(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049995
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
F24F6/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156549
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】唐島 涼
(72)【発明者】
【氏名】吉武 厚
(72)【発明者】
【氏名】森元 学
(72)【発明者】
【氏名】日野 吉晴
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055DA05
3L055DA15
(57)【要約】
【課題】ミストを放出するためのミストファンを備える加湿器において、水濡れによるミストファンの故障を防止する。
【解決手段】水を気化させてミストを生成する加湿ユニット11と、該ミストを放出口9へ案内するミスト筒7と、ミスト筒7内に放出口9へ向かう気流を形成するミストファン56とを備える加湿器において、ミストファン56が形成する気流に沿って、水滴を溜める液溜め部101を設ける。この液溜め部101に水滴を捕捉することにより、水滴がミストファン56まで到達しないようにして、水濡れによるミストファン56の故障を防止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を気化させてミストを生成する加湿ユニット(11)と、該ミストを放出口(9)へ案内するミスト筒(7)とを備えており、
加湿ユニット(11)は、ミスト筒(7)内に放出口(9)へ向かう気流を形成するミストファン(56)を含み、
ミストファン(56)が形成する気流に沿って、水滴を溜める液溜め部(101)が設けられていることを特徴とする加湿器。
【請求項2】
ミストファン(56)からミスト筒(7)へ向かって気流を導く送気筒(52)を備えており、
液溜め部(101)が送気筒(52)の内部に設けられている請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
液溜め部(101)がミストファン(56)の排気口(61)よりも低い位置に設けられており、
送気筒(52)が、ミストファン(56)の排気口(61)からミスト筒(7)へ向かって気流を上向きに案内する請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
液溜め部(101)の上縁のミストファン(56)側に、該ミストファン(56)から離れる方向へ伸びる返し片(102)が設けられている請求項3に記載の加湿器。
【請求項5】
送気筒(52)の内部に、ミストファン(56)の排気口(61)から液溜め部(101)を遮る遮壁(103)が設けられている請求項2から4のいずれかひとつに記載の加湿器。
【請求項6】
遮壁(103)の下端部が液溜め部(101)の内側まで伸びている請求項5に記載の加湿器。
【請求項7】
遮壁(103)が、液溜め部(101)内の溜水を毛細管現象により吸い上げる微細水路(107)を備える請求項6に記載の加湿器。
【請求項8】
送気筒(52)の上端部に、気流を送り出す送気口(99)が設けられており、
送気口(99)が水平方向にのみ開口している請求項2から4のいずれかひとつに記載の加湿器。
【請求項9】
加湿ユニット(11)は、ミストの原料となる水を貯める貯水部(44)と、貯水部(44)内の水を気化させる加湿モジュール(36)とを含み、
送気口(99)が貯水部(44)から離れる向きに開口している請求項8に記載の加湿器。
【請求項10】
加湿ユニット(11)は、給水タンク(2)から滴下する水を受け止めて貯水部(44)へ案内する受水壁(48)を含み、
送気口(99)が受水壁(48)から離れる向きに開口している請求項9に記載の加湿器。
【請求項11】
加湿ユニット(11)は、ミストの原料となる水を貯める貯水部(44)と、貯水部(44)内の水を気化させる加湿モジュール(36)とを含み、
加湿ユニット(11)を運転状態から待機状態に切り換える停止制御の際に、ミストファン(56)を加湿モジュール(36)に遅れて停止させる請求項2から4のいずれかひとつに記載の加湿器。
【請求項12】
加湿ユニット(11)の待機状態において、ミストファン(56)を間欠的に駆動させる請求項11に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンが形成する気流に乗せてミストを放出する加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加湿器は例えば特許文献1に開示されており、そこでは筐体内にミスト生成装置と送風装置などを収容して加湿器が構成される。送風装置は、渦巻き状のファンケーシングと、ファンケーシング内で回転する円筒状の羽根車とを備えるシロッコファンからなり、その排気口は筐体の上部に設けられた噴霧筒に連通している。この噴霧筒にはミスト生成装置から伸びるパイプが差し込まれており、従って、ミスト生成装置で生成されたミストは、パイプを通じて噴霧筒に至り、そこで送風装置が形成する気流に取り込まれて、噴霧筒の前端のノズルから放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加湿器において、ミストの通路となる噴霧筒の内面には、ミストが水滴となって付着することがある。この噴霧筒は、ミスト生成装置だけでなく送風装置にも連通している。そのため、噴霧筒の内面に付着した水滴が送風装置の内部へ流れ込み、その故障の原因となるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、ミストを放出するためのミストファンを備える加湿器において、水濡れによるミストファンの故障を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加湿器は、水を気化させてミストを生成する加湿ユニット11と、該ミストを放出口9へ案内するミスト筒7とを備えており、加湿ユニット11は、ミスト筒7内に放出口9へ向かう気流を形成するミストファン56を含む。ミストファン56が形成する気流に沿って、水滴を溜める液溜め部101が設けられていることを特徴とする。
