特開 2024-49973 トイレシステム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024049973

(43)【公開日】2024-04-10

(54)【発明の名称】トイレシステム

(51)【国際特許分類】

   E03D 9/00 20060101AFI20240403BHJP

【ＦＩ】

E03D9/00 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022156521

(22)【出願日】2022-09-29

(71)【出願人】

【識別番号】000010087

【氏名又は名称】ＴＯＴＯ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002147

【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】神出 真緒

(72)【発明者】

【氏名】坂東 隆

(72)【発明者】

【氏名】木塚 里子

(72)【発明者】

【氏名】戸崎 正道

【テーマコード（参考）】

2D038

【Ｆターム（参考）】

2D038KA03

2D038KA21

2D038KA27

2D038ZA03

(57)【要約】

【課題】排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別すること。
【解決手段】実施形態に係るトイレシステムは、荷重を検知するセンサと、前記センサにより検知された便器の便座にかかる荷重の変動パターンに基づいて、便と尿とを判定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサによる検知に基づいて推定される所定期間内の前記便器の使用者の体重の差と、前記所定期間内の前記体重の変動パターンとに基づいて、前記便器において前記使用者により排泄された便量と尿量とを識別する。
【選択図】図６

【特許請求の範囲】

【請求項1】

荷重を検知するセンサと、
前記センサにより検知された便器の便座にかかる荷重の変動パターンに基づいて、便と尿とを判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記センサによる検知に基づいて推定される所定期間内の前記便器の使用者の体重の差と、前記所定期間内の前記体重の変動パターンとに基づいて、前記便器において前記使用者により排泄された便量と尿量とを識別する
ことを特徴とするトイレシステム。

【請求項2】

前記制御部は、
前記体重の所定値以上の減少は、前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定する
ことを特徴とする請求項１に記載のトイレシステム。

【請求項3】

前記制御部は、
前記体重が減少し、所定時間に前記体重が増加した変動パターンを、前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定する
ことを特徴とする請求項１に記載のトイレシステム。

【請求項4】

前記制御部は、
単位時間の変化量が少ない前記体重の減少量を尿量とする
ことを特徴とする請求項１に記載のトイレシステム。

【請求項5】

前記制御部は、
単位時間の変化量が多い前記体重の減少量を便量とする
ことを特徴とする請求項１に記載のトイレシステム。

【請求項6】

前記制御部は、
所定時間に前記体重が増加した場合は、前記体重の増加を前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定する
ことを特徴とする請求項４または請求項５に記載のトイレシステム。

【請求項7】

前記使用者が足を置く足置き台、
を備え、
前記センサは、
前記便座及び前記足置き台への荷重を検知する
ことを特徴とする請求項１～５のいずれか１項に記載のトイレシステム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

開示の実施形態は、トイレシステムに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、トイレを使用する使用者について様々な情報を取得する技術が提供されている。例えば、便器内に排泄された尿の量を測定する技術が知られている（例えば、特許文献１、２参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２１－１２２３９８号公報

【特許文献2】特開２０１８－１０９２８５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、上述した従来技術では、使用者が尿とともに大便（単に「便」ともいう）を排泄する場合については特に考慮されておらず、改善の余地がある。そのため、使用者が排泄した排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することが望まれている。

【0005】

開示の実施形態は、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができるトイレシステムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

実施形態の一態様に係るトイレシステムは、荷重を検知するセンサと、前記センサにより検知された便器の便座にかかる荷重の変動パターンに基づいて、便と尿とを判定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサによる検知に基づいて推定される所定期間内の前記便器の使用者の体重の差と、前記所定期間内の前記体重の変動パターンとに基づいて、前記便器において前記使用者により排泄された便量と尿量とを識別することを特徴とする。

【0007】

使用者の荷重は排泄物の量に伴い変化する。また、変化パターンは排泄物が便か尿かによって異なる。そこで、実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、使用者が大便器を使用した排泄に対して、使用者の排泄前と排泄後の荷重の差を取得することで、排泄物の量を取得することができ、さらに、排泄中の荷重変化パターンから、排泄物の種類を推定することができる。したがって、トイレシステムは、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【0008】

実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、前記制御部は、前記体重の所定値以上の減少は、前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定することを特徴とする。

【0009】

体動によっても、便座にかかる荷重は変化する。そこで、実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、体動による荷重の減少パターンは排泄による荷重の減少パターンと比較して急激に減少するため、体動による荷重の減少を判定し、排泄物量として考慮しないことで、排泄物量の推定精度を向上することができる。したがって、トイレシステムは、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【0010】

実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、前記制御部は、前記体重が減少し、所定時間に前記体重が増加した変動パターンを、前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定することを特徴とする。

【0011】

体動による荷重の変化は、減少と増加の両方がある。そこで、実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、荷重が急激に減少した後、増加した場合は、体動による影響と判定し、排泄物量として考慮しないことで、排泄物量の推定精度を向上することができる。したがって、トイレシステムは、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【0012】

実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、前記制御部は、単位時間の変化量が少ない前記体重の減少量を尿量とすることを特徴とする。

【0013】

実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、排尿は排便と比較して単位時間当たりの荷重変化量は小さいため、入力の必要なく、排尿量のみを独立に推定できる。したがって、トイレシステムは、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【0014】

実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、前記制御部は、単位時間の変化量が多い前記体重の減少量を便量とすることを特徴とする。

【0015】

実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、排便は排尿と比較して単位時間当たりの荷重変化量は大きいため、入力の必要なく、排便量のみを独立に推定できる。したがって、トイレシステムは、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【0016】

実施形態の一態様に係るトイレシステムにおいて、前記制御部は、所定時間に前記体重が増加した場合は、前記体重の増加を前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定することを特徴とする。

【0017】

排泄に伴う荷重変化は減少のみである。実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、所定時間に荷重が増加した場合は、排泄以外の要因であり、これを特定し排除することで排泄物量の推定精度を向上することができる。したがって、トイレシステムは、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【0018】

実施形態の一態様に係るトイレシステムは、前記使用者が足を置く足置き台、を備え、前記センサは、前記便座及び前記足置き台への荷重を検知することを特徴とする。

【0019】

大便器を用いた排泄において、一般的には床面に足が接地した姿勢をとるため、荷重が便座以外に分散される。荷重の分散の割合は、使用者の姿勢に依存して変化する。そこで、実施形態の一態様に係るトイレシステムによれば、足置き台を設け荷重を測定し、便座と足置き台にかかる荷重の総和を用いることで、使用者の荷重を精度良く測定することができ、排泄物量の推定精度を向上することができる。したがって、トイレシステムは、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【発明の効果】

【0020】

実施形態の一態様によれば、排泄物が便であるか尿であるかを適切に識別することができる。

【図面の簡単な説明】

【0021】

【図1】図１は、実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。

【図2】図２は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。

【図3】図３は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示すブロック図である。

【図4】図４は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。

【図5】図５は、荷重変化の一例を示す図である。

【図6】図６は、トイレシステムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。

【図7】図７は、排尿時間の算出の一例を示す図である。

【図8】図８は、排尿時間の算出の一例を示す図である。

【図9】図９は、トイレシステムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。

【図10】図１０は、荷重変化の一例を示す図である。

【図11】図１１は、トイレシステムの構成及び処理の概要を示す図である。

【図12】図１２は、足置き台を有する構成に一例を示す図である。

【図13】図１３は、足置き台を有する構成に一例を示す図である。

【図14】図１４は、足置き台を有する構成に一例を示す図である。

【図15】図１５は、変形例に係る便座装置の構成の一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0022】

以下、添付図面を参照して、本願の開示するトイレシステムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、トイレシステム１が実行する使用者が排尿している時間（「排尿時間」ともいう）の算出に関する処理やその処理を行うための構成について説明するが、最初に前提となるトイレシステムなどの各種構成を説明する。

【0023】

＜１．トイレシステムの構成＞
まず、実施形態に係るトイレシステムの構成について図１を参照して説明する。図１は、実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。

【0024】

図１に示すように、トイレシステム１は、便座装置２と、操作装置１０とを備える。図１に示すように、トイレルームＲには、床面Ｆに、便器７が設置される。なお、以下では、床面ＦからトイレルームＲの空間内に臨む向きを上と記載する。

【0025】

便器７は、例えば、陶器製の大便器である。便器７には、ボウル部８が形成される。ボウル部８は、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器７は、図示のような床置き式に限らず、トイレシステム１を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器７には、ボウル部８が臨む開口の端部の全周にわたってリム部９が設けられる。トイレルームＲには、例えば、便器７付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。

【0026】

例えば、トイレルームＲに設けられた洗浄用の洗浄操作部（図示省略）が使用者により操作されると、便器７のボウル部８への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置１０に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような使用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような使用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。

