(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050053
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】紫外線照射装置、及び紫外線照射システム
(51)【国際特許分類】
A23L 3/28 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A23L3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156636
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】前田 晶子
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 公人
(72)【発明者】
【氏名】日野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 周平
(72)【発明者】
【氏名】伊東 慧
(72)【発明者】
【氏名】秦 由季
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
(72)【発明者】
【氏名】中里 圭佑
【テーマコード(参考)】
4B021
【Fターム(参考)】
4B021LA41
4B021LP10
4B021LT01
4B021LT02
4B021LT06
4B021LW02
4B021LW03
4B021LW04
4B021LW05
(57)【要約】
【課題】生鮮品に対して適切な照射条件で紫外線を照射することが可能な紫外線照射装置、及び紫外線照射システムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、紫外線照射装置は、照射部と、制御部と、を備える。照射部は、紫外線を照射するように構成される。制御部は、収穫された生鮮品に関する情報に基づいて、照射部からの前記生鮮品への紫外線の照射条件を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射するように構成された照射部と;
収穫された生鮮品に関する情報に基づいて、前記照射部からの前記生鮮品への紫外線の照射条件を制御する制御部と;
を備える、紫外線照射装置。
【請求項2】
前記情報は、前記生鮮品の収穫時以降の気候情報を含む、
請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記生鮮品の選果日の温度又は湿度が閾値以上の場合、前記照射部から前記生鮮品へ照射する紫外線の光量を増加させる、
請求項2記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記情報は、前記生鮮品の鮮度情報を含む、
請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記生鮮品の鮮度が閾値以上の場合、前記照射部からの前記生鮮品への紫外線の照射を停止させる、
請求項4記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
収穫された生鮮品に関する鮮度情報を判定する鮮度判定部と;
紫外線照射部と;
を備え、
前記紫外線照射部は、
紫外線を照射するように構成された照射部と;
前記鮮度判定部によって判定された鮮度情報に基づいて、前記照射部からの前記生鮮品への紫外線の照射条件を制御する制御部と;
を含む、紫外線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置、及び紫外線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
収穫された食品に紫外線を照射することによって、食品の鮮度を維持する装置が用いられている。このような装置では、例えば複数の食品を出荷する前に、当該複数の食品のそれぞれに対して適切な照射条件で紫外線を照射することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、生鮮品に対して適切な照射条件で紫外線を照射することが可能な紫外線照射装置、及び紫外線照射システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、紫外線照射装置は、照射部と、制御部と、を備える。照射部は、紫外線を照射するように構成される。制御部は、収穫された生鮮品に関する情報に基づいて、照射部からの生鮮品への紫外線の照射条件を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生鮮品に対して適切な照射条件で紫外線を照射することが可能な紫外線照射装置、及び紫外線照射システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る鮮度維持システムの構成の一例を示す図。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る鮮度維持システムの記憶部に記憶される情報の一例を示す図。