IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特開2024-50051画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム
<>
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図1
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図2
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図3
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図4
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図5
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図6
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図7
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図8
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図9
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図10
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図11
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図12
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図13
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図14
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図15
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図16
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050051
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/405 20060101AFI20240403BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20240403BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H04N1/405 510
B41J2/52
B41J2/01 105
B41J2/01 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156633
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康成
【テーマコード(参考)】
2C056
2C262
5C077
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC70
2C056EC79
2C056ED05
2C056FA10
2C262AA02
2C262AA18
2C262AA24
2C262AB05
2C262AC02
2C262BA02
2C262BB06
2C262EA08
2C262GA29
5C077LL19
5C077MP01
5C077MP08
5C077NN08
5C077NP01
5C077PP33
5C077PP58
5C077TT05
(57)【要約】
【課題】ミストの可能性を低減する。
【解決手段】
注目画素が、外側領域上に位置する場合には、外側領域のためのマトリクスセットである外側マトリクスセットを取得する。注目画素が、媒体領域のうちの媒体領域の端から離れた内部の領域である内部分領域上に位置する場合には、内部分領域のためのマトリクスセットである内部分マトリクスセットを取得する。外側マトリクスセットが使用される場合、最小のサイズの第1ドット有状態を除いた残りのドット状態から注目画素のドット形成状態が選択される。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の印刷のための画像処理装置であって、
入力画像データを取得する取得部と、
前記入力画像データ使用して特定生成処理を実行することによって、記録媒体上の領域である媒体領域と前記記録媒体の外側の領域である外側領域とを含む特定印刷領域内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す特定出力画像データを生成する特定データ生成部と、
を備え、
前記特定生成処理は、前記複数の画素のそれぞれの前記ドット形成状態を、Q+1個(Qは2以上の整数)のドット状態から選択する状態選択処理を含み、
前記Q+1個のドット状態は、ドットの無い状態を示すドット無状態と、互いに異なるサイズのドットを示すQ個のドット有状態と、を含み、
前記Q個のドット有状態は、最小のサイズである第1サイズのドット有状態である第1ドット有状態と、前記第1サイズより大きい第2サイズのドット有状態である第2ドット有状態とを含み、
前記状態選択処理は、
前記Q個のドット有状態にそれぞれ対応付けられるQ個のディザマトリクスを含むマトリクスセットを取得するマトリクス取得処理であって、前記ディザマトリクスは、前記複数の画素のそれぞれの閾値を定める、前記マトリクス取得処理と、
前記マトリクスセットに含まれる前記Q個のディザマトリクスを、前記ディザマトリクスに対応付けられるドットのサイズの大きい順に使用することによって、前記複数の画素に含まれる注目画素の前記ドット形成状態を選択する注目選択処理と、
を含み、
前記マトリクス取得処理は、
前記注目画素が、前記外側領域上に位置する場合には、前記外側領域のためのマトリクスセットである外側マトリクスセットを取得し、
前記注目画素が、前記媒体領域のうちの前記媒体領域の端から離れた内部の領域である内部分領域上に位置する場合には、前記内部分領域のためのマトリクスセットである内部分マトリクスセットを取得し、
前記外側マトリクスセットを使用する前記注目選択処理では、前記第1ドット有状態を除いた残りのQ個のドット状態から前記注目画素の前記ドット形成状態が選択される、
画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記マトリクス取得処理は、前記注目画素が、前記外側領域と前記内部分領域との間の領域である遷移領域上に位置する場合には、前記遷移領域のためのマトリクスセットである遷移マトリクスセットを取得する処理を含み、
前記遷移マトリクスセットの前記第2ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスの1以上の画素のそれぞれの閾値は、
(1)前記内部分マトリクスセットの前記第1ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスの前記注目画素の閾値以上であり、
(2)前記内部分マトリクスセットの前記第2ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスの前記注目画素の閾値未満である、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記遷移マトリクスセットのQ個のディザマトリクスは、前記外側マトリクスセットと前記内部分マトリクスセットとを含む複数のマトリクスセットの対応するディザマトリクスの重み付き和であり、
前記複数のマトリクスセットのそれぞれの重みは、前記媒体領域の前記端から前記注目画素までの距離に応じて変化する、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記遷移マトリクスセットの前記第1ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスを第1ディザマトリクスと呼び、
前記遷移マトリクスセットの前記第2ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスを第2ディザマトリクスと呼び、
前記遷移領域の少なくとも一部において、前記第1ディザマトリクスの前記注目画素の第1閾値の取り得る範囲のうちの一部の範囲で、前記第1閾値は、前記第2ディザマトリクスの前記注目画素の第2閾値と同じである、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記遷移領域の少なくとも一部において、
前記第1閾値が第1値未満である場合、前記第2閾値は、前記第1閾値よりも大きく、
前記第1閾値が第1値以上である場合、前記第2閾値は、前記第1閾値と同じである、
画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像処理装置であって、さらに、
第1モードと第2モードとを含む複数のモードから処理モードを選択する選択部を備え、
前記特定生成処理は、前記第1モードが選択される場合に実行される処理であり、
前記画像処理装置は、さらに、
前記第2モードが選択される場合に、前記入力画像データ使用して前記第2モードのための生成処理を実行することによって、前記記録媒体の外側の領域を含まずに前記記録媒体上の領域を含む内部印刷領域内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す内部出力画像データを生成する第2モード用のデータ生成部を備え、
前記第2モードのための前記生成処理では、前記内部印刷領域の全体に亘って、前記Q+1個のドット状態を選択可能である、
画像処理装置。
【請求項7】
画像の印刷のための画像処理方法であって、
入力画像データを取得する取得工程と、
前記入力画像データ使用して特定生成処理を実行することによって、記録媒体上の領域である媒体領域と前記記録媒体の外側の領域である外側領域とを含む特定印刷領域内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す特定出力画像データを生成する特定データ生成工程と、
を備え、
前記特定生成処理は、前記複数の画素のそれぞれの前記ドット形成状態を、Q+1個(Qは2以上の整数)のドット状態から選択する状態選択処理を含み、
前記Q+1個のドット状態は、ドットの無い状態を示すドット無状態と、互いに異なるサイズのドットを示すQ個のドット有状態と、を含み、
前記Q個のドット有状態は、最小のサイズである第1サイズのドット有状態である第1ドット有状態と、前記第1サイズより大きい第2サイズのドット有状態である第2ドット有状態とを含み、
前記状態選択処理は、
前記Q個のドット有状態にそれぞれ対応付けられるQ個のディザマトリクスを含むマトリクスセットを取得するマトリクス取得処理であって、前記ディザマトリクスは、前記複数の画素のそれぞれの閾値を定める、前記マトリクス取得処理と、
前記マトリクスセットに含まれる前記Q個のディザマトリクスを、前記ディザマトリクスに対応付けられるドットのサイズの大きい順に使用することによって、前記複数の画素に含まれる注目画素の前記ドット形成状態を選択する注目選択処理と、
を含み、
前記マトリクス取得処理は、
前記注目画素が、前記外側領域上に位置する場合には、前記外側領域のためのマトリクスセットである外側マトリクスセットを取得し、
前記注目画素が、前記媒体領域のうちの前記媒体領域の端から離れた内部の領域である内部分領域上に位置する場合には、前記内部分領域のためのマトリクスセットである内部分マトリクスセットを取得し、
前記外側マトリクスセットを使用する前記注目選択処理では、前記第1ドット有状態を除いた残りのQ個のドット状態から前記注目画素の前記ドット形成状態が選択される、
画像処理方法。
【請求項8】
画像の印刷のための画像処理を行うコンピュータのためのプログラムであって、
入力画像データを取得する取得機能と、
前記入力画像データ使用して特定生成処理を実行することによって、記録媒体上の領域である媒体領域と前記記録媒体の外側の領域である外側領域とを含む特定印刷領域内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す特定出力画像データを生成する特定データ生成機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記特定生成処理は、前記複数の画素のそれぞれの前記ドット形成状態を、Q+1個(Qは2以上の整数)のドット状態から選択する状態選択処理を含み、
前記Q+1個のドット状態は、ドットの無い状態を示すドット無状態と、互いに異なるサイズのドットを示すQ個のドット有状態と、を含み、
前記Q個のドット有状態は、最小のサイズである第1サイズのドット有状態である第1ドット有状態と、前記第1サイズより大きい第2サイズのドット有状態である第2ドット有状態とを含み、
前記状態選択処理は、
前記Q個のドット有状態にそれぞれ対応付けられるQ個のディザマトリクスを含むマトリクスセットを取得するマトリクス取得処理であって、前記ディザマトリクスは、前記複数の画素のそれぞれの閾値を定める、前記マトリクス取得処理と、
前記マトリクスセットに含まれる前記Q個のディザマトリクスを、前記ディザマトリクスに対応付けられるドットのサイズの大きい順に使用することによって、前記複数の画素に含まれる注目画素の前記ドット形成状態を選択する注目選択処理と、
を含み、
前記マトリクス取得処理は、
前記注目画素が、前記外側領域上に位置する場合には、前記外側領域のためのマトリクスセットである外側マトリクスセットを取得し、
前記注目画素が、前記媒体領域のうちの前記媒体領域の端から離れた内部の領域である内部分領域上に位置する場合には、前記内部分領域のためのマトリクスセットである内部分マトリクスセットを取得し、
前記外側マトリクスセットを使用する前記注目選択処理では、前記第1ドット有状態を除いた残りのQ個のドット状態から前記注目画素の前記ドット形成状態が選択される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、画像の印刷のための画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体端部に余白を設けずに記録を行ういわゆる「縁無し記録」が行われている。縁無し記録では、記録媒体の外側に、インクが吐出される。ここで、ミストの発生およびプラテンにおけるインクの積層を抑制するために、吐出されたインクを受容する複数の受容部材と、受容部材に隣接して形成される複数の貫通部と、が設けられた格子形状のインク受け部を、プラテンに設ける技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-37701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷では、互いに異なるサイズの複数のインクドットが、形成され得る。ここで、小さいインクドットを形成するためのインク滴によって、ミストが形成される場合があった。
