(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049999
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G01L19/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156554
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】時岡 良宜
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055FF04
2F055GG11
(57)【要約】
【課題】圧力センサの周囲温度の上昇を抑制する。
【解決手段】センサ装置1は、上下方向に延び、蒸気が上向きに流れる第1通路13、第1通路13の側部に接続され、第1通路13を通過した前記ガスの凝縮液を滞留させる第2通路16を有する本体10と、第2通路16の凝縮液に連通し、前記蒸気の圧力を検出する圧力センサ50とを備える。第2通路16は、凝縮液が第1通路13へ逆流することを抑制するように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延び、ガスが上向きに流れる第1通路、前記第1通路の側部に接続され、前記第1通路を通過した前記ガスの凝縮液を滞留させる第2通路を有する本体と、
前記第2通路の凝縮液に連通し、前記ガスの圧力を検出する圧力センサとを備え、
前記第2通路は、前記凝縮液が第1通路へ逆流することを抑制するように形成されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記第2通路は、前記凝縮液を滞留させ、前記圧力センサと連通する液滞留部と、前記液滞留部を前記第1通路の接続口に接続する接続通路とを有し、
前記液滞留部の最下部は、前記接続口よりも下方に位置している
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ装置において、
前記接続通路および前記液滞留部は、前記第1通路に直交する方向に延びる互いに同軸の円柱状に形成され、
前記接続通路の径は、前記液滞留部の径よりも小さい
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のセンサ装置において、
前記液滞留部は、前記第1通路に直交する方向に延びる円柱状に形成され、
前記接続通路は、前記液滞留部と同軸に形成され且つ前記接続口から前記液滞留部へいくに従って径が大きくなるテーパ状に形成されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のセンサ装置において、
前記接続通路および前記液滞留部は、前記接続口から斜め下方に延びる互いに同軸の円柱状に形成されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、蒸気等のガスが流れる配管に取り付けられてガスの圧力を検出するセンサ装置が知られている。このセンサ装置は、配管からガスが流入するガス通路と、ガス通路に連通する圧力センサとを備えている。このセンサ装置では、ガス通路に流入したガスが外部と熱交換して凝縮液となる。そのため、ガス通路に流入したガスは、凝縮液を介して圧力センサと連通する。これにより、圧力センサは、高温のガスと直接に接することなくガスの圧力を検出することができる。そのため、耐熱温度の低い圧力センサを用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したセンサ装置が設けられる蒸気システムでは、例えば、ガスの圧力変動や運転停止によって配管の圧力が低下すると、ガス通路の圧力も低下して、ガス通路に蓄積されていた凝縮液が配管に流出する虞がある。その後、運転再開などがされると、再び、ガスがガス通路に流入して凝縮液となり蓄積される。こうしたことが短い時間で繰り返されると、圧力センサの周囲温度が徐々に上昇して耐熱温度を超えてしまう虞がある。
【0005】