【0007】
ミストファン56からミスト筒7へ向かって気流を導く送気筒52を備えており、液溜め部101が送気筒52の内部に設けられている形態を採ることができる。
【0008】
液溜め部101がミストファン56の排気口61よりも低い位置に設けられており、送気筒52が、ミストファン56の排気口61からミスト筒7へ向かって気流を上向きに案内する形態を採ることができる。
【0009】
液溜め部101の上縁のミストファン56側に、該ミストファン56から離れる方向へ伸びる返し片102を設けることができる。
【0010】
送気筒52の内部に、ミストファン56の排気口61から液溜め部101を遮る遮壁103を設けることができる。
【0011】
遮壁103の下端部が液溜め部101の内側まで伸びている形態を採ることができる。
【0012】
遮壁103が、液溜め部101内の溜水を毛細管現象により吸い上げる微細水路107を備える形態を採ることができる。
【0013】
送気筒52の上端部に、気流を送り出す送気口99が設けられており、送気口99が水平方向にのみ開口している形態を採ることができる。
【0014】
加湿ユニット11は、ミストの原料となる水を貯める貯水部44と、貯水部44内の水を気化させる加湿モジュール36とを含み、送気口99が貯水部44から離れる向きに開口している形態を採ることができる。
【0015】
加湿ユニット11は、給水タンク2から滴下する水を受け止めて貯水部44へ案内する受水壁48を含み、送気口99が受水壁48から離れる向きに開口している形態を採ることができる。
【0016】
加湿ユニット11は、ミストの原料となる水を貯める貯水部44と、貯水部44内の水を気化させる加湿モジュール36とを含み、加湿ユニット11を運転状態から待機状態に切り換える停止制御の際に、ミストファン56を加湿モジュール36に遅れて停止させる形態を採ることができる。
【0017】
加湿ユニット11の待機状態において、ミストファン56を間欠的に駆動させる形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る加湿器は、水を気化させてミストを生成する加湿ユニット11と、該ミストを放出口9へ案内するミスト筒7とを備えており、加湿ユニット11は、ミスト筒7内に放出口9へ向かう気流を形成するミストファン56を含む。この種の加湿器では、ミスト筒7などの壁面に水滴が付着することがあり、この水滴がミストファン56に流れ込むとその故障の原因となるおそれがあることは、上述したとおりである。そこで本発明では、ミストファン56が形成する気流に沿って、水滴を溜める液溜め部101を設けた。この液溜め部101に水滴を捕捉することにより、水滴がミストファン56まで到達しないようにして、水濡れによるミストファン56の故障を防止することができる。
【0019】
ミストファン56からミスト筒7へ向かって気流を導く送気筒52を設け、その内部に液溜め部101を設けると、液溜め部101を備える部材を送気筒52とは別に設ける場合に比べて、加湿器の部品点数を減らしてその構造を簡素化することができる。
【0020】
液溜め部101をミストファン56の排気口61よりも低い位置に設けると、液溜め部101内の溜水がミストファン56に流れ込むことを抑えることができる。これに加えて送気筒52が、排気口61からミスト筒7へ向かって気流を上向きに案内するものであると、送気筒52内の気流と液溜め部101内の溜水との接触を最小限に抑えて、当該溜水が気流に煽られてミストファン56に流れ込むことを抑えることができる。
【0021】
液溜め部101の上縁のミストファン56側に、該ミストファン56から離れる方向へ伸びる返し片102を設けると、液溜め部101内の溜水がミストファン56の側へ移動することを返し片102で規制して、該溜水のミストファン56への流れ込みをより抑えることができる。
【0022】
ミストファン56の排気口61から液溜め部101を遮る遮壁103を設けると、液溜め部101内の溜水がミストファン56の側へ移動することや、該溜水が気流に煽られることを遮壁103で規制して、該溜水のミストファン56への流れ込みをより抑えることができる。
【0023】
遮壁103の下端部を液溜め部101の内側まで伸ばすと、該下端部を液溜め部101内の溜水に浸漬させることができる。これにより、液溜め部101内の溜水が遮壁103を伝って移動することを可能とし、移動した溜水に送気筒52内の気流を触れさせて、該溜水の蒸発すなわち減容を促進することができる。
【0024】
遮壁103が、液溜め部101内の溜水を毛細管現象により吸い上げる微細水路107を備えていると、溜水を吸い上げた分だけ液溜め部101内の水位を下げることができ、これにより液溜め部101内の溜水がミストファン56に流れ込むことを抑えることができる。
【0025】
送気筒52の上端部の送気口99を水平方向にのみ開口させると、送気筒52の上面を塞いで、該上面から送気筒52への水滴やミストの侵入を防止することができる。
【0026】
送気口99を貯水部44から離れる向きに開口させると、加湿モジュール36により生成されたミストが貯水部44から送気筒52へ向かって逆流した場合に、該ミストが送気口99から送気筒52へ侵入することを抑制することができる。
【0027】
送気口99を受水壁48から離れる向きに開口させると、給水タンク2から滴下した水が受水壁48で大きく跳ねた場合に、その水滴が送気口99から送気筒52へ侵入することを防止することができる。
【0028】
加湿ユニット11を運転状態から待機状態に切り換える停止制御の際に、ミストファン56を加湿モジュール36に遅れて停止させると、加湿モジュール36により生成されたミストをミスト筒7内に残すことなく放出することができる。これにより、ミスト筒7の内面における水滴の付着を抑制するとともに、残留したミストが送気筒52を逆流することを防止することができる。
【0029】
