙へ記載、手術部へ記録用紙を申し送り、手術中の処置状況や使用薬品、手術材料等を記録用紙へ記載することが行われている。
【0003】
従来、医療分野において、医療従事者がカルテの記録を行うに際して電子カルテが用いられている。電子カルテは、液晶ディスプレイ等の表示インタフェースに、入力すべき情報の項目や入力欄を配置した画面を表示し、キーボード及びマウス等の手入力インタフェースを介して、医療従事者から情報の入力を受付、入力された情報を参照可能な状態で記録する。そして、電子カルテは、医事会計システム検査や処方等のシステムの中心となり、患者の病状や治療経過の診療情報を保存する。
【0004】
しかしながら、周術期は、手入力インタフェースの電子カルテを使用することは困難である。そこで、特許文献1は、剖検所見の電子所見録への記録作業を支援するため、音声入力機能及び画像表示機能を有する端末装置を設け、音声認識処理に基づいて、身体部位情報を取得して身体部位情報を記憶することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-134127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術において、周術期(手術前、手術中、手術後)において、特許文献1に記載のような音声インタフェースを単に看護過程と手術経過に関わる記録業務として行うだけでは、円滑な手術を妨げない簡便な記録方法とは言い難く、手術室看護師の負担軽減や生産性向上は困難であった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、円滑な手術を妨げることなく、周術期における看護師の記録業務をスムーズにし、記録の平準化、記録の即時性を実現する周術期看護記録システムを提供することにある。また、本発明の目的は、周術期看護記録方法、クライアント端末、及び、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、本発明の構成は以下のとおりである。
【0009】
[1] 周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムであって、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、コンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムと、を備え、上記コンピュータプログラムは、上記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続される上記クライアント端末に出力させる質問を生成する段階と、上記クライアント端末に出力させる音声データを合成する段階と、上記クライアント端末に上記質問を音声出力させ、上記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識して、手術前の患者情報を取得するステップS1、
手術前の確認事項としての申し送り事項を取得するステップS2、及び、手術中の看護記録を取得するステップS3、を実行し、上記取得された情報を上記クライアント端末に表示させる段階と、を実現する、周術期看護記録システム。
[2] 上記ステップS1は質問形式、上記ステップS2は選択形式、上記ステップS3は定型文形式でそれぞれ行われる、[1]に記載の周術期看護記録システム。
[3] 上記質問は、上記患者情報、上記確認事項、上記看護記録に含まれる所定のキーワードに関連付けて記憶された質問リストを元に生成される、[1]又は[2]に記載の周術期看護記録システム。
[4] 上記ステップS1において、上記クライアント端末には、上記患者情報の取得を行うステップであることが表示される、[2]に記載の周術期看護記録システム。
[5] 上記ステップS1における上記患者情報の記録において、上記クライアント端末には、入力項目として患者の姓、患者の名、性別、生年月日、及び、年齢が表示される、[2]に記載の周術期看護記録システム。
[6] 上記クライアント端末は、上記音声認識の結果と、その修正を開始するための修正ボタンを表示する、[2]に記載の周術期看護記録システム。
[7] 上記修正ボタンは、上記結果のそれぞれに対応して設けられ、上記クライアント端末に対する音声入力により個々に識別される、[6]に記載の周術期看護記録システム。
[8] 上記ステップS3において、上記クライアント端末は、上記看護記録の取得を行うステップであること、及び、上記取得が、定型文の穴埋めモードで行われることが表示される、[2]に記載の周術期看護記録システム。
[9] 上記ステップS1、上記ステップS2、及び、上記ステップS3において取得されたデータは、データベース化され、Webブラウザにて閲覧・修正が可能とされる、[2]に記載の周術期看護記録システム。
[10] 周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録方法であって、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、コンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムと、を備える周術期看護記録システムを用いて、上記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続される上記クライアント端末に出力させる質問を生成することと、上記クライアント端末に出力させる音声データを合成することと、上記クライアント端末に上記質問を音声出力させ、上記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識して、手術前の患者情報を取得するステップS1、手術前の確認事項としての申し送り事項を取得するステップS2、及び、手術中の看護記録を取得するステップS3、を実行し、上記取得された情報を上記クライアント端末に表示させることと、を含む、周術期看護記録方法。