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る鮮度維持装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る鮮度維持装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る鮮度維持システムの構成の一例を示す図。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る鮮度維持システムの記憶部に記憶される情報の一例を示す図。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る鮮度維持装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る鮮度維持装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の鮮度維持装置(10)は、照射部(13)、及び制御部(12)を備える。照射部(13)は、紫外線(UV)を照射するように構成される。制御部(12)は、収穫された食品(F)に関する情報に基づいて、照射部13による食品(F)への紫外線(UV)の照射条件を制御する。これにより、鮮度維持装置(10)は、食品(F)に応じて、適切な光量の紫外線(UV)を照射することができる。このため、鮮度維持装置(10)は、食品(F)の鮮度を均一にすることが可能となる。
【0009】
実施形態の鮮度維持装置(10)では、情報は、食品(F)の収穫時以降の気候情報を含む。これにより、鮮度維持装置(10)は、収穫されて以降に曝される温湿度環境に応じて、適切な光量の紫外線(UV)を照射することができる。
【0010】
実施形態の鮮度維持装置(10)では、制御部(12)は、食品の選果日の温度又は湿度が閾値以上の場合、照射部(13)から食品(F)へ照射する紫外線(UV)の光量を増加させる。これにより、食品(F)の腐敗の進行度合いが気候条件によって左右されることを抑制できる。
【0011】
実施形態の鮮度維持装置(10)では、情報は、食品(F)の鮮度情報を含む。これにより、選果時点での食品(F)の鮮度に応じて、適切な光量の紫外線(UV)を照射することができる。
【0012】
実施形態の鮮度維持装置(10)では、制御部(12)は、食品(F)の鮮度が閾値以上の場合、照射部(13)からの食品(F)への紫外線(UV)の照射を停止させる。これにより、全ての食品(F)に対して紫外線(UV)を照射することなく、箱詰め後も食品(F)の鮮度を維持させることができる。このため、全ての食品(F)に対して紫外線(UV)を照射する場合よりも、照射部(13)の劣化を抑制すると共に、省エネルギーを実現できる。
【0013】
実施形態の鮮度維持システム(1)は、収穫された食品(F)に関する鮮度情報を判定する鮮度判定装置(20)と、鮮度維持装置(10)と、を備える。鮮度維持装置(10)は、照射部(13)と、制御部(12)と、を含む。照射部(13)は、紫外線(UV)を照射するように構成される。制御部(12)は、鮮度判定装置(20)によって判定された鮮度情報に基づいて、照射部(13)からの食品(F)への紫外線(UV)の照射条件を制御する。これにより、食品(F)を選果するタイミングで、鮮度の判定と、判定された鮮度に基づいて制御された照射条件による紫外線(UV)の照射と、を併せて実行することが可能となる。
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
本明細書において、生鮮品とは、鮮度が要求される製品を意味し、その一部に(生鮮)食品が含まれる。(生鮮)食品は、例えば、青果物、水産物、及び畜産物(食肉、卵、乳製品など)を含む。また、生鮮品には花卉が含まれる。以下では、生鮮品の一例として、食品(特に、青果物)を例に用いて説明するものとする。
【0016】
また、本明細書において、鮮度とは、収穫時を最大値とする食品の状態の指標と解釈される。食品が可食物である場合、鮮度は、残存可食日数、又は食べ頃を逸するまでの期間と解釈してもよい。なお、鮮度は、収穫時の食品の状態からの乖離度とも解釈され得るが、以下では、説明の便宜上、新鮮な食品ほど鮮度が高いものとして説明する。例えば、鮮度が高い食品の方が、残存可食日数が長い。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る紫外線照射システムである鮮度維持システムの構成の一例を示す図である。
【0018】
鮮度維持システム1は、複数の食品のそれぞれにおいて鮮度維持処理を施すことにより、食品の外部環境を変えることなく、食品の鮮度を維持できる期間を延ばすことを可能とする機器の集合である。ここでの食品の外部環境を変えるとは、食品を冷蔵環境や冷凍環境に保管することを言う。なお、鮮度維持処理と、外部環境の変化を組み合わせることにより、鮮度維持処理のみを施した場合と比較して、食品の鮮度を維持できる期間をさらに延ばすことが期待できる。鮮度維持システム1は、例えば、選果場内の設備の一部として配置される。鮮度維持システム1は、例えば、供給部2、搬送部3、収容部4、記憶部5、及び紫外線照射装置である鮮度維持装置10を含む。なお、鮮度維持システム1においては、鮮度維持装置10は鮮度維持部の一例である。
