IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社縁の木の特許一覧

特開2024-49985情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049985
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240403BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156535
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】515355561
【氏名又は名称】株式会社縁の木
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 玲子
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB53
5L049BB53
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】廃棄物の回収からリサイクル品又はアップサイクル品の製造までをシステム化した情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、廃棄物の情報を受け付ける情報受付手段と、前記廃棄物から加工品に加工する作業の企画から加工までのうち少なくとも1つ以上の工程を実施し得る作業実施者の候補を選出する作業実施者選出手段と、前記廃棄物と、前記作業実施者選出手段により選出された作業実施者とをマッチングするマッチング手段と、を有する。また、前記廃棄物と前記作業実施者とを対応付けて記憶する記憶手段をさらに有し、前記作業実施者選出手段は、前記記憶手段記憶された作業実施者から候補を選出する。さらに、前記記憶手段は、前記作業実施者の廃棄物の加工実績をさらに記憶し、前記マッチング手段は、前記記憶手段に記憶された加工実績に基づいて、選出された前記作業実施者の候補を選出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の情報を受け付ける情報受付手段と、
前記廃棄物から加工品に加工する作業の企画から加工までのうち少なくとも1つ以上の工程を実施し得る作業実施者の候補を選出する作業実施者選出手段と、
前記廃棄物と、前記作業実施者選出手段により選出された作業実施者とをマッチングするマッチング手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記作業実施者の情報を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記作業実施者選出手段は、前記記憶手段に記憶された作業実施者から候補を選出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記作業実施者の廃棄物の加工実績をさらに記憶し、
前記マッチング手段は、前記記憶手段に記憶された加工実績に基づいて、前記作業実施者の候補を選出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記マッチング手段は、前記廃棄物の排出場所から前記作業実施者の加工場所までの距離に基づいて、前記作業実施者の候補を選出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記廃棄物から加工した加工品の実績をさらに記憶し、
前記記憶手段に記憶された加工品の実績を参照し、前記廃棄物から加工し得る加工品を決定する加工品決定手段
をさらに有する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
廃棄物の情報を受け付ける情報受付ステップと、
前記廃棄物から加工品に加工する作業の企画から加工までのうち少なくとも1つ以上の工程を実施し得る作業実施者の候補を選出する作業実施者選出ステップと、
前記廃棄物と、前記作業実施者選出手段により選出された作業実施者とをマッチングするマッチングステップと、
を有する情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
廃棄物の情報を受け付ける情報受付ステップと、
前記廃棄物から加工品に加工する作業の企画から加工までのうち少なくとも1つ以上の工程を実施し得る作業実施者の候補を選出する作業実施者選出ステップと、
前記廃棄物と、前記作業実施者選出手段により選出された作業実施者とをマッチングするマッチングステップと、
をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物とアップサイクル品作製技術とをマッチングする情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーの焙煎に用いる生豆には、欠豆、潰れ豆、貝殻豆、生育異常豆、発酵豆、黒豆、カビ豆・虫食い豆、死豆、パーチメントの9種類の欠点豆があり、これらを焙煎前に取り除くことにより、コーヒーの風味に悪影響を及ぼさないようにしている。また、焙煎後のコーヒー豆においては、薄皮が取り除けていないもの、水分不足により火が入りすぎているものなどが含まれていると、エグ味や渋みの原因となるため、これらも取り除く必要がある。