【0005】
本明細書は、ミストの可能性を低減可能な画像処理技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]画像の印刷のための画像処理装置であって、入力画像データを取得する取得部と、前記入力画像データ使用して特定生成処理を実行することによって、記録媒体上の領域である媒体領域と前記記録媒体の外側の領域である外側領域とを含む特定印刷領域内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す特定出力画像データを生成する特定データ生成部と、を備え、前記特定生成処理は、前記複数の画素のそれぞれの前記ドット形成状態を、Q+1個(Qは2以上の整数)のドット状態から選択する状態選択処理を含み、前記Q+1個のドット状態は、ドットの無い状態を示すドット無状態と、互いに異なるサイズのドットを示すQ個のドット有状態と、を含み、前記Q個のドット有状態は、最小のサイズである第1サイズのドット有状態である第1ドット有状態と、前記第1サイズより大きい第2サイズのドット有状態である第2ドット有状態とを含み、前記状態選択処理は、前記Q個のドット有状態にそれぞれ対応付けられるQ個のディザマトリクスを含むマトリクスセットを取得するマトリクス取得処理であって、前記ディザマトリクスは、前記複数の画素のそれぞれの閾値を定める、前記マトリクス取得処理と、前記マトリクスセットに含まれる前記Q個のディザマトリクスを、前記ディザマトリクスに対応付けられるドットのサイズの大きい順に使用することによって、前記複数の画素に含まれる注目画素の前記ドット形成状態を選択する注目選択処理と、を含み、前記マトリクス取得処理は、前記注目画素が、前記外側領域上に位置する場合には、前記外側領域のためのマトリクスセットである外側マトリクスセットを取得し、前記注目画素が、前記媒体領域のうちの前記媒体領域の端から離れた内部の領域である内部分領域上に位置する場合には、前記内部分領域のためのマトリクスセットである内部分マトリクスセットを取得し、前記外側マトリクスセットを使用する前記注目選択処理では、前記第1ドット有状態を除いた残りのQ個のドット状態から前記注目画素の前記ドット形成状態が選択される、画像処理装置。
【0008】
この構成によれば、外側マトリクスセットは、最小のサイズである第1サイズの第1ドット有状態が選択されないように、構成されているので、ミストが形成される可能性を低減可能な特定出力画像データを生成できる。
【0009】
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、画像処理方法および画像処理装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】プリンタの実施例を示すブロック図である。
図2】印刷ヘッド240のノズル形成面241の概略図である。
図3】(A)、(B)は、用紙Pと印刷領域PA1、PA2との説明図である。
図4】(A)-(C)は、搬送機構210を横から見た概略図である。
図5】印刷処理の例を示すフローチャートである。
図6】ハーフトーン処理の例を示すフローチャートである。
図7】ディザ閾値の取得処理の例を示すフローチャートである。
図8】基準マトリクスBDMの例を示す図である。
図9】(A)は、対応関係DTRiを示すグラフである。(B)は、閾値ThSi、ThMi、ThLの算出式を示す図である。(C)は、対応関係DTRoを示すグラフである(D)は、閾値ThSo、ThMo、ThLの算出式を示す図である。(E)は、閾値ThSi、ThMo、ThMiの例を示すグラフである。
図10】(A)は、注目画素の位置PSと重みWiとの対応関係を示すグラフである。(B)は、注目小閾値ThSと注目中閾値ThMの算出式の例を示す図である。(C)は、注目画素の位置PSと注目閾値セットとの関係を示すグラフである。
図11】ディザ処理の例を示すフローチャートである。
図12】ディザ閾値の取得処理の別の実施例を示すフローチャートである。
図13】(A)-(D)は、内部閾値対応関係DTRiと外側閾値対応関係DTRoとの説明図である。
図14】(A)は、対応関係DTRsを示すグラフである。(B)は、閾値ThSs、ThMs、ThLの算出式を示す図である。(C)は、閾値ThSi、ThMo、ThMs、ThMiの例を示すグラフである。
図15】(A)は、注目画素の位置PSと重みWbi、Wbsとの対応関係を示すグラフである。(B)は、注目小閾値ThSと注目中閾値ThMの算出式の例を示す図である。(C)は、注目画素の位置PSと注目閾値セットとの関係を示すグラフである。
図16】ディザ閾値の取得処理の別の実施例を示すフローチャートである。
図17】(A)は、注目画素の位置PSと重みWxとの対応関係を示すグラフである。(B)は、対応関係DTRxを示すグラフである。(C)は、閾値ThSx、ThMx、ThLの算出式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施例:
A1.装置構成:
図1は、プリンタの実施例を示すブロック図である。本実施例では、プリンタ600は、制御装置100と、印刷実行部200と、を有している。
【0012】
制御装置100は、プロセッサ110と、記憶装置115と、表示部140と、操作部150と、通信インタフェース160と、を有している。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を含んでいる。
【0013】
プロセッサ110は、データを処理するように構成された装置である。プロセッサ110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、または、SoC(System on a chip)であってよい。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置130は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置130は、プログラムPGのデータと、基準マトリクスBDMのデータと、を格納している。プログラムPGと基準マトリクスBDMとのデータは、プリンタ600の製造者によって、ファームウェアとして、不揮発性記憶装置130に予め格納されている。プロセッサ110は、プログラムPGを実行することによって、後述する種々の処理を実行する。基準マトリクスBDMは、ハーフトーン処理のためのディザマトリクスの取得に使用される(詳細は、後述)。
【0014】
表示部140は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの、画像を表示するように構成された装置である。操作部150は、ボタン、レバー、表示部140上に重ねて配置されたタッチパネルなどの、ユーザによる操作を受け取るように構成された装置である。ユーザは、操作部150を操作することによって、種々の指示を制御装置100に入力可能である。通信インタフェース160は、他の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース160は、例えば、USBインタフェース、有線LANインタフェース、IEEE802.11の無線インタフェースのうちの1種以上を含む。印刷実行部200は、通信インタフェース160に接続されている。
【0015】
印刷実行部200は、用紙(印刷媒体の一例)上に画像を印刷するインクジェット式の印刷装置である。本実施例では、印刷実行部200は、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエロYの4種類のインクを使用してカラー画像を印刷可能である。
【0016】
印刷実行部200は、搬送機構210と、移動機構220と、印刷ヘッド240と、印刷実行部200の全体を制御する制御部290と、を有している。搬送機構210は、図示しない搬送モータを備え、搬送モータの動力を用いて、所定の搬送経路に沿って用紙を搬送する。移動機構220は、図示しない移動モータを備え、移動モータの動力を用いて、印刷ヘッド240を、用紙の搬送方向に交差する移動方向に往復動させる。印刷ヘッド240は、KCMYのそれぞれのノズル群を有している(詳細は後述)。制御部290は、例えば、専用の電気回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))とコンピュータとの一方、または、両方を含んでよい。制御部290は、移動機構220が印刷ヘッド240の移動を行っている最中に、印刷ヘッド240に駆動信号を供給して、印刷ヘッド240を駆動する。印刷ヘッド240は、駆動信号に従って、ノズルからインクを吐出して用紙上にドットを形成する。印刷ヘッド240を移動させつつ用紙上にドットを形成する処理をパス処理とも呼ぶ。制御装置100のプロセッサ110は、パス処理と、搬送機構210に用紙を搬送させる搬送処理とを、印刷実行部200に繰り返し実行させることによって、印刷実行部200に画像を印刷させる。
【0017】
図2は、印刷ヘッド240のノズル形成面241の概略図である。ノズル形成面241は、印刷ヘッド240の下面であり、用紙側の面である。図中のDz方向は、上方向を示している。Dy方向は、用紙の搬送方向である(搬送方向Dyとも呼ぶ)。Dx方向は、印刷ヘッド240の移動方向に平行な方向である。本実施例では、Dx方向は、搬送方向Dyに垂直である。ノズル形成面241には、KCMYのノズル列NK、NC、NM、NYが形成されている。各ノズル列は、複数個のノズルNZを含んでいる。1個のノズル列の複数のノズルNZの搬送方向Dyの位置は、等間隔で配置されている。1個のノズル列の複数のノズルNZのDx方向の位置は、同じであってよく、2以上のノズルNZの間で異なってよい。図示を省略するが、ノズルNZの内部には、インクを吐出させるためのアクチュエータ(図示省略。例えば、ピエゾ素子、ヒータなど)が設けられている。
【0018】
A2.印刷領域と搬送機構210:
図3(A)、図3(B)は、用紙P(印刷媒体の一例)と印刷領域PA1、PA2との説明図である。図中では、用紙Pの端PEが太線で示されている。印刷領域PA1、PA2は、印刷実行部200がインク滴を吐出可能な領域である。本実施例では、プリンタ600の印刷モードとして、「縁無モード」と「通常モード」を使用可能である。「縁無モード」は、用紙Pの端部に余白を残さないように用紙Pの端部まで画像を印刷するモードである。「通常モード」は、用紙Pの端部に余白が残るように画像を印刷するモードである。なお、本実施例では、用紙Pの形状と印刷領域PA1、PA2の形状は、いずれも、Dx方向に平行な2辺と、Dy方向に平行な2辺とを有する矩形である。
【0019】
図3(A)の第1印刷領域PA1は、「縁無モード」の印刷領域である。第1印刷領域PA1は、用紙P上の領域である媒体領域ARmと、用紙Pの外側の領域である外側領域ARoと、を含んでいる。外側領域ARoは、用紙Pの全周を囲んでいる。媒体領域ARmは、用紙P上の領域の全体である。媒体領域ARmは、用紙Pの端PEを含む領域である端領域ARtと、媒体領域ARmの端(すなわち、用紙Pの端PE)から離れた内部の領域である内部分領域ARiと、に区分される。端領域ARtは、用紙Pの端PEの全周に亘って、設けられている。内部分領域ARiは、端領域ARtに囲まれている。境界LTは、内部分領域ARiと端領域ARtとの境界である。端領域ARtは、外側領域ARoと内部分領域ARiとの間の領域である。以下、端領域ARtを、遷移領域ARtとも呼ぶ。本実施例では、境界LTは、用紙Pの端PEに平行な直線で形成されている。境界LTは、予め決められている。印刷実行部200は、第1印刷領域PA1の全体に亘って、インクを吐出可能である。これにより、印刷実行部200は、用紙Pの縁まで画像を印刷する縁無し印刷を実行できる。
【0020】
図3(B)の第2印刷領域PA2は、「通常モード」の印刷領域である。第2印刷領域PA2は、用紙Pの端PEから離れた内部の領域である。印刷実行部200は、第2印刷領域PA2上にインクを吐出することによって、用紙Pの端部に余白が残るように画像を印刷できる。
【0021】
図4(A)-図4(C)は、搬送機構210を横から見た概略図である。搬送機構210は、縁無し印刷を実行できるように、構成されている。用紙Pは、図4(A)、図4(B)、図4(C)の順に搬送される。図示するように、搬送機構210は、用紙台211と、用紙を保持して搬送するための上流ローラ対217と、下流ローラ対218と、を備えている。用紙台211の上側(+Dz側)に、印刷ヘッド240が配置されている。
【0022】
上流ローラ対217は、印刷ヘッド240よりも搬送方向Dyの上流側(-Dy側)に配置され、下流ローラ対218は、印刷ヘッド240よりも搬送方向Dyの下流側(+Dy側)に配置されている。上流ローラ対217は、図示しない搬送モータによって駆動される駆動ローラ217aと、駆動ローラ217aの回転に従って回転する従動ローラ217bと、を含む。同様に、下流ローラ対218は、駆動ローラ218aと従動ローラ218bとを含む。なお、従動ローラに代えて、板部材を採用し、駆動ローラと板部材とによって用紙を保持する構成を採用しても良い。
【0023】
用紙台211は、上流ローラ対217と下流ローラ対218との間の位置であって、かつ、印刷ヘッド240のノズル形成面241と対向する位置に配置されている。用紙台211は、平板214と、平板214上に設けられた支持部材212と、を備えている。平板214は、Dx方向と搬送方向Dyとにほぼ平行な板部材である。平板214の-Dy側の端部214e1は、印刷ヘッド240の-Dy側の端部240e1よりも-Dy側の位置にあり、上流ローラ対217の近傍に位置している。平板214の+Dy側の端部214e2は、印刷ヘッド240の+Dy側の端部240e2よりも+Dy側の位置にあり、下流ローラ対218の近傍に位置している。
【0024】
支持部材212は、Dy方向に沿って延び、平板214から+Dz方向に突出する壁である。図示を省略するが、本実施例では、複数の支持部材212が、平板214上に、Dx方向に沿って間隔をあけて並んでいる。各支持部材212の-Dy側の端部212e1は、平板214の-Dy側の端部214e1に位置している。各支持部材212の+Dy側の端部212e2は、平板214のDy方向の中央部に位置している。各支持部材212の+Dy側の端部212e2は、印刷ヘッド240の複数個のノズルNZが形成されている領域NAのDy方向の中央部に位置している。以下、複数個のノズルNZが形成されている領域NAを、ノズル領域NAとも呼ぶ。
【0025】
図4(A)の状態では、用紙Pの下流側(+Dy側)の端PE2は、支持部材212よりも+Dy側の、ノズル領域NAと用紙台211との間に位置している。この状態で、ノズル領域NAの全体の複数のノズル(すなわち、印刷ヘッド240の複数個のノズルの全て)が、印刷に使用される。用紙Pの端PE2から内側(ここでは、上流側(-Dy側))では、ノズル領域NAの複数のノズルから吐出されたインクは、用紙P上にドットを形成する。用紙Pの端PE2から外側(ここでは、下流側(+Dy側))では、ノズル領域NAの複数のノズルから吐出されたインク滴は、用紙Pではなく、平板214上に到着する。以上により、用紙Pの端PE2の近傍に余白を残さずに、用紙Pの内部から端PE2までの全体に亘って、画像を印刷可能である。