[11] 周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成するクライアント端末であって、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有し、通信ネットワークを介して接続されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムによって生成された質問を、上記コンピュータプログラムによって合成された音声により出力し、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録に関するユーザの音声による回答の入力を受付け、上記コンピュータプログラムにより音声認識された上記回答を画面表示する、クライアント端末。
[12] 周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成する、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末において提供されるコンピュータプログラムであって、上記クライアント端末と通信ネットワークを介して接続されるクラウドコンピューティングによって生成された質問を、上記クラウドコンピューティングによって合成された音声により出力する段階と、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録に関するユーザの音声による回答の入力を受付ける段階と、上記クラウドコンピューティングにより音声認識された上記回答を画面表示する段階と、を実現するコンピュータプログラム。
[13] 周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成する、コンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムであって、上記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続され、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末に出力させる質問を生成する段階と、上記クライアント端末に出力させる音声データを合成する段階と、上記クライアント端末に上記質問を音声出力させ、上記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識して、手術前の患者情報を取得するステップS1、手術前の確認事項としての申し送り事項を取得するステップS2、及び、手術中の看護記録を取得するステップS3、を実行し、上記取得された情報を上記クライアント端末に表示させる段階と、を実現する、コンピュータプログラム。
【0010】
また、本発明の他の構成は、周術期において、看護過程と手術経過に関わる看護師による記録業務を音声インタフェースにより行う周術期看護記録システムであって、音声入出力機能、画面を介した文字画像表示機能、ペン入力操作機能、通信機能が搭載されたタブレットPCと、音声データによる質問を行うための音声合成と音声認識との機能を実現する音声サービス部と、前記質問を生成する質問生成部と、前記タブレットPCの画面表示内容を決定する表示決定部との機能を実現するプログラムであるアプリケーションソフトウェアと、前記音声合成で使用される合成用データと、前記音声認識で使用される認識用データと、前記質問生成部で使用される質問リストが予めデータベース化されて用意されたデータベースと、手術を行う前の患者情報を記録するステップS1と、手術前の術前確認事項として申し送り事項を記録するステップS2と、術中看護記録を記録するステップS3と、を備え、前記アプリケーションソフトウェアは、前記ステップS1、前記ステップS2、前記ステップS3において、前記タブレットPCへ前記質問を音声出力し、前記看護師の音声による回答の認識結果を記録及び前記タブレットPCに表示するものである。
【0011】
また、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記ステップS1は質問形式、前記ステップS2は選択形式、前記ステップS3は定型文、で行われることが好ましい。
【0012】
さらに、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記質問生成部は、前記患者情報、前記術前確認事項、前記術中看護記録に含まれる所定のキーワードに関連付けて記憶された前記質問リストを元に前記質問を生成することが好ましい。
【0013】
さらに、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記アプリケーションソフトウェア及び前記データベースは、前記タブレットPCとコンピュータネットワークを経由して通信するクラウドに記録されていることが好ましい。
【0014】
さらに、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記ステップS1における前記患者情報の記録の開始にあたって、前記タブレットPCは、患者情報記録であることが表示されることが好ましい。
【0015】
さらに、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記ステップS1における前記患者情報の記録において、前記タブレットPCは、入力項目として患者の姓、患者の名、性別、生年月日、年齢が画面表示されることが好ましい。
【0016】
さらに、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記看護師の音声による前記回答の前記認識結果は、前記タブレットPCに表示されると共に、前記認識結果が正しく無いときは前記タブレットPCに表示された修正ボタンにより、取り消しが可能とされたことが好ましい。
【0017】
