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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050086
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】録音装置および異常音分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156695
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】野中 雄之
(72)【発明者】
【氏名】服部 武直
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB13
2G064AB15
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】対象装置の異常音を分析する異常音分析システムまたは当該システムのコンポーネントの消費電力低減。
【解決手段】録音装置(2)は、対象装置に異常音が発生しているか否か又は対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する異常音判定部(201)と、対象装置に異常音が発生していること又は対象装置に異常音が発生する可能性が高いことが、異常音判定部により判定されている場合に、対象装置に発生している音を録音する録音部(202)と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置に異常音が発生しているか否か又は前記対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する異常音判定部と、
前記対象装置に異常音が発生していること又は前記対象装置に異常音が発生する可能性が高いことが、前記異常音判定部により判定されている場合に、前記対象装置に発生している音を録音する録音部と、
を備えていることを特徴とする録音装置。
【請求項2】
前記異常音判定部は、前記対象装置に発生した音からその音が異常音である可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置に発生している音を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象装置に異常音が発生しているか否かを判定する、請求項1に記載の録音装置。
【請求項3】
前記異常音判定部は、前記対象装置に関する装置情報及び前記対象装置の周辺の環境に関する環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報から前記対象装置に異常音が発生する可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置の装置関連情報を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する、請求項1に記載の録音装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の録音装置と、
前記録音部により録音された音に基づいて、前記対象装置に発生した異常音の発生原因及び当該異常音の発生への対策の少なくとも一方を含む異常音情報を特定する異常音特定装置と、
を備えていることを特徴とする異常音分析システム。
【請求項5】
前記録音部により録音された音に対応付けて、前記対象装置に関する情報である装置情報及び前記対象装置の周辺の環境に関する情報である環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報を取得する情報取得部を備え、
前記異常音特定装置は、前記録音部により録音された音に加え、前記情報取得部により取得された前記装置関連情報に基づいて、前記異常音情報を特定する、
請求項4に記載の異常音分析システム。
【請求項6】
前記異常音特定装置は、前記対象装置に発生した音からその音に含まれている異常音の前記異常音情報を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記録音部により録音された音を入力して、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記学習済モデルに入力された音に含まれる異常音の前記異常音情報を特定する、
請求項4に記載の異常音分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、録音装置および異常音分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記憶手段に記憶されている画像形成装置の正常な動作時の音データと、集音手段により集音され通信手段により集中管理センタへ送信された音データとを比較して、画像形成装置に異常があることを判定する遠隔管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-32948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記システムでは、画像形成装置の動作中にその作動音を常時集音し、集音した音を集中管理センタへ常時送信する必要がある。
【0005】
本開示は、対象装置に発生した異常音を分析する異常音分析システムの低消費電力化、または対象装置に発生した異常音を録音する録音装置の低消費電力化を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る録音装置は、対象装置に異常音が発生しているか否か又は前記対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する異常音判定部と、前記対象装置に異常音が発生していること又は前記対象装置に異常音が発生する可能性が高いことが、前記異常音判定部により判定されている場合に、前記対象装置に発生している音を録音する録音部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、対象装置に発生した異常音を録音する録音装置の消費電力を低減することができる。また、上記録音装置をコンポーネントとする異常音分析システムの消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る異常音分析システムの構成を示すブロック図である。
