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特開2024-50062伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法
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  • 特開-伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法 図1
  • 特開-伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法 図2
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  • 特開-伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法 図12
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  • 特開-伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050062
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20240403BHJP
   F16B 13/10 20060101ALI20240403BHJP
   F16B 31/00 20060101ALI20240403BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20240403BHJP
   F16B 35/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01B21/00 C
F16B13/10 H
F16B31/00 Z
F16B35/00 A
F16B35/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156654
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】506162828
【氏名又は名称】FSテクニカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正吾
【テーマコード(参考)】
2F069
3J025
【Fターム(参考)】
2F069AA06
2F069BB40
2F069CC02
2F069GG01
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG09
2F069GG52
2F069GG62
2F069GG72
2F069HH09
3J025AA08
3J025BA31
3J025CA01
3J025DA01
3J025EA01
(57)【要約】
【課題】アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを管理者が正確に把握できるようにする。
【解決手段】固定対象物Sを支持固定するために、コンクリート躯体Cに定着される金属製アンカー10に設けられ、金属製アンカー10のアンカーボルト11に作用した荷重によるアンカーボルト11の伸び量を計測する伸び量計測装置16であって、アンカーボルト11の軸方向における伸び量を計測する計測部と、計測部の計測結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられ、前記金属製アンカーのアンカーボルトに作用した荷重による前記アンカーボルトの伸び量を計測する伸び量計測装置であって、
前記アンカーボルトの軸方向における伸び量を計測する計測部と、
前記計測部の計測結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力部と、を備えることを特徴とする伸び量計測装置。
【請求項2】
前記金属製アンカーは、
基端から先端に向かって前記軸方向に穿孔した遊嵌孔を有し、基端部において前記固定対象物が支持固定される前記アンカーボルトと、
前記遊嵌孔に遊嵌されると共に、基端側を前記アンカーボルトの基端から突出させ、先端側を前記アンカーボルトに抜止めとなるように係止させたロッド状部材と、を備え、
前記計測部は、前記アンカーボルトの基端部と前記ロッド状部材の基端部との離間距離に基づいて、前記アンカーボルトの伸び量を計測することを特徴とする請求項1に記載の伸び量計測装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記情報として、前記アンカーボルトの伸び量が基準値に達したか否かを示す情報と、前記アンカーボルトの伸び量を示す情報とを、前記情報出力装置に出力することを特徴とする請求項1に記載の伸び量計測装置。
【請求項4】
前記情報出力装置は、表示装置であり、
前記表示装置をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伸び量計測装置。
【請求項5】
前記情報出力装置は、外部装置であり、
前記出力部は、前記外部装置に前記情報を送信する通信インターフェースを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伸び量計測装置。
【請求項6】
前記外部装置は、伸び量計測装置とネットワークを介して通信可能な外部サーバーであることを特徴とする請求項5に記載の伸び量計測装置。
【請求項7】
請求項5に記載の伸び量計測装置と、
前記外部装置と、を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
前記外部装置は、
前記伸び量計測装置から出力された情報に基づいて、前記金属製アンカーの修繕が必要であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記金属製アンカーの修繕が必要であると判定された場合、その旨を通知する通知部と、を備えることを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられ、前記金属製アンカーのアンカーボルトに作用した荷重による前記アンカーボルトの伸び量を計測する伸び量計測装置の制御方法であって、
前記アンカーボルトの軸方向における伸び量を計測する計測ステップと、
前記伸び量を計測した計測結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする伸び量計測装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先付けおよび後付け(あと施工)を問わず、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーの伸び量を計測する伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の金属製アンカーとして、固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に後付けして定着されるものが知られている(特許文献1参照)。
この金属製アンカーは、基端から先端に向かって軸方向に穿孔した遊嵌孔を有するアンカーボルトと、アンカーボルトの先端部をアンカー穴の拡径部に定着させる定着機構部と、遊嵌孔に遊嵌されると共に、遊嵌孔の奥部において先端部をアンカーボルトに固定されたロッド状部材と、外部側からアンカーボルトの基端面に当接した状態でロッド状部材の基端部に螺合した荷重検知機構部と、を備えている。