【0026】
図4(B)の状態では、用紙Pは、上流ローラ対217と下流ローラ対218との両方に支持されている。ノズル領域NAの全体が、用紙Pと対向している。ノズル領域NAの複数のノズルから吐出されたインクは、用紙P上にドットを形成する。これにより、用紙Pの内部の領域に、画像を印刷可能である。
【0027】
図4(C)の状態では、用紙Pの上流側(-Dy側)の端PE1は、支持部材212よりも+Dy側の、ノズル領域NAと用紙台211との間に位置している。この状態では、ノズル領域NAのうち下流側の端を含む一部の領域NBの複数のノズルが、印刷に利用される(下流部分領域NBとも呼ぶ)。下流部分領域NBは、用紙台211の支持部材212よりも下流側(+Dy側)に位置する部分である。用紙Pの端PE1は、下流部分領域NBの上流側の端NBe1と下流側の端NBe2との間に位置している。用紙Pの端PE1から内側(ここでは、下流側(+Dy側))では、下流部分領域NBの複数のノズルから吐出されたインク滴は、用紙P上にドットを形成する。用紙Pの端PE1から外側(ここでは、上流側(-Dy側))では、下流部分領域NBの複数のノズルから吐出されたインク滴は、用紙Pではなく、平板214上に到着する。以上により、用紙Pの端PE1の近傍に余白を残さずに、用紙Pの内部から端PE1までの全体に亘って、画像を印刷可能である。
【0028】
以上のように、搬送機構210は、用紙PのDy方向の両端に余白を残さないように、画像を用紙P上に記録できる。さらに、搬送機構210は、用紙PのDx方向の両端に余白を残さないように、画像を用紙P上に記録できる。図示を省略するが、平板214のDx方向の長さは、搬送される用紙PのDx方向の長さより所定量だけ長い。そして、複数の支持部材212は、用紙PのDx方向の両端よりも内側に配置されている。印刷ヘッド240は、1回のパス処理において、用紙PのDx方向の一端よりも外側の領域(図3(A)の外側領域ARo)から、用紙P上の領域を通って、用紙PのDx方向の他端の外側の領域(外側領域ARo)までの全体に亘って、インク滴を吐出できる。用紙Pの内側では、インク滴は、用紙P上にドットを形成する。用紙Pの外側では、インク滴は、用紙Pではなく、平板214上に到着する。以上により、用紙PのDx方向の両端の近傍に余白を残さずに、画像を印刷できる。
【0029】
A2.印刷処理:
図5は、印刷処理の例を示すフローチャートである。制御装置100のプロセッサ110(図1)は、制御装置100に入力される印刷指示に応じて、プログラムPGに従って、印刷処理を実行する。印刷指示の入力方法は、任意の方法であってよい。本実施例では、ユーザは、操作部150を操作することによって、印刷指示を入力する。印刷指示は、印刷すべき対象画像のデータである対象画像データを指定する対象データ情報と、印刷モードを指定するモード情報と、を含んでいる。対象データ情報は、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)、通信インタフェース160に接続される図示しない記憶装置(例えば、USBフラッシュドライブ)、制御装置100と通信可能な通信装置の記憶装置、などの種々の記憶装置に格納される対象画像データを指定してよい。印刷モードは、「縁無モード」と「通常モード」との2個の印刷モードから、選択可能である。なお、ユーザは、制御装置100と通信可能な図示しない端末装置(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)を通じて、印刷指示を制御装置100に入力してよい。
【0030】
S110では、プロセッサ110は、印刷指示に応じて、対象画像データを取得する。S113では、プロセッサ110は、印刷指示に応じて、印刷モードを選択する。以下、選択される印刷モードを、対象印刷モードと呼ぶ。S115では、プロセッサ110は、対象印刷モードが「縁無モード」であるか否かを判断する。対象印刷モードが「縁無モード」である場合(S115:Yes)、プロセッサ110は、S117へ移行する。
【0031】
S117では、プロセッサ110は、対象画像データを使用して、印刷領域内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す出力画像データを生成する。本実施例では、S117は、S120、S130、S140を含んでいる。
【0032】
S120では、プロセッサ110は、対象画像データを使用して、印刷解像度のラスタデータを生成する。対象画像データは、オブジェクトを描画するための描画コマンドを含むベクタデータであってよい。この場合、プロセッサ110は、ベクタデータのレンダリング(ラスタライズとも呼ばれる)によって、ラスタデータを生成してよい。対象画像データが、ビットマップデータである場合、プロセッサ110は、ビットマップデータの解像度変換によって、ラスタデータを生成してよい。プロセッサ110は、ラスタデータを、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)に格納する。
【0033】
プロセッサ110は、対象印刷モードに対応付けられる印刷領域(S120では、第1印刷領域PA1(図3(A))の全体を表すラスタデータを生成する。対象画像の端を含む一部分は、外側領域ARoに配置され得る。
【0034】
S130では、プロセッサ110は、記憶装置115からラスタデータを取得し、ラスタデータの色変換処理を実行する。色変換処理は、各画素の色値を、変換前の色空間(本実施例では、RGB色空間)の色値から、印刷用の色空間である印刷色空間の色値に変換する処理である。印刷色空間は、印刷実行部200によって使用されるインクに対応する色成分で表される色空間である(本実施例では、KCMY色空間)。変換前の色空間の色値と印刷色空間の色値との対応関係は、予め決められている。プロセッサ110は、色変換済のラスタデータを、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)に格納する。
【0035】
S140では、プロセッサ110は、記憶装置115から色変換済のラスタデータを取得する。プロセッサ110は、色変換済のラスタデータを使用してハーフトーン処理を実行し、出力画像データを生成する。プロセッサ110は、生成した出力画像データを、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)に格納する。
【0036】
本実施例のハーフトーン処理では、プロセッサ110は、ディザ法に従って、画素毎のドット形成状態を、ドット無状態と、1以上のドット有状態と、を含む複数のドット形成状態から、選択する。本実施例では、小ドットと、中ドットと、大ドットと、の3個のサイズのドット有状態が、使用可能である。ハーフトーン処理の詳細については、後述する。ハーフトーン処理の後、プロセッサ110は、S150へ移行する。
【0037】
対象印刷モードが「通常モード」である場合(S115:No)、プロセッサ110は、S117xへ移行する。S117xは、S120x、S130x、S140xを含んでいる。S120xの処理は、第1印刷領域PA1(図3(A))の代わりに第2印刷領域PA2(図3(B))が使用される点を除いて、S120の処理と同じである。対象印刷モードが「縁無モード」である場合、ラスタデータは、第1印刷領域PA1の全体を使用して対象画像を表現する。対象画像の全体が、第2印刷領域PA2内、すなわち、用紙P内に配置される。S130xの処理は、S130の処理と同じである。S140xの処理は、ディザ法で使用されるディザ閾値の取得方法がS140のものと異なる点を除いて、S140の処理と同じである(詳細は、後述)。ハーフトーン処理の後、プロセッサ110は、S150へ移行する。
【0038】
S150では、プロセッサ110は、記憶装置115から出力画像データを取得し、出力画像データを使用して印刷データを生成する。印刷データは、印刷実行部200の制御部290によって解釈可能なデータ形式で表されたデータである。プロセッサ110は、例えば、印刷に用いられる順にドット形成状態を表すデータを並べるとともに、プリンタ制御コードとデータ識別コードを付加することによって、印刷データを生成する。
【0039】
S160では、プロセッサ110は、印刷データを、印刷実行部200に供給する。S170では、印刷実行部200の制御部290は、印刷データに従って、画像を印刷する。以上により、図5の印刷処理は、終了する。
【0040】
A3.ハーフトーン処理:
図6は、ハーフトーン処理の例を示すフローチャートである。ハーフトーン処理は、図5のS140、S140xで行われる。ハーフトーン処理は、KCMYの色成分ごとに実行される。1つの色成分のハーフトーン処理は、画素ごとに実行される。図6の処理は、1個の色成分の1個の画素の処理を示している。以下、図6の処理の対象の画素を、注目画素と呼ぶ。
【0041】
まず、対象印刷モードが「縁無モード」である場合について、説明する。対象印刷モードが「通常モード」である場合については、後述する。S210では、プロセッサ110は、ディザ閾値の取得処理を実行する。図7は、ディザ閾値の取得処理の例を示すフローチャートである。本実施例では、プロセッサ110は、予め決められた基準マトリクスBDM(図1)を使用して、小ドット用のディザ閾値(小ドット閾値と呼ぶ)と、中ドット用のディザ閾値(中ドット閾値と呼ぶ)と、大ドット用のディザ閾値(大ドット閾値と呼ぶ)を決定する。同じ画素に適用される小ドット閾値と中ドット閾値と大ドット閾値とのセットを、ドット閾値セットと呼ぶ。
【0042】
図8は、基準マトリクスBDMの例を示す図である。本実施例では、ハーフトーン処理の対象のラスタデータ(以下、対象ラスタデータと呼ぶ)は、Dx方向とDy方向とにマトリクス状に並んで配置される複数の画素のKCMYの階調値を表している。基準マトリクスBDMは、予め決められた相対位置に配置される複数の画素PXmのそれぞれの閾値dtMを、定めている(基準閾値dtMと呼ぶ)。本実施例では、基準マトリクスBDMに含まれる画素PXmの総数は、256である。256個の画素PXmには、ゼロから255までの256個の閾値が、1つずつ割り当てられている。閾値の配置パターンは、種々のパターンであってよい。例えば、画像の濃度の増大によってドットが分散して形成されるドット分散型(例えば、ベイヤ型)、または、画像の濃度の増大によってドットが集中して形成されるドット集中型が、採用されてよい。
【0043】
対象ラスタデータの画素と基準マトリクスBDMの画素PXmとの対応関係である画素対応関係は、予め決められている。本実施例では、複数の基準マトリクスBDMが、対象ラスタデータの画像(すなわち、印刷領域)の全体を覆うように、隙間無く並んで配置される。これにより、画素対応関係が、決定される。
【0044】
プロセッサ110は、基準マトリクスBDMによって定められる注目画素の基準閾値dtMを使用して、注目画素の小ドット閾値と中ドット閾値と大ドット閾値とのドット閾値セットを決定する。ドット閾値セットの算出式は、以下に説明するように、3つの領域ARo、ARt、ARi(図3(A))の間で、異なっている。
【0045】
S310(図7)では、プロセッサ110は、注目画素の基準閾値dtMを使用して、内部分領域ARi用のドット閾値セットである内部ドット閾値セットDTSiを算出する。図9(A)は、基準閾値dtMと、内部ドット閾値セットDTSiと、の対応関係DTRiを示すグラフである(内部閾値対応関係DTRiとも呼ぶ)。横軸は、基準閾値dtMを示し、縦軸は、ドット閾値を示している。本実施例では、対象ラスタデータによって表されるKCMYの階調値は、ゼロから1023までの1024階調で表されることとする。この階調値に適用されるドット閾値は、1以上、1023以下の値に設定される。
【0046】
図9(A)には、小ドット閾値ThSiと、中ドット閾値ThMiと、大ドット閾値ThLと、が示されている。図9(B)は、これらのドット閾値ThSi、ThMi、ThLの算出式を示している。
【0047】
図9(A)、図9(B)において、最大値dtMaxは、基準閾値dtMの取り得る最大値である(本実施例では、dtMax=255)。
【0048】
各図には、基準階調値VS、VM、VLが示されている。基準階調値VS、VM、VLは、小ドット、中ドット、大ドットの濃度に相当する階調値を、それぞれ示している(例えば、VS=238、VM=506、VL=1023)。ドットサイズが大きいほど、濃度は高い(すなわち、VS<VM<VL)。このような基準階調値は、相対濃度値とも呼ばれる。
【0049】
各図には、形成閾値TS、TM、TLが示されている。小形成閾値TSは、同じ階調値を有する複数の画素が連続する均一領域において、1個以上の小ドットが形成されるための階調値の下限から1を減算したものである(例えば、TS=0)。同様に、中形成閾値TMは、均一領域において1個以上の中ドットが形成されるための階調値の下限から1を減算したものである(例えば、TM=134)。大形成閾値TLは、均一領域において1個以上の大ドットが形成されるための階調値の下限から1を減算したものである(例えば、TL=284)。
【0050】
大形成閾値TLが小さいほど、大ドットは形成され易い。すなわち、印刷済画像を形成する複数のドットの総数のうちの大ドットの数の割合は、増大し得る。同様に、中形成閾値TMが小さいほど、中ドットの数の割合は増大し得、小形成閾値TSが小さいほど、小ドットの数の割合は増大し得る。
【0051】
基準階調値VS、VM、VLと形成閾値TS、TM、TLは、画像を適切に印刷するように、予め実験的に決定される。形成閾値TS、TM、TLは、各ドットサイズのドットの数の好ましい割合を考慮して、決定されてよい。
【0052】
小ドット閾値ThSiは、以下のように、決定される。図9(A)に示すように、ゼロ以上、第1値dtM1未満の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSiは、座標点(0、1)と座標点(dtMax、VS)とを結ぶ直線によって表される。ここで、座標点(x、y)の表記において、xは基準閾値dtMを示し、yはドット閾値を示している。第1値dtM1は、ThSi=TMである基準閾値dtMである。中形成閾値TMは、1段階上のドットサイズの形成閾値である。第1値dtM1以上の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSiは、座標点(dtM1、TM)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0053】
このように、第1値dtM1未満の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSiを示す直線の傾きは、基準閾値dtMがゼロから増大する場合に、小ドット閾値ThSiが小ドットの基準階調値VSに向かって変化するように、決められている。従って、小ドット閾値ThSiは、基準階調値VSに適する値に、決定される。
