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特開2024-50052物品管理システム、物品管理方法、検出用具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050052
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】物品管理システム、物品管理方法、検出用具
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B65G1/137 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156634
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
(72)【発明者】
【氏名】坂上 充敏
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522BB24
3F522CC05
3F522CC06
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD34
3F522DD40
3F522GG03
3F522GG07
3F522GG17
3F522GG45
3F522LL36
3F522LL57
3F522LL59
(57)【要約】
【課題】物品に通信デバイスを取り付けることなく物品の残数を認識できるようにする。
【解決手段】本発明のある態様は、定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、定位置に残留する物品の数量を特定する物品管理システムである。このシステムは、定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材と、可動部材が鉛直方向に移動可能となるように可動部材を支持する支持部材と、を有する検出用具と、支持部材に取り付けられる少なくとも1つの通信デバイスと、可動部材に取り付けられ、通信デバイスと近接したときに通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、無線装置による少なくとも1つの通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、通信可否の結果に基づいて、定位置に残留する物品の数量を特定する制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、前記定位置に残留する物品の数量を特定する物品管理システムであって、
前記定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材と、前記可動部材が鉛直方向に移動可能となるように前記可動部材を支持する支持部材と、を有する検出用具と、
前記支持部材に取り付けられる少なくとも1つの通信デバイスと、
前記可動部材に取り付けられ、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、
前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、
前記無線装置による前記少なくとも1つの通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記定位置に残留する物品の数量を特定する制御装置と、
を備えた物品管理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの通信デバイスは、前記支持部材に、鉛直方向にそれぞれ等間隔で配置された複数の通信デバイスであって、
前記定位置にある物品が1つ取り除かれる度に、前記電波遮蔽部材が前記複数の通信デバイスの各々と順に近接し、
前記制御装置は、前記複数の通信デバイスの各々と前記無線装置との通信可否の結果を取得する、
請求項1に記載された物品管理システム。
【請求項3】
前記検出用具は、前記複数の物品を収容可能な収容ケースを備え、
前記収容ケースは、鉛直方向において最も下方にある物品を取り出すための取出し口と、新たな物品を補充するための補充口と、が形成されている、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項4】
前記定位置に残留する物品の数量に関係なく、前記電波遮蔽部材に電波が遮蔽されない位置に配置された参照用の通信デバイスをさらに備え、
前記無線装置は、前記参照用の通信デバイスと通信を行い、
前記制御装置は、前記無線装置による前記参照用の通信デバイスとの通信可否の結果を取得する、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項5】
前記通信デバイスは、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項6】
前記通信デバイスは、UHF帯の無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項7】
前記通信デバイスは、HF帯の無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項8】
前記通信デバイスは、マイクロ波帯の無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項9】
定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、検出用具を用いて、前記定位置に残留する物品の数量を特定する物品管理方法であって、
前記検出用具は、
前記定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材と、前記可動部材が鉛直方向に移動可能となるように前記可動部材を支持する支持部材と、を有し、
前記支持部材には、第1の通信デバイスと第2の通信デバイスが鉛直方向に離間して取り付けられ、前記可動部材にはシート状の電波遮蔽部材が取り付けられ、
前記方法は、