荷重検知機構部は、比較的脆い金属材料等で形成されており、外部側からアンカーボルトの基端面に当接する円板状の視認頭部と、ロッド状部材の基端部に螺合した機構本体と、視認頭部と機構本体との間に介設されたネック部と、で一体に形成されている。そして、ネック部は、アンカーボルトに想定を超える荷重が作用したときに、アンカーボルトの伸びを受けて破断するようになっている。これにより、アンカーボルトに想定を超える引張り荷重が作用したときに、これを管理者に通知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、従来の金属製アンカーでは、ネック部の破断により、アンカーボルトに想定外の荷重が作用したことを、視覚を通じて管理者に通知することができる。この場合、ネック部を所定の荷重で確実に破断させるためには、ネック部を精度良く形成する必要がある。例えば、所定の荷重(強度)を長期許容引張り荷重(降伏点強度の25~30%程度)とした場合、荷重検知機構部のネック部は、長期許容引張り強度を超えたところで破断するように形成しておく必要がある。しかし、荷重検知機構部対自体、脆い材料で形成されていることもあり、所定の強度を奏するようにネック部(荷重検知機構部)を精度良く形成することが難しい。このため、従来の金属製アンカーでは、アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを、管理者が正確に把握することができない問題がある。
【0005】
本発明は、アンカーボルトの伸び量を計測することで、アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを管理者が正確に把握することができる、伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の伸び量計測装置は、固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられ、金属製アンカーのアンカーボルトに作用した荷重によるアンカーボルトの伸び量を計測する伸び量計測装置であって、アンカーボルトの軸方向における伸び量を計測する計測部と、計測部の計測結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の伸び量計測装置の制御方法は、固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられ、金属製アンカーのアンカーボルトに作用した荷重によるアンカーボルトの伸び量を計測する伸び量計測装置の制御方法であって、アンカーボルトの軸方向における伸び量を計測する計測ステップと、伸び量を計測した計測結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、伸び量計測装置は、アンカーボルトの伸び量を計測した計測結果に基づく情報を管理者に通知する。これにより、管理者は、アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを正確に把握することができ、金属製アンカーの点検・管理を適切に行うことができる。また、これにより、金属製アンカーの健全性が担保される。
なお、金属製アンカーは、あと施工アンカー(後付け)であってもよいし、先付けのアンカーであってもよい。
【0009】
上記の伸び量計測装置において、金属製アンカーは、基端から先端に向かって軸方向に穿孔した遊嵌孔を有し、基端部において固定対象物が支持固定されるアンカーボルトと、遊嵌孔に遊嵌されると共に、基端側をアンカーボルトの基端から突出させ、先端側をアンカーボルトに抜止めとなるように係止させたロッド状部材と、を備え、計測部は、アンカーボルトの基端部とロッド状部材の基端部との離間距離に基づいて、アンカーボルトの伸び量を計測することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、アンカーボルトに組み込んだロッド状部材は、その先端側をアンカーボルトに抜止めとなるように係止されると共に、基端側がアンカーボルトの基端から突出されている。このため、固定対象物からアンカーボルトに引張り荷重が作用すると、アンカーボルトには伸びが生ずる一方、ロッド状部材には伸びが生じない。したがって、アンカーボルトの基端部とロッド状部材の基端部との離間距離を計測することで、アンカーボルトの伸び量を、精度良く計測することができる。
【0011】
上記の伸び量計測装置において、出力部は、情報として、アンカーボルトの伸び量が基準値に達したか否かを示す情報と、アンカーボルトの伸び量を示す情報とを、情報出力装置に出力することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、管理者は、アンカーボルトの伸び量が基準値に達したか否かと、アンカーボルトの伸び量とを、把握することができる。
【0013】
上記の伸び量計測装置において、情報出力装置は、表示装置であり、表示装置をさらに備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、管理者は、伸び量計測装置に備えられた表示装置から、アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを把握することができる。
なお、表示装置は、文字や画像を表示するディスプレーであってもよいし、光の発光状態で情報を出力するLED(Light Emitting Diode)等の照明器具であってもよい。
【0015】
上記の伸び量計測装置において、情報出力装置は、外部装置であり、出力部は、外部装置に情報を送信する通信インターフェースを含むことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、管理者は、外部装置を用いて、アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを把握することができる。
なお、通信インターフェースの通信手段は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0017】
上記の伸び量計測装置において、外部装置は、伸び量計測装置とネットワークを介して通信可能な外部サーバーであることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、管理者は、金属製アンカーの設置場所から離れた場所で、アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを把握することができる。また、複数の伸び量計測装置と外部サーバーとをネットワーク接続することにより、複数の金属製アンカーの一括管理が可能となる。
なお、外部サーバーは、伸び量計測装置と中継器を介して通信してもよいし、複数のネットワークを介して通信してもよい。
【0019】
本発明の通信システムは、上記の伸び量計測装置と、外部装置と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、管理者が、外部装置を用いて、アンカーボルトにどの程度の荷重が作用したのかを把握することが可能な通信システムを構築することができる。
【0021】
上記の通信システムにおいて、外部装置は、伸び量計測装置から出力された情報に基づいて、金属製アンカーの修繕が必要であるか否かを判定する判定部と、判定部により、金属製アンカーの修繕が必要であると判定された場合、その旨を通知する通知部と、を備えることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、管理者は、外部装置の通知により、金属製アンカーの修繕が必要であるか否かを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】金属製アンカーの施工状態の構造図である。
