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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049975
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/46 20110101AFI20240403BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F24F1/46
F24F13/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156523
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】牧角 将
(72)【発明者】
【氏名】岡元 諒
【テーマコード(参考)】
3L054
3L080
【Fターム(参考)】
3L054BA10
3L054BB10
3L080AE02
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、消音器の消音効果の向上に資する、消音器の配置および構を提供する、という課題が存在することにある。
【解決手段】室外機3から室内機2へ室外空気が供給される空気調和装置1において、給排気ファン43と、第1ダクト61と、消音器70とを備える。第1ダクト61は、給排気ファン43によって供給される空気が通過する。消音器70は、第1ダクト61に接続された状態で、第1ダクト61を伝搬する音を低減する。消音器70の一部は、室外機3の内部に配置される。消音器70が、音源に近い室外機3の内部で第1ダクト61に接続されるので、消音効果が高まる。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機(3)から室内機(2)へ室外空気が供給される空気調和装置であって、
ファン(43)と、
前記ファン(43)によって供給される空気が通過する風路(61)と、
前記風路(61)に接続された状態で、前記風路(61)を伝搬する音を低減する消音器(70、80)と、
を備え、
前記消音器(70、80)の一部が、前記室外機(3)の内部に配置される、
空気調和装置。
【請求項2】
前記消音器(70、80)は、
前記室外機(3)の内部に配置される第1消音部(71、81)と、
前記室外機(3)の外部に配置される第2消音部(72、82)と、
を含む、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記消音器(80)は、前記第1消音部(81)と前記第2消音部(82)とを繋ぐダクト(83)をさらに含み、
前記ダクト(83)は、
前記第1消音部(81)に接続される第1端(83a)と、
前記第2消音部(82)に接続される第2端(83b)と、
を有し、
前記第1端(83a)と前記第2端(83b)とは水平方向にずれている、
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記ダクト(83)は、前記第1消音部(81)および前記第2消音部(82)よりも、空気の流れ方向と直交する断面が小さく、
前記ダクト(83)は、前記室外機(3)の側面を貫通する、
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記ダクト(83)は、前記第1端(83a)から前記第2端(83b)に到る経路に湾曲部(83c)を有する、
請求項3または請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記ダクト(83)は、前記第2端(83b)に近づくほど、空気の流れ方向と直交する断面が小さくなる、
請求項3または請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記室外機(3)の内部は、熱源としての圧縮機(21)が配置される第1室(50a)と、前記第1室(50a)に隣接する第2室(50b)とに仕切られており、
前記第1消音部(71、81)の一部は、前記第1室(50a)に収容されている、
請求項2または請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記第1消音部(71)は、前記室外機(3)の側面を跨ぐように配置されている、
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記第1消音部(71、81)の容積は、前記第2消音部(72、82)の容積よりも大きい、
請求項2または請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記室外機(3)の側面には、前記消音器(70)の一部が貫通する連通部(52a)が形成されており、
前記消音器(70)は、前記消音器(70)と前記連通部(52a)との隙間を覆うフランジ(703)を有している、
請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
室外機と室内機との間で空気の搬送が行われる空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室外機から筒状の風路を介して室外空気を室内機へ供給する空気調和装置が広く普及している。例えば、特許文献1(特開2004-69173号公報)に記載の空気調和機は、室外空気を室内へと送ることにより加湿などの空気調和や換気等を行うことができる。
【0003】
このような空気調和機では、空気を供給するファンの音が、空気の搬送経路を伝搬して室内へ漏れる場合がある。それゆえ、室内機へ送られる空気が通る風路に消音器が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、風路に消音器が設けられても、音源と消音器との距離が長くなるほど消音効果は低下する。それゆえ、消音器の消音効果の向上に資する、消音器の配置および構を提供する、という課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の空気調和装置は、室外機から室内機へ室外空気が供給される空気調和装置であって、ファンと、風路と、消音器とを備える。風路は、ファンによって供給される空気が通過する。消音器は、風路に接続された状態で、風路を伝搬する音を低減する。消音器の一部は、室外機の内部に配置される。
【0006】
この空気調和装置では、消音器が、音源に近い室外機の内部で風路に接続されるので、消音効果が高まる。
【0007】