前記定位置に残留する物品の数量がN個(N≧1)である場合、前記第1の通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接し、前記電波遮蔽部材が前記第1の通信デバイスが発する電波を遮蔽するとともに、前記第2の通信デバイスが無線装置と無線通信を行うステップと、
前記定位置に残留する物品の数量がN-1個である場合、前記第2の通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接し、前記電波遮蔽部材が前記第2の通信デバイスが発する電波を遮蔽するとともに、前記第1の通信デバイスが前記無線装置と無線通信を行うステップと、
前記無線装置による前記第1の通信デバイス及び前記第2の通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記定位置に残留する物品の数量を特定するステップと、
物品管理方法。
【請求項10】
定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、前記定位置に残留する物品の数量を特定するための検出用具であって、
前記定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材と、
前記可動部材が鉛直方向に移動可能となるように前記可動部材を支持する支持部材と、
前記支持部材に取り付けられる少なくとも1つの通信デバイスと、
前記可動部材に取り付けられ、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、を備えた、
検出用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理システム、物品管理方法、及び、検出用具に関する。
【背景技術】
【0002】
物品管理システムとして、物品と無線タグを関連付けて物品の在庫管理を行うようにしたものが従来から提案されている。
例えば、特許文献1では、ICタグと読取装置と移動装置とから構成され、棚に載置される物品に付されたICタグからの信号を読取装置により読み取ることにより、読み取った信号に基づき、棚にいかなる物品が載置されているか否かを認識する在庫管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-242058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スーパーマーケット等の小売店の店頭において在庫管理と商品補充を行う場合や、ショッピングセンター等の複合商業施設にある多数のトイレのロール紙の補充を行う場合等で、従来では、担当者が目視で物品の残数を確認し、必要に応じて物品の補充を行っていた。この作業は人手が掛かる上、適時に物品が補充されないという欠点がある。また、従来の在庫管理システムのように各物品にICタグを取り付けて在庫管理をしようとすると、すべての物品にICタグを取り付けなければならず、コストの上昇を招来して好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、物品に通信デバイスを取り付けることなく物品の残数を認識できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、前記定位置に残留する物品の数量を特定する物品管理システムである。
このシステムは、
前記定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材と、前記可動部材が鉛直方向に移動可能となるように前記可動部材を支持する支持部材と、を有する検出用具と、
前記支持部材に取り付けられる少なくとも1つの通信デバイスと、
前記可動部材に取り付けられ、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、
前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、
前記無線装置による前記少なくとも1つの通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記定位置に残留する物品の数量を特定する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、物品に通信デバイスを取り付けることなく物品の残数を認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の商品管理システムの適用例を示す図である。
図2】一実施形態の検出用具の分解斜視図である。
図3】一実施形態の検出用具の可動部材の平面図、正面図、及び、A-A断面図である。
図4】一実施形態の検出用具において、積層されている物品の数に応じた状態を示す図である。
図5】残留数テーブルのデータ構成例を示す図である。
図6】一実施形態の商品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図7】タグデータベースのデータ構成例を示す図である。
図8】他の実施形態の検出用具の斜視図である。
図9】収容ケースを備えた検出用具の斜視図である。
図10】柱状部材を有さない検出用具を含む商品管理システムの適用例を示す図である。
図11図10に示す検出用具の側面視と背面視での図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の物品管理システム、物品管理方法、及び、物品検出器具の一実施形態について説明する。なお、以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
本発明のある態様の第1の態様は、定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、前記定位置に残留する物品の数量を特定する物品管理システムである。本開示において「物品」とは、例えば商品、製品、半製品(製造途中にある中間段階の製品)、モックアップ等の有体物を意味する。
【0010】
この物品管理システムは、以下の(1)~(5)を備える。