図2】金属製アンカーのセンシングユニット廻りの分解図である。
図3】金属製アンカーにおける伸び量計測装置の機能について説明する説明図であって、定常状態の図(a)、およびアンカーボルトが伸びた状態の図(b)である。
図4】第1実施形態に係る伸び量計測装置のブロック図である。
図5】第1実施形態に係る伸び量計測装置に表示される情報の一例を示す図であって、警告情報の表示例(a)および数値情報の表示例(b)である。
図6】伸び量計測装置による計測処理を示すフローチャートである。
図7】伸び量計測装置によるユーザー操作に対する処理を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る計測システムのブロック図である。
図9】管理者端末に表示される操作画面の一例を示す図であって、伸び量計測装置から情報を取得する前の操作画面の表示例(a)および伸び量計測装置から情報を取得した後の操作画面の表示例(b)である。
図10】第2実施形態に係る伸び量計測装置の処理を示すフローチャートであって、伸び量計測装置側計測処理(a)および伸び量計測装置側情報送信処理(b)である。
図11】第2実施形態に係る管理者端末による管理者端末側処理を示すフローチャートである。
図12】第3実施形態に係るネットワークシステムのシステム構成図である。
図13】第3実施形態に係るネットワークシステムの、伸び量計測装置および集中管理サーバーのブロック図である。
図14】第3実施形態に係る集中管理サーバーに表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る伸び量計測装置、通信システム、および伸び量計測装置の制御方法について説明する。伸び量計測装置は、固定対象物をコンクリート躯体に支持固定するためにコンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられる。金属製アンカーは、先付け或いは後付け(あと施工)のアンカーである。また、伸び量計測装置は、金属製アンカーの主体を為すアンカーボルトに引張り荷重が作用することによるアンカーボルトの伸び量を計測し、その計測結果を示す情報を出力する機能を有する。なお、伸び量計測装置は、ディスプレー(表示装置)および操作ボタンを搭載した構成と、これらを搭載しない構成と、を示す。前者は、第1実施形態にて説明し、後者は、第2実施形態および第3実施形態にて説明する。
【0025】
一方、通信システムは、上記の伸び量計測装置と、管理者端末と、が通信可能に接続された計測システムと、上記の伸び量計測装置と、集中管理サーバーと、がネットワークを介して通信可能に接続されたネットワークシステムと、を示す。前者は、第2実施形態にて説明し、後者は、第3実施形態にて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
まず、図1および図2を参照し、金属製アンカー10の構造を説明する。図1は、金属製アンカー10の施工状態の構造図であり、図2は、金属製アンカー10のセンシングユニットU廻りの分解図である。両図に示すように、金属製アンカー10は、いわゆるあと施工アンカーにおける金属拡張アンカーであり、アンカーボルト11を始めとする主要部品が、スチールやステンレススチール等で形成されている。
【0027】
コンクリート躯体Cには、奥部に拡径部AHaを形成したアンカー穴AHが穿孔されており、金属製アンカー10は、このアンカー穴AHに打ち込まれるようにして定着される。アンカー穴AH(コンクリート躯体C)に定着された金属製アンカー10は、そのアンカーボルト11の基端部がコンクリート躯体Cの表面から突出しており、ワッシャーWを介してこの部分に螺合した固定ナットNにより、固定対象物SのベースプレートSaが締結される。
【0028】
金属製アンカー10は、基端から先端に向かって軸方向に穿孔した遊嵌孔12を有するアンカーボルト11と、アンカーボルト11の先端部をアンカー穴AHの拡径部AHaに定着させる定着機構部13と、を備えている。また、金属製アンカー10は、遊嵌孔12に遊嵌されると共に、先端部をアンカーボルト11の先端部に固定されたロッド状部材15と、ロッド状部材15の基端部に設けられたセンシングユニットUと、を備えている。
【0029】
アンカーボルト11と定着機構部13とは、コンクリート躯体Cに固定対象物Sを支持固定する金属製アンカー10の本来のアンカー機能を有している。一方、ロッド状部材15とセンシングユニットUとは、アンカーボルト11に引張り荷重が作用することによるアンカーボルト11の伸び量を、管理者が把握できるようにするための本実施形態特有の機能を有している。
【0030】
アンカーボルト11は、径が金属製アンカー10の呼び径となる全ネジボルトで構成されている。アンカーボルト11の軸心部には、基端から先端に向かって延びる遊嵌孔12が形成されている。遊嵌孔12は、同軸上においてアンカーボルト11を軸方向に貫通している。また、遊嵌孔12は、ロッド状部材15が遊嵌される孔本体12aと、後述するロッド状部材15の先端フランジ部31が嵌合固定される先端側の嵌合孔部12bと、を有している。
【0031】
定着機構部13は、アンカーボルト11の先端部に螺合した拡開ナット21と、アンカーボルト11を囲繞するように配設された打込みスリーブ22と、を有している。拡開ナット21は、アンカーボルト11に螺合する図示下半部のナット本体24と、スリット25aにより4分割された図示上半部の拡開部25と、で一体に形成されている。
【0032】
打込みスリーブ22の先端部には、コーン部26が形成されており、打込みスリーブ22を打ち込むことにより拡開ナット21の拡開部25が径方向外方に拡開する。拡開した拡開部25は、拡径部AHaの周壁に向かって広がり、拡径部AHaに定着される(図1参照)。そして、この拡開部25と拡径部AHaの協働により、アンカーボルト11がクサビ効果を発揮する。
【0033】
ロッド状部材15は、アンカーボルト11よりも十分に細径の棒材で構成されている。ロッド状部材15の先端部には、上記遊嵌孔12の嵌合孔部12bに嵌合固定される先端フランジ部31が形成されている。また、ロッド状部材15の基端部には、センシングユニットUが螺合する基端雄ネジ部32が形成されている。ロッド状部材15は、アンカーボルト11を軸方向に貫通した状態で、その先端フランジ部31を嵌合孔部12bに溶着することで、アンカーボルト11に組付けられている。これにより、ロッド状部材15は、アンカーボルト11に抜止めとなるように係止・固定されている。
【0034】
なお、遊嵌孔12は貫通孔でなくてもよい。また、アンカーボルト11の先端部内周面に雌ネジを形成し、これにロッド状部材15の先端部を螺合するようにしてもよい。かかる場合には、遊嵌孔12は貫通孔であってもよいし、貫通孔でなくてもよい。
【0035】
センシングユニットUは、ユニット本体となる直方体状の伸び量計測装置16と、伸び量計測装置16を支持するユニットベース41と、伸び量計測装置16を覆うユニットカバー42と、ロッド状部材15の基端雄ネジ部32に螺合した調整ナット43と、を有している。調整ナット43は、図示上端部がユニットベース41に溶着されることで袋ナットの形態を有している。すなわち、ユニットベース41は、調整ナット43を介してロッド状部材15の基端部にねじ接合されることで、ロッド状部材15の基端部に位置決めされる。ユニットカバー42は、軟質の樹脂で形成され、伸び量計測装置16の底面以外を覆う形状となっている。ユニットカバー42は、ユニットベース41に対して着脱自在となっており、管理者が点検を行う際に外され、点検終了後、装着される。