また、コーヒーの抽出後には、コーヒーかすが廃棄物として発生する。ここ数年のコーヒーの国内消費量は年間40万トン以上であり、それに伴い生じるコーヒーかすは水分を含みさらに多くなる。
【0003】
これらのコーヒーの欠点豆やコーヒーかすは、これまで廃棄物として処理されてきたが、近年、これらを再利用する方法が開発されてきている(例えば、特許文献1~3参照。)。
特許文献1においては、過熱蒸気を用いることによりコーヒーかすを乾燥処理する技術が開示されている。コーヒーかすは、コーヒーを抽出した直後には、65%以上という非常に高い含水率を有している。そのため、特許文献1では、水を沸騰させたスチームを加熱ヒーターに接触させることにより200℃以上の乾燥した加熱蒸気を発生させ、この加熱蒸気を用いてコーヒーかすの乾燥処理を行っている。
【0004】
また、特許文献2においては、予備混錬やペレット化することなく、含水率が3%未満のコーヒーかすを含有する樹脂成形品を製造する方法が開示されている。特許文献2では、成形の前に、撹拌しながらコーヒーかすを乾燥させることにより、含水率を3%未満まで低減させる工程を必須としている。
さらに、特許文献3においては、炭化・賦活によってコーヒーかすから活性炭を製造する方法が開示されている。特許文献3では、水平に対し小さな角度で傾斜させたロータリーキルン内において、高温の含酸素ガスを送給することにより、コーヒーかすを加熱し、炭化・賦活させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-234297号公報
【特許文献2】特開2010-173169号公報
【特許文献3】特開2007-22831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3に記載の技術では、単にコーヒーかすを再利用することにのみ焦点が向けられており、コーヒーかすのような廃棄物を回収し、これをリサイクル又はアップサイクルして製品を製造するまでをシステム化した一連のビジネスモデルはこれまで知られていなかった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、廃棄物の回収からリサイクル品又はアップサイクル品の製造までをシステム化した情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
廃棄物の情報を受け付ける情報受付手段と、
前記廃棄物から加工品に加工する作業の企画から加工までのうち少なくとも1つ以上の工程を実施し得る作業実施者の候補を選出する作業実施者選出手段と、
前記廃棄物と、前記作業実施者選出手段により選出された作業実施者とをマッチングするマッチング手段と、
を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、廃棄物の回収からリサイクル品又はアップサイクル品の製造までをシステム化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置により提供されるサービスの概要を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置におけるシステム構成の概略を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置におけるサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置により提供されるサービスの概要を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
<概要>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置により提供されるサービスの概要を示す図である。本実施形態では、廃棄物と作業実施者とをマッチングさせて加工品を作製する事例について説明する。
【0012】
図1の例では、廃棄物から加工品を加工する工程において、廃棄物と、この廃棄物を目的の加工品に加工する技術を提供する作業実施者とをマッチングさせている。
第1実施形態における廃棄物は、リサイクル又はアップサイクル可能な素材と成り得るものであり、一般家庭で排出されるものでもよいが、一定量の廃棄物を確保するためには、企業から直接排出されたものや廃棄物回収者により回収されたものであることが好ましい。また、廃棄物の量が少ない場合には、加工可能な量が貯まるまで廃棄物情報の受付工程を継続してもよい。
第1実施形態における廃棄物としては、上述したコーヒーの欠点豆やコーヒーかすの他、テスト焙煎豆、賞味期限切れ焙煎豆、コーヒーチャフ、小麦ふすま、茶葉、カカオハスク、リンゴかす、ミカンかす、モルトかす、食パンの耳、食物残渣、コーヒーの麻袋、鶏糞等が挙げられる。
