(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049994
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240403BHJP
F24F 8/40 20210101ALI20240403BHJP
F24F 8/24 20210101ALI20240403BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240403BHJP
【FI】
F24F6/00 D
F24F6/00 A
F24F8/40
F24F8/24
F24F8/80 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156548
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】唐島 涼
(72)【発明者】
【氏名】吉武 厚
(72)【発明者】
【氏名】森元 学
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和馬
(72)【発明者】
【氏名】中原 繁治
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BB02
3L055DA02
3L055DA11
(57)【要約】
【課題】給水タンク内に電解装置が配置される加湿器において、水の電気分解により発生するオゾンなどの揮発ガスが給水タンク内に高濃度で充満することを防ぐ。
【解決手段】水を気化させてミストを生成する加湿ユニット11と、加湿ユニット11への給水を担う給水タンク2とを備え、給水タンク2は、水を貯留するタンク本体6と、タンク本体6内の水を電気分解して除菌水に変化させる電解装置81とを含む加湿器において、水の電気分解により発生してタンク本体6内を浮遊する揮発ガスが、加湿ユニット11で生成されたミストと共に放出されるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を気化させてミストを生成する加湿ユニット(11)と、加湿ユニット(11)への給水を担う給水タンク(2)とを備えており、
給水タンク(2)は、水を貯留するタンク本体(6)と、タンク本体(6)内の水を電気分解して除菌水に変化させる電解装置(81)とを含み、
水の電気分解により発生してタンク本体(6)内を浮遊する揮発ガスが、加湿ユニット(11)で生成されたミストと共に放出口(9)から放出されることを特徴とする加湿器。
【請求項2】
加湿ユニット(11)と放出口(9)の間に、ミストに揮発ガスを混ぜ合わせる混合室(125)が設けられている請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
加湿ユニット(11)から混合室(125)へミストを案内するミスト筒(7)を備えており、
混合室(125)の上壁が、ミスト筒(7)から立ち昇るミストを受け止めるミスト壁(134)を構成しており、
混合室(125)の底部に、通水可能な回収路(141)が設けられており、
ミスト壁(134)から混合室(125)の底部に滴下した水滴が、回収路(141)を通じてタンク本体(6)内の溜水に合流する請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
回収路(141)が、タンク本体(6)内の揮発ガスを混合室(125)へ吸引するための吸引路(140)を兼ねている請求項3に記載の加湿器。
【請求項5】
加湿ユニット(11)は、ミストの原料となる除菌水を貯める貯水部(44)と、貯水部(44)内の除菌水を気化させる加湿モジュール(36)とを含み、
給水タンク(2)が貯水部(44)の上方に配置されている請求項4に記載の加湿器。
【請求項6】
ミスト筒(7)がタンク本体(6)の内側に配置されており、
タンク本体(6)の内面とミスト筒(7)の外面との間に除菌水が貯留される請求項5に記載の加湿器。
【請求項7】
混合室(125)がミスト筒(7)の上部を囲むように形成されており、
回収路(141)がミスト筒(7)の外面に沿って断続的に形成されている請求項6に記載の加湿器。
【請求項8】
平面視でミスト筒(7)がタンク本体(6)の中心を囲むように配置されている請求項7に記載の加湿器。
【請求項9】
ミスト筒(7)が上窄まりテーパー状に形成されている請求項3から8のいずれかひとつに記載の加湿器。
【請求項10】
混合室(125)がタンク本体(6)の満水位よりも上方に位置する請求項3から8のいずれかひとつに記載の加湿器。
【請求項11】
タンク本体(6)の開口を着脱自在に開閉するタンク蓋(8)と、タンク本体(6)から分離したタンク蓋(8)が載置される蓋支持台(132)とを備えており、
蓋支持台(132)が混合室(125)の底壁と一体に設けられている請求項3から8のいずれかひとつに記載の加湿器。
【請求項12】
電解装置(81)がミスト筒(7)の側方に配置されており、
混合室(125)の底部のうち、電解装置(81)からの距離が相対的に近い部分は、当該距離が相対的に遠い部分に比べて、単位面積あたりの吸引路(140)の総面積が大きく設定されている請求項7または8に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水タンク内の水を電気分解して除菌水に変化させる電解装置を備える加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
電解装置を備える加湿器は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の加湿器は、空気の吸込口と吹出口を備える箱型のハウジングの内部に、加湿用吸水体と吹出用送風機と給水タンクなどが収容されている。吹出用送風機は、空気の吸込口から加湿用吸水体を経由して吹出口に至る気流をハウジング内に形成する。つまり、吸込口からハウジング内に吸い込まれた空気は、加湿用吸水体を通過することで加湿空気となって吹出口から吹き出される。
【0003】
給水タンクから加湿用吸水体への送水は、ハウジングの底部に凹み形成された水路を介して行われる。つまり、給水タンクと加湿用吸水体はそれぞれ水路に上方から差し込まれており、両者の下端部が水路内の溜水に浸漬されている。この水路内あるいは給水タンク内にオゾン水生成装置(電解装置)が配置されている。オゾン水生成装置の電極に通電することにより、水路内あるいは給水タンク内の水道水を電気分解して、オゾンガスを含むオゾン水に変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾン水の溶質であるオゾンガスは、水への溶解度が比較的低いためにオゾン水から揮発しやすく、オゾン水生成装置を給水タンク内に配置する場合は、給水タンク内にオゾンガスが充満しやすい。そのため、ユーザーが給水タンクの蓋を開けた際に、そこから高濃度のオゾンガスが放出されて、その特有の刺激臭がユーザーに不快感を与えるおそれがある。
【0006】
本発明は、給水タンク内に電解装置が配置される加湿器において、水の電気分解により発生するオゾンなどの揮発ガスが給水タンク内に高濃度で充満することを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水を気化させてミストを生成する加湿ユニット11と、加湿ユニット11への給水を担う給水タンク2とを備える加湿器を対象とする。給水タンク2は、水を貯留するタンク本体6と、タンク本体6内の水を電気分解して除菌水に変化させる電解装置81とを含む。水の電気分解により発生してタンク本体6内を浮遊する揮発ガスが、加湿ユニット11で生成されたミストと共に放出口9から放出されることを特徴とする。
【0008】
加湿ユニット11と放出口9の間に、ミストに揮発ガスを混ぜ合わせる混合室125が設けられている形態を採ることができる。
【0009】
加湿ユニット11から混合室125へミストを案内するミスト筒7を備えており、混合室125の上壁が、ミスト筒7から立ち昇るミストを受け止めるミスト壁134を構成しており、混合室125の底部に、通水可能な回収路141が設けられており、ミスト壁134から混合室125の底部に滴下した水滴が、回収路141を通じてタンク本体6内の溜水に合流する形態を採ることができる。
【0010】
回収路141が、タンク本体6内の揮発ガスを混合室125へ吸引するための吸引路140を兼ねている形態を採ることができる。
【0011】
加湿ユニット11は、ミストの原料となる除菌水を貯める貯水部44と、貯水部44内の除菌水を気化させる加湿モジュール36とを含み、給水タンク2が貯水部44の上方に配置されている形態を採ることができる。
【0012】
