(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050035
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、照明装置および照明システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20240403BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240403BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q10/063
F21V23/00 115
G06T7/00 660Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156609
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 佳幸
【テーマコード(参考)】
3K014
5L010
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
3K014AA00
5L010AA06
5L049AA06
5L096AA06
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】分析対象の作業者のより正確な情報を得ること。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、取得部と、検出部と、記憶部と、設定部と、分析部と、出力部とを具備する。取得部は、撮像部によって撮像された撮像画像を取得する。検出部は、取得部によって取得された撮像画像から作業者の体の特定部位の位置を検出する。記憶部は、作業者の作業情報を記憶する。設定部は、作業者の基本位置となる作業エリアおよび作業エリアと対応する他のエリアの分析を行う条件を設定する。分析部は、設定部の情報および記憶部の情報から作業者の作業分析を行う。出力部は、分析部によって分析された作業分析結果を出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部によって撮像された撮像画像を取得する取得部と;
前記取得部によって取得された前記撮像画像から作業者の体の特定部位の位置を検出する検出部と;
前記作業者の作業情報を記憶する記憶部と;
前記作業者の基本位置となる作業エリアおよび前記作業エリアと対応する他のエリアの分析を行う条件を設定する設定部と;
前記設定部の情報および前記記憶部の情報から前記作業者の作業分析を行う分析部と;
前記分析部によって分析された作業分析結果を出力する出力部と;
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記作業エリアにおいて前記作業者の前記特定部位のうちの一が検知され、かつ、前記他のエリアにおいて前記作業者の前記特定部位のうちの他が検知された場合を前記分析を行う条件とする
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、
骨格検知によって前記特定部位の位置を検出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記作業者を撮像し、撮像画像を請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置へ送信する撮像部と;
前記作業者を照らす照明部と;
を具備する照明装置。
【請求項5】
照明装置と;
情報処理装置と;
を具備し、
前記照明装置は、
作業者を撮像する撮像部と;
前記作業者を照らす照明部と;
を有し、
前記情報処理装置は、
撮像部によって撮像された撮像画像を取得する取得部と;
前記取得部によって取得された前記撮像画像から作業者の体の特定部位の位置を検出する検出部と;
前記作業者の作業情報を記憶する記憶部と;
前記作業者の基本位置となる作業エリアおよび前記作業エリアと対応する他のエリアの分析を行う条件を設定する設定部と;
前記設定部の情報および前記記憶部の情報から前記作業者の作業分析を行う分析部と;
前記分析部によって分析された作業分析結果を出力する出力部と;
を有する
照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、照明装置および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手作業における生産性を向上させるために、作業台の上方にカメラを取り付け、取り付けたカメラで撮影した映像を解析して作業分析を行うことが知られている。
【0003】