加湿ユニット11の待機状態においては、貯水部44に残った水が自然蒸発して、ミスト筒7内に水蒸気が充満することがある。この待機状態においてミストファン56を間欠的に駆動させると、ミスト筒7内の水蒸気を放出口9から放出することができる。これにより、ミスト筒7の内面における水滴の付着を抑制するとともに、貯水部44に残った水の更なる自然蒸発を促して、当該水を減容させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る加湿器の要部の縦断正面図である。
【
図4】同加湿器の装置本体から給水タンクを分離した状態の斜視図である。
【
図7】装置本体を構成する加湿ユニットの要部の正面図である。
【
図12】加湿ユニットの停止制御と待機状態のタイミングチャートである。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る加湿器の要部の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態) 本発明に係る加湿器の第1実施形態を
図1ないし
図12に示す。この加湿器は、水分を多く含む加湿空気すなわちミストとともに、オゾンを含む浄化空気を空間に放出して、当該空間の加湿と浄化(除菌・消臭など)を同時に行うことができる。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0032】
図2ないし
図4に示すように加湿器は、その過半を占める下側の装置本体1と、装置本体1に上方から着脱自在に装着される上側の給水タンク2とを備える。装置本体1は略円柱状に形成され、給水タンク2は下方へ縮径する略円錐台状に形成されている。装置本体1の上部には、上向きに開口する装着凹部3が形成されており、該装着凹部3に給水タンク2の下部が差し込まれて装着される。装着凹部3の後面(側面)には、装着された給水タンク2の意図しない抜け出しを防ぐためのロック機構4が設けられている。
【0033】
給水タンク2は、水を貯留するタンク本体6と、装置本体1で生成されたミストを上向きに案内するミスト筒7と、タンク本体6の上面の開口を開閉するタンク蓋8などを備える。タンク蓋8の前部には、ミスト筒7の上端に連通する放出口9が形成されており、ミスト筒7を上昇したミストはこの放出口9から上方へ放出される。
【0034】
装置本体1は、給水タンク2から送給される水を気化させる上側の加湿ユニット11と、オゾンを含む浄化空気を生成する下側の浄化ユニット12とに大別される。加湿ユニット11の外形は、上端に大径の張出部13を有する下窄まり状に形成されており、浄化ユニット12の外形は、張出部13と略同径の有底円筒状に形成されている。そして、加湿ユニット11の張出部13を除く全体が、浄化ユニット12の内側に収容固定されている。
【0035】
浄化ユニット12は、内部に風路15を有する円筒状の外ケース16と、風路15の一端の吸込口17から他端の吹出口18へ向かう気流を形成する遠心式の送風ファン19と、風路15内で放電してオゾンを発生させる放電装置20とを備える。放電装置20は、一対の電極とその間に介在する誘電体などを備えており、両電極に数kVの高い交流電圧を印加すると、一方の電極と誘電体との間で無声放電(誘電体バリア放電)が生じ、その周囲の空気に含まれる酸素の一部がオゾンに変化する。なお外ケース16は、円筒状以外に楕円筒状や多角筒状などに形成することができるが、円筒状とすることにより内部のデッドスペースを小さくすることができる。
【0036】
浄化ユニット12内には、放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置(オゾナイザー)以外に、放電により各種イオン(マイナスイオン、ヒドロキシラジカル等)を発生させるイオン発生装置(イオナイザー)、揮発性の有効成分を含む薬剤(殺菌剤や虫除け剤など)の含浸体、空気中の酸素に紫外線(波長185nm)を照射してオゾンを発生させるオゾン発生装置、あるいは、紫外線(波長254nm)などの殺菌光を照射して空気を浄化する殺菌装置など、各種の有効成分発生装置を配置することができる。
【0037】
吸込口17は浄化ユニット12の下端後部に設けられ、吹出口18は浄化ユニット12の上端前部に設けられる。吸込口17から風路15に吸い込まれた空気は、放電装置20の周囲を通過する際にオゾンを取り込み、これを含む浄化空気となって吹出口18から前方へ吹き出される。吹出口18は、装置本体1の前面上部において、加湿ユニット11の張出部13と浄化ユニット12の上縁との間に形成されている。吹出口18は平面視で外凸円弧状に形成されており、また正面視において下凸円弧状に形成されている。
【0038】
図5に示すように、外ケース16の上下端はそれぞれ開口しており、上側の開口には加湿ユニット11が上方から組み付けられ、下側の開口にはこれを塞ぐように底蓋23が固定されている。底蓋23の内面(上面)側には、加湿器の全体を制御する図示しない制御基板が収容される。また底蓋23には、電源ケーブル24のプラグ25が差し込まれる受電用のソケット26が設けられており、該ソケット26を介して制御基板に電力が供給される。制御基板は、送風ファン19、放電装置20、後述する加湿モジュール36やミストファン56など、装置本体1の各部に電気的に接続されて電力を供給する。
【0039】
外ケース16の後面の下部には、フィルターカバー29で開閉されるカバー開口30が形成されており、カバー開口30の内方の下部には、風路15の吸込口17に臨む安全柵31が設けられている。安全柵31は、上下に細長い一群の長孔を備えており、吸込口17への外気の流入を許容しつつ、フィルターカバー29の分離時にユーザーの手指や大きな異物などの侵入を防止する。また、カバー開口30の内方の上部には、引き抜き可能な点検蓋32が設けられており、その内方に放電装置20が配置されている。つまりユーザーは、まず外ケース16からフィルターカバー29を取り外してカバー開口30を開き、次いで点検蓋32を後方へ引き抜くと、放電装置20を露出させてその清掃などのメンテナンスを行うことができる。
【0040】
図5および