ミスト筒7がタンク本体6の内側に配置されており、タンク本体6の内面とミスト筒7の外面との間に除菌水が貯留される形態を採ることができる。
【0013】
混合室125がミスト筒7の上部を囲むように形成されており、回収路141がミスト筒7の外面に沿って断続的に形成されている形態を採ることができる。
【0014】
平面視でミスト筒7がタンク本体6の中心を囲むように配置されている形態を採ることができる。
【0015】
ミスト筒7が上窄まりテーパー状に形成されている形態を採ることができる。
【0016】
混合室125がタンク本体6の満水位よりも上方に位置する形態を採ることができる。
【0017】
タンク本体6の開口を着脱自在に開閉するタンク蓋8と、タンク本体6から分離したタンク蓋8が載置される蓋支持台132とを備えており、蓋支持台132が混合室125の底壁と一体に設けられている形態を採ることができる。
【0018】
電解装置81がミスト筒7の側方に配置されており、混合室125の底部のうち、電解装置81からの距離が相対的に近い部分は、当該距離が相対的に遠い部分に比べて、単位面積あたりの吸引路140の総面積が大きく設定されている形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る加湿器においては、水の電気分解により発生して給水タンク2のタンク本体6内を浮遊する揮発ガスが、ミストと共に放出口9から放出されるようにしたので、タンク本体6内の揮発ガスの濃度を下げて、揮発ガスが高濃度でタンク本体6内に充満することを防ぐことができる。また、タンク本体6の蓋を開けた際に、揮発ガスが高濃度の状態で周囲に放出・飛散されることを防ぐことができるので、ユーザーが高濃度の揮発ガスを吸い込むことを抑えて、ユーザーが刺激臭などの不快感を覚えることを防ぐことができる。加えて、揮発ガスをミストと共に放出口9から放出すると、揮発ガスの除菌効果をミストに付加することができる。
【0020】
加湿ユニット11と放出口9の間に、ミストに揮発ガスを混ぜ合わせる混合室125が設けられていると、放出口9から放出されるミスト内に揮発ガスを偏りなく均一に分布させることができる。揮発ガスの分布にムラがあると、ミストを受けるユーザーが一時的に刺激臭などの不快感を覚えるおそれがあるが、本発明によればこのおそれを大幅に低減することができる。
【0021】
ミスト筒7から立ち昇るミストを混合室125の上壁すなわちミスト壁134で受け止めると、ミストに比較的大きな水滴が含まれる場合に、これをミスト壁134に付着させてミストから除去することができる。つまり、微細な水滴のみを含みユーザーの肌などを濡らしてしまうことが少ない良質なミストを放出口9から放出することができる。また、ミスト壁134から混合室125の底部に滴下した水滴が、回収路141を通じてタンク本体6内の溜水に合流するようにしていると、混合室125における水滴の滞留を防止するとともに、当該水滴をミストの原料として再利用することができる。
【0022】
回収路141が、タンク本体6内の揮発ガスを混合室125へ吸引するための吸引路140を兼ねる構成によれば、吸引路140と回収路141を個別に設ける場合に比べて、混合室125の壁面の構造を簡素化することができる。
【0023】
給水タンク2が貯水部44の上方に配置されていると、給水タンク2から除菌水を自由落下させるだけで、これを貯水部44まで送ることができる。つまり、貯水部44への送水に関してポンプなどの駆動系を不要として、送水構造を簡素化することができる。
【0024】
ミスト筒7がタンク本体6の内側に配置されており、タンク本体6の内面とミスト筒7の外面との間に除菌水が貯留されていると、ミスト筒7の外面をタンク本体6内の除菌水に浸らせて除菌するとともに、除菌水に浸らない当該外面の上部も、水面上を浮遊する揮発ガスで除菌することができる。
【0025】
混合室125の底部の回収路141が、ミスト筒7の外面に沿って断続的に形成されていると、ミスト壁134から混合室125の底部に滴下した水滴を、滴下位置に最も近い回収路141から速やかに混合室125の外へ排出することができる。
【0026】
ミスト筒7がタンク本体6の中心を囲むように配置されていると、ミスト筒7の上部を囲む混合室125と、該混合室125の底部に設けられる一群の吸引路140(回収路141)とを、タンク本体6の中心を囲むものとすることができる。これにより、各吸引路140から混合室125へ吸引される揮発ガスの量を均一化して、タンク本体6内の揮発ガスの濃度のムラを少なくすることができる。
【0027】
ミスト筒7が上窄まりテーパー状に形成されていると、ミスト筒7を流れるミストが加速されるようにして、これをより遠くまで送ることができる。
【0028】
混合室125がタンク本体6の満水位よりも上方に位置していると、タンク本体6内の溜水が回収路141を通じて混合室125へ浸入することを確実に防止できる。
【0029】
タンク蓋8が載置される蓋支持台132が、混合室125の底壁と一体に設けられていると、両者を別部材とする場合に比べて、加湿器の部品点数を削減してその低コスト化を図ることができる。
【0030】
混合室125の底部のうち電解装置81からの距離が相対的に近い部分は、当該距離が相対的に遠い部分に比べて、単位面積あたりの吸引路140の総面積が大きく設定されている形態を採ることができる。タンク本体6において電解装置81からの距離が近い部分には、比較的多くの揮発ガスが浮遊しているため、当該部分の吸引路140の総面積を大きくすることにより、多くの揮発ガスを混合室125へ吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る加湿器の上部の縦断正面図である。
【
図4】同加湿器の装置本体から給水タンクを分離した状態の斜視図である。
【
図7】装置本体を構成する加湿ユニットの要部の正面図である。
【
図12】給水タンクの内部構造を示す平面図である。
【
図13】タンク蓋が蓋支持台に載置された状態を示す縦断側面図である。
【
図14】タンク蓋が蓋支持台に載置された状態を示す平面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る加湿器の給水タンクの内部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態) 本発明に係る加湿器の第1実施形態を
図1ないし
図15に示す。この加湿器は、水分を多く含む加湿空気すなわちミストとともに、オゾンを含む浄化空気を空間に放出して、当該空間の加湿と浄化(除菌・消臭など)を同時に行うことができる。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0033】
図2ないし
図4に示すように加湿器は、その過半を占める下側の装置本体1と、装置本体1に上方から着脱自在に装着される上側の給水タンク2とを備える。装置本体1は略円柱状に形成され、給水タンク2は下方へ縮径する略円錐台状に形成されている。装置本体1の上部には、上向きに開口する装着凹部3が形成されており、該装着凹部3に給水タンク2の下部が差し込まれて装着される。装着凹部3の後面(側面)には、装着された給水タンク2の意図しない抜け出しを防ぐためのロック機構4が設けられている。
【0034】
給水タンク2は、水を貯留するタンク本体6と、装置本体1で生成されたミストを上向きに案内するミスト筒7と、タンク本体6の上面の開口を開閉するタンク蓋8などを備える。タンク蓋8の前部には、ミスト筒7の上端に連通する放出口9が形成されており、ミスト筒7を上昇したミストはこの放出口9から上方へ放出される。
【0035】
装置本体1は、給水タンク2から送給される水を気化させる上側の加湿ユニット11と、オゾンを含む浄化空気を生成する下側の浄化ユニット12とに大別される。加湿ユニット11の外形は、上端に大径の張出部13を有する下窄まり状に形成されており、浄化ユニット12の外形は、張出部13と略同径の有底円筒状に形成されている。そして、加湿ユニット11の張出部13を除く全体が、浄化ユニット12の内側に収容固定されている。
【0036】
浄化ユニット12は、内部に風路15を有する円筒状の外ケース16と、風路15の一端の吸込口17から他端の吹出口18へ向かう気流を形成する遠心式の送風ファン19と、風路15内で放電してオゾンを発生させる放電装置20とを備える。放電装置20は、一対の電極とその間に介在する誘電体などを備えており、両電極に数kVの高い交流電圧を印加すると、一方の電極と誘電体との間で無声放電(誘電体バリア放電)が生じ、その周囲の空気に含まれる酸素の一部がオゾンに変化する。なお外ケース16は、円筒状以外に楕円筒状や多角筒状などに形成することができるが、円筒状とすることにより内部のデッドスペースを小さくすることができる。なお浄化ユニット12内には、放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置(オゾナイザー)以外に、放電により各種イオン(マイナスイオン、ヒドロキシラジカル等)を発生させるイオン発生装置(イオナイザー)、揮発性の有効成分を含む薬剤(殺菌剤や虫除け剤など)の含浸体、空気中の酸素に紫外線(波長185nm)を照射してオゾンを発生させるオゾン発生装置、あるいは、紫外線(波長254nm)などの殺菌光を照射して空気を浄化する殺菌装置など、各種の有効成分発生装置を配置することができる。