図2】本開示の一実施形態に係る録音装置の構成を示すブロック図である。
図3】本開示の一実施形態に係る情報取得装置の構成を示すブロック図である。
図4】本開示の一実施形態に係る異常音特定装置の構成を示すブロック図である。
図5】本開示の一実施形態に係る学習済モデルを説明するためのブロック図である。
図6】本開示の一実施形態に係る学習済モデルを説明するためのブロック図である。
図7】本開示の一実施形態に係る録音装置および情報取得装置の機能を説明するためのブロック図である。
図8】本開示の一実施形態に係る録音装置の作動を説明するためのフローチャートである。
図9】情報取得装置の作動を説明するためのフローチャートである。
図10】異常音特定装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(異常音分析システムの構成)
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る異常音分析システム1の構成を示すブロック図である。図1に示す異常音分析システム1は、検査施設101に持ち込まれた車両100に生じた異常音を分析し、当該異常音の発生を解消するためのシステムである。異常音分析システム1は、録音装置2と、情報取得装置3と、異常音特定装置4とを備えている。すなわち、録音装置2、情報取得装置3および異常音特定装置4は、異常音分析システム1のコンポーネントである。録音装置2及び情報取得装置3は、車両100に配置されている。異常音特定装置4は、検査施設101に配置されている。ここで異常音とは、例えばブレーキ鳴き、内燃機関におけるノッキング等である。ブレーキ鳴きは、車両100のブレーキにおいて摩擦材と回転体との接触により発生する。
【0010】
車両100は異常音分析システム1の分析対象である対象装置の一例である。
検査施設101は、例えば、車両100のディーラー、整備工場等であって、車両100の検査、整備等のサービスを提供する施設である。
【0011】
録音装置2は、車両100に発生している音(以下「車両音」という)を録音する。録音装置2は、車両100の乗員が所有するスマートフォン等の移動体通信機であってもよいし、車両100に取り付けられているドライブレコーダ等の車載機であってもよいし、検査施設101から貸与された貸与機器であってもよいし、車両100を構成している車両機器であってもよい。
【0012】
情報取得装置3は、装置情報及び環境情報の少なくとも一方を取得する。情報取得装置3は、録音装置2と同様、移動体通信機であってもよいし、車載機であってもよいし、貸与機器であってもよいし、車両機器であってもよい。
ここで、装置情報とは車両100に関する情報である。装置情報は、例えば、ブレーキ温度、車速、制動減速度、クリープ走行中か否か、1発目制動中か否か等である。1発目制動とは、1トリップ中の制動のうち最初に発生した制動のことである。環境情報とは、車両100の周辺環境に関する情報である。環境情報は、例えば天候、気温、湿度、雨量等である。
以降、装置情報及び環境情報を総称して装置関連情報と称する。
【0013】
異常音特定装置4は、パソコンやタブレットなどの情報機器である。異常音特定装置4は、車両100が検査施設101に持ち込まれたときに、その車両100の録音装置2および情報取得装置3から取得された情報に基づいて、車両100に発生した異常音を特定する。
【0014】
(録音装置の構成)
図2は、本開示の一実施形態に係る録音装置2の構成を示すブロック図である。録音装置2は、制御部20と、記憶部21と、集音部22と、入出力インタフェース23とを備える。
【0015】
制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、プログラムを記憶部21から読み出して実行する。
記憶部21は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有し、制御部20が実行するプログラムと、後述する学習済モデルM1と、車両音を録音情報210として記憶する。
また、記憶部21は、制御部20がワークスペースとして使用するRAM(Random Access Memory)等の一時記憶媒体を有し、車両音を第1情報211として一時的に記憶する。
【0016】
集音部22は、例えばマイクロホン等であり、周囲の音を集音する。集音部22の数は、1つに限られず、複数であってもよい。複数の集音部22は、配置が異なる同一のものであってもよいし、集音可能な周波数帯域の異なるものであってもよい。
集音部22により集音された車両音は、不図示のA/D変換部等により、デジタル信号に変換され、第1情報211として記憶部21のRAM等に一時的に記憶される。
【0017】
入出力インタフェース23は、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子、LAN(Local Area Network)端子等である。録音装置2は、入出力インタフェース23を介して、例えば情報取得装置3や異常音特定装置4と接続される。
【0018】
(情報取得装置の構成)
図3は、情報取得装置3の構成を示すブロック図である。情報取得装置3は、制御部30と、記憶部31と、入出力インタフェース32と、GPS信号受信部33と、加速度センサ34とを備える。
【0019】
制御部30は、例えばCPUであり、プログラムを記憶部31から読み出して実行する。
記憶部31は、例えばHDD、SSD等の記憶媒体を有し、制御部30が実行するプログラムと、録音情報210が示す車両音の集音時における装置関連情報とを記憶する。また、記憶部31は、制御部30がワークスペースとして使用するRAM(Random Access Memory)等の一時記憶媒体を有し、装置関連情報を第2情報311として一時的に記憶する。
以降、情報取得装置3が記憶部31に記憶した装置関連情報には、装置関連情報310のように符号を付して説明する。
【0020】
入出力インタフェース32は、例えばUSB端子、LAN端子等である。情報取得装置3は、入出力インタフェース32を介して、例えば録音装置2や異常音特定装置4と接続される。
GPS(Global Positioning System)信号受信部33は、GPS衛星から車両100の位置を示すGPS信号を受信する。
加速度センサ34は、車両100の加速度を検知する。
【0021】
(異常音特定装置の構成)
図4は、異常音特定装置4の構成を示すブロック図である。異常音特定装置4は、制御部40と、記憶部41と、入出力インタフェース42と、表示部43とを備える。