【0013】
また、第1実施形態における加工品としては、例えばコーヒーの欠点豆やコーヒーかすから加工される皿、ボウル、トレー、コップ、タンブラー;テスト焙煎豆や賞味期限切れ焙煎豆から加工されるビール、蒸留酒;コーヒーの麻袋から加工される鞄、シェード;鶏糞から加工される肥料;等が挙げられる。
【0014】
さらに、第1実施形態における加工技術としては、乾燥、冷凍、抽出、粉砕、発酵等が挙げられ、目的の加工品を製造するために適宜組み合わされて用いられる。
上記の廃棄物、加工品、加工技術については、下記の表1に組み合わせの例示を示した。
【0015】
【表1】
【0016】
第1実施形態における作業実施者により実施される作業としては、廃棄物の加工の企画から、廃棄物の回収、運搬、仕分けや、水分除去のような前処理、さらには、乾燥、冷凍、抽出、粉砕、成形、縫製等の本質的な加工に至るまでの一連の作業のうち少なくとも一工程が含まれていればよい。
【0017】
第1実施形態における作業は、作業実施者により実施されるものであるが、廃棄物を加工するために特化したものである必要はなく、一般的な加工技術に適用する素材として廃棄物を用いることが好ましい。
【0018】
また、本発明の第1実施形態における作業としては、作業の技術を有しているものであれば、大企業から小規模企業までいずれの規模のものであってもよく、あるいは、個人であってもよい。
【0019】
<システム構成>
図2は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置に関するシステムの構成の概略を示す図である。
本実施形態に係る情報処理装置は、サーバ1によって実現されている。当該サーバ1は、インターネット等の所定のネットワークNを介して、廃棄物回収者端末2と、作業実施者端末3とが相互に接続されている。ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、VPN(Vertual Private Network)等である。
【0020】
廃棄物回収者端末2は、廃棄物回収者により操作され、回収された廃棄物の情報を取得する情報処理端末であって、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット、スマートフォン等の情報処理端末である。作業実施者端末3は、作業実施者により操作され、提供し得る作業の情報を取得する情報処理端末であって、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット、スマートフォン等の情報処理端末である。なお、各端末は、ここでは1台であるものとして説明するが、当該サーバ1にそれぞれ接続されるよう複数台であってもよい。また、本実施形態では、サーバ1は1台であるものとして説明するが、サーバ1は複数台あってもよい。
【0021】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係るサーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0022】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0023】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、近距離無線通信や、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0024】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0025】
なお、廃棄物回収者端末2及び作業実施者端末3は、ここでは特に図示はしないが、図3に示すサーバ1のハードウェア構成と同様のハードウェア構成を有する。即ち、CPUと、ROMと、RAMと、バスと、入出力インターフェースと、出力部と、入力部と、記憶部と、通信部と、ドライブとを備える。
以上のようなサーバ1は、各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理が実現されるようになる。また、廃棄物回収者端末2及び作業実施者端末3に関しても、各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理が実現されるようになる。
【0026】
<機能構成>
図4は、第1実施形態に係る情報処理装置におけるサーバ1、廃棄物回収者端末2及び作業実施者端末3の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0027】
サーバ1は、前述したように、CPU11と、記憶部18と、通信部19等とを備える。サーバ1には、通信部19を介して廃棄物回収者端末2と、作業実施者端末3がそれぞれ接続される。
【0028】
サーバ1のCPU11においては、動作する際に、情報受付部31と、加工品決定部32と、作業実施者選出部33と、マッチング部34と、が機能する。