【0037】
吸込口17は浄化ユニット12の下端後部に設けられ、吹出口18は浄化ユニット12の上端前部に設けられる。吸込口17から風路15に吸い込まれた空気は、放電装置20の周囲を通過する際にオゾンを取り込み、これを含む浄化空気となって吹出口18から前方へ吹き出される。吹出口18は、装置本体1の前面上部において、加湿ユニット11の張出部13と浄化ユニット12の上縁との間に形成されている。吹出口18は平面視で外凸円弧状に形成されており、また正面視において下凸円弧状に形成されている。
【0038】
図5に示すように、外ケース16の上下端はそれぞれ開口しており、上側の開口には加湿ユニット11が上方から組み付けられ、下側の開口にはこれを塞ぐように底蓋23が固定されている。底蓋23の内面(上面)側には、加湿器の全体を制御する図示しない制御基板が収容される。また底蓋23には、電源ケーブル24のプラグ25が差し込まれる受電用のソケット26が設けられており、該ソケット26を介して制御基板に電力が供給される。制御基板は、送風ファン19、放電装置20、後述する加湿モジュール36やミストファン56など、装置本体1の各部に電気的に接続されて電力を供給する。
【0039】
外ケース16の後面の下部には、フィルターカバー29で開閉されるカバー開口30が形成されており、カバー開口30の内方の下部には、風路15の吸込口17に臨む安全柵31が設けられている。安全柵31は、上下に細長い一群の長孔を備えており、吸込口17への外気の流入を許容しつつ、フィルターカバー29の分離時にユーザーの手指や大きな異物などの侵入を防止する。また、カバー開口30の内方の上部には、引き抜き可能な点検蓋32が設けられており、その内方に放電装置20が配置されている。つまりユーザーは、まず外ケース16からフィルターカバー29を取り外してカバー開口30を開き、次いで点検蓋32を後方へ引き抜くと、放電装置20を露出させてその清掃などのメンテナンスを行うことができる。
【0040】
図5および
図6に示すように加湿ユニット11は、基体となる加湿ケース35に、超音波振動子を含む加湿モジュール36と、給水タンク2への給電を担う給電端子37と、円環状の操作カバー38などを組み付けて構成される。操作カバー38は加湿ケース35の上面に接合されており、両者35・38に囲まれる円環状の密閉空間の前部には、円弧板状に形成された操作基板39が収容されている。操作基板39の上面には図示しない複数個のスイッチが突設されており、これに対応して操作カバー38の前部には、各スイッチの先端面に正対する複数個の操作ボタン40が設けられている。各スイッチは操作ボタン40を介して押圧操作されるようになっており、これら操作ボタン40が加湿器の運転状態の切換操作のための操作部41を構成する。
【0041】
操作部41を含む操作カバー38の上方には、該操作カバー38と給水タンク2の外面で囲まれる略リング状の空隙が設けられており(
図2参照)、ユーザーは当該空隙を介して操作部41にアクセスすることができる。このように操作カバー38の上方を括れさせて、操作部41にアクセスするための空間すなわちアクセス空間を形成すると、操作カバー38のみを径方向に突出させる場合に比べて、加湿器の全体のシルエットをすっきりさせることができる。また操作部41は、吹出口18の近傍である直上に位置しており、この配置によれば、吹出口18から吹き出される浄化空気の一部が操作部41に届くようにして、その表面を浄化することができる。また、ユーザーが操作部41を操作する際に、浄化空気の一部がユーザーの手指に触れるようにして、その表面を浄化することができる。
【0042】
装置本体1(外ケース16)の外周面を上方へ延長した仮想面の内方の奥まった位置にアクセス空間を設け、このアクセス空間に下方から臨むように操作部41(操作カバー38)を配置すると、加湿器の天面や外周面に操作部41を配置する場合に比べて、ユーザーの手や物などが意図せず操作部41に触れることによる誤操作をよく防止することができる。ユーザーが加湿器(給水タンク2)の上に置いた物が操作部41に触れることもない。アクセス空間をリング状に形成すると、ユーザーは加湿器の正面(前面)からはもちろん、その側面(左右面)や背面(後面)からも操作部41に手を伸ばして操作しやすくなる。給水タンク2(タンク本体6)で区画されるアクセス空間の奥面は、下窄まりの截頭円錐面で構成されており、これによれば、ユーザーが操作部41を斜め上方から見下ろしたときに、該操作部41を視認しやすくなる。
【0043】
加湿ケース35の上半部は、先述の装着凹部3を区画する。加湿ケース35の下半部には、給水タンク2から送給された水を貯める四角筒状の貯水部44が設けられており、その底部に加湿モジュール36が取り付けられている。つまり貯水部44は、上面に開口を有する有底状に形成されており、該開口は装着凹部3に連通している。装着凹部3の底部における貯水部44の後側には、上向きに突出する係合突起45が膨出形成されており、その内側に給電端子37が下方から差し込み固定されている。係合突起45の先端(上端)には、給電端子37の突端の挿通を許す一対のスリット46が設けられている。
【0044】
加湿ユニット11は平面視で正円状に形成されており、その中心に加湿モジュール36が配置されている。装着凹部3の底部の右端寄りには、貯水部44に向かって左方へ下り傾斜する受水壁48が凹み形成されている。受水壁48は、給水タンク2から滴下する水を受け止めて(滴下位置P)、これを貯水部44へ案内する。受水壁48を水平面に対して傾斜させると、給水タンク2から受水壁48へ滴下した水が上方へ大きく跳ねないようにして、給水タンク2の表面を濡らさないようにすることができる。また、受水壁48を貯水部44に向かって下り傾斜させると、該受水壁48を送水用として機能させて、貯水部44への送水構造を簡素化することができる。なお受水壁48は、ユーザーが装置本体1を傾けて貯水部44内の残水を排出する際の注出口としても機能する。
【0045】
貯水部44の左端寄りには、貯水部44内の溜水の波立ちを抑制するための防波壁49が設けられている。つまり受水壁48と防波壁49は、加湿モジュール36を左右両側から挟むように配置されており、このように受水壁48と防波壁49を配置すると、受水壁48から貯水部44へ水が流れ込むときの貯水部44内の波立ちを効果的に抑制することができる。また防波壁49は、受水壁48の下端(左端)に設定される貯水部44の満水位を超えて高く形成されており(
図1参照)、これによれば、満水位を超える波が発生してもこれを確実に吸収することができる。貯水部44内の水位は、貯水部44の左側の外面に設けられた静電容量式の水位センサ50で検知されており、この水位センサ50の出力に基づいて、給水タンク2からの給水が制御されている。貯水部44内の溜水の波立ちを防波壁49で抑制すると、波立ちによる貯水部44の水位の誤検知を防止することができる。なお貯水部44の満水位は、受水壁48の下端以外にその上端や中途部に設定してもよく、この場合も防波壁49は貯水部44の満水位を超える高さとすることが望ましい。水位センサ50で検知が可能な上限水位を貯水部44の満水位に設定することもできる。
【0046】
貯水部44の前側には、上下に伸びる送気筒52が設けられている。送気筒52は、加湿ケース35と一体に設けられる上送気体53と、加湿ケース35とは別体である下送気体54とを上下に連結して構成されている。上送気体53は、装着凹部3の底壁を上下に貫通する四角筒状に形成されている。上送気体53の上端は前向きに開口しており、同下端は下向きに開口して下送気体54に連通している。
図7に示すように下送気体54は、上面と右面に開口を有する中空のプラスチック成形品からなり、貯水部44の前側の外面にビス55で固定されている。下送気体54の上面の開口は上送気体53に連通し、右面の開口は次に説明するミストファン56に連通している。
【0047】