制御部40は、例えばCPUであり、プログラムを記憶部31から読み出して実行する。
記憶部41は、例えばHDD、SSD等の記憶媒体を有し、制御部40が実行するプログラムと、後述する学習済モデルM2と、録音装置2から取得した録音情報410と、情報取得装置3から取得した装置関連情報411とを記憶する。
【0022】
入出力インタフェース42は、例えばUSB端子、LAN端子等である。異常音特定装置4は、入出力インタフェース42を介して、例えば録音装置2や情報取得装置3と接続される。
表示部43は、例えば液晶モニタであって、異常音特定装置4の操作画面、異常音の分析結果等を表示する。
【0023】
(録音装置の学習済モデル)
図5は、図2に示す録音装置2の学習済モデルM1の一例を示す模式図である。
学習済モデルM1は、車両音に異常音が含まれている可能性を推定する。学習済モデルM1は、車両音および当該車両音の発生時における装置関連情報の組み合わせと、当該車両音に異常音が含まれているか否かを示すラベルとのデータセットを教師データとした機械学習によって構築されたものである。
【0024】
学習済モデルM1には、集音部22により集音された車両音と、その車両音の集音時における装置関連情報とが入力される。
学習済モデルM1は、集音部22により集音された車両音の中に異常音が含まれる可能性を示す指標を出力する。
【0025】
(異常音特定装置の学習済モデル)
図6は、図4に示す異常音特定装置4の学習済モデルM2の一例を示す模式図である。
学習済モデルM2は、車両100に発生した異常音に関する異常音情報を推定する。学習済モデルM2は、車両100に発生した異常音および当該異常音の発生時における装置関連情報の組み合わせと、当該異常音に関する異常音情報とのデータセットを教師データとした機械学習によって構築されたものである。ここで、異常音情報には、少なくとも、異常音の発生原因と、当該異常音の発生への対策の少なくとも一方が含まれる。これら発生原因及び対策としては、複数種類のものが予め設定されている。
【0026】
学習済モデルM2には、異常音特定装置4の記憶部41に記憶された録音情報410および装置関連情報411が入力される。
学習済モデルM2は、異常音情報に関する指標を出力する。例えば、学習済モデルM2は、複数の異常音の発生原因につき、録音情報410が示す音に含まれている異常音の発生原因に該当する可能性を示す指標を、それぞれ出力する。
学習済モデルM2は、複数の異常音への対策につき、録音情報410が示す音に含まれている異常音への対策に該当する可能性を示す指標を、それぞれ出力する。
【0027】
(録音装置および情報取得装置の機能)
図7を参照して、録音装置2および情報取得装置3の機能について説明する。図7は、録音装置2および情報取得装置3の機能を示すブロック図である。図2に示す録音装置2の制御部20は、記憶部21に記憶されている録音処理プログラムを実行することにより、異常音判定部201と、録音部202として機能する。また、図3に示す情報取得装置3の制御部30は、記憶部31に記憶されている情報取得処理プログラムを実行することにより、情報取得部301として機能する。
【0028】
異常音判定部201は、第1情報211が示す車両音に異常音が含まれているか否かを、すなわち車両100に異常音が発生しているか否かを判定する。詳しくは、異常音判定部201は、第1情報211と、第1情報211が示す車両音の集音時における装置関連情報とを、図2および図5に示す学習済モデルM1へ入力する。そして、異常音判定部201は、学習済モデルM1から出力された指標に基づいて第1情報211が示す車両音に異常音が含まれているか否かを判定し、その判定結果を録音部202および情報取得部301へ出力する。
以降、第1情報211が示す車両音に異常音が含まれているか否かを判定する処理を、異常音判定処理と記載する。第1情報211が示す車両音を、第1情報211の車両音とも記載する。
【0029】
録音部202は、集音部22により集音されている車両音を、第1情報211として記憶部21のRAM等に一時記憶する。また録音部202は、異常音判定部201による判定結果が第1情報211の車両音に異常音が含まれていることを示している場合に、異常音判定部201の判定対象である第1情報211を、録音情報210として記憶部21のHDD等に記憶する。これにより、異常音が含まれる可能性が高い車両音が録音される。
【0030】
情報取得部301は、車両100の装置関連情報を、第2情報311として記憶部31のRAM等に一時記憶する。また情報取得部301は、異常音判定部201による判定結果が第1情報211の車両音に異常音が含まれていることを示している場合に、異常音判定部201の判定対象である第1情報211が示す車両音の集音時における装置関連情報を、装置関連情報310として記憶部31のHDD等に記憶する。
【0031】
ここで、装置関連情報310には、上述したとおり装置情報及び環境情報の少なくとも一方が含まれる。
情報取得部301は、装置情報である車両100の車速を、例えばGPS信号受信部33により受信されたGPS信号に基づいて算出する。詳しくは、情報取得部301は、GPS信号が示す車両100の位置の時間変化から車両100の車速を算出する。
情報取得部301は、装置情報である車両100がクリープ走行中であるか否かに関する情報を、例えば上述の如く算出した車速に基づいて生成する。
【0032】
情報取得部301は、装置情報である車両100の制動減速度を、例えば加速度センサ34の検出信号に基づいて算出する。情報取得部301は、制動減速度を、上述の如く算出した車両100の車速に基づいて算出してもよい。
情報取得部301は、装置情報である車両100の制動が1発目制動であるか否かに関する情報を、例えば上述の如く算出した制動減速度に基づいて生成する。詳しくは、情報取得部301は、制動減速度に基づいて制動の有無を判定し、情報取得装置3の作動開始から最初に発生した制動を、車両100の制動が1発目制動であると判定する。
【0033】
情報取得部301は、装置情報であるブレーキ温度を、例えば上述の如く算出した制動減速度に基づいて算出する。詳しくは、情報取得部301は、制動減速度からブレーキ圧を算出し、そのブレーキ圧からブレーキ摩擦材の温度を推定する。
情報取得部301は、環境情報を、例えば車両100から取得する。情報取得部301は、環境情報を、不図示のサーバから取得してもよい。この場合、情報取得装置3と不図示のサーバとを、例えば入出力インタフェース32を介して接続してもよい。
【0034】