カメラ映像を用いて作業分析を行う場合、たとえば、動体検知などで作業者を検出し、作業の過程において作業者の手が侵入すると予想されるエリアを指定し、指定したエリアに手が入ったことを検出することで、作業スピードおよび作業手順などを解析している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上方からカメラで作業者を撮影する場合、顔や体格などの個人を特定するための情報を得ることがむずかしい。このため、従来技術では、カメラ映像に複数の人物が映っている場合、たとえば、分析対象の作業者の近くに映っている別の人物がエリアに手などを入れたとしても、これを識別することができず、分析対象の作業者の正確な情報が得られないことがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、分析対象の作業者のより正確な情報を得ることができる情報処理装置、照明装置および照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る情報処理装置は、取得部と、検出部と、記憶部と、設定部と、分析部と、出力部とを具備する。取得部は、撮像部によって撮像された撮像画像を取得する。検出部は、取得部によって取得された撮像画像から作業者の体の特定部位の位置を検出する。記憶部は、作業者の作業情報を記憶する。設定部は、作業者の基本位置となる作業エリアおよび作業エリアと対応する他のエリアの分析を行う条件を設定する。分析部は、設定部の情報および記憶部の情報から作業者の作業分析を行う。出力部は、分析部によって分析された作業分析結果を出力する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態に係る情報処理装置によれば、分析対象の作業者のより正確な情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る照明システムを備える照明装置の外観例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る照明システムの概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、分析対象の作業者の検知方法の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、分析対象の作業者の作業分析の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、作業分析結果を用いた生産性向上案の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施形態に係る情報処理装置20は、取得部231と、検出部232と、記憶部22と、設定部233と、分析部234と、出力部235とを具備する。取得部231は、撮像部16によって撮像された撮像画像Mを取得する。検出部232は、取得部231によって取得された撮像画像Mから作業者50の体の特定部位51の位置を検出する。記憶部22は、作業者50の作業情報を記憶する。設定部233は、作業者50の基本位置となる作業エリアA1および作業エリアA1と対応する他のエリアA2の分析を行う条件を設定する。分析部234は、設定部233の情報および記憶部22の情報から作業者50の作業分析を行う。出力部235は、分析部234によって分析された作業分析結果を出力する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理装置20において、設定部233は、作業エリアA1において作業者50の特定部位51のうちの一が検知され、かつ、他のエリアA2において作業者50の特定部位51のうちの他が検知された場合を分析を行う条件とする。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理装置20において、検出部232は、骨格検知によって特定部位51の位置を検出する。
【0013】
以下に説明する実施形態に係る照明装置10は、撮像部16と、照明部11とを具備する。撮像部16は、作業者50を撮像し、撮像画像Mを情報処理装置20へ送信する。照明部11は、作業者50を照らす。
【0014】
以下に説明する実施形態に係る照明システム1は、照明装置10と、情報処理装置20とを具備する。照明装置10は、作業者50を撮像する撮像部16と、作業者50を照らす照明部11とを有する。情報処理装置20は、撮像部16によって撮像された撮像画像Mを取得する取得部231と、取得部231によって取得された撮像画像Mから作業者50の体の特定部位51の位置を検出する検出部232と、作業者50の作業情報を記憶する記憶部22と、作業者50の基本位置となる作業エリアA1および作業エリアA1と対応する他のエリアA2の分析を行う条件を設定する設定部233と、設定部233の情報および記憶部22の情報から作業者50の作業分析を行う分析部234と、分析部234によって分析された作業分析結果を出力する出力部235とを有する。
【0015】
以下、実施形態に係る情報処理装置、照明装置および照明システムについて詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
(照明装置)
まず、実施形態に係る照明装置10の構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る照明システム1が備える照明装置10の外観例を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、照明装置10は、照明部11と、撮像ユニット12と、本体部13とを具備する。照明装置10は、たとえば、本体部13が天井面などに設置され、照明部11から出力される光が床面へと照射される天井直付けタイプの照明装置である。照明装置10は、たとえば、工場での生産ラインの監視やオフィス内での従業員の状態監視などの用途で主に屋内で使用される。
【0018】
なお、説明を分かりやすくするために、
図1には、鉛直下向きを正方向とし、鉛直上向きを負方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。また、X軸は照明装置10の長さ方向に、Y軸は照明装置10の幅方向に、それぞれ沿うように図示している。
