(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050082
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 35/06 20060101AFI20240403BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20240403BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B65G35/06 H
F16H25/20 B
F16H25/20 E
F16H25/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156685
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】井口 真也
(72)【発明者】
【氏名】天野 勝年
(72)【発明者】
【氏名】岩本 剛
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】深澤 剛
(72)【発明者】
【氏名】青木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】三觜 真人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幹人
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA27
3J062AB22
3J062AC07
3J062CD04
3J062CD22
(57)【要約】
【課題】構造の複雑化を抑制しつつ、搬送対象物を支持する搬送部本体を搬送装置から別の装置に乗り移らせることができる搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送システム1は、搬送部本体としてのパレットPと、第1搬送装置10と、第1転換装置20とを備える。パレットPは、搬送対象物を支持する。第1搬送装置10は、回転に伴ってパレットPを搬送する第1ねじ軸11と、パレットPを搬送自在に支持する第1固定ガイド12とを有する。第1転換装置20は、第1固定ガイド12と連結される第1可動ガイド21を有する。第1転換装置20は、第1固定ガイド12と第1可動ガイド21との連結を解除させる。パレットPは、第1ねじ軸11と係合される第1ナットを有する。第1転換装置20は、第1ねじ軸11に対する第1ナットの係合を解除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を支持する搬送部本体と、
回転に伴って前記搬送部本体を搬送する第1ねじ軸と、前記搬送部本体を搬送自在に支持する第1固定ガイドと、を有する第1搬送装置と、
前記第1固定ガイドと連結される第1可動ガイドを有し、前記第1固定ガイドと前記第1可動ガイドとの連結を解除させる第1転換装置と、を備え、
前記搬送部本体は、前記第1ねじ軸と係合される第1ナットを有し、
前記第1転換装置は、前記第1ねじ軸に対する前記第1ナットの係合を解除する、搬送システム。
【請求項2】
前記第1転換装置は、前記第1ナットを前記第1ねじ軸に対して近接又は離間させる方向に移動させ、
前記第1ナットを前記第1ねじ軸に対して離間させる方向に移動させることで、前記第1ナットと前記第1ねじ軸との係合が解除され、
前記第1ナットを前記第1ねじ軸に対して近接させる方向に移動させることで、前記第1ナットと前記第1ねじ軸とを係合させる、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記第1可動ガイドは、前記第1固定ガイドに対して近接又は離間する方向に移動可能に設けられ、前記第1固定ガイドに対して近接する方向に移動することで、前記第1固定ガイドから前記搬送部本体が乗り移り可能に前記第1固定ガイドと連結され、前記第1固定ガイドに対して離間する方向に移動することで、前記第1固定ガイドと前記第1可動ガイドとの連結を解除させるように形成されている、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第1ナットは、半割形状に形成されているナットである、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第1ナットは、弾性部材により前記第1ねじ軸へ押圧される、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第1ナットは、前記搬送部本体に着脱自在に設けられている、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記第1ナットは、含油材料で形成されている、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記第1搬送装置は、
前記第1ねじ軸を回転自在に保持する保持部と、
前記第1ねじ軸に摺接されつつ設置されているサポート部材と、
を有する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記第1可動ガイドには、前記搬送部本体と係合される第1ストッパが設置されている、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項10】
回転に伴って前記搬送部本体を搬送する第2ねじ軸と、前記搬送部本体を搬送自在に支持するとともに、前記第1可動ガイドと連結される第2固定ガイドと、を有する第2搬送装置を備え、
前記搬送部本体は、前記第2ねじ軸と係合される第2ナットを有し、
前記第1転換装置は、前記第1ナット及び前記第2ナットを前記第1ねじ軸及び前記第2ねじ軸に選択的に係合させる、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記第2ナットは、半割形状に形成されているナットである、請求項10に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記第1ねじ軸は、前記第2ねじ軸に平行に配置されていると共に、前記第1ねじ軸の軸方向の少なくとも一部が、前記第2ねじ軸に対して、軸方向に直交する方向に重なるように配置されている、請求項10に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記搬送部本体を搬送自在に支持し、前記第1固定ガイド及び前記第2固定ガイドと連結される第2可動ガイドを有し、前記第2可動ガイドと前記第1固定ガイド及び前記第2固定ガイドとの連結を解除させる第2転換装置を備え、
前記第2転換装置は、前記第1ナット及び前記第2ナットを前記第1ねじ軸及び前記第2ねじ軸に選択的に係合させる、請求項12に記載の搬送システム。
【請求項14】
前記第2可動ガイドには、前記搬送部本体と係合される第2ストッパが設置されている、請求項13に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記搬送部本体を複数備える、請求項1から14のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項16】
前記搬送部本体を搬送途中に固定する固定装置を有する、請求項1から14のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項17】
前記固定装置は、ねじナット機構により駆動される、請求項16に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された搬送装置では、軸にコイルスプリングが巻き付かれるように取り付けられている搬送軸で台車を搬送する。コイルスプリングに係合する台車の凸部が第2搬送軸のコイルスプリングを撓ませることで、第1搬送軸と第2搬送軸とのねじの位相を合わせることなく、台車を乗り継がせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された搬送装置では、ねじ軸間の位相合わせを行う必要はないものの、コイルスプリングを巻き付けた特殊な構造のねじ軸が必要となる。結果として、台車(搬送部本体)を搬送する搬送装置の構造が複雑となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、構造の複雑化を抑制しつつ、搬送対象物を支持する搬送部本体を搬送装置から別の装置に乗り移らせることができる搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る搬送システムは、