本開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧力センサの周囲温度の上昇を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のセンサ装置は、本体と、圧力センサとを備えている。前記本体は、上下方向に延び、ガスが上向きに流れる第1通路、前記第1通路の側部に接続され、前記第1通路を通過した前記ガスの凝縮液を滞留させる第2通路を有する。前記圧力センサは、前記第2通路の凝縮液に連通し、前記ガスの圧力を検出する。前記第2通路は、前記凝縮液が第1通路へ逆流することを抑制するように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
前記のセンサ装置によれば、圧力センサの周囲温度の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、センサ装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本体の棒状部を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図3は、本体の頭部を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、変形例1に係る本体の頭部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、変形例2に係る本体の頭部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
本実施形態のセンサ装置1は、蒸気システムにおいて蒸気が流れる配管に取り付けられて、蒸気の温度および圧力の2つを検出するものである。蒸気は、ガスの一例である。
【0011】
図1に示すように、センサ装置1は、通信用のアンテナ3を有する無線式の通信機2が取り付けられている。センサ装置1は、本体10と、温度センサ40(測温抵抗体)と、圧力センサ50と、取付部材60とを備えている。
【0012】
図2および
図3にも示すように、本体10の内部には、第1通路13および第2通路16がガス通路として形成されている。詳しくは、本体10は、棒状部11と頭部12を有する。棒状部11は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。棒状部11は、一端(上端側)が頭部12に嵌め込まれて接続されている。頭部12の上部には、通信機3が取り付けられている。つまり、センサ装置1は、棒状部11の軸心が上下方向に延びる状態で配管に取り付けられる。
【0013】
第1通路13は、上下方向に延び、ガスが上向きに流れる通路である。第2通路16は、第1通路13の側部に接続され、第1通路13を通過したガスの凝縮液が滞留する通路である。つまり、第2通路16は第1通路13の下流側に位置する。第1通路13は、棒状部11に形成されており、第2通路16は、頭部12に形成されている。
【0014】
第1通路13は、螺旋通路14(螺旋状の通路)および直線通路15を有する。なお、棒状部11の上端側が頭部12に嵌め込まれているため、見かけ上、螺旋通路14は頭部12に跨って形成されている。
【0015】
螺旋通路14および直線通路15は、棒状部11の内部において軸方向(上下方向)に延びる通路である。第1通路13は、棒状部11の下端面11a(軸方向端面)に開口している。螺旋通路14は、棒状部11の略上半部に形成され、一端が接続口13aを介して第2通路16に連通し、他端が直線通路15に連通している。直線通路15は、棒状部11の下端寄りに形成されており、螺旋通路14の上流側に連続して形成されている。つまり、直線通路15は一端が螺旋通路14に連通し、他端が下端面11aの開口に連通している。
【0016】
棒状部11の内周面11bは、円柱状に形成されており、その棒状部11に円筒状の内挿体25が挿入されている。内挿体25は、長さが棒状部11よりも短く形成されており、棒状部11における略上半部に位置している。
【0017】
内挿体25は、外周面27に螺旋溝28(螺旋状の溝)が形成されている。螺旋溝28は、内挿体25の外周面27において軸方向(上下方向)に延びており、内挿体25の全長に亘って形成されている。なお、本実施形態の螺旋溝28は、縦断面視が矩形状に形成されている。ここに、縦断面視とは、螺旋溝28をその軸方向(長手方向)に対して平行に切断した断面を意味する。
【0018】