【0054】
第1値dtM1以上の基準閾値dtMの範囲、すなわち、1段階上の中ドットが形成され得る階調値の範囲では、小ドット閾値ThSiを示す直線の傾きは、基準閾値dtMが第1値dtM1から最大値dtMaxまで増大する場合に、小ドット閾値ThSiが中形成閾値TMから大ドットの基準階調値VL(ここでは、最大階調値)まで変化するように、決められている。従って、小ドット閾値ThSiは、階調値の範囲(ここでは、0以上、1023以下の範囲)の全体に、分布できる。このような小ドット閾値ThSiは、階調値の範囲(ここでは、0から1023までの範囲)の全体に亘って、小ドットの割合の変化による階調の変化を表現できる。後述するように、注目画素の階調値が小ドット閾値以上である場合に、注目画素のドット形成状態は、小ドットに決定され得る(中ドット、大ドットについても、同様である)。仮に、小ドット閾値ThSiが、座標点(0、1)と座標点(dtMax、VS)とを結ぶ直線によって表されると仮定する。この場合、均一領域の階調値が基準階調値VSと同じである場合に、均一領域の全ての画素に小ドットが形成され得る。階調値が基準階調値VSから更に増大する場合、小ドットの割合は増大できない。本実施例では、階調値の種々の変化に応じて、小ドットの割合は変化可能である。
【0055】
中ドット閾値ThMiは、小ドット閾値ThSiと同様に、決定される。図9(A)に示すように、ゼロ以上、第2値dtM2未満の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMiは、座標点(0、TM)と座標点(dtMax、VM)とを結ぶ直線によって表される。第2値dtM2は、ThMi=TLである基準閾値dtMである。大形成閾値TLは、1段階上のドットサイズの形成閾値である。第2値dtM2以上の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMiは、座標点(dtM2、TL)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0056】
大ドット閾値ThLは、使用可能な最大のドットサイズの閾値である。すなわち、1段階上のドットサイズは、無い。そこで、本実施例では、大ドット閾値ThLは、1本の直線で表される。図9(A)に示すように、大ドット閾値ThLは、座標点(0、TL)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0057】
S310(図7)では、プロセッサ110は、図9(A)、図9(B)で説明した内部閾値対応関係DTRiに従って、注目画素の基準閾値dtMに対応付けられるドット閾値ThSi、ThMi、ThLを算出する。算出されるドット閾値ThSi、ThMi、ThLは、内部ドット閾値セットDTSiを構成する。
【0058】
S320では、プロセッサ110は、注目画素の基準閾値dtMを使用して、外側領域ARo用のドット閾値セットである外側ドット閾値セットDTSoを算出する。図9(C)は、基準閾値dtMと、外側ドット閾値セットDTSoと、の対応関係DTRoを示すグラフである(外側閾値対応関係DTRoとも呼ぶ)。横軸は、基準閾値dtMを示し、縦軸は、ドット閾値を示している。図中には、小ドット閾値ThSoと、中ドット閾値ThMoと、大ドット閾値ThLと、が示されている。図9(D)は、これらのドット閾値ThSo、ThMo、ThLの算出式を示している。
【0059】
大ドット閾値ThLは、内部ドット閾値セットDTSi(図9(A))の大ドット閾値ThLと同じである。また、図9(A)の内部閾値対応関係DTRiとは異なり、外側閾値対応関係DTRoでは、ThMo=ThSoである。
【0060】
図9(C)に示すように、ゼロ以上、第3値dtM3未満の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSoは、座標点(0、1)と座標点(dtMax、VM)とを結ぶ直線によって表される。第3値dtM3は、ThSo=TLである基準閾値dtMである。大形成閾値TLは、2段階上のドットサイズ(本実施例では、最大サイズ)の形成閾値である。第3値dtM3以上の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSoは、座標点(dtM3、TL)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。中ドット閾値ThMoは、この小ドット閾値ThSoと同じである。
【0061】
後述するように、注目画素の階調値と閾値との比較は、ドットサイズの大きい順に行われる。注目画素の階調値が中ドット閾値ThMo以上である場合、ドット形成状態は中ドットに決定され得る。階調値がThMo未満である場合、階調値と小ドット閾値ThSoとの比較が行われる。ThSo=ThMoであるので、階調値はThSo未満である。このように、ドット閾値ThSo、ThMo、ThLが使用される場合、小ドットは選択できず、中ドット、または、大ドットが選択可能である。
【0062】
S320(図7)では、プロセッサ110は、図9(C)、図9(D)で説明した外側閾値対応関係DTRoに従って、注目画素の基準閾値dtMに対応付けられるドット閾値ThSo、ThMo、ThLを算出する。算出されるドット閾値ThSo、ThMo、ThLは、外側ドット閾値セットDTSoを構成する。
【0063】
S340では、プロセッサ110は、注目画素の重みを決定する。図10(A)は、注目画素の位置PSと重みWiとの対応関係を示すグラフである。横軸は、位置PSを示し、縦軸は、重みを示している。位置PSは、内部分領域ARiと遷移領域ARtと外側領域ARoとのいずれかに位置する。
【0064】
位置PSは、用紙Pの端PEから注目画素までの距離によって、表されている。本実施例では、この距離は、注目画素と端PE(図3(A))との間の最短距離である(すなわち、端PEのうちの注目画素に最も近い部分と注目画素のとの間の距離)。グラフ中では、境界LTは、境界LT(図3(A))のうちの注目画素に最も近い部分を示している。
【0065】
重みWiは、注目画素の位置PS、すなわち、用紙Pの端PEからの距離に応じて、変化する。本実施例では、外側領域ARo内では、重みWiは、ゼロである。内部分領域ARi内では、重みWiは、1(すなわち、100%)である。遷移領域ARtでは、位置PSが端PEから境界LTまで移動する場合に、重みWiは、ゼロから1まで変化する。端PEから注目画素までの距離が長いほど、重みWiは、大きい。内部分領域ARiと遷移領域ARtと外側領域ARoとの全体に亘って、重みWiは、画素の位置の変化に対して、連続である。なお、重みWiは、端PEから注目画素までの距離に応じて、曲線、または、折れ線を描くように、変化してよい。
【0066】
本実施例では、第1印刷領域PA1内の画素と重みWiとの対応関係は、予め決められている。プロセッサ110は、この対応関係に従って、注目画素の重みWiを決定する。
【0067】
S350(図7)では、プロセッサ110は、内部ドット閾値セットDTSiと外側ドット閾値セットDTSoと重みWiとを使用して、ドット閾値セットを決定する。以下、注目画素のドット閾値セットを、注目閾値セットとも呼ぶ。注目閾値セットは、小ドット閾値ThSと中ドット閾値ThMと大ドット閾値ThLとを含んでいる。以下、これらの閾値を、注目小閾値ThS、注目中閾値ThM、注目大閾値ThLとも呼ぶ。
【0068】
図10(B)は、注目小閾値ThSと注目中閾値ThMの算出式の例を示す図である。注目小閾値ThSは、内部分領域ARi用の小ドット閾値ThSiと、外側領域ARo用の小ドット閾値ThSoと、の重み付きの和である。内部分領域ARi用の閾値ThSiの重みは、重みWiであり、外側領域ARo用の閾値ThSoの重みは、「1-Wi」である。同様に、注目中閾値ThMは、内部分領域ARi用の中ドット閾値ThMiと、外側領域ARo用の中ドット閾値ThMoと、の重み付き和である。内部分領域ARi用の閾値ThMiの重みは、重みWiであり、外側領域ARo用の閾値ThMoの重みは、「1-Wi」である。なお、注目大閾値ThLは、内部分領域ARiと外側領域ARoとに共通な大ドット閾値ThLと同じである。
【0069】
図10(C)は、注目画素の位置PSと注目閾値セットとの関係を示すグラフである。横軸は、位置PSを示している。縦軸は、注目閾値セットに対する内部ドット閾値セットDTSiの割合と外側ドット閾値セットDTSoの割合とを示している。
【0070】
内部分領域ARiでは、注目閾値セットは、内部ドット閾値セットDTSiと同じである。外側領域ARoでは、注目閾値セットは、外側ドット閾値セットDTSoと同じである。
【0071】
遷移領域ARtでは、閾値セットDTSi、DTSoの割合は、重みWi(ひいては、端PEから注目画素までの距離)に応じて、変化する。内部ドット閾値セットDTSiの割合は、位置PSが端PEから境界LTまで移動する場合に、ゼロから1まで変化する。外側ドット閾値セットDTSoの割合は、位置PSが端PEから境界LTまで移動する場合に、1からゼロまで変化する。
【0072】
注目閾値セットの決定の後、プロセッサ110は、図7の処理、すなわち、図6のS210の処理を、終了する。
【0073】
S220では、プロセッサ110は、ディザ処理を実行する。図11は、ディザ処理の例を示すフローチャートである。S410では、プロセッサ110は、注目画素の階調値である入力階調値Vinが、注目大閾値ThL以上であるか否かを判断する。入力階調値Vinが注目大閾値ThL以上である場合(S410:Yes)、プロセッサ110は、大ドットをオンに設定し(S414)、中ドットをオフに設定し(S416)、小ドットをオフに設定する(S418)。すなわち、プロセッサ110は、注目画素のドット形成状態を大ドットに決定する。そして、プロセッサ110は、図11の処理を終了する。
【0074】
Vin<ThLである場合(S410:No)、S424で、プロセッサ110は、大ドットをオフに設定する。S425で、プロセッサ110は、入力階調値Vinが、注目中閾値ThM以上であるか否かを判断する。入力階調値Vinが注目中閾値ThM以上である場合(S425:Yes)、プロセッサ110は、中ドットをオンに設定し(S426)、小ドットをオフに設定する(S428)。すなわち、プロセッサ110は、注目画素のドット形成状態を中ドットに決定する。そして、プロセッサ110は、図11の処理を終了する。
【0075】
Vin<ThMである場合(S425:No)、S436で、プロセッサ110は、中ドットをオフに設定する。S437で、プロセッサ110は、入力階調値Vinが、注目小閾値ThS以上であるか否かを判断する。入力階調値Vinが注目小閾値ThS以上である場合(S437:Yes)、プロセッサ110は、小ドットをオンに設定する(S438)。すなわち、プロセッサ110は、注目画素のドット形成状態を小ドットに決定する。そして、プロセッサ110は、図11の処理を終了する。
【0076】
Vin<ThSである場合(S437:No)、S448で、プロセッサ110は、小ドットをオフに設定する。すなわち、プロセッサ110は、注目画素のドット形成状態をドット無状態に決定する。そして、プロセッサ110は、図11の処理を終了する。
【0077】
以上のように、プロセッサ110は、注目画素の処理対象の色成分のドット形成状態を決定する。そして、プロセッサ110は、図11の処理、すなわち、図6のS220の処理を、終了する。プロセッサ110は、KCMYの全ての色成分の全ての画素について、図6のハーフトーン処理を実行する。そして、プロセッサ110は、図6の処理、すなわち、図5のS140の処理を終了する。
【0078】
なお、KCMYのドットの重畳を避けるためには、同じ画素のKCMYのそれぞれの基準閾値dtMが互いに異なることが好ましい。例えば、第1印刷領域PA1上の基準マトリクスBDMの相対位置が、KCMYの間で異なってよい。また、KCMY毎に、互いに関連性のない基準マトリクスが準備されてよい。
【0079】
対象印刷モードが「通常モード」である場合、プロセッサ110は、S210(図6)で、第2印刷領域PA2(図3(B))内の全ての画素に対して、内部ドット閾値セットDTSiを適用する。S220のディザ処理は、「縁無モード」のディザ処理と同じである。
【0080】
以上のように、本実施例では、制御装置100は、画像の印刷のための画像処理を実行する。S110(図5)では、プロセッサ110は、処理対象の画像データである対象画像データを取得する。S117では、プロセッサ110は、対象画像データを使用して、第1印刷領域PA1(図3(A))内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す出力画像データを生成する。第1印刷領域PA1は、用紙P上の領域である媒体領域(ここでは、媒体領域ARm)と、用紙Pの外側の領域である外側領域(ここでは、外側領域ARo)と、を含む特定印刷領域の例である。S117の処理は、出力画像データを生成する特定生成処理の例である。対象画像データは、特定生成処理の処理対象の入力画像データの例である。
【0081】
S117は、S140を含んでいる。S140は、図6の処理を含んでいる。図6のS220では、プロセッサ110は、図11の処理を実行する。プロセッサ110は、複数の画素のそれぞれのドット形成状態を、4個のドット状態から選択する。4個のドット形成状態は、ドットの無い状態を示すドット無状態(S410:No、S425:No、S437:No)と、互いに異なるサイズのドットを示す3個のドット有状態(S414、S426、S438)と、を含んでいる。3個のドット有状態は、最小のサイズのドット有状態である小ドットと、小ドットのサイズより大きいサイズのドット有状態である中ドットと、を含んでいる。
【0082】
図6のS210では、プロセッサ110は、複数の画素のそれぞれの注目閾値セットを取得する。S210は、図7のS310を含んでいる。S310では、以下に説明するように、プロセッサ110は、内部分領域ARi用のマトリクスセットDMiを取得する。S310では、プロセッサ110は、内部分領域ARi用の内部ドット閾値セットDTSiを取得する。プロセッサ110は、複数の画素のそれぞれのS310を実行することによって、複数の画素の閾値セットDTSi、すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの閾値ThSi、ThMi、ThLを取得する。複数の画素の小ドット閾値ThSiの配置パターンは、小ドット用のディザマトリクスの例である。同様に、中ドット閾値ThMiの配置パターンは、中ドット用のディザマトリクスの例であり、大ドット閾値ThLの配置パターンは、大ドット用のディザマトリクスの例である。このように、プロセッサ110は、S310を複数の画素に対して実行することによって、小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスを取得する。以下、S310で取得される小ドット、中ドット、大ドットのディザマトリクスのセットを、内部分マトリクスセットDMiと呼ぶ。
【0083】