(異常音特定装置の機能)
図4に示す異常音特定装置4の機能について説明する。異常音特定装置4の制御部40は、記憶部41に記憶されている異常音特定処理プログラムを実行することにより、特定部401として機能する。
特定部401は、記憶部41に記憶された録音情報410および装置関連情報411を学習済モデルM2へ入力し、学習済モデルM2から出力された指標に基づいて異常音情報を特定する。
【0035】
(録音装置の作動)
図8を参照して、録音装置2の作動について説明する。図8は、録音装置2において実行される異常音録音処理の流れを示すフローチャートである。録音装置2の制御部20は、車両100の走行中に図8に示す処理を繰り返し実行する。ここで、異常音録音処理とは、車両100で発生した異常音を録音する処理である。
異常音録音処理は、録音装置2の起動に伴って開始されてもよいし、録音装置2に対する所定操作に伴って開始されてもよいし、車両100の走行に伴って開始されてもよい。車両100が走行中であるか否かは、情報取得装置3のGPS信号受信部33により受信されたGPS信号に基づいて判定してもよいし、車両100の乗員からの所定入力に基づいて判定してもよい。
【0036】
S20において、制御部20は、車両音と装置関連情報とを取得する。詳しくは、制御部20は、録音部202として機能し、集音部22により集音されている車両音を第1情報211として記憶部21に一時記憶し、その車両音の集音時における装置関連情報を取得する。制御部20は、装置関連情報を、情報取得装置3から取得してもよいし、車両100から取得してもよいし、図示しないセンサ類の検出信号から算出してもよい。
【0037】
S21において、制御部20は、異常音判定部201として機能し、S20で一時記憶された第1情報211の車両音に異常音が含まれているか否かを判定する。
制御部20は、第1情報211の車両音に異常音が含まれている場合(以下「異常音ありの場合」という)は(S21:YES)、判定対象である第1情報211を録音情報210として記憶部21に記憶し(S22)、図8の処理を終了する。
制御部20は、第1情報211の車両音に異常音が含まれていない場合(以下「異常音なしの場合」という)は(S21:NO)、判定対象である第1情報211を記憶部21に記憶することなく、図8の処理を終了する。
【0038】
このように異常音分析システム1では、異常音判定部201の判定結果が「異常音あり」を示している場合に、録音情報210が記憶部21に記憶される。すなわち、異常音分析システム1によれば、異常音が含まれる可能性が高い車両音のみが録音されるため、集音部22で集音された音を常時録音する場合よりも、消費電力を低減することができる。また、当該異常音分析システム1のコンポーネントである録音装置2の消費電力を低減することができる。
【0039】
(情報取得装置の作動)
図9を参照して、情報取得装置3の作動について説明する。図9は、情報取得装置3において実行される情報取得処理の流れを示すフローチャートである。情報取得装置3の制御部30は、図9に示す処理を繰り返し実行する。ここで、情報取得処理とは、車両100の装置関連情報を取得する処理である。
情報取得処理は、録音装置2における異常音録音処理の開始に伴って開始されてもよいし、録音装置2と同様に、情報取得装置3の起動や、情報取得装置3に対する所定操作や、車両100の走行に伴って開始されてもよい。
【0040】
S30において、制御部30は、装置関連情報を取得する。詳しくは、制御部30は、情報取得部301として機能し、装置関連情報を第2情報311として記憶部31に一時記憶する。
S31において、制御部30は、録音装置2において実行されている異常音録音処理のS22の判定結果が第1情報211の車両音に異常音が含まれていることを示しているか否かを判定する。
制御部30は、録音装置2の異常音判定部201によるS22の判定結果が「異常音あり」の場合は(S31:YES)、異常音録音処理のS22で判定対象となった第1情報211に対応する装置関連情報を、装置関連情報310として記憶部31に記憶させ(S32)、図9の処理を終了する。
制御部30は、録音装置2の異常音判定部201による判定結果が「異常音なし」の場合は(S31:NO)、異常音録音処理のS22で判定対象となった装置関連情報を記憶部31へ記憶することなく、図9の作動を終了する。
【0041】
(異常音特定装置の作動)
図10を参照して、図4に示す異常音特定装置4の作動について説明する。図10は、異常音特定装置4において実行される異常音特定処理の流れを示すフローチャートである。異常音特定装置4の制御部40は、図10に示す処理を繰り返し実行する。ここで、異常音特定処理とは、車両100に発生した異常音の発生原因及び異常音発生への対策の少なくとも一方が含まれる異常情報を特定する処理である。
【0042】
S40において、制御部40は、録音装置2に記憶された録音情報210及び情報取得装置3に記憶された装置関連情報310を取得する。詳しくは、制御部40は、録音情報210および装置関連情報310を、それぞれ録音情報410および装置関連情報411として記憶部41に記憶する。
制御部40は、例えば、検査施設101に持ち込まれた車両100の録音装置2から録音情報210を取得し、情報取得装置3から装置関連情報310を取得する。この場合、例えば、異常音特定装置4と録音装置2とを、入出力インタフェース42と入出力インタフェース23とを介して接続し、異常音特定装置4と情報取得装置3とを、入出力インタフェース42と入出力インタフェース32とを介して接続する。録音装置2の記憶部21から取り外した記憶媒体と、情報取得装置3の記憶部31から取り外した記憶媒体との両記憶媒体を、それぞれ異常音特定装置4の入出力インタフェース42に接続し、両記憶媒体からそれぞれ録音情報210と装置関連情報310とを取得してもよい。
【0043】
S41において、制御部40は、特定部401として機能し、ステップS40で記憶部41に記憶された録音情報410および装置関連情報411に基づいて異常音情報を特定する。
S42において、制御部40は、S41で特定した異常音情報を整備士等の異常音特定装置4のユーザに提供する。例えば、制御部40は、S41で特定した異常音情報を表示部43に表示させる。
【0044】
車両100に発生した異常音について、車両100の所有者等が整備士等に対して的確に説明することは容易ではない。この点、異常音分析システム1では、車両100に異常音が発生したときに、その異常音が録音装置2により録音され、異常音が発生したときの装置関連情報が情報取得装置3により記憶される。そのため、異常音が発生した車両100を検査施設101に持ち込むことで、録音装置2と情報取得装置3とからそれぞれ録音情報210と装置関連情報310とを整備士等に提供することができる。