内挿体25の外径は、棒状部11の内径と略同じである。つまり、内挿体25は、外周面27が棒状部11の内周面11bと接触する状態で棒状部11に挿入されている。棒状部11では、その内周面11bと内挿体25の螺旋溝28とによって螺旋通路14が形成されている。つまり、本実施形態のセンサ装置1では、内挿体25が本体10の棒状部11に挿入されて棒状部11の内周面11bとの間で螺旋通路14を形成する。
【0019】
また、本実施形態の螺旋通路14は、
図2に破線で示すように、途中に下方へ傾斜する下り部14bを有している。具体的に、螺旋通路14は、第2通路16へ向かうに従って上方へ傾斜する上り部14aと、第2通路16へ向かうに従って下方へ傾斜する下り部14bとを交互に有している。つまり、内挿体25ではこのような上り部14aと下り部14bとが交互に形成されるように螺旋溝28が形成されている。なお、螺旋溝28の構造はこれに限定されない。螺旋溝28は、例えば、下り部を有さず上り部のみからなる構造であってもよい。
【0020】
頭部12には、温度センサ40および圧力センサ50が設けられている。温度センサ40は、直線通路15内(即ち、第1通路13内)の蒸気の温度を検出するシース管41を有している。シース管41は、細長い円柱状(棒状)に形成されており、棒状部11の第1通路13に挿入されている。シース管41は、直線通路15よりも細く形成されている。
【0021】
シース管41は、軸方向(上下方向)における一部が蒸気の温度を検出する感温部41bとなっている。感温部41bは、シース管41において先端41a(下端)寄りに位置している。シース管41は、先端41aおよび感温部41bが直線通路15(第1通路13)内に位置する状態で第1通路13に挿入されている。
【0022】
また、シース管41は、基端側が内挿体25の内周側に貫通して挿入されてスキマバメにより嵌合している。こうして、シース管41の基端側は内挿体25によって固定される。つまり、内挿体25はシース管41の基端側を固定する固定部材を構成している。
【0023】
また、センサ装置1は、第1通路13に設けられるシール部材33を有する。シール部材33は、第1通路13で発生した蒸気の凝縮液、または、後述する第2通路16の液滞留部18の蒸気の凝縮液が、シース管41の外面に沿って感温部41bまで流下するのを阻止する。以下、これらの凝縮液をドレンと称する場合がある。
【0024】
シール部材33は、円筒状に形成された金属製のものであり、直線通路15(棒状部11)に挿入されている。シール部材33は、直線通路15における感温部41bよりも下流側の位置に設けられている。シール部材33は、内周側にシース管41が貫通して挿入されている。シール部材33は、ドレンがシース管41の外面に沿って上流側へ流下するのを阻止可能に内周面34がシース管41の外面と接触している。また、シール部材33は、外径が棒状部11の内径と略同じであり、外周面35が棒状部11の内周面11bと接触している。
【0025】
こうして、シール部材33は直線通路15を液密に遮断している。つまり、直線通路15は、シール部材33によって、下流側通路15aと、感温部41bが位置する上流側通路15bとに区画されている。これにより、ドレンが下流側通路15aから上流側通路15bへ流れるのを阻止することができる。そのため、低温のドレンが感温部41bに付着するのを防止できるので、感温部41bによる蒸気の温度検出精度が向上する。
【0026】
また、センサ装置1は、シース管41の先端41a側を保持してシース管41の振動を抑制する保持部材36を備えている。保持部材36は、円筒状に形成された金属製のものであり、棒状部11の下端面11aの開口に挿入されている。こうして、保持部材36は、シース管41の先端41aを保持すると共に、下端面11aの開口を閉鎖している。
【0027】
なお、第2シール部材33および保持部材36は、それぞれ、棒状部11の内周面11bに形成された段差部11d,11eに当たるまで棒状部11に挿入されている。つまり、段差部11d,11eによって第2シール部材33および保持部材36の挿入位置が規制される。
【0028】
保持部材36の下端面は、棒状部11の下端面11aよりも内方に位置する。そのため、棒状部11の下端には、空間11fが形成される。また、シース管41の先端41aは保持部材36の途中まで挿入されているので、保持部材36の内周側には外部と連通する空間11gが形成される。こうした空間11f,11gを設けることにより、配管内を流れる蒸気がシース管41の先端41aまで流入しやすくなる。なお、棒状部11に設けられた留め具21によって、保持部材36の外方への抜け出しが防止される。