【0019】
供給部2は、鮮度を維持する処理が実行される前の複数の食品Fを収容することができる容器を含む。供給部2は、複数の食品Fを順番に搬送部3に供給するように構成される。供給部2は、搬送部3によって形成される所定の経路の始点に配置される。
図1の例では、食品F1、F2、F3の順番で複数の食品Fが搬送部3に供給される場合が示される。
【0020】
搬送部3は、例えば、ベルトコンベアーである。搬送部3は、供給部2から供給された複数の食品Fを所定の経路で搬送するように構成される。搬送部3は、複数の食品Fを回転させながら搬送するように構成されていてもよい。この場合、搬送部3上の食品Fの全面を、定点から所定の期間内に観測することができることが好ましい。
【0021】
収容部4は、鮮度を維持する処理が実行された後の複数の食品Fを収容することができる容器を含む。収容部4は、複数の食品Fを複数のグループに仕分ける複数の箱であってもよい。収容部4は、搬送部3によって形成される所定の経路の終点に配置される。
【0022】
記憶部5は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。記憶部5は、複数の食品Fに関する情報を記憶する。記憶部5は、例えば、鮮度維持装置10に接続される。記憶部5に記憶される情報の詳細については、後述する。
【0023】
鮮度維持装置10は、複数の食品Fの鮮度を維持するための機能を有する機器である。鮮度維持装置10は、搬送部3に沿って配置される。鮮度維持装置10は、搬送部3上の食品F(
図1の例では、食品F1)に対して紫外線UVを照射することにより、当該食品Fの鮮度の低下を抑制するように構成される。鮮度維持装置10の詳細については、後述する。
【0024】
以上のような鮮度維持システム1によれば、複数の食品Fには、鮮度維持装置10によって鮮度を維持するための処理が施される。つまり、鮮度維持装置10によって、食品Fに対して鮮度維持処理が行われ、その結果、食品Fは、鮮度維持(鮮度低下の抑制)が可能な状態となる。
【0025】
図2は、第1実施形態に係る鮮度維持システム1の記憶部5に記憶される情報の一例を示す図である。
【0026】
図2に示されるように、記憶部5には、複数の食品Fに関する情報として、気候情報が記憶される。具体的には、複数の食品Fに関する情報は、例えば、互いに関連づけられた識別番号(ID)、収穫日、選果日、及び気候情報を含む。なお、気候情報は、過去の気候情報であってもよいし、これからの予測気候情報であってもよい。
【0027】
IDに対応する列には、複数の食品Fを互いに識別するための識別子が記憶される。
【0028】
収穫日に対応する列には、複数の食品Fの各々が収穫された日時が記憶される。収穫日は、複数の食品Fごとにそれぞれ異なり得る。
【0029】
選果日に対応する列には、複数の食品Fの各々が選果される日時が記憶される。なお、選果日は、例えば、鮮度維持装置10によって紫外線UVが照射される日時と略同一であるものとする。すなわち、選果日は、紫外線照射日と読み替えてもよい。この場合、選果日は、複数の食品F同士で一致し得る。なお、収穫日と、選果日と、が一致する食品Fに対しては、同一のIDが付与されてもよい。例えば、
図2の例では、ID:F2に、ID:F1が付与されていてもよい。
【0030】
気候情報に対応する列には、収穫された食品Fが曝されてきた環境、またはこれから曝される環境が数値化された情報が記憶される。具体的には、例えば、食品F1、F2、及びF3の各々に関連づけられた気候情報は、選果日D3における温度及び湿度の少なくとも一方を含んでいてもよい。食品F1、F2、及びF3に関連づけられた気候情報はそれぞれ、収穫日D1、D1、及びD2における温度及び湿度の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0031】
また、例えば、食品F1、F2、及びF3の各々に関連づけられた気候情報は、選果日D3の数日前(過去の気候情報)から数日後(予測気候情報)までの期間における温度及び湿度の少なくとも一方の履歴を含んでいてもよい。
【0032】
また、例えば、食品F1及びF2の各々に関連づけられた気候情報は、収穫日D1から選果日D3までの期間における温度及び湿度の少なくとも一方の履歴を含んでいてもよい。食品F3の各々に関連づけられた気候情報は、収穫日D2から選果日D3までの期間における温度及び湿度の少なくとも一方の履歴を含んでいてもよい。
【0033】
また、気候情報は、確定値(測定値)に限らず、予報値を含んでいてもよい。また、気候情報としては、収穫日、選果日における1点(1つの測定点)の気候情報のみを含んでいてもよいし、収穫日、選果日における時系列の気候情報を含んでいてもよい。
【0034】
図3は、第1実施形態に係る鮮度維持装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
鮮度維持装置10は、取得部11、制御部12、及び照射部13を含む。