搬送対象物を支持する搬送部本体と、
回転に伴って前記搬送部本体を搬送する第1ねじ軸と、前記搬送部本体を搬送自在に支持する第1固定ガイドと、を有する第1搬送装置と、
前記第1固定ガイドと連結される第1可動ガイドを有し、前記第1固定ガイドと前記第1可動ガイドとの連結を解除させる第1転換装置と、を備え、
前記搬送部本体は、前記第1ねじ軸と係合される第1ナットを有し、
前記第1転換装置は、前記第1ねじ軸に対する前記第1ナットの係合を解除する。
【0007】
前記第1転換装置は、前記第1ナットを前記第1ねじ軸に対して近接又は離間させる方向に移動させ、
前記第1ナットを前記第1ねじ軸に対して離間させる方向に移動させることで、前記第1ナットと前記第1ねじ軸との係合が解除され、
前記第1ナットを前記第1ねじ軸に対して近接させる方向に移動させることで、前記第1ナットと前記第1ねじ軸とを係合させてもよい。
【0008】
前記第1可動ガイドは、前記第1固定ガイドに対して近接又は離間する方向に移動可能に設けられ、前記第1固定ガイドに対して近接する方向に移動することで、前記第1固定ガイドから前記搬送部本体が乗り移り可能に前記第1固定ガイドと連結され、前記第1固定ガイドに対して離間する方向に移動することで、前記第1固定ガイドと前記第1可動ガイドとの連結を解除させるように形成されていてもよい。
【0009】
前記第1ナットは、半割形状に形成されているナットであってもよい。
【0010】
前記第1ナットは、弾性部材により前記第1ねじ軸へ押圧されていてもよい。
【0011】
前記第1ナットは、前記搬送部本体に着脱自在に設けられていてもよい。
【0012】
前記第1ナットは、含油材料で形成されていてもよい。
【0013】
前記第1搬送装置は、
前記第1ねじ軸を回転自在に保持する保持部と、
前記第1ねじ軸に摺接されつつ設置されているサポート部材と、
を有していてもよい。
【0014】
前記第1可動ガイドには、前記搬送部本体と係合される第1ストッパが設置されていてもよい。
【0015】
回転に伴って前記搬送部本体を搬送する第2ねじ軸と、前記搬送部本体を搬送自在に支持するとともに、前記第1可動ガイドと連結される第2固定ガイドと、を有する第2搬送装置を備え、
前記搬送部本体は、前記第2ねじ軸と係合される第2ナットを有し、
前記第1転換装置は、前記第1ナット及び前記第2ナットを前記第1ねじ軸及び前記第2ねじ軸に選択的に係合させてもよい。
【0016】
前記第2ナットは、半割形状に形成されているナットであってもよい。
【0017】
前記第1ねじ軸は、前記第2ねじ軸に平行に配置されていると共に、前記第1ねじ軸の軸方向の少なくとも一部が、前記第2ねじ軸に対して、軸方向に直交する方向に重なるように配置されていてもよい。
【0018】
前記搬送部本体を搬送自在に支持し、前記第1固定ガイド及び前記第2固定ガイドと連結される第2可動ガイドを有し、前記第2可動ガイドと前記第1固定ガイド及び前記第2固定ガイドとの連結を解除させる第2転換装置を備え、
前記第2転換装置は、前記第1ナット及び前記第2ナットを前記第1ねじ軸及び前記第2ねじ軸に選択的に係合させてもよい。
【0019】
前記第2可動ガイドには、前記搬送部本体と係合される第2ストッパが設置されていてもよい。
【0020】
前記搬送部本体を複数備えていてもよい。
【0021】
前記搬送部本体を搬送途中に固定する固定装置を有してもよい。
【0022】
前記固定装置は、ねじナット機構により駆動されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明においては、構造の複雑化を抑制しつつ、搬送対象物を支持する搬送部本体を第1搬送装置から別の装置である第1転換装置に乗り移らせることができる搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る搬送システムの斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る搬送システムの平面図である。
【
図3】実施の形態1に係る搬送システムの分解斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る第1搬送装置の分解斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係るパレットの分解斜視図(その1)である。
【
図6】実施の形態1に係るパレットの分解斜視図(その2)である。
【
図7】実施の形態1に係るパレットの分解斜視図(その3)である。
【
図8】実施の形態1に係るパレットの断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る第1転換装置及びパレットの斜視図である。
【
図10】実施の形態1に係るパレットの分解断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る第1転換装置の分解斜視図である。
【
図12】実施の形態1に係る第1転換装置の一部を断面にした斜視図である。
【
図13】実施の形態1に係る第1転換装置及びパレットの断面図である。
【
図14】実施の形態1に係る固定装置及びパレットの斜視図である。
【
図15】実施の形態1に係るパレットの機能を説明するために断面図である。
【
図16】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その1)である。
【
図17】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その2)である。
【
図18】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための斜視図(その1)である。
【
図19】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その3)である。
【
図20】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための斜視図(その2)である。
【
図21】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その4)である。
【
図22】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための断面図である。
【
図23】先端側の保持部を取り外した状態における、実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための側面図(その1)である。
【
図24】先端側の保持部を取り外した状態における、実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための側面図(その2)である。
【
図25】実施の形態1に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その5)である。
【
図26】変形例1に係る搬送システムの斜視図である。
【
図27】実施の形態2に係る搬送システムの斜視図である。
【
図28】実施の形態2に係る搬送システムの平面図である。
【
図29】実施の形態2に係るパレットの分解斜視図である。
【
図30】先端側の保持部を取り外した状態における、実施の形態2に係るパレットの側面図である。
【
図31】実施の形態2に係る第1転換装置及びパレットの斜視図である。
【
図32】実施の形態2に係る搬送システムの一部を拡大して示す斜視図である。