【0029】
直線通路15の周壁には、蒸気の流入孔19,20が設けられている。具体的に、流入孔19は、棒状部11において下流側通路15aに対応する側部に設けられている。流入孔19は、棒状部11の周方向において複数設けられている。また、流入孔19は、シール部材33の近傍に設けられ、シール部材33の上面に溜まったドレンが排出可能に構成されている。流入孔20は、棒状部11において上流側通路15bに対応する側部に設けられている。流入孔20は、棒状部11の周方向において複数設けられている。幾つかの流入孔20は、感温部41bの側方に設けられているので、流入孔20から流入した蒸気が直接感温部41bに当たり、蒸気の温度検出精度が向上する。
【0030】
第2通路16は、第1通路13から蒸気が流入すると共に、流入した蒸気の凝縮液を滞留させる。第2通路16は、滞留している凝縮液が第1通路13へ逆流することを抑制するように形成されている。
【0031】
具体的には、
図3に示すように、第2通路16は、接続通路17および液滞留部18を有している。液滞留部18は、凝縮液を滞留させ、圧力センサ50と連通する。つまり、液滞留部18は、ガス通路において、第1通路13、より詳しくは螺旋通路14よりも下流側であって、圧力センサ50が凝縮液と連通する部分である。接続通路17は、液滞留部18を第1通路13の接続口13aに接続する。
【0032】
そして、第2通路16においては、液滞留部18の最下部18aは、接続口13aよりも下方に位置している。より詳しくは、接続通路17および液滞留部18は、第1通路13に直交する方向に延びる互いに同軸の円柱状に形成されている。つまり、第2通路16は、全体として、水平方向に延びる円柱状の通路である。接続通路17の径は、液滞留部18の径よりも小さい。こうして、第2通路16では、液滞留部18の最下部18aが、接続口13a、即ち接続通路17よりも下方に位置される。なお、液滞留部18の下流端、即ち第2通路16の下流端は、閉塞部材12aによって閉塞されている。
【0033】
圧力センサ50は、第2通路16、より詳しくは、液滞留部18に連通する状態で頭部12に設けられている。圧力センサ50は、第2通路16内の蒸気の圧力を検出する。具体的に、圧力センサ50は、金属製の取付ケース51に収容される。圧力センサ50を収容した取付ケース51は、液滞留部18に連通するネジ孔52に螺合されて装着される。ネジ孔52は、頭部において、液滞留部18の上方に位置し、上下方向に延びている。圧力センサ50は、取付ケース51の連通孔を介して液滞留部18と連通している。こうして、圧力センサ50が液滞留部18の凝縮液と連通することで、取付ケース51等の圧力センサ50の周囲部材が凝縮液によって冷却され得る。これにより、圧力センサ50の周囲温度の上昇が抑制される。
【0034】
センサ装置1は、頭部12が通信機2の下側にボルト4によって締結固定されている。センサ装置1では、温度センサ40および圧力センサ50によって検出された温度および圧力に関する信号が電線(図示省略)を通じて通信機2へ送られる。通信機2では、温度センサ40等から送られた信号が処理され、アンテナ3を通じて外部機器へ送信される。
【0035】
本体10の棒状部11には、センサ装置1を配管に取り付けるための取付部材60が設けられている。センサ装置1は、棒状部11の下端側が配管内に挿入された状態で取付部材60によって配管に固定される。その際、センサ装置1は棒状部11の軸心が上下方向に延びる状態で固定される。こうして固定されたセンサ装置1では、棒状部11の下端側、即ち棒状部11において直線通路15が設けられている部分が配管内の蒸気に曝された状態となる。
【0036】
このように構成されたセンサ装置1では、配管内の蒸気が、流入孔20から上流側通路15bに流入し滞留する。これによって、シース管41の感温部41bにより蒸気の温度が検出される。また、配管内の蒸気は、流入孔19から下流側通路15aに流入し、螺旋通路14を通過した後、第2通路16に流れる。ここで、蒸気は螺旋通路14を流通することで、蒸気の流通距離、即ちガス通路における蒸気の接触面積を稼ぐことができる。そのため、蒸気の温度を低下させることができる。つまり、第1通路13において蒸気は棒状部11と熱交換して徐々に温度が低下するところ、蒸気と棒状部11との接触面積が増大することによって蒸気の温度低下量が増大する。