【0036】
取得部11は、気候情報を取得するためのインタフェースである。取得部11は、記憶部5から気候情報を取得する。取得部11は、取得した気候情報を制御部12に送信する。
【0037】
なお、取得部11は、記憶部5以外の情報源から気候情報を取得してもよい。例えば、取得部11は、ユーザの操作によって入力された気候情報を取得してもよいし、外部ネットワークから気候情報を取得してもよい。また、例えば、取得部11は、鮮度維持装置10内に設けられたセンサ(図示せず)によって計測された気候情報を取得してもよい。取得部11は、上述したような異なる情報源から取得した気候情報を組み合わせて、制御部12に送信してもよい。
【0038】
制御部12は、プロセッサ又は集積回路、及び記憶媒体を含む。制御部12のプロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。制御部12の記憶媒体は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含む。制御部12は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに展開し、プロセッサ又は集積回路が当該プログラムを実行する。
【0039】
具体的には、制御部12は、取得部11で取得された気候情報に基づき、照射部13で照射される紫外線UVの照射条件を判定(判断)する。制御部12は、判定(判断)された照射条件を照射部13に送信する。
【0040】
照射条件は、照射対象の食品Fに照射する紫外線UVの光量に対応する。すなわち、照射条件は、照射時間及び照射強度から選択される少なくとも1個のパラメータを含む。
【0041】
以下に、気候情報に基づく照射条件の制御例について列記する。例えば、温度や湿度が高い日に収穫、選果された農作物は、鮮度の低下が早くなってしまう虞がある。なお、以下に列記される複数の制御例における閾値には、それぞれ異なる値が設定され得る。
【0042】
照射対象の食品Fの選果日における湿度及び温度の少なくとも一方が閾値以上である場合、制御部12は、光量を多くするように照射条件を変更してもよい。照射対象の食品Fの選果日と、選果日の前後日と、の間の温度の変化量及び湿度の変化量の少なくとも一方が閾値以上である場合、制御部12は、光量を更に多くするように照射条件を変更してもよい。反対に、それぞれの条件において、閾値以下である場合、制御部12は、光量を低くするように照射条件を変更してもよい。
【0043】
照射対象の食品Fの収穫日における湿度及び温度の少なくとも一方が閾値以上である場合、制御部12は、光量を多くするように照射条件を変更してもよい。照射対象の食品Fの収穫日と、収穫日の後日と、の間の温度の変化量及び湿度の変化量の少なくとも一方が閾値以上である場合、制御部12は、光量を更に多くするように照射条件を変更してもよい。反対に、それぞれの条件において、閾値以下である場合、制御部12は、光量を低くするように照射条件を変更してもよい。
【0044】
照射対象の食品Fの収穫日から選果日までの間の温度の変化量及び湿度の変化量の少なくとも一方が閾値以上である場合、制御部12は、光量を多くするように照射条件を変更してもよい。
【0045】
照射部13は、制御部12からの照射条件にしたがって紫外線UVを照射するように構成された発光体を含む。照射部13は、紫外線UVを効率よく食品Fに照射させるためのリフレクタを更に含んでいてもよい。照射部13の発光体は、非LED(Light Emitting Diode)のランプであってもよく、LEDであってもよい。非LEDのランプである場合、照射部13の発光体は、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外線ランプ、エキシマランプ等であってもよい。照射部13の発光体からは、例えば、UV-Cに分類される紫外線UVが照射される。また、食品Fからの蒸散を抑制する用途で、照射部13の発光体からは、近赤外線が更に照射されてもよい。
【0046】
以上のような構成の鮮度維持装置10により、気候情報に基づき、食品F毎に照射条件を判定することができる。そして、判定された照射条件にしたがって、食品F毎に最適な光量の紫外線UVを照射することができる。
【0047】
図4は、第1実施形態に係る鮮度維持装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0048】
照射対象の食品Fがある場合(開始)、取得部11は、記憶部5等から照射対象の食品Fに関する気候情報を取得する(S11)。
【0049】
制御部12は、S11の処理で取得された気候情報に基づいて、照射対象の食品Fへの紫外線UVの照射条件を決定する(S12)。
【0050】
照射部13は、S12の処理で決定された照射条件にしたがって、照射対象の食品Fに紫外線UVを照射する(S13)。なお、制御部12は、搬送部3の搬送速度を調整することで、紫外線の照射条件を満たしてもよい。
【0051】
鮮度維持装置10は、照射対象の食品Fがあるか否かを判定する(S14)。
【0052】