さらに、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記ステップS3における前記術中看護記録において、前記タブレットPCは、前記術中看護記録であること及び定型文の穴埋めモードであることが説明表示されることが好ましい。
【0018】
さらに、上記の周術期看護記録システムにおいて、前記ステップS1、前記ステップS2、前記ステップS3における記録データは、データベース化され、Webブラウザにて閲覧・修正が可能とされたことが好ましい。
【0019】
また、本発明は、周術期において、看護過程と手術経過に関わる看護師による記録業務を音声インタフェースにより行う周術期看護の記録方法であって、音声入出力機能、画面を介した文字画像表示機能、ペン入力操作機能、通信機能が搭載されたタブレットPCと、音声データによる質問を行うための音声合成と音声認識との機能を実現する音声サービス部と、前記質問を生成する質問生成部と、前記タブレットPCの画面表示内容を決定する表示決定部との機能を実現するプログラムであるアプリケーションソフトウェアと、前記音声合成で使用される合成用データと、前記音声認識で使用される認識用データと、前記質問生成部で使用される質問リストが予めデータベース化されて用意されたデータベースと、を備え、手術を行う前の患者情報を記録するステップS1と、手術前の術前確認事項として申し送り事項を記録するステップS2と、術中看護記録を記録するステップS3と、において、前記タブレットPCへ前記質問を音声出力し、前記看護師の音声による回答の認識結果を記録及び前記タブレットPCに表示する。
【0020】
また、本発明は、周術期において、看護過程と手術経過に関わる看護師による記録業務を音声合成と音声認識による音声インタフェースにより行う周術期看護記録プログラムであって、タブレットPCにより音声データによる質問を行う機能と、手術を行う前の患者情報として前記質問に対する前記看護師の音声による回答を得て記録及び前記タブレットPCに表示する機能と、手術前の術前確認事項として申し送り事項に関する前記質問を選択形式で行い、前記質問に対する前記看護師の音声による回答を得て記録及び前記タブレットPCに表示する機能と、術中看護記録に関する前記質問を定型文の穴埋めモードで行い、前記質問に対する前記看護師の音声による回答を得て記録及び前記タブレットPCに表示する機能と、を実現するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、円滑な手術を妨げることなく、周術期における看護師の記録業務をスムーズにし、記録の平準化、記録の即時性を実現する周術期看護記録システムが提供できる。また、本発明によれば、周術期看護記録方法、クライアント端末、及び、サーバが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による周術期看護記録システムを示すブロック図
図2図1において詳細機能を説明するブロック図
図3】一実施形態による周術期看護記録フローチャート
図4】患者情報記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(患者情報記録の開始)
図5】患者情報記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(性別情報質問)
図6】患者情報記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(性別回答)
図7】患者情報記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(確認ステップ)
図8】術前確認事項記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面
図9】術中看護記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(入出方法)
図10】術中看護記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(介助方法)
図11】術中看護記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(ドクター)
図12】術中看護記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(薬品名)
図13】術中看護記録における音声インタフェースによる記録過程を示す画面(接種箇所)
図14】手術終了の確認を音声インタフェースによる記録過程を示す画面
図15】手術室を退室する時の音声インタフェースによる記録過程を示す画面(介助方法)
図16】手術室を退室する時の音声インタフェースによる記録過程を示す画面(退出方法)
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による周術期看護記録システムを示すブロック図である。周術期看護は、患者、家族が手術を決定したときから、手術室20へ入室し、手術の準備から術中、手術を終えて、手術室20を退室し、手術侵襲から回復するまでのプロセスに関わる看護である。看護師は周術期にある患者に対して、術中を中心として、安全・安心な看護を提供する必要がある。図2は、図1においてアプリケーションソフトウェア3(プログラム)の詳細機能を説明するブロック図である。本発明による周術期看護記録システムは、周術期において手術室看護師が担う一連のプロセスのうち、看護過程と手術経過に関わる記録業務を音声による対話形式でハンズフリー化するシステムである。
【0024】
外来・病棟10は、手術前、つまり手術の意思決定から手術室入室までの手術を準備する期間に患者の意思決定支援、術前患者アセスメント(調査・評価)、術中の個別的看護計画などを立案することが行わる。タブレットPC1は、クライアント端末の1つであり、入出力インタフェースとして使用される。タブレットPC1は、音声インタフェースのための音声入出力機能、画面を介した文字画像表示機能、タッチパネルあるいはペン入力操作機能、通信機能などを搭載している。
