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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050012
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】透析管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20240403BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61M1/14 110
A61M1/16 111
A61M1/16 117
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156573
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】古市 淳也
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077HH02
4C077HH10
4C077HH16
4C077HH18
4C077HH20
4C077HH21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透析の結果を表示させる透析管理装置であって、体重の時系列データと除水量の時系列データとを同時に表示させる透析管理装置を提供する。
【解決手段】透析の結果を表示部14に表示させる透析管理装置10は、透析の結果として、透析を行う患者の体重の時系列データを取得する体重情報取得部22と、透析の結果として、透析による除水量の時系列データを取得する除水量情報取得部24と、表示部14に、体重の時系列データと除水量の時系列データとを同時に表示させる表示制御部26と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析の結果を表示部に表示させる透析管理装置であって、
前記透析の結果として、前記透析を行う患者の体重の時系列データを取得する体重情報取得部と、
前記透析の結果として、前記透析による除水量の時系列データを取得する除水量情報取得部と、
前記表示部に、前記体重の時系列データと前記除水量の時系列データとを同時に表示させる表示制御部と、
を有する、透析管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の透析管理装置において、
前記表示制御部は、
所定期間における前記体重の時系列データを、横軸を時間、縦軸を前記体重とするグラフとして前記表示部に表示させるとともに、前記所定期間における前記除水量の時系列データを、横軸を前記時間、縦軸を前記除水量とするグラフとして前記表示部に表示させ、
前記体重の単位と前記除水量の単位とを揃えた状態において、前記所定期間における前記体重の時系列データの最大値と最小値との差である第1の差と、前記所定期間における前記除水量の時系列データの最大値と最小値との差である第2の差とを比較し、
比較の結果、大きい方の差に基づいて、前記体重の時系列データを示すグラフ及び前記除水量の時系列データを示すグラフの両方における前記縦軸の幅を設定する、透析管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の透析管理装置において、
前記表示制御部は、
前記所定期間における前記体重の時系列データの中央値と、前記体重の時系列データを示すグラフの前記縦軸の幅とに基づいて、前記縦軸を設定し、
前記所定期間における前記除水量の時系列データの中央値と、前記縦軸の幅とに基づいて、前記除水量の時系列データを示すグラフの前記縦軸を設定する、透析管理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の透析管理装置において、
前記表示制御部は、前記体重の時系列データを示すグラフと、前記除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で、前記表示部に表示させる、透析管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の透析管理装置において、
前記表示制御部は、前記体重の時系列データを示すグラフ、及び、前記除水量の時系列データを示すグラフのうちいずれか一方を選択し、選択した一方のグラフの表示形態と、選択しなかった他方のグラフの表示形態とを変えて、前記表示部に表示させる、透析管理装置。
【請求項6】
表示部を制御して、透析の結果を前記表示部に表示させるコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
透析の結果として、前記透析を行う患者の体重の時系列データを取得する手順と、
前記透析の結果として、前記透析による除水量の時系列データを取得する手順と、
表示部に、前記表示部に前記体重の時系列データと前記除水量の時系列データとを同時に表示させる手順と、
を実行させる、プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
所定期間における前記体重の時系列データを、横軸を時間、縦軸を前記体重とするグラフとして前記表示部に表示させるとともに、前記所定期間における前記除水量の時系列データを、横軸を前記時間、縦軸を前記除水量とするグラフとして前記表示部に表示させる手順と、
前記体重の単位と前記除水量の単位とを揃えた状態において、前記所定期間における前記体重の時系列データの最大値と最小値との差である第1の差と、前記所定期間における前記除水量の時系列データの最大値と最小値との差である第2の差とを比較する手順と、