【
図33A】実施の形態2に係るパレット及び第2転換装置の斜視図である。
【
図33B】実施の形態2に係る第2転換装置の機能を説明するための断面図であり、
図28のA-A断面に対応する断面図である。
【
図34】実施の形態2に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その1)である。
【
図35】実施の形態2に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その2)である。
【
図36】実施の形態2に係る搬送システムの動作を説明するための斜視図である。
【
図37】実施の形態2に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その3)である。
【
図38】実施の形態2に係る搬送システムの動作を説明するための側面図である。
【
図39】実施の形態2に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その4)である。
【
図40】実施の形態2に係る搬送システムの動作を説明するための平面図(その5)である。
【
図41】変形例2に係る搬送システムの平面図である。
【
図42】変形例3に係る搬送システムの平面図である。
【
図43】変形例4に係る搬送システムの平面図である。
【
図44】変形例5に係る搬送システムの斜視図である。
【
図45】変形例6に係る搬送システムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る搬送システム1について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0026】
搬送システム1は、例えば、工場で使用される製造ラインの一部として組み込まれ、工業製品の部品などの搬送対象物(ワーク)の搬送に用いられる装置である。搬送システム1は、
図1~
図3に示すように、パレットP(搬送部本体)と、第1搬送装置10と、第1転換装置20と、固定装置60とを備える。
【0027】
パレットP(搬送部本体)は、
図4~
図8に示すように、搬送対象物(ワーク)が載置されることで、搬送対象物を支持する部材である。パレットPは、搬送対象物載置部51と、スライダ52と、第1ナット53-1と、第2ナット53-2と、ナット支持部材54-1、54-2と、弾性部材55-1、55-2とを有する。
【0028】
搬送対象物載置部51は、XY平面に平行な載置面51aがZ側に形成されている長方形板状に形成されている。また、搬送対象物載置部51の-X側及び+X側の端部には、溝状の被嵌合部51b、51cが形成されている。本実施の形態1においては、被嵌合部51b、51cは、Z軸方向に貫通すると共に、切り欠かれて形成されている。
【0029】
スライダ52は、転動体を介して、第1搬送装置10の第1固定ガイド12にY軸方向に移動可能に支持される部材である。スライダ52は、金属からなる本体部と、この本体部の-Y側の前端面に留め具等で固定された前側のリターン部材と、本体部の+Y側の後端面に留め具等で固定された後ろ側のリターン部材とを有する。一対のリターン部材には、その内部に、転動体を通過させる転動体循環路が形成されている。また、スライダ52は、ボルトやねじ等の留め具によって、搬送対象物載置部51に固定されている。
【0030】
第1ナット53-1は、
図7及び
図8に示すように、第1搬送装置10の第1ねじ軸11と係合される部品である。第1ナット53-1は、例えば、摺動性の良い材料により形成されている。具体的には、第1ナット53-1は、例えば、自己潤滑性を有するポリアセタール(POM)材により形成されている。しかしながら、これに限られない。第1ナット53-1は、摺動性のよい素材であれば、含油材料等の素材により形成されていてもよい。ただし、第1ナット53-1に対して第1ねじ軸11が円滑に回転する観点からは、第1ナット53-1は、例えば、自己潤滑性を有する材料により形成されていることが好ましい。また、第1ナット53-1は、本実施の形態1においては、少なくとも一部が、半割形状(第1ねじ軸11の外周に対応した円弧形状)に形成されているナットである。しかしながら、これに限られない。第1ナット53-1は、半割形状に形成されているナット以外のものであってもよい。この第1ナット53-1は、その雌ねじ面が+X方向に露出するように、ナット支持部材54-1によって支持されている。
【0031】
ナット支持部材54-1には、第1ナット53-1が嵌め込まれるナット嵌込部分を有する形状に形成されている。また、ナット支持部材54-1には、ねじ孔が形成されており、ナット支持部材54-1は、ボルトやねじ等の留め具によって、搬送対象物載置部51に固定されている。
【0032】
弾性部材55-1は、弾性を有する素材からなる部品である。弾性部材55-1は、第1ナット53-1を第1搬送装置10の第1ねじ軸11へ押圧したり付勢したりするために用いられる。弾性部材55-1は、本実施の形態1においては、コイルばねである。しかしながら、これに限られない。弾性部材55-1は、第1ナット53-1を第1搬送装置10の第1ねじ軸11へ押圧したり付勢したりすることができるものであれば、コイルバネ以外のものであってもよい。弾性部材55-1は、ナット支持部材54-1に収容されつつ、蓋部56-1に覆われることによって、ナット支持部材54-1の内部に配置される。なお、蓋部56-1は、ボルトやねじ等の留め具によって、ナット支持部材54-1に取り付けられている。また、本実施の形態1においては、パレットPは、弾性部材55-1を2つ有する。しかしながら、これに限られない。パレットPは、弾性部材55-1を1つだけ有していてもよいし、弾性部材55-1を3つ以上有していてもよい。
【0033】
上述のように構成されている第1ナット53-1及びナット支持部材54-1において、第1ナット53-1は、ナット支持部材54-1の-X側に形成された段部と蓋部56-1とで挟まれるとともに、弾性部材55-1によって+X方向へ付勢されるように取り付けられている。そして、ナット支持部材54-1は、留め具によって、搬送対象物載置部51に取り付けられている。これらの構成により、第1ナット53-1は、搬送対象物載置部51(パレットP)に着脱自在に設けられる。
【0034】
第2ナット53-2は、
図8に示すように、第1搬送装置10の第1ねじ軸11とは別に配置されている第2ねじ軸31と係合される部品である。第2ナット53-2は、例えば、摺動性の良い材料により形成されている。具体的には、第2ナット53-2は、例えば、第1ナット53-1を形成する素材と同じ素材であるポリアセタール(POM)材により形成されている。しかしながら、これに限られない。第2ナット53-2は、摺動性のよい素材であれば、含油材料等の素材により形成されていてもよい。ただし、第2ナット53-2に対して第2ねじ軸31が円滑に回転する観点からは、第2ナット53-2は、例えば、自己潤滑性を有する材料により形成されていることが好ましい。また、第2ナット53-2は、第1ナット53-1と同等の形状に形成されており、少なくとも一部が、半割形状(第2ねじ軸31の外周に対応した円弧形状)に形成されているナットである。しかしながら、これに限られない。第2ナット53-2は、半割形状に形成されているナット以外のものであってもよい。この第2ナット53-2は、その雌ねじ面が-X方向に露出するように、ナット支持部材54-2によって支持されている。
【0035】
ナット支持部材54-2には、第2ナット53-2が嵌め込まれるナット嵌込部分を有する形状に形成されている。また、ナット支持部材54-2には、ねじ孔が形成されており、ナット支持部材54-2は、ボルトやねじ等の留め具によって、搬送対象物載置部51に固定されている。
【0036】