【0027】

便座装置２は、便器７の上部に取り付けられ、本体部３と、便蓋４と、便座５と、洗浄ノズル６とを備える。便座装置２は、排泄物を受けるボウル部８が形成された便器７の上部に載置される。便座装置２は、洗浄ノズル６が洗浄水を噴射する前にボウル部８に進出するように便器７の上部に載置される。なお、便座装置２は、便器７に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器７と一体化するように取り付けられてもよい。

【0028】

図１に示すように、便座５は、中央に開口５０を有する環状に形成され、リム部９に沿って、便器７の開口に重なる位置に配置される。便座５は、使用者が着座する。便座５は、着座した使用者の臀部を支持する着座部として機能する。また、図１に示すように、便蓋４及び便座５は、それぞれの一端部が本体部３に軸支され、本体部３の軸支部分を中心として回動可能（開閉可能）に取り付けられる。なお、便蓋４は、便座装置２に必要に応じて取り付けられ、便座装置２は、便蓋４を有しなくてもよい。

【0029】

洗浄ノズル６は、洗浄用の水を吐水するためのノズルである。洗浄ノズル６は、洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル６は、使用者に向けて洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル６は、局部洗浄用のノズルである。洗浄ノズル６は、電動モータなどの駆動源（図３中のノズルモータ６１等）の駆動により、本体部３の筐体である本体カバー３０に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル６は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル６は、図１に示すように、本体部３の筐体である本体カバー３０に対して進出した位置（「進出位置」ともいう）にあるときに、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。

【0030】

図１では、洗浄ノズル６が進出位置にある状態を示す。なお、洗浄ノズル６は、便器７（ボウル部８等）内の洗浄用にも共用されてもよい。洗浄ノズル６は、使用者の局部を洗浄する局部洗浄モードと、便器７内に水を撒く便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。例えば、洗浄ノズル６は、便座装置２による制御に応じて、局部洗浄モードと便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。

【0031】

操作装置１０は、トイレルームＲ内に設けられる。操作装置１０は、使用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置１０は、使用者が便座５に着座時において、操作可能な位置に設けられる。図１では、操作装置１０は、便座５に着座した使用者から見て右側方の壁面Ｗに配置される。なお、操作装置１０は、便座５に着座した使用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置１０は、便座装置２と一体に設けられてもよい。

【0032】

操作装置１０は、便座装置２と所定のネットワークを介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置２と操作装置１０とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。

【0033】

操作装置１０は、例えばタッチパネル機能により表示面（例えば表示画面１１）を介して使用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置１０は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面１１は、例えば液晶ディスプレイや有機ＥＬ（Electro-Luminescence）ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置１０は、表示画面１１により使用者の入力を受け付け、使用者への出力も行う。表示画面１１は、各種情報を表示する表示装置である。

【0034】

操作装置１０は、便座装置２により実行中の制御を止めるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置１０は、便座装置２による局部洗浄の実行を開始するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置１０は、使用者による洗浄ノズル６への指示を受け付ける。操作装置１０は、便座装置２に所定の音を出力させるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置１０は、便座装置２の洗浄ノズル６（図１参照）を除菌水で殺菌する殺菌処理を行うためのユーザの操作を受け付ける。操作装置１０は、便座装置２による局部洗浄時の吐水の勢いを調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置１０は、便座装置２が出力する音の音量を調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置１０は、トイレの利用に関する情報を操作装置１０に表示したり音声出力したりする際の言語を選択するためのユーザの操作を受け付ける。

【0035】

例えば、操作装置１０は、上述したユーザの操作を受け付けるオブジェクトを表示画面１１に表示し、表示したオブジェクトに対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。例えば、操作装置１０は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置１０は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。

【0036】

トイレシステム１は、後述する各種の構成や処理により、使用者が排尿している時間（排尿時間）を算出する。そして、トイレシステム１は、算出した排尿時間を用いて、使用者が排出した尿の量（「尿量」ともいう）を算出する。トイレシステム１は、算出した情報を基に、使用者のスマートフォン等の端末装置に情報提供を行ってもよい。また、トイレシステム１は算出した情報を基に、トイレルームＲの操作装置１０（もしくは表示画面１１）へ情報提供を行っても良い。

【0037】

＜２．便座装置の構成＞
次に、便座装置２の構成について図２を参照して説明する。図２は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図２は、便座装置２の便座５を回動させ、便座５の底面５１側の構成を示すための図である。

【0038】

図２に示すように、荷重検知センサ３４は、便座５の使用者が着座する面とは反対側の面である底面５１に配置される。図２では、荷重検知センサ３４は、便座５の底面５１に４個配置される。なお、荷重検知センサ３４の個数は、４個に限らず、１～３個、または５個以上等の任意の個数であってもよい。

【0039】

また、図２では、洗浄ノズル６（図１参照）が本体カバー３０内に収納される位置（「収納位置」ともいう）にある状態を示す。図２に示すように、洗浄ノズル６が収納位置にある場合、ノズル用蓋６０は閉じられており、洗浄ノズル６は、ノズル用蓋６０の裏に隠されている。洗浄ノズル６による洗浄が行われる場合、ノズル用蓋６０が開放するとともに、本体カバー３０の洗浄ノズル６用の開口から洗浄ノズル６が突出し、洗浄ノズル６は、進出状態に移行する。

【0040】

図２では、便座装置２は、便座５の底面５１に荷重検知センサ３４を配置した構成を一例として示したが、荷重検知センサ３４は、所望の検知が可能であれば、種々の位置に配置されてもよい。例えば、荷重検知センサ３４は、足置き台等、便座以外の構成にも配置されてもよいが、この配置例については後述する。

【0041】

＜３．便座装置の機能構成＞
次に、便座装置２の機能構成について図３を参照して説明する。図３は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示すブロック図である。図３に示すように、便座装置２は、人体検知センサ３２と、着座検知センサ３３と、荷重検知センサ３４と、制御装置１００と、ノズルモータ６１と、洗浄ノズル６と、電磁弁７１とを備える。なお、図３では、図１で説明した便座装置２の構成の一部（本体部３や便座５や便器７等）についての図示を省略する。

【0042】

また、図３に示す便座装置２の構成は一例に過ぎず、便座装置２は、任意の構成が採用可能である。人体検知センサ３２や着座検知センサ３３や荷重検知センサ３４や制御装置１００等は、任意の箇所に配置される。例えば、荷重検知センサ３４は、便座装置２の本体部３に設けられる。便座装置２は、通信装置（例えば、図４中の制御装置１００の通信部１０１等）により、所定のネットワーク（インターネット等）を介して、有線または無線で操作装置１０等の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。

【0043】

人体検知センサ３２は、人体を検知する機能を有する。例えば、人体検知センサ３２は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人体検知センサ３２は、μ（マイクロ）波センサ等により実現されてもよい。なお、上記は一例であり、人体検知センサ３２は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人体検知センサ３２は、トイレルームＲ（図１参照）内に入室した人（使用者など）を検知する。人体検知センサ３２は、検知信号を制御装置１００へ出力する。

【0044】

着座検知センサ３３は、便座装置２への人の着座を検知する機能を有する。着座検知センサ３３は、使用者が便座５に着座したことを検知する。着座検知センサ３３は、便座５に対する使用者による着座を検知可能である。着座検知センサ３３は、使用者による便座５からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。着座検知センサ３３は、便座５に対する使用者の着座状態を検知する。

【0045】

例えば、着座検知センサ３３は、荷重センサにより使用者が便座５に着座したことを検知する。例えば、着座検知センサ３３は、赤外線投受光式の測距センサであり、人（使用者）が便座５に着座する直前において便座５の付近に存在する人体や、便座５に着座した使用者を検知してもよい。なお、上記は一例であり、着座検知センサ３３は、上記に限らず、種々の手段により便座装置２への人の着座を検知してもよい。着座検知センサ３３は、着座検知信号を制御装置１００へ出力する。なお、着座検知センサ３３は、荷重検知センサ３４と共用されてもよい。この場合、トイレシステム１は、着座検知センサ３３を有さなくてもよい。

【0046】

荷重検知センサ３４は、荷重を検知するセンサである。荷重検知センサ３４は、荷重センサである。荷重検知センサ３４は、便器７に着座した使用者の体重を検知する。荷重検知センサ３４は、荷重の変化（変動）を検知する。荷重検知センサ３４は、所望の荷重を検知可能であれば、任意の構成が採用可能である。

【0047】

なお、上記は一例に過ぎず、荷重検知センサ３４は、所望の荷重を検知可能であれば、どのようなセンサが用いられてもよい。例えば、荷重検知センサ３４は、使用者が便座５に着座したことを検知する着座センサとして機能してもよい。この場合、荷重検知センサ３４は、着座検知センサ３３と一体であってもよい。