(1)前記定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材と、前記可動部材が鉛直方向に移動可能となるように前記可動部材を支持する支持部材と、を有する検出用具
(2)前記支持部材に取り付けられる少なくとも1つの通信デバイス
(3)前記可動部材に取り付けられ、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材
(4)前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置
(5)前記無線装置による前記少なくとも1つの通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記定位置に残留する物品の数量を特定する制御装置
【0011】
このシステムでは、定位置に配置された物品が取り除かれる度に検出用具の可動部材が鉛直下方に移動し、それに応じて少なくとも1つの通信デバイスの各々から出射される電波が電波遮蔽部材によって遮蔽され、あるいは遮蔽されない状態となる。
そのため、本発明のある態様の第1の態様によれば、検出用具に取り付けられた各通信デバイスと無線装置の通信可否に基づき、物品に通信デバイスを取り付けることなく定位置に残留する物品の数量を特定することができる。
なお、電磁遮蔽部材とは、通信デバイスから放射される電波の周波数を、無線装置と通信ができない意図しない周波数とする部材であってもよいし、通信デバイスから放射される電波を無線装置との通信を阻害するようなノイズを重畳させる部材であってもよい。
【0012】
本発明のある態様の第2の態様は、前記少なくとも1つの通信デバイスが、前記支持部材に、鉛直方向にそれぞれ等間隔で配置された複数の通信デバイスであって、前記定位置にある物品が1つ取り除かれる度に、前記電波遮蔽部材が前記複数の通信デバイスの各々と順に近接し、前記制御装置が前記複数の通信デバイスの各々と前記無線装置との通信可否の結果を取得する、第1の態様に記載の物品管理システムである。
【0013】
本発明のある態様の第2の態様によれば、物品が1つ取り除かれたことを検出することができる。
【0014】
本発明のある態様の第3の態様は、前記検出用具は、前記複数の物品を収容可能な収容ケースを備え、前記収容ケースは、鉛直方向において最も下方にある物品を取り出すための取出し口と、新たな物品を補充するための補充口と、が形成されている、第1の態様又は第2の態様に記載の物品管理システムである。
【0015】
本発明のある態様の第3の態様によれば、収容ケースの取出し口と補充口を通して、物品の先入れ先出し(つまり、先に収容ケースに入れた物品を先に取り除くこと)を実現できる。
【0016】
本発明のある態様の第4の態様は、前記定位置に残留する物品の数量に関係なく、前記電波遮蔽部材に電波が遮蔽されない位置に配置された参照用の通信デバイスをさらに備え、前記無線装置は、前記参照用の通信デバイスと通信を行い、前記制御装置は、前記無線装置による前記参照用の通信デバイスとの通信可否の結果を取得する、第1から第3の態様のいずれか一つの態様に記載の物品管理システムである。
【0017】
本発明のある態様の第4の態様によれば、定位置から物品が取り除かれたか否かに関わらず無線装置と通信可能な参照用の通信デバイスを設けることで、システムが定常に動作しているか否か判断できる。
【0018】
本発明のある態様の第5の態様は、前記通信デバイスが、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである、第1から第4の態様のいずれか一つの態様に記載の物品管理システムである。
本発明のある態様の第5の態様は、無線タグが長期間メンテナンス不要で利用可能な点で好ましい。
【0019】
本発明のある態様の第6の態様は、前記通信デバイスがUHF帯の無線タグである、第1から第4の態様のいずれか一つの態様に記載の物品管理システムである。
本発明のある態様の第6の態様は、無線タグが汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0020】
本発明のある態様の第7の態様は、前記通信デバイスがHF帯の無線タグである、第1から第4の態様のいずれか一つの態様に記載の物品管理システムである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0021】
本発明のある態様の第8の態様は、前記通信デバイスがマイクロ波帯の無線タグである、第1から第4の態様のいずれか一つの態様に記載の物品管理システムである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0022】
本発明のある態様の第9の態様は、前記制御装置と通信可能な情報処理装置を含み、前記情報処理装置は、前記制御装置によって特定された物品の数量を表示する、第1から第8の態様のいずれか一つの態様に記載の物品管理システムである。
本発明のある態様の第9の態様は、定位置に残留する物品の数量を視認可能となる点で好ましい。
【0023】
本発明の別の態様は、定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、検出用具を用いて、前記定位置に残留する物品の数量を特定する物品管理方法である。前記検出用具は、前記定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材と、前記可動部材が鉛直方向に移動可能となるように前記可動部材を支持する支持部材とを有し、前記支持部材には、第1の通信デバイスと第2の通信デバイスが鉛直方向に離間して取り付けられ、前記可動部材にはシート状の電波遮蔽部材が取り付けられている。
この物品管理方法は、以下の(6)~(8)の各ステップを含む。
(6)前記定位置に残留する物品の数量がN個(N≧1)である場合、前記第1の通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接し、前記電波遮蔽部材が前記第1の通信デバイスが発する電波を遮蔽するとともに、前記第2の通信デバイスが無線装置と無線通信を行うステップ