【0025】
手術室20は、手術中、つまり手術室入室から手術開始・手術終了に至り、手術室20を退室するまでの期間に看護計画に基づいたケア、手術進行にあわせて立案・修正したケアの評価、手術直後の患者アセスメント・評価、帰室先看護師へ申し送りなどを行う。タブレットPC21は、クライアント端末の1つであり、タブレットPC1と同じものを手術室20へ持ち込んでもよいし、別なものでも良いが、同様の機能を有しているものが入出力インタフェースとして使用される。
【0026】
管理センタ30は、手術後、つまり手術室20を退室後、手術侵襲から回復するまでの期間に手術侵襲の回復を促進するための看護を病棟・外来看護師と連携して行い、合併症などの経過観察を含めて継続看護を実施する。PC31は、周術期看護記録システムにより記録された情報をWebブラウザで閲覧するインタフェースとなるパーソナルコンピュータである。
【0027】
クラウド2には、クライアント端末となるタブレットPC1、タブレットPC21、PC31とが通信ネットワークを経由して接続される。クラウド2は、単一又は複数のコンピュータ(ハードウェア)、及び、各種ソフトウェア等のコンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングである。クラウド2は、アプリケーションソフトウェア3、データベース4、仮想ネットワーク5が設けられる。
【0028】
アプリケーションソフトウェア3は、音声入力、出力可能なクライアント端末であるタブレットPC1、タブレットPC21を用いた音声データによる質問を行うための音声合成、音声データによる回答に対する音声認識、などの機能を実現する音声サービス部3-1、質問を生成する質問生成部3-2、タブレットPC1、タブレットPC21に対して応答内容を生成する応答部3-3、画面表示内容を決定する表示決定部3-4などの機能を実現するプログラムがクラウド2に記録されたものである。なお、音声サービス部3-1は、音声認識部、自然言語理解部、音声合成部により音声認識、自然言語理解、音声データによる質問を行うための音声合成などの機能を実現するプログラムである。
【0029】
仮想ネットワーク5は、クラウド2内に構築された仮想プライベートネットワークであり、仮想Webサーバなど多くのサービスが起動される。各サービスは、仮想ネットワーク5内のデータベース管理システム6へのデータの挿入、検索などの操作により記録済みの情報などをデータベース化し、クライアント端末となるPC31にてWebブラウザでHTMLや画像などのオブジェクトを閲覧、修正を可能とする。
【0030】
仮想ネットワーク5は、仮想プライベートネットワークとしているのでPC31は画面を見ながらインターネット検索やWeb閲覧、Webメール、ローカルメールも使用可能となるが、インターネット分離が行われ、周術期看護記録システムにより記録された情報がインターネットを通じて漏えいすることを防ぐことができる。
【0031】
図2において、ユーザとなる看護師11は、タブレットPC1を音声インタフェースとして使用する。質問生成部3-2は、患者情報、術前確認事項、術中看護記録に含まれる所定のキーワードに関連付けて記憶された質問リスト4-1を元に質問を生成する。応答部3-3は、タブレットPC1、タブレットPC21から自由発言があったときに応答を決定する機能を有する。看護師11の自由発言に対する応答は、タブレットPC1、タブレットPC21において発話したり、表示決定部3-4で決定された結果をタブレットPC1、タブレットPC21の画面に表示したりすることで行われる。
【0032】
データベース4は、音声サービス部3-1で使用される音声サービスデータとして音声認識部で使用される認識用データ4-2、自然言語理解部で使用される言語データ4-3、音声合成部で使用される合成用データ4-4及び質問生成部3-2で使用される質問リスト4-1が予めデータベース化されて用意されている。質問リスト4-1は、患者情報に対する質問データ、術前確認事項に対する質問データ、術中看護記録に対する質問データなどがリスト化されている。
【0033】
アプリケーションソフトウェア3は、質問リスト4-1のそれぞれの質問データに対する看護師11の発話による回答を音声サービス部3-1で音声認識の結果、質問リスト4-1に関連付けて記録用データ4-5としてデータベース4へ記録する。上記の各機能により、クライアント端末であるタブレットPC1、タブレットPC21は、患者情報記録、術前確認事項記録、術中看護記録の各ステップで質問を音声出力し、看護師11の音声による回答の認識結果を画面に表示したり、表示内容を読み上げて表示したり、する。つまり、アプリケーションソフトウェア3は、タブレットPC1、タブレットPC21により音声データによる質問を行う機能を実現するプログラムである。
【0034】
そして、看護師11は、回答の認識結果が正しいことを確認する。さらに、タブレットPC1、タブレットPC21の画面には認識結果ごとに番号が振られていて、番号を音声入力すると再度その質問が読み上げられ、修正が可能とされる。
【0035】
図3は、周術期看護記録システムによる周術期看護記録フローチャートを示している。手術前は、外来診療で術前検査が行われ、手術前日までに治療方針説明、手術決定と説明が行われる。そして、周期術看護は、術前評価、看護計画立案、手術に係わる指導、意思決定の支援、手術・麻酔同意書の確認などの準備が必要とされる。特に、患者情報の記録は重要であり、手術を行う前の患者情報を質問形式で行い記録(取得)する。(ステップS1)
ステップS1でアプリケーションソフトウェア3は、手術を行う前の患者情報として前記質問に対する前記看護師の音声による回答を得て記録及び前記タブレットPCに表示する機能を実現する。
【0036】