【0045】
また、車両100の所有者等による異常音に関する説明だけから、整備士等が異常音の発生原因や異常音発生への対策を特定することや、検査施設101で車両100における異常音の発生を再現することは、容易ではない。この点、異常音分析システム1では、異常音特定装置4において、車両100で発生した異常音の異常音情報が特定される。そのため、検査施設101では、整備士等がこの異常音情報に基づいて車両100を整備することにより、車両100の異常音を解消することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、車両100で発生した異常音について車両100の所有者に対して難しい説明を強いることなく、異常音の発生を解消することができるため、検査施設101に対する顧客満足度を向上させることができる。
【0046】
(変形例)
上記実施形態では、異常音分析システム1による異常音分析の対象装置を車両100とした。しかし、本開示に係る対象装置は、車両100だけに限られない。例えば対象装置は、航空機などの車両100以外の移動体や、プリンタなどの電子機器であってもよい。対象装置が航空機の場合、検査施設101は航空機の整備等が行われる格納庫である。対象装置が電子機器の場合、検査施設101は、例えば電子機器の保守点検を行うサポートセンターの施設である。
【0047】
上記実施形態では、車両100を検査施設101に持ち込むことにした。しかし、車両100を持ち込むことなく、録音情報210及び装置関連情報310を、それぞれ録音装置2及び情報取得装置3から異常音特定装置4に送信することにしてもよい。この場合、例えば、録音装置2及び情報取得装置3を、それぞれ無線ネットワークを介して異常音特定装置4に接続する。この場合、録音情報210及び装置関連情報310を、車両100に異常音が発生したことに伴って送信することにしてもよいし、定期的に送信することにしてもよい。
【0048】
上記実施形態では、異常音分析システム1は、情報取得装置3を備えることにした。しかし、本開示に係る録音装置2に情報取得装置3の機能を組み込み、情報取得装置3を廃してもよい。この場合、例えば、録音装置2の制御部20が記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部20を情報取得部301として機能させ、装置関連情報を録音装置2の記憶部21に記憶させる。
【0049】
上記実施形態では、異常音分析システム1は、異常音特定装置4を備えることにした。しかし、本開示に係る録音装置2に異常音特定装置4の機能を組み込み、異常音特定装置4を廃してもよい。この場合、例えば、録音装置2の制御部20が記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部20を特定部401として機能させる。この場合、異常音特定装置4の機能が車両100に配置されることになるため、検査施設101では、整備士等が録音装置2から異常音情報を取得することになる。また、車両100の所有者に異常音情報を提供可能となるように、録音装置2を構成してもよい。例えば、異常音特定装置4の表示部43と実質的に同一の表示部を録音装置2に設け、その表示部に異常音情報を表示するように、録音装置2を構成してもよい。
【0050】
上記実施形態では、録音装置2が異常音判定部201と録音部202として機能することにした。しかし、録音装置2を録音部202として機能する装置とし、異常音判定部201として機能する異常音判定装置を、録音装置2とは別のコンポーネントとして異常音分析システム1に設けてもよい。
【0051】
上記実施形態では、録音装置2、情報取得装置3及び異常音特定装置4を、車両100とは別に設けることにした。しかし、録音装置2、情報取得装置3及び異常音特定装置4の少なくとも1つの装置の全部又は一部の機能を、車両100の構成に含めてもよい。
【0052】
上記実施形態では、録音情報210を、録音装置2の記憶部21に記憶することにした。しかし、録音情報210を記憶する記憶部は、録音装置2の記憶部21に限られない。例えば、情報取得装置3の記憶部31に記憶することにしてもよいし、異常音特定装置4の記憶部41へ記憶することにしてもよいし、不図示の外部サーバに記憶することにしてもよい。
また、装置関連情報を、情報取得装置3の記憶部31に記憶することにした。しかし、装置関連情報を記憶する記憶部は、情報取得装置3の記憶部31に限られない。例えば、録音装置2の記憶部21に記憶することにしてもよいし、異常音特定装置4の記憶部41に記憶することにしてもよいし、不図示の外部サーバに記憶することにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、録音プログラムと情報取得処理プログラムと異常音特定処理プログラムとを、それぞれ録音装置2の記憶部21と情報取得装置3の記憶部31と異常音特定装置4の記憶部41とに記憶することにした。
しかし、録音処理プログラムを、情報取得装置3の記憶部31や異常音特定装置4の記憶部41に記憶することにしてもよいし、外部サーバに記憶することにしてもよい。
また、情報取得処理プログラムを、録音装置2の記憶部21や異常音特定装置4の記憶部41に記憶することにしてもよいし、外部サーバに記憶することにしてもよい。
また、異常音特定処理プログラムを、録音装置2や情報取得装置3に記憶することにしてもよいし、外部サーバに記憶することにしてもよい。
【0054】
上記実施形態では、録音装置2の異常音判定部201は、車両音と装置関連情報とに基づいて、車両音に異常音が含まれているか否かを判定することにした。
しかし、異常音判定部201は、車両音のみに基づいて、車両音に異常音が含まれているか否かを判定してもよい。
また、異常音判定部201は、車両音の周波数に基づいて、車両音に異常音が含まれているか否かを判定してもよい。この場合、異常音判定部201は、車両音に所定周波数の音が含まれている場合に、車両音に異常音が含まれていることを判定する。
【0055】
上記実施形態では、録音装置2は、車両音に異常音が含まれている場合に、当該車両音を録音することにした。
しかし、録音装置2は、車両100に異常音が発生する可能性が高い場合に、車両音を録音することにしてもよい。この場合、録音装置2の異常音判定部201は、例えば車両100の装置関連情報に基づいて、当該車両100に異常音が発生する可能性の高低を判定する。