【0048】

また、トイレシステム１が排便の有無を検知する場合、トイレシステム１は、排便の有無を検知する便検知手段を有してもよい。例えば、トイレシステム１は、ボウル部８内を撮像する撮像手段を、排便の有無を検知する便検知手段として有してもよい。例えば、便検知手段は、ボウル部８内に向けて配置されたラインセンサであり、ボウル部８内を落下する排泄物等の落下物を検知してもよい。また、便検知手段は、ボウル部８内の封水に向けて配置されたカメラであり、封水に着水した排泄物等の落下物を検知してもよい。なお、荷重検知センサ３４は、便検知手段として機能してもよい。

【0049】

制御装置１００は、各種構成や処理を制御する。制御装置１００は、排尿時間や尿量の算出などの各種の情報処理を実行するコンピュータ（情報処理装置）である。制御装置１００は、排泄物を受ける便器７の便座５にかかる荷重を基に、便器７において使用者により排泄された便量と尿量とを識別する。制御装置１００は、便器７の便座５にかかる荷重を基に排尿時間を算出する。例えば、制御装置１００は、便器７の便座５にかかる荷重の変動パターンに基づいて排尿時間を算出する。制御装置１００は、算出した排尿時間と、記憶部に記憶された単位時間当たりの尿量（「単位尿量」ともいう）とに基づいて、総尿量を算出する。

【0050】

また、制御装置１００は、トイレシステム１の各種構成を制御する。制御装置１００は、ノズルモータ６１や電磁弁７１を制御する。制御装置１００は、操作装置１０から送信された信号に基づいて、ノズルモータ６１や電磁弁７１を制御する。

【0051】

制御装置１００は、操作装置１０から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、ノズルモータ６１を制御する。制御装置１００は、洗浄ノズル６を進退させるためにノズルモータ６１を制御する。制御装置１００は、電磁弁７１の開閉を制御する。

【0052】

制御装置１００は、有線により、ノズルモータ６１や電磁弁７１に制御情報を送信する。なお、制御装置１００は、無線により、ノズルモータ６１や電磁弁７１に制御情報を送信してもよい。例えば、制御装置１００は、便座装置２と別装置として構成される場合、無線により、ノズルモータ６１や電磁弁７１の制御情報を便座装置２へ送信してもよい。この場合、便座装置２の制御装置が受信した制御情報を基にノズルモータ６１や電磁弁７１を制御してもよい。

【0053】

また、制御装置１００は、荷重検知センサ３４を制御してもよい。この場合、荷重検知センサ３４は、制御装置１００による制御に応じて、検知を開始したり、検知を停止したりする。制御装置１００は、荷重検知センサ３４による検知の開始や終了を制御するための制御情報を荷重検知センサ３４に送信する。例えば、制御装置１００は、人体検知センサ３２または着座検知センサ３３により使用者による便器７の利用開始が検知された場合、荷重検知センサ３４に検知を開始させる制御情報を荷重検知センサ３４に送信する。例えば、制御装置１００は、人体検知センサ３２または着座検知センサ３３により使用者による便器７の利用終了が検知された場合、荷重検知センサ３４に検知を終了させる制御情報を荷重検知センサ３４に送信する。

【0054】

また、制御装置１００は、図１に示すような便蓋４や便座５を制御する。制御装置１００は、操作装置１０から送信された信号に基づいて、便蓋４や便座５を制御する。制御装置１００は、操作装置１０から送信された便蓋開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便蓋４を制御する。制御装置１００は、操作装置１０から送信された着座部開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便座５を制御する。制御装置１００は、有線により、便蓋４や便座５に制御情報を送信する。なお、制御装置１００は、無線により、便蓋４や便座５に制御情報を送信してもよい。

【0055】

制御装置１００は、人体検知センサ３２による使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御装置１００は、人体検知センサ３２によるトイレルームＲへの使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御装置１００は、着座検知センサ３３による使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御装置１００は、着座検知センサ３３による便座５への使用者の着座が検知されたか否かを判定する。

【0056】

電磁弁７１は、流体の流れを電磁的方法により制御する弁（バルブ）の機能を有する。電磁弁７１は、例えば給水管からの水道水の供給および停止を切り替える。電磁弁７１は、制御装置１００からの指示に応じて開閉の制御を実行する。

【0057】

ノズルモータ６１は、洗浄ノズル６を進退駆動する駆動源（モータ）である。ノズルモータ６１は、洗浄ノズル６を本体部３の本体カバー３０に対して進退させる制御を実行する。ノズルモータ６１は、制御装置１００からの指示に応じて洗浄ノズル６を進退させる制御を実行する。

【0058】

図３に示す構成では、便座装置２に、制御装置１００等が含まれる構成を一例として示したが、制御装置１００、人体検知センサ３２、着座検知センサ３３及び荷重検知センサ３４等は、便座装置２とは別装置として構成されてもよい。例えば、制御装置１００は、便座装置２とは別装置で構成されてもよい。例えば、制御装置１００は、サーバ装置であり、便座装置２から離間した位置に配置されてもよい。この場合、制御装置１００は、便座装置２、人体検知センサ３２、着座検知センサ３３及び荷重検知センサ３４等の各装置と通信し、排尿時間や尿量の算出に必要な情報を各装置から受信する。また、この場合、便座装置２は、ノズルモータ６１、及び電磁弁７１等の便座装置２の各種構成を制御するための構成（制御回路等）を有してもよい。なお、上記は一例に過ぎず、トイレシステム１は、所望の処理が可能であれば、任意の装置構成が採用可能である。

【0059】

＜４．制御装置の機能構成＞
以下、制御装置の機能構成について図４を参照して説明する。図４は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。

【0060】

図４に示すように、制御装置１００は、通信部１０１と、記憶部１２０と、制御部１３０とを有する。なお、制御装置１００は、制御装置１００の管理者等から各種操作を受け付ける入力部（例えば、キーボードやマウス等）や、各種情報を表示するための表示部（例えば、液晶ディスプレイ等）を有してもよい。

【0061】

通信部１０１は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部１０１は、所定のネットワークと有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部１０１は、所定のネットワークと有線または無線で接続され、操作装置１０等の他の装置との間で情報の送受信を行う。なお、通信部１０１は、制御装置１００とは別装置（通信装置）として構成され、便座装置２が有してもよい。

【0062】

記憶部１２０は、例えば、ＲＡＭ（Random Access Memory）、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部１２０は、各種の情報処理のプログラム等によって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。

【0063】

実施形態に係る記憶部１２０は、処理に必要な様々な情報を記憶する。記憶部１２０は、各種センサ等の他の装置から取得した各種情報を記憶する。例えば、記憶部１２０は、処理に用いる学習モデル（単に「モデル」ともいう）に関する情報を記憶する。例えば、記憶部１２０は、排尿時間の算出処理に用いるモデルを記憶する。例えば、記憶部１２０は、各種の情報処理で用いる様々な情報（例えば閾値に関する情報）を記憶する。記憶部１２０は、使用者が排尿を開始した時間（「排尿開始時間」ともいう）や使用者が排尿を終了した時間（「排尿終了時間」ともいう）の決定に用いる情報を記憶する。第１所定値、第２所定値、第３所定値及び第４所定値等の各種の数値（閾値）を記憶する。記憶部１２０は、排尿開始時間や排尿終了時間の決定に用いる第１所定値、第２所定値、第３所定値及び第４所定値等の各種の数値（閾値）を記憶する。なお、第１所定値、第２所定値、第３所定値及び第４所定値等の各種の数値は、任意の値が設定可能である。

【0064】

図４に戻り、説明を続ける。制御部１３０は、例えば、ＣＰＵ（Central Processing Unit）やＧＰＵ（Graphics Processing Unit）等によって、制御装置１００内部に記憶されたプログラム（例えば、本開示に係る各種の情報処理のプログラム等）がＲＡＭ等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部１３０は、コントローラ（controller）であり、例えば、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）やＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array）等の集積回路により実現される。

【0065】

図４に示すように、制御部１３０は、取得部１３１と、測定部１３２と、判定部１３３と、算出部１３４と、出力部１３５とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部１３０の内部構成は、図４に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。

【0066】

取得部１３１は、各種情報を取得する。取得部１３１は、記憶部１２０から各種情報を取得する。取得部１３１は、他の装置から情報を受信する。取得部１３１は、各種のセンサが検知した情報（検知情報等）を各種のセンサから受信する。取得部１３１は、人体検知センサ３２、着座検知センサ３３及び荷重検知センサ３４の各センサが検知した情報（検知情報等）を各センサから受信する。例えば、取得部１３１は、荷重検知センサ３４が検知した荷重に関する情報を荷重検知センサ３４から受信する。取得部１３１は、処理に用いる情報を記憶部１２０から取得する。