すなわち、第1実施形態に係るサーバ1は、補助記憶装置(例えば、ROM)に記憶された各種のプログラム(OS、アプリケーション等)が主記憶装置(RAM)にロードされ、CPU11により実行されることによって、情報受付部31、加工品決定部32、作業実施者選出部33、マッチング部34を含む装置として機能する。
【0029】
情報受付部31は、受け入れる廃棄物を特定する情報を廃棄物回収者端末2から受け取る。受け取った廃棄物を特定する情報は、後述する廃棄物(データベース)DB41に格納される。また、情報受付部31は、作業実施者の情報及びこの作業実施者により提供し得る作業の情報を作業実施者端末3から受け取ってもよい。作業実施者の情報及びこの作業実施者により提供し得る作業の情報は、後述する作業実施者DB42に格納される。
【0030】
加工品決定部32は、廃棄物DB41に格納された廃棄物の情報に基づいて、この廃棄物を原材料として加工し得る加工品を決定する。具体的には、受け取った廃棄物の種類、状態、重量等の情報に基づいて、加工し得る加工品の候補を選出し、この候補から加工品を決定する。この加工品の決定においては、工程数、製作の容易性、製作コスト等を考慮してもよい。加工品が決まると、加工品を作製する加工技術が決定する。加工技術が複数ある場合には、候補を選出し、この候補から加工技術を決定する。
【0031】
作業実施者選出部33は、上記の加工品決定部32において決定された加工技術を提供し得る作業実施者の候補を作業実施者DB42から選出する。この作業実施者候補の選出においては、提供し得る作業の他に、過去の実績や、廃棄物の回収場所から作業実施者の作業場所までの距離や、作業実施者のスケジュール等を考慮してもよい。作業実施者候補が複数該当する場合には、過去の実績が良好であることや、廃棄物の回収場所から作業実施者の作業場所までの距離が近いことや、作業実施者のスケジュールが開いていること等の観点によって重みづけをすることにより、複数の作業実施者候補にマッチングする順番を付けてもよい。また、廃棄物の搬送及び地域活動の観点から、廃棄物の廃棄場所又は回収場所と作業実施者の作業場所とが同一地域内(2~5km圏内)にあり、全工程がこの地域内で完結することが好ましい。
【0032】
マッチング部34は、具体的には、上記の情報受付部31において受け付けた廃棄物の情報と、上記の作業実施者選出部33において選出された作業実施者とをマッチングさせる。これにより、マッチングされた作業実施者によって、廃棄物回収者から受け取る廃棄物を目的の加工物に加工することができる。
【0033】
また、図4に示すサーバ1の記憶部18においては、この一領域に、廃棄物DB41と、作業実施者DB42とが設けられる。
廃棄物DB41は、受け付けた廃棄物に関する情報を記憶する。すなわち、廃棄物DB41は、受け付けた廃棄物の種類、状態、重量、といった加工品を製造する原材料の情報を記憶する。
作業実施者DB42は、作業を提供し得る作業実施者に関する情報を記憶する。すなわち、作業実施者DB42は、廃棄物から加工品への加工の企画から製造までを実施することができる作業実施者の情報を記憶する。
【0034】
さらに、記憶部18においては、実績DB43を設けてもよい。実績DB43は、これまで記録された廃棄物がどのような加工品に加工されたかの情報を記憶し、受け付けた廃棄物から加工し得る加工品の参照とすることができる。また、実績DB43は、作業実施者DB42に記憶されている作業実施者の過去の実績を記憶し、作業実施者に実績ランキングを付けてもよい。
【0035】
上記の廃棄物DB41、作業実施者DB42及び実績DB43は、必ずしもサーバ1の記憶部18に設けられる必要はなく、サーバ1とネットワークNを介して通信可能な、例えば、クラウドサーバ等の外部記憶装置に記憶させるものとしてもよい。
【0036】
<処理内容>
図5は、図2の情報処理装置のうち、サーバ1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS1において、情報受付部31は、廃棄物回収者により回収された廃棄物に関する情報を受け付ける。この廃棄物に関する情報は、廃棄物回収者端末2から通信部19を介して送信されたものであり、具体的には、受け付けた廃棄物の種類、状態、重量、等が挙げられる。また、この廃棄物に関する情報は、記憶部18における廃棄物DB41に格納される。
【0038】
ステップS2において、加工品決定部32は、ステップS1において受け付けた廃棄物に関する情報、例えば受け取った廃棄物の種類、状態、重量等に基づいて、この廃棄物を原材料として加工し得る加工品の候補を選出し、この候補から加工品を決定する。この加工品の決定は、実績DB43に格納された過去の加工実績を参照してもよい。また、加工品決定部32は、工程数、製作の容易性、製作コスト等を考慮して加工品を決定してもよい。加工品が決まると、この加工品を作製し得る技術が決定する。加工技術が複数ある場合には、候補を選出し、この候補から加工技術を選択する。
【0039】