(7)前記定位置に残留する物品の数量がN-1個である場合、前記第2の通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接し、前記電波遮蔽部材が前記第2の通信デバイスが発する電波を遮蔽するとともに、前記第1の通信デバイスが前記無線装置と無線通信を行うステップ
(8)前記無線装置による前記第1の通信デバイス及び前記第2の通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記定位置に残留する物品の数量を特定するステップ
【0024】
本発明の別の態様の物品管理方法によれば、検出用具に取り付けられた各通信デバイスと無線装置の通信可否に基づき、物品に通信デバイスを取り付けることなく定位置に残留する物品の数量を特定することができる。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品から物品が取り除かれる場合に、前記定位置に残留する物品の数量を特定するための検出用具である。
この検出用具は、以下の(9)~(12)を備える。
(9)前記定位置にある物品が取り除かれる度に鉛直方向に移動するように配置された可動部材
(10)前記可動部材が鉛直方向に移動可能となるように前記可動部材を支持する支持部材
(11)前記支持部材に取り付けられる少なくとも1つの通信デバイス
(12)前記可動部材に取り付けられ、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材
【0026】
本発明のさらに別の態様の検出用具によれば、物品が配置される定位置の近傍に配置することで、物品に通信デバイスを取り付けることなく定位置に残留する物品の数量を特定することができる。
【0027】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
以下の説明では、物品の一例として、店舗で1個ずつ消費される物品を挙げる。物品としては、定位置に積み重ねて配置されるものであれば如何なる商品でもよい。例えば、店舗のトイレに配置されるトイレットペーパーのロール紙等の消費材や、店舗において積み重ねて展示されている箱型の商品(例えば、お茶パック)等が挙げられる。
図1は、一実施形態の商品管理システム1の適用例を示す図である。図1に示すように、一実施形態の商品管理システム1では、検出用具3の定位置に物品Pが積み重ねられており、物品Pが取り除かされた場合、取り除かれた(消費された)物品Pと消費した時刻に関する情報を自動的に記録できるように構成される。
【0028】
検出用具3にはIoT(Internet of Things)タグT1~T4が取り付けられており、これらのIoTタグは、消費対象の物品Pが置かれた場所の近傍に配置される無線装置2と無線通信可能である。無線装置2は、ネットワークを介してタグ管理サーバ(後述する)と通信可能なゲートウェイ装置である。無線装置2は、IoTタグTの電波出力を考慮して配置される。
以下の説明では、IoTタグは適宜「タグ」と略記し、タグT1~T4に共通する事項について言及するときには「タグT」と表記する。
【0029】
タグTの最大通信距離は、限定しないが、例えば3~10メートルの範囲である。タグTは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグTは、BLEの規格に準拠する場合、所定間隔毎(例えば、1~10秒程度の短時間毎)にパケットをブロードキャスト送信する。タグTが送信するパケットには、タグの識別情報であるタグIDが含まれる。図1に示した無線装置2は、タグTとBLE通信を行う。
【0030】
以下、図2及び図3を参照して、検出用具3の構造について説明する。
図2は、検出用具3の分解斜視図である。図3は、検出用具3の可動部材5の平面図、正面図、及び、A-A断面図である。
【0031】
図2に示すように、検出用具3は、柱状部材4と可動部材5を含む。
柱状部材4は、基部41と、基部41から起立する本体部42と、を備える。基部41は、積み重ねられる複数の物品Pを配置するための配置面411を有し、この配置面411が物品Pの定位置に相当する。柱状部材4は、可動部材5が鉛直方向に移動可能となるように可動部材5を支持する支持部材の一例である。
本体部42の側面には、柱状部材4の起立方向にそれぞれ等間隔でタグT1~T4が配置されている。タグT1~T4の柱状部材4に対する取付方法は限定しないが、例えば接着剤で取り付けられる。一実施形態では、本体部42の頂面に参照タグTref(後述する)が取り付けられる。
【0032】
可動部材5は、ストッパ51と、ストッパ51に取り付けられた摺動部52と、を有する。
摺動部52には中空5Hが形成されている。この中空5Hに柱状部材4の本体部42が挿入されるようにして、可動部材5が柱状部材4に取り付けられる。中空5Hの開口面の形状は、本体部42の水平面における断面形状と同じ形状であるが、僅かに大きく、それによって可動部材5の摺動部52が柱状部材4の本体部42を鉛直方向に摺動可能に構成されている。
なお、図2に示す例では、本体部42の水平面における断面が矩形であり、それに応じて中空5Hの開口面の形状も矩形となっているが、その限りではない。摺動部52が本体部42を鉛直方向に摺動可能である限り、本体部42の水平面における断面と中空5Hの開口面の形状は、円形、楕円形、任意の多角形等、如何なる形態を採ることができる。
【0033】
図3のA-A断面に示すように、摺動部52の内側の側面において電波遮蔽部材SMが取り付けられている。電波遮蔽部材SMが取り付けられる位置は、可動部材5が柱状部材4に取り付けられたときに柱状部材4にあるタグTに面する位置である。
電波遮蔽部材SMは、タグTと近接したときにタグTが発する電波を遮蔽するシート状の部材である。電波遮蔽部材SMとして、例えばネーマ紙を採用できる。ネーマ紙は、透明PETフィルム、アルミニウムの蒸着層(膜)、粘着剤をこの順に積層したものであり、粘着剤により基部の裏面に貼り付けられている。なお、ネーマ紙に代えて、ホイル紙(フォイル紙)を使用してもよい。この他、金属プレート、電波吸収シート、金属粉や磁性紛を練り込んだ塗膜を有するシートも使用可能である。