手術中は、手術室入室から手術開始までは、手術前の確認事項の記録が必要とされ、手術前の申し送り事項等を主に選択形式で行い記録する。(ステップS2)
ステップS2でアプリケーションソフトウェア3は、手術前の(術前)確認事項として申し送り事項に関する前記質問を選択形式で行い、前記質問に対する前記看護師の音声による回答を得て記録及び前記タブレットPCに表示する機能を実現する。
【0037】
手術中は、術中観察、看護ケアの記録、術後評価、外来・病棟10との引き継ぎが必要とされ、手術中の看護記録として(術中)看護記録を定型文、あるいはフリーワードで行い記録する。(ステップS3)
ステップS3でアプリケーションソフトウェア3は、少なくとも術中看護記録に関する前記質問を定型文の穴埋めモードで行い、前記質問に対する前記看護師の音声による回答を得て記録及び前記タブレットPCに表示する機能を実現する。
【0038】
手術後は、術後回復期であり、外来診療となり継続看護、術後評価が必要となり、ステップS1、ステップS2、ステップS3における記録データを容易、かつ要領良く参照するために記録済みの情報をデータベース化し、Webブラウザにて閲覧・修正が可能とする。(ステップS4)
【0039】
図4、5、6、7は、ステップS1の患者情報記録におけるタブレットPC1を使用した音声インタフェースによる記録過程の一例を示す画面の平面図である。タブレットPC1は、図4に示すように患者情報記録の開始にあたって、メニュー表示1-1で患者情報記録であることを表示し、質問リスト4-1に基づく音声データ応答1-4により「患者情報です」とユーザとなる看護師11へと入力の開始を促している。また、入力項目1-2は、少なくとも患者の姓、患者の名、性別、生年月日、年齢がキーワード及び記録すべき項目として画面表示している。
なお、タブレットPC1における上記画面表示は、タブレットPC1に内蔵されたプログラムによって実現されているが、これに限定されず、タブレットPC1において実行されるウェブブラウザ上で動作するウェブシステムによって実現されてもよい。以下の表示についても同様である。
【0040】
図5は、患者の姓、患者の名は既に入力されており、性別情報質問の状態を示している。この時点で、タブレットPC1は、質問リスト4-1に基づく音声データにより音声データ応答1-4として「性別は?」とユーザとなる看護師11へ応答する。同時に、入力項目1-2は、性別の項目が太字で強調表示される。看護師11は、発話開始ボタン1-3の表示をペン入力操作する。
【0041】
図6は、ペン入力操作後に看護師11が音声データ回答1-6「男性」と発話した性別回答した状態を示す。看護師11の音声による回答を認識した結果は、入力項目1-2に表示され、表示内容が読み上げられる。この時、間違えて入力、あるいは認識結果が正しく無いときは、看護師11が修正ボタン1-5をペン入力操作する。これにより、正しく無い入力は取り消しが行われ、再度「性別は?」とユーザとなる看護師11へと応答する。
【0042】
なお、修正ボタン1-5へのペン入力操作は、それに限るものでなく、看護師11の音声による回答として発話し、音声サービス部3-1が音声認識して再度「性別は?」とユーザとなる看護師11へと応答することでも良い。つまり、アプリケーションソフトウェア3は、音声データによる質問を認識及び応答を記録するモードだけでなく、自由発言の認識及び応答を記録するモードを有することが望ましい。
【0043】
具体的には、修正が必要な項目に対応する修正ボタン1-5を音声で指定(例えば「修正1」)し、その後、それに対応する項目の修正内容(例えば、患者の姓として「スズキ」)を発言すればよい。このように構成することによって、ハンズフリー(handsfree)にて記録事項の修正が可能になる。
【0044】
図7は、入力項目1-2の最終確認のステップであり、この時点で、タブレットPC1は、音声データ応答1-4として「宜しいですか?」とユーザとなる看護師11へと応答する。看護師11は、発話開始ボタン1-3の表示をペン入力操作(又は、音声「発話開始」により指定)し、「はい」と回答する。それにより、患者情報は、質問リスト4-1に対応して記録用データ4-5としてデータベース4へ記録される。修正ボタン1-5は、各入力項目1-2に対応して、修正1、修正2、修正3、修正4、修正5のように設けられる。これらの名称を音声にて指定することで、ペン操作と同様の動作が実現される。
【0045】
図8は、ステップS2の術前確認事項記録におけるタブレットPC1を使用した音声インタフェースによる記録過程の一例を示す画面の平面図である。タブレットPC1は、図8に示すように術前確認事項記録にあたって、メニュー表示1-1で患者情報記録であることを明示している。患者情報記録における質問は、入力項目1-2を順次に質問して回答を得る質問形式であるのに対して、術前確認事項記録おける質問は、選択項目1-7の選択を促す選択形式である。
【0046】
したがって、図8の画面は、質問リスト4-1に基づく音声データ応答1-4により「選択して下さい」と看護師11へと入力の開始を促している。選択項目1-7は、各項目に対して選択ボタン1-8が付加されており、看護師11は選択ボタン1-8をペン入力操作する。なお、選択ボタン1-8へのペン入力操作は、それに限るものでなく、看護師11の音声による回答として、例えば「1を選択」又は「選択1」と発話して、音声サービス部3-1が音声認識して応答することでも良い。また、選択形式の場合は、選択項目1-7が予め決められているので、音声サービス部3-1の音声認識部の負担及び誤認識を少なくすることができる。
【0047】
図9、10、11、12、13、14は、ステップS3の術中看護記録におけるタブレットPC21を使用した音声インタフェースによる記録過程の一例を示す画面の平面図である。図9、10は、手術室20への入出方法と介助方法に関する項目を記録することを示している。図9に示すように術中看護記録の開始にあたって、メニュー表示21-1は術中看護記録であることを明示し、説明表示21-7は定型文であること、入出方法と介助方法とを定型文の穴埋めモードで質問していることを示している。