第2観点の空気調和装置は、第1観点の空気調和装置であって、消音器が第1消音部と第2消音部とを含む。第1消音部は、室外機の内部に配置される。第2消音部は、室外機の外部に配置される。
【0008】
この空気調和装置では、消音器が、音源に近い室外機の内部で風路に接続され、第1消音部と第2消音部とによって容積も増大するので、さらに消音効果が高まる。
【0009】
第3観点の空気調和装置は、第2観点の空気調和装置であって、消音器が、第1消音部と第2消音部とを繋ぐダクトをさらに含む。ダクトは、第1消音部に接続される第1端と、第2消音部に接続される第2端とを有する。第1端と第2端とは水平方向にずれている。
【0010】
この空気調和装置では、消音器の第1消音部と第2消音部とが分離されてダクトで繋がった構成であるので、第1消音部と第2消音部とが一体型のものと比べて、第1消音部および第2消音部それぞれの位置取りの自由度が大きい。
【0011】
例えば、一体型は、第1消音部の位置が変わると、必然的に第2消音部の位置も変わる。分離型の場合、第1消音部の位置が変わってもダクトを変更すれば、第2消音部の位置は変更しなくてもよい。或いは、第1消音部の位置を変えずに、ダクトを変更して第2消音部の位置だけを変えることができる。
【0012】
第4観点の空気調和装置は、第3観点の空気調和装置であって、ダクトが、第1消音部および第2消音部よりも、空気の流れ方向と直交する断面が小さい。ダクトは、室外機の側面を貫通する。
【0013】
この空気調和装置では、室外機の側面にはダクトが貫通することができる程度の孔を設ければよいので、第1消音部と第2消音部とが一体型のものと比べて、室外機の側面形状の簡素化を図ることができる。
【0014】
第5観点の空気調和装置は、第3観点または第4観点の空気調和装置であって、ダクトが、第1端から第2端に到る経路に湾曲部を有する。
【0015】
この空気調和装置では、ダクトが湾曲部を有することによって、第1消音部から第2消音部に到る経路を直管状にしたものよりも、第1消音部および第2消音部それぞれの位置取りが容易になる。
【0016】
例えば、第2消音部の位置を移動させたいときでも、ダクトの曲げ具合で調整することができるので、消音器全体の形状を設計し直す必要がない。
【0017】
第6観点の空気調和装置は、第3観点または第4観点の空気調和装置であって、ダクトが、第2端に近づくほど、空気の流れ方向と直交する断面が小さくなる。
【0018】
第7観点の空気調和装置は、第2観点から第6観点のいずれか1つの空気調和装置であって、室外機の内部が、熱源としての圧縮機が配置される第1室と、第1室に隣接する第2室とに仕切られている。第1消音部の一部は、第1室に収容されている。この空気調和装置では、圧縮機の熱によって、第1消音部の内部結露が抑制される。
【0019】
第8観点の空気調和装置は、第2観点の空気調和装置であって、第1消音部が、室外機の側面を跨ぐように配置されている。この空気調和装置では、第1消音部の容積が増大するので、消音効果が高まる。
【0020】
第9観点の空気調和装置は、第2観点から第8観点のいずれか1つの空気調和装置であって、第1消音部の容積が、第2消音部の容積よりも大きい。この空気調和装置では、音源に近い第1消音部の容積を大きくすることで、消音効果が高まる。
【0021】
第10観点の空気調和装置は、第1観点または第2観点の空気調和装置であって、室外機の側面には、消音器の一部が貫通する連通部が形成されている。消音器は、消音器と連通部との隙間を覆うフランジを有している。
【0022】
この空気調和装置では、フランジが消音器と連通部との隙間を覆っているので、万が一、火炎が当該隙間を介して伝搬しようとしても、フランジが防火壁として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る空気調和装置の外観図である。
図2】空気調和装置で用いられる冷媒回路の系統図である。
図3】室外機の構成を示す分解斜視図である。
図4】加湿ユニットの概略構成図である。
図5】吸湿ロータを流れる空気の流れを模式的に表した図である。
図6A】第1実施形態に係る空気調和装置の室外機の部分正面図である。
図6B図6Aに記載の室外機の右側面図である。
図7】消音器の外観斜視図である。
図8】消音器の縦断面図である。
図9】変形例に係る消音器の外観斜視図である。
図10A】第2実施形態に係る空気調和装置の室外機の部分正面図である。
図10B図10Bは、図10Aに記載の室外機の右側面図である。
図11】消音器の外観斜視図である。
図12】消音器の縦断面図である。
図13】変形例に係る消音器の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
(1)空気調和装置1の概略構成
図1は、第1実施形態に係る空気調和装置1の外観図である。図1において、空気調和装置1は、室内機2と室外機3とを備えている。室内機2は室内の壁面などに取り付けられ、室外機3は室外に設置される。
【0025】
図2は、空気調和装置1で用いられる冷媒回路の系統図であり、説明の便宜上、空気の流れの概略を付加している。図2において、室内機2は室内熱交換器11を有し、室外機3は室外熱交換器24を有している。各熱交換器およびこれらの熱交換器を接続する冷媒配管31,32が、冷媒回路を構成している。
【0026】
(1-1)室内機2
室内機2の室内熱交換器11は、伝熱管と、複数のフィンとを有している。伝熱管は、長手方向の両端で複数回折り返されている。フィンには、伝熱管が挿通されている。室内熱交換器11は、接触する空気との間で熱交換を行う。
【0027】
また、室内機2は、クロスフローファン12と、クロスフローファン12を回転駆動する室内ファンモータ13とさらに有している。クロスフローファン12は、円筒形状に構成され、周面には多数の羽根が設けられている。クロスフローファン12は、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。クロスフローファン12は、室内空気を室内機2の内部に吸い込み、室内熱交換器11との間で熱交換を行った後の空気を室内に吹き出す。
【0028】
(1-2)室外機3
室外機3は、空調室外ユニット5と、加湿ユニット4と、消音器70を含む給排気経路とを有している。室外機3と室内機2との間には、給排気ホース6が設けられている。給排気ホース6は、加湿ユニット4からの室外空気や加湿空気を室内機2側に供給するとき、および室内の空気を室外に排気するときに用いられる。
【0029】
給排気ホース6は、室外機3の内部に設けられた第1ダクト61(図2参照)、室外機3の内外を跨ぐように室外機3の側面に配置された消音器70、および消音器70と給排気ホース6とを繋ぐ第2ダクト62と共に、空気が通る給排気経路を形成している。