【0037】
第1通路13で温度が低下した蒸気は、接続通路17に流入して凝縮し得る。この蒸気の凝縮液は、液滞留部18において滞留する。ここで、圧力センサ50は液滞留部18と連通している。つまり、圧力センサ50の近傍に液滞留部18が位置している。そのため、取付ケース51等の圧力センサ50の周囲部材が凝縮液によって冷却され得る。これにより、圧力センサ50の周囲温度が圧力センサ50の耐熱温度未満に抑えられる。圧力センサ50は、第1通路13から第2通路16に流入した蒸気の圧力を検出する。第1通路13から第2通路16に流入した蒸気は、前述の如く、温度が低下しているので、これによっても、圧力センサ50の周囲温度が耐熱温度未満に抑えられる。したがって、圧力センサ50の異常高温による測定誤差が低減される。
【0038】
ここで、蒸気の圧力変動や蒸気システムの運転停止によって配管の圧力が低下すると、第1通路13および第2通路16の圧力も低下する。その場合でも、液滞留部18の最下部18aが接続口13aよりも下方に位置しているので、
図3に示すように、液滞留部18に滞留していた凝縮液は第1通路13に逆流することなく液滞留部18に滞留し続ける。そのため、液滞留部18に凝縮液が滞留した状態で、蒸気システムの運転を再開することができる。したがって、このような場合でも、圧力センサ50の周囲温度の上昇を抑えることができ、周囲温度を耐熱温度未満に抑えることができる。
【0039】
以上のように、センサ装置1においては、 第2通路16は、滞留している凝縮液が第1通路13へ逆流することを抑制するように形成されている。具体的には、第2通路16は、凝縮液を滞留させ、圧力センサ50と連通する液滞留部18と、液滞留部18を第1通路13の接続口13aに接続する接続通路17とを有している。そして、液滞留部18の最下部18aは、接続口13aよりも下方に位置している。そのため、配管の圧力が低下した場合でも、液滞留部18において少なくとも接続口13aよりも下方の凝縮液が第1通路13へ逆流することを抑制することができる。つまり、液滞留部18において凝縮液を適切に確保し続けることができる。これにより、圧力センサ50の周囲温度の上昇を抑制することができる。その結果、圧力センサ50の異常高温による測定誤差を低減することができる。
【0040】
より詳しくは、接続通路17および液滞留部18は、第1通路13に直交する方向に延びる互いに同軸の円柱状に形成されている。そして、接続通路17の径は、液滞留部18の径よりも小さい。そのため、簡易な構成により、液滞留部18の最下部18aを接続口13a(即ち、接続通路17)よりも下方に位置させることができる。また、接続通路17および液滞留部18は互いに同軸の円柱状に形成されているので、加工が比較的容易である。
【0041】
《変形例1》
実施形態の変形例1について
図4を参照しながら説明する。本変形例は、前記実施形態のセンサ装置1において、接続通路17および液滞留部18の構成を変更したものである。ここでは、前記実施形態と異なる点について説明する。
【0042】
この変形例の第2通路16は、前記実施形態と同様、滞留している凝縮液が第1通路13へ逆流することを抑制するように形成されている。具体的には、
図4に示すように、第2通路16は、接続通路17Aおよび液滞留部18を有している。液滞留部18は、凝縮液を滞留させ、圧力センサ50と連通する。接続通路17Aは、液滞留部18を第1通路13の接続口13aに接続する。この例の第2通路16においても、液滞留部18の最下部18aは、接続口13aよりも下方に位置している。
【0043】
詳しくは、液滞留部18は、前記実施形態と同様、第1通路13に直交する方向、即ち水平方向に延びる円柱状に形成されている。接続通路17Aは、液滞留部18と同軸に形成され且つ接続口13aから液滞留部18へいくに従って径が大きくなるテーパ状に形成されている。つまり、第2通路16は、全体として、水平方向に延びる通路である。この例では、接続通路17Aの下流端(即ち、接続通路17Aにおける液滞留部18側の端部)は、液滞留部18よりも径が小さい。こうして、第2通路16では、液滞留部18の最下部18aが、接続口13a、より詳しくは接続通路17よりも下方に位置される。
【0044】