比較の結果、大きい方の差に基づいて、前記体重の時系列データを示すグラフ及び前記除水量の時系列データを示すグラフの両方における前記縦軸の幅を設定する手順と、
を実行させる、プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記所定期間における前記体重の時系列データの中央値と、前記体重の時系列データを示すグラフの前記縦軸の幅とに基づいて、前記縦軸を設定する手順と、
前記所定期間における前記除水量の時系列データの中央値と、前記縦軸の幅とに基づいて、前記除水量の時系列データを示すグラフの前記縦軸を設定する手順と、
を実行させる、プログラム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、前記体重の時系列データを示すグラフと、前記除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で、前記表示部に表示させる手順を実行させる、プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、前記体重の時系列データを示すグラフ、及び、前記除水量の時系列データを示すグラフのうちいずれか一方を選択し、選択した一方のグラフの表示形態と、選択しなかった他方のグラフの表示形態とを変えて、前記表示部に表示させる手順を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、在宅血液透析支援システムが開示されている。当該在宅血液透析支援システムは、透析を行う患者の体重の時系列データを表示部に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-114549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医師等のユーザは、体重の時間変化及び除水量の時間変化の両方に基づいて、患者の体重の増減の原因が透析における除水によるものであるか否かを判断する。しかし、上記特許文献1に開示された技術のように、表示部に、体重の時系列データが表示され、除水量の時系列データが表示されない場合、ユーザは、体重の時系列データが表示される画面と、除水量の時系列データが表示される画面とを切り替えて、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解する必要がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の第1の態様は、透析の結果を表示部に表示させる透析管理装置であって、当該透析管理装置は、前記透析の結果として、前記透析を行う患者の体重の時系列データを取得する体重情報取得部と、前記透析の結果として、前記透析による除水量の時系列データを取得する除水量情報取得部と、前記表示部に、前記体重の時系列データと前記除水量の時系列データとを同時に表示させる表示制御部と、を有する。これにより、ユーザは、同時に表示された体重の時系列データと除水量の時系列データとに基づき、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解することができる。
【0007】
(2)上記項目(1)の透析管理装置において、前記表示制御部は、所定期間における前記体重の時系列データを、横軸を時間、縦軸を前記体重とするグラフとして前記表示部に表示させるとともに、前記所定期間における前記除水量の時系列データを、横軸を前記時間、縦軸を前記除水量とするグラフとして前記表示部に表示させ、前記体重の単位と前記除水量の単位とを揃えた状態において、前記所定期間における前記体重の時系列データの最大値と最小値との差である第1の差と、前記所定期間における前記除水量の時系列データの最大値と最小値との差である第2の差とを比較し、比較の結果、大きい方の差に基づいて、前記体重の時系列データを示すグラフ及び前記除水量の時系列データを示すグラフの両方における前記縦軸の幅を設定してもよい。これにより、ユーザは、患者の体重の変化及び除水量の変化の両者の関係を容易に認識できる。
【0008】
(3)上記項目(2)の透析管理装置において、前記表示制御部は、前記所定期間における前記体重の時系列データの中央値と、前記体重の時系列データを示すグラフの前記縦軸の幅とに基づいて、前記縦軸を設定し、前記所定期間における前記除水量の時系列データの中央値と、前記縦軸の幅とに基づいて、前記除水量の時系列データを示すグラフの前記縦軸を設定してもよい。これにより、ユーザは、所定期間における患者の体重の変化及び除水量の変化の両者の関係を容易に認識できる。
【0009】
(4)上記(2)又は(3)の透析管理装置において、前記表示制御部は、前記体重の時系列データを示すグラフと、前記除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で、前記表示部に表示させてもよい。これにより、ユーザは、同時に体重の時系列データ及び除水量の時系列データの両方を視認できる。
【0010】
(5)上記項目(4)の透析管理装置において、前記表示制御部は、前記体重の時系列データを示すグラフ、及び、前記除水量の時系列データを示すグラフのうちいずれか一方を選択し、選択した一方のグラフの表示形態と、選択しなかった他方のグラフの表示形態とを変えて、前記表示部に表示させてもよい。これにより、体重の時系列データを示すグラフと、除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で表示させた場合であっても、ユーザが着目したいグラフを、ユーザが視認し易くできる。