【0030】
ここで、室外機3の内部とは、右側板52を境界として、右側板52よりも機械室50a側の空間を言う。
【0031】
消音器70は、図1および図2に示すように第1ダクト61に接続された状態で室外機3の側面に配置されている。消音器70は、第1ダクト61を伝搬してくる音、または給排気ホース6および第2ダクト62を伝搬してくる音を低減する。
【0032】
(2)空調室外ユニット5の構成
図3は、室外機3の構成を示す分解斜視図である。図1および図3において、空調室外ユニット5は、冷媒回路構成部品と、冷媒回路構成部品を収納するケーシング50とを有している。
【0033】
(2-1)ケーシング50
ケーシング50は、前面パネル51、右側板52、左側板53、および金属製の底板54で形成されている。
【0034】
前面パネル51は、空調室外ユニット5の前面を覆う樹脂製の部材である。前面パネル51は、室外熱交換器24を通過する空気の流れ方向において、室外熱交換器24よりも下流側に配置されている。前面パネル51は、吹出口51aを有している。吹出口51aは、複数のスリット状の開口である。室外熱交換器24を通過した空気は、空調室外ユニット5の内部から吹出口51aを通って室外機3の外部へと吹き出される。また、前面パネル51の後方には、第1ベルマウス56と仕切板57とが取り付けられる。
【0035】
仕切板57は、ケーシング50の内部を、圧縮機21が配置される機械室50aと、プロペラファン29が配置される送風機室50bとに2分する。
【0036】
右側板52および左側板53は、空調室外ユニット5の側方を覆う金属製の部材である。ここでは、右側板52は、室外機3の正面視における右側に設けられている。左側板53は、室外機3の正面視における左側に設けられている。
【0037】
右側板52および左側板53は、吹出口51aからの吹出空気の吹き出し方向に対して概ね平行になるように設けられている。また、右側板52には、カバー55が取り付けられる。カバー55は、液閉鎖弁27およびガス閉鎖弁28を保護する。
【0038】
(2-2)冷媒回路構成部品
ケーシング50は、冷媒回路構成部品として、圧縮機21と、四路切換弁22と、アキュムレータ23と、室外熱交換器24と、電動弁25とを収納している(図2参照)。圧縮機21、四路切換弁22、アキュムレータ23および電動弁25は、仕切板57と右側板52との間の機械室50aに配置されている。
【0039】
図2に示すように、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側に接続されている。アキュムレータ23は、圧縮機21の吸入側に接続されている。
【0040】
室外熱交換器24は、平面視において略L字形状を有している。室外熱交換器24は、空調室外ユニット5の背面を覆う保護金網(図示せず)の前方に配置される。
【0041】
電動弁25は、一端が室外熱交換器24に接続され、他端がフィルタ26、液閉鎖弁27および冷媒配管32を介して室内熱交換器11の一端と接続されている。
【0042】
また、四路切換弁22は、ガス閉鎖弁28および冷媒配管31を介して室内熱交換器11の他端と接続されている。これらの冷媒配管31,32は、給排気ホース6とともに集合連絡管7を形成している。
【0043】
空調室外ユニット5は、さらにプロペラファン29を有している。プロペラファン29は、室外熱交換器24の前方で、仕切板57と左側板53との間の送風機室50bに設けられている。プロペラファン29は、室外ファンモータ30によって回転駆動される。プロペラファン29は、空調室外ユニット5の内部に取り入れた空気を室外熱交換器24と接触させた後、吹出口51aから前面パネル51の前方に排気させる。
【0044】
図3に示すように、空調室外ユニット5は、電装品ユニット58をさらに有している。電装品ユニット58は、空調室外ユニット5の上部に配置されている。電装品ユニット58は、電装品箱と各部を制御するためのCPU91(図2参照)を搭載したプリント基板を有している。電装品ユニット58の上方には防炎板59が取り付けられている。
【0045】
(3)加湿ユニット4の構成
加湿ユニット4は、加湿機能、給気機能、排気機能を有している。図3に示すように、加湿ユニット4は、ハウジング40、吸湿ロータ41、ヒータ42、給排気ファン43、切換ダンパ44、吸着用ダクト45、吸着用ファン46、ロータ駆動モータ47、ロータ駆動ギア48、およびヒータ支持板49を含む。
【0046】
(3-1)ハウジング40
ハウジング40は、加湿ユニット4の前方、後方および両側方を覆っている。ハウジング40の上部は、天板66により覆われている。
【0047】
ハウジング40は、空調室外ユニット5の上部に接するように配置されている。ハウジング40は、その前面に、吸着用吹出口40aを有している。吸着用吹出口40aは、複数のスリット状の開口である。空気は、吸着用吹出口40aを通って室外機3の外部へと吹き出される。
【0048】
また、ハウジング40の背面には、吸着用吸込口40bおよび給排気口40cが左右方向に並んで配置されている。吸着用吸込口40bは、前面側から見て左側に配置され、給排気口40cは右側に配置されている。
【0049】
室外空気は、吸着用吸込口40bを介して取り入れられ、吸湿ロータ41へ導かれる。室外空気に含まれる水分は吸湿ロータ41に吸着される。給排気口40cは、室内機2へ送られる空気が通る、または、室内機2から室外へと排気される空気が通る。
【0050】
ハウジング40は、内部に左右2つの空間を有している。右側の空間に吸湿ロータ41等が収容され、左側の空間に吸着用ファン46等が収容される。左側の空間は、吸着用ファン収納空間SP1と呼ばれる。
【0051】
ハウジング40内には、吸湿ロータ41、ヒータ42、給排気ファン43、切換ダンパ44、吸着用ダクト45、および吸着用ファン46が配置されている。
【0052】
(3-2)吸湿ロータ41
吸湿ロータ41は、円板形状を有するハニカム構造のセラミックロータであり、空気が容易に通過できる。吸湿ロータ41は、回転軸と垂直に切った断面において、多数の多角形の筒部分を有しており、その筒部分を空気が通過する。
【0053】
吸湿ロータ41の主たる部分は、ゼオライト、シリカゲル、あるいはアルミナといった吸着剤から焼成されている。ゼオライト等の吸着剤は、接触する空気中の水分を吸着し、加熱されることによって吸着した水分を放出する性質を有している。
【0054】
吸湿ロータ41は、ハウジング40側に設けられた支持軸40dに、回動可能に支持されている。吸湿ロータ41の周面には、ギアが形成されており、ロータ駆動モータ47の駆動軸に取り付けられるロータ駆動ギア48と歯合している。