ミストファン56は、吸気方向と排気方向が直交する遠心式のブロワファン(シロッコファン)からなり、貯水部44の前側の外面における下送気体54の右隣にビス55で固定されている。具体的には、ミストファン56は、渦巻き状のファンケーシング58と、ファンケーシング58内で水平軸(前後方向)のまわりに回転する円筒状の羽根車59とを備える。ミストファン56の吸気口60は、ファンケーシング58の前面に羽根車59と同心円状に形成されている。ファンケーシング58の左面にはミストファン56の排気口61が設けられており、その開口縁は下送気体54の右面の開口すなわち流入口62に差し込まれている。つまり、ファンケーシング58内の羽根車59が駆動すると、羽根車59により形成された気流が下送気体54に流れ込み、下送気体54と上送気体53を順に上昇する。ミストファン56の排気口61は、下送気体54へ向かって緩やかに上り傾斜しており、これによれば、下送気体54内で気流を上向きに変向する際の風量の損失を小さくすることができる。なおミストファン56は、遠心ファン以外に軸流ファンなどであってもよい。
【0048】
図4に示すように、装着凹部3の側面の上下中途部には、本体側段部66が周回状に形成されている。本体側段部66の後端部(
図6で12時の位置)には、下向きに凹む切欠凹部67が形成されており、この切欠凹部67の内側に、ロック機構4を構成するロック片68の先端部が配置されている。ロック片68の基端部は外ケース16と加湿ケース35の間に収容されており、ロック片68の先端部のみが加湿ケース35に開口された窓から切欠凹部67へ向かって露出している(
図5参照)。また本体側段部66の3個所(
図6で2時、6時、10時の位置)には、下向きに凹む係合溝69が周方向等間隔に設けられている。切欠凹部67の下面は装着凹部3の中央へ向かって下り傾斜しており、これによれば、切欠凹部67へ浸入した水滴が傾斜に沿って排出されるようにして、切欠凹部67内における水滴の滞留を防止することができる。この水滴の滞留を防止すると、水滴がロック片68用の窓を介して加湿ケース35の内側へ浸入しないようにして、ロック機構4を構成するばねなどの腐食(さび)を防止することができる。
【0049】
給水タンク2の外周面の下部にも、周回状のタンク側段部71が設けられている。タンク側段部71の後端部(
図8で12時の位置)には、本体側段部66の切欠凹部67およびロック片68に対応して、下向きに突出するU字状のロック枠72が設けられており、またタンク側段部71の3個所(
図8で2時、6時、10時の位置)には、本体側段部66の係合溝69に対応して、下向きに突出する係合突起73が周方向等間隔に設けられている。
【0050】
給水タンク2を装着凹部3に上方から差し込むと、給水タンク2のタンク側段部71が装着凹部3の本体側段部66で受け止められて、各係合突起73が各係合溝69に進入して係合するとともに、ロック枠72が切欠凹部67に進入し、ロック片68がロック枠72に係合する(
図3参照)。各係合突起73と各係合溝69の係合、および、ロック枠72と切欠凹部67の係合により、装置本体1に対する給水タンク2の垂直軸まわりの回転が規制され、ロック片68とロック枠72の係合により、装着凹部3からの給水タンク2の意図しない抜け出しが規制される。これらの規制により給水タンク2は安定的に装着状態に保持される。係合突起73(係合溝69)とロック枠72(切欠凹部67)は、ユーザーが給水タンク2を装着凹部3内の適正位置に装着するためのガイド(位置決め)としても機能する。
【0051】
ロック片68は切欠凹部67の内側に配置されており、換言すれば、給水タンク2の抜け出しを規制するための構造と、給水タンク2の回転を規制するための構造とが、装着凹部3の1個所に集約されている。また給水タンク2のロック枠72は、ロック片68に係合して給水タンク2の抜け出しを規制する構造と、切欠凹部67に係合して給水タンク2の回転を規制する構造とを兼ねており、したがって給水タンク2においても両構造が1個所に集約されている。このような集約配置によれば、上記両構造に占有されない装着凹部3および給水タンク2のスペースを広くして、該スペースに他の構造を比較的自由に配置することができる。
【0052】
給水タンク2のタンク本体6の底部には、扁平な有底円筒状のタンクベース75が外面側から組み付けられている。タンクベース75は、給水タンク2の装着時に装着凹部3の下半部(本体側段部66よりも下側)に収容されて、該装着凹部3の底面で支持される。
図9に示すように、タンクベース75の下面の後部には、内向き(上向き)に凹む係合凹部76が形成されており、その底部に受電端子77が固定されている。給水タンク2の装着時に、係合凹部76は装着凹部3の底部の係合突起45と係合し、受電端子77はスリット46から露出する給電端子37に接触する。これにより給電端子37と受電端子77は通電状態となる。以上の形態によれば、ユーザーが給水タンク2の装着とは別に端子37・77どうしを接続する手間を不要として、ユーザーの利便性の向上を図ることができる。給電端子37と受電端子77には任意の防水処理が施されている。給電端子37は、給水タンク2の装着の有無を検知するセンサとして機能しており、給電端子37から受電端子77への通電の有無に基づいて、給水タンク2の装着の有無が判断されている。給電端子37から受電端子77の通電が無い状態では、給水タンク2が装着されていないとみなされて、表示部42(
図2参照)にエラーが表示される。
【0053】
給水タンク2は、タンク本体6内の水位を検出するフロート式の貯水センサ79と、タンク本体6内を照明する照明装置80と、タンク本体6内の水を電気分解してオゾン水(除菌水)に変化させる電解装置81(
図1参照)などの電気機器を備える。これら電気機器は受電端子77に電気的に接続されており、給水タンク2の装着時には受電端子77から電力の供給を受けて駆動することができる。なお、電気分解による生成が可能な除菌水としては、オゾン水以外に次亜塩素酸水と水素水を挙げることができる。前者の次亜塩素酸水は、塩化ナトリウム水溶液の電気分解により生成することができる。電解装置81の陽極と陰極を隔膜で仕切らない場合には、水溶液の全体が次亜塩素酸水(電解次亜水)に変化し、隔膜で仕切る場合には陽極側に次亜塩素酸水が生成される(陰極側にはアルカリ電解水が生成される)。後者の水素水は、陽極と陰極を隔膜で仕切って水道水を電気分解すると、陰極側に生成される(陽極側には電解酸性水が生成される)。水道水を無隔膜で電気分解してもよく、この場合は水溶液の全体を、水道水よりも水素濃度が高い中性の混合電解水に変化させることができる。
【0054】
貯水センサ79は、タンク本体6内の水に浮くフロートと、フロートに取り付けられた磁石と、タンク本体6の底壁の上面側でフロートを上下動可能に支持するガイド体と、同底壁の下面側に取り付けられたホール素子とを備える。タンク本体6の貯水量が十分な状態では、フロートが限界まで浮き上がり、このとき磁石はホール素子による検知範囲の外に位置する。タンク本体6の貯水量が減少して残り僅かになると、フロートが下降して磁石がホール素子により検知され、これを受けて表示部42には、タンク本体6内の水が無くなった旨のエラーが表示される。
【0055】
タンク本体6の底部には、その底面よりも深い小さな電解凹部82が凹み形成されており、該電解凹部82に電解装置81の少なくとも電極が収容されている。貯水センサ79で検出されるタンク本体6の水位がゼロになっても、電解凹部82には一定量の水が残存し、電解装置81の電極は水に浸漬される。これによれば、例えば貯水センサ79が故障して、タンク本体6内の水位がゼロであるにもかかわらずその旨の信号が出力されず、誤って電解装置81への通電が行われた場合でも、電解装置81を電解凹部82内の水で保護して、異常発熱による電解装置81の故障を防止することができる。電解装置81の電極間に微量の水のみが付着する状態で電圧を印加すると、微量の水に電流が集中して発熱するいわゆる空焚きが生じるおそれがあるが、本実施形態のように電解装置81の電極を電解凹部82に収容すると、この空焚きを確実に防止することができる。
【0056】
図10に示すようにタンクベース75の内側には、タンク本体6内のオゾン水を装置本体1へ送給するための送水路83が形成される。送水路83は、タンク本体6の底部に設けられた送水口84と、タンクベース75の底部に設けられた滴下口85とを繋いでおり、全体としてクランク状に形成されている。滴下口85は、給水タンク2の装着時に受水壁48の滴下位置Pの真上に位置する。送水口84には、タンク本体6の内面側から濾過用のフィルター部材86が着脱自在に装着されており、これにより送水路83への異物の侵入を防止することができる。
【0057】
具体的には送水路83は、送水口84から下方へ伸びる上流側の第1送水体88と、第1送水体88の下端から滴下口85に至る下流側の第2送水体89とで構成されており、このうち第2送水体89には、開閉弁90で開閉される通水孔91が設けられている。開閉弁90は、タンク本体6の下面に固定されるフレーム92と、フレーム92の下面から出退操作されるプランジャ93とを備えるソレノイドからなり、先述の受電端子77に電気的に接続されて電力が供給される。プランジャ93の先端(下端)は上方から通水孔91に臨んでおり、該通水孔91に対して接離可能である。また開閉弁90は、プランジャ93をフレーム92から突出する方向すなわち下向きに付勢するばねと、プランジャ93の基部を取り囲むコイルとを備える。