【0019】
照明部11は、Y軸方向に沿うように配置された、長尺状のシャーシまたは基板(図示せず)上に所定の間隔で配置された複数の発光素子(図示せず)を有し、シャーシとの間に発光素子が収容されるよう床面側、すなわちZ軸正方向側に拡散カバー14が設けられた照明バーである。
【0020】
拡散カバー14は、たとえば、アクリルやポリカーボネートなどの透光性の材料から作られている。拡散カバー14は、フロスト処理が施されて複数の発光素子から出射される光を拡散する機能を有するようになっている。なお、拡散カバー14に適宜拡散材や着色剤を混入させてもよい。
【0021】
撮像ユニット12は、遮光カバー15と、カメラ16とを有する。カメラ16は、撮像部の一例である。撮像ユニット12は、照明部11のX軸負方向側に隣り合うように並んで配置される。
【0022】
本体部13は、照明部11および撮像ユニット12を保持する。また、本体部13は、照明装置10を天井などの所定の位置に取り付けるための取付部材を兼ねる。
【0023】
遮光カバー15は、本体部13との間にカメラ16を覆うように本体部13のZ軸正方向側に配設される。また、遮光カバー15は、カメラ16のレンズと対向する位置に設けられた貫通口を有する。このような遮光カバー15を配設することで、照明部11の拡散カバー14から照射された光をカメラ16のレンズに入り込みにくくすることができる。
【0024】
(照明システム)
次に、実施形態に係る照明システム1の構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、実施形態に係る照明システム1の概要を示す図である。なお、以下では、照明システム1が工場に導入される場合を例に挙げて説明する。
【0025】
図2に示すように、実施形態に係る照明システム1は、複数の照明装置10と、情報処理装置20とを備える。また、
図2に示す例では、各照明装置10が工場の作業現場(たとえば、製造ラインなど)に設置される場合を示す。
【0026】
複数の照明装置10は、たとえば、生産ラインにおける各作業者50の作業スペース40(
図4参照)の上部にそれぞれ設けられ、カメラ16により、各作業スペース40を上方から撮像する。
【0027】
情報処理装置20は、作業現場に設置された各照明装置10を管理する装置である。たとえば、情報処理装置20は、ネットワークNを介して、各照明装置10の照明部11の照明態様や、カメラ16の撮像処理などを遠隔で制御する。
【0028】
また、情報処理装置20は、各照明装置10のカメラ16で撮像された撮像画像を収集し、記憶する。たとえば、情報処理装置20によって収集された撮像画像は、作業現場の監視などに用いられる。なお、本実施形態において、情報処理装置20は、静止画としての撮像画像を取得してもよく、動画としての撮像画像を取得してもよい。
【0029】
(情報処理装置)
次に、実施形態に係る情報処理装置20の構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置20の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを具備する。
【0030】
通信部21は、たとえば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部21は、たとえば、ネットワークNを介して、複数の照明装置10や、管理者端末30との間で情報の送受信を行う。
【0031】
記憶部22は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0032】
図3に示すように、記憶部22は、撮像画像記憶部221と、作業時間記憶部222と、作業工程記憶部223と、作業情報記憶部224ととを具備する。撮像画像記憶部221は、各照明装置10で撮像された撮像画像M(
図4参照)を記憶する。
【0033】
作業時間記憶部222は、作業者50(
図4参照)の作業時間(タクトタイムともいう)を記憶する。また、作業時間記憶部222は、作業者50の作業手順を記憶する。作業時間は、作業者が1つの製品の作業工程を終えるまでに要した時間である。作業時間は、作業工程における単位作業ごとに分けて記憶されてもよい。
【0034】
また、作業時間記憶部222は、作業者50が1つの単位作業や1つの作業工程において有効作業を実施した時間(有効作業時間ともいう)と無効作業を実施した時間(無効作業時間ともいう)とを記憶する。なお、有効作業とは、作業の対象物に対して付加価値を付ける作業のことであり、たとえば、対象物に部品を取り付ける作業などである。また、無効作業とは、作業の対象物に対して付加価値を付けない作業のことであり、たとえば、部品や作業用の道具(工具)を取る作業などである。また、1つの単位作業とは、たとえば、1つの対象物に対する作業のことである。
【0035】
作業工程記憶部223は、予め登録された作業工程であり、生産ラインにおいて各作業者50が行うべき作業工程を記憶する。作業工程とは、作業者50が作業スペース40において行うべき単位作業を各工程とする情報である。具体的には、作業工程は、行うべき単位作業の種類、単位作業を行う順序(作業手順)などが含まれる。
【0036】
作業情報記憶部224は、各作業者50が行った作業を記憶する。たとえば、作業情報記憶部224は、作業者50が行った単位作業の種類や、各単位作業の開始時刻および終了時刻(いずれか一方の時刻のみでもよい)を記憶する。すなわち、作業情報記憶部224は、各作業者50が行った作業の履歴を記憶する。