なお、タブレットPC21における上記画面表示は、タブレットPC21に内蔵されたプログラムによって実現されているが、これに限定されず、タブレットPC21において実行されるウェブブラウザ上で動作するウェブシステムによって実現されてもよい。以下の表示についても同様である。
【0048】
図9は、手術室20については第一手術室であると既に入力されている状態を示している。タブレットPC21は質問リスト4-1に基づく音声データにより音声データ応答21-4として「入室方法は?」とユーザとなる看護師22へ応答する。同時に、入力項目21-2は、入室方法の項目が太字で強調表示される。看護師22は、発話開始ボタン21-3の表示をペン入力操作し、音声データ回答21-6として「ストレッチャー」と発話した状態を示している。
【0049】
図10は、図9に続いて「介助方法は?」と看護師22へ応答し、同時に、入力項目21-2は、介助方法の項目が太字で強調表示される。図10は、看護師22が図9と同様に音声データ回答21-6「全介助」と発話した状態を示す。修正ボタン21-5は、図6で既に述べた修正ボタン1-5の機能と同様であり、入力結果はデータベース4へ記録される。
【0050】
図11、12、13は、ドクター、薬品名、投与量に関する項目を記録することを示す記録過程の一例を示す画面の平面図である。図11は、メニュー表示21-1で術中看護記録であることを明示し、説明表示21-7で定型文であること、「ドクター」が「薬品名」「投与量」を使用し、瞬目麻酔を施行する、として定型文の穴埋めモードで質問していることを示している。穴埋め形式の穴部分が「ドクター」、「薬品名」、「投与量」となっている。
【0051】
図11は、音声データ応答21-4として「ドクターは?」とユーザとなる看護師22へ応答した状態を示している。同時に、入力項目21-2は、ドクターの項目が太字で強調表示される。看護師22は、発話開始ボタン21-3の表示をペン入力操作し、音声データ回答21-6として「田中花子」と発話した状態を示している。
【0052】
図12は、図11に続いて「薬品名は?」と看護師22へ応答し、同時に、入力項目21-2は、薬品名の項目が太字で強調表示される。図12は、看護師22が図11と同様に音声データ回答21-6「キシロカイン2%」と発話した状態を示す。修正ボタン21-5は、図6で既に述べた修正ボタン1-5の機能と同様であり、入力結果はデータベース4へ記録される。
【0053】
図13は、図12に続いて「接種箇所は?」と看護師22へ応答し、同時に、入力項目21-2は、接種箇所の項目が太字で強調表示される。図13は、看護師22が図12と同様に音声データ回答21-6「テノン下」と発話した状態を示す。修正ボタン21-5は、既に述べた修正ボタン1-5の機能と同様であり、入力結果はデータベース4へ記録される。
【0054】
また、記録されるデータは、音声インタフェースによる入力結果だけでなく、記録した時の時間、例えば薬品を接種した時の時間も同時に記録することが、後に時系列で閲覧できる点で望ましい。さらに、アプリケーションソフトウェア3は、薬品名や量が適切であるか、使用制限があるかどうか等の判定することが好ましい。データベース4は、この判定のための正誤データを有していることが好ましい。
【0055】
図14は、手術終了の確認を示すタブレットPC21を使用した音声インタフェースによる記録過程の一例を示す画面の平面図である。「手術終了ですね?」と看護師22へ応答し、同時に、入力項目21-2は、手術終了の項目が太字で強調表示される。図14は、看護師22が音声データ回答21-6「はい」と発話した状態を示す。修正ボタン21-5は、既に述べた修正ボタン1-5の機能と同様であり、入力結果は手術中に必要とされるデータがデータベース4へ記録される。
【0056】
図15、16は、周術期看護における手術を終えて、手術室20を退室する時のタブレットPC21を使用した音声インタフェースによる記録過程の一例を示す画面の平面図である。図15、16において、説明表示21-7は、介助方法と退出方法とを定型文の穴埋めモードで質問していることを示している。穴埋め形式の穴部分が「介助方法」、「退出方法」となっている。図15は、音声データ応答21-4として「介助方法は?」とユーザとなる看護師22へ応答した状態を示している。同時に、入力項目21-2は、介助方法の項目が太字で強調表示される。
【0057】
図15は、看護師22が発話開始ボタン21-3の表示をペン入力(又は音声入力)操作し、音声データ回答21-6として「一部介助」と発話した状態を示している。修正ボタン21-5は、図6で既に述べた修正ボタン1-5の機能と同様であり、入力結果はデータベース4へ記録される。
【0058】
図16は、音声データ応答21-4として「退出方法は?」とユーザとなる看護師22へ応答した状態を示している。同時に、入力項目21-2は、退出方法の項目が太字で強調表示される。看護師22は、発話開始ボタン21-3の表示をペン入力(又は音声入力)操作し、音声データ回答21-6として「車いす」と発話した状態を示している。修正ボタン21-5は、図6で既に述べた修正ボタン1-5の機能と同様であり、入力結果はデータベース4へ記録される。
【0059】
本実施形態は、周術期看護で看護師の記録業務に特化した非接触のVUI(Voice User Interface)により、円滑な業務を妨げない記録方法を実現でき、昨今のコロナ禍の感染対策にも効果的である。また、本実施形態の周術期看護記録は、入力・確認作業をハンズフリー化するので、手術中に両手が塞がっていて手が離せない場面でも動作を妨げることが無く、記録の平準化、記録の即時性、負担軽減化、生産性向上を図ることができる。
【0060】