【0055】
(3-3)ヒータ42
ヒータ42は、吸湿ロータ41の上面の略半分(右側の半分)を覆うように配置されている。ヒータ42の下面には、吸込口と吐出口とが形成されている。吸込口から空気が吸入される。ヒータ42で加熱された空気は、排出口から吸湿ロータ41側へ排出される。このヒータ42は、ヒータ支持板49を介して吸湿ロータ41の上方に取り付けられる。
【0056】
(3-4)給排気ファン43
給排気ファン43は、吸湿ロータ41の側方に配置されている。給排気ファン43は、室外から取り入れた空気を室内機2へと送るか、又は、室内機2から取り入れた空気を室外へと排出する。
【0057】
給排気ファン43は、切換ダンパ44が切り替わることにより、給気動作と排気動作とを切り替える。給排気ファン43は、室外空気を室内機2へと送る場合、吸湿ロータ41を通過して吸湿ロータ41の所定の部分から降りてきた空気を、第1ダクト61(図2参照)へと送り出す。
【0058】
給排気ファン43と室内機2とは、図2に示すように、第1ダクト61、消音器70、第2ダクト62および給排気ホース6で構成される給排気経路によって繋がっている。給排気ファン43は、当該給排気経路を介して空気を室内機2へと供給する。
【0059】
給排気ファン43は、室内空気を室外へと排出する場合、第1ダクト61から送られてきた空気をハウジング40の背面に設けられた給排気口40cから室外へと排出する。
【0060】
(3-5)切換ダンパ44
切換ダンパ44は、給排気ファン43の下方に配置される回転式の空気流路切換手段であり、第1状態と第2状態とに切り替わる。
【0061】
第1状態では、給排気ファン43から吹き出された空気は、上記給排気経路を通って室内機2へと供給される。これにより、第1状態では、図2の実線矢印A1で示す矢印の向きに空気が流れ、加湿空気あるいは室外空気が室内機2へと供給される。
【0062】
第2状態では、図2の破線矢印A2で示す矢印の向きに空気が流れ、室内機2からの空気が給排気ファン43から給排気口40cを経て室外へと排気される。
【0063】
(3-6)吸着用ダクト45
吸着用ダクト45は、吸湿ロータ41の上面のうちヒータ42が位置しない部分を覆っている。この吸着用ダクト45は、第2ベルマウス63とともに、吸湿ロータ41の左半分の部分の上面から吸着用ファン収納空間SP1の上部へと通じる空気流路を形成する。
【0064】
(3-7)吸着用ファン46
吸着用ファン46は、吸着用ファン収納空間SP1に配置されている。吸着用ファン46は、遠心ファンである。吸着用ファン46は、吸着用ファンモータ65によって回転する。吸着用ファン46は、上部に配置される第2ベルマウス63の開口部63aから空気を吸込み、吸着用吸込口40bから吸湿ロータ41を介して、開口部63aへ流れる気流を生成する。
【0065】
吸着用ファン46は、吸湿ロータ41を通る際に水分を吸着された乾燥空気を吸着用吹出口40aからハウジング40の前方へ向けて排気する。第2ベルマウス63は、吸着用ファン収納空間SP1の上部に設けられており、吸着用ダクト45を通ってくる空気を吸着用ファン46へと導く。
【0066】
(4)加湿ユニット4の動作
図4は、加湿ユニット4の概略構成図である。また、図5は吸湿ロータ41を流れる空気の流れを模式的に表した図である。図4および図5において、説明の便宜上、吸着用吸込口40bから吸着用ファン46までの空気通路を吸湿通路X、給排気口40cからヒータ42までの空気通路を採熱通路Y、ヒータ42から給排気ファン43までの空気通路を加湿通路Zという。
【0067】
(4-1)加湿動作
加湿ユニット4は、吸着用ファン46が稼働することによって、室外空気を吸着用吸込口40bから吸湿通路X内に取り入れる。吸湿通路Xを流れる空気Axは、吸湿通路Xに面する吸湿ロータ41の第1領域Rxを通過し、その第1領域Rxに空気Ax中の水分が吸収される。
【0068】
空気Axは、吸着用ファン46を通過し、吸着用ファン収納空間SP1から吸着用吹出口40aを通って室外機3の前方へと排出される。
【0069】
また、加湿ユニット4は、給排気ファン43が回転することによって、室外空気を給排気口40cから採熱通路Y内に取り入れる。採熱通路Yを流れる空気Ayは、採熱通路Yに面する吸湿ロータ41の第2領域Ryを通過した後、ヒータ42で加熱される。空気Ayは、ヒータ42で加熱されて高温空気Azとなり加湿通路Zに流れる。高温空気Azは、加湿通路Zに面する吸湿ロータ41の第3領域Rzを通過して第1ダクト61に流れる。
【0070】
採熱通路Yを流れる空気Ayは、吸湿ロータ41の第2領域Ryを通過する際に第2領域Ryから熱を回収して温度上昇し、その後、ヒータ42でさらに加熱され、高温空気Azとなる。加湿通路Zを流れる高温空気Azは吸湿ロータ41の第3領域Rzを通過する際に第3領域Rzから水分を吸収する。
【0071】
図5に示すように、吸湿ロータ41は、矢印Dに示す方向に回転して、吸湿通路X、加湿通路Zおよび採熱通路Yの順に通過していく。その結果、吸湿ロータ41において、吸湿通路Xに面する吸湿ロータ41の第1領域Rxと、加湿通路Zに面する吸湿ロータ41の第3領域Rzと、採熱通路Yに面する吸湿ロータ41の第2領域Ryとが順次移動していく。
【0072】
吸湿通路Xの空気Axから吸湿ロータ41が吸着した水分は、ヒータ42によって加熱された高温空気Azによって放出され、高温空気Azは加湿される。
【0073】
給排気ファン43は、吸湿ロータ41を通り抜けてきた空気を、給排気経路を介して室内機2へと送る。この室内機2へと送られる空気は、吸湿ロータ41に吸着されていた水分を含むようになっている。
【0074】
このようにして加湿ユニット4から室内機2に供給された空気は、室内熱交換器11を経て室内に吹き出される。
【0075】
(4-2)換気動作
空気調和装置1は、吸着用ファンモータ65やヒータ42を動作させないことにより、加湿を行わずに室外の空気を取り入れて室内機2へと送る給気のみを行うこともできる。また、空気調和装置1は、室内の空気を室外へ送る排気のみを行うこともできる。
【0076】
(5)消音器70を含む給排気経路の詳細
給排気経路は、第1ダクト61、消音器70、第2ダクト62および給排気ホース6で構成されている。加湿ユニット4と室内機2とは給排気経路によって繋がっており、給排気ファン43は当該給排気経路を介して空気を室内機2へと供給する。
【0077】
図6Aは、第1実施形態に係る空気調和装置1の室外機3の部分正面図である。また、図6Bは、図6Aに記載の室外機3の右側面図である。
【0078】