【0037】
制御部23は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部23は、たとえば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0038】
図3に示すように、制御部23は、取得部231と、検出部232と、設定部233と、分析部234と、出力部235とを具備する。なお、制御部23の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する制御処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0039】
取得部231は、照明装置10の撮像部(カメラ)16によって撮像された撮像画像M(
図4参照)を取得する。たとえば、取得部231は、リアルタイムで各照明装置10のカメラ16から撮像画像Mを取得し、取得した撮像画像Mを作業スペース40ごと(あるいは、作業者50ごと)に撮像画像記憶部221へ格納する。
【0040】
検出部232は、各種の検出を行う。たとえば、検出部232は、取得部231によって取得され、撮像画像記憶部221に格納された撮像画像Mから、たとえば、作業者50の体の一部である頭部(または胴部)51a(
図4参照)および手51b(
図4参照)の位置を検出する。作業者50の頭部51aおよび手51bは、作業者50の体の特定部位51(
図4参照)の一例である。なお、検出部232は、作業者50の体の特定部位51として、片手のみ検出してもよいし、足などの頭部(または胴部)や手以外の部位を検出してもよい。言い換えれば、特定部位51は、作業者50が作業で使う体の部位であればよい。
【0041】
また、検出部232は、取得部231によって取得された撮像画像Mから作業スペース40内における作業対象となる物体(対象物)の位置を検出する。対象物としては、製品(完成品)、製品の部品、製品の製造作業に用いる工具などがある。
【0042】
また、検出部232は、検出した作業者50の手51bの位置や対象物の位置などに基づいて、作業者50が有効作業を実施しているか、または無効作業を実施しているかを判別する。具体的には、検出部232は、作業者50の手51bによる対象物の保持状態や、手51bが所定のエリア内に存在するか否かによって有効作業か無効作業かを判定する。
【0043】
そして、検出部232は、作業者50が1つの単位作業において有効作業を実施した時間(有効作業時間)と無効作業を実施した時間(無効作業時間)とをそれぞれ計測し、記憶部22の作業時間記憶部222へ記憶する。
【0044】
また、検出部232は、検出した作業者50の特定部位51の位置に基づいて、作業者50の作業時間を検出する。具体的には、検出部232は、製品ごとに、作業者50が作業工程を終えるまでに要した時間を作業時間として検出する。なお、作業時間は、作業工程における単位作業ごとの時間であってもよい。
【0045】
設定部233は、撮像画像Mにおいて、作業エリアA1(
図4参照)と、作業エリアA1と対応するとともに作業エリアA1とは異なる他のエリアA2(
図4参照)とを設定する。本実施形態では、
図4に示すような検知方法で分析対象の作業者50(50A,50B)を検知する。
【0046】
ここで、
図4を参照して分析対象の作業者50(50A,50B)の検知方法について説明する。
図4は、分析対象の作業者50(50A,50B)の検知方法の一例を示す図である。
【0047】
図4に示すように、分析対象の作業者50の検知するために、撮像画像Mにおいて、作業エリアA1および他のエリアA2が設定される。作業エリアA1は、作業者50の基本位置として指定されたエリアであり、作業者50が作業する場合に、この作業者50の作業台41に対する立ち位置となるエリアである。なお、作業者50が座って作業している場合は、作業者50が座っている位置が作業エリアA1となる。
【0048】
他のエリアA2は、作業エリアA1と対応するエリアとして設定される。他のエリアA2は、具体的には、製品の完成品、部品、作業に用いる工具などが置かれた位置として指定されたエリアである。以下では、このような他のエリアを「部品エリア」という。部品エリアA2は、たとえば、「完成品」、「部品1」、「部品2」、「工具1」、「工具2」のように、複数指定されてもよい。作業エリアA1および部品エリアA2は、たとえば、管理者などによって指定される。
【0049】
図4に示すように、たとえば、撮像画像Mが広角画像である場合、同時に複数人(図示の例では、2人)を分析対象の作業者50(50A,50B)とすることができる。なお、この場合には、作業者50Aおよび作業者50Bを同時に分析するために、作業者50Aに対応するレイヤを設定し、作業者50Bに対応するレイヤを設定する。
【0050】
設定部233(
図3参照)は、作業エリアA1および部品エリアA2の分析を行う条件を設定する。このために、設定部233は、判定部233aを備える。判定部233aは、作業エリアA1において作業者50(たとえば、作業者50A)の体のうち、体を上方から見た場合の中心部分となる頭部(または胴部)51aが検知され、かつ、部品エリアA2において同一作業者(作業者50A)の手51bが検知された場合に、分析対象となる作業者50Aの作業として判定する。
【0051】