【0067】

測定部１３２は、各種の測定を行う。測定部１３２は、記憶部１２０に記憶された情報を用いて、各種の測定を行う。測定部１３２は、センサによる検知時間を測定する。測定部１３２は、荷重検知センサ３４により検知された情報を用いて、荷重検知センサ３４により検知が行われている時間（検知時間）を測定する。

【0068】

測定部１３２は、荷重検知センサ３４により検知された情報を用いて、便器７の便座５にかかる荷重を測定する。測定部１３２は、荷重検知センサ３４により検知された情報を用いて、荷重変化を測定する。測定部１３２は、荷重検知センサ３４により検知された情報を用いて、便座５に着座している使用者の体重変化を測定する。測定部１３２は、荷重検知センサ３４により荷重の変化が検知された情報を用いて、荷重検知センサ３４により検知が行われている時間（検知時間）を測定する。

【0069】

判定部１３３は、判定処理を行う。判定部１３３は、記憶部１２０に記憶された各種の情報を用いて判定処理を行う。判定部１３３は、取得部１３１により取得された各種の情報を用いて判定処理を行う。

【0070】

判定部１３３は、荷重検知センサ３４により検知された便器７の便座５にかかる荷重の変動パターンに基づいて、便と尿とを判定する。判定部１３３は、荷重の時間変化量（単に「変化量」ともいう）の傾きの大きさが第１所定値以上、かつ第１所定値よりも大きい第２所定値以下である第１条件を満たす場合、尿と判定する。判定部１３３は、荷重の時間変化量の傾きの大きさが第２所定値より大きいことである条件（第２条件）を満たす場合、便と判定する。

【0071】

判定部１３３は、センサにより検知された便器の便座にかかる荷重の変動パターンに基づいて、便と尿とを判定する。判定部１３３は、センサによる検知に基づいて推定される所定期間内の便器の使用者の体重の差と、所定期間内の体重の変動パターンとに基づいて、便器において使用者により排泄された便量と尿量とを識別する。

【0072】

判定部１３３は、体重の所定値以上の減少は、便量及び尿量のいずれでもないと判定する。判定部１３３は、体重が減少し、所定時間に体重が増加した変動パターンを、便量及び尿量のいずれでもないと判定する。判定部１３３は、所定時間に体重が増加した場合は、体重の増加を便量及び尿量のいずれでもないと判定する。

【0073】

判定部１３３は、荷重検知センサ３４による検知結果に基づいて、荷重変化の原因を判定してもよい。判定部１３３は、荷重検知センサ３４による検知結果に基づいて、荷重変化の原因を分類する。判定部１３３は、荷重検知センサ３４による検知結果に基づいて、荷重変化の原因がいずれの物体によるものかを判定する。判定部１３３は、荷重検知センサ３４の検知結果に基づいて、使用者の排泄物を判定する。

【0074】

例えば、判定部１３３は、大便による荷重変化である第１種別の荷重変化、尿による荷重変化である第２種別の荷重変化、大便及び尿による荷重変化である第３種別の荷重変化、使用者の体動による荷重変化である第４種別の荷重変化を含む複数の種別の荷重変化を分類する。例えば、判定部１３３は、荷重検知センサ３４により検知された荷重が、大便による荷重、尿による荷重、または使用者の体動による荷重のいずれであるか分類する。

【0075】

判定部１３３は、任意の手法により荷重変化判定を行ってもよい。例えば、判定部１３３は、信号レベル閾値超過または、ＡＩ（人工知能）により荷重変化判定を行ってもよい。判定部１３３は、周波数解析、画像処理、機械学習、Deep Learningなどにより荷重変化判定を行ってもよい。

【0076】

例えば、判定部１３３は、ＡＩに関する技術を用いて荷重を判定する。例えば、判定部１３３は、機械学習により生成されたモデル（「荷重変化判定モデル」ともいう）を用いて、荷重を判定してもよい。この場合、荷重変化判定モデルは、事前に分類判断を示す教師データにより学習される。この教師データには、便器７の便座５にかかる荷重情報と、その荷重情報に対応する荷重の種別を示すラベル（正解情報）との組合せを複数含む。ここでいう種別は、例えば便、尿、便及び尿の両方、または使用者の体動等、その荷重変化の原因となった物体を示す。

【0077】

荷重変化判定モデルは、荷重情報を入力とし、入力された荷重情報に対応する荷重の種別を示す情報を出力するモデルである。例えば、荷重変化判定モデルは、荷重情報が入力された場合に、入力された荷重情報に対応するラベル（荷重の種別）の情報を出力するように学習される。荷重変化判定モデルの学習は、いわゆる教師あり学習に関する種々の手法を適宜用いて行われる。この場合、荷重変化判定モデルは記憶部１２０に格納され、判定部１３３は、記憶部１２０に格納された荷重変化判定モデルを用いて、荷重を判定してもよい。例えば、制御装置１００が学習処理を行い、荷重変化判定モデルを生成してもよい。なお、上記は一例に過ぎず、判定部１３３は、様々な情報を適宜用いて、荷重を判定してもよい。

【0078】

また、判定部１３３は、便検知手段により検知された情報を基に排便（大便）の有無を判定してもよい。判定部１３３は、荷重検知センサ３４等の便検知手段により検知された情報を用いて、使用者が大便を排泄しているか否かを判定してもよい。判定部１３３は、便検知手段によりにより撮影された画像を基に排便の有無を判定する。なお、上記の排便の有無の判定は一例に過ぎず、判定部１３３は、排便の有無を判定する場合、様々な情報を適宜用いて、排便の有無を判定してもよい。

【0079】

算出部１３４は、算出処理を行う。算出部１３４は、記憶部１２０に記憶された各種の情報を用いて算出処理を行う。算出部１３４は、取得部１３１により取得された各種の情報を用いて算出処理を行う。算出部１３４は、判定部１３３による判定結果を基に、排尿時間を算出する。

【0080】

算出部１３４は、便器７の便座５にかかる荷重に基づいて排尿時間を算出する。算出部１３４は、荷重検知センサ３４による検知に基づいて推定される便器７の使用者の体重の変動パターンに基づいて、排尿時間を算出する。

【0081】

算出部１３４は、荷重の変化量の傾きの大きさが第１所定値以上、かつ第１所定値よりも大きい第２所定値以下である第１条件を満たす間を排尿時間とする。算出部１３４は、荷重の変化量の傾きの大きさが第１条件を満たすようになった後、第１条件を満たさなくなってから第１所定時間より短い第２所定時間の経過後に再度、第１条件を満たすようになった場合、第２所定時間も排尿時間とする。算出部１３４は、荷重の変化量の傾きの大きさが第１条件を満たすようになった後、荷重の変化量の傾きの大きさが第２所定値よりも大きい第３所定値以上となった第３所定時間の経過後に再度、第１条件を満たすようになった場合、第３所定時間も排尿時間とする。

【0082】

算出部１３４は、荷重検知センサ３４による検知に基づく使用者の体重の変化を基に、尿量を算出する。算出部１３４は、単位時間の変化量が少ない体重の減少量を尿量とする。算出部１３４は、単位時間の変化量が多い体重の減少量を便量とする。

【0083】

算出部１３４は、算出した総尿量を複数のレベルのいずれかに分類する。算出部１３４は、総尿量を「大」、「中」、「小」のいずれかのレベルにカテゴライズする。例えば、算出部１３４は、総尿量が第１閾値未満である場合、その総尿量をレベル「小」に分類する。例えば、算出部１３４は、総尿量が第１閾値以上かつ、第１閾値よりも大きい第２閾値未満である場合、その総尿量をレベル「中」に分類する。例えば、算出部１３４は、総尿量が第２閾値以上である場合、その総尿量をレベル「大」に分類する。

【0084】

算出部１３４は、第２種別の荷重変化または第３種別の荷重変化に該当する荷重変化に対応する時間を排尿時間として算出する。算出部１３４は、荷重変化のうち、所定の閾値以上に大きな荷重変化が発生した場合は、大きな荷重変化が生じた際の荷重を除外して、排尿時間を算出する。算出部１３４は、排便の有無を検知できる便検知手段により排便が検知された場合は、大便として想定される荷重変化を除外して、排尿時間を算出する。

【0085】

出力部１３５は、各種情報を出力する出力処理を実行する。出力部１３５は、各種情報を送信する送信部として機能する。出力部１３５は、外部の情報処理装置へ情報を送信することにより、出力処理を実行する。出力部１３５は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、出力部１３５は、管理者が利用するパソコン、スマートフォン等の管理者装置へ各種情報を送信する。また、出力部１３５は、操作装置１０（もしくは表示画面１１）へ情報を送信することにより、出力処理を実行しても良い。