図6に示すように加湿ユニット11は、基体となる加湿ケース35に、超音波振動子を含む加湿モジュール36と、給水タンク2への給電を担う給電端子37と、円環状の操作カバー38などを組み付けて構成される。操作カバー38は加湿ケース35の上面に接合されており、両者35・38に囲まれる円環状の密閉空間の前部には、円弧板状に形成された操作基板39が収容されている。操作基板39の上面には図示しない複数個のスイッチが突設されており、これに対応して操作カバー38の前部には、各スイッチの先端面に正対する複数個の操作ボタン40が設けられている。各スイッチは操作ボタン40を介して押圧操作されるようになっており、これら操作ボタン40が加湿器の運転状態の切換操作のための操作部41を構成する。
【0041】
操作部41を含む操作カバー38の上方には、該操作カバー38と給水タンク2の外面で囲まれる略リング状の空隙が設けられており(
図2参照)、ユーザーは当該空隙を介して操作部41にアクセスすることができる。このように操作カバー38の上方を括れさせて、操作部41にアクセスするための空間すなわちアクセス空間を形成すると、操作カバー38のみを径方向に突出させる場合に比べて、加湿器の全体のシルエットをすっきりさせることができる。また操作部41は、吹出口18の近傍である直上に位置しており、この配置によれば、吹出口18から吹き出される浄化空気の一部が操作部41に届くようにして、その表面を浄化することができる。また、ユーザーが操作部41を操作する際に、浄化空気の一部がユーザーの手指に触れるようにして、その表面を浄化することができる。
【0042】
装置本体1(外ケース16)の外周面を上方へ延長した仮想面の内方の奥まった位置にアクセス空間を設け、このアクセス空間に下方から臨むように操作部41(操作カバー38)を配置すると、加湿器の天面や外周面に操作部41を配置する場合に比べて、ユーザーの手や物などが意図せず操作部41に触れることによる誤操作をよく防止することができる。ユーザーが加湿器(給水タンク2)の上に置いた物が操作部41に触れることもない。アクセス空間をリング状に形成すると、ユーザーは加湿器の正面(前面)からはもちろん、その側面(左右面)や背面(後面)からも操作部41に手を伸ばして操作しやすくなる。給水タンク2(タンク本体6)で区画されるアクセス空間の奥面は、下窄まりの截頭円錐面で構成されており、これによれば、ユーザーが操作部41を斜め上方から見下ろしたときに、該操作部41を視認しやすくなる。
【0043】
加湿ケース35の上半部は、先述の装着凹部3を区画する。加湿ケース35の下半部には、給水タンク2から送給された水を貯める四角筒状の貯水部44が設けられており、その底部に加湿モジュール36が取り付けられている。貯水部44の上面は開口して装着凹部3に連通している。装着凹部3の底部における貯水部44の後側には、上向きに突出する係合突起45が膨出形成されており、その内側に給電端子37が下方から差し込み固定されている。係合突起45の先端(上端)には、給電端子37の突端の挿通を許す一対のスリット46が設けられている。
【0044】
加湿ユニット11は平面視で正円状に形成されており、その中心に加湿モジュール36が配置されている。装着凹部3の底部の右端寄りには、貯水部44に向かって左方へ下り傾斜する受水壁48が凹み形成されている。受水壁48は、給水タンク2から滴下する水を受け止めて(滴下位置P)、これを貯水部44へ案内する。受水壁48を水平面に対して傾斜させると、給水タンク2から受水壁48へ滴下した水が上方へ大きく跳ねないようにして、給水タンク2の表面を濡らさないようにすることができる。また、受水壁48を貯水部44に向かって下り傾斜させると、該受水壁48を送水用として機能させて、貯水部44への送水構造を簡素化することができる。なお受水壁48は、ユーザーが装置本体1を傾けて貯水部44内の残水を排出する際の注出口としても機能する。
【0045】
貯水部44の左端寄りには、貯水部44内の溜水の波立ちを抑制するための防波壁49が設けられている。つまり受水壁48と防波壁49は、加湿モジュール36を左右両側から挟むように配置されており、このように受水壁48と防波壁49を配置すると、受水壁48から貯水部44へ水が流れ込むときの貯水部44内の波立ちを効果的に抑制することができる。また防波壁49は、受水壁48の下端(左端)に設定される貯水部44の満水位を超えて高く形成されており(
図10参照)、これによれば、満水位を超える波が発生してもこれを確実に吸収することができる。貯水部44内の水位は、貯水部44の左側の外面に設けられた静電容量式の水位センサ50で検知されており、この水位センサ50の出力に基づいて、給水タンク2からの給水が制御されている。貯水部44内の溜水の波立ちを防波壁49で抑制すると、波立ちによる貯水部44の水位の誤検知を防止することができる。なお貯水部44の満水位は、受水壁48の下端以外にその上端や中途部に設定してもよく、この場合も防波壁49は貯水部44の満水位を超える高さとすることが望ましい。水位センサ50で検知が可能な上限水位を貯水部44の満水位に設定することもできる。
【0046】
貯水部44の前側には、上下に伸びる送気筒52が設けられている。送気筒52は、加湿ケース35と一体に設けられる上送気体53と、加湿ケース35とは別体である下送気体54とを上下に連結して構成されている。上送気体53は、装着凹部3の底壁を上下に貫通する四角筒状に形成されている。上送気体53の上端は前向きに開口しており、同下端は下向きに開口して下送気体54に連通している。
図1および
図7に示すように下送気体54は、上面と右面に開口を有する中空のプラスチック成形品からなり、貯水部44の前側の外面にビス55で固定されている。下送気体54の上面の開口は上送気体53に連通し、右面の開口は次に説明するミストファン56に連通している。
【0047】