【0011】
(6)本開示の第2の態様は、表示部を制御して、透析の結果を前記表示部に表示させるコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、当該プログラムは、前記コンピュータに、透析の結果として、前記透析を行う患者の体重の時系列データを取得する手順と、前記透析の結果として、前記透析による除水量の時系列データを取得する手順と、表示部に、前記表示部に前記体重の時系列データと前記除水量の時系列データとを同時に表示させる手順と、を実行させる。これにより、ユーザは、同時に表示された体重の時系列データと除水量の時系列データとに基づき、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解することができる。
【0012】
(7)上記項目(6)のプログラムは、前記コンピュータに、所定期間における前記体重の時系列データを、横軸を時間、縦軸を前記体重とするグラフとして前記表示部に表示させるとともに、前記所定期間における前記除水量の時系列データを、横軸を前記時間、縦軸を前記除水量とするグラフとして前記表示部に表示させる手順と、前記体重の単位と前記除水量の単位とを揃えた状態において、前記所定期間における前記体重の時系列データの最大値と最小値との差である第1の差と、前記所定期間における前記除水量の時系列データの最大値と最小値との差である第2の差とを比較する手順と、比較の結果、大きい方の差に基づいて、前記体重の時系列データを示すグラフ及び前記除水量の時系列データを示すグラフの両方における前記縦軸の幅を設定する手順と、を実行させてもよい。これにより、ユーザは、患者の体重の変化及び除水量の変化の両者の関係を容易に認識できる。
【0013】
(8)上記項目(7)のプログラムは、前記コンピュータに、前記所定期間における前記体重の時系列データの中央値と、前記体重の時系列データを示すグラフの前記縦軸の幅とに基づいて、前記縦軸を設定する手順と、前記所定期間における前記除水量の時系列データの中央値と、前記縦軸の幅とに基づいて、前記除水量の時系列データを示すグラフの前記縦軸を設定する手順と、を実行させてもよい。これにより、ユーザは、所定期間における患者の体重の変化及び除水量の変化の両者の関係を容易に認識できる。
【0014】
(9)上記項目(7)又は(8)のプログラムは、前記コンピュータに、前記体重の時系列データを示すグラフと、前記除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で、前記表示部に表示させる手順を実行させてもよい。これにより、ユーザは、同時に体重の時系列データ及び除水量の時系列データの両方を視認できる。
【0015】
(10)上記項目(9)のプログラムは、前記コンピュータに、前記体重の時系列データを示すグラフ、及び、前記除水量の時系列データを示すグラフのうちいずれか一方を選択し、選択した一方のグラフの表示形態と、選択しなかった他方のグラフの表示形態とを変えて、前記表示部に表示させる手順を実行させてもよい。これにより、体重の時系列データを示すグラフと、除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で表示させた場合であっても、ユーザが着目したいグラフを、ユーザが視認し易くできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ユーザは、同時に表示された体重の時系列データと除水量の時系列データとに基づき、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、透析管理装置のブロック図である。
図2図2は、表示部に表示される体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフの例を示す図である。
図3図3は、透析管理装置のブロック図である。
図4図4は、表示部に表示される体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
[透析管理装置]
図1は、透析管理装置10のブロック図である。透析管理装置10は、データベース12に記憶されている患者の体重の時系列データ及び除水量の時系列データを取得し、これらの時系列データを表示部14に表示させる。
【0019】
透析管理装置10は、演算部16及び記憶部18を有するコンピュータである。演算部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。演算部16は、表示期間情報取得部20、体重情報取得部22、除水量情報取得部24及び表示制御部26を有する。表示期間情報取得部20、体重情報取得部22、除水量情報取得部24及び表示制御部26は、記憶部18に記憶されているプログラムが演算部16によって実行されることによって実現される。表示期間情報取得部20、体重情報取得部22、除水量情報取得部24及び表示制御部26の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。表示期間情報取得部20、体重情報取得部22、除水量情報取得部24及び表示制御部26の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0020】