【0058】
貯水部44の満水時や給水タンク2の分離時など、開閉弁90に通電しない常態においては、ばねで付勢されるプランジャ93の先端が通水孔91に当接してこれを閉鎖する。すなわち、送水路83が閉鎖されて給水タンク2から装置本体1への給水が遮断される。一方、開閉弁90のコイルに通電すると、プランジャ93に作用する上向きの電磁力が生じて、プランジャ93がばねの付勢力に抗して上昇し(フレーム92内に退入し)、通水孔91から離れてこれを開放する。すなわち、送水路83が開放されて給水タンク2から装置本体1への給水が行われる。
【0059】
図1に示すように給水タンク2は、装置本体1の上部の装着凹部3に装着されて、貯水部44の上方に位置する。給水タンク2内の水は、タンク本体6の底部の送水口84からクランク状の送水路83を流下し、タンクベース75の底部の滴下口85から受水壁48へ滴下し、該受水壁48を下って貯水部44に流れ込む。このように本実施形態では、給水タンク2のタンク本体6から水を自由落下させるだけで、これを貯水部44まで送ることができる。つまり、貯水部44への送水に関してポンプなどの駆動系を不要として、送水構造を簡素化することができる。
【0060】
貯水部44の満水位は受水壁48の下端(左端)に設定されており、この受水壁48に給水タンク2(タンクベース75)とその滴下口85が上方から臨んでいる。つまり、給水タンク2とその滴下口85は、貯水部44の満水位よりも上方に位置しており、これによれば給水タンク2が貯水部44内の溜水に浸ることがなく、該溜水で給水タンク2の表面を濡らすことがない。また上記のように、給水タンク2を装置本体1から分離したとき、送水路83(滴下口85)は開閉弁90により閉鎖される。したがって、給水タンク2を装置本体1から分離して持ち運ぶ際に、給水タンク2の表面や滴下口85から滴る雫で装置本体1の周囲などを濡らさないようにすることができる。
【0061】
ミスト筒7は、タンク本体6と一体に設けられる上筒体96と、タンクベース75と一体に設けられる下筒体97とを上下に接続して、全体として上下に伸びる円筒状に形成されており、厳密には、下端から上端にかけて徐々に縮径する上窄まりテーパー状に形成されている。上筒体96は、タンク本体6の内部にその周面と同心円状に形成されており、同様に下筒体97も、タンクベース75の内部にその周面と同心円状に形成されている。ミスト筒7の下側の開口は、給水タンク2の装着時に上方から貯水部44に正対する。つまり、加湿モジュール36により生成されたミストは、貯水部44からミスト筒7を上昇して放出口9から放出される。ミスト筒7を徐々に縮径させると、ミストの風速を高めてこれをより遠くまで送ることができる。
【0062】
図9に示すように、給水タンク2の係合凹部76と受電端子77は、ミスト筒7(下筒体97)の筒壁の外側に配置されている。つまり、給水タンク2の装着時に、係合凹部76はミスト筒7の外側で装置本体1の係合突起45に係合し、受電端子77と給電端子37が接触する。以上の構成によれば、ミスト筒7を上昇するミストが給電端子37と受電端子77に触れないようにして、水分に起因する端子37・77間の接触不良を防止することができる。なお給電端子37と受電端子77は、本体側段部66とタンク側段部71に配置されていてもよく、これによれば両端子37・77をミスト筒7からより遠ざけて、水分に起因する端子37・77間の接触不良をさらに防止することができる。
【0063】
タンクベース75における下筒体97の前側には、給水タンク2の装着時に送気筒52の上部を受け入れる送気溝98が設けられている。送気溝98は、タンクベース75の下面から内向き(上向き)に凹む前後に長い溝からなり、その後端は壁を隔てることなく下筒体97の内部に連通している。送気筒52の上端の送気口99は前向きに開口しており、送気溝98の前壁に十分な隙間を介して対向している。また、送気溝98の左右幅寸法は、送気筒52の上部の同寸法よりも十分に大きく形成されており、送気溝98と送気筒52の左右壁の間には、気流の通過を許す隙間が設けられている。
【0064】
つまり、ミストファン56により形成されて送気筒52を上昇する気流は、その上端の送気口99から前向きに吹き出された後、送気溝98の前壁に衝突して左右に分かれ、今度は送気溝98の左右壁に沿って後ろ向きに流れる。その後、ミスト筒7の下筒体97に至り、貯水部44から上昇するミストを取り込み、ミスト筒7を上昇して放出口9から放出される。なお送気溝98の前壁は、タンクベース75の周壁を利用して平面視で外凸円弧状に形成されているため(
図8参照)、送気口99からの気流を左右へスムーズに変向することができる。このように、ミストファン56でミスト筒7内に気流を形成すると、加湿モジュール36により生成されたミストを当該気流に乗せて、加湿器の外部へ効率良く放出することができる。なお、ミストファン56の動作電流値は常に監視されており、この電流値が正常範囲を外れた場合には、ミストファン56の点検を促すエラーが表示部42に表示される。
【0065】
送気筒52の上端部は貯水部44に隣接しており、これによれば送気筒52の送気口99から貯水部44の上方までの経路を短縮すなわち簡素化することができる。送気口99を前方向(水平方向)にのみ開口させると、送気筒52の上面を塞いで、該上面から送気筒52への水滴やミストの侵入を防止することができる。また送気口99を、貯水部44から離れる向きに開口させると、貯水部44から立ち昇るミストが送気筒52へ向かって逆流した場合に、該ミストが送気口99から送気筒52へ侵入することを抑制することができる。さらに送気口99を、受水壁48から離れる向きに開口させると、給水タンク2の滴下口85から滴下した水が受水壁48で大きく跳ねた場合に、その水滴が送気口99から送気筒52へ侵入することを防止することができる。
【0066】
図11に示すようにミスト筒7の上端は、ミストカバー123とホルダーユニット124で囲まれる混合室125に連通している。この混合室125では、ミスト筒7から立ち昇るミストにタンク本体6内を浮遊するオゾンガスが混ぜ合わされる。また混合室125は、タンク蓋8とミストガイド126に囲まれる放出室127に連通しており、放出口9はこの放出室127の前端部に臨んでいる。つまり、ミスト筒7から立ち昇るミストは、混合室125でオゾン含有ミストとなって放出室127へ流れ込み、該放出室127から放出口9を介して加湿器の外へ放出される。なお、タンク本体6内でオゾン水に代えて次亜塩素酸水を生成する場合は、タンク本体6内を浮遊する有効塩素成分が、混合室125でミストに混ぜ合わされる。また、タンク本体6内で水素水を生成する場合は、タンク本体6内を浮遊する水素が、混合室125でミストに混ぜ合わされる。
【0067】
ミストカバー123とホルダーユニット124は共に樹脂成形品で構成される。ホルダーユニット124は、ミストカバー123を下側から支持するものであって、ミスト筒7に上方から差し込まれてその外周面に固定されており、具体的には、ミスト筒7の上端部に外嵌する略円筒状の装着筒130と、装着筒130の外周面から径方向へ張り出す受皿部131と、受皿部131の後面から後方へ伸びる蓋支持台132とを一体に備える。受皿部131は全体として擂り鉢状に形成されており、その壁面は外方へ上り傾斜している。受皿部131の外周縁(上縁)は、ミストカバー123に係合してこれを下側から支持する。蓋支持台132の詳細は後述する。ホルダーユニット124をミスト筒7に確実に正しい向き(位相)で装着するとともに、装着後にホルダーユニット124がミスト筒7のまわりに回転することを規制するため、ミスト筒7の外周面と装着筒130の内周面との間には、凹部と凸部からなる係合構造が設けられている。
【0068】
ミストカバー123は、上方からミスト筒7の上開口に正対する上凸部分球面状のミスト壁134と、ミスト壁134の周縁から下向きに伸びる略円筒状の係合筒135と、係合筒135の前面から前方へ下り傾斜する指標体136とを一体に備える。係合筒135は、ホルダーユニット124の受皿部131の外周縁に弾性的に係合する。指標体136はタンク本体6内の満水位を示すものであり、指標体136の下端の僅かに下方が満水位に一致する。指標体136の上面には、その下端が満水位の指標であることをユーザーに知らせる文字などを表示することができる。ミスト壁134は、ミスト筒7の上開口より大径かつ同心円状に形成されており、その周縁部にはミストの通過を許す複数個のミスト孔137が周方向等間隔に設けられている。平面視においてミスト孔137の一群は、ミスト筒7の上開口を外側から取り囲むように配置されている(