ミストファン56は、吸気方向と排気方向が直交する遠心式のブロワファン(シロッコファン)からなり、貯水部44の前側の外面における下送気体54の右隣にビス55で固定されている。具体的には、ミストファン56は、渦巻き状のファンケーシング58と、ファンケーシング58内で水平軸(前後方向)のまわりに回転する円筒状の羽根車59とを備える。ミストファン56の吸気口60は、ファンケーシング58の前面に羽根車59と同心円状に形成されている。ファンケーシング58の左面にはミストファン56の排気口61が設けられており、その開口縁は下送気体54の右面の開口すなわち流入口62に差し込まれている。つまり、ファンケーシング58内の羽根車59が駆動すると、羽根車59により形成された気流が下送気体54に流れ込み、下送気体54と上送気体53を順に上昇する。ミストファン56の排気口61は、下送気体54へ向かって緩やかに上り傾斜しており、これによれば、下送気体54内で気流を上向きに変向する際の風量の損失を小さくすることができる。なおミストファン56は、遠心ファン以外に軸流ファンなどであってもよい。
【0048】
図4に示すように、装着凹部3の側面の上下中途部には、本体側段部66が周回状に形成されている。本体側段部66の後端部(
図6で12時の位置)には、下向きに凹む切欠凹部67が形成されており、この切欠凹部67の内側に、ロック機構4を構成するロック片68の先端部が配置されている。ロック片68の基端部は外ケース16と加湿ケース35の間に収容されており、ロック片68の先端部のみが加湿ケース35に開口された窓から切欠凹部67へ向かって露出している(
図5参照)。また本体側段部66の3個所(
図6で2時、6時、10時の位置)には、下向きに凹む係合溝69が周方向等間隔に設けられている。切欠凹部67の下面は装着凹部3の中央へ向かって下り傾斜しており、これによれば、切欠凹部67へ浸入した水滴が傾斜に沿って排出されるようにして、切欠凹部67内における水滴の滞留を防止することができる。この水滴の滞留を防止すると、水滴がロック片68用の窓を介して加湿ケース35の内側へ浸入しないようにして、ロック機構4を構成するばねなどの腐食(さび)を防止することができる。
【0049】
給水タンク2の外周面の下部にも、周回状のタンク側段部71が設けられている。タンク側段部71の後端部(
図8で12時の位置)には、本体側段部66の切欠凹部67およびロック片68に対応して、下向きに突出するU字状のロック枠72が設けられており、またタンク側段部71の3個所(
図8で2時、6時、10時の位置)には、本体側段部66の係合溝69に対応して、下向きに突出する係合突起73が周方向等間隔に設けられている。
【0050】
給水タンク2を装着凹部3に上方から差し込むと、給水タンク2のタンク側段部71が装着凹部3の本体側段部66で受け止められて、各係合突起73が各係合溝69に進入して係合するとともに、ロック枠72が切欠凹部67に進入し、ロック片68がロック枠72に係合する(
図3参照)。各係合突起73と各係合溝69の係合、および、ロック枠72と切欠凹部67の係合により、装置本体1に対する給水タンク2の垂直軸まわりの回転が規制され、ロック片68とロック枠72の係合により、装着凹部3からの給水タンク2の意図しない抜け出しが規制される。これらの規制により給水タンク2は安定的に装着状態に保持される。係合突起73(係合溝69)とロック枠72(切欠凹部67)は、ユーザーが給水タンク2を装着凹部3内の適正位置に装着するためのガイド(位置決め)としても機能する。
【0051】
ロック片68は切欠凹部67の内側に配置されており、換言すれば、給水タンク2の抜け出しを規制するための構造と、給水タンク2の回転を規制するための構造とが、装着凹部3の1個所に集約されている。また給水タンク2のロック枠72は、ロック片68に係合して給水タンク2の抜け出しを規制する構造と、切欠凹部67に係合して給水タンク2の回転を規制する構造とを兼ねており、したがって給水タンク2においても両構造が1個所に集約されている。このような集約配置によれば、上記両構造に占有されない装着凹部3および給水タンク2のスペースを広くして、該スペースに他の構造を比較的自由に配置することができる。
【0052】
給水タンク2のタンク本体6の底部には、扁平な有底円筒状のタンクベース75が外面側から組み付けられている。タンクベース75は、給水タンク2の装着時に装着凹部3の下半部(本体側段部66よりも下側)に収容されて、該装着凹部3の底面で支持される。
図9に示すように、タンクベース75の下面の後部には、内向き(上向き)に凹む係合凹部76が形成されており、その底部に受電端子77が固定されている。給水タンク2の装着時に、係合凹部76は装着凹部3の底部の係合突起45と係合し、受電端子77はスリット46から露出する給電端子37に接触する。これにより給電端子37と受電端子77は通電状態となる。以上の形態によれば、ユーザーが給水タンク2の装着とは別に端子37・77どうしを接続する手間を不要として、ユーザーの利便性の向上を図ることができる。給電端子37と受電端子77には任意の防水処理が施されている。給電端子37は、給水タンク2の装着の有無を検知するセンサとして機能しており、給電端子37から受電端子77への通電の有無に基づいて、給水タンク2の装着の有無が判断されている。給電端子37から受電端子77の通電が無い状態では、給水タンク2が装着されていないとみなされて、表示部42(
図2参照)にエラーが表示される。
【0053】
給水タンク2は、タンク本体6内の水位を検出するフロート式の貯水センサ79と、タンク本体6内を照明する照明装置80と、タンク本体6内の水を電気分解してオゾン水(除菌水)に変化させる電解装置81(
図10参照)などの電気機器を備える。これら電気機器は受電端子77に電気的に接続されており、給水タンク2の装着時には受電端子77から電力の供給を受けて駆動することができる。なお、電気分解による生成が可能な除菌水としては、オゾン水以外に次亜塩素酸水と水素水を挙げることができる。前者の次亜塩素酸水は、塩化ナトリウム水溶液の電気分解により生成することができる。電解装置81の陽極と陰極を隔膜で仕切らない場合には、水溶液の全体が次亜塩素酸水(電解次亜水)に変化し、隔膜で仕切る場合には陽極側に次亜塩素酸水が生成される(陰極側にはアルカリ電解水が生成される)。後者の水素水は、陽極と陰極を隔膜で仕切って水道水を電気分解すると、陰極側に生成される(陽極側には電解酸性水が生成される)。水道水を無隔膜で電気分解してもよく、この場合は水溶液の全体を、水道水よりも水素濃度が高い中性の混合電解水に変化させることができる。