【0036】
伸び量計測装置16は、アンカーボルト11に許容引張り荷重を超える荷重が作用したときに、アンカーボルト11に生じる伸び量を計測するものである。伸び量計測装置16には、伸び量を計測するための測長センサー52が内蔵されている。測長センサー52は、例えばレーザー式のセンサーである。測長センサー52の投光器から照射されたレーザー光は、ユニットベース41に形成された貫通孔41aを通過してアンカーボルト11の基端面で反射され、その反射光が貫通孔41aを通過して、測長センサー52の受光器により受光される。すなわち、測長センサー52は、測長センサー52と、アンカーボルト11の基端面との離間距離dを測定する。離間距離dは、「アンカーボルトの基端部とロッド状部材の基端部との離間距離」の一例である。
【0037】
また、伸び量計測装置16の表面には、ディスプレー54と、操作ボタン55と、が配置されている(図2参照)。ディスプレー54には、アンカーボルト11の伸び量が基準値を超えたか否かを示す情報と、アンカーボルト11の伸び量を示す情報と、が表示される。本実施形態に係る伸び量計測装置16は、前者として、アンカーボルト11の伸び量が基準値を超えた旨を示す警告情報をディスプレー54に表示する。警告情報は、例えば、アンカーボルト11の伸び量が基準値を超えた旨を示す文字列の点滅表示である(図5(a)参照)。また、伸び量計測装置16は、後者として、アンカーボルト11の伸び量を数値で示した数値情報をディスプレー54に表示する(図5(b)参照)。一方、操作ボタン55は、ディスプレー54に数値情報を表示させたり、ディスプレー54に表示された警告情報を非表示にさせたりするために用いられる。ディスプレー54は、「情報出力装置」および「表示装置」の一例である。また、警告情報および数値情報は、「伸び量を計測した計測結果に基づく情報」の一例である。
【0038】
なお、金属製アンカー10の施工時における、伸び量計測装置16の測長センサー52と、アンカーボルト11の基端面との間の離間距離d(離間距離dの初期値)は、アンカーボルト11の引張強さにおける比例限度または弾性限度の伸び量の120~200%に設定されている。これにより、アンカーボルト11に想定(設計)を超える荷重が作用し、アンカーボルト11に想定外の伸びが生じた場合にも、アンカーボルト11の伸び量が離間距離dを超えることがない。すなわち、アンカーボルト11に想定を超える荷重が作用しても、アンカーボルト11の基端面がセンシングユニットUのユニットベース41に到達することがないため、センシングユニットUの破損を防止できる。
【0039】
ところで、この種の金属製アンカー10(拡底アンカー)では、その引張り耐力が、アンカーボルト11の降伏点強度に安全率を加味した引張り強度(耐力)に基づいて設計される。具体的には、固定対象物S別に、降伏点強度の20~100%をアンカーボルト11の引張り強度とし、これに基づいてアンカーボルト11(金属製アンカー10)の設計が為される。
【0040】
設計上用いられる引張り強度には、長期許容引張り強度(降伏点強度の25~30%程度)や短期許容引張り強度(降伏点強度の40~50%程度)がある。例えば、固定対象物Sが駆動部を有するもの、固定対象物Sが風圧や振動を受けるもの、或いは固定対象物Sを吊るものである場合には、長期許容引張り強度を考慮することが好ましい。また、固定対象物Sとの関係でアンカーボルト11に金属疲労の可能性がある場合には、降伏点強度の20%を引張り強度とすることが好ましい。
【0041】
このようにして、金属製アンカー10(アンカーボルト11)が設計されるが、実際の現場では、アンカーボルト11に想定を超える荷重(想定外の荷重)が作用することがある。かかる場合、アンカーボルト11が大きなダメージを受け、固定対象物Sの支持が不安定になり、或は固定対象物S自体に問題が生じている場合がある。しかし、アンカーボルト11が抜けかけている等の物理的に顕著な変化が無いと、この事態を把握することができない。
【0042】
この点において、本実施形態の金属製アンカー10に設けられた伸び量計測装置16は、アンカーボルト11の伸び量が基準値を超えた旨を示す警告情報や、アンカーボルト11の伸び量を示す数値情報をディスプレー54に表示する。これにより、管理者は、アンカーボルト11に想定を超える荷重が作用したことや、アンカーボルト11にどの程度の荷重が作用したのかを把握することができる。なお、基準値は、アンカーボルト11の引張強さにおける比例限度または弾性限度の伸び量の50~80%とすることが好ましい。
【0043】
ここで、図3を参照して、金属製アンカー10の施工手順について簡単に説明すると共に、センシングユニットU(伸び量計測装置16)の機能について説明する。この金属製アンカー10の施工は、先ずロッド状部材15を組み込んだアンカーボルト11をアンカー穴AHに挿入し、打込みスリーブ22を打ち込んで、アンカーボルト11をコンクリート躯体Cに定着させる。
【0044】
次に、ロッド状部材15の基端部に、センシングユニットUを組み付ける。このとき、伸び量計測装置16の測長センサー52により、測長センサー52とアンカーボルト11の基端面との間の離間距離dの初期値(離間距離d0)が測定され、その初期値に基づいて、測長センサー52のゼロ点補正が行われる(図3(a)参照)。すなわち、伸び量計測装置16は、この初期値から測長センサー52の測定値を差し引いた差分を、アンカーボルト11の伸び量として計測する。なお、ゼロ点補正は、例えば操作ボタン55の複数回連続押下によって行われる。
【0045】
また、センシングユニットUの組み付けと相前後して、固定対象物Sを持ち込み、そのベースプレートSaを固定ナットNによりコンクリート躯体Cの表面に固定する。これにより、固定対象物Sは、金属製アンカー10を介してコンクリート躯体Cに支持固定される(図3(a)参照)。
【0046】
このようにして、固定対象物Sをコンクリート躯体Cに支持固定した状態において、アンカーボルト11に想定を超える引張り荷重が作用した場合、すなわち、固定対象物Sに想定を超える風圧や振動が作用し、アンカーボルト11に許容引張り荷重を超える荷重が作用した場合、アンカーボルト11に軸方向の伸びが生ずる。すなわち、アンカーボルト11に軸方向の伸びが生じた場合、測長センサー52とアンカーボルト11の基端面との間の離間距離d1は、離間距離d0より短くなる(図3(b)参照)。
【0047】
このとき、アンカーボルト11の伸び量が基準値を超えると、伸び量計測装置16のディスプレー54に警告情報が表示される(図5(a)参照)。これにより、管理者は、アンカーボルト11に想定を超える荷重が作用したことを把握することができる。なお、図3(b)に示す例は、アンカーボルト11に弾性限度を超える荷重が作用した状態を示しており、荷重が去った(伸びが戻った)後のアンカーボルト11には、永久変形による微小な伸びが残る。すなわち、アンカーボルト11に微小な伸びが残った状態では、測長センサー52とアンカーボルト11の基端面との間の離間距離d2は、離間距離d0より短く、離間距離d1より長くなる(図3(c)参照)。
【0048】
次に、図4を参照し、第1実施形態に係る伸び量計測装置16A(伸び量計測装置16)の制御系の構成を説明する。伸び量計測装置16Aは、制御系の構成として、制御部51と、測長センサー52と、メモリー53と、ディスプレー54と、操作ボタン55と、を備えている。