弾性部材55-2は、弾性の機能を有する部品である。弾性部材55-2は、第2ナット53-2を第2ねじ軸31へ押圧したり付勢したりするために用いられる。弾性部材55-2は、本実施の形態1においては、コイルバネである。しかしながら、これに限られない。弾性部材55-2は、第2ナット53-2を第2ねじ軸31へ押圧したり付勢したりすることができるものであれば、コイルバネ以外のものであってもよい。弾性部材55-2は、ナット支持部材54-2に収容されつつ、蓋部56-2に覆われることによって、ナット支持部材54-2の内部に配置される。なお、蓋部56-2は、ボルトやねじ等の留め具によって、ナット支持部材54-2に取り付けられている。また、本実施の形態1においては、パレットPは、弾性部材55-2を2つ有する。しかしながら、これに限られない。パレットPは、弾性部材55-2を1つだけ有していてもよいし、弾性部材55-2を3つ以上有していてもよい。
【0037】
上述のように構成されている第2ナット53-2及びナット支持部材54-2において、第2ナット53-2は、ナット支持部材54-2の+X側に形成された段部と蓋部56-2との間に挟まれるともに、弾性部材55-2によって-X方向へ付勢されるように取り付けられている。そして、ナット支持部材54-2は、留め具によって、搬送対象物載置部51に取り付けられている。これらの構成により、第2ナット53-2は、搬送対象物載置部51(パレットP)に着脱自在に設けられる。
【0038】
第1搬送装置10は、
図4に示すように、パレットPを-Y方向又は+Y方向に搬送する装置である。第1搬送装置10は、第1ねじ軸11と、第1固定ガイド12と、モータ13と、保持部14a、14bと、サポート部材15と、これら各部材を支持する板状のベース16とを有する。
【0039】
第1ねじ軸11は、Y軸回りの回転に伴って、パレットPを搬送するために用いられる。第1ねじ軸11の外周面には、螺旋状の雄ねじ溝が形成されている。第1ねじ軸11は、パレットPの第1ナット53-1と係合する。これにより、第1ねじ軸11は、Y軸回りの回転に伴って、第1ナット53-1を-Y方向又は+Y方向に移動させることで、パレットPを-Y方向又は+Y方向に搬送する。
【0040】
第1固定ガイド12は、
図8に示すように、スライダ52を複数の転動体を介して支持する部材である。これにより、第1固定ガイド12は、スライダ52を有するパレットPを搬送自在に支持している。また、第1固定ガイド12は、ベース16(
図3及び
図4参照)に固定されている。この第1固定ガイド12は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される。第1固定ガイド12は、底板部と、底板部の両側から上方(+Z方向)に向けて形成された一対の側壁部とを有する。側壁部のそれぞれの内側の面には、凹部が設けられている。凹部には、例えば、鋼材からなる棒状のレール12R、12Lが取り付けられている。レール12Rの表面(-X側の面)及びレール12Lの表面(+X側の面)は、転動体が転動する面として構成される。
【0041】
モータ13は、
図3及び
図4に示すように、例えば、出力軸、ロータ、ステータ、エンコーダ等を有している。モータ13には、アクチュエータケーブルを介して電源から電力が供給される。モータ13に電力が供給されることによって、モータ13のロータが回転する。このロータの回転運動は、出力軸に出力される。また出力軸の先端は、カップリングを介して、第1ねじ軸11が接続されている。
【0042】
保持部14aは、ベース16の-Y側の端部近傍に固定されているフロントブラケットである。保持部14aの内部には、例えば、ベアリングが収容されている。このベアリングは、第1ねじ軸11の-Y側の端部を回転可能に支持している。これにより、保持部14aは、第1ねじ軸11を回転自在に保持する。
【0043】
保持部14bは、ベース16の+Y側の端部近傍に固定されているリアブラケットである。保持部14bの内部には、ベアリングが収容されている。このベアリングは、第1ねじ軸11の+Y側の端部を回転可能に支持している。これにより、保持部14bは、保持部14aと共に、第1ねじ軸11を回転自在に保持する。
【0044】
サポート部材15は、第1ねじ軸11の端部以外の箇所において、第1ねじ軸11に摺接されつつ設置されている。サポート部材15の少なくとも第1ねじ軸11に摺接される部分は、第1ねじ軸11が円滑に回転するように、自己潤滑性の素材により形成されている。また、サポート部材15は、第1ナット53-1(
図7参照)と第1ねじ軸11との係合に干渉しない形状に形成されている。サポート部材15は、第1ねじ軸11がY軸方向に比較的長い場合に、第1ねじ軸11の高速回転を実現するために設置されている。なお、本実施の形態1においては、第1搬送装置10は、2つのサポート部材15を有する。しかしながら、サポート部材15の設置数は、これに限られない。第1ねじ軸11のY軸方向の長さに応じて、第1搬送装置10が有するサポート部材15の設置数は適宜変更される。また、サポート部材15の設置位置も、第1ねじ軸11のY軸方向の長さに応じて、適宜変更される。
【0045】
ベース16は、搬送システム1が設置される面から第1搬送装置10やパレットPが適切な高さに保たれるように複数の架台17によって支持されている。
【0046】
第1転換装置20は、
図3に示すように、スライダテーブルに第1可動ガイド21が設置されている直動アクチュエータである。第1転換装置20は、第1可動ガイド21と共に、パレットPを-X方向又は+X方向に搬送する。第1転換装置20は、第1可動ガイド21に加えて、スライダ22と、モータ23と、ボールねじ軸とボールねじナットとを有するボールねじ(図示なし)と、レールを有するハウジング24と、折返しユニット25とを有する。
【0047】
第1可動ガイド21は、
図9及び
図10に示すように、スライダ52を複数の転動体を介して支持する部材である。第1可動ガイド21は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される。第1可動ガイド21は、底板部と、底板部の両側から上方(+Z方向)に向けて形成された一対の側壁部とを有する。側壁部のそれぞれの内側の面には、凹部が設けられている。凹部には、例えば、鋼材からなる棒状のレール21R、21Lが取り付けられている。レール21Rの表面(-X側の面)及びレール21Lの表面(+X側の面)は、転動体が転動する面として構成される。
【0048】
この第1可動ガイド21は、
図9に示すように、スライダ22と共に移動することで、第1固定ガイド12に対して近接又は離間する方向に移動可能に設けられている。具体的には、第1可動ガイド21は、第1固定ガイド12に対して近接する+X方向に移動することで、第1固定ガイド12からパレットPが乗り移り可能に第1固定ガイド12と連結される。そして、第1可動ガイド21は、第1固定ガイド12に対して離間する-X方向に移動することで、第1固定ガイド12と第1可動ガイド21との連結を解除させるように形成されている。これにより、第1転換装置20は、第1固定ガイド12と第1可動ガイド21との連結を解除させる。
【0049】
また、第1可動ガイド21には、
図11に示すように、パレットPと係合される第1ストッパ26が設置されている。
【0050】
第1ストッパ26は、例えば、ストッパ用ピン26aと、ストッパ用ピン26aをZ軸方向に摺動可能に支持するブラケット26bと、ストッパ用ピン26aを+Z方向に付勢するスプリング26cとを含んで構成されている。第1ストッパ26のストッパ用ピン26aは、
図12及び
図13に示すように、その+Z側の先端が、パレットPが第1可動ガイド21に移動した際に、パレットPのスライダ52の下面(-Z側の面)に形成されている孔52aに嵌め込まれるように形成されている。なお、本実施の形態1では、第1ストッパ26は、ストッパ用ピン26aを有する。しかしながら、これに限られない。第1ストッパ26は、パレットPと係合されるものであれば、ストッパ用ピン26a以外のものを有していてもよい。例えば、第1ストッパ26は、スプリングで付勢される球を有していてもよい。
【0051】