記憶部18は、コンピュータ可読記憶媒体である、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。データ等が、例えば、揮発性メモリに記憶される。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば、不揮発性メモリに記憶される。記憶部18の少なくとも一部が、上述したプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。記憶部18の少なくとも一部が、透析管理装置10とネットワークによって接続された機器に搭載されていてもよい。
【0021】
表示期間情報取得部20は、ユーザが入力装置28を用いて入力する表示期間の情報を取得する。入力装置28は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等である。表示期間は、例えば、「2022年3月16日~2022年4月15日」といったように、日単位で入力される。表示期間は、時分単位で入力されてもよい。また、表示期間は、特定の日付(例えば、今日)を基準として、「過去1週間」、「過去1か月」といったように入力されてもよい。
【0022】
体重情報取得部22は、データベース12から、前述の表示期間における患者の体重の時系列データを取得する。データベース12には、患者の体重が測定される度に、測定された日時に対応付けられて測定された患者の体重が記憶される。
【0023】
除水量情報取得部24は、データベース12から、前述の表示期間における患者の除水量の時系列データを取得する。データベース12には、患者に透析治療が行われる度に、透析治療が行われた日時に対応付けられて透析治療における除水量が記憶される。
【0024】
表示制御部26は、表示期間情報取得部20が取得した表示期間に対応する体重の時系列データ及び除水量の時系列データをグラフとして、表示部14に表示させる。
【0025】
図2は、表示部14に表示される体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフの例を示す図である。図2に示す例において、表示期間は「2022年3月16日~2022年4月15日」である。
【0026】
体重の時系列データは、縦軸を体重、横軸を時間(日にち)とする折れ線グラフとして表示される。除水量の時系列データは、縦軸を除水量、横軸を時間(日にち)とする折れ線グラフとして表示される。
【0027】
透析管理装置10、入力装置28、データベース12及び表示部14のうち一部又は全部が、一体に設けられてもよい。透析管理装置10、入力装置28、データベース12及び表示部14の各々は別体に設けられてもよい。透析管理装置10、入力装置28、データベース12及び表示部14の各々は、他の装置の機能として組み込まれていてもよい。
【0028】
[表示制御]
表示制御部26において行われる表示制御について詳しく説明する。
【0029】
表示制御部26は、体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフの縦軸の幅Aを設定する。図2の体重の時系列データのグラフの縦軸において、縦軸の幅Aとは、縦軸の最大値57.6[kg]と最小値56.8[kg]との差である0.8[kg]を示す。図2の除水量の時系列データのグラフの縦軸において、縦軸の幅Aとは、縦軸の最大値1900[mL]と最小値1100[mL]との差である800[mL](=0.8[kg])を示す。
【0030】
次に、表示制御部26は、体重の時系列データのグラフの縦軸の範囲RAwと、除水量の時系列データのグラフの縦軸の範囲RArとを設定する。図2の体重の時系列データのグラフの縦軸において、縦軸の範囲RAwとは、縦軸の最小値56.8[kg]から最大値57.6[kg]の範囲のことを示す。図2の除水量の時系列データのグラフの縦軸において、縦軸の範囲RArとは、縦軸の最小値1100[mL]から最大値1900[mL]の範囲のことを示す。
【0031】
次に、表示制御部26は、表示部14に表示させる体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフを生成する。その後、表示制御部26は、表示部14を制御して生成したグラフを表示させる。
【0032】
(縦軸の幅の設定)
体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフにおける縦軸の幅Aは、表示期間における体重の時系列データの最大値Wmax及び最小値Wminと、表示期間における除水量の時系列データの最大値Rmax及び最小値Rminとに基づいて設定される。
【0033】
図2に示す例では、「2022年3月16日~2022年4月15日」の表示期間における体重の時系列データは、最大値Wmax=57.6[kg]、最小値Wmin=56.8[kg]である。また、同表示期間における除水量の時系列データは、最大値Rmax=1600[mL]、最小値Rmin=1400[mL]である。
【0034】
図2の例を用いて、体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフにおける縦軸の幅Aの設定方法について説明する。
【0035】
表示制御部26は、表示期間における体重の時系列データの最大値Wmax及び最小値Wminを求める。表示制御部26は、表示期間における除水量の時系列データの最大値Rmax及び最小値Rminを求める。
【0036】
次に、表示制御部26は、除水量の時系列データの最大値Rmax及び最小値Rminを重量に換算した最大値RWmax及び最小値RWminを求める。この換算は、除水された水の比重を1/1000[kg/mL]として、以下の式により計算される。
【0037】
[数1]
RWmax=Rmax×1/1000=1.6[kg]
RWmin=Rmin×1/1000=1.4[kg]
【0038】