【0054】
貯水センサ79は、タンク本体6内の水に浮くフロートと、フロートに取り付けられた磁石と、タンク本体6の底壁の上面側でフロートを上下動可能に支持するガイド体と、同底壁の下面側に取り付けられたホール素子とを備える。タンク本体6の貯水量が十分な状態では、フロートが限界まで浮き上がり、このとき磁石はホール素子による検知範囲の外に位置する。タンク本体6の貯水量が減少して残り僅かになると、フロートが下降して磁石がホール素子により検知され、これを受けて表示部42には、タンク本体6内の水が無くなった旨のエラーが表示される。
【0055】
タンク本体6の底部には、その底面よりも深い小さな電解凹部82が凹み形成されており、該電解凹部82に電解装置81の少なくとも電極が収容されている。貯水センサ79で検出されるタンク本体6の水位がゼロになっても、電解凹部82には一定量の水が残存し、電解装置81の電極は水に浸漬される。これによれば、例えば貯水センサ79が故障して、タンク本体6内の水位がゼロであるにもかかわらずその旨の信号が出力されず、誤って電解装置81への通電が行われた場合でも、電解装置81を電解凹部82内の水で保護して、異常発熱による電解装置81の故障を防止することができる。電解装置81の電極間に微量の水のみが付着する状態で電圧を印加すると、微量の水に電流が集中して発熱するいわゆる空焚きが生じるおそれがあるが、本実施形態のように電解装置81の電極を電解凹部82に収容すると、この空焚きを確実に防止することができる。
【0056】
図11に示すようにタンクベース75の内側には、タンク本体6内の水(またはオゾン水)を装置本体1へ送給するための送水路83が形成される。送水路83は、タンク本体6の底部に設けられた送水口84と、タンクベース75の底部に設けられた滴下口85とを繋いでおり、全体としてクランク状に形成されている。滴下口85は、給水タンク2の装着時に受水壁48の滴下位置Pの真上に位置する。送水口84には、タンク本体6の内面側から濾過用のフィルター部材86が着脱自在に装着されており、これにより送水路83への異物の侵入を防止することができる。
【0057】
具体的には送水路83は、送水口84から下方へ伸びる上流側の第1送水体88と、第1送水体88の下端から滴下口85に至る下流側の第2送水体89とで構成されており、このうち第2送水体89には、開閉弁90で開閉される通水孔91が設けられている。開閉弁90は、タンク本体6の下面に固定されるフレーム92と、フレーム92の下面から出退操作されるプランジャ93とを備えるソレノイドからなり、先述の受電端子77に電気的に接続されて電力が供給される。プランジャ93の先端(下端)は上方から通水孔91に臨んでおり、該通水孔91に対して接離可能である。また開閉弁90は、プランジャ93をフレーム92から突出する方向すなわち下向きに付勢するばねと、プランジャ93の基部を取り囲むコイルとを備える。
【0058】
開閉弁90に通電しない常態においては、ばねで付勢されるプランジャ93の先端が通水孔91に当接してこれを閉鎖する。すなわち、送水路83が閉鎖されて給水タンク2から装置本体1への給水が遮断される。一方、開閉弁90のコイルに通電すると、プランジャ93に作用する上向きの電磁力が生じて、プランジャ93がばねの付勢力に抗して上昇し(フレーム92内に退入し)、通水孔91から離れてこれを開放する。すなわち、送水路83が開放されて給水タンク2から装置本体1への給水が行われる。
【0059】
図10に示すようにミスト筒7は、タンク本体6と一体に設けられる上筒体96と、タンクベース75と一体に設けられる下筒体97とを上下に接続して、全体として上下に伸びる円筒状に形成されており、厳密には、下端から上端にかけて徐々に縮径する上窄まりテーパー状に形成されている。上筒体96は、タンク本体6の内部にその周面と同心円状に形成されており、同様に下筒体97も、タンクベース75の内部にその周面と同心円状に形成されている。ミスト筒7の下側の開口は、給水タンク2の装着時に上方から貯水部44に正対する。つまり、加湿モジュール36により生成されたミストは、貯水部44からミスト筒7を上昇して放出口9から放出される。ミスト筒7を徐々に縮径させると、ミストの風速を高めてこれをより遠くまで送ることができる。
【0060】
図9に示すように、給水タンク2の係合凹部76と受電端子77は、ミスト筒7(下筒体97)の筒壁の外側に配置されている。つまり、給水タンク2の装着時に、係合凹部76はミスト筒7の外側で装置本体1の係合突起45に係合し、受電端子77と給電端子37が接触する。以上の構成によれば、ミスト筒7を上昇するミストが給電端子37と受電端子77に触れないようにして、水分に起因する端子37・77間の接触不良を防止することができる。なお給電端子37と受電端子77は、本体側段部66とタンク側段部71に配置されていてもよく、これによれば両端子37・77をミスト筒7からより遠ざけて、水分に起因する端子37・77間の接触不良をさらに防止することができる。
【0061】
タンクベース75における下筒体97の前側には、給水タンク2の装着時に送気筒52の上部を受け入れる送気溝98が設けられている。送気溝98は、タンクベース75の下面から内向き(上向き)に凹む前後に長い溝からなり、その後端は壁を隔てることなく下筒体97の内部に連通している。送気筒52の上端の送気口99は前向きに開口しており、送気溝98の前壁に十分な隙間を介して対向している。また、送気溝98の左右幅寸法は、送気筒52の上部の同寸法よりも十分に大きく形成されており、送気溝98と送気筒52の左右壁の間には、気流の通過を許す隙間が設けられている。
【0062】
つまり、ミストファン56により形成されて送気筒52を上昇する気流は、その上端の送気口99から前向きに吹き出された後、送気溝98の前壁に衝突して左右に分かれ、今度は送気溝98の左右壁に沿って後ろ向きに流れる。その後、ミスト筒7の下筒体97に至り、貯水部44から上昇するミストを取り込み、ミスト筒7を上昇して放出口9から放出される。なお送気溝98の前壁は、タンクベース75の周壁を利用して平面視で外凸円弧状に形成されているため(