図示した例では、電波遮蔽部材SMの形状を矩形としているが、その限りではなく、タグTと重なったときに当該タグTの電波を遮蔽可能であるならば如何なる形態であってもよい。なお、タグTが、後述するように通信用アンテナとハーベスティングアンテナを含む場合、電波遮蔽部材SMは、通信用アンテナのみを遮蔽することが好ましい。
【0034】
可動部材5のストッパ51は、可動部材5の鉛直方向の移動におけるストッパとして機能する。配置面411に積み重ねられている1以上の物品Pのうち最も高い位置にある物品Pにストッパ51が当接することで可動部材5が位置決めされる。配置面411に何も物品Pがない場合には、ストッパ51は配置面411に当接する。したがって、配置面411に積み重ねられている物品Pの数に応じて可動部材5の鉛直方向の位置が決まることになる。
【0035】
次に、図4を参照して、商品管理システム1の動作について説明する。
図4は、柱状部材4の配置面411に、物品Pが3個配置されている場合、物品Pが2個配置されている場合、物品Pが1個配置されている場合、及び、物品Pが配置されていない場合の、検出用具3を横から見た状態を示している。
図4に示すように、配置された物品Pの数が少なくなっていくと、検出用具3の可動部材5が柱状部材4に沿って鉛直方向に摺動する。
【0036】
図4を参照すると、物品Pが配置面411に3個配置されている場合、可動部材5の電波遮蔽部材SMがタグT1と近接するため、タグT1からの電波が遮蔽され、タグT2~T4から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT1と通信ができないが、タグT2~T4とは通信が可能である。
物品Pがさらに1個消費されて配置面411に物品Pが2個配置されている場合、可動部材5の電波遮蔽部材SMがタグT2と近接するため、タグT2からの電波が遮蔽され、タグT1,T3,T4から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT2と通信ができないが、タグT1,T3,T4とは通信が可能である。
物品Pがさらに1個消費されて配置面411に物品Pが1個配置されている場合、可動部材5の電波遮蔽部材SMがタグT3と近接するため、タグT3からの電波が遮蔽され、タグT1,T2,T4から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT3と通信ができないが、タグT1,T2,T4とは通信が可能である。
物品Pがさらに1個消費されて配置面411に物品Pが配置されていない場合、可動部材5の電波遮蔽部材SMがタグT4と近接するため、タグT4からの電波が遮蔽され、タグT1~T3から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT4と通信ができないが、タグT1~T3とは通信が可能である。
無線装置2がタグTから受信するパケットには、タグIDが含まれる。
【0037】
一実施形態の商品管理システム1では、無線装置2は、タグ管理サーバ6(後述する)に対して、各タグTとの通信結果の情報を通知する。各タグTとの通信結果の情報には、通信が可能なタグTのタグIDが含まれる。タグ管理サーバ6は、図5に例示する残留数テーブルを参照して、配置面411に残留している物品Pの数(残留数)を特定する。
図5を参照すると、残留数テーブルは、タグT1~T4の各々と無線装置2の通信結果(通信可:〇、通信不可:×)と、物品Pの残留数と、が関連付けられている。
【0038】
図1及び図2に示すように、一実施形態では、検出用具3の柱状部材4に参照タグTrefが配置される。参照タグTrefは、参照用のタグであり、タグTと同じ構成のデバイスである。
参照タグTrefは、物品Pの残留数とは無関係に無線装置2と通信可能である限り、如何なる場所に配置されてもよい。参照タグTrefは、無線装置2が正常に動作しているか否か判断するために設けられる。
【0039】
一実施形態では、後述するタグデータベース(図7)に示すように、参照タグTrefのタグIDは、物品Pが配置されている場所(つまり、検出用具3が配置されている場所)の情報と関連付けられる。すなわち、物品Pが複数の場所に分散して配置され、それに応じて検出用具3が複数の場所に分散して配置されている場合、各場所の検出用具3に取り付けられている参照タグTrefのタグIDに基づいて検出用具3の場所を特定することができる。その場合、無線装置2はタグ管理サーバ6に対して、参照タグTrefのタグIDと、タグT1~T4のうち通信可能なタグのタグIDと、を送信する。それによって、タグ管理サーバ6では、複数の場所の各々について物品Pの残留数を特定することができる。
【0040】
次に、図6を参照して、一実施形態の商品管理システム1の各装置の構成を説明する。
図6は、本実施形態の商品管理システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。
【0041】
図6に示すように、商品管理システム1は、タグT、無線装置2、タグ管理サーバ6(制御装置の一例)、及び、管理用端末8を含む。無線装置2とタグ管理サーバ6はネットワークNWを介して通信可能であり、タグ管理サーバ6と管理用端末8がネットワークNWを介して通信可能である。ネットワークNWは限定しないが、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、移動体通信ネットワーク、インターネット等である。
無線装置2は、タグT及び参照タグTrefからBLE通信によりパケットを受信するBLE無線端末として機能する。また、無線装置2は、各タグからパケットを受信すると、受信したパケットに含まれるタグIDをタグ管理サーバ6に送信する。
タグT及び参照タグTrefは、定常にパケットを発信できる状況では、所定間隔毎にパケットを発信し、それに応じて無線装置2もタグIDを所定間隔毎にタグ管理サーバ6に送信する。
管理用端末8は、タグ管理サーバ6によって検出される物品Pごとの消費タイミングについての情報を取得して表示する端末であるが、このシステムにおいて必須ではない。
【0042】