照射対象の食品Fがあると判定された場合(S14;no)、制御部12は、記憶部5等から照射対象の食品Fに関する気候情報を取得する(S11)。S11の処理の後、後続するS12~S14の処理が実行される。このように、照射対象の食品Fがないと判定されるまで、S11~S14の処理が繰り返し実行される。
【0053】
照射対象の食品Fがないと判定された場合(S14;yes)、紫外線の照射条件の制御動作は終了となる(終了)。
【0054】
なお、
図4の例では、気候情報を取得するS11の処理は、照射対象の食品Fが検出されるたびに実行される場合について示されるが、これに限られない。例えば、気候情報を取得するS11の処理は、事前に1回だけ実行されてもよい。この場合、照射対象の食品Fがないと判定されるまで、S12~S14の処理が繰り返し実行される。
【0055】
第1実施形態によれば、取得部11は、気候情報を取得する。そして、制御部12は、取得された気候情報に基づいて、照射部13から食品Fへの紫外線UVの照射条件を制御する。これにより、食品Fが収穫されて以降に曝される温湿度環境に応じて、適切な光量の紫外線UVを照射することができる。なお、第1実施形態においては、搬送部3では、気候情報の順番(例えば、ID順番)に基づいて、その気候情報に対応した食品が流される形態が好ましい。
【0056】
補足すると、収穫日や選果日の温湿度が高い場合、収穫日とその前後数日や選果日とその前後数日で温湿度の変化が大きい場合、及び収穫日から選果日までの間で温湿度の変化が大きい場合、食品Fの腐敗が進行しやすくなる可能性がある。
【0057】
第1実施形態によれば、制御部12は、収穫日や選果日の温湿度が閾値以上の場合、紫外線UVの光量を増やすように照射条件を制御する。制御部12は、収穫日とその前後数日や選果日とその前後数日で温湿度が閾値以上の場合、紫外線UVの光量を増やすように照射条件を制御する。制御部12は、収穫日から選果日までの間で温湿度の変化量が場合閾値以上の場合、紫外線UVの光量を増やすように照射条件を制御する。これにより、食品Fの腐敗の進行度合いが気候条件によって左右されることを抑制できる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、食品Fの鮮度情報に基づいて照射条件を制御する点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成及び動作について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び動作については、適宜説明を省略する。
【0059】
図5は、第2実施形態に係る鮮度維持システムの構成の一例を示す図である。
図5は、第1実施形態における
図1に対応する。
【0060】
鮮度維持システム1は、鮮度判定装置20を更に備える。なお、鮮度維持システム1においては、鮮度判定装置20は鮮度判定部の一例である。
【0061】
鮮度判定装置20は、複数の食品Fの鮮度を判定するための機能を有する機器である。鮮度判定装置20は、搬送部3に沿って配置される。鮮度判定装置20は、例えば、鮮度維持装置10よりも上流側に配置される。鮮度判定装置20は、搬送部3上の食品F(
図1の例では、食品F2)の鮮度を判定するように構成される。鮮度の判定手法としては、画像に基づく判定手法、臭いに基づく判定手法、形状に基づく判定手法、及び組成に基づく判定手法等、既知の任意の手法が適用され得る。鮮度判定装置20は、判定された鮮度の情報を記憶部5に記憶させる。
【0062】
以上のような鮮度維持システム1によれば、複数の食品Fには、鮮度判定装置20によって鮮度が判定された後、鮮度維持装置10によって鮮度を維持するための処理が施される。
【0063】
図6は、第2実施形態に係る鮮度維持システムの記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図6は、第1実施形態における
図2に対応する。
【0064】
図6に示されるように、記憶部5には、複数の食品Fに関する情報として、鮮度情報が記憶される。具体的には、複数の食品に関する情報は、例えば、互いに関連づけられたID及び鮮度情報を含む。
【0065】
鮮度情報に対応する列には、鮮度判定装置20によって判定された鮮度が記憶される。鮮度は、複数の食品Fごとにそれぞれ異なり得る。具体的には、例えば、食品F1及びF2にはそれぞれ、鮮度X1及びX2が関連づけられ得る。なお、
図6の例では、食品F3は、まだ鮮度判定装置20によって鮮度が判定される前であるため、記憶部5に鮮度情報が記憶されていない。なお、ここでのIDは、
図2を用いて説明した、気候情報に関連付けられたIDと関連付けられたIDであってもよい。
【0066】
図7は、第2実施形態に係る鮮度維持装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7は、第1実施形態における
図3に対応する。
【0067】
取得部11は、鮮度情報を取得するためのインタフェースである。取得部11は、記憶部5から鮮度情報を取得する。取得部11は、取得した鮮度情報を制御部12に送信する。
【0068】