本変形例においても、第1通路13および第2通路16の圧力が低下した場合、液滞留部18の最下部18aが接続口13aよりも下方に位置しているので、凝縮液の第1通路13への逆流が抑制される。そのため、
図4に示すように、凝縮液は液滞留部18に滞留し続ける。これにより、運転再開等により第2通路16に蒸気が流入してきても、圧力センサ50の周囲温度の上昇を適切に抑えることができる。
【0045】
また、接続通路17Aがテーパ状に形成されているので、
図4に示すように、液滞留部18だけでなく接続通路17Aの一部にも凝縮液が滞留する。そのため、圧力センサ50の周囲部材が凝縮液によってより冷却され、圧力センサ50の周囲温度の上昇をより抑えることができる。その他の構成、作用および効果は、前記実施形態と同様である。
【0046】
《変形例2》
実施形態の変形例2について
図5を参照しながら説明する。本変形例は、前記実施形態のセンサ装置1において、接続通路17および液滞留部18の構成を変更したものである。ここでは、前記実施形態と異なる点について説明する。
【0047】
この変形例の第2通路16も、前記実施形態と同様、滞留している凝縮液が第1通路13へ逆流することを抑制するように形成されている。具体的には、
図5に示すように、第2通路16は、接続通路17Bおよび液滞留部18Aを有している。液滞留部18Aは、凝縮液を滞留させ、圧力センサ50と連通する。接続通路17Aは、液滞留部18Aを第1通路13の接続口13aに接続する。この例の第2通路16においても、液滞留部18Aの最下部18bは、接続口13aよりも下方に位置している。
【0048】
詳しくは、接続通路17Bおよび液滞留部18Aは、接続口13aから斜め下方に延びる互いに同軸の円柱状に形成されている。つまり、第2通路16は、全体として、第1通路13から斜め下方に延びる円柱状の通路である。この例では、接続通路17Bの径は、液滞留部18Aの径と略同じである。こうして、第2通路16では、液滞留部18Aの最下部18bが、接続口13a、より詳しくは接続通路17Bよりも下方に位置される。
【0049】
本変形例においても、第1通路13および第2通路16の圧力が低下した場合、液滞留部18Aの最下部18bが接続口13aよりも下方に位置しているので、凝縮液の第1通路13への逆流が抑制される。そのため、
図5に示すように、凝縮液は液滞留部18Aに滞留し続ける。これにより、運転再開等により第2通路16に蒸気が流入してきても、圧力センサ50の周囲温度の上昇を適切に抑えることができる。
【0050】
また、接続通路17Bが液滞留部18Aと同軸且つ略同径の円柱状に形成されているので、
図5に示すように、液滞留部18Aだけでなく接続通路17Bの一部にも凝縮液が滞留する。そのため、圧力センサ50の周囲部材が凝縮液によってより冷却され、圧力センサ50の周囲温度の上昇をより抑えることができる。その他の構成、作用および効果は、前記実施形態と同様である。
【0051】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0052】
例えば、接続通路17,17A,17Bおよび液滞留部18,18Aの形状は、前述したものに限定されず、液滞留部18,18Aの最下部18a,18bが接続口13aよりも下方に位置する形状であれば如何なる形状であってもよい。
【0053】
また、温度センサ40を省略するようにしてもよい。つまり、センサ装置1は、蒸気の圧力だけを検出するものであってもよい。
【0054】
また、第1通路13では、螺旋通路14を省略して、直線通路15を長くすることで蒸気の接触面積を増大させるようにしてもよい。
【0055】
また、前記のセンサ装置1では、蒸気以外の凝縮性ガスを検出対象としてもよいことは勿論である。
【0056】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0057】
[1] センサ装置1は、上下方向に延び、蒸気が上向きに流れる第1通路13、前記第1通路13の側部に接続され、前記第1通路13を通過した前記ガスの凝縮液を滞留させる第2通路16を有する本体10と、前記第2通路16の凝縮液に連通し、前記ガスの圧力を検出する圧力センサ50とを備えている。前記第2通路16は、前記凝縮液が第1通路13へ逆流することを抑制するように形成されている。
【0058】