本実施例では、以下の説明するように、内部分マトリクスセットDMiの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスは、基準マトリクスBDMと同じ形状のマトリクスによって表現可能である。内部ドット閾値セットDTSiは、基準マトリクスBDMによって注目画素に対応付けられる基準閾値dtMから、内部閾値対応関係DTRi(図9(A)、図9(B))に従って、算出される。内部閾値対応関係DTRiは、複数の画素に共通である。従って、第1印刷領域PA1の複数の画素の内部ドット閾値セットDTSiの配置パターンは、基準マトリクスBDM(図8)の複数の画素PXmの閾値セットDTSiの配置パターンを第1印刷領域PA1の全体を覆うように隙間無く並んで配置することによって得られるパターンと、同じである。このように、本実施例では、内部分マトリクスセットDMiの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスのそれぞれは、基準マトリクスBDMと同じ形状のマトリクスであって、基準マトリクスBDMと内部閾値対応関係DTRiとによって決まるマトリクスによって、表現可能である。
【0084】
図6のS210は、図7のS320を含んでいる。S320では、プロセッサ110は、S310と同様の方法によって、外側領域ARo用のマトリクスセットDMoを取得する。S320では、プロセッサ110は、外側領域ARo用の外側ドット閾値セットDTSoを取得する。プロセッサ110は、複数の画素のそれぞれのS320を実行することによって、複数の画素の閾値セットDTSo、すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの閾値ThSo、ThMo、ThLを取得する。複数の画素の小ドット閾値ThSoの配置パターンは、小ドット用のディザマトリクスの例である。同様に、中ドット閾値ThMoの配置パターンは、中ドット用のディザマトリクスの例であり、大ドット閾値ThLの配置パターンは、大ドット用のディザマトリクスの例である。このように、プロセッサ110は、S320を複数の画素に対して実行することによって、小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスを取得する。以下、S320で取得される小ドット、中ドット、大ドットのディザマトリクスのセットを、外側マトリクスセットDMoと呼ぶ。
【0085】
本実施例では、以下に説明するように、外側マトリクスセットDMoの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスは、基準マトリクスBDMと同じ形状のマトリクスによって表現可能である。外側ドット閾値セットDTSoは、基準マトリクスBDMによって注目画素に対応付けられる基準閾値dtMから、外側閾値対応関係DTRo(図9(C)、図9(D))に従って、算出される。外側閾値対応関係DTRoは、複数の画素に共通である。従って、第1印刷領域PA1の複数の画素の外側ドット閾値セットDTSoの配置パターンは、基準マトリクスBDM(図8)の複数の画素PXmの閾値セットDTSoの配置パターンを第1印刷領域PA1の全体を覆うように隙間無く並んで配置することによって得られるパターンと、同じである。このように、本実施例では、外側マトリクスセットDMoの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスのそれぞれは、基準マトリクスBDMと同じ形状のマトリクスであって、基準マトリクスBDMと外側閾値対応関係DTRoとによって決まるマトリクスによって、表現可能である。
【0086】
図6のS210は、図7のS340、S350を含んでいる。S340、S350では、プロセッサ110は、内部ドット閾値セットDTSiと外側ドット閾値セットDTSoと重みWiとを使用して、注目閾値セット(すなわち、ドット閾値ThS、ThM、ThL)を決定する。図10(A)-図10(C)で説明したように、外側領域ARoでは、注目閾値セットは、外側ドット閾値セットDTSoと同じである。すなわち、プロセッサ110は、外側領域ARoの複数の画素に対して、外側マトリクスセットDMo(S320)を使用して注目閾値セットを決定している。内部分領域ARiでは、注目閾値セットは、内部ドット閾値セットDTSiと同じである。すなわち、プロセッサ110は、内部分領域ARiの複数の画素に対して、内部分マトリクスセットDMi(S310)を使用して注目閾値セットを決定している。
【0087】
図6のS220では、プロセッサ110は、図11の処理を実行する。上述したように、入力階調値Vinとドット閾値ThS、ThM、ThLとの比較の順番は、ドットのサイズの大きい順である。すなわち、プロセッサ110は、S210(図6)で取得されるマトリクスセットに含まれる3個のディザマトリクスを、ディザマトリクスに対応付けられるドットのサイズの大きい順に使用することによって、注目画素のドット形成状態を選択する。
【0088】
図9(C)、図9(D)で説明したように、外側マトリクスセットDMoが使用される場合、ThMo=ThSoであるので、小ドットは選択されない。外側領域ARoでは、プロセッサ110は、小ドットを除いた残りの3個のドット形成状態(ここでは、ドット無状態、中ドット、大ドット)から、注目画素のドット形成状態を選択する。媒体領域ARm上では、小ドットのために印刷ヘッド240から吐出される小さいインク滴は、用紙Pに到達して小ドットを形成する。外側領域ARoでは、小ドットのための小さいインク滴は、吐出されない。従って、小さいインク滴が、用紙Pに到達できずに、ミストを形成する可能性は、低減する。
【0089】
このように、プロセッサ110は、ミストが形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。
【0090】
また、図10(A)、図10(B)等で説明したように、注目画素が端PEに近いほど、内部ドット閾値セットDTSiの重みWiが小さくなり、外側ドット閾値セットDTSoの重み(1-Wi)が大きくなる。従って、遷移領域ARt内において、端PEに近い部分では、端PEから遠い部分と比べて、小ドットの数の割合は小さい。この結果、プロセッサ110は、ミストが形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。
【0091】
また、本実施例では、基準マトリクスBDMは、第1印刷領域PA1に含まれる3個の領域ARo、ARt、ARiに共通である。従って、プロセッサ110は、3個の領域ARo、ARt、ARiのそれぞれのドット閾値ThS、ThM、ThL(ひいては、マトリクスセット)を、容易に取得できる。
【0092】
なお、図7のS310-S350では、以下に説明するように、プロセッサ110は、遷移領域ARt用のマトリクスセットDMtを取得する。図10(A)-図10(C)で説明したように、注目画素が遷移領域ARt上に位置する場合、プロセッサ110は、内部ドット閾値セットDTSiと、外側ドット閾値セットDTSoと、重みWiと、を使用して、注目閾値セットを決定する(以下、遷移領域ARtの画素の注目閾値セットを、遷移ドット閾値セットDTStと呼ぶ)。プロセッサ110は、遷移領域ARt上の複数の画素のそれぞれのS310-S350を実行することによって、複数の画素の遷移ドット閾値セットDTSt、すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの閾値ThS、ThM、ThLを取得する。遷移領域ARtの複数の画素の小ドット閾値ThSの配置パターンは、遷移領域ARtにおける小ドット用のディザマトリクスの例である。同様に、遷移領域ARtの複数の画素の中ドット閾値ThMの配置パターンは、中ドット用のディザマトリクスの例であり、遷移領域ARtの複数の画素の大ドット閾値ThLの配置パターンは、大ドット用のディザマトリクスの例である。このように、プロセッサ110は、S310-S350を遷移領域ARtの複数の画素に対して実行することによって、遷移領域ARtにおける小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスを取得する。以下、遷移領域ARtにおける小ドット、中ドット、大ドットのディザマトリクスのセットを、遷移マトリクスセットDMtと呼ぶ。
【0093】
本実施例では、以下の説明するように、遷移マトリクスセットDMtの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスは、基準マトリクスBDMの少なくとも一部と同じ形状のマトリクスによって表現可能である。遷移ドット閾値セットDTStは、基準マトリクスBDMによって注目画素に対応付けられる基準閾値dtMから、内部閾値対応関係DTRi(図9(A)、図9(B))と、外側閾値対応関係DTRo(図9(C)、図9(D))と、重みWiと、に従って、算出される。閾値対応関係DTRi、DTRoは、複数の画素に共通である。重みWiは、用紙Pの端PEからの距離に応じて変化する。すなわち、端PEに平行な線上の複数の画素の間では、重みWiは同じである。従って、遷移領域ARtの複数の画素の遷移ドット閾値セットDTStの配置パターンは、基準マトリクスBDM(図8)の少なくとも一部の複数の画素PXmの遷移ドット閾値セットDTStの配置パターンを、用紙Pの端PEに平行に繰り返して得られるパターンと、同じであり得る。このように、本実施例では、遷移マトリクスセットDMtの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスのそれぞれは、基準マトリクスBDMの少なくとも一部と同じ形状のマトリクスであって、基準マトリクスBDMと内部閾値対応関係DTRiと外側閾値対応関係DTRoと重みWiとによって決まるマトリクスによって、表現可能である。
【0094】
図9(E)は、閾値ThSi、ThMo、ThMiの例を示すグラフである。このグラフは、閾値ThSi、ThMi(図9(A))と、閾値ThMo(図9(C))と、のそれぞれのグラフを重ね合わせたものである。ここで、大きい順が、ThMi、ThMo、ThSiの順であるように、マトリクスセットDMi、DMo(図9(A)-図9(D))と重みWi(図10(A))とが構成されてよい。ここで、遷移領域ARtの画素の中ドット閾値ThM(遷移中閾値ThMtと呼ぶ)は、遷移マトリクスセットDMtの中ドット用のマトリクスによって、定められる。図10(B)で説明したように、中ドット閾値ThM(すなわち、遷移中閾値ThMt)は、中ドット閾値ThMiと中ドット閾値ThMoとの重み付きの和である。本実施例では、閾値ThMi、ThMoの重みの合計値は、1である。従って、遷移中閾値ThMtは、中ドット閾値ThMo以上、中ドット閾値ThMi以下の範囲で変化する。以上により、遷移領域ARtの1以上の画素において、図9(E)に示すように、遷移中閾値ThMtは、内部分マトリクスセットDMiの小ドットに対応付けられるマトリクスの小ドット閾値ThSi以上である。また、遷移中閾値ThMtは、内部分マトリクスセットDMiの中ドットに対応付けられるマトリクスの中ドット閾値ThMi以下である。この構成によれば、遷移領域ARt内では、内部分領域ARiと比べて、中ドットが選択されやすい。従って、プロセッサ110は、遷移領域ARtに薄い部分が形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。特に、本実施例では、1以上の画素(本実施例では、0とdtMax以外の基準閾値dtMに対応付けられる1以上の画素)で、遷移中閾値ThMtは、中ドット閾値ThMi未満である。従って、中ドットの選択の容易さを、適切に向上できる。
【0095】
また、図10(B)、図10(C)で説明したように、遷移ドット閾値セットDTStは、内部ドット閾値セットDTSiと外側ドット閾値セットDTSoとの重み付き和である。すなわち、遷移マトリクスセットDMtの小ドット、中ドット、大ドットのディザマトリクスは、内部分マトリクスセットDMiと外側マトリクスセットDMoとの対応するディザマトリクスの重み付き和である。そして、マトリクスセットDMiの重みWiと外側マトリクスセットDMoの重み(1-Wi)とは、用紙Pの端PEから注目画素までの距離に応じて変化する。従って、プロセッサ110は、内部分領域ARiと外側領域ARoとの間の遷移領域ARtで、適切な画像を印刷可能な出力画像データを生成できる。ここで、内部分マトリクスセットDMiの重みWiは、用紙Pの端PEから注目画素までの距離が長いほど大きいことが好ましい。また、外側マトリクスセットDMoの重み(1-Wi)は、用紙Pの端PEから注目画素までの距離が短いほど大きいことが好ましい。この構成によれば、プロセッサ110は、内部分領域ARiと外側領域ARoとの間で、ディザ閾値を適切に遷移できる。
【0096】
また、図5のS113では、プロセッサ110は、「縁無モード」と「通常モード」とから対象印刷モードを選択する。本実施例では、プロセッサ110は、ユーザの指示に従って、対象印刷モードを選択する。プロセッサ110は、対象印刷モードに従って、出力画像データを生成する処理を実行する(S117、または、S117x)。すなわち、印刷モードは、出力画像データの生成の処理モードの例である。
【0097】
「通常モード」が選択される場合(S115:No)、プロセッサ110は、S117xを実行する。S117xでは、プロセッサ110は、対象画像データを使用して、第2印刷領域PA2(図3(B))内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す出力画像データを生成する。S117xは、「通常モード」のための出力画像データを生成する生成処理の例である。第2印刷領域PA2は、用紙Pの外側の領域を含まずに用紙P上の領域を含む内部印刷領域の例である。上述したように、S140xのハーフトーン処理では、プロセッサ110は、S210(図6)で、第2印刷領域PA2(図3(B))内の全ての画素に対して、内部ドット閾値セットDTSiを適用する。すなわち、S140xのハーフトーン処理では、第2印刷領域PA2の全体に亘って、4個のドット形成状態を選択可能である。このように、プロセッサ110は、「縁無モード」と「通常モード」とのそれぞれで、適切な出力画像データを生成できる。
【0098】
B.第2実施例:
図12は、ディザ閾値の取得処理の別の実施例を示すフローチャートである。図7の実施例との差異は、基準遷移閾値セットDTSsの算出処理S330bが追加されている点である。S340b、S350bは、ドット閾値セットDTSi、DTSoに加えて基準遷移閾値セットDTSsを使用するように、図7のS340、S350を修正したものである。
【0099】
図13(A)-図13(D)は、内部閾値対応関係DTRiと外側閾値対応関係DTRoとの説明図である。図9(A)-図9(D)の実施例との差異は、形成閾値TM、TLの大きさが、図9(A)-図9(D)の形成閾値TM、TLの大きさと、それぞれ異なっている点だけである。本実施例では、例えば、TM=217、TL=448である。
【0100】