図6Aおよび図6Bにおいて、説明の便宜上、カバー55は仮想線(2点鎖線)で表示され、カバー55が透視されて右側板52が見えるようにしている。また、図6Aに記載の室外機3は、内部構造がわかるように、部分的に破断図で記載されている。
【0079】
また、説明に使用する「方向」については、図6Aの「上」、「下」、「左」、「右」の4方向の矢印で表記された方向、および図6Bの「上」、「下」、「前」、「後」の4方向の矢印で表記された方向に従う。
【0080】
(5-1)第1ダクト61
第1ダクト61は、筒状の風路であって、給排気ファン43によって供給される空気が流れる。第1ダクト61は、室外機3の内部に位置し、給排気ファン43の下方に配置されている切換ダンパ44に接続されている。第1ダクト61の終端には、消音器70が接続される。
【0081】
(5-2)消音器70
消音器70は、室外機3から室内機2へ室外空気が供給されるとき、第1ダクト61を伝搬する音を低減する。また、室内機2から室外機3へ空気が排気されるとき、消音器70は第2ダクト62を伝搬する音を低減する。
【0082】
図7は、消音器70の外観斜視図である。図7において、消音器70は、第1消音部71と第2消音部72とに区別することができる。
【0083】
第1消音部71は第2消音部72よりも容積が大きく、一部は室外機3の内部の機械室50aに配置され、残りの部分は右側板52を貫通して右側板52とカバー55との間に収容される(図6A参照)。
【0084】
第1消音部71の一部は、機械室50aに収容されているので、圧縮機21の熱によって、第1消音部71の内部結露が抑制される。
【0085】
第2消音部72は、第1消音部71のうちの右側板52とカバー55との間に収容される部分と連続的に繋がっている。第2消音部72も、右側板52とカバー55との間に収容される。
【0086】
消音器70は、図6Aおよび図6Bに示すように、第1消音部71の上端である第1接続部711が、室外機3の内部において、加湿ユニット4から延びる第1ダクト61の終端に接続されている。第1消音部71は、室外機3の右側板52を貫通した後、第2消音部72に継ぎ目なく繋がる。第2消音部72は、鉛直下方に延び、下端である第2接続部722に到る。
【0087】
消音器70は、第1消音部71と第2消音部72とを含むことによって容積が大きくなる上に、音源近くに接続される第1消音部71の容積が第2消音部72の容積よりも大きいので、消音効果が高まる。但し、それに限定されるものではなく、第2消音部72の容積が第1消音部71の容積よりも大きい場合であってもよい。
【0088】
消音器70は、第1消音部71および第2消音部72の本体を成す消音器本体700と、第1ダクト61に接続される第1接続部711と、第2ダクト62が接続される第2接続部722とを有している。
【0089】
(5-2-1)消音器本体700
図8は、消音器70の縦断面図である。図8において、消音器本体700は、外殻であるケーシング700aを有している。消音器本体700は、ケーシング700aの内部に、吸音材700bと、吸音材700bに囲まれた空洞700cをさらに有している。
【0090】
吸音材700bの素材としては、フェルトや発泡ウレタンなどが利用できる。空洞700cは、第1ダクト61と繋がっているので、室内機2へと送られる空気、又は、室内機2から送られる空気はこの空洞700cを通る。
【0091】
空気調和装置1では、給排気ファン43で発生した音は、室内機2へと送られる前に、室外機3の第1ダクト61に接続された消音器70により低減される。このため、この空気調和装置1では、室外機3から室内機2へと伝わる音が小さくなる。
【0092】
ケーシング700aの天板700dからは第1接続部711が鉛直上方に突出している。また、ケーシング700aの底板700eからは第2接続部722が鉛直下方に突出している。
【0093】
(5-2-2)第1接続部711
第1接続部711は、図7に示すように、円筒形状である。第1接続部711には、突起部711aとスリット711bとが設けられている。突起部711aは、矩形状で、外周面から径方向に突出する。スリット711bは、第1接続部711の上端面から鉛直下方に向かって窪んでいる。
【0094】
第1接続部711が接続される第1ダクト61には、突起部711aと嵌合する凹部(図示せず)と、スリット711bと嵌合する凸部(図示せず)が設けられており、突起部711aとスリット711bは、「位置決め」および「回り止め」として機能する。
【0095】
(5-2-3)第2接続部722
第2接続部722は、図7に示すように、円筒形状である。また、図6Aおよび図6Aに示すように、第2接続部722は、液閉鎖弁27およびガス閉鎖弁28よりも上方に位置している。
【0096】
また、第1接続部711と第2接続部722とは、天板700dから底板700eまでの高低差を有するだけでなく、第2接続部722の中心軸C2が第1接続部711の中心軸C1から右方向にずれている。
【0097】
上記の構成により、消音器70では、第1接続部711から第2接続部722に到る内部経路が、第2接続部722に向かって下方に傾斜した後に鉛直下方に延びる形状となる。その結果、第1接続部711から第2接続部722に到る内部経路が、単純に鉛直下方に延びる内部経路を有する従来の消音器に比べて長くなる。それゆえ、消音器本体700の容積が増加し、消音効果が高まる。
【0098】
(5-3)第2ダクト62
図6Bに示すように、第2ダクト62は、筒状の風路であって、消音器70の第2接続部722に接続される。第2ダクト62は、第1ダクト61から消音器70に流入した空気をさらに下流へ導く。
【0099】
また、第2接続部722は、室外機3の右側板52に沿って液閉鎖弁27およびガス閉鎖弁28の上方に離間している。それゆえ、第2接続部722と液閉鎖弁27およびガス閉鎖弁28との間に、第2ダクト62が配置される空間が確保されている。
【0100】
また、第2ダクト62は、湾曲部62aを有している。湾曲部62aは、室外機3の右側板52に沿いつつ室外機3の背面側に向かって曲げられている。
【0101】
より具体的には、室外機3において、前面パネル51(図3参照)が配置されている側を「前面側」、略L字形状の室外熱交換器24(図3参照)の長尺部分が配置されている側を「背面側」とし、第2ダクト62は、湾曲部62aによって室外機3の右側板52に沿って背面側に向かって曲げられている。
【0102】
したがって、給排気経路は、湾曲部62aによって消音器70の下流側において第2ダクト62を室外機3の背面側へ折り返す構造とすることができる。
【0103】