この構成によれば、圧力センサ50が第2通路16の凝縮液に連通して設けられるので、圧力センサ50の周囲部材が凝縮液によって冷却される。そのため、圧力センサ50の周囲温度が蒸気によって上昇するのを抑えることができる。したがって、圧力センサ50の異常高温による測定誤差を低減することができる。ここで、例えばシステムの運転停止等によって第1通路13および第2通路16の圧力が低下した場合でも、第2通路16の凝縮液が第1通路13へ逆流することが抑制される。つまり、第2通路16において凝縮液を滞留させ続けることができる。そのため、圧力センサ50の周囲部材に対する凝縮液の冷却作用が維持される。そのため、その後の運転再開により蒸気が第2通路16へ流入してきても、圧力センサ50の周囲温度の上昇を適切に抑制することができる。
【0059】
[2] [1]に記載のセンサ装置1において、前記第2通路16は、前記凝縮液を滞留させ、前記圧力センサ50と連通する液滞留部18,18Aと、前記液滞留部18,18Aを前記第1通路13の接続口13aに接続する接続通路17,17A,17Bとを有している。前記液滞留部18,18Aの最下部18a,18bは、前記接続口13aよりも下方に位置している。
【0060】
この構成によれば、第1通路13から第2通路16に流入した蒸気は、凝縮して凝縮液となり液滞留部18,18Aに滞留する。ここで、第1通路13および第2通路16の圧力が低下しても、液滞留部18,18Aの最下部18a,18bが接続口13aよりも下方に位置しているため、液滞留部18,18Aの凝縮液は第1通路13に逆流することなく液滞留部18,18Aに滞留し続ける。したがって、圧力センサ50の周囲温度の上昇を抑えることができる。
【0061】
[3] [1]または[2]に記載のセンサ装置1において、前記接続通路17および前記液滞留部18は、前記第1通路13に直交する方向に延びる互いに同軸の円柱状に形成されている。前記接続通路17の径は、前記液滞留部18の径よりも小さい。
【0062】
この構成によれば、第1通路13および第2通路16の圧力が低下した場合でも、液滞留部18における接続口13aよりも下方に位置する領域に凝縮液を滞留させることができる。そのため、圧力センサ50の周囲温度の上昇を抑制することができる。また、接続通路17および液滞留部18は、互いに同軸の円柱状に形成されているので、それらの加工が比較的容易である。
【0063】
[4] [1]乃至[3]の何れか1つに記載のセンサ装置1において、前記液滞留部18は、前記第1通路13に直交する方向に延びる円柱状に形成されている。前記接続通路17Aは、前記液滞留部18と同軸に形成され且つ前記接続口13aから前記液滞留部18へいくに従って径が大きくなるテーパ状に形成されている。
【0064】
この構成によれば、第1通路13および第2通路16の圧力が低下した場合でも、液滞留部18における接続口13aよりも下方に位置する領域だけでなく、接続通路17Aにおける接続口13aよりも下方に位置する領域にも凝縮液を滞留させることができる。そのため、圧力センサ50の周囲部材に対する凝縮液の冷却作用を高めることができる。これにより、圧力センサ50の周囲温度の上昇をより抑制することができる。
【0065】
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載のセンサ装置において、前記接続通路17Bおよび前記液滞留部18Aは、前記接続口13aから斜め下方に延びる互いに同軸の円柱状に形成されている。
【0066】
この構成によれば、第1通路13および第2通路16の圧力が低下した場合でも、液滞留部18Aにおける接続口13aよりも下方に位置する領域だけでなく、接続通路17Bにおける接続口13aよりも下方に位置する領域にも凝縮液を滞留させることができる。そのため、圧力センサ50の周囲部材に対する凝縮液の冷却作用を高めることができる。これにより、圧力センサ50の周囲温度の上昇をより抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本開示の技術は、センサ装置について有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 センサ装置
10 本体
13 第1通路
13a 接続口
16 第2通路
17 接続通路
17A 接続通路
17B 接続通路
18 液滞留部
18A 液滞留部
18a 最下部
18b 最下部
50 圧力センサ