図8参照)、送気口99からの気流を左右へスムーズに変向することができる。このように、ミストファン56でミスト筒7内に気流を形成すると、加湿モジュール36により生成されたミストを当該気流に乗せて、加湿器の外部へ効率良く放出することができる。なお、ミストファン56の動作電流値は常に監視されており、この電流値が正常範囲を外れた場合には、ミストファン56の点検を促すエラーが表示部42に表示される。
【0063】
ところで、送気溝98や送気筒52の壁面には、ミストの逆流や結露の影響で水滴が付着することがある。この水滴が送気筒52の壁面を気流とは逆向きに伝ってミストファン56に流れ込むと、その故障の原因となるおそれがある。これを防ぐため、ミストファン56が形成する気流に沿って、水滴を貯める液溜め部101が設けられている。具体的には、
図1に示すように、送気筒52の下送気体54に設けられた丸底状の内底部が液溜め部101として機能する。この液溜め部101に水滴を捕捉することにより、水滴がミストファン56まで到達しないようにして、水濡れによるミストファン56の故障を防止することができる。また、下送気体54の内部に液溜め部101を設けると、液溜め部101を備える部材を下送気体54(送気筒52)とは別に設ける場合に比べて、加湿器の部品点数を減らしてその構造を簡素化することができる。
【0064】
液溜め部101内の溜水がミストファン56に流れ込まないように、液溜め部101は下送気体54の流入口62(ミストファン56の排気口61)よりも低い位置に設けられている。また、液溜め部101を流入口62(排気口61)よりも低い位置に設けると、下送気体54の内部を流入口62から上向きに流れる気流と液溜め部101内の溜水との接触を最小限に抑えて、当該溜水が気流に煽られてミストファン56に流れ込むことを抑えることができる。加えて、液溜め部101の上縁の右側すなわちミストファン56側には、該ミストファン56から離れる方向へ伸びる返し片102が設けられており、これによれば、液溜め部101内の溜水がミストファン56の側へ移動することを返し片102で規制して、該溜水のミストファン56への流れ込みをより抑えることができる。
【0065】
さらに下送気体54の内部には、ミストファン56の排気口61から液溜め部101を遮る遮壁103が設けられている。これによれば、液溜め部101内の溜水がミストファン56の側へ移動することや、該溜水が気流に煽られることを遮壁103で規制して、該溜水のミストファン56への流れ込みをより抑えることができる。遮壁103は、ミストファン56から離れるに従って上り傾斜しており、ミストファン56から下送気体54へ横向きに流れ込む気流を上向きに変向する案内壁としても機能する。遮壁103の下端部は、液溜め部101の内側まで伸びて溜水に浸漬されており、これによれば、当該溜水が遮壁103を伝って移動することを可能とし、移動した溜水に下送気体54内の気流を触れさせて、該溜水の蒸発すなわち減容を促進することができる。遮壁103および返し片102は下送気体54と一体に設けられている。
【0066】
図9に示すように、送気筒52の上端の送気口99は前方向(水平方向)にのみ開口している。これによれば、送気筒52の上面を塞いで、該上面から送気筒52への水滴やミストの侵入を防止することができる。また送気口99は、貯水部44から離れる向きに開口しているため、加湿モジュール36により生成されたミストが貯水部44から送気筒52へ向かって逆流した場合に、該ミストが送気口99から送気筒52へ侵入することを抑制することができる。さらに送気口99は、受水壁48から離れる向きに開口しているため、給水タンク2から滴下した水が受水壁48で大きく跳ねた場合に、その水滴が送気口99から送気筒52へ侵入することを防止することができる。
【0067】
図4に示すように操作カバー38には、電源切換部401、湿度設定部402、タイマー設定部403、ロック切換部404、輝度調整部405および風量設定部406の6個の操作ボタン40が、左から右へ記載順に配置されている。湿度設定部402とタイマー設定部403の間には、図外の温湿度センサで検知される室内の温度と湿度などを表示する表示部42が設けられている。
【0068】
電源切換部401は、ユーザーが加湿器を運転状態と待機状態の間で切り換えるための操作ボタン40である。湿度設定部402は、ユーザーが所望の設定湿度を制御部(制御基板)に指示するための操作ボタン40であり、湿度設定部402が押圧操作される度に設定湿度が「高」から「中」、「中」から「低」、そして「低」から「高」へと切り替わるように構成されている。操作の頻度が比較的高い湿度設定部402を電源切換部401に隣接させると、ユーザーは電源を投入(電源切換部401を操作)してすぐに、指を少し移動させるだけで湿度設定部402を操作することができて便利である。
【0069】
タイマー設定部403は、タイマーすなわち加湿器の自動停止までの時間を制御部に指示するための操作ボタン40である。ロック切換部404は、自身を除く各操作ボタン40をロック状態とアンロック状態の間で切り換えるための操作ボタン40である。ロック状態においては、ロック切換部404を除く各操作ボタン40の押圧操作が無効となり、子供などによる悪戯を防止することができる。輝度調整部405は、各操作ボタン40を操作カバー38の内面側から照明するLED(不図示)の輝度を調整するための操作ボタン40である。
【0070】
風量設定部406は、ユーザーが浄化空気の所望の風量を制御部に指示するための操作ボタン40であり、風量設定部406が押圧操作される度に風量が「高」から「中」、「中」から「低」、そして「低」から「高」へと切り替わるように構成されている。風量設定部406は操作部41の右端部に位置しており、同左端部に位置する電源切換部401とその隣の湿度設定部402からは大きく離れている。電源切換部401および湿度設定部402と風量設定部406との間には、表示部42、タイマー設定部403、ロック切換部404および輝度調整部405が配置されている。