ステップS3において、作業実施者選出部33は、ステップS2において決定された加工技術を提供し得る作業実施者を記憶部18における作業実施者DB42に格納された候補から選出する。この作業実施者の選出は、提供し得る加工技術を備えていることの他に、過去の実績が良好であることや、廃棄物の回収場所から作業実施者の作業場所までの距離が近いことや、作業実施者のスケジュールが開いていること等の観点を考慮してもよい。
【0040】
ステップS4において、マッチング部34は、ステップS1において受け付けた廃棄物と、ステップS3において選出された作業実施者とをマッチングさせる。ここで、廃棄物と作業実施者とのマッチングが成立すると、選出された作業実施者は、ステップS1において受け付けた廃棄物を、ステップS2において決定された加工物に加工する。また、ここで廃棄物から加工品に加工された情報は、実績DB43に格納される。
【0041】
上記の各工程における候補の選出においては、表示機器等に出力して候補を表示してもよい。候補が複数選出された場合には、これらの複数の候補を出力し、選択することができる構成としてもよい。
【0042】
<第1実施形態の有利な効果>
上述の第1実施形態によれば、廃棄物と、作業内容とをマッチングさせることにより、廃棄物の回収からリサイクル品又はアップサイクル品の製造までをシステム化することができる。
【0043】
2.第2実施形態
<概要>
以下、本発明の第2実施形態について、図面を用いて説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置により提供されるサービスの概要を示す図である。第2実施形態では、廃棄物から加工品に加工する作業内容と実施可能な作業とをマッチングさせて加工品を作製する事例について説明する。なお、本第2実施形態におけるシステム構成及びハードウェア構成は、上述の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
図6の例では、廃棄物から加工品に加工する作業内容と、作業実施者が実施可能な作業とをマッチングさせている。
第2実施形態においては、廃棄物、加工品及び作業内容の定義は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第2実施形態における作業実施者としては、実施可能な作業が限定される者であり、障害を有する者、高齢者又は子供が挙げられる。第2実施形態における障害を有する者としては、様々な障害を有する者であり、障害の種類や程度あるいは作業可能な時間によって、実施できる作業内容は一人ひとり異なる。障害の種類としては、例えば、移動が困難な障害、細かい作業が困難な障害、目視が難しい障害、長時間の作業が困難な障害、等が挙げられる。この作業実施者は、個人であっても、複数人が所属する支援施設であってもよい。また、第2実施形態における高齢者としては、高齢のために視力の低下や指先の器用さの低減により実施可能な作業が限定される。さらに、第2実施形態における子供としては、知識不足や経験不足により実施可能な作業が限定される。
【0045】
上記のように、第2実施形態においては、作業実施者によっては実施できない加工技術も存在する。そのため、第2実施形態では、加工品の製造において、部分的に製造工程を実施したり、製造設備を貸し出してくれる加工支援者の力を借りてもよい。この加工支援者は、加工技術や設備を有しているものであれば、大企業から小規模企業までいずれの規模のものであってもよく、あるいは、個人であってもよい。
【0046】
また、本発明の第2実施形態における作業としては、廃棄物の加工の企画から、廃棄物の回収、運搬、仕分けや、水分除去のような前処理、さらには、乾燥、冷凍、抽出、粉砕、成形、縫製等の本質的な加工に至るまでの一連の作業のうち少なくとも一工程が含まれていればよい。
【0047】
<機能構成>
図7は、第2実施形態に係る情報処理装置におけるサーバ1、廃棄物回収者端末2、作業実施者端末3及び加工支援者端末4の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0048】
第2実施形態の機能構成については、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明し、同様の構成については省略する。
サーバ1には、廃棄物回収者端末2及び作業実施者端末3に加えて、加工支援者端末4がそれぞれ通信部19を介して接続される。
作業実施者端末3は、作業実施者が障害を有する者である場合には、作業実施者の情報及び提供し得る作業の情報に加え、作業実施者の障害の種類及び程度、障害により制限される作業内容、作業可能な時間等を取得する情報処理端末である。また、作業実施者端末3は、作業実施者が高齢者又は子供である場合には、作業実施者の情報及び提供し得る作業の情報に加え、作業可能な作業内容、作業可能な時間等を取得する情報処理端末である。
加工支援者端末4は、加工支援者によって支援し得る技術内容や提供し得る設備等を取得する情報処理端末である。