【0086】

出力部１３５は、算出部１３４により算出された排尿時間を示す情報を送信する。出力部１３５は、算出部１３４により算出された尿量を示す情報を送信する。出力部１３５は、算出部１３４によりカテゴライズされた総尿量（のレベル）を示す「大」、「中」、「小」のいずれかを示す情報を出力する。出力部１３５は、総尿量のレベルを示す情報を送信する。

【0087】

＜５．荷重変化例＞
ここで、検知対象となる便器７の便座５にかかる荷重変化の一例について、図５を用いて説明する。図５は、荷重変化の一例を示す図である。図５中のチャートＧＲ１は、排尿が行われた便器７の便座５にかかる荷重の時間経過に応じた変化のタイミングチャートの一例を示す。図５では、縦軸が荷重を示し、横軸が時間を示す。

【0088】

図５では、チャートＧＲ１に示すように、便器７の便座５にかかる荷重について、時間ｔ_１よりも前の期間及び時間ｔ_４よりも後の期間で荷重の増加が検知される。このように、荷重の増加がある場合、トイレシステム１は、その荷重変化の原因が体動であると判定する。また、荷重の減少があっても、その減少から所定時間内に荷重の増加がある場合、トイレシステム１は、その荷重変化の原因が体動であると判定する。そのため、図５では、トイレシステム１は、時間ｔ_１よりも前の期間及び時間ｔ_４よりも後の期間での荷重変化の原因が体動であると判定する。

【0089】

一方で、図５では、チャートＧＲ１に示すように、便器７の便座５にかかる荷重について、時間ｔ_１～ｔ_２の間にΔＷ_１の減少が検知される。このように、変化率が小さい荷重の減少がある場合、トイレシステム１は、その荷重変化の原因が尿であると判定する。ΔＷ_１の減少が検知される期間は、単位時間の体重変化量が少ないため、トイレシステム１は、この期間での変化量を排尿量として算出する。図５では、トイレシステム１は、時間ｔ_１～ｔ_２の間での変化量を排尿量として算出する。

【0090】

また、図５では、チャートＧＲ１に示すように、便器７の便座５にかかる荷重について、時間ｔ_３～ｔ_４の間にΔＷ_２の減少が検知される。このように、変化率が中程度の荷重の減少がある場合、トイレシステム１は、その荷重変化の原因が便であると判定する。ΔＷ_２の減少が検知される期間は、単位時間の体重変化量が中程度の変化量であるため、トイレシステム１は、この期間での変化量を排便量として算出する。図５では、トイレシステム１は、時間ｔ_３～ｔ_４の間での変化量を排便量として算出する。

【0091】

＜６．処理の流れ＞
ここから、トイレシステムが実行する処理フローについて説明する。トイレシステム１は、以下の第１の処理を実行する。以下では、トイレシステム１を処理主体として説明するが、第１の処理は、トイレシステム１に含まれる装置構成に応じて、制御装置１００、荷重検知センサ３４等の各種センサ等いずれの装置が行ってもよい。

【0092】

図６に示す処理例について説明する。図６は、トイレシステムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。具体的には、図６は、排尿時間及び尿量に関する算出の第１の処理の手順の一例を示すフローチャートである。

【0093】

図６では、トイレシステム１は、測定開始トリガがあったか否かを判定する（ステップＳ１０１）。例えば、トイレシステム１は、使用者による便器７の使用開始が検知された場合、測定開始トリガがあったと判定する。トイレシステム１は、測定開始トリガがなかったと判定した場合（ステップＳ１０１：Ｎｏ）、ステップＳ１０１の処理を繰り返す。

【0094】

トイレシステム１は、測定を開始する（ステップＳ１０２）。例えば、トイレシステム１は、荷重検知センサ３４により便器７の便座５にかかる荷重の測定を開始する。そして、トイレシステム１は、直前の荷重との差分を算出する（ステップＳ１０３）。例えば、トイレシステム１は、ステップＳ１０２で測定した便器７の便座５にかかる荷重と、その直前で測定した便器７の便座５にかかる荷重との差分を算出する。

【0095】

トイレシステム１は、ΔＷの下降があったか否かを判定する（ステップＳ１０４）。例えば、トイレシステム１は、ΔＷの下降を検知した場合、ΔＷの下降があったと判定する。トイレシステム１は、ΔＷの下降がなかったと判定した場合（ステップＳ１０４：Ｎｏ）、ステップＳ１０６の処理を行う。

【0096】

トイレシステム１は、ΔＷの下降があったと判定した場合（ステップＳ１０４：Ｙｅｓ）、荷重減少時の荷重変動情報である減少情報を取得する（ステップＳ１０５）。例えば、トイレシステム１は、ΔＷの下降があると判定した場合の差分の情報を減少情報として取得する。

【0097】

そして、トイレシステム１は、測定終了トリガがあったか否かを判定する（ステップＳ１０６）。例えば、トイレシステム１は、使用者による便器７の使用終了が検知された場合、測定終了トリガがあったと判定する。トイレシステム１は、測定終了トリガがなかったと判定した場合（ステップＳ１０６：Ｎｏ）、ステップＳ１０３に戻って処理を繰り返す。

【0098】

トイレシステム１は、測定終了トリガがあったと判定した場合（ステップＳ１０６：Ｙｅｓ）、測定を終了する（ステップＳ１０７）。そして、トイレシステム１は、減少情報処理を実行する（ステップＳ１０８）。例えば、トイレシステム１は、使用者による便器７の使用終了が検知され、測定終了トリガがあったと判定した場合、減少情報処理を実行する。例えば、トイレシステム１は、各減少情報が示す変動パターンに基づいて、減少情報のうち、便に対応する減少情報（「便減少情報」ともいう）を識別する。例えば、トイレシステム１は、荷重の変化率または変位量が所定値以上の減少情報を、便減少情報として識別する。

【0099】

また、例えば、トイレシステム１は、各減少情報が示す変動パターンに基づいて、減少情報のうち、尿に対応する減少情報（「尿減少情報」ともいう）を識別する。例えば、トイレシステム１は、荷重の変化率または変位量が所定値未満の減少情報を、量減少情報として識別する。なお、上述した減少情報処理は一例に過ぎず、トイレシステム１は、様々な情報を用いて、便減少情報及び尿減少情報を識別してもよい。

【0100】

そして、トイレシステム１は、便・尿量を推定する（ステップＳ１０９）。トイレシステム１は、便及び尿の各々に該当する減少量をもとに、便及び尿の各々の量を算出する。トイレシステム１は、減少情報を基に識別した便に対応する減少量を便量として算出する。例えば、トイレシステム１は、減少情報のうち、便に対応する便減少情報が示す減少量を便量として算出する。また、トイレシステム１は、減少情報を基に識別した尿に対応する減少量を尿量として算出する。例えば、トイレシステム１は、減少情報のうち、尿に対応する尿減少情報が示す減少量を尿量として算出する。なお、上記は一例に過ぎず、トイレシステム１は、様々な情報を用いて、便量及び尿量を識別（算出）してもよい。

【0101】

＜７．第２の処理例＞
なお、上述した例では、トイレシステム１が荷重から尿量を算出したが、トイレシステム１は、排尿時間を算出して、排尿時間を基に尿量を算出してもよい。この点について、以下説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。

【0102】

＜７－１．排尿時間の算出例＞
まず、排尿時間の算出の例について、図７及び図８を用いて説明する。図７及び図８は、排尿時間の算出の一例を示す図である。具体的には、図７は、排尿のみが検知された場合の排尿時間の算出の一例を示す図である。また、図８は、排尿中に排便や体動による変動があった場合の排尿時間の算出の一例を示す図である。

【0103】

まず、図７に示す例について説明する。図７中のチャートＧＲ２は、排尿が行われた便器７の便座５にかかる荷重の時間経過に応じた変化のタイミングチャートの一例を示す。図７では、縦軸が荷重を示し、横軸が時間を示す。なお、図５と同様の点については適宜説明を省略する。

【0104】

図７では、チャートＧＲ２に示すように、便器７の便座５にかかる荷重について、時間ｔ_１１～ｔ_１２の間では変化量の傾きの大きさが第１所定値以上でかつ第２所定値以上である減少が検知される。なお、第１所定値は、任意の値が設定可能である。また、第２所定値は、第１所定値よりも大きい値であれば、任意の値が設定可能である。