設定部233は、判定部233aによって同一作業者(作業者50A)と判定された場合を、分析を行う条件として設定する。このように、設定部233は、作業エリアA1において作業者50Aの特定部位51のうちの1つである頭部(または胴部)51aが検知され、かつ、部品エリアA2において作業者50Aの特定部位51のうちの1つであり、頭部(または胴部)51a以外の部位である手51bが検知された場合を、分析対象の作業者50Aの分析を行う条件とする。
【0052】
また、ここで、
図5を参照して分析対象の作業者50の作業分析の処理手順の一例について説明する。
図5は、分析対象の作業者50の作業分析の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0053】
図5に示すように、制御部23は、取得部231によって撮像画像Mを取得する(ステップS101)。次いで、制御部23は、作業者50の手51bの位置を検出する(ステップS102)。次いで、制御部23は、作業者50の頭部(または胴部)51aの位置を検出する(ステップS103)。
【0054】
制御部23は、判定部233aにおいて、部品エリアA2に作業者50の手51bがあるか否かを判定する(ステップS104)。制御部23は、ステップS104の処理において、部品エリアA2に作業者50の手51bがあると判定した場合(ステップS104;Yes)、判定部233aにおいて、作業エリアA1に作業者50の頭部51aがあるか否かを判定する(ステップS105)。制御部23は、ステップS105の処理において、作業エリアA1に作業者50の頭部51aがあると判定した場合(ステップS105;Yes)、分析対象の作業者50と判定し(ステップS106)、作業をカウントする(ステップS107)。
【0055】
なお、制御部23は、ステップS104の処理において、部品エリアA2に作業者50の手51bがないと判定した場合には(ステップS104;No)、処理を終了する。すなわち、制御部23は、作業をカウントしない。また、制御部23は、ステップS105の処理において、部品エリアA2に作業者50の頭部51aがないと判定した場合には(ステップS105;No)、処理を終了する。すなわち、制御部23は、作業をカウントしない。
【0056】
たとえば、撮像画像Mに複数人(たとえば、2人)の作業者50(50A,50B)が映っている場合に、作業者50Aが分析対象であり、作業者50Bが分析対象でない場合で、作業者50Aの完成品が置かれた位置となる部品エリアA2(A21)から作業者50Bが完成品を受け取って次の作業を行うような場合、作業者50Aの部品エリアA21には、作業者50Aが完成品を入れる場合と、作業者50Bが完成品を取り出す場合がある。このとき、作業者50Aが完成品を入れる場合と作業者50Bが完成品を取る場合との両方を作業者50Aの作業として検知すると、単純計算で作業者50Aの作業量が倍になるため、誤検知となる。なお、共用の工具がある場合にも、工具の置かれた位置を部品エリアA2(A21)とすると、このような誤検知が発生し得る。
【0057】
本実施形態では、上記したような分析対象の作業者50の作業分析を行うことで、同一作業者(作業者50A)の作業として認識することができる。すなわち、作業者50Aの作業エリアA1を指定することで、作業エリアA1において頭部51aを検知し、かつ、作業エリアA1と対応する部品エリアA2において作業者50Aの手51bを検知した場合に、同一作業者(作業者50A)の作業として認識することができる。
【0058】
また、本実施形態では、検出部232は、骨格検知によって作業者50の頭部(または胴部)51aおよび手51bの位置を検知する。なお、作業者50の頭部51aおよび手51bの判別は、AI(人工知能)を活用することで容易に行うことができる。
【0059】
分析部234は、設定部233の情報および記憶部22の情報から分析対象の作業者50の作業分析を行う。分析部234は、分析対象の作業者50の作業時間を分析する。また、分析部234は、分析対象の作業者50の部品エリアA2に手を入れた順番から、作業手順(作業を進めるための手順が一定になっているかなど)を分析する。
【0060】
出力部235は、分析部234によって分析された、分析対象の作業者50の作業分析結果を出力する。
【0061】
また、本実施形態では、分析対象の作業者50の正確な情報が得られることから正しく作業分析を行うことができるため、生産性向上のための改善にも活用することができる。
【0062】
ここで、
図6を参照して、本実施形態による作業分析結果を用いた生産性向上案の一例について説明する。
図6は、作業分析結果を用いた生産性向上案の一例の説明図である。なお、
図6には、「A作業者」、「B作業者」、「C作業者」の3人の作業者の各作業時間の平均値を棒グラフで示している。
【0063】
図6に示す例では、A作業者の作業時間が最も長く、次いで、C作業者、B作業者の順に作業時間が長くなっていることがわかる。この場合、A作業者が行っている作業の一部をB作業者へ振り分けることで、全体として作業時間が短くなる。このように、作業者の各作業時間の平均値を作業分析結果と同時に出力することで、製造ラインのラインバランスの分析に活用可能なデータも出力することができる。
【0064】
なお、
図4に示すような広角画像(撮像画像M)で複数の作業者を映す場合は、複数の作業者の作業分析を同時に行うことができ、かつ、得られた複数の結果を組み合わせて、ラインバランスの分析のためのグラフを1回の分析操作で作成することができる。