【0049】
第2実施形態におけるサーバ1の情報受付部31は、第1実施形態と同様、作業実施者端末3から、作業実施者及び提供し得る作業を特定する情報を受け取るとともに、第2実施形態においては、作業実施者が障害を有する者である場合には、作業実施者の障害の種類及び程度、障害により制限される作業内容、作業可能な時間等の情報、あるいは、作業実施者が高齢者又は子供である場合には、作業可能な作業内容、作業可能な時間等も受け取る。この作業実施者の障害の種類及び程度、障害により制限される作業内容、作業可能な作業内容、作業可能な時間等の情報も、作業実施者DB42に格納される。
また、第2実施形態におけるサーバ1の情報受付部31は、加工支援者及び加工支援者によって支援し得る技術内容や提供し得る設備等の情報を加工支援者端末4から受け取る。この加工支援者及び加工支援者によって支援し得る技術内容や提供し得る設備等の情報は、加工支援者DB44に格納される。
【0050】
第2実施形態における作業実施者選出部33は、作業実施者の選出において、第1実施形態で参照した各情報に加えて、加工支援者DB44に格納された加工支援者の情報を参照することもできる。
【0051】
マッチング部34は、具体的には、廃棄物から加工品に加工する作業内容と、作業実施者が実施可能な作業とをマッチングさせる。これにより、マッチングされた作業実施者によって、廃棄物回収者から受け取った廃棄物を目的の加工物に加工することができる。
【0052】
また、図4に示すサーバ1の記憶部18においては、この一領域に、廃棄物DB41と、作業実施者DB42と、実績DB43と、加工支援者DB44が設けられる。
なお、廃棄物DB41及び実績DB43は、第1実施形態と同様である。
作業実施者DB42は、障害を有しつつも作業を実施し得る作業実施者に関する情報を記憶する。また、作業実施者DB42は、高齢者や子供の作業実施者に関する情報を記憶する。すなわち、作業実施者DB42は、少なくとも部分的に廃棄物から加工品への加工の企画から製造までの作業を実施する作業実施者の情報を記憶する。さらに、作業実施者DB42は、作業実施者の障害の種類及び程度、障害により制限される作業内容、実施可能な作業内容、作業可能な時間等の情報を記憶する。
【0053】
第2実施形態においては、加工支援者DB44を記憶部18に設けてもよい。加工支援者DB44は、廃棄物の加工を支援する加工支援者に関する情報を記憶する。すなわち、加工品の製造において、部分的に製造工程を実施したり、製造設備を貸し出してくれる加工支援者の情報を記憶する。
【0054】
<処理内容>
図8は、図2の情報処理装置のうち、サーバ1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS11において、情報受付部31は、廃棄物回収者により回収された廃棄物に関する情報を受け付ける。この廃棄物に関する情報は、廃棄物回収者端末2から通信部19を介して送信されたものであり、具体的には、受け付けた廃棄物の種類、状態、重量、等が挙げられる。また、この廃棄物に関する情報は、記憶部18における廃棄物DB41に格納される。
【0056】
ステップS12において、加工品決定部32は、ステップS11において受け付けた廃棄物に関する情報、例えば受け取った廃棄物の種類、状態、重量等に基づいて、この廃棄物を原材料として加工し得る加工品の候補を選出し、この候補から加工品を決定する。この加工品の決定は、実績DB43に格納された過去の加工実績を参照してもよい。また、加工品決定部32は、工程数、製作の容易性、製作コスト等を考慮して加工品を決定してもよい。加工品が決まると、この加工品を作製し得る技術が決定する。加工技術が複数ある場合には、候補を選出し、この候補から加工技術を選択する。
【0057】
ステップS13において、作業実施者選出部33は、ステップS12において決定された加工技術を提供し得る作業実施者を記憶部18における作業実施者DB42に格納された候補から選出する。この作業実施者の選出は、提供し得る加工技術を備えていることの他に、過去の実績が良好であることや、廃棄物の回収場所から作業実施者の作業場所までの距離が近いことや、作業実施者のスケジュールが開いていること等の観点を考慮してもよい。
【0058】
また、作業実施者DB42に格納された作業実施者のみでは加工が完了しない場合には、加工支援者DB44に格納された加工品の製造を支援し得る加工支援者の候補を選出する。本実施形態における加工支援者としては、加工品の製造において、部分的に製造工程を実施したり、製造設備を貸し出してくれるものをいい、企業であっても個人であってもよい。この選出された加工支援者の支援によって、廃棄物から加工品への加工が実現する。
【0059】
ステップS14において、マッチング部34は、ステップS12において決定された加工品を加工する作業内容と、ステップS13において選出された作業実施者により実施可能な作業とをマッチングさせる。ここで、作業内容と作業実施者により実施可能な作業とのマッチングが成立すると、選出された作業実施者は、ステップS11において受け付けた廃棄物を、ステップS12において決定された加工物に加工する。また、ここで廃棄物から加工品に加工された情報は、実績DB43に格納される。