図12参照)。
【0069】
ミストカバー123のミスト壁134と、ホルダーユニット124の装着筒130および受皿部131とにより囲まれる空間が、ミストにオゾンガスを混ぜ合わせる混合室125を構成する。タンク本体6内には、電解装置81による水の電気分解で生じたオゾンガスが浮遊しており、該オゾンガスを混合室125へ吸引するための複数本の吸引路140が、ホルダーユニット124に設けられている。各吸引路140は、ホルダーユニット124を上下に貫通する溝からなり、平面視で円弧状に形成されている(
図12参照)。吸引路140の一群は、ミスト筒7の上開口を外側から取り囲むように配置されている。なお混合室125は、タンク本体6の満水位(指標体136)よりも上方に位置しているため、タンク本体6内の溜水が吸引路140を通じて混合室125へ浸入することは無い。
【0070】
ミスト筒7から立ち昇るミストは、ミスト壁134の内面(下面)で受け止められて、該ミスト壁134の径方向に変向される。つまり、混合室125からミスト孔137を介して放出室127へ流出するミストの流れが生じる。このミストの流出により混合室125には負圧が生じ、該負圧によりタンク本体6内のオゾンガスが、吸引路140を介して混合室125へ吸引される(ベンチュリー効果)。こうして吸引されたオゾンガスは、混合室125でミストと混ざり合い、これによりオゾン含有ミストが生成される。
【0071】
タンク本体6内のオゾンガスを混合室125へ吸引し、これをミストと混ぜ合わせて放出口9から放出すると、タンク本体6内のオゾンガスの濃度を下げて、オゾンガスが高濃度で充満しないようにすることができる。これにより、タンク本体6からタンク蓋8を分離してその上面を開放した際に、刺激臭の原因となる高濃度のオゾンガスが周囲に放出・飛散されることを防ぐことができるので、ユーザーが高濃度のオゾンガスを吸い込むことを抑えて、刺激臭によりユーザーが不快感を覚えることを防ぐことができる。加えて、放出口9から放出されるミストにオゾンガスの除菌効果を付加することができる。
【0072】
ミストにオゾンガスを混ぜ合わせる混合室125を設けると、放出口9から放出されるミスト内にオゾンガスを偏りなく均一に分布させることができる。オゾンガスの分布にムラがあると、ミストを受けるユーザーが一時的にオゾンガスの強い臭気を感じてしまうおそれがあるが、本実施形態によればこのおそれを大幅に低減することができる。また、ミスト筒7はタンク本体6の中心軸線を囲むように配置されており、ミスト筒7の上部を囲む混合室125と、該混合室125の底部に設けられる一群の吸引路140も、タンク本体6の中心軸線を囲むように配置されている。これによれば、各吸引路140から混合室125へ吸引されるオゾンガスの量を均一化して、タンク本体6内のオゾンガスの濃度のムラを少なくすることができる。
【0073】
なお、ミスト筒7から立ち昇るミストには、比較的大きな水滴が含まれることがある。この水滴の多くは、ミスト壁134の内面で受け止められてこれに付着し、ミスト壁134の周縁部から混合室125の底部へ向かって滴下する。そして、混合室125の底部(受皿部131の下縁)から下方へ伸びるいずれかの吸引路140を流下し、ミスト筒7の外面を伝ってタンク本体6内の溜水に合流する。つまり吸引路140は、ミストに含まれる水滴をタンク本体6内へ戻すための回収路141を兼ねており、これによれば、吸引路140と回収路141を個別に設ける場合に比べて、混合室125の壁面の構造を簡素化することができる。回収路141はミスト筒7の外面に沿って断続的に形成されており、これによれば、ミスト壁134から混合室125の底部に滴下した水滴を、滴下位置に最も近い回収路141から速やかに混合室125の外へ排出することができる。
【0074】
ミスト筒7から立ち昇るミストを混合室125の上壁すなわちミスト壁134で受け止めると、ミストに含まれる比較的大きな水滴をミスト壁134に付着させて、これをミストから除去することができる。つまり、微細な水滴のみを含みユーザーの肌などを濡らしてしまうことが少ない良質なミストを放出口9から放出することができる。また、ミスト壁134から混合室125の底部に滴下した水滴を、回収路141を通じてタンク本体6内の溜水に合流させると、混合室125における水滴の滞留を防止するとともに、当該水滴をミストの原料として再利用することができる。
【0075】
ミストガイド126は、浅い皿状に形成された樹脂成形品からなり、タンク蓋8の内面(下面)に固定されている。ミストガイド126の底壁の中央には、ミストカバー123のミスト壁134の挿通を許す円形の挿通孔143が設けられている。ミスト壁134に設けられた各ミスト孔137は、タンク蓋8とミストガイド126に囲まれる放出室127へ向かって斜め上方に開口しており、したがって混合室125内のオゾン含有ミストは、ミスト孔137を通じて放出室127へスムーズに流れ込むことができる。ミストガイド126の底壁の前端部は、下方から放出口9に対向するとともに、ミスト筒7から離れるに従って上り傾斜している。当該傾斜面は、放出口9へ向かうミストをスムーズに案内するとともに、放出口9の周縁やタンク蓋8の内面から流下した水滴を挿通孔143の方へ案内して、該水滴の放出室127からの排出に貢献する。挿通孔143の周縁部は、水平なリング板状に形成されており、タンク蓋8の内面などから流下した水滴を放出室127の外すなわち混合室125へ案内することができる。
【0076】
タンク本体6からタンク蓋8を分離してその上面を開放すると、ユーザーはタンク本体6内、厳密にはタンク本体6の内周面とミスト筒7の外周面との間に給水することができる。つまり、タンク本体6の内周面とミスト筒7の外周面との間に、電解装置81により生成されたオゾン水が貯留されるようになっており、これによれば、ミスト筒7の外周面をオゾン水に浸らせて除菌するとともに、オゾン水に浸らない当該外周面の上部も、水面上を浮遊するオゾンガスで除菌することができる。ミスト筒7の上開口に上方から覆い被さるミスト蓋134は、ユーザーが誤ってミスト筒7の内側に給水することを防ぐ保護カバーを兼ねている。ミスト蓋134の外面(上面)には、ミスト筒7の内側へ給水してはならないことをユーザーに知らせる文字などを表示することができる。
【0077】
図1に示すようにタンク本体6の周壁は、下方へ縮径する略円錐台状に形成されており、その上部は略円筒状の装飾カバー144で外側から覆われている。装飾カバー144の上端部はタンク本体6よりも上方へ突出しており、該上端部の内側にタンク蓋8が着脱自在に内嵌装着されている。タンク蓋8は、円盤状に形成された樹脂成形品からなり、その外周面と装飾カバー144の内周面との間には、周方向に伸びる突条と溝からなるバヨネット構造が設けられている。つまり、装飾カバー144の内側でタンク蓋8を回転させると、バヨネット構造の突条が溝に係合するロック状態(タンク蓋8を持ち上げ不能)と、突条が溝から離脱するアンロック状態(タンク蓋8を持ち上げ可能)とに切り換えることができる。なお、装飾カバー144を省略し、タンク本体6とタンク蓋8の間に係合構造を設けて、タンク蓋8をタンク本体6に直接的に装着することもできる。またタンク蓋8は、タンク本体6あるいは装飾カバー144に対して着脱自在である必要はなく、例えばタンク蓋8をタンク本体6あるいは装飾カバー144にヒンジで連結し、タンク本体6の開口をタンク蓋8で揺動開閉することもできる。
【0078】
図13および
図14に示すように、給水時などにタンク本体6から分離したタンク蓋8は、ミスト筒7の後方の蓋支持台132で支持することができる。具体的には、蓋支持台132は左右に伸びる樋状に形成されており、円盤状のタンク蓋8の周縁部が蓋支持台132に上方から差し込まれて載置される。このように蓋支持台132を備える本実施形態の加湿器によれば、ユーザーがタンク蓋8の置き場所に困ることがなく、またタンク蓋8を適正位置に載置することができるので、利便性に優れた加湿器を得ることができる。タンク蓋8を机などに置く必要がなくなるため、水滴が付着したタンク蓋8で机などを濡らしてしまうなどの問題も解消できる。なお、蓋支持台132に載置されるタンク蓋8は、給水時にタンク本体6の水面から水しぶきが飛んだ場合に、その一部を受け止めて加湿器の周囲へ飛ばないようにするための壁として機能する。
【0079】
蓋支持台132の内底面は、タンク蓋8の周縁部を下側から支持する蓋受面147を構成する。背面視(正面視)において蓋受面147は下凸円弧状に形成されている。また蓋受面147は後方へ下り傾斜しており、したがってタンク蓋8も後方へ傾斜する傾斜姿勢で支持される。本実施形態では、傾斜姿勢におけるタンク蓋8の鉛直面に対する傾斜角度θを20°に設定した。傾斜角度θは15°以上25°以下の範囲内で設定することが好ましい。