【0105】

このように、減少量の傾きの大きさが第１所定値以上でかつ第２所定値以上である場合、トイレシステム１は、その荷重変化の原因が尿であると判定する。変化量の傾きの大きさが第１所定値以上でかつ第２所定値以上である期間は、単位時間の体重変化量が少ないため、トイレシステム１は、この期間での変化量を排尿量として算出する。図７では、トイレシステム１は、時間ｔ_１１～ｔ_１２の間での変化量を排尿量として算出する。このように、トイレシステム１は、荷重の変化量の傾きの大きさが第１所定値以上、かつ以下である条件（「第１条件」ともいう）を満たす場合、第１条件を満たす間を排尿時間とする。

【0106】

次に、図８に示す例について説明する。図８中のチャートＧＲ３は、排尿が行われた便器７の便座５にかかる荷重の時間経過に応じた変化のタイミングチャートの一例を示す。図８では、縦軸が荷重を示し、横軸が時間を示す。なお、図５や図７と同様の点については適宜説明を省略する。

【0107】

図８では、チャートＧＲ３に示すように、便器７の便座５にかかる荷重について、時間ｔ_２１～ｔ_２２の間では変化量の傾きの大きさが第１所定値以上でかつ第２所定値以上である減少が検知される。一方、図８では、チャートＧＲ３に示すように、時間ｔ_２１～ｔ_２２の間の途中で一時的に第２所定値よりも大きい荷重変化が生じる。このような場合であっても、トイレシステム１は、所定の条件を満たす場合、一時的に第２所定値よりも大きい荷重変化が生じた期間（「スパイク期間」ともいう）も含めた時間ｔ_２１～ｔ_２２の間の時間を排尿尿時間とする。すなわち、トイレシステム１は、使用者が排尿中の期間に、排便や体動による変動が生じた期間があった場合、その期間を含めて排泄時間を算出する。

【0108】

例えば、トイレシステム１は、荷重の変化量の傾きの大きさが第１条件を満たすようになった後、第１条件を満たさなくなってから第１所定時間より短い第２所定時間の経過後に再度、第１条件を満たすようになった場合、第２所定時間も排尿時間とする。図８では、トイレシステム１は、時間ｔ_２１～ｔ_２２の間内のスパイク期間が第１所定時間より短い場合、スパイク期間も含めた時間ｔ_２１～ｔ_２２の間の時間を排尿尿時間とする。

【0109】

例えば、トイレシステム１は、荷重の変化量の傾きの大きさが第１条件を満たすようになった後、荷重の変化量の傾きの大きさが第２所定値よりも大きい第３所定値以上となった第３所定時間の経過後に再度、第１条件を満たすようになった場合、第３所定時間も排尿時間とする。図８では、トイレシステム１は、時間ｔ_２１～ｔ_２２の間内の荷重の変化量の傾きの大きさが第３所定値以上となったスパイク期間も含めた時間ｔ_２１～ｔ_２２の間の時間を排尿尿時間とする。

【0110】

このように、トイレシステム１は、使用者が排尿中に排尿とは異なる原因での荷重変化が検知された場合であっても、その期間も使用者が排尿していると推定される場合、その期間も排泄時間に含めることで、適切に排尿時間を算出することができる。

【0111】

＜７－２．処理の流れ＞
ここから、トイレシステムが実行する排尿時間の算出及び尿量の算出に関する処理フローについて説明する。トイレシステム１は、以下の第２の処理を実行する。以下では、トイレシステム１を処理主体として説明するが、第２の処理は、トイレシステム１に含まれる装置構成に応じて、制御装置１００、荷重検知センサ３４等の各種センサ等いずれの装置が行ってもよい。

【0112】

ここから、図９に示す処理例について説明する。図９は、トイレシステムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。具体的には、図９は、排尿時間及び尿量に関する算出の第２の処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図６と同様の点については適宜説明を省略する。

【0113】

図９では、トイレシステム１は、測定開始トリガがあったか否かを判定する（ステップＳ２０１）。例えば、トイレシステム１は、使用者による便器７の使用開始が検知された場合、測定開始トリガがあったと判定する。トイレシステム１は、測定開始トリガがなかったと判定した場合（ステップＳ２０１：Ｎｏ）、ステップＳ２０１の処理を繰り返す。

【0114】

トイレシステム１は、測定開始トリガがあったと判定した場合（ステップＳ２０１：Ｙｅｓ）、「ｔ＝０」に設定する（ステップＳ２０２）。例えば、トイレシステム１は、使用者による便器７の使用開始が検知され、測定開始トリガがあったと判定した場合、排尿時間をカウントする排尿スコアｔの値を０に初期化する。

【0115】

トイレシステム１は、測定を開始する（ステップＳ２０３）。例えば、トイレシステム１は、荷重検知センサ３４により便器７の便座５にかかる荷重の測定を開始する。そして、トイレシステム１は、直前の荷重との差分を算出する（ステップＳ２０４）。例えば、トイレシステム１は、ステップＳ２０３で測定した便器７の便座５にかかる荷重と、その直前で測定した便器７の便座５にかかる荷重との差分を算出する。

【0116】

トイレシステム１は、ΔＷの下降があったか否かを判定する（ステップＳ２０５）。例えば、トイレシステム１は、ΔＷの下降を検知した場合、ΔＷの下降があったと判定する。例えば、トイレシステム１は、ΔＷの下降の傾きが所定の範囲である場合、ΔＷの下降があったと判定する。トイレシステム１は、ΔＷの下降がなかったと判定した場合（ステップＳ２０５：Ｎｏ）、ステップＳ２１１の処理を行う。

【0117】

トイレシステム１は、ΔＷの下降があったと判定した場合（ステップＳ２０５：Ｙｅｓ）、「ｔｓ＝ｔ_１」に設定する（ステップＳ２０６）。例えば、トイレシステム１は、ΔＷの下降があったと判定した場合、その上昇が検知された時間ｔ_１を排尿開始時間ｔｓに設定する。

【0118】

そして、トイレシステム１は、直前の荷重との差分を算出する（ステップＳ２０７）。例えば、トイレシステム１は、ステップＳ２０７で測定した便器７の便座５にかかる荷重と、その直前で測定した便器７の便座５にかかる荷重との差分を算出する。

【0119】

トイレシステム１は、ΔＷの変位があったか否かを判定する（ステップＳ２０８）。例えば、トイレシステム１は、ΔＷの変位を検知した場合、ΔＷの変位があったと判定する。トイレシステム１は、ΔＷの変位がなかったと判定した場合（ステップＳ２０８：Ｎｏ）、ステップＳ２０７に戻って処理を繰り返す。

【0120】

トイレシステム１は、ΔＷの変位があったと判定した場合（ステップＳ２０８：Ｙｅｓ）、「ｔｅ＝ｔ_２」に設定する（ステップＳ２０９）。例えば、トイレシステム１は、ΔＷの変位があったと判定した場合、その下降が検知された時間ｔ_２を排尿終了時間ｔｅに設定する。

【0121】

そして、トイレシステム１は、「ｔ＝ｔ＋（ｔｅ－ｔｓ）」に設定する（ステップＳ２１０）。例えば、トイレシステム１は、排尿終了時間ｔｅから排尿開始時間ｔｓを引いた値を排尿スコアｔに加算する。

【0122】

そして、トイレシステム１は、測定終了トリガがあったか否かを判定する（ステップＳ２１１）。例えば、トイレシステム１は、使用者による便器７の使用終了が検知された場合、測定終了トリガがあったと判定する。トイレシステム１は、測定終了トリガがなかったと判定した場合（ステップＳ２１１：Ｎｏ）、ステップＳ２０４に戻って処理を繰り返す。

【0123】

トイレシステム１は、測定終了トリガがあったと判定した場合（ステップＳ２１１：Ｙｅｓ）、測定を終了する（ステップＳ２１２）。そして、トイレシステム１は、総排尿時間を算出する（ステップＳ２１３）。例えば、トイレシステム１は、排尿時間をカウントした排尿スコアｔの値を基に、総排尿時間を算出する。例えば、排尿スコアｔの単位が秒に対応する場合、トイレシステム１は、排尿スコアｔの値の秒数を、総排尿時間として算出する。この場合、排尿スコアｔが「５」である場合、トイレシステム１は、総排尿時間が５秒であると算出する。トイレシステム１は、排尿スコアｔを入力とし、総排尿時間を出力する関数（排尿時間算出関数）を用いて、総排尿時間として算出する。この場合、排尿スコアｔが「５」である場合、トイレシステム１は、「５」を排尿時間算出関数に入力し、排尿時間算出関数が出力した値を総排尿時間であるとしてもよい。