図6を参照すると、タグTは、制御部11、通信用アンテナ12、ハーベスティングアンテナ13、ハーベスティング部14、電圧制御部15、及び、RF通信部16を含む。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部14、及び、電圧制御部15、RF通信部16が実装される。なお、以下では、タグTの構成について説明するが、図6に図示しない参照タグTrefの構成もタグTと同じである。
【0043】
制御部11は、マイクロプロセッサとメモリ111を有し、タグTの全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)及び/又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、タグTに固有の識別情報であるタグIDを記憶する。
【0044】
ハーベスティング部14は、ハーベスティングアンテナ13が受信する周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のキャパシタ142に貯蔵する。本実施形態では、ハーベスティング部14は、例えばハーベスティングアンテナ13が受信した無線信号を電圧増倍器141により直流電圧に変換し、キャパシタ142に貯蔵する。電圧増倍器141は、限定しないが、例えばディクソン電圧増倍回路(チャージポンプ)である。キャパシタ142は、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよいし、半導体チップとは別体として形成されたものでもよい。
【0045】
ハーベスティングアンテナ13が発電のために受信する電波は、広範囲の周波数帯域において複数の異なる周波数帯の電波である。例えば、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
なお、ハーベスティングアンテナ13は単一のアンテナである場合に限られない。例えば、ハーベスティングアンテナ13は2つの周波数帯(例えば900MHz帯(UHF帯)と2.4GHz帯)に対応したデュアルアンテナであってもよい。
【0046】
電圧制御部15は、制御部11及びRF通信部16に動作電圧を供給する。好ましくは、電圧制御部15は、キャパシタ142の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。
例えば、キャパシタ142の電圧が所定値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11及びRF通信部16では、パケットの生成や無線信号の送信等が行われない。キャパシタ142の電圧が所定値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11及びRF通信部16ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
【0047】
RF通信部16は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)を通信用アンテナ12に送出する。
通信用アンテナ12は、RF通信部16によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。
【0048】
図6に示すように、無線装置2は、制御部21、アンテナ22、RF通信部23、および、通信部24を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、無線装置2の全体を制御する。例えば、制御部21は、タグTから受信したパケットからタグIDを取得すると、取得したタグIDをタグ管理サーバ6に送信するように、通信部24を制御する。
【0049】
RF通信部23は、アンテナ22でタグTから受信した無線信号を検波し、ベースバンド信号に変換し、所定のデジタル復調を行ってパケットを受信する。また、RF通信部23は、ビーコン信号をアンテナ22から送信するために、例えば所定のパターンのベースバンド信号を直交変調してアンテナ22に送出する。
通信部24は、タグ管理サーバ6との通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0050】
図6に示すように、タグ管理サーバ6は、例えば、制御部61、ストレージ62、及び、通信部63を備える。
制御部61は、マイクロプロセッサを主体として構成され、タグ管理サーバ6の全体を制御する。
ストレージ62は、HDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置を備え、タグデータベース(タグDB)及び残留数テーブル(図5参照)を記憶する。図7に示すように、タグデータベースでは、検出用具3に取り付けられている参照タグTrefのタグIDと、検出用具3が配置されている場所を示す場所コードと、が関連付けられている。
通信部63は、無線装置2及び管理用端末8と通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0051】
制御部61はサーバプログラムを実行することで、各タグT及び参照タグTrefが発信するタグIDを含むパケットを無線装置2が受信した場合、当該パケットに含まれるタグIDを無線装置2から取得する。
【0052】
図1に示したように、参照タグTrefは遮蔽されることがないため、無線装置2が故障していない限り、参照タグTrefがパケットを発信する所定間隔ごとに参照タグTrefのタグIDを取得できる。参照タグTrefのタグIDを所定間隔ごとに取得できない場合には、制御部61は、無線装置2が故障していると判断し、管理用端末8に通知する。
【0053】
制御部61は、無線装置2から、無線装置2と各タグTとの通信結果の情報を逐次取得する。各タグTとの通信結果の情報には、通信が可能なタグTのタグIDが含まれている。制御部61は、残留数テーブル(図5)を参照して、タグT1~T4のうち通信可能なタグの組合せに対応する、物品の残留数を特定する。一実施形態では、参照タグTrefのタグIDから特定される場所コードと、物品の残留数と、を関連付ける。
制御部61は、物品の残留数の情報、又は、場所ごとの物品の残留数の情報を示す画像を生成して管理用端末8に送信する。
【0054】