【0080】
蓋支持台132の前壁には、蓋受面147へ向かって後方へ伸びる突起からなる規制体148が設けられており、これに対応してタンク蓋8の内面(下面)には、円環状の突条からなる被規制体149が設けられている。規制体148は、蓋支持台132に差し込まれたタンク蓋8の被規制体149の下端部に係合して、タンク蓋8が倒れようとする方向の回転モーメントに抗して、これを傾斜姿勢に安定的に保持する。
【0081】
なお
図13および
図14は、タンク蓋8の水平姿勢(タンク本体6の開口を閉じる姿勢)における前端部を差し込んだ状態を示しているが、タンク蓋8の差し込み可能な部分は前端部に限られず、タンク蓋8の周縁部の任意の個所を蓋支持台132に差し込むことができる。つまり、タンク蓋8を円盤状に形成し、その内面に被規制体149を円環状に形成すると、タンク蓋8の周方向の向きにかかわらず規制体148が被規制体149に係合することから、ユーザーが蓋支持台132にタンク蓋8を差し込むときにその向きに気を配る必要を無くして、利便性の向上を図ることができる。さらに、円環状の被規制体149は、タンク蓋8の内面に付着した水滴がその周縁部ひいては外面まで伝うのを妨げる堰として機能する。
【0082】
タンク蓋8を蓋支持台132に載置すると、タンク蓋8に付着した水滴の多くは、タンク蓋8を伝って蓋受面147へ流下する。蓋受面147の左右中央の後端寄り、すなわち蓋受面147の底部からは、蓋支持台132を貫通する通水孔150が下方へ伸びている(
図15参照)。これによれば、タンク蓋8から蓋受面147へ流下した水滴は、該蓋受面147の傾斜に沿ってその底部へと向かい、通水孔150からタンク本体6の底部へ向かって滴下する。以上のように、蓋支持台132の蓋受面147を下凸円弧状に形成し、その底部から下方へ伸びる通水孔150を設けたので、蓋受面147の傾斜に沿ってその底部に集まった水滴を、通水孔150から蓋受面147の外へ排出することができる。つまり、蓋受面147の上に水が溜まらないようにすることができる。したがって、水中に雑菌が繁殖することなどを防ぐことができる。
【0083】
平面視において蓋支持台132は、給水タンク2の周壁の内側に配置されている。これによれば、タンク蓋8を伝って蓋支持台132へ流下した水滴を給水タンク2内に滴下させることができるので、水滴で加湿器の周囲が濡れることを防ぐことができる。また蓋支持台132は、給水タンク2の上縁よりも下方に配置されており、これによれば、タンク蓋8が蓋支持台132に載置されたときの衝撃でタンク蓋8に付着した水滴が飛び散った場合でも、その多くを給水タンク2内に落下させることができるので、加湿器の周囲が濡れることを防ぐことができる。
【0084】
蓋支持台132を、給水タンク2の満水位(指標体136)よりも上方に配置したので、給水タンク2内の溜水で蓋支持台132ひいてはタンク蓋8が濡れることを防ぐことができる。なお、蓋支持台132と指標体136とは、ミスト筒7を間にして前後対称に配置されている。これによれば、蓋支持台132にタンク蓋8を差し込んだ際に、タンク蓋8が指標体136の上方に被ることはなく、給水タンク2への水の補給時に、ユーザーはより容易に指標体136を視認することができる。したがって、ユーザーは給水タンク2の満水位をより確実に認識することができる。なお、蓋支持台132と指標体136の位置関係は、ミスト筒7を間にして対称に限られず、例えば蓋支持台132と指標体136のいずれか一方をミスト筒7の左側または右側に移動させて、ミスト筒7のまわりの位相が90°異なる位置関係としても、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0085】
蓋支持台132に傾斜姿勢で載置されるタンク蓋8の過半部を、平面視において給水タンク2の周壁の内側に配置したので、当該タンク蓋8に付着した水滴がこれを伝うことなく滴下した場合でも、その多くを給水タンク2内に落下させることができる。したがって、水滴により加湿器の周囲が濡れることを防ぐことができる。このときのタンク蓋8の鉛直面に対する傾斜角度θを25°以下(本実施形態では20°)に設定したので、タンク蓋8に付着した水滴をより確実且つ迅速に蓋支持台132へ流下させることができる。したがって、これによっても、タンク蓋8に付着した水滴が飛び散って、加湿器の周囲が濡れることを防ぐことができる。タンク蓋8の多くの部分を給水タンク2の周壁の内側に配置することができるので、これによってもタンク蓋8から滴下する水滴で加湿器の周囲が濡れることを防ぐことができる。
【0086】
本実施形態の蓋支持台132は、受皿部131および装着筒130と一体に設けられる樹脂成形品からなり、該装着筒130はミスト筒7の外周面に固定されている。つまり蓋支持台132は、受皿部131と装着筒130を介してミスト筒7で支持されている。これによれば、蓋支持台132ひいてはタンク蓋8をぐらつくことなく安定的に支持することができる。また、蓋支持台132を受皿部131すなわち混合室125の底壁と一体に設けると、両者を別部材とする場合に比べて、加湿器の部品点数を削減してその低コスト化を図ることができる。
【0087】
図4に示すように操作カバー38には、電源切換部401、湿度設定部402、タイマー設定部403、ロック切換部404、輝度調整部405および風量設定部406の6個の操作ボタン40が、左から右へ記載順に配置されている。湿度設定部402とタイマー設定部403の間には、図外の温湿度センサで検知される室内の温度と湿度などを表示する表示部42が設けられている。
【0088】
電源切換部401は、ユーザーが加湿器を運転状態と待機状態の間で切り換えるための操作ボタン40である。湿度設定部402は、ユーザーが所望の設定湿度を制御部(制御基板)に指示するための操作ボタン40であり、湿度設定部402が押圧操作される度に設定湿度が「高」から「中」、「中」から「低」、そして「低」から「高」へと切り替わるように構成されている。操作の頻度が比較的高い湿度設定部402を電源切換部401に隣接させると、ユーザーは電源を投入(電源切換部401を操作)してすぐに、指を少し移動させるだけで湿度設定部402を操作することができて便利である。
【0089】
タイマー設定部403は、タイマーすなわち加湿器の自動停止までの時間を制御部に指示するための操作ボタン40である。ロック切換部404は、自身を除く各操作ボタン40をロック状態とアンロック状態の間で切り換えるための操作ボタン40である。ロック状態においては、ロック切換部404を除く各操作ボタン40の押圧操作が無効となり、子供などによる悪戯を防止することができる。輝度調整部405は、各操作ボタン40を操作カバー38の内面側から照明するLED(不図示)の輝度を調整するための操作ボタン40である。
【0090】
風量設定部406は、ユーザーが浄化空気の所望の風量を制御部に指示するための操作ボタン40であり、風量設定部406が押圧操作される度に風量が「高」から「中」、「中」から「低」、そして「低」から「高」へと切り替わるように構成されている。風量設定部406は操作部41の右端部に位置しており、同左端部に位置する電源切換部401とその隣の湿度設定部402からは大きく離れている。電源切換部401および湿度設定部402と風量設定部406との間には、表示部42、タイマー設定部403、ロック切換部404および輝度調整部405が配置されている。
【0091】
一般に風量設定部406の操作の頻度は、電源切換部401と湿度設定部402の操作の頻度に比べて低くなる。オゾンを含む浄化空気の最適な風量は、加湿器を使用する室内の広さに依存するものであり、同じ室内で使用し続ける限り風量を変更する必要は無いためである。比較的狭い室内で加湿器を使用するときに、浄化空気を必要以上に高い風量に設定すると、室内のオゾン濃度の上昇を招くおそれがある。そこで本実施形態では、操作の頻度が比較的高い電源切換部401と湿度設定部402から風量設定部406を可及的に遠ざけた。これによれば、電源切換部401および湿度設定部402の操作時に風量設定部406が誤って操作されることを防止して、ユーザーが意図したとき(加湿器を別の部屋に移動させたときなど)以外は風量設定部406を操作され難くすることができる。
【0092】
加湿器のユーザーは、電源ケーブル24を接続したうえで操作部41の電源切換部401を押圧操作することにより、加湿器を運転状態と待機状態の間で切り換えることができる。加湿器の運転状態においては、加湿ユニット11と浄化ユニット12の各部が駆動して、ミストと浄化空気が同時に生成される。もちろん、加湿ユニット11と浄化ユニット12のうち一方のみを運転状態として、ミストと浄化空気の一方のみを生成することもできる。