【0060】
<第2実施形態の有利な効果>
上述の第2実施形態によれば、廃棄物から加工品を加工する際の作業内容と、作業実施者により実施可能な作業とをマッチングさせることにより、廃棄物の回収からリサイクル品又はアップサイクル品の製造までをシステム化することができる。
【0061】
(変形例)
本発明においては、実施可能な作業が限定される作業実施者、特に障害を有する者が作業を行った実績が蓄積されてくると、障害の程度に応じて適切に役割分担を果たし得る作業マニュアルや管理マニュアルを作成することができる。
このようなマニュアルによれば、廃棄物から加工品を加工するいずれかの工程において、障害の程度を勘案して、障害を有する者が実施可能な作業をより適切に選択することが可能となる。
本発明においては、リサイクル又はアップサイクルしたい廃棄物の情報や活用したい技術情報をキーワードとして入力することにより、参考となる過去実績をリストアップしてもよい。これにより、一から企画する労力を低減し、実現性の高い企画を創出することができる。
本発明によれば、活動を支える収入源として、企画を通して宣伝できることを目的として過去実績やWebクローリングプログラムにより相性の良い又は有望なサポータ候補をリストアップし、これを営業リストとすることも可能である。
【0062】
本発明においては、アップサイクルにより削減した二酸化炭素量を算出することができる。
本発明においては、GPS情報や参加企業(店舗)数等により、地域内の分散型・流動型交流の活性度合いなどを算出することができる。
本発明によれば、各種効果の公開と宣伝による廃棄物の課題に困る企業や店舗、組織などの関心と、宣伝したい技術を有する企業の関心を集め、取組の全国波及にむけたDBの拡充を実現することができる。
本発明においては、参加企業や組織のバリエーションや数、参加者の年齢層の広さ(例えば法人種や年齢差を点数化)を多様性共存価値として点数化し、公開・宣伝することで取り組み参加者の多様性や地域の多様性共生度合いに価値を持たせることができる。
本発明によれば、取り組みに参加した障害者や高齢者や子供の活動状況(例えば迷った場所や回数、各種クレームなどの情報)をもとに、より良い街づくりに向けた提言や報告を実施することができ、これによりユニバーサルデザインの思想に則った街づくりが可能になるとともに、その反映度合いなどを地域の宣伝に活用することができる。
【0063】
本発明においては、スポンサードにより得られた資金や各種収益をポイント化し、アップサイクル原料となる廃棄物の排出者や、回収・各種加工作業などのアップサイクルフローに参加した組織や個人にポイント配布し、それらのポイントを地域通貨的に地域内店舗での対象商品やサービスの購入に使用できるようにすることができる。これにより、地域内でのアップサイクル活動が地域内経済へ還元される。
【0064】
以上、本発明の情報処理装置の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果の列挙に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されない。
【0065】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。
【0066】
また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバの機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0067】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0068】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。
装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図3のROM12や、図3の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0069】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0070】
1…サーバ、2…廃棄物回収者端末、3…作業実施者端末、4…加工支援者端末、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…バス、15…入出力インターフェース、16…出力部、17…入力部、18…記憶部、19…通信部、20…ドライブ、21…リムーバブルメディア、31…情報受付部、32…加工品決定部、33…作業実施者選出部、34…マッチング部、41…廃棄物DB、42…作業実施者DB、43…実績DB、44…加工支援者DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8