【0049】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含み、伸び量計測装置16Aの各部を制御する。測長センサー52は、上記のとおり、測長センサー52とアンカーボルト11の基端面との離間距離dを測定する。制御部51は、測長センサー52のゼロ点補正を行ったときの測長センサー52の測定値である初期値から、伸び量の計測時点における測長センサー52の測定値を差し引くことで、アンカーボルト11の伸び量を計測する(計測部,計測ステップ)。
【0050】
メモリー53は、書き換え可能な記憶装置である。メモリー53は、ゼロ点補正が行われたときの測長センサー52の測定値である初期値と、アンカーボルト11の伸び量が基準値を超えたか否かを示す警告フラグと、制御部51により計測されたアンカーボルト11の伸び量と、を記憶する。ディスプレー54は、警告フラグが「1」となったとき、警告情報を表示する(図5(a)参照)。また、ディスプレー54は、管理者により操作ボタン55が短押しされたとき、アンカーボルト11の伸び量を示す数値情報を表示する(図5(b)参照)。操作ボタン55は、ディスプレー54に数値情報を表示させたり、警告フラグをリセットさせたりする際に操作される。
【0051】
上記の構成により、制御部51は、測長センサー52により測定された離間距離dに基づいて、定期的にアンカーボルト11の伸び量を計測し、計測した伸び量をメモリー53に記憶させる。制御部51は、計測した伸び量が基準値を超えたとき、メモリー53に記憶されている警告フラグを「1」にし、これに伴って警告情報をディスプレー54に出力する(出力部,出力ステップ)。また、制御部51は、操作ボタン55の短押し操作に基づいて、メモリー53に記憶されている伸び量を示す数値情報をディスプレー54に出力する(出力部,出力ステップ)。
【0052】
図5は、伸び量計測装置16Aのディスプレー54に表示される情報の一例を示す図である。図5(a)は、警告情報の表示例を示している。同図に示す警告情報は、「伸び量が基準値を超えています」という文字列を点滅表示させたものである。このように、制御部51は、警告フラグが「1」の状態において、ディスプレー54に警告情報を表示する。
【0053】
図5(b)は、数値情報の表示例を示している。同図に示す数値情報は、ミリメートル単位で伸び量を示したものである。制御部51は、操作ボタン55が短押しされると、一定時間、ディスプレー54に数値情報を表示し、その後数値情報を非表示にする。
【0054】
図6は、伸び量計測装置16Aによる計測処理を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、定期的に実行される処理である。伸び量計測装置16Aは、測長センサー52の測定結果に基づいて、アンカーボルト11の伸び量を計測する(S01)。伸び量計測装置16Aは、伸び量を計測する度に、メモリー53に記憶されている伸び量の値を更新する(S02)。
【0055】
伸び量計測装置16Aは、警告フラグが「0」であるか否かを判定する(S03)。伸び量計測装置16Aは、警告フラグが「0」ではないと判定した場合(S03:No)、すなわち警告フラグが「1」であると判定した場合、計測処理を終了する。伸び量計測装置16Aは、警告フラグが「0」であると判定した場合(S03:Yes)、アンカーボルト11の伸び量が基準値に達したか否かを判定する(S04)。
【0056】
伸び量計測装置16Aは、アンカーボルト11の伸び量が基準値に達したと判定した場合(S04:Yes)、警告フラグを「1」にする(S05)。これに伴い、伸び量計測装置16Aは、警告情報をディスプレー54に表示する。また、伸び量計測装置16Aは、アンカーボルト11の伸び量が基準値に達していないと判定した場合(S04:No)、計測処理を終了する。
【0057】
図7は、伸び量計測装置16Aによるユーザー操作に対する処理を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、操作ボタン55が操作されたときに実行される処理である。伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55が短押しされたか否かを判定する(S11)。なお、「短押し」とは、操作ボタン55の押下継続時間が時間T1以上時間T2未満(時間T2>時間T1)の押下操作を指す。伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55が短押しされたと判定した場合(S11:Yes)、メモリー53に記憶されている伸び量を示す数値情報をディスプレー54に表示する(S12)。一方、伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55が短押しされていないと判定した場合(S11:No)、S13に進む。
【0058】
続いて、伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55が長押しされたか否かを判定する(S13)。なお、「長押し」とは、操作ボタン55の押下継続時間が時間T2以上の押下操作を指す。伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55が長押しされたと判定した場合(S13:Yes)、メモリー53に記憶されている警告フラグを「0」にする(S14)。これに伴い、伸び量計測装置16Aは、ディスプレー54に表示されていた警告情報を非表示にする。一方、伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55が長押しされていないと判定した場合(S13:No)、すなわち、操作ボタン55の押下継続時間が時間T1未満の場合、ユーザー操作に対する処理を終了する。
【0059】
なお、図7に示したユーザー操作は、金属製アンカー10の点検時に行われる操作である。管理者は、金属製アンカー10の点検時において、センシングユニットUのユニットカバー42を外し、伸び量計測装置16Aのディスプレー54に警告情報が表示されているか否かを確認する。また、管理者は、操作ボタン55を短押しして、アンカーボルト11の伸び量を確認する。そして、管理者は、警告情報が表示されていた場合や、伸び量が大きい場合、想定外の伸び(荷重)の原因を究明し、これを解消するよう努める。管理者は、原因が解消でき、且つ伸び量がアンカーボルト11の弾性限度以内のものと想定される場合、操作ボタン55を長押しし、警告情報を非表示にする。この場合、金属製アンカー10の付け替えは行われない。また、原因が解消でき、且つ想定外の伸びが、アンカーボルト11の弾性限度を超えるものであった場合には、金属製アンカー10を付け替える。同様に、原因が解消できない場合には、金属製アンカー10を付け替える。なお、金属製アンカー10の付け替えが行われた場合であって、元の金属製アンカー10に取り付けられていたセンシングユニットU(伸び量計測装置16A)に不具合がない場合は、これを、新しい金属製アンカー10に取り付けて利用することも可能である。
【0060】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る伸び量計測装置16Aは、アンカーボルト11の伸び量を計測した計測結果に基づく情報として、警告情報や数値情報をディスプレー54に表示する。これにより、管理者は、アンカーボルト11の伸び量が基準値に達したか否か、およびアンカーボルト11の伸び量を把握することができ、金属製アンカー10の点検・管理を適切に行うことができる。また、これにより、金属製アンカー10の健全性が担保される。
【0061】
なお、第1実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