スライダ22は、転動体を介して、ハウジング24が有するレールにX軸方向に移動可能に支持されている。また、スライダ22には、ボールねじナットが組み付けられている。これにより、スライダ22は、ボールねじ軸の回転運動に伴って、X軸方向に移動する。このスライダ22は、金属からなる本体部と、この本体部の-X側の前端面に留め具等で固定された前側のリターン部材と、本体部の+X側の後端面に留め具等で固定された後ろ側のリターン部材とを有する。一対のリターン部材には、その内部に、転動体を通過させる転動体循環路が形成されている。
【0052】
モータ23は、例えば、出力軸、ロータ、ステータ、エンコーダ等を有している。モータ23には、アクチュエータケーブルを介して電源から電力が供給される。モータ23に電力が供給されることによって、モータ23のロータが回転する。このロータの回転運動は、出力軸に出力される。これにより、出力軸は回転する。
【0053】
ハウジング24は、スライダ22及びボールねじを収納することで、これらの各部材を保護する。ハウジング24は、ベアリングを有することで、ボールねじ軸の両端を回転可能に支持する。また、ハウジング24は、スライダ22を移動可能に支持するレールを有する。
【0054】
折返しユニット25は、図示しないベルトと、当該ベルトを収納するベルト収容部とを有する。ベルトは、モータ23の出力軸の回転運動を、ボールねじのボールねじ軸に伝達する。モータ23の出力軸が回転することにより、出力軸の回転運動が、ベルトを介して、ボールねじ軸に伝達される。そして、ボールねじ軸が回転することにより、ボールねじナットが、スライダ22と共に直線運動する。この折返しユニット25は、ハウジング24に固定されている。また、折返しユニット25には、モータ23が固定されている。
【0055】
上述のように構成されている第1転換装置20においては、
図9に示すように、第1可動ガイド21が第1搬送装置10の第1固定ガイド12と連結されることで、第1固定ガイド12からスライダ52が乗り移ることが可能に形成されている。
【0056】
また、上述のように構成されている第1転換装置20は、
図8に示すように、第1ナット53-1を第1ねじ軸11に対して近接又は離間させる方向に移動させるように形成されている。具体的には、第1転換装置20は、第1ナット53-1を第1ねじ軸11に対して離間させる-X方向に移動させることで、第1ナット53-1と第1ねじ軸11との係合を解除させる。そして、第1転換装置20は、第1ナット53-1を第1ねじ軸11に対して近接させる+X方向に移動させることで、第1ナット53-1を第1ねじ軸11に係合させる。
【0057】
固定装置60は、
図14に示すように、パレットPを搬送途中に固定するために用いられる。この固定装置60は、Z軸方向に固定用ピン61を移動させるアクチュエータである。また、固定装置60は、固定装置用ボールねじを有することで、ねじナット機構により駆動されるものである。固定装置60は、固定用ピン61に加えて、ガイド装置65と、移動体62と、固定装置駆動用アクチュエータ64とを有し、固定装置駆動用アクチュエータ64は、モータ63と、図示しないボールねじ軸とボールねじナットとを有する固定装置用ボールねじと、ボールねじを収容する固定装置用ハウジングとを有する。
【0058】
固定用ピン61は、その先端が+Z方向に突出するように、ガイド装置65のガイド装置用スライダ65bに固定されている。固定用ピン61の+Z側の先端は、パレットPの搬送対象物載置部51に形成されている被嵌合部51b、51cのうちの一方の被嵌合部51bに嵌まる形状に形成されている。
【0059】
移動体62は、固定装置駆動用アクチュエータ64のボールねじ軸の先端に固定されていると共に、ガイド装置65のガイド装置用スライダ65bに固定されている。
【0060】
モータ63によってボールねじナットが回転し、ボールねじ軸がZ軸方向に移動する。このボールねじ軸のZ軸方向への移動に伴って、移動体62及び固定用ピン61は、Z軸方向に移動する。
【0061】
モータ63は、例えば、出力軸、ロータ、ステータ、エンコーダ等を有している。モータ63には、アクチュエータケーブルを介して電源から電力が供給される。モータ63に電力が供給されることによって、モータ63のロータが回転する。このロータの回転運動は、出力軸に出力される。これにより、出力軸は回転する。
【0062】
固定装置用ハウジングは、固定装置用ボールねじ等の各構成部品を収納して保護するために用いられる。また、固定装置用ハウジングは、内部にベアリングを有することで、ボールねじナットを回転可能に支持する。
【0063】
モータ63の出力軸の回転運動は、図示しないベルトによって固定装置用ボールねじのボールねじナットに伝達される。そして、ボールねじナットが回転することにより、ボールねじ軸がZ軸方向に移動する。
【0064】
ガイド装置65は、固定用ピン61のZ軸方向の移動を円滑にするために用いられる。ガイド装置65は、例えば、ガイド装置用スライダ65bと、ガイド装置用スライダ65bをZ軸方向に移動可能に支持するベース65aとを有する。
【0065】
本実施の形態1において、固定装置60は、固定装置用ボールねじを有することで、ねじナット機構により駆動されるものである。しかしながら、これに限られない。固定装置60は、ねじナット機構により駆動されるもの以外のものであってもよい。例えば、固定装置60は、非励磁状態又は励磁状態になった場合に、固定用ピン61を上昇させるソレノイド構造のものであってもよい。
【0066】
上述のように構成された搬送システム1におけるパレットP及び搬送対象物を搬送する動作について、図を参照しつつ説明する。
【0067】
先ず、第1搬送装置10において、モータ13のモータ本体に電力が供給されることによって、
図1及び
図2に示すように、モータ13の出力軸が回転する。モータ13の出力軸が回転することにより、第1ねじ軸11も回転する。第1ねじ軸11が回転すると、
図15に示すように、第1ナット53-1は、第1ねじ軸11と係合されているため、搬送対象物載置部51は、例えば、-Y軸方向に移動する。この結果、パレットPは、
図16に示すように、-Y方向に直線運動をする。このとき、
図15に示すように、スライダ52は、第1固定ガイド12に転動体を介して支持されているため、転動体が転動することにより、第1固定ガイド12上を円滑に移動して、パレットPを円滑に移動させる。さらに、第1ナット53-1は、弾性部材55-1によって第1ねじ軸11に押圧されているため、第1ねじ軸11に対する第1ナット53-1の係合力を向上させている。これにより、弾性部材55-1は、第1ねじ軸11の回転運動を、第1ナット53-1に伝達する効率を高めている。
【0068】
パレットPが-Y方向に直線運動をしていくと、
図17に示すように、やがて、パレットPは、固定装置60によって固定されることが可能な位置まで移動する。
【0069】
すると、
図18に示すように、固定装置60において、モータ63のモータ本体に電力が供給されることによって、モータ63の出力軸が回転する。モータ63の出力軸が回転することにより、ボールねじ軸も回転し、固定用ピン61が上昇する。すると、固定用ピン61は、パレットPの搬送対象物載置部51の被嵌合部51bに嵌まり込む。これにより、固定装置60はパレットPを固定する。固定装置60によってパレットPが固定されている状態において、ユーザや、搬送システム1とは別の装置は、パレットPに載置されている搬送対象物(ワーク)に対して作業を行う。
【0070】
なお、本実施の形態1においては、固定装置60は、固定用ピン61の上昇により、パレットPの搬送対象物載置部51の被嵌合部51bに嵌まり込む位置に配置されている。しかしながら、これに限られない。搬送システム1の使用状況に応じて、固定装置60は、固定用ピン61の上昇により、パレットPの搬送対象物載置部51のもう一つの被嵌合部51cに嵌まり込む位置に配置されていてもよい。
【0071】
ユーザによる作業が終わると、モータ63の出力軸が反対方向に回転(逆転)することにより、固定用ピン61が下降する。すると、固定用ピン61は、パレットPの搬送対象物載置部51の被嵌合部51bから外れて、これにより、固定装置60によるパレットPの固定が解除される。
【0072】
再び、第1搬送装置10において、
図19に示すように、モータ13の出力軸及び第1ねじ軸11が回転する。