特に、本実施形態の周術期看護記録は、患者情報記録、術前確認事項記録の各ステップにおいて、順次に質問して回答を得る質問形式、選択形式、定型文の穴埋めモードを定めているので、正確な音声認識と定められた様式への自動反映を実現でき、記入漏れの回避や記録の平準化を促進し、安全安心な周術期看護を行うことができる。また、入力した情報は、即時にデータベース4へ反映し、Webブラウザにて閲覧・修正が可能とするので、一元管理され、関係者による情報共有もスムーズに行うことができる。
【0061】
以上、周術期看護に特化して説明したが、本発明はそれに限ること無く、病院情報システムである会計システム、オーダリングシステム、臨床検査システム、薬剤システムなどをオンラインで連携することが容易となる。さらには、福祉施設、病院での体調管理、保育施設での保育日誌などにも連携、活用が可能となる。
【0062】
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、入力インタフェース(タブレットPC1、タブレットP21)とクラウド2とで実行、つまり、複数の装置によって分担して実行するものとして説明した処理は、1つの装置(例えば、タブレットPC1、タブレットP21)によって実行されても構わない。
【0063】
周術期看護記録システムは、コンピュータシステムであり、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。また、本発明は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
【0064】
例えば、周術期看護記録システムは、クラウド2の音声サービス部3-1の音声認識部、自然言語理解部、音声合成部により音声認識、自然言語理解、音声データによる質問するための音声合成などの機能を実現するプログラム、質問を生成する質問生成部3-2、タブレットPC1、タブレットPC21に対する質問内容を生成する応答部3-3、画面表示内容を決定する表示決定部3-4などの機能を実現するプログラムを入力インタフェース(タブレットPC1、タブレットP21)に設けることでも良い。
【符号の説明】
【0065】
1、21…タブレットPC
1-1、21-1…メニュー表示
1-2、21-2…入力項目
1-3、21-3…発話開始ボタン
1-4、21-4…音声データ応答
1-5、21-5…修正ボタン
1-6、21-6…音声データ回答
1-7…選択項目
1-8…選択ボタン
2…クラウド
3…アプリケーションソフトウェア
3-1…音声サービス部
3-3…応答部
3-2…質問生成部
3-3…応答部
3-4…表示決定部
4…データベース
4-1…質問リスト
4-2…認識用データ
4-3…言語データ
4-4…合成用データ
4-5…記録用データ
5…仮想ネットワーク
6…データベース管理システム
10…外来・病棟
11、22…看護師
20…手術室
21-7…説明表示
22…看護師
30…管理センタ
31…PC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムであって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、
コンピュータ資源により構成され、前記クライアント端末を制御するクラウドコンピューティングと、を備え、
前記クラウドコンピューティングは、通信ネットワークを介して接続される前記クライアント端末に出力させる質問生成を行う質問生成部と、
前記質問の音声データ合成を行い、前記クライアント端末に前記音声データを出力させ、前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識する音声サービス部と
前記クライアント端末に、前記音声認識の結果と、その修正を開始するための修正ボタンを、前記結果のそれぞれに対応して表示させる表示決定部と、を備え、
前記回答は、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記修正ボタンは、前記クライアント端末に対する音声入力により個々に識別される、周術期看護記録システム。
【請求項2】
前記質問は、前記患者情報、前記確認事項、又は、前記看護記録に含まれる所定のキーワードに関連付けて記憶された質問リストを元に生成される、請求項1に記載の周術期看護記録システム。
【請求項3】
前記クラウドコンピューティングは、前記患者情報の取得の際、前記クライアント端末に、前記患者情報の取得を行うこ表示さる、請求項に記載の周術期看護記録システム。
【請求項4】
記患者情報の取得の際には、前記クライアント端末に、入力項目として患者の姓、患者の名、性別、生年月日、及び、年齢が表示される、請求項に記載の周術期看護記録システム。
【請求項5】
前記クラウドコンピューティングは、前記看護記録の取得の際には、前記クライアント端末に、穴埋め可能な定型文を表示さる、請求項に記載の周術期看護記録システム。
【請求項6】
更に、閲覧用端末を有し、
前記クラウドコンピューティングは、前記回答をデータベース化し、
前記閲覧用端末が備えるWebブラウザによる、前記回答の閲覧・修正を受け付ける、請求項に記載の周術期看護記録システム。
【請求項7】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録方法であって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、
コンピュータ資源により構成され、前記クライアント端末を制御するクラウドコンピューティングと、を備える周術期看護記録システムを用いて、
前記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続される前記クライアント端末に出力させる質問を生成することと、
前記質問の音声データを合成することと、
前記クライアント端末に前記音声データを出力させることと
前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識することと
前記クライアント端末に、前記音声認識の結果と、その修正を開始するための修正ボタンを、前記結果のそれぞれに対応して表示させることと、を含み、