第1実施形態に係る伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55が短押しされたときに数値情報をディスプレー54に表示したが、操作ボタン55の操作を必要とすることなく数値情報を表示してもよい。例えば、伸び量計測装置16Aは、計測処理により伸び量の値が更新される度に(図6S02参照)、ディスプレー54に表示する数値情報を更新してもよい。
【0062】
第1実施形態では、アンカーボルト11の基端部とロッド状部材15の基端部との離間距離dを測定するセンサーとして、測長センサー52を用いたが、これ以外の測定手段を用いて離間距離dを測定してもよい。例えば、測定手段として、変位センサーを用いてもよい。変位センサーとしては、光学式、超音波式および接触式のいずれを用いてもよい。
【0063】
第1実施形態に係る伸び量計測装置16Aは、「伸び量を計測した計測結果に基づく情報」として、警告情報および数値情報をディスプレー54に表示したが、これ以外の情報を表示してもよい。例えば、伸び量計測装置16Aは、計測した伸び量が基準値を超えた回数をディスプレー54に表示してもよい。
【0064】
また、伸び量計測装置16Aは、計測した伸び量の最大値をディスプレー54に表示してもよい。伸び量の最大値は、離間距離dの初期値がメモリー53に記憶された後に計測された伸び量の最大値であってもよいし、前回警告情報が非表示にされた後に計測された伸び量の最大値であってもよい。また、操作ボタン55の操作が行われた時点から過去1か月、または過去1年など過去一定の期間に計測された伸び量の最大値であってもよい。
【0065】
また、伸び量計測装置16Aは、伸び量の計測履歴(複数回に渡る伸び量の計測結果)をディスプレー54に表示してもよい。この場合、伸び量計測装置16Aは、計測処理において、メモリー53に記憶されている伸び量の値を更新するのではなく(図6S02参照)、メモリー53に計測値を追加記憶させればよい。また、伸び量計測装置16Aは、操作ボタン55の短押し操作ごとに、伸び量の計測日時と伸び量とを紐付けた情報を、計測日時順にディスプレー54に表示すればよい。このように、伸び量の計測履歴が表示されることにより、管理者は、アンカーボルト11に作用した荷重についての詳細を把握することができる。
【0066】
また、伸び量計測装置16Aは、アンカーボルト11の伸び量を示す情報として、伸び量を示す数値ではなく、伸び量を示す記号、絵柄または文字列を表示してもよい。例えば、伸び量計測装置16Aは、「伸び量:大」、「伸び量:中」、「伸び量:小」などの文字列を表示してもよい。
【0067】
また、第1実施形態に係る伸び量計測装置16Aは、ディスプレー54を備えたが、光の発光状態で情報を出力するLED等の照明器具を、「表示装置」として用いてもよい。この場合、伸び量計測装置16Aは、警告フラグの状態に応じて、照明器具の点灯および消灯を行えばよい。また、伸び量計測装置16Aに、複数の照明器具を設けてもよい。この場合、伸び量計測装置16Aは、例えば、警告フラグが「0」の場合、第1の照明器具を点灯し、警告フラグが「1」の場合、第2の照明器具を点灯すればよい。
【0068】
また、第1実施形態に係る伸び量計測装置16Aは、ロッド状部材15の基端部に伸び量計測装置16Aを搭載したが、アンカーボルト11の基端部に伸び量計測装置16Aを搭載し、伸び量計測装置16Aに内蔵された測長センサー524とロッド状部材15の基端部に設けた部材との離間距離dを計測してもよい。
【0069】
[第2実施形態]
次に、図8ないし図11を参照し、第2実施形態に係る伸び量計測装置16Bについて説明する。本実施形態に係る伸び量計測装置16Bは、第1実施形態に係る伸び量計測装置16Aと比較し、ディスプレー54および操作ボタン55を省略し、通信インターフェース56を追加した構成となっている。また、伸び量計測装置16Bの計測結果に基づく情報は、伸び量計測装置16Bと通信可能な管理者端末100に表示される。管理者端末100は、管理者が、金属製アンカー10の点検時に所持するタブレット端末を想定している。管理者端末100は、「外部装置」の一例である。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0070】
図8は、本実施形態に係る計測システムSY2のブロック図である。計測システムSY2は、「通信システム」の一例である。計測システムSY2は、伸び量計測装置16Bと、管理者端末100と、を備えている。伸び量計測装置16Bは、制御系の構成として、制御部51と、測長センサー52と、メモリー53と、通信インターフェース56と、を備えている。通信インターフェース56は、「出力部」の一例である。通信インターフェース56は、管理者端末100と無線通信または有線通信を介して通信を行う。
【0071】
なお、本実施形態に係る伸び量計測装置16Bのメモリー53には、第1実施形態に係る伸び量計測装置16Aとは異なり、警告フラグは記憶されない。伸び量計測装置16Bのメモリー53には、ゼロ点補正が行われたときの測長センサー52の測定値である初期値と、アンカーボルト11の伸び量と、後述する装置IDと、が記憶されている。
【0072】
一方、管理者端末100は、制御系の構成として、制御部111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、通信インターフェース114と、タッチパネル115と、を備えている。
【0073】
制御部111は、プロセッサーを含み、管理者端末100の各部を制御する。ROM112は、管理アプリケーション61を記憶する。管理アプリケーション61は、伸び量計測装置16Bと通信し、伸び量計測装置16Bから取得した情報(アンカーボルト11の伸び量)をタッチパネル115に表示させたり、伸び量計測装置16Bから取得した情報に基づいて、金属製アンカー10の修繕が必要であるか否かを判定したりするためのアプリケーションである。RAM113は、制御部111のワークエリアとして用いられる。例えば、RAM113は、伸び量計測装置16Bから取得した情報(装置IDおよび伸び量)を記憶する。
【0074】
図9は、管理者端末100のタッチパネル115に表示される操作画面D1の一例を示す図である。図9(a)は、伸び量計測装置16Bから情報を取得する前の操作画面D1の表示例を示している。また、図9(b)は、伸び量計測装置16Bから情報を取得した後の操作画面D1の表示例を示している。
【0075】
図9に示すように、操作画面D1には、情報取得ボタン121と、情報領域122と、が表示される。情報取得ボタン121は、伸び量計測装置16Bから情報を取得するためのボタンである。情報領域122は、「装置ID」と、「伸び量」と、「対応」と、を紐付けて表示する。ここで、「装置ID」とは、伸び量計測装置16Bを特定するための識別情報である。特に図示しないが、伸び量計測装置16Bの表面(外部から視認可能な面)には、装置IDが印刷されたラベルが貼付されている。管理者端末100が、複数の金属製アンカー10に設けられた複数の伸び量計測装置16Bと、無線通信を介して同時通信可能である場合、管理者は、伸び量計測装置IDを用いて、操作画面D1に表示された情報と、伸び量計測装置16Bとを紐付ける。なお、伸び量計測装置16Bのメモリー53には、その伸び量計測装置16Bに貼付されたラベルに印刷されている装置IDと同じ装置IDが記憶されている。
【0076】
管理者端末100は、図9(a)に示す操作画面D1において、管理者により情報取得ボタン121が押下されると、伸び量計測装置16Bに対し情報取得命令を送信する。伸び量計測装置16Bは、この情報取得命令に対し、メモリー53に記憶されている情報(装置IDおよび伸び量)を管理者端末100に送信する。