図20及び
図21に示すように、パレットPは、スライダ52が第1固定ガイド12上を円滑に移動しつつ、-Y方向に直線運動をする。やがて、パレットPのスライダ52は、第1固定ガイド12から、第1転換装置20の第1可動ガイド21に移動する。
【0073】
パレットPのスライダ52が第1可動ガイド21に移動すると、
図12、
図13及び
図22に示すように、第1可動ガイド21に設けられている第1ストッパ26のストッパ用ピン26aが、スライダ52の下面に形成されている孔52aに嵌め込まれる。これにより、パレットPは、第1可動ガイド21に対して固定状態に維持される。なお、スライダ52の-Z側の面にはストッパ押え部材52bが設置されており、スライダ52がY軸方向へ移動すると、ストッパ押え部材52bの-Y側または+Y側の傾斜部がストッパ用ピン26aをスプリング26cに抗して-Z側へ移動させる。そして、孔52aとストッパ用ピン26aが合致したとき、スプリング26cによりストッパ用ピン26aが孔52aへ押し上げられ、嵌め込まれる。
【0074】
続いて、
図23及び
図24に示すように、第1転換装置20において、モータ23のモータ本体に電力が供給されることによって、モータ23の出力軸が回転する。モータ23の出力軸が回転することにより、ベルトによって回転運動が伝達され、ボールねじ軸も回転する。ボールねじ軸が回転すると、スライダ22が-X方向に移動する。すると、第1転換装置20は、第1ねじ軸11に対する第1ナット53-1の係合を解除する。そして、第1可動ガイド21は、パレットPと共に-X方向に移動する。なお、
図23及び
図24では、搬送システム1は、先端側の保持部14aが取り外された状態で示されている。また、
図23及び
図24では、保持部14bの後方のモータ13は割愛されて示されている。パレットPは、
図25に示すように、第1転換装置20の-X側の端部近傍にまで移動する。
【0075】
以上により、搬送システム1におけるパレットPの搬送が完了する。
【0076】
なお、搬送システム1におけるパレットP及び搬送対象物を搬送する動作においては、
図17に示すように、第1搬送装置10は、パレットPを-Y方向に搬送する。
図25に示すように、第1転換装置20は、パレットPを-X方向に搬送する。しかしながら、これに限られない。搬送システム1のユーザは、第1搬送装置10の第1ねじ軸11の回転方向、及び第1転換装置20のボールねじ軸の回転方向を正転、逆転させることで、パレットPを往復運動させてもよいし、搬送システム1の用途に応じて、パレットPを様々な方向への運動をさせてもよい。第1転換装置20のボールねじ軸の回転方向を逆転させた場合、第1ねじ軸11と離間していた第1ナット53-1を第1ねじ軸11に係合させることができる。この時、第1ナット53-1と第1ねじ軸11のねじの位相が合わない状態で第1ナット53-1と第1ねじ軸11を係合させようとすると、第1ナット53-1と第1ねじ軸11のねじ山同士が当接するが、第1ナット53-1は、弾性部材55-1が有する弾性に基づいて、第1ねじ軸11の径方向へ逃げるように移動することができる。第1ナット53-1と第1ねじ軸11の当接状態でねじ軸を回転させると、互いのねじの位相が合ったとき、弾性部材55-1が第1ナット53-1を押圧して、第1ナット53-1と第1ねじ軸11とを完全に係合させる。
【0077】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る搬送システム1においては、
図1及び
図2に示すように、第1搬送装置10は、一般的な第1ねじ軸11を有する。このため、搬送システム1では、例えば、コイルスプリングを巻き付けた特殊な構造のねじ軸を不要とすることができる。結果として、本実施の形態1に係る搬送システム1においては、構造の複雑化を抑制しつつ、搬送対象物を支持するパレットPを第1搬送装置10から別の装置である第1転換装置20に乗り移らせることができる。
【0078】
また、本実施の形態1に係る搬送システム1においては、第1搬送装置10と第1転換装置20とが組み合わされて形成されている。このため、第1搬送装置10の第1ねじ軸11の長さや、第1転換装置20のストロークの選定により、ユーザは、搬送システム1の規模を任意に選択できる。このため、搬送システム1の利用方法に対応した汎用性の高い搬送システム1を提供することができる。
【0079】
また、本実施の形態1においては、第1ナット53-1は、
図7及び
図8に示すように、弾性部材55-1により第1ねじ軸11へ押圧されている。このため、第1ナット53-1と第1ねじ軸11とに生じるバックラッシをなくすことができる。さらに、第1ナット53-1のねじの位相と第1ねじ軸11のねじの位相とを合わせることなく、第1ナット53-1と第1ねじ軸11とが離脱状態から係合状態へスムーズに移行させることができる。
【0080】
また、本実施の形態1においては、第1ナット53-1は、パレットPに着脱自在に設けられている。このため、ユーザは、第1ナット53-1の交換を容易にすることができ、パレットPのメンテナンス作業の効率を向上させることができる。
【0081】
また、本実施の形態1においては、第1ナット53-1は、自己潤滑性を有する材料で形成されている。この自己潤滑性を有する材料に替えて含油材料を用いると、ユーザは、パレットPに給油する作業を割愛することができ、パレットPのメンテナンス作業の効率を向上させることもできる。
【0082】
また、本実施の形態1においては、第1ナット53-1は、半割形状に形成されているナットである。これに対して、例えば、第1ナット53-1が、半割形状に形成されていない円環形状を有するナットである場合、搬送システム1にサポート部材15を設置しても、サポート部材15が第1ナット53-1と第1ねじ軸11との係合に干渉してしまうため、当該係合を干渉しないサポート部材15を設置することは困難である。
【0083】
しかしながら、本実施の形態1においては、第1ナット53-1は、半割形状に形成されているナットである。このため、搬送システム1に、第1ナット53-1と第1ねじ軸11との係合に干渉しない形状に形成されているサポート部材15を設置することができる。結果として、第1ねじ軸11に摺接されるサポート部材15を所望の場所、数量を設置することができ、第1ねじ軸11の長尺化を実現できると共に、第1ねじ軸11を高速回転させることができる。
【0084】
また、本実施の形態1においては、搬送システム1は、
図14に示すように、パレットPを搬送途中に固定する固定装置60を備える。これにより、パレットPを固定装置60で固定することで、パレットP上での各種作業の精度を向上させることができる。また、パレットPは、固定装置60で固定されることが可能であるため、パレットP上で各種作業をしているとき、第1搬送装置10のモータ13の電源をオフにすることもできる。
【0085】
また、本実施の形態1においては、第1可動ガイド21には、
図11に示すように、パレットPと係合される第1ストッパ26が設置されている。これにより、搬送システム1は、第1転換装置20によるパレットPの搬送時に、パレットPが第1可動ガイド21から落下するのを防止することができる。
【0086】
上記実施の形態1においては、搬送システム1は、
図1及び
図2に示すように、パレットPを1つ備える。しかしながら、これに限られない。
図26に示す変形例1のように、搬送システム1Aは、パレットPを3つ備えてもよい。また、搬送システム1Aは、その使用用途に応じて、パレットPを2つ又は4つ以上備えてもよい。パレットPの数は、搬送システム1Aの使用用途に応じて、適宜変更することができる。
【0087】
上記実施の形態1においては、搬送システム1は、
図1及び
図2に示すように、固定装置60を1つ備える。しかしながら、これに限られない。
図26に示す変形例1のように、搬送システム1Aは、固定装置60を2つ備えてもよい。また、搬送システム1Aは、その使用用途に応じて、固定装置60を3つ以上備えてもよい。固定装置60の数は、搬送システム1Aの使用用途に応じて、適宜変更することができる。
【0088】