【0124】

そして、トイレシステム１は、尿量を推定する（ステップＳ２１４）。例えば、トイレシステム１は、ステップＳ２１３で算出した総排尿時間を用いて、尿量を算出する。トイレシステム１は、算出した排尿時間に、記憶部１２０に記憶された単位時間当たりの尿量（単位尿量）を乗算することにより、尿量を算出する。例えば、単位尿量は、例えば２０～３０（ｍｌ／秒）の範囲内の任意の値が設定されてもよい。単位尿量は、性別ごとに設定されてもよい。例えば、単位尿量は、女性については、例えば１０～５０（ｍｌ／秒）の範囲内の任意の値が設定されてもよい。また、単位尿量は、男性については、例えば１０～３０（ｍｌ／秒）の範囲内の任意の値が設定されてもよい。なお、上記は一例に過ぎず、単位尿量は、上記に限らず任意の値が設定されてもよい。

【0125】

＜８．荷重変化例＞
ここから、荷重変化の一例について説明する。具体的には、トイレシステム１の便座５に係る荷重変化とその原因の関係について、図１０を用いて説明する。図１０は、荷重変化の一例を示す図である。図１０では、便のみ、尿のみ、体動の各々に対応する３つの種別の荷重変化に関する情報を示す。

【0126】

図１０では、荷重変化の種別を識別する識別案＃１～＃４の４つの識別案を一例として示す。図１０中の識別案＃１は、変化率を識別に用いる場合に対応する。図１０中の識別案＃２は、変位量及び変化率を識別に用いる場合に対応する。図１０中の識別案＃３は、変位方向及び変化率を識別に用いる場合に対応する。図１０中の識別案＃４は、体動を考慮しない場合に対応する。

【0127】

図１０に示す荷重変化情報ＳＷ１～ＳＷ３は、３つの種別の各々に対応する荷重変化情報を示す。荷重変化情報ＳＷ１～ＳＷ３は、３つの種別の各々に対応する荷重変動イメージを示す。例えば、図１０に示す荷重変化情報ＳＷ１～ＳＷ３は、直前の荷重からの差分に対応する荷重変化情報を示す。

【0128】

例えば、荷重変化情報ＳＷ１は、第１種別（便のみ）の荷重変化について、直前の荷重からの差分に対応し、便以外で生じた荷重変化を取り除き、便のみで生じた封水の荷重変化の荷重変化情報を示す。図１０に示すように、第１種別（便のみ）は、識別案＃１では変化率が中である。また、第１種別（便のみ）は、識別案＃２では変位量が小であり、かつ変化率が大である。また、第１種別（便のみ）は、識別案＃３では変位方向が減少であり、かつ変化率が大である。また、第１種別（便のみ）は、識別案＃４では変化が大である。

【0129】

例えば、荷重変化情報ＳＷ２は、第２種別（尿のみ）の荷重変化について、直前の荷重からの差分に対応し、尿以外で生じた荷重変化を取り除き、尿のみで生じた封水の荷重変化の荷重変化情報を示す。図１０に示すように、第２種別（尿のみ）は、識別案＃１では変化率が小である。また、第２種別（尿のみ）は、識別案＃２では変位量が小であり、かつ変化率が小である。また、第２種別（尿のみ）は、識別案＃３では変位方向が減少であり、かつ変化率が小である。また、第２種別（尿のみ）は、識別案＃４では変化が小である。

【0130】

例えば、荷重変化情報ＳＷ３は、第４種別（使用者の体動）の荷重変化について、直前の荷重からの差分に対応し、便及び尿以外で生じた荷重変化を取り除き、便及び尿の両方で生じた封水の荷重変化の荷重変化情報を示す。図１０に示すように、第４種別（使用者の体動）は、識別案＃１では変化率が大である。また、第４種別（使用者の体動）は、識別案＃２では変位量が大であり、かつ変化率が任意の値であってもよい。また、第４種別（使用者の体動）は、識別案＃３では変位方向が減少・増加であり、かつ変化率が任意の値であってもよい。また、第４種別（使用者の体動）は、識別案＃４では考量されない。

【0131】

なお、図１０では説明を省略するが便及び尿の両方に対応する種別の荷重変化も識別対象に含まれてもよい。例えば、便及び尿の両方に対応する荷重変化情報は、荷重変化情報ＳＷ１及び荷重変化情報ＳＷ２が合成された荷重変化情報である。

【0132】

＜９．全体概要＞
ここから、上述したトイレシステム１の構成及び処理について、図１１を参照して全体概要を記載する。図１１は、トイレシステムの構成及び処理の概要を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。例えば、荷重検知センサ３４には、荷重センサが用いられ、構成としては便座装置２に足置き台が一体となる構成であってもよいが、この点については後述する。

【0133】

図１１に示すように、トイレシステム１では、動作制御について、開始トリガは、着座開始、測定開始ボタン操作等が用いられてもよい。また、トイレシステム１では、動作制御について、終了トリガは、洗浄ボタン操作、荷重なし状態の所定時間経過、ペーパー落下検知、測定終了ボタン等が用いられてもよい。

【0134】

また、トイレシステム１では、荷重測定のタイミングで報知音を出力してもよい。これにより、トイレシステム１は、使用者に体動を速成することを促してもよい。

【0135】

また、トイレシステム１では、便器７の便座５にかかる荷重が高い場合には、洗浄動作などによって冷却してから測定を開始してもよい。また、上述したように、トイレシステム１は、総尿量を「大」「中」「小」にカテゴライズして出力する。

【0136】

＜９－１．足置き台例＞
ここで、足置き台を有する便座装置２の一例について、図１２～図１４を用いて説明する。図１２～図１４は、足置き台を有する構成に一例を示す図である。なお、図１２～図１４では、便座装置及び足置き台以外の符号については図示を省略する。

【0137】

まず、図１２に示す例について説明する。図１２は、足置き台が設けられた便座装置の第１の構成例を示す。具体的には、図１２は、足置き台５２Ａを有する便座装置２Ａを示す。図１２の便座装置２Ａでは、足置き台５２Ａは、本体３部の軸支部分に軸支され、軸支部分の両方から便器７前方側へ延びる一対のアーム部と、一対のアーム部間に取り付けられ、便座５に着座した使用者の足が載置される足置き部とを有する。

【0138】

まず、図１３に示す例について説明する。図１３は、足置き台が設けられた便座装置の第２の構成例を示す。具体的には、図１３は、足置き台５２Ｂを有する便座装置２Ｂを示す。図１３の便座装置２Ｂでは、足置き台５２Ｂは、便座５と一体に形成され、便座５の前端から便器７に沿って下方に伸びる延伸部と、延伸部の前端から便器７前方側へ延び、便座５に着座した使用者の足が載置される足置き部とを有する。

【0139】

まず、図１４に示す例について説明する。図１４は、足置き台が設けられた便座装置の第３の構成例を示す。具体的には、図１４は、足置き台５２Ｃを有する便座装置２Ｃを示す。図１４の第３の構成例では、足置き台５２Ｃが別置でその足置き台５２Ｃに別途荷重検知センサ３４を設ける構造を示す。図１４の便座装置２Ｃでは、足置き台５２Ｃは、便器７前方に、便器７が設けられる床に沿って配置される。足置き台５２Ｃは、荷重検知センサ３４が設けられる。例えば、足置き台５２Ｃは、使用者の足が載置される位置に荷重検知センサ３４が設けられる。図１４では、足置き台５２Ｃは、使用者の各足が載置される各位置に対応する２個の荷重検知センサ３４が設けられる。例えば、足置き台５２Ｃに配置された荷重検知センサ３４は、検知した荷重を示す情報を制御装置１００へ送信する。

【0140】

なお、上記の足置き台は一例に過ぎず、トイレシステム１では、上記第１～３の構成例に限らず、任意の構成態様で足置き台を有してもよい。

【0141】

＜９－２．便性状を用いた例＞
なお、トイレシステム１は、便の長さと性状から便量を推定し、体重減少量と推定した便量との差分から尿量を推定してもよい。例えば、トイレシステム１は、便の長さと性状から便量を推定し、体重減少量から推定した便量を減算して算出した値を尿量と推定してもよい。例えば、変形例に係るトイレシステム１は、便座装置２Ａが有する制御装置１００により、便の長さと性状から便量を推定し、体重減少量から推定した便量を減算して算出した値を尿量と推定する。

【0142】

以下、便の長さと性状から便量を推定する場合のトイレシステム１の構成及び処理の一例について、図１５を用いて説明する。図１５は、便検知センサを有する便座装置の構成の一例を示す図である。便の長さと性状から便量を推定する場合、トイレシステム１は、便座装置２に代えて変形例に係る便座装置２Ａを有する。なお、便座装置２Ａは、便検知センサ３５を有し、便検知センサ３５を露出させるための開口３１が設けられる点以外は、便座装置２と同様であるため、便検知センサ３５及び開口３１以外の構成についての説明は省略する。