図13(A)、図13(B)において、第4値dtM4は、ThSi=TMである基準閾値dtMである。第4値dtM4未満の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSiは、座標点(0、1)と座標点(dtMax、VS)とを結ぶ直線によって表される。第4値dtM4以上の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSiは、座標点(dtM4、TM)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0101】
第5値dtM5は、ThMi=TLである基準閾値dtMである。第5値dtM5未満の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMiは、座標点(0、TM)と座標点(dtMax、VM)とを結ぶ直線によって表される。第5値dtM5以上の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMiは、座標点(dtM5、TL)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0102】
S310(図12)では、プロセッサ110は、内部閾値対応関係DTRi(図13(A)、図13(B))に従って、注目画素の基準閾値dtMに対応付けられるドット閾値ThSi、ThMi、ThL(すなわち、内部ドット閾値セットDTSi)を算出する。
【0103】
図13(C)、図13(D)において、第6値dtM6は、ThSo=TLである基準閾値dtMである。第6値dtM6未満の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSoは、座標点(0、1)と座標点(dtMax、VM)とを結ぶ直線によって表される。第6値dtM6以上の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSoは、座標点(dtM6、TL)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0104】
中ドット閾値ThMoは、小ドット閾値ThSoと同じである。大ドット閾値ThLは、内部ドット閾値セットDTSi(図13(A))の大ドット閾値ThLと同じである。
【0105】
S320(図12)では、プロセッサ110は、外側閾値対応関係DTRo(図13(C)、図13(D))に従って、注目画素の基準閾値dtMに対応付けられるドット閾値ThSo、ThMo、ThL(すなわち、外側ドット閾値セットDTSo)を算出する。
【0106】
S330bでは、プロセッサ110は、注目画素の基準閾値dtMを使用して、遷移領域ARt用の基準のドット閾値セットである基準遷移閾値セットDTSsを算出する。図14(A)は、基準閾値dtMと、基準遷移閾値セットDTSsと、の対応関係DTRsを示すグラフである(基準遷移対応関係DTRsとも呼ぶ)。横軸は、基準閾値dtMを示し、縦軸は、ドット閾値を示している。図中には、小ドット閾値ThSsと、中ドット閾値ThMsと、大ドット閾値ThLと、が示されている。大ドット閾値ThLは、図13(A)、図13(C)の大ドット閾値ThLと同じである。図14(B)は、これらの閾値ThSs、ThMs、ThLの算出式を示している。
【0107】
図14(A)には、基準形成閾値TMsが示されている。基準形成閾値TMsは、dtM=0での中ドット閾値ThMsを示している。基準形成閾値TMsは、中形成閾値TM(図13(A)-図13(D))よりも小さい値に予め設定される(例えば、TMs=108)。ゼロ以上、第8値dtM8未満の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMsは、座標点(0、TMs)と座標点(dtMax、VM)とを結ぶ直線によって表される。第8値dtM8は、ThMs=TLである基準閾値dtMである。第8値dtM8以上の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMsは、座標点(dtM8、TL)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0108】
小ドット閾値ThSsについては、以下の通りである。ゼロ以上、第7値dtM7未満の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSsは、座標点(0、1)と座標点(dtMax、VS)とを結ぶ直線によって表される。第7値dtM7は、ThSs=TMsである基準閾値dtMである。第7値dtM7以上、第8値dtM8以下の範囲では、小ドット閾値ThSsは、座標点(dtM7、TMs)と座標点(dtM8、TL)とを結ぶ直線によって表される。第8値dtM8以上の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSsは、中ドット閾値ThMsと同じである。以下、第7値dtM7以上の基準閾値dtMの範囲で、このように定められる小ドット閾値ThSsを示す線を、第1線LSaと呼ぶ。
【0109】
図中には、第2線LSbが示されている。第2線LSbは、小ドット閾値ThSsの別の候補を示している。第2線LSbは、座標点(dtM7、TMs)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。小ドット閾値ThSsと中ドット閾値ThMsとは、パラメータVS、VM、VL、TS、TM、TMs、TLに応じて、種々に変化する。ここで、第7値dtM7以上の範囲において、第1線LSaによって示される小ドット閾値ThSsが、中ドット閾値ThMsよりも大きくなる可能性がある。本実施例では、プロセッサ110は、第7値dtM7以上の範囲では、第1線LSaと第2線LSbとのうちの小さい値を、小ドット閾値ThSsとして採用する。
【0110】
S330b(図12)では、プロセッサ110は、基準遷移対応関係DTRs(図14(A)、図14(B))に従って、注目画素の基準閾値dtMに対応付けられるドット閾値ThSs、ThMs、ThL(すなわち、基準遷移閾値セットDTSs)を算出する。
【0111】
S340bでは、プロセッサ110は、注目画素の重みを決定する。図15(A)は、注目画素の位置PSと重みWbi、Wbsとの対応関係を示すグラフである。横軸は、位置PSを示し、縦軸は、重みを示している。位置PSは、図10(A)で説明した位置PSと同じである。
【0112】
図中には、用紙Pの端PEと、領域ARt、ARiの境界LTと、の間に位置する切替線LMが示されている。図3(A)には、切替線LMの例が示されている。遷移領域ARtは、この切替線LMによって、外側領域ARoに接する部分である外部分ARaと、内部分領域ARiに接する部分である内部分ARbと、に区分される。切替線LMの位置は、端PEと境界LTとの間の種々の位置であってよい。例えば、切替線LMは、端PEと境界LTとの中間に配置されてよい。本実施例では、切替線LMは、用紙Pの端PEに平行な直線で形成されている。切替線LMは、予め決められている。
【0113】
第1重みWbi(図15(A))は、内部分領域ARi内では、1である。内部分ARb内では、位置PSが切替線LMから境界LTまで移動する場合に、第1重みWbiは、ゼロから1まで変化する。端PEと注目画素との間の距離が長いほど、第1重みWbiは、大きい。切替線LMの外側では、第1重みWbiは使用されない。
【0114】
第2重みWbsは、外側領域ARo内では、ゼロである。外部分ARa内では、位置PSが端PEから切替線LMまで移動する場合に、第2重みWbsは、ゼロから1まで変化する。端PEと注目画素との間の距離が長いほど、第2重みWbsは、大きい。切替線LMの内側では、第2重みWbsは使用されない。
【0115】
なお、重みWbi、Wbsは、画素の位置の変化に対して、連続である。また、重みWbi、Wbsは、端PEから注目画素までの距離に応じて、曲線、または、折れ線を描くように、変化してよい。
【0116】
本実施例では、第1印刷領域PA1内の画素と重みWbi、Wbsとの対応関係は、予め決められている。プロセッサ110は、この対応関係に従って、注目画素の重みWbi、Wbsを決定する。
【0117】
S350b(図12)では、プロセッサ110は、ドット閾値セットDTSi、DTSo、DTSsと重みWbi、Wbsとを使用して、注目閾値セットを決定する。外側領域ARoでは、注目閾値セットは、外側ドット閾値セットDTSoに決定される。内部分領域ARiでは、注目閾値セットは、内部ドット閾値セットDTSiに決定される。遷移領域ARtでは、以下のように、注目閾値セットは、重みWbi、Wbsと閾値セットDTSi、DTSs、DTSoを使用して決定される。
【0118】
図15(B)は、注目小閾値ThSと注目中閾値ThMの算出式の例を示す図である。外部分ARaでは、ドット閾値ThS、ThMは、以下のように算出される。小ドット閾値ThSは、基準遷移閾値セットDTSsの小ドット閾値ThSsと、外側領域ARoの小ドット閾値ThSoと、の重み付き和である。閾値ThSsの重みは、第2重みWbsであり、外側領域ARoの閾値ThSoの重みは「1-Wbs」である。同様に、中ドット閾値ThMは、基準遷移閾値セットDTSsの中ドット閾値ThMsと、外側領域ARoの中ドット閾値ThMoと、の重み付き和である。閾値ThMsの重みは、第2重みWbsであり、外側領域ARoの閾値ThMoの重みは「1-Wbs」である。なお、大ドット閾値ThLは、内部ドット閾値セットDTSiと外側ドット閾値セットDTSoとに共通な大ドット閾値ThLと同じである。
【0119】
内部分ARbでは、ドット閾値ThS、ThMは、以下のように算出される。小ドット閾値ThSは、内部分領域ARiの小ドット閾値ThSiと、基準遷移閾値セットDTSsの小ドット閾値ThSsと、の重み付き和である。内部分領域ARiの閾値ThSiの重みは、第1重みWbiであり、閾値ThSsの重みは「1-Wbi」である。同様に、中ドット閾値ThMは、内部分領域ARiの中ドット閾値ThMiと、基準遷移閾値セットDTSsの中ドット閾値ThMsと、の重み付き和である。内部分領域ARiの閾値ThMiの重みは、第1重みWbiであり、閾値ThMsの重みは「1-Wbi」である。なお、大ドット閾値ThLは、内部ドット閾値セットDTSiと外側ドット閾値セットDTSoとに共通な大ドット閾値ThLと同じである。
【0120】
外部分ARaと内部分ARbとで算出されるドット閾値ThS、ThM、ThLのセットは、遷移領域ARtでの注目閾値セットである遷移ドット閾値セットDTStを形成する。
【0121】
図15(C)は、注目画素の位置PSと注目閾値セットとの関係を示すグラフである。横軸は、位置PSを示している。縦軸は、注目閾値セットに対する内部ドット閾値セットDTSiの割合と外側ドット閾値セットDTSoの割合と基準遷移閾値セットDTSsの割合とを示している。図10(C)の実施例との差異は、遷移領域ARtにおける割合が異なる点だけである。内部分領域ARiと外側領域ARoとにおける割合は、図10(C)の実施例のものと同じである。
【0122】
外部分ARaでは、内部ドット閾値セットDTSiの割合はゼロである。閾値セットDTSo、DTSsの割合は、重みWbs(ひいては、端PEから注目画素までの距離)に応じて、変化する。外側ドット閾値セットDTSoの割合は、位置PSが端PEから切替線LMまで移動する場合に、1からゼロまで変化する。基準遷移閾値セットDTSsの割合は、位置PSが端PEから切替線LMまで移動する場合に、ゼロから1まで変化する。
【0123】
内部分ARbでは、外側ドット閾値セットDTSoの割合はゼロである。閾値セットDTSs、DTSiの割合は、重みWbi(ひいては、端PEから注目画素までの距離)に応じて、変化する。基準遷移閾値セットDTSsの割合は、位置PSが切替線LMから境界LTまで移動する場合に、1からゼロまで変化する。内部ドット閾値セットDTSiの割合は、位置PSが切替線LMから境界LTまで移動する場合に、ゼロから1まで変化する。
【0124】
注目閾値セットの決定の後、プロセッサ110は、図12の処理、すなわち、図6のS210の処理を、終了する。
【0125】
図12のS310、S320では、プロセッサ110は、図7のS310、S320と同様に、マトリクスセットDMi、DMoを取得する。
【0126】
S330bでは、以下に説明するように、プロセッサ110は、基準遷移閾値セットDTSsを定める基準遷移マトリクスセットDMsを取得する。S330bでは、プロセッサ110は、基準遷移閾値セットDTSsを取得する。プロセッサ110は、複数の画素のそれぞれのS330bを実行することによって、複数の画素の閾値セットDTSs、すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの閾値ThSs、ThMs、ThLを取得する。複数の画素の小ドット閾値ThSsの配置パターンは、小ドット用のディザマトリクスの例である。同様に、中ドット閾値ThMsの配置パターンは、中ドット用のディザマトリクスの例であり、大ドット閾値ThLの配置パターンは、大ドット用のディザマトリクスの例である。このように、プロセッサ110は、S330bを複数の画素に対して実行することによって、小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスを取得する。S330bで取得される小ドット、中ドット、大ドットのディザマトリクスのセットを、基準遷移マトリクスセットDMsと呼ぶ。
【0127】
本実施例では、以下に説明するように、基準遷移マトリクスセットDMsの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスは、基準マトリクスBDMと同じ形状のマトリクスによって表現可能である。閾値セットDTSsは、基準マトリクスBDMによって注目画素に対応付けられる基準閾値dtMから、基準遷移対応関係DTRs(図14(A)、図14(B))に従って、算出される。基準遷移対応関係DTRsは、複数の画素に共通である。従って、第1印刷領域PA1の複数の画素の基準遷移閾値セットDTSsの配置パターンは、基準マトリクスBDM(図8)の複数の画素PXmの閾値セットDTSsの配置パターンを第1印刷領域PA1の全体を覆うように隙間無く並んで配置することによって得られるパターンと、同じである。このように、本実施例では、基準遷移マトリクスセットDMsの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスのそれぞれは、基準マトリクスBDMと同じ形状のマトリクスであって、基準マトリクスBDMと基準遷移対応関係DTRsとによって決まるマトリクスによって、表現可能である。
【0128】
S350bでは、図7のS350と同様に、プロセッサ110は、外側領域ARoの複数の画素に対して、外側マトリクスセットDMo(S320)を使用して注目閾値セットを決定している。また、プロセッサ110は、内部分領域ARiの複数の画素に対して、内部分マトリクスセットDMi(S310)を使用して注目閾値セットを決定している。
【0129】