本実施形態では、第2ダクト62が湾曲部62aから延びる方向は、冷媒配管31,32が延びる方向に沿っている。
【0104】
(5-4)給排気ホース6
給排気ホース6は、第2ダクト62に接続され、室外機3と室内機2との間で空気の搬送を可能としている。室外機3から室外空気から供給されるとき、給排気ホース6は、室外空気を室内機2へ導く。また、室内機2から室外機3へ空気が排気されるとき、給排気ホース6は、空気を室外機3へ導く。
【0105】
本実施形態では、第2ダクト62と給排気ホース6とを別体として設けているが、第2ダクト62と給排気ホース6とを一体に成形してもよい。
【0106】
上記の通り、第2ダクト62が湾曲部62aによって、給排気経路は消音器70の下流側において第2ダクト62を室外機3の背面側へ折り返す構造となっている。それゆえ、第2ダクト62を液閉鎖弁27およびガス閉鎖弁28に接続される冷媒配管31,32に沿わせ易くなり、製品据え付け時に第2ダクト62および/または給排気ホース6と冷媒配管31,32を束ね易くなる。本実施形態では、冷媒配管31,32と、冷媒配管31,32に隣接する第2ダクト62の直管部が成す角度は、20度以下である。
【0107】
以上のように、第1実施形態に係る空気調和装置1では、給排気経路上に消音器70が設けられたことによって、室内機2の吹出口側から聞こえる単位風量当たりの送風音が低減される。また、消音器70が使用されない空気調和装置と同じ送風音が維持される場合、第1実施形態に係る空気調和装置1は給排気ファン43の送風量を上げることができる。
【0108】
それゆえ、ユーザーに送風音の変化を感じさせることなく、給気量を純増させることができる。具体的には、第1実施形態に係る空気調和装置1において、単位時間当たりの給気量に約20%の増加が見込まれる。
【0109】
(6)特徴
(6-1)
空気調和装置1では、第1ダクト61に接続された状態で第1ダクト61を伝搬する音を低減する消音器70の一部が、室外機3の内部に配置される。消音器70が、音源に近い室外機3の内部に配置されるので、消音効果が高まる。
【0110】
(6-2)
空気調和装置1では、消音器70が第1消音部71と第2消音部72とを含む。第1消音部71の一部は、室外機3の内部に配置される。第2消音部72は、室外機3の外部に配置される。第1消音部71が音源に近い室外機3の内部で第1ダクト61に接続され、さらに第1消音部71と第2消音部72とによって容積も増大するので、さらに消音効果が高まる。
【0111】
(6-3)
空気調和装置1では、室外機3の内部が、熱源としての圧縮機21が配置される機械室50aと、機械室50aに隣接する送風機室50bとに仕切られている。第1消音部71の一部は、機械室50aに収容されているので、圧縮機21の熱によって、第1消音部71の内部結露が抑制される。
【0112】
(6-4)
空気調和装置1では、第1消音部71が、室外機3の右側板52を跨ぐように配置されている。その結果、第1消音部71の容積が増大し、消音効果が高まる。
【0113】
(6-5)
空気調和装置1では、音源に近い第1消音部71の容積が、第2消音部72の容積よりも大きいので、消音効果が高まる。
【0114】
(7)変形例
図6Bに示すように、右側板52には、消音器70の第1消音部71が室外機3の内部から外部へ貫通することができるように、連通部52aが設けられている。連通部52aと第1消音部71との隙間Gは、万が一、室外機3の内部または外部で出火した場合、火炎の通り道となる虞がある。
【0115】
図9は、変形例に係る消音器70の外観斜視図である。図9において、消音器70はフランジ703を有している。フランジ703は、第1接続部711の中心軸C1と第2接続部722の中心軸C2を含む鉛直面に対して対称に設けられている。
【0116】
消音器70が連通部52aから装着されると、隙間Gはフランジ703によって塞がれるので、万が一、室外機3の内部または外部で出火した場合でも、隙間Gが火炎の通り道となることはない。
【0117】
<第2実施形態>
図10Aは、第2実施形態に係る空気調和装置1の室外機3の部分正面図である。また、図10Bは、図10Aに記載の室外機3の右側面図である。
【0118】
図10Aおよび図10Bにおいて、説明の便宜上、カバー55は仮想線(2点鎖線)で表示され、カバー55が透視されて右側板52が見えるようにしている。また、図10Aに記載の室外機3は、内部構造がわかるように、部分的に破断図で記載されている。
【0119】
また、説明に使用する「方向」については、図10Aの「上」、「下」、「左」、「右」の4方向の矢印で表記された方向、および図10Bの「上」、「下」、「前」、「後」の4方向の矢印で表記された方向に従う。
【0120】
第2実施形態では、第1実施形態の消音器の形態が変更され、それに伴い右側板も一部変更されている。他の機器および部材には変更がないので、ここでは消音器および右側板についてのみ説明する。
【0121】
(1)消音器80の詳細
図10Aおよび図10Bに示すように、消音器80は、第1消音部81と第2消音部82とを有している。第1消音部81と第2消音部82とは中間ダクト83とによって繋がっている。
【0122】
消音器80は、室外機3から室内機2へ室外空気が供給されるとき、第1ダクト61を伝搬する音を低減する。また、消音器80は、室内機2から室外機3へ空気が排気されるとき、第2ダクト62を伝搬する音を低減する。
【0123】
(1-1)第1消音部81
図11は、消音器80の外観斜視図である。図11において、第1消音部81は、筒状の第1消音部本体810、第1上接続部811および第1下接続部812(図10A参照)を含んでいる。第1消音部81は、全体が室外機3の内部の機械室50aに収容されているので、圧縮機21の熱によって、第1消音部71の内部結露が抑制される。
【0124】
(1-1-1)第1消音部本体810
図12は、消音器80の縦断面図である。図12において、第1消音部本体810は、外殻であるケーシング810aを有している。第1消音部本体810は、ケーシング810aの内部に、吸音材810bと、吸音材810bに囲まれた空洞810cとをさらに有している。
【0125】
吸音材810bの素材としては、フェルトや発泡ウレタンなどが利用できる。空洞810cは、第1ダクト61と繋がっているので、室内機2へと送られる空気、又は、室内機2から送られる空気はこの空洞810cを通る。
【0126】
空気調和装置1では、給排気ファン43で発生した音は、室内機2へと送られる前に、室外機3の第1ダクト61に接続された第1消音部81により低減される。このため、この空気調和装置1では、室外機3から室内機2へと伝わる音が小さくなる。
【0127】