【0143】

便の長さと性状から便量を推定するトイレシステム１において、便座装置２Ａは、便の長さと性状から便量を推定するための情報（「便推定用情報」ともいう）を検知する便検知センサ３５を有する。便検知センサ３５は、便座装置２Ａの本体カバー３０の開口３１から露出する。図１５では、ノズル用蓋６０に並べて設けられる開口３１に便検知センサ３５が配置される場合を一例として示すが、便検知センサ３５は、所望の検知可能であれば、どのような位置に配置されてもよい。

【0144】

トイレシステム１の制御装置１００は、便検知センサ３５により検知された便推定用情報を基に、便の長さと性状から便量を推定する。例えば、制御装置１００の判定部１３３は、便検知センサ３５により検知された便情報を用いて、便の長さと性状とを推定する。そして、制御装置１００の算出部１３４は、体重減少量から推定した便量を減算することにより、尿量を算出する。

【0145】

便検知センサ３５は、便器７において排泄される大便の便性状を推定するために用いる情報を検知する。便検知センサ３５は、使用者の大便を検知する。便検知センサ３５は、便器７のボウル部８内を撮像する撮像装置である。便検知センサ３５は、撮像画像を便推定用情報として検知する。例えば、便検知センサ３５は、便器７の便座５よりも下部に配置されボウル部８内を撮像する。便検知センサ３５は、使用者が排泄した便に関する情報（画像）を検出する。なお、便検知センサ３５は、便器７のボウル部８内を撮像し、便器７の使用者の排泄物を撮像可能な位置であれば、どのような位置に配置されてもよい。

【0146】

例えば、便検知センサ３５は、受光により一次元画像を撮影するラインセンサ（一次元のイメージセンサ）であってもよいし、二次元画像を撮影するエリアセンサ（二次元のイメージセンサ）であってもよい。例えば、ラインセンサである場合、便検知センサ３５は、便座５と便器７の封水部（封水が溜まる部分）との間を撮影する方向に向けて配置される。このように、便検知センサ３５は、使用者が排泄後に便器７の封水部（封水が溜まる部分）に着水するまでの落下中の便を撮影するように配置されてもよい。

【0147】

また、例えば、エリアセンサである場合、便検知センサ３５は、便器７の封水部を撮影する方向に向けて配置される。このように、便検知センサ３５は、便器７の封水部を撮影するように配置されてもよい。なお、便検知センサ３５は、便を検知（撮像）可能であれば、どのような配置態様であってもよい。また、便検知センサ３５は、静止画像を撮影してもよいし、動画像を撮影してもよい。また、使用者が便座５に座ることで便器内が暗くなり、十分な明るさで撮影できない場合は、光源（発光部）を設けてもよい。また光源の波長は、可視光でも、赤外光のような不可視光でもよい。

【0148】

制御装置１００は、便検知センサ３５により撮影された画像を基に便の長さを推定する。例えば、制御装置１００は、画像中に占める便の長手方向の距離（長さ）を基に便の長さを推定する。制御装置１００は、画像中に占める便の長手方向に対応する画素数を基に便の長さを推定する。例えば、制御装置１００は、画像中に占める便の落下方向（重力方向）に対応する画素数を基に便の長さを推定する。

【0149】

また、制御装置１００は、便検知センサ３５により撮影された画像に基づいて、その便画像に対応する便のタイプを推定する。制御装置１００は、便画像を用いて、その便画像に対応する便のタイプが、形状に基づく複数段階のタイプのいずれかであるかを判定する。制御装置１００は、ブリストルスケールに基づいて、便のタイプを７種類に分類してもよい。例えば、制御装置１００は、便画像を用いて、その便画像に対応する便のタイプが、ブリストルスケールに基づくタイプ１～タイプ７のいずれかであるかを判定する。例えば、タイプ１はコロコロであり、タイプ２はカチカチ（硬い）であり、タイプ３はひび割れ（やや硬い）であり、タイプ４は普通（バナナ状）であり、タイプ５はやや軟らかであり、タイプ６は泥状であり、タイプ７は液状（水様）である。制御装置１００は、光学的な手法により便の形状を検知する種々の技術を適宜用いて、利用者の便のタイプ（形状）を判定する。

【0150】

制御装置１００は、ＡＩ（人工知能）に関する技術を用いて便のタイプを判定してもよい。例えば、制御装置１００は、機械学習により生成された学習モデル（タイプ判定モデル）を用いて、便のタイプを判定してもよい。この場合、タイプ判定モデルは、事前に分類判断を示す教師データにより学習される。この教師データには、便画像と、その便画像に含まれる塊（便）のタイプ（タイプ１～タイプ７のいずれか）を示すラベル（正解情報）との組合せを複数含む。例えば、タイプ判定モデルは、便画像を入力とし、入力された便画像に含まれる塊（便）のタイプを示す情報を出力するモデルである。例えば、タイプ判定モデルは、便画像が入力された場合に、入力された便画像に対応するラベル（便のタイプ）の情報を出力するように学習される。タイプ判定モデルの学習は、いわゆる教師あり学習に関する種々の手法を適宜用いて行われる。この場合、タイプ判定モデルは記憶部１２０に格納され、制御装置１００は、記憶部１２０に格納されたタイプ判定モデルを用いて、便のタイプを判定してもよい。例えば、制御装置１００が学習処理を行い、タイプ判定モデルを生成してもよい。なお、上記は一例に過ぎず、制御装置１００は、様々な情報を適宜用いて、便のタイプを推定してもよい。

【0151】

制御装置１００は、推定した便の長さと便のタイプ（性状）を用いて、便量を推定する。例えば、制御装置１００は、便の長さ及び便性状を示す情報を入力として、便量を出力する関数（便量算出関数）を用いて、便量として算出する。例えば、制御装置１００は、便の長さと、便性状に対応するパラメータ（係数）とを乗算することにより便量を出力する関数（便量算出関数）を用いて、便量として算出する。例えば、制御装置１００は、便の長さが１０センチであり、便性状がタイプ５である場合、長さに対応する値「１０」に便性状「タイプ５」に対応する係数（第５パラメータ）を乗算することにより、便量を算出する。なお、上述した処理は一例に過ぎず、制御装置１００は、様々な情報を用いて、便の長さと性状から便量を推定し、体重減少量と推定した便量との差分から尿量を推定してもよい。

【0152】

上述した処理により、トイレシステム１は、適切に尿量を推定することができる。例えば、トイレシステム１は、便と尿の両方が排泄された場合、便の長さと性状から排便量を推定し、総排泄量から差分を算出することで排尿量のみを独立に推定できる。

【0153】

なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。

【0154】

さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。

【0155】

上述してきた各実施形態及び変形例について、以下のような構成であってもよいが、以下には限られない。
（１）
荷重を検知するセンサと、
前記センサにより検知された便器の便座にかかる荷重の変動パターンに基づいて、便と尿とを判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記センサによる検知に基づいて推定される所定期間内の前記便器の使用者の体重の差と、前記所定期間内の前記体重の変動パターンとに基づいて、前記便器において前記使用者により排泄された便量と尿量とを識別する
ことを特徴とするトイレシステム。
（２）
前記制御部は、
前記体重の所定値以上の減少は、前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定する
ことを特徴とする（１）に記載のトイレシステム。
（３）
前記制御部は、
前記体重が減少し、所定時間に前記体重が増加した変動パターンを、前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定する
ことを特徴とする（１）または（２）に記載のトイレシステム。
（４）
前記制御部は、
単位時間の変化量が少ない前記体重の減少量を尿量とする
ことを特徴とする（１）～（３）のいずれか１つに記載のトイレシステム。
（５）
前記制御部は、
単位時間の変化量が多い前記体重の減少量を便量とする
ことを特徴とする（１）～（４）のいずれか１つに記載のトイレシステム。
（６）
前記制御部は、
所定時間に前記体重が増加した場合は、前記体重の増加を前記便量及び前記尿量のいずれでもないと判定する
ことを特徴とする（１）～（５）のいずれか１つに記載のトイレシステム。
（７）
前記使用者が足を置く足置き台、
を備え、
前記センサは、
前記便座及び前記足置き台への荷重を検知する
ことを特徴とする（１）～（６）のいずれか１つに記載のトイレシステム。

【符号の説明】

【0156】

１ トイレシステム
２ 便座装置
３２ 人体検知センサ
３３ 着座検知センサ
３４ 荷重検知センサ
１００ 制御装置
１０１ 通信部
１２０ 記憶部
１３０ 制御部
１３１ 取得部
１３２ 測定部
１３３ 判定部
１３４ 算出部
１３５ 出力部
Ｒ トイレルーム

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】