S310-S350bでは、図7の実施例と同様に、プロセッサ110は、遷移領域ARt用のマトリクスセットDMtを取得する。図15(A)-図15(C)で説明したように、注目画素が遷移領域ARt上に位置する場合、プロセッサ110は、内部ドット閾値セットDTSiと、基準遷移閾値セットDTSsと、外側ドット閾値セットDTSoと、重みWbs、Wbiと、を使用して、遷移ドット閾値セットDTStを決定する。プロセッサ110は、遷移領域ARt上の複数の画素のそれぞれのS310-S350bを実行することによって、複数の画素の遷移ドット閾値セットDTSt、すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの閾値ThS、ThM、ThLを取得する。遷移領域ARtの複数の画素の小ドット閾値ThSの配置パターンは、遷移領域ARtにおける小ドット用のディザマトリクスの例である。同様に、遷移領域ARtの複数の画素の中ドット閾値ThMの配置パターンは、中ドット用のディザマトリクスの例であり、遷移領域ARtの複数の画素の大ドット閾値ThLの配置パターンは、大ドット用のディザマトリクスの例である。このように、プロセッサ110は、S310-S350bを遷移領域ARtの複数の画素に対して実行することによって、遷移領域ARtにおける小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクス、すなわち、遷移マトリクスセットDMtを取得する。
【0130】
本実施例では、以下の説明するように、遷移マトリクスセットDMtの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスは、基準マトリクスBDMの少なくとも一部と同じ形状のマトリクスによって表現可能である。遷移ドット閾値セットDTStは、基準マトリクスBDM(図8)と対応関係DTRi、DTRo(図13(A)-図13(D))とに加えて、基準遷移対応関係DTRs(図14(A)、図14(B))と、2個の重みWbi、Wbsと、に従って、算出される。対応関係DTRi、DTRo、DTRsは、複数の画素に共通である。重みWbi、Wbsは、用紙Pの端PEからの距離に応じて変化する。すなわち、端PEに平行な線上の複数の画素の間では、重みWbi、Wbsは同じである。従って、遷移領域ARtの複数の画素の遷移ドット閾値セットDTStの配置パターンは、基準マトリクスBDM(図8)の少なくとも一部の複数の画素PXmの遷移ドット閾値セットDTStの配置パターンを、用紙Pの端PEに平行に繰り返して得られるパターンと、同じであり得る。このように、本実施例では、遷移マトリクスセットDMtの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスのそれぞれは、基準マトリクスBDMの少なくとも一部と同じ形状のマトリクスであって、基準マトリクスBDMと対応関係DTRi、DTRo、DTRsと、重みWbs、Wbiとによって決まるマトリクスによって、表現可能である。
【0131】
また、本実施例では、以下に説明するように、遷移領域ARtの画素の遷移中閾値ThMtは、小ドット閾値ThSi以上であり得、遷移中閾値ThMtは、中ドット閾値ThMi以下であり得る。図14(C)は、閾値ThSi、ThMo、ThMs、ThMiの例を示すグラフである。このグラフは、閾値ThSi、ThMi(図13(A))と、閾値ThMo(図13(C))と、閾値ThMs(図14(A))と、のそれぞれのグラフを重ね合わせたものである。ここで、大きい順が、ThMi、ThMs、ThMo、ThSiの順であるように、マトリクスセットDMi、DMo、DMs(図13(A)-図13(D)、図14)と重みWbi、Wbs(図15(A))とが構成されてよい。ここで、遷移領域ARtの画素の中ドット閾値ThM(すなわち、遷移中閾値ThMt)は、遷移マトリクスセットDMtの中ドット用のマトリクスによって、定められる。図15(B)で説明したように、中ドット閾値ThM(すなわち、遷移中閾値ThMt)は、中ドット閾値ThMsと中ドット閾値ThMoとの重み付きの和、または、中ドット閾値ThMiと中ドット閾値ThMsとの重み付きの和である。本実施例では、遷移中閾値ThMtの算出に使用される2個の閾値の重みの合計値は、1である。従って、遷移中閾値ThMtは、中ドット閾値ThMo以上、中ドット閾値ThMi以下である。以上により、遷移領域ARtの1以上の画素において、遷移中閾値ThMtは、内部分マトリクスセットDMiの小ドットに対応付けられるマトリクスの小ドット閾値ThSi以上である。また、遷移中閾値ThMtは、内部分マトリクスセットDMiの中ドットに対応付けられるマトリクスの中ドット閾値ThMi以下である。この構成によれば、遷移領域ARt内では、内部分領域ARiと比べて、中ドットが選択されやすい。従って、プロセッサ110は、遷移領域ARtに薄い部分が形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。特に、本実施例では、1以上の画素(本実施例では、0とdtMax以外の基準閾値dtMに対応付けられる1以上の画素)では、遷移中閾値ThMtは、中ドット閾値ThMi未満である。従って、中ドットの選択の容易さを、適切に向上できる。
【0132】
また、本実施例では、図15(B)、図15(C)で説明したように、遷移ドット閾値セットDTStは、内部ドット閾値セットDTSiと外側ドット閾値セットDTSoと基準遷移閾値セットDTSsとの重み付き和である。すなわち、遷移マトリクスセットDMtの小ドット、中ドット、大ドットのディザマトリクスは、内部分マトリクスセットDMiと外側マトリクスセットDMoと基準遷移マトリクスセットDMsの対応するディザマトリクスの重み付き和である。そして、マトリクスセットDMi、DMo、DMsのそれぞれの重みは、用紙Pの端PEから注目画素までの距離に応じて変化する。従って、プロセッサ110は、内部分領域ARiと外側領域ARoとの間の遷移領域ARtで、適切な画像を印刷可能な出力画像データを生成できる。ここで、内部分マトリクスセットDMiの重みWbiは、用紙Pの端PEから注目画素までの距離が長いほど大きいことが好ましい。また、外側マトリクスセットDMoの重み(1-Wbs)は、用紙Pの端PEから注目画素までの距離が短いほど大きいことが好ましい。基準遷移マトリクスセットDMsの重みは、種々の値に設定されてよい。例えば、基準遷移マトリクスセットDMsの重みは、他のマトリクスセットDMi、DMoの重みの合計値を1から減算して得られる値に設定されてよい。
【0133】
また、以下に説明するように、遷移領域ARtのうちの外部分ARa(図15(B))の一部では、ThS=ThMである。図13(C)に示すように、基準閾値dtMが第6値dtM6以上である場合、ThSo=ThMoである。図14(A)に示すように、基準閾値dtMが第8値dtM8以上である場合、ThSs=ThMsである。図15(B)に示すように、外部分ARaでは、小ドット閾値ThSは、これらの小ドット閾値ThSs、ThSoの重み付き和であり、中ドット閾値ThMは、これらの中ドット閾値ThMs、ThMoの重み付き和である。そして、閾値ThSs、ThMsの重みは同じ(Wbs)であり、閾値ThSo、ThMoの重みは同じ(1-Wbs)である。以上により、外部分ARaの複数の画素のうち、第6値dtM6と第8値dtM8とのいずれよりも大きい基準閾値dtMに対応付けられる画素では、小ドット閾値ThSは、中ドット閾値ThMと同じである。このように、遷移領域ARtの少なくとも一部において、最小のサイズの小ドットが選択されないので、プロセッサ110は、ミストが形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。
【0134】
なお、上述したように、外部分ARa(ひいては、遷移領域ARt)の画素のドット閾値セットDTStは、遷移マトリクスセットDMtによって定められる。従って、外部分ARaの一部でThS=ThMであることは、以下のように言い換えることが可能である。遷移マトリクスセットDMtの小ドットに対応付けられるディザマトリクスを、第1ディザマトリクスと呼ぶ。遷移マトリクスセットDMtの中ドットに対応付けられるディザマトリクスを、第2ディザマトリクスと呼ぶ。遷移領域ARtの少なくとも一部において、第1ディザマトリクスの注目画素の小ドット閾値ThSの取り得る範囲のうちの一部の範囲で、小ドット閾値ThSは、第2ディザマトリクスの注目画素の中ドット閾値ThMと同じである。なお、図13(C)、図14(A)に示すように、ThSo、ThSsが大形成閾値TL以上である場合に、ThSo=ThMo、かつ、ThSs=ThMsである。従って、ThS=ThMとなり得る小ドット閾値ThSの範囲は、大形成閾値TL以上の範囲である。
【0135】
このように、外部分ARaの少なくとも一部において、遷移マトリクスセットDMtは、以下の構成A1、A2を有している。
(A1)小ドット閾値ThSが大形成閾値TL未満である場合、中ドット閾値ThMは小ドット閾値ThSよりも大きい。
(A2)小ドット閾値ThSが大形成閾値TL以上である場合、中ドット閾値ThMは小ドット閾値ThSと同じである。
この構成によれば、濃度の低い領域で最小のサイズの小ドットが選択され得るので、プロセッサ110は、印刷済の画像中のドットが目立つ可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。
【0136】
C.第3実施例:
図16は、ディザ閾値の取得処理の別の実施例を示すフローチャートである。図12の実施例との主な差異は、基準遷移閾値セットDTSsを使用せずに、重みを使用して、遷移領域ARtのためのドット閾値セットDTSxが算出される点である。外側領域ARoと内部分領域ARiとにおけるドット閾値セットDTSo、DTSiの算出は、図12の実施例のものと同じである。
【0137】
S510では、プロセッサ110は、注目画素の重みを決定する。図17(A)は、注目画素の位置PSと重みWxとの対応関係を示すグラフである。横軸は、位置PSを示し、縦軸は、重みを示している。位置PSは、図10(A)で説明した位置PSと同じである。本実施例の重みWxは、図10(A)の重みWiと同じである。外側領域ARo内では、重みWxは、ゼロである。内部分領域ARi内では、重みWxは、1(すなわち、100%)である。遷移領域ARtでは、位置PSが端PEから境界LTまで移動する場合に、重みWxは、ゼロから1まで変化する。端PEから注目画素までの距離が長いほど、重みWxは、大きい。
【0138】
S520(図16)では、プロセッサ110は、注目画素が3個の領域ARo、ARt、ARiのいずれに位置しているのかを判断する。注目画素が内部分領域ARiに位置している場合、S530で、プロセッサ110は、注目画素の注目閾値セットを算出する。本実施例では、S530の処理は、S310(図12)の処理と同じである。プロセッサ110は、内部ドット閾値セットDTSiを算出する。そして、プロセッサ110は、図16の処理、すなわち、図6のS210の処理を、終了する。
【0139】
注目画素が外側領域ARoに位置している場合、S540で、プロセッサ110は、注目画素の注目閾値セットを算出する。本実施例では、S540の処理は、S320(図12)の処理と同じである。プロセッサ110は、外側ドット閾値セットDTSoを算出する。そして、プロセッサ110は、図16の処理を終了する。
【0140】
注目画素が遷移領域ARtに位置している場合、S550で、プロセッサ110は、注目画素の注目閾値セットを算出する。本実施例では、プロセッサ110は、重みWxと後述する遷移閾値対応関係とを使用することによって、注目閾値セットを算出する(以下、遷移ドット閾値セットDTSxと呼ぶ)。
【0141】
図17(B)は、基準閾値dtMと、遷移ドット閾値セットDTSxと、の対応関係DTRxを示すグラフである(遷移閾値対応関係DTRxとも呼ぶ)。横軸は、基準閾値dtMを示し、縦軸は、ドット閾値を示している。図中には、小ドット閾値ThSxと、中ドット閾値ThMxと、大ドット閾値ThLと、が示されている。大ドット閾値ThLは、図13(A)、図13(C)の大ドット閾値ThLと同じである。図17(C)は、これらの閾値ThSx、ThMx、ThLの算出式を示している。
【0142】
閾値ThSx、ThMx、ThLの算出式は、中形成閾値TMの代わりに遷移閾値TMxが使用される点を除いて、図14(A)、図14(B)の閾値ThSs、ThMs、THLの算出式と、それぞれ同じである。本実施例では、遷移閾値TMxは、重みWxに応じて変化する。図17(C)に示すように、本実施例では、TMx=TM*Wxである。形成閾値TS、TM、TLは、TL>TM>TSであるように、予め決められている(例えば、TS=0、TM=217、TL=448)。重みWx(図17(A))は、ゼロ以上、1以下の範囲で変化する。従って、遷移閾値TMxは、小形成閾値TS以上、大形成閾値TL未満である。重みWxが1未満の領域では、遷移閾値TMxは、中形成閾値TM未満である。
【0143】
中ドット閾値ThMxは、以下のように設定されている。図17(B)に示すように、ゼロ以上、第10値dtM10未満の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMxは、座標点(0、TMx)と座標点(dtMax、VM)とを結ぶ直線によって表される。第10値dtM10は、ThMx=TLである基準閾値dtMである。第10値dtM10以上の基準閾値dtMの範囲では、中ドット閾値ThMxは、座標点(dtM10、TL)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。
【0144】
小ドット閾値ThSxについては、以下の通りである。ゼロ以上、第9値dtM9未満の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSxは、座標点(0、1)と座標点(dtMax、VS)とを結ぶ直線によって表される。第9値dtM9は、ThSx=TMxである基準閾値dtMである。第9値dtM9以上、第10値dtM10以下の範囲では、小ドット閾値ThSxは、座標点(dtM9、TMx)と座標点(dtM10、TL)とを結ぶ直線によって表される。第10値dtM10以上の基準閾値dtMの範囲では、小ドット閾値ThSxは、中ドット閾値ThMxと同じである。以下、第9値dtM9以上の基準閾値dtMの範囲で、このように定められる小ドット閾値ThSxを示す線を、第1線LSxaと呼ぶ。
【0145】
図中には、第2線LSxbが示されている。第2線LSxbは、小ドット閾値ThSxの別の候補を示している。第2線LSxbは、座標点(dtM9、TMx)と座標点(dtMax、VL)とを結ぶ直線によって表される。小ドット閾値ThSxと中ドット閾値ThMxとは、パラメータVS、VM、VL、TS、TM、TMx、TLに応じて、種々に変化する。ここで、第9値dtM9以上の範囲において、第1線LSxaによって示される小ドット閾値ThSxが、中ドット閾値ThMxよりも大きくなる可能性がある。本実施例では、プロセッサ110は、第9値dtM9以上の範囲では、第1線LSxaと第2線LSxbとのうちの小さい値を、小ドット閾値ThSxとして採用する。
【0146】