【0093】
加湿ユニット11の運転状態においては、加湿モジュール36がミストファン56と共に駆動して、生成されたミストが気流に乗って放出口9から放出される。また、加湿ユニット11の給電端子37から給水タンク2の開閉弁90に電力が供給されて、すなわち開閉弁90が開放されて、タンク本体6から貯水部44への給水が行われる。給電端子37はタンク本体6内の電解装置81にも電力を供給しており、したがって貯水部44には、電気分解により生成されたオゾン水が送られる。開閉弁90による送水路83の開閉は、貯水部44の水位センサ50の出力に基づいて制御される。すなわち、加湿ユニット11の運転中に、水位センサ50が満水を検知すると送水路83は閉鎖され、水位センサ50が水位の低下を検知すると送水路83は再び開放される。加湿ユニット11を運転状態から待機状態に切り換えるように操作部41が操作されると、あるいは、加湿対象の空間の湿度が十分に上昇すると、制御部(制御基板)は加湿モジュール36とミストファン56を停止させて、加湿ユニット11を待機状態に移行させる。
【0094】
本実施形態のように超音波振動子を含む加湿モジュール36を用いる場合、超音波振動子を水に浸漬しない状態で動作させると故障のおそれがあることから、その運転の終了と同時に貯水部44の水位を完全にゼロにすることは難しい。加湿モジュール36が停止する待機状態においては、貯水部44内の溜水からオゾンが揮発して徐々に失われていき、オゾン濃度が低下した溜水内では雑菌などが増殖しやすくなる。つまり、一般的な超音波式の加湿器は、超音波振動子の浸漬部に水が残り雑菌などが繁殖しやすく、その水の排出を怠ると雑菌を含んだミストが放出されるおそれがある、というスチーム式(加熱式)の加湿器などには見られない特有な課題を抱えている。そこで本実施形態では、加湿モジュール36の停止後も開閉弁90を間欠的に開放して、給水タンク2内のオゾン水を貯水部44へ少量ずつ送るようにした。これにより、待機状態においてもオゾンによる除菌効果を持続させて、貯水部44内を衛生的に維持することができる。
【0095】
貯水部44が満水となりオゾン水を送れなくなる事態を避けるため、加湿ユニット11の待機状態においてもミストファン56を駆動させて、貯水部44内の溜水の気化を促すことができる。ミストファン56が駆動すると、貯水部44の水面上の比較的高湿な空気が上方(ミスト筒7)へ運ばれて、それよりも低湿な空気と入れ替わるため、貯水部44内の溜水の気化が促される。このときのミストファン56の回転数は、加湿ユニット11の運転時よりも低速とし、放出口9から風が出ない程度の低速とすることが望ましい。ミストファン56の作用でミスト筒7を立ち昇る高湿空気は、混合室125に至ってミスト壁134で受け止められ、このとき高湿空気に含まれる水蒸気の一部が、水滴となってミスト壁134に付着する。この水滴はミスト壁134から混合室125の底部へ滴下し、回収路141を通じてタンク本体6内の溜水に合流する。つまり、ミストファン56を低速で駆動させると、貯水部44内の溜水を気化させて減容させつつ、気化した溜水をミスト筒7および混合室125を通じてタンク本体6へ戻すことができる。
【0096】
ミストの原料となる水を貯める貯水部44と、貯水部44内の水を気化させる加湿モジュール36と、加湿モジュール36により生成されたミストを放出口9へ案内するミスト筒7と、ミスト筒7内に放出口9へ向かう気流を形成するミストファン56と、貯水部44への給水を担う給水タンク2とを備える。ミスト筒7と放出口9の間に、ミスト筒7から立ち昇るミストを受け止めるミスト壁134が設けられており、ミスト壁134に付着した水滴が給水タンク2内に滴下するように構成されている。加湿モジュール36の停止時に、ミストファン56が加湿モジュール36の駆動時よりも低速で駆動される。このような加湿器によれば、貯水部44内の溜水を気化させて減容させつつ、気化した溜水をミスト壁134に水滴として付着させて、これを給水タンク2へ戻すことができる。貯水部44内の溜水を減容させると、その分だけ貯水部44に除菌水を送って、その除菌効果で貯水部44内を衛生的に維持することができる。
【0097】
さらに、加湿モジュール36の停止時に放出口9を閉じるシャッターを設けることができる。これによれば、加湿モジュール36の停止時に、その駆動時と同等あるいはそれ以上の速度でミストファン56を駆動させて、貯水部44内の溜水の気化の更なる促進を図ることができる。ミストファン56の駆動を短時間で終えられる利点もある。このシャッターは、ユーザーにより手動で閉じ操作されるものであってもよく、加湿モジュール36の停止と同時に自動的に閉じられるものであってもよい。加湿モジュール36の停止時にミストファン56が駆動することを報知する報知手段を設け、ユーザーにシャッターの閉じ操作を促すこともできる。
【0098】
加湿モジュール36の停止後、開閉弁90を開放してオゾン水を貯水部44へ送るのに先立って、電解装置81を駆動させて給水タンク2内のオゾン水の濃度を高めることができる。このときの電解装置81の駆動時間と印加する電圧値は、その時点の電解装置81の連続停止時間(前回の電解装置81の駆動の終了時点から加湿モジュール36の停止時点までの経過時間)に基づいて決定することができる。特に、加湿モジュール36の停止時に、その駆動時よりも高い電圧を電解装置81に印加すると、給水タンク2内でより高濃度のオゾン水を生成することができる。
【0099】
本実施形態では、電解装置81の連続停止時間が第1経過時間(4時間)未満であれば、電解装置81に印加する電圧値を加湿モジュール36の駆動時と同一(V0)とし、連続停止時間が第1経過時間以上第2経過時間(8時間)未満であれば、電解装置81に印加する電圧値を加湿モジュール36の駆動時よりも所定の嵩上電圧だけ高くし(V0+α)、連続停止時間が第2経過時間以上であれば、電解装置81に印加する電圧値を加湿モジュール36の駆動時よりも前記嵩上電圧の2倍だけ高くした(V0+2α)。加湿モジュール36の駆動時よりも高濃度のオゾン水を貯水部44へ送ることにより、貯水部44における除菌効果を長持ちさせることができる。また、電解装置81の連続停止時間に応じて電解装置81に印加する電圧を段階的に上げると、連続停止時間が長い場合でも高濃度の除菌水を貯水部44へ送ることができる。
【0100】
(第2実施形態) 本発明に係る加湿器の第2実施形態を
図16に示す。本実施形態では、混合室125の左半部に設けられる各吸引路140(回収路141)の断面積が、同右半部に設けられる各吸引路140(回収路141)の断面積よりも大きく形成されている。つまり、混合室125の底部のうち、電解装置81からの距離が相対的に近い左半部は、当該距離が相対的に遠い右半部に比べて、単位面積あたりの吸引路140の総面積が大きく設定されている。タンク本体6において電解装置81からの距離が近い部分には、比較的多くのオゾンガスが浮遊しているため、当該部分の吸引路140の総面積を大きくすることにより、多くのオゾンガスを混合室125へ吸引することができる。他は第1実施形態と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。なお、各吸引路140の断面積を異ならせるのに代えて、同一形状の吸引路140の配置間隔を異ならせることによっても、同様の作用効果を奏することができる。
【0101】
本発明に係る加湿器は、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs : Sustainable Development Goals)の目標3(すべての人に健康と福祉を)に貢献することができる。本発明は、浄化ユニット12を持たず浄化空気を生成しない加湿器にも適用することができる。また本発明は、上記実施形態で示した超音波式の加湿器以外に、水を加熱して気化させるスチーム式(加熱式)の加湿器(加湿モジュール36はヒーター)や、含水フィルターに風を当てて水を気化させる気化式の加湿器(加湿モジュール36はファン)などにも適用することができる。さらに、本出願人が以前に提案した遠心霧化式の加湿器(特許第6370185号)にも、本発明を適用することができる。この場合の加湿モジュール36は、貯水部44内の水に浸漬される円錐状の揚水体と、揚水体の上端に固定される回転基板と、回転基板の下面の径方向へ多重に配置されている一群の衝突壁と、回転基板を回転駆動するモーターなどで構成される。
【符号の説明】
【0102】
1 装置本体
2 給水タンク
6 タンク本体
7 ミスト筒
8 タンク蓋
9 放出口
11 加湿ユニット
36 加湿モジュール
44 貯水部
52 送気筒
56 ミストファン
81 電解装置
125 混合室
132 蓋支持台
134 ミスト壁
140 吸引路
141 回収路