【0071】
一般に風量設定部406の操作の頻度は、電源切換部401と湿度設定部402の操作の頻度に比べて低くなる。オゾンを含む浄化空気の最適な風量は、加湿器を使用する室内の広さに依存するものであり、同じ室内で使用し続ける限り風量を変更する必要は無いためである。比較的狭い室内で加湿器を使用するときに、浄化空気を必要以上に高い風量に設定すると、室内のオゾン濃度の上昇を招くおそれがある。そこで本実施形態では、操作の頻度が比較的高い電源切換部401と湿度設定部402から風量設定部406を可及的に遠ざけた。これによれば、電源切換部401および湿度設定部402の操作時に風量設定部406が誤って操作されることを防止して、ユーザーが意図したとき(加湿器を別の部屋に移動させたときなど)以外は風量設定部406を操作され難くすることができる。
【0072】
加湿器のユーザーは、電源ケーブル24を接続したうえで操作部41の電源切換部401を押圧操作することにより、加湿器を運転状態と待機状態の間で切り換えることができる。加湿器の運転状態においては、加湿ユニット11と浄化ユニット12の各部が駆動して、ミストと浄化空気が同時に生成される。もちろん、加湿ユニット11と浄化ユニット12のうち一方のみを運転状態として、ミストと浄化空気の一方のみを生成することもできる。
【0073】
加湿ユニット11の運転状態においては、主に加湿モジュール36とミストファン56が駆動して、生成されたミストが気流に乗って放出口9から放出される。また、加湿ユニット11の給電端子37から給水タンク2の開閉弁90に電力が供給されて、送水路83を通じたタンク本体6から貯水部44への給水が行われる。開閉弁90による送水路83の開閉は、貯水部44の水位センサ50の出力に基づいて制御される。すなわち、加湿ユニット11の運転中に、水位センサ50が満水を検知すると送水路83は閉鎖され、水位センサ50が水位の低下を検知すると送水路83は再び開放される。
【0074】
加湿ユニット11を運転状態から待機状態に切り換えるように操作部41が操作されると、あるいは、加湿対象の空間の湿度が十分に上昇すると、制御部は加湿ユニット11の運転を停止する停止制御を開始する。具体的には、
図12のタイミングチャートに示すように、制御部は先に加湿モジュール36を停止させ(時点t1)、次いで所定の遅延時間Tだけ遅れてミストファン56を停止させる(時点t2)。このようにミストファン56を遅れて停止させると、加湿モジュール36により生成されたミストをミスト筒7内に残すことなく放出することができる。これにより、ミスト筒7の内面における水滴の付着を抑制するとともに、残留したミストが送気筒52を逆流することを防止することができる。
【0075】
また加湿ユニット11の待機状態においては、ミストファン56のみが所定の周期Cで間欠的に駆動される(時点t3以降)。これによれば、貯水部44に残った水が自然蒸発してミスト筒7内に水蒸気が充満しても、当該水蒸気を放出口9から放出することができる。これにより、ミスト筒7の内面における水滴の付着を抑制するとともに、貯水部44に残った水の更なる自然蒸発を促して、当該水を減容させることができる。
【0076】
(第2実施形態) 本発明に係る加湿器の第2実施形態を
図13に示す。本実施形態では、送気筒52の下送気体54に設けられる遮壁103が、厚み方向に並ぶ複数枚(例えば3枚)の薄板106で構成されている。隣接する薄板106の間には微細な隙間が形成されており、その上下端はそれぞれ開放されている。従って、この微細な隙間は、液溜め部101内の溜水を毛細管現象により吸い上げる微細水路107として機能する。この微細水路107によれば、溜水を吸い上げた分だけ液溜め部101内の水位を下げることができ、これにより液溜め部101内の溜水がミストファン56に流れ込むことを抑えることができる。加えて、ミストファン56の排気口61に正対する薄板106、すなわちミストファン56から見て手前側に位置する薄板106は、その表面に沿って溜水を伝わらせて、移動した溜水に下送気体54内の気流を触れさせて、該溜水の蒸発すなわち減容を促進する。他は第1実施形態と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0077】
遮壁103は、下送気体54と一体にプラスチックで形成する以外に、下送気体54とは別体かつ異なる素材、例えば吸水性に優れる不織布や連続多孔質体(セラミックスなど)で形成することができる。これらの吸水性に優れる素材で遮壁103を形成すると、液溜め部101内の溜水を遮壁103でよく吸い上げて、液溜め部101内の水位を速やかに低下させることができる。また、これらの素材は表面積が大きいことから、吸い上げた水を効率良く空気に触れさせて蒸発させることができる。
【0078】
本発明に係る加湿器は、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs : Sustainable Development Goals)の目標3(すべての人に健康と福祉を)に貢献することができる。本発明は、浄化ユニット12を持たず浄化空気を生成しない加湿器にも適用することができる。また本発明は、上記実施形態で示した超音波式の加湿器以外に、水を加熱して気化させるスチーム式(加熱式)の加湿器(加湿モジュール36はヒーター)や、含水フィルターに風を当てて水を気化させる気化式の加湿器(加湿モジュール36はファン)などにも適用することができる。さらに、本出願人が以前に提案した遠心霧化式の加湿器(特許第6370185号)にも、本発明を適用することができる。この場合の加湿モジュール36は、貯水部44内の水に浸漬される円錐状の揚水体と、揚水体の上端に固定される回転基板と、回転基板の下面の径方向へ多重に配置されている一群の衝突壁と、回転基板を回転駆動するモーターなどで構成される。
【符号の説明】
【0079】
1 装置本体
2 給水タンク
7 ミスト筒
9 放出口
11 加湿ユニット
36 加湿モジュール
44 貯水部
48 受水壁
52 送気筒
56 ミストファン
61 排気口
99 送気口
101 液溜め部
102 返し片
103 遮壁
107 微細水路