【0065】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理装置20は、取得部231と、検出部232と、記憶部22と、設定部233と、分析部234と、出力部235とを具備する。取得部231は、撮像部16によって撮像された撮像画像Mを取得する。検出部232は、取得部231によって取得された撮像画像Mから作業者50の体の特定部位51の位置を検出する。記憶部22は、作業者50の作業情報を記憶する。設定部233は、作業者50の基本位置となる作業エリアA1および作業エリアA1と対応する他のエリアA2の分析を行う条件を設定する。分析部234は、設定部233の情報および記憶部22の情報から作業者50の作業分析を行う。出力部235は、分析部234によって分析された作業分析結果を出力する。
【0066】
このような構成によれば、作業エリアA1および作業エリアA1と対応する他のエリア(部品エリア)A2の分析を行う条件を設定することで、分析対象の作業者50(50A)と別の作業者50(50B)との識別が可能となる。これにより、別の作業者50Bの作業を分析対象の作業者50Aの作業として検知(すなわち、誤検知)するのを抑えることができ、分析対象の作業者50Aのより正確な情報を得ることができる。さらには、分析対象の作業者50あの正確な情報が得られることから正しく作業分析を行うことができるため、生産性向上のための改善にも活用することができる。
【0067】
また、実施形態に係る情報処理装置20において、設定部233は、作業エリアA1において作業者50の特定部位51のうちの一が検知され、かつ、他のエリアA2において作業者50の特定部位51のうちの他が検知された場合を分析を行う条件とする。
【0068】
このような構成によれば、作業エリアA1において作業者50の頭部(または胴部)51aが検知され、かつ、他のエリア(部品エリア)A2において作業者50の手51bが検知されると、同一作業者の作業として検知する。これにより、分析対象の作業者50(50A)と別の作業者50(50B)とを識別することができ、分析対象の作業者50Aのより正確な情報を得ることができる。
【0069】
また、実施形態に係る情報処理装置20において、検出部232は、骨格検知によって特定部位51の位置を検出する。
【0070】
このような構成によれば、撮像画像Mから骨格検知によって作業者50の体の特定部位51を検出することから、作業者50の立ち位置(頭部51aの位置)と手51bの位置とを常に検出することができ、分析対象とは別の作業者50の手51bなどが他のエリア(部品エリア)A2に侵入したとしても、立ち位置の情報から、この検出結果をノイズとして排除することができる。これにより、分析対象の作業者50のより正確な情報を得ることができる。
【0071】
また、実施形態に係る照明装置10は、撮像部16と、照明部11とを具備する。撮像部16は、作業者50を撮像し、撮像画像Mを情報処理装置20へ送信する。照明部11は、作業者50を照らす。
【0072】
このような構成によれば、作業エリアA1および作業エリアA1と対応する他のエリア(部品エリア)A2の分析を行う条件を設定することで、分析対象の作業者50(50A)と別の作業者50(50B)との識別が可能となる。これにより、別の作業者50Bの作業を分析対象の作業者50Aの作業として検知(すなわち、誤検知)するのを抑えることができ、分析対象の作業者50Aのより正確な情報を得ることができる。さらには、分析対象の作業者50あの正確な情報が得られることから正しく作業分析を行うことができるため、生産性向上のための改善にも活用することができる。
【0073】
また、実施形態に係る照明システム1照明装置10と、情報処理装置20とを具備する。照明装置10は、作業者50を撮像する撮像部16と、作業者50を照らす照明部11とを有する。情報処理装置20は、撮像部16によって撮像された撮像画像Mを取得する取得部231と、取得部231によって取得された撮像画像Mから作業者50の体の特定部位51の位置を検出する検出部232と、作業者50の作業情報を記憶する記憶部22と、作業者50の基本位置となる作業エリアA1および作業エリアA1と対応する他のエリアA2の分析を行う条件を設定する設定部233と、設定部233の情報および記憶部22の情報から作業者50の作業分析を行う分析部234と、分析部234によって分析された作業分析結果を出力する出力部235とを有する。
【0074】
このような構成によれば、作業エリアA1および作業エリアA1と対応する他のエリア(部品エリア)A2の分析を行う条件を設定することで、分析対象の作業者50(50A)と別の作業者50(50B)との識別が可能となる。これにより、別の作業者50Bの作業を分析対象の作業者50Aの作業として検知(すなわち、誤検知)するのを抑えることができ、分析対象の作業者50Aのより正確な情報を得ることができる。さらには、分析対象の作業者50あの正確な情報が得られることから正しく作業分析を行うことができるため、生産性向上のための改善にも活用することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1 照明システム
10 照明装置
11 照明部
16 撮像部(カメラ)
20 情報処理装置
22 記憶部
50 作業者
51 特定部位
51a 特定部位(頭部または胴部)
51b 特定部位(手)
231 取得部
232 検出部
233 設定部
234 分析部
235 出力部
A1 作業エリア
A2 他のエリア
M 撮像画像