前記回答は、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記修正ボタンは、前記クライアント端末に対する音声入力により個々に識別される、周術期看護記録方法。
【請求項8】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成するクライアント端末であって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有し、
ユーザに対する質問を音声出力し、
前記質問に対する、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録からなる群より選択される少なくとも1つを含む前記ユーザの回答を音声認識により取得し、
前記音声認識の結果と、その結果のそれぞれの修正を開始するための修正ボタンとを表示し、
前記修正ボタンは、前記クライアント端末に対する音声入力により個々に識別される、クライアント端末。
【請求項9】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムを構成する、コンピュータ資源により構成されるクラウドコンピューティングにおいて提供されるコンピュータプログラムであって、
前記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続され、音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末に出力させる質問を生成する段階と、
前記クライアント端末に出力させる音声データを合成する段階と、
前記クライアント端末に前記質問を音声出力させ、前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識する段階と、
音声認識された前記回答を前記クライアント端末に画面表示させる段階と、
前記音声認識の結果と、前記結果のそれぞれに対応して表示された、前記結果の修正を開始するための修正ボタンとを含むが前記画面表示に対し、ユーザによる前記修正ボタンによる修正指示を音声認識する段階と、を実現させ、
前記回答は、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録からなる群より選択される少なくとも1つを含む、コンピュータプログラム。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録システムであって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、
コンピュータ資源により構成され、前記クライアント端末を制御するクラウドコンピューティングと、を備え、
前記クラウドコンピューティングは、通信ネットワークを介して接続される前記クライアント端末に出力させる質問の生成を行う質問生成部と、
前記質問の音声データの合成を行い、前記クライアント端末に前記音声データを出力させ、前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識する音声サービス部と、
前記クライアント端末に、前記音声認識の結果と、その修正を開始するための修正ボタンを、前記結果のそれぞれに対応して表示させる表示決定部と、を備え、
前記回答は、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記修正ボタンは、前記クライアント端末に対して、それぞれの前記修正ボタンの名称を音声入力により指定することで個々に識別される、周術期看護記録システム。
【請求項2】
前記質問は、前記患者情報、前記確認事項、又は、前記看護記録に含まれる所定のキーワードに関連付けて記憶された質問リストを元に生成される、請求項1に記載の周術期看護記録システム。
【請求項3】
前記クラウドコンピューティングは、前記患者情報の取得の際、前記クライアント端末に、前記患者情報の取得を行うことを表示させる、請求項1に記載の周術期看護記録システム。
【請求項4】
前記患者情報の取得の際には、前記クライアント端末に、入力項目として患者の姓、患者の名、性別、生年月日、及び、年齢が表示される、請求項3に記載の周術期看護記録システム。
【請求項5】
前記クラウドコンピューティングは、前記看護記録の取得の際には、前記クライアント端末に、穴埋め可能な定型文を表示させる、請求項1に記載の周術期看護記録システム。
【請求項6】
更に、閲覧用端末を有し、
前記クラウドコンピューティングは、前記回答をデータベース化し、
前記閲覧用端末が備えるWebブラウザによる、前記回答の閲覧・修正を受け付ける、請求項1に記載の周術期看護記録システム。
【請求項7】
周術期における看護過程と手術経過とに関わる記録を音声対話形式で行う周術期看護記録方法であって、
音声入出力機能、及び、画面表示機能を有するクライアント端末と、
コンピュータ資源により構成され、前記クライアント端末を制御するクラウドコンピューティングと、を備える周術期看護記録システムを用いて、
前記クラウドコンピューティングと通信ネットワークを介して接続される前記クライアント端末に出力させる質問を生成することと、
前記質問の音声データを合成することと、
前記クライアント端末に前記音声データを出力させることと、
前記クライアント端末によって得られたユーザの回答を音声認識することと、
前記クライアント端末に、前記音声認識の結果と、その修正を開始するための修正ボタンを、前記結果のそれぞれに対応して表示させることと、を含み、
前記回答は、手術前の患者情報、手術前の確認事項としての申し送り事項、及び、手術中の看護記録からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記修正ボタンは、前記クライアント端末に対して、それぞれの前記修正ボタンの名称を音声入力により指定することで個々に識別される、周術期看護記録方法。