管理用端末8は、各商品の残留数を観測したい場合に利用される情報処理端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末やスマートフォン等である。
管理用端末8は、タグ管理サーバ6から通知される画像を表示する。この画像には、物品の残留数の情報、又は、場所ごとの物品の残留数の情報が含まれる。
通信プロトコルを限定するものではないが、管理用端末8とタグ管理サーバ6は例えばHTTPSにより通信を行い、管理用端末8のウェブブラウザはタグ管理サーバ6から送信される画像を含むウェブページを表示する。
【0055】
以上説明したように、上述した商品管理システム1では、定位置に配置された物品Pが取り除かれる度に検出用具3の可動部材5が鉛直下方に移動し、それに応じて複数のタグTの各々から出射される電波が電波遮蔽部材SMによって遮蔽され、あるいは遮蔽されない状態となる。
そのため、検出用具3に取り付けられた各タグTと無線装置2の通信可否に基づき、物品Pにタグを取り付けることなく定位置に残留する物品Pの数量を特定することができる。
【0056】
図1に示した例では、タグTの数が4個配置したが、タグの数は、任意である。定位置に積み重ねられる物品の数が多い場合には、それに応じて多くのタグTを配置してもよい。
その一方で、定位置に積み重ねられる物品の数が多い場合であっても、多くのタグTを配置しなくてもよい。最大に積層可能な物品の数に関わらず、物品の残留数が所定値になった場合に通知が欲しい場合には、タグTは当該所定値に対応した位置に1つ配置すればよい。例えば、最大10個の物品を積層可能な場合、物品の残留数が10個、5個、1個になったときに通知可能となるように残留数テーブルを設定してもよい。最大10個の物品を積層可能な場合、物品を補充するタイミングがわかればよいときには、例えば物品の残留数が3個以下(つまり、3個、2個、1個、物品なし)である場合に通知可能となるように残留数テーブルを設定することもできる。
【0057】
次に、一実施形態の検出用具3Aについて図8を参照して説明する。
図8は、図1と同じ矢視から見たときの検出用具3Aを示している。検出用具3Aは、可動部材5Aを備えている。可動部材5Aは、図1に示した可動部材5を概ね上下反転させた形状を有する。
可動部材5Aは、可動部材5と比較してストッパ51の位置が最上端にある点で異なるが、可動部材5と同じ位置に電波遮蔽部材SMを有する。
可動部材5Aは、柱状部材4に沿って鉛直方向に摺動可能である。その際、可動部材5Aのストッパ51が高い位置にあるため、検出用具3Aは、検出用具3よりも多くの物品Pを配置可能である。図1に示した検出用具3では最大3個の物品Pを配置可能であるのに対して、検出用具3Aは、図8に示したように最大4個の物品Pを配置可能である。
【0058】
図8に示した検出用具3Aを適用する場合、残留数テーブル(図5)を検出用具3Aに適したものに変更する必要がある。例えば、検出用具3Aに対応する残留数テーブルでは、タグT1,T2,T3,T4と無線装置2の通信結果がそれぞれ、「×」,「〇」,「〇」,「〇」である場合、物品の残留数は「4」になる。
【0059】
一実施形態では、検出用具3,3Aは、収容ケース31を備える。
一例として、収容ケース31を備えた検出用具3を図9に示す。図9に示した収容ケース31は、内部が空洞の直方体形状をなしており、取出し口311と補充口312が形成されている。
収容ケース31の内部には、図1に示した柱状部材4、可動部材5、及び、物品Pが配置されている。
取出し口311は、積み重ねられている1以上の物品Pのうち最も下にある物品Pを取り出すための開口である。取出し口311の大きさは、1個の商品を取り出し可能なサイズとなっている。
補充口312は、新たな物品Pを補充するための開口である。新たな物品Pを補充するためには、可動部材5を柱状部材4に沿って上方に摺動させて補充口312から取り出した後、物品Pを補充口312から投入する。すべての物品Pを投入した後、再度可動部材5を柱状部材4に補充口312を通して可動部材5に連結させる。
このような収容ケース31を設けることで、物品Pの先入れ先出しを実現できる。すなわち、先に収容ケース31に投入した物品Pから先に取出し口311から取り除かれることになる。そのため、物品Pに消費期限がある場合には、消費期限が早く到来する物品Pから消費するように構成することができる。
【0060】
次に、柱状部材を使用しない検出用具の実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。
図10は、柱状部材を有さない検出用具3Bを含む商品管理システムの適用例を示す図である。図11は、図10に示す検出用具3Bの側面視と背面視での図である。
図10に示す商品管理システムでは、物品Pとしてトイレットペーパーのロール紙が想定される。検出用具3B及び無線装置2がトイレに配置され、この商品管理システムは、トイレにあるロール紙の残留数を特定する。
【0061】
図10に示すように、検出用具3Bは、所定数(図示の例では3個)のロール紙を収容可能な収容ケース32と、収容ケース32に対して軸33aの回りを揺動可能に連結されている蓋33と、を備える。図11に示すように、蓋33は、閉鎖位置(図11の33(CL))と開放位置(図11の33(OP))との間で揺動可能となっている。蓋33が開放位置にあるときに、収容ケース32内にロール紙を補充可能である。収容ケース32は一例では、樹脂製である。
【0062】
検出用具3Bの側面には、収容ケース32内に収容可能な3個のロール紙R1~R3のうち最も下方にあるロール紙R3を取り出すための取出し口32Hが形成されている。
収容ケース32内に収容されているロール紙のうち最も高い位置にあるロール紙(図11ではロール紙R1)上には、可動部材5Bが配置される。可動部材5Bは、概ね直方体形状を有する部材であり、その水平面における断面は、蓋33が開放位置における収容ケース32の開放面よりも僅かに小さい。可動部材5Bは、ロール紙が取出し口32Hから1つ取り出される度に、収容ケース32内のロール紙とともに鉛直下方に移動する。
ここで、可動部材5Bが鉛直下方に移動するときには、収容ケース32の内面に支持されながら移動する。つまり、収容ケース32は、可動部材5Bが鉛直方向に移動可能となるように可動部材5Bを支持する支持部材の一例である。