ケーシング810aの天板810dからは第1上接続部811が鉛直上方に突出している。また、ケーシング810aの底板810eからは第1下接続部812が鉛直下方に突出している。
【0128】
(1-1-2)第1上接続部811
図10Aおよび図10Bに示すように、第1消音部81の上端である第1上接続部811は、室外機3の内部において、加湿ユニット4から延びる第1ダクト61の終端に接続される。
【0129】
第1上接続部811は、図11に示すように、円筒形状である。第1上接続部811には、突起部811aとスリット811bとが設けられている。突起部811aは、矩形状で、外周面から径方向に突出する。スリット811bは、第1上接続部811の上端面から鉛直下方に向かって窪んでいる。
【0130】
第1上接続部811が接続される第1ダクト61には、突起部811aと嵌合する凹部(図示せず)と、スリット811bと嵌合する凸部(図示せず)が設けられており、突起部811aとスリット811bは、「位置決め」および「回り止め」として機能する。
【0131】
(1-1-3)第1下接続部812
図10Aおよび図10Bに示すように、第1消音部81の下端である第1下接続部812には、室外機3の内部において、中間ダクト83の第1端83aが接続される。
【0132】
第1下接続部812は、図12に示すように、円筒形状である。第1下接続部812は、室外機3の右側板52に沿って第1上接続部811と同軸上に配置されている。
【0133】
(1-2)第2消音部82
第2消音部82は、筒状の第2消音部本体820、第2上接続部821および第2下接続部822を含んでいる。第2消音部82は、右側板52とカバー55との間に収容される。
【0134】
(1-2-1)第2消音部本体820
図12に示すように、第2消音部本体820は、外殻であるケーシング820aを有している。第2消音部本体820は、ケーシング820aの内部に、吸音材820bと、吸音材820bに囲まれた空洞820cとを有している。
【0135】
吸音材820bの素材としては、フェルトや発泡ウレタンなどが利用できる。空洞820cは、中間ダクト83を介して第1消音部81と繋がっているので、室内機2へと送られる空気、又は、室内機2から送られる空気はこの空洞820cを通る。
【0136】
空気調和装置1では、給排気ファン43で発生した音は、室内機2へと送られる前に、室外機3の第1ダクト61に接続された第1消音部81により低減され、さらに第2消音部82によっても低減される。このため、この空気調和装置1では、室外機3から室内機2へと伝わる音が小さくなる。
【0137】
ケーシング820aの天板820dからは第2上接続部821が鉛直上方に突出している。また、ケーシング820aの底板820eからは第2下接続部822が鉛直下方に突出している。
【0138】
(1-1-2)第2上接続部821
第2上接続部821は、図11に示すように、円筒形状である。第2上接続部821には、連結機構821aが設けられている。連結機構821aは、中間ダクト83の第2端
83bへの接続および取り外しを容易にする。
【0139】
(1-1-3)第2下接続部822
第2下接続部822は、図11および図12に示すように、円筒形状である。第2下接続部822は、室外機3の右側板52に沿って第2上接続部821と同軸上に配置されている。第2下接続部822には、第2ダクト62が接続される。
【0140】
(1-3)中間ダクト83
中間ダクト83は、筒状の風路である。中間ダクト83の一部は、室外機3の内部に収容され、残りの部分は、第2消音部82とともに右側板52とカバー55との間に収容される。
【0141】
中間ダクト83は、第1消音部81の第1下接続部812に接続される第1端83aと、第2消音部82の第2上接続部821と接続される第2端83bと、第1端83aと第2端83bとを繋ぐ湾曲部83cとを有している。
【0142】
中間ダクト83は、室外機3の内部に位置する第1消音部81と室外機3の外部に位置する第2消音部82とを繋ぐため、右側板52を貫通する。そのため、第1端83aの中心軸C5と第2端83bの中心軸C6とは水平方向にずれている。
【0143】
湾曲部83cは、第1端83aの中心軸C5および第2端83bの中心軸C6を含む鉛直平面に沿って、第1端83aから徐々に右側板52の外側に向かって湾曲しながら下降し第2端83bに到る。
【0144】
そのため、第1消音部と第2消音部とが一体型のも、或いは、第1消音部から第2消音部に到る経路が直管状にものと比べて、第1消音部81および第2消音部82それぞれの位置取りの自由度が大きい。
【0145】
例えば、一体型では、第1消音部の位置が変わると、必然的に第2消音部の位置も変わる。一方、分離型では、第1消音部81の位置が変わっても中間ダクト83を変更すれば、第2消音部82の位置は変更しなくてもよい。或いは、第1消音部81の位置を変えずに、中間ダクト83の曲げ具合を変更して第2消音部82の位置だけを変えることができる。
【0146】
また、中間ダクト83は、第1消音部81および第2消音部82に比べて、空気流れ方向と直交する断面が小さく、第2端83bに近づくほど、空気流れ方向と直交する断面が小さくなっている。それゆえ、室外機3の右側板52には、中間ダクト83が貫通することができる程度の孔を設ければよいので、第1消音部と第2消音部とが一体型のものと比べて、室外機3の右側板52に設ける挿通孔を小さくすることができる。
【0147】
以上のように、第2実施形態に係る空気調和装置1では、給排気経路上に消音器80が設けられたことによって、室内機2の吹出口側から聞こえる単位風量当たりの送風音が低減される。また、消音器80が使用されない空気調和装置と同じ送風音が維持される場合、第2実施形態に係る空気調和装置1は給排気ファン43の送風量を上げることができる。
【0148】
それゆえ、ユーザーに送風音の変化を感じさせることなく、給気量を純増させることができる。具体的には、第2実施形態に係る空気調和装置1において、単位時間当たりの給気量に約20%の増加が見込まれる。
【0149】
(2)特徴
(2-1)
空気調和装置1では、消音器80が第1消音部81と第2消音部82とを含む。第1消音部81は、室外機3の内部に配置される。第2消音部82は、室外機3の外部に配置される。第1消音部81が音源に近い室外機3の内部で第1ダクト61に接続され、さらに第1消音部81と第2消音部82とによって容積も増大するので、さらに消音効果が高まる。
【0150】
(2-2)