次に、表示制御部26は、体重の時系列データの最大値Wmaxと最小値Wminとの差である第1の差Wppを求める。また、表示制御部26は、除水量の時系列データの最大値RWmaxと最小値RWminとの差である第2の差RWppを求める。
【0039】
[数2]
Wpp=Wmax-Wmin=0.8[kg]
RWpp=RWmax-RWmin=0.2[kg]
【0040】
次に、表示制御部26は、第1の差Wppと第2の差RWppのうち大きい方を、グラフの縦軸の幅Aに設定する。
【0041】
[数3]
A=max(Wpp、RWpp)=0.8[kg]
【0042】
(縦軸の範囲の設定)
図2の例を用いて、体重の時系列データのグラフの縦軸の範囲RAw及び除水量の時系列データのグラフの縦軸の範囲RArの設定方法について説明する。
【0043】
表示制御部26は、表示期間における体重の時系列データの中央値Wmidを求める。また、表示制御部26は、表示期間における除水量の時系列データの中央値RWmidを求める。
【0044】
[数4]
Wmid=(Wmax+Wmin)/2=57.2[kg]
RWmid=(RWmax+RWmin)/2=1.5[kg]
【0045】
次に、表示制御部26は、体重の時系列データのグラフにおける縦軸の範囲RAwを求める。また、表示制御部26は、除水量の時系列データのグラフにおける縦軸の範囲RArを求める。
【0046】
[数5]
RAw=[Wmid-A/2、Wmid+A/2]=[56.8、57.6]
RAr=[RWmid-A/2×1000、RWmid+A/2×1000]
=[1100、1900]
【0047】
(グラフの生成)
図2の例を用いて、体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフのの生成方法について説明する。
【0048】
表示制御部26は、縦軸を範囲をRAw、横軸の範囲を表示期間とする体重の時系列データ用の座標を生成する。表示制御部26は、生成した座標上に体重の時系列データを示す点をプロットし、プロットされた点を結んで、体重の時系列データのグラフを生成する。
【0049】
また、表示制御部26は、縦軸を範囲をRAr、横軸の範囲を表示期間とする除水量の時系列データ用の座標を生成する。表示制御部26は、生成した座標上に体重の時系列データを示す点をプロットし、プロットされた点を結んで、除水量の時系列データのグラフを生成する。
【0050】
表示制御部26は、図2にL1で示す体重の時系列データのグラフの縦軸の長さと、図2にL2で示す除水量の時系列データのグラフの縦軸の長さとを一致させる。
【0051】
表示制御部26は、生成した各々のグラフを表示部14に表示させる。表示制御部26は、体重の時系列データのグラフについて、閾値を超える部分の表示形態と、閾値を超えない部分の表示形態とを変えて、表示部14に表示させる。
【0052】
図2に示すように、体重の時系列データのグラフについて、閾値(=57.5[kg])を超える部分は点線で表示され、閾値を超えない部分は実線で表示される。線の種類が変えられるのではなく、線の色が変えられてもよい。また、線の太さが変えられてもよい。
【0053】
閾値は、予め設定されていてもよい。また、閾値は、ユーザが入力装置28を用いて入力した情報に基づいて設定されてもよい。
【0054】
閾値は、複数設定されてもよい。例えば、第1の閾値と、第1の閾値よりも小さい第2の閾値とが設定されてもよい。この場合、表示制御部26は、体重の時系列データのグラフについて、第1の閾値と第2の閾値とにより規定される範囲を超える部分の表示形態と、当該範囲内の部分の表示形態とを変えて、表示部14に表示させてもよい。
【0055】
[作用効果]
医師等のユーザは、体重の時間変化及び除水量の時間変化の両方に基づいて、患者の体重の増減の原因が透析における除水によるものであるか否かを判断する。従来の透析管理装置では、表示部に、体重の時系列データ及び除水量の時系列データの一方が表示される。体重の時系列データ及び除水量の時系列データの他方を表示部に表示させるためには、ユーザは、表示部の画面を切り替える等の操作を行う必要がある。そのため、ユーザは、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化の理解に時間を要する問題がある。また、ユーザが患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解するために、ユーザが行う操作が過大になる問題がある。
【0056】
本実施形態の透析管理装置10は、体重情報取得部22と、除水量情報取得部24と、表示制御部26と、を有する。体重情報取得部22は、透析の結果として、透析を行う患者の体重の時系列データを取得する。除水量情報取得部24は、透析の結果として、透析による除水量の時系列データを取得する。表示制御部26は、表示部14に、体重の時系列データと除水量の時系列データとを同時に表示させる。
【0057】
これにより、ユーザは、同時に体重の時系列データ及び除水量の時系列データの両方を視認できる。その結果、ユーザは、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解する時間を短縮できる。また、ユーザが患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解するために、ユーザが行う操作を低減できる。
【0058】
本実施形態の透析管理装置10では、表示制御部26は、表示期間における体重の時系列データを、横軸を時間、縦軸を体重とするグラフとして表示部14に表示させる。また、表示制御部26は、表示期間における除水量の時系列データを、横軸を時間、縦軸を除水量とするグラフとして表示部14に表示させる。