【0056】
上記実施形態では、録音装置2は、1つ又は複数の集音部22を備え、集音部22で集音された音を録音することにした。しかし、複数の集音部22を設ける場合、車両100の異常音が発生している部位及び異常音が発生する可能性が高い部位の少なくとも一方である特定部位に対応する集音部22で集音された車両音だけを録音することにしてよい。
この場合、特定部位を特定する部位特定部を、録音装置2や情報取得装置3に設けてもよいし、両装置とは別の装置や車両100に設けてもよい。部位特定部は、例えば、車両音の周波数や車両100の装置関連情報に基づいて、特定部位を特定する。録音部202は、例えば、特定部位に発生する異常音の集音に適した集音部22で集音された車両音を録音する。ここで、特定部位に発生する異常音の集音に適した集音部22とは、特定部位に近い集音部22や、特定部位に発生する異常音の集音に適した周波数特性を有する集音部22である。
【0057】
上記実施形態では、録音装置2の学習済モデルM1への入力を、車両音と装置関連情報とにした。しかし、学習済モデルM1への入力は、これに限られない。例えば、学習済モデルM1への入力は、車両音のみにしてもよいし、装置関連情報のみにしてもよいし、装置関連情報である環境情報および装置情報の少なくとも一方と車両音とにしてもよい。
【0058】
上位実施形態では、学習済モデルM1の出力を、車両音に異常音が含まれている可能性を示す指標にした。しかし、学習済モデルM1の出力は、車両100に異常音が発生する可能性を示す指標にしてもよい。
この場合、学習済モデルM1は、例えば、装置関連情報と、当該装置関連情報が示す状況で車両100に異常音が発生したか否かを示すラベルとのデータセットを教師データとした機械学習によって構築する。
【0059】
上記実施形態では、異常音が含まれる可能性が高い車両音を録音することにした。しかし、異常音が含まれる可能性が高い車両音と対応付けて、その可能性を示す情報を記憶部21に記憶することにしてもよい。ここで、車両音に異常音が含まれる可能性とは、例えば学習済モデルM1の出力である指標である。このようにすることで、記憶部21に録音情報210が複数記憶されている場合に、異常音特定装置4による異常音分析の分析対象とする録音情報210を決定することや、分析対象とした録音情報210に対しての優先順位を設定することができる。
【0060】
上記実施形態では、異常音特定装置4の学習済モデルM2への入力を、録音情報410と装置関連情報411にした。しかし、学習済モデルM2への入力は、これに限られない。例えば、学習済モデルM2への入力は、録音情報410のみにしてもよいし、装置関連情報である環境情報および装置情報の少なくとも一方と録音情報410とにしてもよい。
【0061】
上記実施形態では、学習済モデルM2の出力を、異常音の発生原因と異常音の発生への対策の少なくとも一方が含まれる異常音情報にした。しかし、学習済モデルM2の出力を、異常音が発生した部位(以下「発生部位」という)が含まれる異常音情報にしてもよい。
この場合、例えば、複数の集音部22を設け、これらの集音部22をそれぞれ車両100の異常音の発生が予測される複数の部位(以下「予測部位」という)に配置する。
また、学習済モデルM2を、車両100に異常音が発生している状態において各集音部22で集音された車両音と、複数の異常音の予測部位のうち当該異常音の発生部位とのデータセットを教師データとして、機械学習することにより構築する。このように構築された学習済モデルM2は、上記複数の集音部22で集音された車両音の録音情報410が入力されると、複数の異常音の予測部位につき異常音の発生部位に該当する可能性を示す指標を出力する。
特定部401は、上記複数の集音部22で集音された車両音の録音情報410を学習済モデルM2に入力し、学習済モデルM2から出力された指標に基づいて異常音の発生部位を特定する。
【0062】
上記実施形態では、学習済モデルM1およびM2を、教師有り学習により構築することにした。しかし、学習済モデルM1および学習済モデルM2を、教師無し学習により構築してもよい。
【0063】
〔まとめ〕
本開示の一態様に係る録音装置は、対象装置に異常音が発生しているか否か又は前記対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する異常音判定部と、前記対象装置に異常音が発生していること又は前記対象装置に異常音が発生する可能性が高いことが、前記異常音判定部により判定されている場合に、前記対象装置に発生している音を録音する録音部と、を備えている。
本開示の一態様に係る録音装置によれば、対象装置に異常音が発生している場合や異常音が発生する可能性が高い場合に、その対象装置に発生している音が録音される。そのため、録音装置における消費電力を低減することができる。
また、本開示の一態様に係る異常音分析システムは、本開示の録音装置により録音された音に基づいて対象装置に発生した異常音を分析するように構成されているため、異常音分析システムにおける消費電力を低減することができる。
【0064】
本開示の一態様では、前記異常音判定部は、前記対象装置に発生した音からその音が異常音である可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置に発生している音を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象装置に異常音が発生しているか否かを判定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置に発生している音に基づいて対象装置に異常音が発生しているか否かを判定する判定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示の一態様に係る録音装置及び異常音分析システムによれば、上記判定処理に学習済モデルを活用するため、当該判定処理を簡素化することができる。
【0065】
本開示の一態様では、前記異常音判定部は、前記対象装置に関する装置情報及び前記対象装置の周辺の環境に関する環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報から前記対象装置に異常音が発生する可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置の装置関連情報を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置の装置関連情報に基づいて対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する判定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示の一態様に係る録音装置及び異常音分析システムによれば、上記判定処理に学習済モデルを活用するため、当該判定処理を簡素化することができる。