空気調和装置1では、消音器80が、第1消音部81と第2消音部82とを繋ぐ中間ダクト83をさらに含む。中間ダクト83は、第1消音部81に接続される第1端83aと、第2消音部82に接続される第2端83bとを有する。第1端83aと第2端83bとは水平方向にずれている。第1消音部81の位置が変わっても中間ダクト83を変更すれば、第2消音部の82位置は変更しなくてもよい。或いは、第1消音部81の位置を変えずに、中間ダクト83を変更して第2消音部82の位置だけを変えることができる。
【0151】
(2-3)
空気調和装置1では、中間ダクト83が、第1消音部81および第2消音部82よりも、空気の流れ方向と直交する断面が小さい。中間ダクト83は、室外機3の右側板52を貫通する。室外機3の右側板52には中間ダクト83が貫通することができる程度の孔を設ければよいので、室外機3の右側板52の形状の簡素化を図ることができる。
【0152】
(2-4)
空気調和装置1では、中間ダクト83が、第1端83aから第2端83bに到る経路に湾曲部83cを有する。中間ダクト83が湾曲部83cを有することによって、第2消音部82の位置を移動させたいときでも、中間ダクト83の曲げ具合で調整することができるので、消音器80全体の形状を設計し直す必要がない。
【0153】
(2-5)
空気調和装置1では、中間ダクト83が、第2端83bに近づくほど、空気の流れ方向と直交する断面が小さくなる。
【0154】
(2-6)
空気調和装置1では、室外機3の内部が、熱源としての圧縮機21が配置される機械室50aと、機械室50aに隣接する送風機室50bとに仕切られている。第1消音部81は、機械室50aに収容されているので、圧縮機21の熱によって、第1消音部81の内部結露が抑制される。
【0155】
(2-7)
空気調和装置1では、音源に近い第1消音部81の容積が、第2消音部82の容積よりも大きいので、消音効果が高まる。
【0156】
(3)変形例
図10Bに示すように、右側板52には、消音器80の中間ダクト83が室外機3の内部から外部へ貫通することができるように、連通部521が設けられている。連通部521と中間ダクト83との隙間Sは、万が一、室外機3の内部または外部で出火した場合、火炎の通り道となる虞がある。
【0157】
図13は、変形例に係る消音器80の外観斜視図である。図13において、中間ダクト83はフランジ83dを有している。フランジ83dは、中間ダクト83の第1端83aの中心軸C5と第2端83bの中心軸C6を含む鉛直面に対して対称に設けられている。
【0158】
中間ダクト83が連通部521から装着されると、隙間Sはフランジ83dによって塞がれるので、万が一、室外機3の内部または外部で出火した場合でも、隙間Sが火炎の通り道となることはない。
【0159】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0160】
1 空気調和装置
2 室内機
3 室外機
21 圧縮機
43 給排気ファン(ファン)
50a 機械室(第1室)
50b 送風機室(第2室)
52a 連通部
61 第1ダクト(風路)
70 消音器
71 第1消音部
72 第2消音部
80 消音器
81 第1消音部
82 第2消音部
83 中間ダクト(ダクト)
83a 第1端
83b 第2端
83c 湾曲部
703 フランジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0161】
【特許文献1】特開2004-69173号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機(3)から室内機(2)へ室外空気が供給される空気調和装置であって、
ファン(43)と、
前記ファン(43)によって前記室内機へ供給される空気が通過する風路(61)と、
前記風路(61)に接続された状態で、前記風路(61)を伝搬する音を低減する消音器(70、80)と、
を備え、
前記消音器(70、80)の一部が、前記室外機(3)の内部に配置される、
空気調和装置。
【請求項2】
前記消音器(70、80)は、
前記室外機(3)の内部に配置される第1消音部(71、81)と、
前記室外機(3)の外部に配置される第2消音部(72、82)と、
を含む、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記消音器(80)は、前記第1消音部(81)と前記第2消音部(82)とを繋ぐダクト(83)をさらに含み、
前記ダクト(83)は、
前記第1消音部(81)に接続される第1端(83a)と、
前記第2消音部(82)に接続される第2端(83b)と、
を有し、
前記第1端(83a)と前記第2端(83b)とは水平方向にずれている、
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記ダクト(83)は、前記第1消音部(81)および前記第2消音部(82)よりも、空気の流れ方向と直交する断面が小さく、
前記ダクト(83)は、前記室外機(3)の側面を貫通する、
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記ダクト(83)は、前記第1端(83a)から前記第2端(83b)に到る経路に湾曲部(83c)を有する、
請求項3または請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記ダクト(83)は、前記第2端(83b)に近づくほど、空気の流れ方向と直交する断面が小さくなる、
請求項3または請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記室外機(3)の内部は、熱源としての圧縮機(21)が配置される第1室(50a)と、前記第1室(50a)に隣接する第2室(50b)とに仕切られており、
前記第1消音部(71、81)の一部は、前記第1室(50a)に収容されている、
請求項2または請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記第1消音部(71)は、前記室外機(3)の側面を跨ぐように配置されている、
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記第1消音部(71、81)の容積は、前記第2消音部(72、82)の容積よりも大きい、
請求項2または請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記室外機(3)の側面には、前記消音器(70)の一部が貫通する連通部(52a)が形成されており、
前記消音器(70)は、前記消音器(70)と前記連通部(52a)との隙間を覆うフランジ(703)を有している、
請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。