上記実施の形態1においては、搬送システム1において、第1搬送装置10は、
図1及び
図2に示すように、ベース16を支持する複数の架台17を有する。しかしながら、これに限られない。
図26に示す変形例1のように、第1搬送装置10は、搬送システム1Aの使用状況に応じて、架台17を割愛してもよい。また、架台17はベース16に一体的に組み付けられて形成されていてもよい。
【0089】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、搬送システム1は、
図1及び
図2に示すように、第1搬送装置10を1つ備えると共に、第1転換装置20を1つ備える。しかしながら、これに限られない。搬送システム1は、第1搬送装置10、第1転換装置20を2つ以上備えていてもよい。以下、搬送装置、転換装置の数が異なる搬送システム2について、図を参照して、実施の形態1との相違点を主に説明する。説明した相違点以外は、実施の形態1と同一又は同等のものとする。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0090】
搬送システム2は、
図27及び
図28に示すように、6つのパレットP(搬送部本体)と、第1搬送装置10と、第1転換装置20と、第2搬送装置30と、第2転換装置40と、固定装置60とを備える。
【0091】
第1搬送装置10、第1転換装置20、及び固定装置60は、実施の形態1のものと同じものである。
【0092】
第2搬送装置30は、第1搬送装置10と同等の構造を有している。第2搬送装置30は、第1搬送装置10と同様に、第2ねじ軸31と、第2固定ガイド32と、モータ33と、保持部34a、34bと、サポート部材35と、これら各部材を支持する板状のベース36とを有する。
【0093】
第2ねじ軸31は、第1ねじ軸11と同等のものであり、
図29に示すように、Y軸回りの回転に伴って、パレットPを搬送するために用いられる。第2ねじ軸31の外周面には、螺旋状の雄ねじ溝が形成されている。第2ねじ軸31は、パレットPの第2ナット53-2と係合する。これにより、第2ねじ軸31は、Y軸回りの回転に伴って、第2ナット53-2を-Y方向又は+Y方向に移動させることで、パレットPを-Y方向又は+Y方向に搬送する。第2ねじ軸31は、
図27及び
図28に示すように、第1ねじ軸11に平行に配置されていると共に、第1ねじ軸11に対して、Y軸方向に直交するX軸方向に重なるように配置されている。
【0094】
第2固定ガイド32は、第1固定ガイド12と同等のものであり、
図30及び
図31に示すように、スライダ52を複数の転動体を介して支持する部材である。これにより、第2固定ガイド32は、スライダ52を有するパレットPを搬送自在に支持するとともに、第1可動ガイド21と連結可能に設けられている。なお、
図30では、搬送システム2は、先端側の保持部14a、34aが取り外された状態で示されている。また、
図30では、保持部14b、34bの後方のモータ13、33は割愛されて示されている。
【0095】
モータ33、保持部34a、34b、サポート部材35、及びベース36は、
図27及び
図28に示すように、第1搬送装置10のものと同等のものである。
【0096】
第2転換装置40は、第1転換装置20と同等のものであり、
図32及び
図33Aに示すように、スライダテーブルに第2可動ガイド41が設置されている直動アクチュエータである。第2転換装置40は、第2可動ガイド41と共に、パレットPを-X方向又は+X方向に搬送する。第2転換装置40は、第2可動ガイド41に加えて、スライダ42と、モータ43と、ボールねじ軸とボールねじナットとを有するボールねじと、レールを有するハウジング44と、折返しユニット45とを有する。
【0097】
第2可動ガイド41は、スライダ52を複数の転動体を介して支持する部材である。
【0098】
この第2可動ガイド41は、
図33Aに示すように、スライダ42と共に移動することで、第2固定ガイド32に対して近接又は離間する方向に移動可能に設けられている。具体的には、第2可動ガイド41は、第2固定ガイド32に対して近接する-X方向に移動することで、第2固定ガイド32からパレットPが乗り移り可能に第2固定ガイド32と連結される。そして、第2可動ガイド41は、第2固定ガイド32に対して離間する+X方向に移動することで、第2固定ガイド32と第2可動ガイド41との連結を解除させるように形成されている。これにより、第2転換装置40は、第2固定ガイド32と第2可動ガイド41との連結を解除させる。
【0099】
また、第2可動ガイド41は、スライダ42と共に移動することで、第1固定ガイド12に対しても近接又は離間する方向に移動可能に設けられている。このため、第2転換装置40は、第2固定ガイド32と第1固定ガイド12との連結を解除可能に形成されている。
【0100】
また、第2可動ガイド41には、パレットPと係合される第2ストッパ46が設置されている。
【0101】
第2ストッパ46は、例えば、ストッパ用ピン46aと、ストッパ用ピン46aをZ軸方向に摺動可能に支持するブラケット46bと、ストッパ用ピン46aを+Z方向に付勢するスプリング46cとを含んで構成されている。第2ストッパ46のストッパ用ピン46aは、その+Z側の先端が、パレットPが第2可動ガイド41に移動した際に、パレットPのスライダ52の下面(-Z側の面)に形成されている孔52aに嵌め込まれるように形成されている。なお、本実施の形態2では、第2ストッパ46は、ストッパ用ピン46aを有する。しかしながら、これに限られない。第2ストッパ46は、パレットPと係合されるものであれば、ストッパ用ピン46a以外のものを有していてもよい。例えば、第2ストッパ46は、スプリングで付勢される球を有していてもよい。
【0102】
スライダ42、モータ43、ボールねじ、ハウジング44、及び折返しユニット45は、第1転換装置20のものと同等のものである。
【0103】
上述のように構成されている第2転換装置40は、
図33Bに示すように、パレットPの第1ナット53-1を第1ねじ軸11に係合させたり、第2ナット53-2を第2ねじ軸31に係合させたりすることができる。したがって、本実施の形態2において、第2転換装置40は、第1ナット53-1及び第2ナット53-2を第1ねじ軸11及び第2ねじ軸31に選択的に係合させることができる。なお、
図33Bでは、保持部14b、34bの後方のモータ13、33は割愛されて示されている。
【0104】
同様に、第1転換装置20も、
図30に示すように、第1ナット53-1を第1ねじ軸11に係合させたり、第2ナット53-2を第2ねじ軸31に係合させたりすることができる。したがって、本実施の形態2において、第1転換装置20は、第1ナット53-1及び第2ナット53-2を第1ねじ軸11及び第2ねじ軸31に選択的に係合させることができる。
【0105】
上述のように構成された搬送システム2におけるパレットP及び搬送対象物を搬送する動作について、図を参照しつつ説明する。なお、搬送システム2がパレットPを一つのみ備えるものとして説明する。
【0106】
先ず、
図34に示すように、第1搬送装置10は、パレットPが第1固定ガイド12上を円滑に移動することで、パレットPを-Y方向に搬送する。このとき、第1固定ガイド12近傍に設置されている固定装置60によって固定されることで、ユーザや、搬送システム2とは別の装置は、パレットPに載置されている搬送対象物(ワーク)に対して作業を行う。作業を終えると、第1搬送装置10は、再び、パレットPを-Y方向に搬送する。
【0107】
第1搬送装置10によって、パレットPが-Y方向に搬送されていくと、
図35に示すように、やがて、パレットPのスライダ52は、第1固定ガイド12から、第1転換装置20の第1可動ガイド21に乗り移って移動する。
【0108】
パレットPのスライダ52が第1可動ガイド21に移動すると、第1可動ガイド21に設けられている第1ストッパ26のストッパ用ピン26aが、スライダ52の下面に形成されている孔52aに嵌め込まれる。これにより、パレットPは、第1可動ガイド21に対して固定状態に維持される。
【0109】