【0059】
さらに、表示制御部26は、体重の単位と除水量の単位とを揃えた状態において、第1の差Wppと第2の差RWppとを比較する。第1の差Wppは、表示期間における体重の時系列データの最大値Wmaxと最小値Wminとの差である。第2の差RWppは、表示期間における除水量の時系列データの最大値RWmaxと最小値RWminとの差である。
【0060】
またさらに、表示制御部26は、第1の差Wppと第2の差RWppとの比較の結果、大きい方の差に基づいて、体重の時系列データを示すグラフ及び除水量の時系列データを示すグラフの両方における縦軸の幅Aを設定する。
【0061】
これにより、透析管理装置10は、体重の時系列データを示すグラフの縦軸の幅Aと、除水量の時系列データを示すグラフの縦軸の幅Aとを等しくできる。その結果、各グラフにおける単位目盛当たりの体重の変化量と除水量の変化量とを一致させることができる。そのため、ユーザは、患者の体重の変化及び除水量の変化の両者の関係を容易に認識できる。
【0062】
本実施形態の透析管理装置10では、表示制御部26は、表示期間における体重の時系列データの中央値Wmidと、縦軸の幅とに基づいて、体重の時系列データを示すグラフの縦軸を設定する。また、表示制御部26は、表示期間における除水量の時系列データの中央値Rmidと、縦軸の幅とに基づいて、除水量の時系列データを示すグラフの縦軸を設定する。
【0063】
これにより、縦軸の範囲において、体重の時系列データのグラフの表示と、除水量の時系列データのグラフの表示を収めることができる。すなわち、体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフが、縦軸からはみ出すことがない。その結果、ユーザは、表示期間における患者の体重の変化及び除水量の変化の両者の関係を容易に認識できる。
【0064】
〔第2実施形態〕
図3は、透析管理装置10のブロック図である。本実施形態の透析管理装置10は、選択情報取得部30を有する点で、第1実施形態の透析管理装置10と相違する。また、本実施形態の透析管理装置10は、表示制御部26により表示部14に表示させるグラフの表示形態が、第1実施形態の透析管理装置10における表示制御部26と相違する。本実施形態の透析管理装置10における他の構成については、第1実施形態の透析管理装置10と同じであるため、説明を省略する。
【0065】
選択情報取得部30は、ユーザが入力装置28を用いて入力した情報に基づいて、体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフのうち、ユーザが選択したグラフの情報を取得する。
【0066】
表示期間情報取得部20が取得した表示期間に対応する体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフを、表示部14に表示させる。
【0067】
図4は、表示部14に表示される体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフの例を示す図である。
【0068】
表示制御部26は、図4に示すように、体重の時系列データのグラフと、除水量の時系列データのグラフとを重ね合わせて、表示部14に表示させる。
【0069】
また、表示制御部26は、ユーザが選択したグラフの情報に基づいて、体重の時系列データのグラフ及び除水量の時系列データのグラフの一方を選択する。表示制御部26は、選択した一方のグラフの表示形態を、他方のグラフの表示形態と変えて、表示部14に表示させる。表示制御部26が体重の時系列データのグラフを選択した場合、図4に示すように、選択された体重の時系列データのグラフは実線で表示される。一方、選択されなかった除水量の時系列データのグラフは一点鎖線で表示される。線の種類が変えられるのではなく、線の色が変えられてもよい。また、線の太さが変えられてもよい。
【0070】
[作用効果]
本実施形態の透析管理装置10では、表示制御部26は、体重の時系列データを示すグラフと、除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で、表示部14に表示させる。これにより、ユーザは、同時に表示された体重の時系列データと除水量の時系列データとに基づき、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解することができる。その結果、ユーザは、患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解する時間を短縮できる。また、ユーザが患者の体重の時間変化及び除水量の時間変化を理解するために、ユーザが行う操作を低減できる。
【0071】
本実施形態の透析管理装置10では、表示制御部26は、体重の時系列データを示すグラフ及び除水量の時系列データを示すグラフのうちいずれか一方を選択する。また、表示制御部26は、選択した一方のグラフの表示形態と、選択しなかった他方のグラフの表示形態とを変えて、表示部14に表示させる。
【0072】
これにより、表示部14に、体重の時系列データを示すグラフと、除水量の時系列データを示すグラフとを重ね合わせた状態で表示させた場合であっても、ユーザが着目したいグラフを、ユーザが視認し易くできる。
【0073】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0074】
10…透析管理装置 14…表示部
22…体重情報取得部 24…除水量情報取得部
26…表示制御部
図1
図2
図3
図4