【0066】
本開示の一態様に係る異常音分析システムは、上記態様のいずれかの録音装置と、前記録音部により録音された音に基づいて、前記対象装置に発生した異常音の発生原因及び当該異常音の発生への対策の少なくとも一方を含む異常音情報を特定する異常音特定装置と、を備えている。
本開示の一態様に係る異常音分析システムによれば、録音装置で録音された音に基づいて異常音情報を特定するため、対象装置に発生している音を異常音特定装置に常時送信する必要がない。
【0067】
本開示の一態様に係る異常音分析システムでは、前記録音部により録音された音に対応付けて、前記対象装置に関する装置情報及び前記対象装置の周辺の環境に関する環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報を取得する情報取得部を備え、前記異常音特定装置は、前記録音部により録音された音に加え、前記情報取得部により取得された前記装置関連情報に基づいて、前記異常音情報を特定する。
本開示の一態様に係る異常音分析システムによれば、対象装置に発生した音に加え、対象装置の装置関連情報に基づいて、異常音情報を特定するため、異常音情報を精度よく特定することができる。
【0068】
本開示の一態様では、前記異常音判定部は、前記対象装置に発生している音に基づいて、前記対象装置に異常音が発生しているか否かを判定する。
本開示の一態様に係る録音装置及び異常音分析システムによれば、対象装置に発生している音に基づいて、その対象装置に異常音が発生しているか否かを判定するため、対象装置に異常音が発生しているか否かをより確実に判定することができる。
【0069】
本開示の一態様では、前記異常音判定部は、前記対象装置に関する装置情報及び前記対象装置の周辺の環境に関する環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報に基づいて、前記対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する。
ここで、対象装置の装置関連情報は、その対象装置に異常音が発生する可能性の高低に影響する。本開示の一態様に係る録音装置及び異常音分析システムによれば、対象装置の装置関連情報に基づいて、その対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定することができる。
【0070】
本開示の一態様に係る異常音判定装置は、対象装置に異常音が発生しているか否かを判定する装置であって、前記対象装置に発生した音からその音が異常音である可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置に発生している音を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象装置に異常音が発生しているか否かを判定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置に発生している音に基づいてその対象装置に異常音が発生しているか否かを判定する異常音判定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示によれば、上記異常音判定処理に学習済モデルを活用することにより、異常音判定装置を簡素化することができる。
【0071】
本開示の一態様に係る異常音判定装置は、対象装置のいずれの部位に異常音が発生しているかを判定する装置であって、前記対象装置に発生した音から当該対象装置の部位毎に当該部位で発生した異常音である可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置に発生している音を入力して、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、当該対象装置のいずれの部位に異常音が発生しているかを判定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置に発生している音に基づいて当該対象装置のいずれの部位に異常音が発生しているか否かを判定する判定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示によれば、上記判定処理に学習済モデルを活用することにより、異常音判定装置を簡素化することができる。
【0072】
本開示の一態様に係る異常音判定装置は、対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する異常音判定装置であって、前記対象装置に関連する装置情報及び前記対象装置の周辺の環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報から当該対象装置に異常音が発生する可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置の前記装置関連情報を入力して、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象装置に異常音が発生する可能性の高低を判定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置の装置関連情報に基づいて当該対象装置に異常音が発生する可能性の高低を容易に判定する判定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示によれば、上記判定処理に学習済モデルを活用することにより、異常音判定装置を簡素化することができる。
【0073】