続いて、第1転換装置20は、
図30及び
図36に示すように、第1ねじ軸11に対する第1ナット53-1の係合を解除すると共に、第1可動ガイド21と共に、パレットPを-X方向に搬送する。
【0110】
やがて、パレットPは、
図37に示すように、第1転換装置20の-X側の端部近傍にまで移動する。パレットPが第1転換装置20の-X側の端部近傍にまで移動すると、
図38に示すように、パレットPの第2ナット53-2が、第2搬送装置30の第2ねじ軸31に係合する。
【0111】
続いて、第2搬送装置30の第2ねじ軸31が回転する。すると、第2ナット53-2は、第2ねじ軸31と係合されているため、パレットPは、
図39に示すように、例えば、第1可動ガイド21から、第2搬送装置30の第2固定ガイド32に乗り移って移動する。そして、パレットPは、第2固定ガイド32上を円滑に移動しつつ、+Y方向に搬送される。
【0112】
第2搬送装置30によって、パレットPが+Y方向に搬送されていくと、
図33Aに示すように、パレットPのスライダ52は、第2固定ガイド32から、第2転換装置40の第2可動ガイド41に乗り移って移動する。
【0113】
パレットPのスライダ52が第2可動ガイド41に移動すると、
図40に示すように、第2可動ガイド41に設けられている第2ストッパ46のストッパ用ピン46aが、スライダ52の下面に形成されている孔52aに嵌め込まれる。これにより、パレットPは、第2可動ガイド41に対して固定状態に維持される。なお、スライダ52の-Z側の面にはストッパ押え部材52bが設置されており、スライダ52がY軸方向へ移動すると、ストッパ押え部材52bの-Y側または+Y側の傾斜部がストッパ用ピン46aをスプリング46cに抗して-Z側へ移動させる。そして、孔52aとストッパ用ピン46aが合致したとき、スプリング46cによりストッパ用ピン46aが孔52aへ押し上げられ、嵌め込まれる。
【0114】
続いて、第2転換装置40は、
図40に示すように、第2可動ガイド41と共に、パレットPを+X方向に搬送する。
【0115】
パレットPは、第2転換装置40の+X側の端部近傍にまで移動すると共に、第1転換装置20の第1固定ガイド12に乗り移り可能な位置まで移動する。
【0116】
以上により、搬送システム2におけるパレットPの搬送が完了する。
【0117】
なお、搬送システム2のユーザは、第1、第2搬送装置10、30の第1、第2ねじ軸11、31の回転方向、及び第1、第2転換装置20、40のボールねじ軸の回転方向を正転、逆転させることで、パレットPを往復運動させてもよいし、搬送システム2の用途に応じて、パレットPを様々な方向への運動をさせてもよい。
【0118】
以上、説明したように、本実施の形態2に係る搬送システム2においては、実施の形態1と同様に、構造の複雑化を抑制しつつ、搬送対象物を支持するパレットPを第1、第2搬送装置10、30から別の装置である第1、第2転換装置20、40に乗り移らせたり、第1、第2転換装置20、40から別の装置である第2、第1搬送装置30、10に乗り移らせたりすることができる。また、搬送システム2においては、実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
【0119】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0120】
例えば、本実施の形態2に係る搬送システム2は、
図28に示すように、2つの搬送装置(第1搬送装置10、第2搬送装置30)に加えて、2つの転換装置(第1転換装置20、第2転換装置40)を備える。しかしながら、これに限られない。例えば、
図41に示す変形例2のように、搬送システム2Aは、2つの搬送装置(第1搬送装置10、第2搬送装置30)と、1つの転換装置(第1転換装置20)とを備えるようにしてもよい。
【0121】
また、本実施の形態2に係る搬送システム2では、
図28に示すように、第1搬送装置10の第1ねじ軸11と、第2搬送装置30の第2ねじ軸31とは、Y軸方向に直交する方向であるX軸方向に重なるように配置されている。しかしながら、これに限られない。例えば、
図42に示す変形例3に係る搬送システム2Bのように、第1ねじ軸11のY軸方向の少なくとも一部が、第2ねじ軸31に対して、X軸方向に重なるように配置されていてもよい。
【0122】
また、本実施の形態2に係る搬送システム2は、
図28に示すように、2つの搬送装置(第1搬送装置10、第2搬送装置30)と、2つの転換装置(第1転換装置20、第2転換装置40)とを備える。しかしながら、これに限られない。搬送システム2は、その用途に応じて、搬送装置と転換装置とを適宜組み合わせて使用することができる。例えば、
図43に示す変形例4に係る搬送システム2Cのように、3つ以上の搬送装置(第1搬送装置10、第2搬送装置30、搬送装置71~74)と、3つ以上の転換装置(第1転換装置20、第2転換装置40、転換装置81~84)とを備えるようにしてもよい。搬送システム2Cにおいては、搬送システム2Cを設置する面積を大きく確保することなく、パレットPの搬送路の長さを長くすることが可能になる。
【0123】
また、本実施の形態2に係る搬送システム2は、
図27に示すように、XY平面に平行な設置面に設置されている。しかしながら、これに限られない。
図44に示す変形例5のように、搬送システム2Dは、YZ平面に平行な設置面に設置されてもよい。この場合、搬送システム2Dにおいては、2つの搬送装置(第1搬送装置10、第2搬送装置30)はパレットPをY軸方向へ搬送するように、2つの転換装置(第1転換装置20、第2転換装置40)はパレットPをZ軸方向に搬送するように設置される。さらに、この場合、パレットPに、例えば、L字状のブラケットを設置して、パレットPによって搬送される搬送対象物を支持できるようにするようにしてもよい。
【0124】
また、本実施の形態1では、
図16に示すように、第1搬送装置10のパレットPの搬送方向(Y軸方向)と、第1転換装置20のパレットPの搬送方向(X軸方向)とが直交するように、搬送システム1は設置面に設置されている。しかしながら、これに限られない。
図45に示す変形例6のように、第1搬送装置10のパレットPの搬送方向は、第1転換装置20のパレットPの搬送方向と直交しない方向となるように、搬送システム1Bは設置面に設置されていてもよい。本実施の形態2に係る搬送システム2についても同様である。搬送システム1、2は、その用途に応じて、搬送装置と転換装置とを適宜組み合わせて使用することができる。
【0125】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0126】
1,1A,1B,2,2A,2B,2C,2D:搬送システム
10:第1搬送装置
11:第1ねじ軸
12:第1固定ガイド
12R,12L:レール
13:モータ
14a,14b:保持部
15:サポート部材
16:ベース
17:架台
20:第1転換装置
21:第1可動ガイド
21R,21L:レール
22:スライダ
23:モータ
24:ハウジング
25:折返しユニット
26:第1ストッパ
26a:ストッパ用ピン
26b:ブラケット
26c:スプリング
30:第2搬送装置
31:第2ねじ軸
32:第2固定ガイド
33:モータ
34a,34b:保持部
35:サポート部材
36:ベース
40:第2転換装置
41:第2可動ガイド
42:スライダ
43:モータ
44:ハウジング
45:折返しユニット
46:第2ストッパ
46a:ストッパ用ピン
46b:ブラケット
46c:スプリング
51:搬送対象物載置部
51a:載置面
51b,51c:被嵌合部
52:スライダ
52a:孔
52b:ストッパ押え部材
53-1:第1ナット
53-2:第2ナット
54-1,54-2:ナット支持部材
55-1,55-2:弾性部材
56-1,56-2:蓋部
60:固定装置
61:固定用ピン
62:移動体
63:モータ
64:固定装置駆動用アクチュエータ
65:ガイド装置
65a:ベース
65b:ガイド装置用スライダ
71,72,73,74:搬送装置
81,82,83,84:転換装置
P:パレット(搬送部本体)