S550(図16)では、プロセッサ110は、遷移閾値対応関係DTRx(図17(A)、図17(B))に従って、注目画素の基準閾値dtMに対応付けられるドット閾値ThSx、ThMx、ThL(すなわち、遷移ドット閾値セットDTSx)を算出する。そして、プロセッサ110は、図16の処理を終了する。
【0147】
図17(A)に示すように、遷移領域ARt内において、注目画素が端PEに近いほど、重みWx(ひいては、遷移閾値TMx)は小さい。図17(B)に示すように、遷移閾値TMxが小さいほど、中ドット閾値ThMxは小ドット閾値ThSxに近くなる。すなわち、小ドットは形成されにくくなる。以上により、遷移領域ARt内において、端PEに近い部分では、端PEから遠い部分と比べて、小ドットの割合は小さい。この結果、プロセッサ110は、ミストが形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。
【0148】
なお、図16のS510、S520、S550では、図7図12の実施例と同様に、プロセッサ110は、遷移領域ARt用のマトリクスセットDMxを取得する。注目画素が遷移領域ARt上に位置する場合、プロセッサ110は、注目画素の基準閾値dtMと、重みWxと、遷移閾値対応関係DTRxと、を使用して、遷移ドット閾値セットDTSxを決定する。プロセッサ110は、遷移領域ARt上の複数の画素のそれぞれのS510、S520、S550を実行することによって、複数の画素の遷移ドット閾値セットDTSx、すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの閾値ThSx、ThMx、ThLを取得する。遷移領域ARtの複数の画素の小ドット閾値ThSxの配置パターンは、遷移領域ARtにおける小ドット用のディザマトリクスの例である。同様に、遷移領域ARtの複数の画素の中ドット閾値ThMxの配置パターンは、中ドット用のディザマトリクスの例であり、遷移領域ARtの複数の画素の大ドット閾値ThLの配置パターンは、大ドット用のディザマトリクスの例である。このように、プロセッサ110は、S510、S520、S550を遷移領域ARtの複数の画素に対して実行することによって、遷移領域ARtにおける小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクス、すなわち、遷移マトリクスセットDMxを取得する。
【0149】
本実施例では、遷移ドット閾値セットDTSxは、基準マトリクスBDM(図8)と遷移閾値対応関係DTRx(図17(A)、図17(B))と重みWxとに従って、算出される。対応関係DTRxは、複数の画素に共通である。重みWxは、用紙Pの端PEからの距離に応じて変化する。すなわち、端PEに平行な線上の複数の画素の間では、重みWxは同じである。従って、遷移領域ARtの複数の画素の遷移ドット閾値セットDTSxの配置パターンは、基準マトリクスBDM(図8)の少なくとも一部の複数の画素PXmの遷移ドット閾値セットDTSxの配置パターンを、用紙Pの端PEに平行に繰り返して得られるパターンと、同じであり得る。このように、本実施例では、遷移マトリクスセットDMxの小ドット、中ドット、大ドットの3個のディザマトリクスのそれぞれは、基準マトリクスBDMの少なくとも一部と同じ形状のマトリクスであって、基準マトリクスBDMと遷移閾値対応関係DTRxと、重みWxとによって決まるマトリクスによって、表現可能である。
【0150】
このように、図16のS510、S520、S550では、プロセッサ110は、注目画素が遷移領域ARt上に位置する場合には、遷移領域ARtのための遷移マトリクスセットDMxを取得する。上述したように、中ドット閾値ThMxの算出式は、図14(A)-図14(C)の中ドット閾値ThMsの算出式の基準形成閾値TMsを遷移閾値TMxに置換したものである。遷移閾値TMxは、基準形成閾値TMsと同様に、中形成閾値TM以下の値に調整される。従って、本実施例の中ドット閾値ThMxは、図14(C)の中ドット閾値ThMsと同様に、中ドット閾値ThMo以上、中ドット閾値ThMi以下の範囲で変化する。以上により、遷移領域ARtの1個以上の画素において、図14(C)の遷移中閾値ThMtと同様に、中ドット閾値ThMxは、内部分マトリクスセットDMiの小ドットに対応付けられるマトリクスの小ドット閾値ThSi以上である。また、中ドット閾値ThMxは、内部分マトリクスセットDMiの中ドットに対応付けられるマトリクスの中ドット閾値ThMi以下である。この構成によれば、遷移領域ARt内では、内部分領域ARiと比べて、中ドットが選択されやすい。従って、プロセッサ110は、遷移領域ARtに薄い部分が形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。特に、本実施例では、1個以上の画素(本実施例では、0とdtMax以外の基準閾値dtMに対応付けられる1個以上の画素)では、遷移中閾値ThMtは、中ドット閾値ThMi未満である。従って、中ドットの選択の容易さを、適切に向上できる。
【0151】
また、図17(B)に示すように、第10値dtM10以上の基準閾値dtMの範囲で、小ドット閾値ThSxは、中ドット閾値ThMxと同じである。すなわち、大形成閾値TL以上の小ドット閾値ThSxの範囲において、ThSx=ThMxである。このように、遷移領域ARtの少なくとも一部において、最小のサイズの小ドットが選択されないので、プロセッサ110は、ミストが形成される可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。
【0152】
また、本実施例では、遷移領域ARtの少なくとも一部において、遷移マトリクスセットDMxは、以下の構成B1、B2を有している。
(B1)小ドット閾値ThSxが大形成閾値TL未満である場合、中ドット閾値ThMxは小ドット閾値ThSxよりも大きい。
(B2)小ドット閾値ThSxが大形成閾値TL以上である場合、中ドット閾値ThMxは小ドット閾値ThSxと同じである。
この構成によれば、濃度の低い領域で最小のサイズの小ドットが選択され得るので、プロセッサ110は、印刷済の画像中のドットが目立つ可能性を低減可能な出力画像データを生成できる。
【0153】
D.変形例:
(1)基準マトリクスBDMの構成は、図8の構成に代えて、種々の構成であってよい。例えば、基準マトリクスBDMは、Dx方向に平行な2辺とDy方向に平行な2辺とを有する矩形領域の複数の画素の閾値dtMを定めてよい。
【0154】
(2)互いに異なるサイズのドットを示す複数のドット有状態の総数Qは、2以上の種々の数であってよい。例えば、大ドットは、省略されてよい。この場合、中ドットのディザマトリクスは、大ドットのディザマトリクスと同様に、3個の領域ARo、ARt、ARiに共通であってよい。また、小ドットと中ドットと大ドットと特大ドットの4種類のドット有状態が、使用可能であってよい。この場合、特大ドットのディザマトリクスは、3個の領域ARo、ARt、ARiに共通であってよい。そして、大ドットのディザマトリクスは、中ドットのディザマトリクスと同様に、画素の位置PSに応じて調整されてよい。一般的には、使用可能な複数のドット有状態は、最小のサイズである第1サイズのドット有状態である第1ドット有状態と、第1サイズより大きい第2サイズのドット有状態である第2ドット有状態と、を含むことが好ましい。
【0155】
(3)遷移領域ARtにおける閾値セットを定める遷移マトリクスセットの構成は、上記の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、遷移マトリクスセットは、外側マトリクスセットDMoの小ドット閾値を低減し中ドット閾値を増大することによって得られるマトリクスセットであってよい。遷移マトリクスセットにおいては、dtM=dtMaxを除いて、中ドット閾値は小ドット閾値よりも大きい値に設定されてよい。また、外側マトリクスセットDMoが、そのまま、遷移マトリクスセットとして使用されてよい。
【0156】
なお、内部分領域ARiと遷移領域ARtとの境界LTが目立つ可能性を低減するためには、遷移領域ARtでは、内部分マトリクスセットDMiから外側マトリクスセットDMoへ複数の段階を経て遷移するように、遷移マトリクスセットが構成されることが好ましい。
【0157】
いずれの場合も、遷移マトリクスセットは、以下のように構成されていることが好ましい。すなわち、遷移マトリクスセットの第2ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスの1以上の画素のそれぞれの閾値は、
(C1)内部分マトリクスセットの第1ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスの注目画素の閾値以上であり、
(C2)内部分マトリクスセットの第2ドット有状態に対応付けられるディザマトリクスの注目画素の閾値未満である。
この構成によれば、遷移領域では、内部分領域と比べて、中ドットが選択されやすいので、遷移領域に薄い部分が形成される可能性を低減できる。
【0158】
(4)内部分マトリクスセットDMiの構成は、上記の構成に代えて、種々の構成であってよい。例えば、各ドットサイズの閾値は、基準閾値dtMの変化に対して、曲線を描くように変化してよい。また、各ドットサイズの閾値は、基準閾値dtMの変化に対して、直線を描くように変化してよい。いずれの場合も、各ドットサイズの閾値は、基準閾値dtMが増大する場合に、増大することが好ましい。外側マトリクスセットDMoの構成についても、同じである。
【0159】
(5)注目画素の注目閾値セットの取得(図6:S210)に使用されるデータの少なくとも一部は、予め準備されてよい。例えば、内部分マトリクスセットDMiを示すデータが、予め、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)に格納されてよい。この場合、S310(図7図12)とS530(図16)とでは、プロセッサ110は、このデータを使用することによって、内部ドット閾値セットDTSiを取得してよい。また、外側マトリクスセットDMoを示すデータが、予め、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)に格納されてよい。この場合、S320(図7図12)とS540(図16)とでは、プロセッサ110は、このデータを使用することによって、外側ドット閾値セットDTSoを取得してよい。また、基準遷移マトリクスセットDMsを示すデータが、予め、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)に格納されてよい。この場合、S330b(図12)では、プロセッサ110は、このデータを使用することによって、基準遷移閾値セットDTSsを取得してよい。また、遷移マトリクスセットDMt、DMxを示すデータが、予め、記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)に格納されてよい。この場合、S350(図7)、S350b(図12)、S550(図16)では、プロセッサ110は、このデータを使用することによって、遷移領域ARtでの注目閾値セットを取得してよい。
【0160】
また、注目画素の注目閾値セットの取得処理は、上記の処理に代えて、他の種々の処理であってよい。例えば、図7図12の実施例では、注目画素が外側領域ARoに位置する場合には、プロセッサ110は、S310を省略してよい。注目画素が内部分領域ARiに位置する場合には、プロセッサ110は、S320を省略してよい。プロセッサ110は、注目閾値セットの取得に必要な最小限のデータを、算出してよい。
【0161】
(6)使用可能な処理モードから「通常モード」は省略されてよい。この場合、図5のS113、S115、S117xは、省略される。また、使用可能な処理モードは、「縁無モード」を含む1以上の種々のモードを含んでよい。複数の処理モードが使用可能な場合、プロセッサ110は、ユーザの指示に従って処理モードを選択してよい。これに代えて、プロセッサ110は、ユーザの指示を使用せずに、予め決められた条件に従って、処理モードを選択してよい。
【0162】
(7)印刷領域内の複数の画素のそれぞれのドット形成状態を表す出力画像データを生成する処理は、S117、S117x(図5)の処理に代えて、他の種々の処理であってよい。例えば、対象画像データの色値は、印刷色空間で表されてよい。この場合、色変換処理(S130、S130x)は、省略されてよい。また、対象画像データは、印刷領域と印刷解像度とに適するラスタデータであってよい。この場合、S120、S120xは、省略されてよい。
【0163】
(8)印刷実行部200の構成は、図1で説明した構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、印刷実行部200は、固定された印刷ヘッドに対して記録媒体が移動するように構成されてよい。使用可能な印刷材は、1以上の任意の印刷材であってよい(例えば、CMYの3色、KYの2色、Kの1色など)。
【0164】
(9)上記の各実施例では、プリンタ600の制御装置100は、対象画像データを使用して出力画像データを生成する画像処理装置の例である。画像処理装置の構成は、他の種々の構成であってよい。例えば、対象画像データを使用して出力画像データを生成する画像処理装置は、プリンタ600に接続される外部装置(例えば、コンピュータ)であってよい。ここで、S150-S160の処理は、画像処理装置、または、プリンタ600によって実行されてよい。
【0165】
ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、画像処理装置による画像処理の機能を一部ずつ分担して、全体として、画像処理の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムが画像処理装置に対応する)。
【0166】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図6のハーフトーン処理の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0167】
また、本開示の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
【0168】
上記の実施例と変形例とは、適宜に組み合わせることができる。また、上記の実施例と変形例とは、本開示の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0169】
100…制御装置、110…プロセッサ、115…記憶装置、120…揮発性記憶装置、130…不揮発性記憶装置、140…表示部、150…操作部、160…通信インタフェース、200…印刷実行部、210…搬送機構、211…用紙台、212…支持部材、214…平板、217…上流ローラ対、217a…駆動ローラ、217b…従動ローラ、218…下流ローラ対、218a…駆動ローラ、218b…従動ローラ、220…移動機構、240…印刷ヘッド、241…ノズル形成面、290…制御部、600…プリンタ、P…用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17