【0063】
図11に示すように、可動部材5Bの背面には矩形形状の電波遮蔽部材SMが取り付けられている。また、収容ケース32の背面には、ロール紙の高さに応じて等間隔でタグT1~T4が取り付けられている。
図11に示すように、収容ケース32内に3個のロール紙R1~R3が収容されている場合には、可動部材5Bは、電波遮蔽部材SMがタグT1と近接する位置になるように配置される。そのため、タグT1からの電波が遮蔽され、タグT2~T4から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT1と通信ができないが、タグT2~T4とは通信が可能である。
【0064】
図示しないが、収容ケース32からロール紙R3が取り出され、収容ケース32内に2個のロール紙R1,R2が収容されている場合には、可動部材5Bは、電波遮蔽部材SMがタグT2と近接する位置になるように移動する。そのため、タグT2からの電波が遮蔽され、タグT1,T3,T4から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT2と通信ができないが、タグT1,T3,T4とは通信が可能である。
収容ケース32からさらにロール紙R2が取り出され、収容ケース32内に1個のロール紙R1が収容されている場合には、可動部材5Bは、電波遮蔽部材SMがタグT3と近接する位置になるように移動する。そのため、タグT3からの電波が遮蔽され、タグT1,T2,T4から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT3と通信ができないが、タグT1,T2,T4とは通信が可能である。
収容ケース32からさらにロール紙R1が取り出され、収容ケース32内に何もロール紙が収容されていない場合には、可動部材5Bは、電波遮蔽部材SMがタグT4と近接する位置になるように移動する。そのため、タグT4からの電波が遮蔽され、タグT1~T3から出射される電波は遮蔽されない。よって、無線装置2は、タグT4と通信ができないが、タグT1~T3とは通信が可能である。
【0065】
検出用具3Bの場合も検出用具3と同様に、図示しないタグ管理サーバは、残留数テーブルを参照して収容ケース32内のロール紙の残留数を特定する。図11に示す構成例では、図5と同じ残留数テーブルを適用できる。
なお、収容ケース32内で可動部材が安定的に移動する(つまり、可動部材5Bが水平面に略平行な状態で移動する)ように、収容ケース32内に溝形状の案内部を設け、その案内部に係合した状態で可動部材を配置するとよい。
【0066】
一実施形態の物品管理方法は、定位置に鉛直方向に積み重ねられた複数の物品Pから物品Pが取り除かれる場合に、検出用具3を用いて、配置面411に残留する物品Pの数量を特定する方法である。
この物品管理方法は、以下の(a)~(c)の各ステップを含む。各ステップにおいて、図2のタグT1,T2の組合せ、タグT2,T3の組合せ、及び、タグT3,T4の組合せがそれぞれ、第1の通信デバイスと第2通信デバイスの組合せの例である。
(a)定位置に残留する物品Pの数量がN個(N≧1)である場合、第1の通信デバイスと電波遮蔽部材SMが近接し、電波遮蔽部材SMが第1の通信デバイスが発する電波を遮蔽するとともに、第2の通信デバイスが無線装置2と無線通信を行うステップ
(b)定位置に残留する物品Pの数量がN-1個である場合、第2の通信デバイスと電波遮蔽部材SMが近接し、電波遮蔽部材SMが第2の通信デバイスが発する電波を遮蔽するとともに、第1の通信デバイスが無線装置2と無線通信を行うステップ
(c)無線装置2による第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、通信可否の結果に基づいて、定位置に残留する物品Pの数量を特定するステップ
【0067】
以上、本発明の物品管理システム、物品管理方法、及び、検出用具の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0068】
通信デバイスが、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えたIoTタグである場合について説明したが、その限りではなく、UHF帯、HF帯、又は、マイクロ波帯で動作するRFIDタグであっても構わない。また、いずれの場合も、RFIDタグは、パッシブ型(電池が内蔵されていないもの)でもよいし、アクティブ型(電池が内蔵されているもの)であってもよい。
【0069】
上記電波遮蔽部材SMとして、タグTからから出射する電波を吸収する電波吸収体を適用することもできる。
電波吸収体は限定しないが、例えば、カーボンと発泡スチロールを組み合わせたもの(発泡スチロールを基材とし、カーボンのオーム損失を利用した電波吸収材)、フェライトと無機材料を組み合わせたもの(フェライトの磁気損失を利用した電波吸収材)、カーボンと発泡ポリエチレンを組み合わせたもの、磁性体と合成ゴムを組み合わせたもの(例えば、合成ゴムにフェライト粉末を混合したものや、合成ゴムにカーボニル鉄紛を混合したもの)、フェライト焼結体、ガラスクロス補強アルミ箔と導電粘着層を組み合わせたもの、誘電材料の層を利用したもの等が挙げられる。
【符号の説明】
【0070】
1…商品管理システム
T1~T4,Tref…タグ
11…制御部
111…メモリ
12…通信用アンテナ
13…ハーベスティングアンテナ
14…ハーベスティング部
141…電圧増倍器
142…キャパシタ
15…電圧制御部
16…RF通信部
2…無線装置
21…制御部
22…アンテナ
23…RF通信部
24…通信部
3,3A,3B…検出用具
31,32…収容ケース
311,32H…取出し口
312…補充口
33…蓋
33a…軸
4…柱状部材
41…基部
411…配置面
42…本体部
5,5A,5B…可動部材
5H…中空
51…ストッパ
52…摺動部
6…タグ管理サーバ
61…制御部
62…ストレージ
63…通信部
8…管理用端末
R1~R3…ロール紙
SM…電波遮蔽部材
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11