【0077】
管理者端末100は、伸び量計測装置16Bから情報を取得すると、図9(b)に示すように、操作画面D1の情報領域122の各欄に情報を表示する。以下、情報領域122の「装置ID」欄に表示される情報をID情報、「伸び量」欄に表示される情報を数値情報、「対応」欄に表示される情報を修繕情報と称する。
【0078】
図9(b)の例は、装置IDとして「D001」、アンカーボルト11の伸び量として「36mm」を取得した場合に表示されるID情報および数値情報を示している。仮に、管理者端末100が複数の伸び量計測装置16Bから情報を取得した場合、情報領域122には、それぞれの伸び量計測装置16Bに対応した情報(ID情報、数値情報および修繕情報)が複数行に渡って表示される。
【0079】
管理者端末100は、「対応」欄に、「伸び量」欄に表示した伸び量が基準値を超えている場合、修繕情報として「要修繕」の文字を表示し、基準値を超えていない場合、修繕情報として「修繕不要」の文字を表示する。なお、伸び量が基準値を超えているか否かの判定は、制御部321が、管理アプリケーション61に基づいて行う。
【0080】
図10は、本実施形態に係る伸び量計測装置16Bの処理を示すフローチャートである。図10(a)は、伸び量計測装置側計測処理を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、定期的に実行される処理である。伸び量計測装置16Bは、測長センサー52の測定結果に基づいて、アンカーボルト11の伸び量を計測する(S21)。伸び量計測装置16Bは、伸び量を計測する度に、メモリー53に記憶されている伸び量の値を更新する(S22)。伸び量計測装置16Bは、S22の工程を実行した後、伸び量計測装置側計測処理を終了する。
【0081】
図10(b)は、伸び量計測装置側情報送信処理を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、図10(a)のフローチャートと並行して実行される処理である。伸び量計測装置16Bは、管理者端末100から情報取得命令を取得したか否かを判定する(S31)。伸び量計測装置16Bは、管理者端末100から情報送取得命令を取得したと判定した場合(S31:Yes)、管理者端末100に対し、メモリー53に記憶されている情報(装置IDおよび伸び量)を送信する(S32)。一方、伸び量計測装置16Bは、管理者端末100から情報取得命令を取得していないと判定した場合(S31:No)、伸び量計測装置側情報送信処理を終了する。
【0082】
図11は、本実施形態に係る管理者端末100による管理者端末側処理を示すフローチャートである。同図に示すフローチャートは、管理者端末100が、伸び量計測装置16Bから情報を取得可能な状態にある場合(管理者端末100が起動されている場合)、定期的に実行される処理である。また、同図に示すフローチャートは、管理者端末100が、複数の伸び量計測装置16Bと通信可能である場合、伸び量計測装置16Bごとに実行される処理である。
【0083】
管理者端末100は、伸び量計測装置16Bから情報を取得したか否かを判定する(S41)。管理者端末100は、伸び量計測装置16Bから情報を取得していないと判定した場合(S41:No)、管理者端末側処理を終了する。一方、管理者端末100は、伸び量計測装置16Bから情報を取得したと判定した場合(S41:Yes)、取得した情報をRAM113に記憶する(S42)。すなわち、情報を取得した伸び量計測装置16Bの装置IDおよび伸び量をRAM113に記憶する。
【0084】
続いて、管理者端末100は、伸び量計測装置16Bから取得したアンカーボルト11の伸び量に基づいて、金属製アンカー10の修繕が必要であるか否かを判定する(S43,判定部)。管理者端末100は、アンカーボルト11の伸び量が基準値を超えている場合、金属製アンカー10の修繕が必要であると判定し、アンカーボルト11の伸び量が基準値以下である場合、金属製アンカー10の修繕が必要ではないと判定する。管理者端末100は、金属製アンカー10の修繕が必要であると判定した場合(S43:Yes)、ID情報、数値情報、および要修繕を示す修繕情報を情報領域122に表示する(S44,通知部)。また、管理者端末100は、金属製アンカー10の修繕が必要ではないと判定した場合(S43:No)、ID情報、数値情報、および修繕不要を示す修繕情報を情報領域122に表示する(S45)。
【0085】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る伸び量計測装置16Bによれば、表示機能および操作機能を備える必要がないため、装置構成を簡素化でき、ひいては伸び量計測装置16Bの低廉化を図ることができる。また、管理者端末100は、通信可能な範囲に複数の伸び量計測装置16Bが含まれる場合、複数の伸び量計測装置16Bに対し、同時に情報送信命令を送信可能であるため、管理者は、複数の金属製アンカー10の点検を迅速に行うことができる。また、管理者端末100は、金属製アンカー10の修繕が必要であるか否かを判定し、その判定結果を通知するため、管理者は、金属製アンカー10の修繕が必要であるか否かを判断することができる。
【0086】
なお、第2実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
第2実施形態において、管理者端末100は、タッチパネル115を備えたタブレット端末であるものとしたが、タッチパネル115以外の情報処理端末を、管理者端末100として用いてもよい。例えば、管理者端末100として、スマートフォンやスマートウォッチを用いてもよい。
【0087】
また、伸び量計測装置16Bが、伸び量の計測履歴(複数回に渡る伸び量の計測結果)をメモリー53に記憶可能な構成の場合、管理者端末100から送信された情報取得命令に対し、伸び量の計測履歴を送信してもよい。この場合、管理者端末100は、伸び量の計測履歴に基づいて、金属製アンカー10の修繕が必要であるか否かを判定してもよい。例えば、アンカーボルト11の伸び量が基準値に達していない場合でも、伸び量の変化率が大きい場合(短期間に伸び量が大きくなっている場合)は、金属製アンカー10の修繕が必要であると判定してもよい。
【0088】
また、管理者端末100は、複数種類の基準値に基づいて、複数段階の判定を行ってもよい。例えば、管理者端末100は、金属製アンカー10の修繕が必要であるか否かの判定と、金属製アンカー10の点検が必要であるか否かの判定を行ってもよい。例えば、管理者端末100は、伸び量が第1基準値を超えている場合、金属製アンカー10の修繕が必要であると判定し、アンカーボルト11の伸び量が第1基準値以下であり第2基準値(第2基準値<第1基準値)を超えている場合、金属製アンカー10の点検が必要であると判定する。また、管理者端末100は、アンカーボルト11の伸び量が第2基準値以下である場合、金属製アンカー10の点検および修繕は不要であると判定する。また、管理者端末100は、これらの判定結果を、操作画面D1の情報領域122に表示するなどして管理者に通知する。
【0089】
また、第1実施形態の伸び量計測装置16Aと管理者端末100とを含む通信システムを構築してもよい。この場合、伸び量計測装置16Aは、管理者端末100から送信された情報取得命令に対し、警告フラグ、装置IDおよび伸び量を管理者端末100に送信する。管理者端末100は、取得した警告フラグが「1」を示す場合、金属製アンカー10の修繕が必要であると判定し、取得した警告フラグが「0」を示す場合、金属製アンカー10の修繕が必要ではないと判定する。
【0090】
[第3実施形態]