本開示の一態様に係る異常音判定装置は、対象装置の部位毎に異常音が発生する可能性の高低を判定する装置であって、前記対象装置に関連する装置情報及び前記対象装置の周辺の環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報から当該対象装置の部位毎に当該部位で発生している異常音である可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置の前記装置関連情報を入力して、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象装置の部位毎に異常音が発生する可能性の高低を判定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置の装置関連情報に基づいてその対象装置の部位毎に異常音が発生する可能性の高低を容易に判定する判定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示によれば、上記判定処理に学習済モデルを活用することにより、異常音判定装置を簡素化することができる。
【0074】
本開示の一態様に係る異常音特定装置は、対象装置に発生した異常音の発生原因及び当該異常音の発生への対策の少なくとも一方を含む異常音情報を特定する装置であって、前記対象装置に発生した異常音から当該異常音の前記異常音情報を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置に発生した異常音を入力して、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、当該学習済モデルに入力された異常音の前記異常音情報を特定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置に発生した異常音に基づいてその異常音の異常音情報を特定する特定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示によれば、上記特定処理に学習済モデルを活用することにより、異常音特定装置を簡素化することができる。
【0075】
本開示の一態様に係る異常音特定装置では、対象装置に発生した異常音の発生原因及び当該異常音の発生への対策の少なくとも一方を含む異常音情報を特定する異常音特定装置であって、前記対象装置に発生した異常音と、当該異常音に対応する装置関連情報であって前記対象装置に関する装置情報及び前記対象装置の周辺の環境に関する環境情報の少なくとも一方を含む装置関連情報とから、当該異常音の前記異常音情報を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象装置に発生した異常音と当該異常音に対応する前記装置関連情報とを入力して、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、当該学習済モデルに入力された異常音の前記異常音情報を特定する。
ここで、様々な異常音に関し、対象装置に発生した異常音と当該異常音に対応する装置関連情報とに基づいて当該異常音の異常音情報を特定する特定処理のアルゴリズムをルールベースで作成すると、そのアルゴリズムは複雑なものになると考えられる。この点、本開示によれば、上記特定処理に学習済モデルを活用することにより、異常音特定装置を簡素化することができる。
【0076】
本開示の一態様では、前記対象装置は車両であり、前記異常音判定部は移動体通信機に設けられている。
本開示によれば、移動体通信機を録音装置2の異常音判定部として機能させることにより、録音装置、異常音判定装置及び異常音分析システムを簡素化することができる。この場合、移動体通信機を所持したドライバーが車両に乗り込むことにより、異常音判定部は当該車両に設けられる。
【0077】
本開示の一態様では、前記対象装置は車両であり、前記録音部は移動体通信機に設けられている。
本開示によれば、移動体通信機を録音装置2の録音部として機能させることにより、録音装置及び異常音分析システムを簡素化することができる。この場合、移動体通信機を所持したドライバーが車両に乗り込むことにより、録音部は当該車両に設けられる。
【0078】
本開示の一態様に係る異常音分析システムでは、前記録音装置は前記対象装置に設けられ、前記異常音特定装置は前記対象装置外に設けられている。
本開示の一態様に係る異常音分析システムによれば、異常音判定装置を対象装置外に設けることにより、対象装置を簡素化することができる。
【0079】
本開示の一態様に係る異常音分析システムでは、前記録音装置及び前記異常音特定装置は前記対象装置に設けられている。
本開示の一態様に係る異常音分析システムによれば、録音装置及び異常音特定装置を対象装置に設けることにより、異常音分析システムを簡素化することができる。
【0080】
本開示の一態様では、前記異常音判定部は、前記対象装置に発生している音の周波数に基づいて、前記対象装置に異常音が発生しているか否かを判定し、前記録音部は、前記対象装置に発生している音に所定周波数の音が含まれている場合に、前記対象装置に発生している音を録音する。
本開示によれば、対象装置に異常音が含まれているか否かを判定する判定処理を、簡素化することができる。
【0081】
本開示の一態様では、前記対象装置の異常音が発生している部位及び前記対象装置の異常音が発生する可能性が高い部位の少なくとも一方である特定部位を特定する部位特定部を備え、前記録音部は、前記対象装置の複数個所に配置される複数の前記集音部を有し、前記複数の前記集音部のうち前記部位特定部により特定された前記特定部位に対応する前記集音部で集音された音を録音する。
本開示の一態様に係る録音装置及び異常音分析システムによれば、特定部位に発生する異常音の集音に適した集音部で集音した音を録音することができる。
【0082】
本開示の一態様では、前記対象装置は車両であり、前記録音部は前記車両の発進に伴って起動される。
車両の異常音は車両の発進後に発生する可能性が高い。本開示の一態様によれば、車両の発進に伴って録音部を起動することにより、録音装置及び異常音分析システムによる消費電力を更に低減することができる。
【0083】
本開示の一態様では、前記対象装置は車両であり、前記異常音判定部は前記車両の発信に伴って起動される。
車両の異常音は車両の発進後に発生する可能性が高い。本開示によれば、車両の発進に伴って録音部を起動することにより、録音装置及び異常音分析システムによる消費電力を更に低減することができる。
【0084】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 異常音分析システム
2 録音装置
3 情報取得装置
4 異常音特定装置
100 車両
201 異常音判定部
202 録音部
301 情報取得部
310、411 装置関連情報
401 特定部
M1、M2 学習済モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10