なお、取得部11は、記憶部5以外の情報源から鮮度情報を取得してもよい。例えば、取得部11は、ユーザの操作によって入力された鮮度情報を取得してもよいし、外部ネットワークから気候情報を取得してもよい。また、例えば、取得部11は、記憶部5を介することなく、鮮度判定装置20から鮮度情報を直接的に取得してもよい。取得部11は、上述したような異なる情報源から取得した鮮度情報を組み合わせて、制御部12に送信してもよい。
【0069】
制御部12は、取得部11で取得された鮮度情報に基づき、照射部13で照射される紫外線UVの照射条件を判定する。制御部12は、判定された照射条件を照射部13に送信する。
【0070】
以下に、鮮度情報に基づく照射条件の制御例について列記する。
【0071】
制御部12は、収容部4で同一の箱に仕分けられる食品F同士の鮮度が閾値以上となるように紫外線UVの照射条件を制御する。
【0072】
照射対象の食品Fの鮮度が当該閾値以上である場合、制御部12は、照射部13からの紫外線UVの照射を停止させる。
【0073】
照射対象の食品Fの鮮度が閾値未満である場合、制御部12は、照射部13から紫外線UVを照射させる。紫外線UVの照射条件は、照射対象の食品Fの鮮度が紫外線UVの照射によって当該閾値程度になるように制御されてもよい。すなわち、制御部12は、照射対象の食品Fの鮮度が閾値より低ければ低いほど、照射対象の食品Fに照射する紫外線UVの光量が多くなるように照射条件を制御してもよい。
【0074】
以上のような構成の鮮度維持装置10により、鮮度情報に基づき、食品F毎に照射条件を判定することができる。そして、判定された照射条件にしたがって、食品F毎に最適な光量の紫外線UVを照射することができる。
【0075】
図8は、第2実施形態に係る鮮度維持装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャートである。
図8は、第1実施形態における
図4に対応する。
【0076】
照射対象の食品Fがある場合(開始)、取得部11は、記憶部5等から照射対象の食品Fに関する鮮度情報を取得する(S21)。
【0077】
制御部12は、S21の処理で取得された鮮度情報が条件を満たすか否かを判定する(S22)。
【0078】
条件を満たすことは、例えば、照射対象の食品Fの鮮度が閾値以下であることを含む。
【0079】
鮮度情報が条件を満たす場合(S22;yes)、制御部12は、S21の処理で取得された鮮度情報に基づいて、照射対象の食品Fへの紫外線UVの照射条件を決定する(S23)。
【0080】
照射部13は、S23の処理で決定された照射条件にしたがって、照射対象の食品Fに紫外線UVを照射する(S24)。
【0081】
鮮度情報が条件を満たさない場合(S22;no)、制御部12は、照射部13からの照射対象の食品Fへの紫外線UVの照射を停止させる(S25)。
【0082】
S24の処理、又はS25の処理の後、鮮度維持装置10は、照射対象の食品Fがあるか否かを判定する(S26)。
【0083】
照射対象の食品Fがあると判定された場合(S26;yes)、取得部11は、記憶部5等から照射対象の食品Fに関する鮮度情報を取得する(S21)。そして、後続するS22~S26の処理が実行される。このように、照射対象の食品Fがないと判定されるまで、S21~S26の処理が繰り返し実行される。
【0084】
照射対象の食品Fがないと判定された場合(S26;yes)、紫外線の照射条件の制御動作は終了となる(終了)。
【0085】
第2実施形態によれば、取得部11は、鮮度情報を取得する。そして、制御部12は、取得された鮮度情報に基づいて、照射部13から食品Fへの紫外線UVの照射条件を制御する。これにより、選果時点での食品Fの鮮度に応じて、適切な光量の紫外線UVを照射することができる。
【0086】
補足すると、同じ箱に収容された複数の食品Fの中に腐敗した食品Fが1個でも含まれる場合、他の複数の食品Fの腐敗が早まる場合がある。このように、複数の食品Fが同じ箱に収容された状態では、個々の食品Fの鮮度を高い水準で維持することよりも、食品F間の鮮度のばらつきを小さくすることの方が重要となる場合がある。
【0087】
第2実施形態によれば、制御部12は、鮮度が閾値以上の場合、照射部13による食品Fへの紫外線UVの照射を停止させる。そして、制御部12は、鮮度が閾値未満の食品Fに対して選択的に紫外線UVを照射させる。これにより、全ての食品Fに対して紫外線UVを照射することなく、箱詰め後も食品Fの鮮度を維持させることができる。このため、全ての食品Fに対して紫外線UVを照射する場合よりも、照射部13の劣化を抑制すると共に、省エネルギーを実現できる。
【0088】
また、第1実施形態で用いた気候情報を用いたアルゴリズムを、第2実施形態に組み合わせることで、食品F間の鮮度のばらつきを小さくする処理をより厳密に行うことが可能となる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1…鮮度維持システム、2…供給部、3…搬送部、4…収容部、5…記憶部、10…鮮度維持装置、11…取得部、12…制御部、13…照射部、20…鮮度判定装置、F1,F2,F3…食品。