次に、図12ないし図14を参照し、第3実施形態に係るネットワークシステムSY3について説明する。ネットワークシステムSY3は、「通信システム」の一例である。ネットワークシステムSY3は、金属製アンカー10の設置場所から離れた場所において、金属製アンカー10の状態監視を可能とするものである。本実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0091】
図12は、本実施形態に係るネットワークシステムSY3のシステム構成図である。ネットワークシステムSY3は、1台以上の伸び量計測装置16Cと、中継器310と、集中管理サーバー320と、を備えている。集中管理サーバー320は、「外部装置」および「外部サーバー」の一例である。
【0092】
伸び量計測装置16Cと中継器310は、無線通信または有線通信を介して接続されている。また、中継器310と集中管理サーバー320は、インターネット通信網NWを介して接続されている。インターネット通信網NWは、「ネットワーク」の一例である。なお、伸び量計測装置16Cと中継器310は、無線ネットワークまたは有線ネットワークを介して接続された構成でもよい。また、中継器310と集中管理サーバー320は、インターネット通信網NWだけでなく、社内LAN等のネットワークを介して接続された構成でもよい。
【0093】
1台以上の伸び量計測装置16Cは、それぞれ異なる金属製アンカー10に設けられ、各金属製アンカー10におけるアンカーボルト11の伸び量を計測する。集中管理サーバー320は、1台以上の伸び量計測装置16Cを統括管理する。なお、1台以上の伸び量計測装置16Cは、必ずしもその全てが1台の中継器310と接続される必要はなく、それぞれ異なる中継器310と接続される構成でもよい。
【0094】
図13は、本実施形態に係るネットワークシステムSY3の、伸び量計測装置16Cおよび集中管理サーバー320のブロック図である。本実施形態に係る伸び量計測装置16Cの制御系の構成は、第2実施形態に係る伸び量計測装置16Bと同様である。但し、本実施形態に係る伸び量計測装置16Cの通信インターフェース56は、中継器310を経由して、集中管理サーバー320と通信を行う。
【0095】
集中管理サーバー320は、制御系の構成として、制御部321と、ROM322と、RAM323と、通信インターフェース324と、ディスプレー325と、を備えている。
【0096】
制御部321は、プロセッサーを含み、集中管理サーバー320の各部を制御する。ROM322は、第2実施形態と同様に、管理アプリケーション61を記憶する。また、RAM323は、伸び量計測装置16Cから取得した情報を記憶する。なお、RAM323には、伸び量計測装置16Cの設置場所、すなわち金属製アンカー10の設置場所が、装置IDと紐付けられて記憶されている。通信インターフェース324は、中継器310を経由して、伸び量計測装置16Cと通信を行う。ディスプレー325は、各種情報を表示する。
【0097】
図14は、本実施形態に係る集中管理サーバー320のディスプレー325に表示される表示画面D2の一例を示す図である。集中管理サーバー320は、伸び量計測装置16Cに対し定期的に情報取得命令を送信することで、伸び量計測装置16Cから定期的に情報を取得する。また、集中管理サーバー320は、伸び量計測装置16Cからの情報取得に伴って、表示画面D2の表示を更新する。なお、本実施形態に係る伸び量計測装置16Cは、図10(a)に示した伸び量計測装置側計測処理と、図10(b)に示した伸び量計測装置側情報送信処理を実行する。また、集中管理サーバー320は、図11に示した管理者端末側処理と略同様の処理を実行する。以下、この処理を集中管理サーバー側処理と称する。集中管理サーバー側処理が管理者端末側処理と異なる点については、後述する。
【0098】
図14に示すように、表示画面D2には、「装置ID」と、「設置場所」と、「伸び量」と、「対応」と、が紐付けて表示される。「装置ID」、「伸び量」および「対応」に表示される情報については、第2実施形態の操作画面D1(図9参照)と同様である。
【0099】
「設置場所」欄には、伸び量計測装置16Cの設置場所を示す場所情報が表示される。伸び量計測装置16Cの設置場所は、装置IDと紐付けられてRAM323内に記憶されている。つまり、集中管理サーバー320は、伸び量計測装置16Cから情報を取得した際、その伸び量計測装置16Cの装置IDに紐付けられた設置場所をRAM323から読み出し、読み出した設置場所を、場所情報として「設置場所」欄に表示する。
【0100】
なお、集中管理サーバー側処理が、管理者端末側処理(図11参照)と異なる点は以下のとおりである。集中管理サーバー320は、金属製アンカー10の修繕が必要と判定した場合、ID情報、場所情報、数値情報、および要修繕を示す修繕情報を表示画面D2に表示する(S44参照)。また、集中管理サーバー320は、金属製アンカー10の修繕が必要ではないと判定した場合、ID情報、場所情報、数値情報、および修繕不要を示す修繕情報を表示画面D2に表示する(S45参照)。
【0101】
以上説明したとおり、第3実施形態に係るネットワークシステムSY3によれば、管理者は、集中管理サーバー320を用いて、アンカーボルト11にどの程度の荷重が作用したのかを把握することができる。つまり、管理者は、金属製アンカー10の設置場所から離れた場所で、金属製アンカー10の状態を監視することができる。また、集中管理サーバー320は、複数の伸び量計測装置16Cと通信可能であるため、複数の金属製アンカー10を一括管理することができる。
【0102】
なお、第3実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
第3実施形態に係る伸び量計測装置16Cは、集中管理サーバー320から情報取得命令を取得して情報を送信したが、定期的且つ自発的に情報を送信してもよい。また、伸び量計測装置16Cは、定期的に情報を送信するのではなく、計測値(伸び量)に変化が生じたときに情報を送信してもよい。
【0103】
集中管理サーバー320は、集中管理サーバー側処理において、金属製アンカー10の修繕が必要と判定した場合、要修繕を示す修繕情報などを表示画面D2に表示するだけでなく、金属製アンカー10の修繕を行う業者の業者サーバーに対し、修繕指示を行ってもよい。この修繕指示は、「通知部」による通知の一例である。これにより、金属製アンカー10の修繕を迅速に行うことができ、金属製アンカー10の破壊(アンカーボルト11の破断)を有効に防止することができる。また、修繕指示は、業者サーバーではなく、金属製アンカー10の修繕を行う業者の担当者宛ての電子メール送信やSNS通知であってもよい。
【0104】
以上、3つの実施形態を示したが、各実施形態および各変形例に示した伸び量計測装置16(16A,16B,16C)、管理者端末100および集中管理サーバー320の各処理を実行する方法、各処理を実行するためのプログラム(管理アプリケーション61)、またそのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
10…金属製アンカー、11…アンカーボルト、12…遊嵌孔、13…定着機構部、15…ロッド状部材、16…伸び量計測装置、21…拡開ナット、24…ナット本体、25…拡開部、26…コーン部、41…ユニットベース、41a…貫通孔、42…ユニットカバー、43…調整ナット、52…測長センサー、AH…アンカー穴、AHa…拡径部、C…コンクリート躯体、S…固定対象物、Sa…ベースプレート、U…センシングユニット

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