(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050088
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】移載システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240403BHJP
B65G 47/90 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
B65G1/137 E
B65G47/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156697
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】上田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】味生 淳
【テーマコード(参考)】
3F072
3F522
【Fターム(参考)】
3F072AA06
3F072GA10
3F072GB06
3F072GG06
3F072KD03
3F522BB01
3F522CC01
3F522FF02
3F522FF11
3F522GG23
3F522GG48
3F522HH02
3F522HH16
3F522HH36
3F522JJ04
3F522LL21
3F522LL51
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】作業者が物品の移載作業をしているとき、ピッキング装置が誤って動き出すことを回避すること。
【解決手段】移載システム(101)は、移載位置に搬送された物品を保持して移載する移載部(12)と、移載位置に搬送された物品を作業者により移載する手作業移載時に、作業者へ移載情報を表示する移動式の表示部(51)と、表示部(51)の配置に基づいて移載部(12)の制御を行う制御部(15)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を移載位置に搬送する搬送部と、
前記移載位置に搬送された前記物品を保持して移載する移載部と、
前記移載位置に搬送された前記物品を作業者により移載する手作業移載時に、前記作業者へ移載情報を表示する移動式の表示部と、
前記表示部の配置に基づいて前記移載部の制御を行う制御部と、
を備える移載システム。
【請求項2】
前記表示部が特定配置となったことを検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記移載部の制御を行う請求項1に記載の移載システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記検知部によって前記特定配置を検知したことにより、前記移載部に対して特定制御を行う請求項2に記載の移載システム。
【請求項4】
前記表示部を支持しつつ前記表示部の配置を変更可能な支持部を備え、
前記制御部は、前記支持部による前記表示部の配置が特定配置となることにより、前記移載部に対して特定制御を行う請求項1に記載の移載システム。
【請求項5】
前記特定制御は、前記移載部の停止、又は前記移載部を予め定めた退避状態に変更したうえでの停止である請求項3又は4に記載の移載システム。
【請求項6】
前記特定制御は、前記移載部が前記物品を自動的に移載する自動運転モードにあるときに、前記自動運転モードの中断である請求項3又は4に記載の移載システム。
【請求項7】
前記特定制御は、前記移載部の、前記物品を自動的に移載する自動運転モードから、前記作業者による前記物品の手作業移載を許容する手動運転モードへの切替である請求項3又は4に記載の移載システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記特定制御を実行した後、前記表示部の配置が前記特定配置から外れた場合に、前記移載部を前記自動運転モードへ復帰させる請求項7に記載の移載システム。
【請求項9】
前記特定制御は、前記移載部の動作の開始である請求項3又は4に記載の移載システム。
【請求項10】
前記特定制御は、前記移載部が前記物品を自動的に移載する自動運転モードが中断しいているときに、前記自動運転モードの再開である請求項3又は4に記載の移載システム。
【請求項11】
前記特定制御は、前記作業者による前記物品の手作業移載を許容する手動運転モードから、前記移載部が前記物品を自動的に移載する自動運転モードへの切替である請求項3又は4に記載の移載システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記特定制御を実行した後、前記表示部の配置が前記特定配置から外れた場合に、前記移載部を前記手動運転モードへ復帰させる請求項11に記載の移載システム。
【請求項13】
前記特定配置は、前記移載部の移動可能領域内に前記表示部が配置されることである請求項3又は4に記載の移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流における物品の移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流倉庫等においては、多種多量の物品を効率よく出荷先別に出荷容器へ選別仕分けするために、ロボットアーム等のピッキング装置(移載部)を備える移載システムが用いられている。この種の移載システムに関し、特許文献1には、上記ピッキング装置により物品を移載する自動移載と、作業者により物品を移載する手作業移載と、を実行できる構成が開示されている。通常、手作業移載の場合、液晶パネル等の表示部に表示されるピッキング情報(移載情報)に基づき、作業者は移載作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動移載と手作業移載とを同じ移載システム内で行う場合、以下のような問題が生じる。例えば手作業移載時に、移載部が誤って運転を開始し、作業者の安全性を確保できない恐れがある。また、移載部の動きを邪魔しない位置、かつ、作業者が手作業移載をしながら目視できる位置に表示部を配置する必要があり、表示部の設置位置が制限される。
【0005】
本発明の一態様は、作業者の安全性を確保しつつ、表示部のレイアウトの自由度を向上させることができる移載システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る移載システムは、物品を移載位置に搬送する搬送部と、前記移載位置に搬送された前記物品を保持して移載する移載部と、前記移載位置に搬送された前記物品を作業者により移載する手作業移載時に、前記作業者へ移載情報を表示する移動式の表示部と、前記表示部の配置に基づいて前記移載部の制御を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、作業者の安全性を確保しつつ、表示部のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る移載システムの概要を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す移載システムの概要を示す平面図である。
【
図3】
図1に示す移載システムにおける自動移載を実行する際の表示部の設置位置を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す移載システムにおける手作業移載を実行する際の表示部の設置位置を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示す移載システムの制御ブロックである。
【
図6】本発明の実施形態2に係る移載システムにおける自動移載を実行する際の表示部の設置位置を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す移載システムにおける手作業移載を実行する際の表示部の設置位置を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す支持アームによる表示部の設置位置の変更を説明する概略構成図である。
【
図9】
図6に示す移載システムの制御ブロックである。
【
図10】本発明の実施形態3に係る移載システムにおける手作業移載を実行する際の表示部の設置位置を示す斜視図である。
【
図11】
図10に示す移載システムが備える表示部の移動機構を示す3面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
(移載システムの概要)
図1は、本実施形態に係る移載システム101の概要を示す斜視図である。
図2は、移載システム101の概要を示す平面図である。移載システム101は、物流倉庫等において物品2の移載を行うものである。
図1および
図2に示すように、本実施形態の移載システム101は、搬送部11、移載部12、カメラ部13、支持フレーム14、制御部15、端末部16、および表示部51を含む。
【0011】
なお、以下の説明では、搬送部11が物品2を搬送する方向をY方向(前後方向)と称し、平面視でY方向に対して直交する方向をX方向(左右方向)と称し、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向(上下方向)と称する場合がある。
【0012】
(搬送部)
搬送部11は、物品2を収容する第1容器17および第2容器18をY方向へ搬送するものである。具体的には、搬送部11は、上下二層構造になっており、Z方向下側に設けられた搬入用コンベア11a・11bと、Z方向上側に設けられた搬出用コンベア11c・11dと、を含む。搬入用コンベア11a・11bによって第1容器17および第2容器18がY方向前側にそれぞれ搬送される。また、搬出用コンベア11c・11dによって第1容器17および第2容器18がY方向後側にそれぞれ搬送される。
【0013】
さらに、搬送部11は、移動機構11eおよび筐体11fを含む。移動機構11eは、搬入用コンベア11aからの第1容器17を第1移載位置P1に順次移動させると共に、搬入用コンベア11bからの第2容器18を第2移載位置P2に順次移動させる。これにより、第1容器17と第2容器18とは、X方向に互いに隣接して配置される。また、移動機構11eは、第1移載位置P1に配置された第1容器17を搬出用コンベア11cに順次移動させると共に、第2移載位置P2に配置された第2容器18を搬出用コンベア11dに順次移動させる。筐体11fは、移動機構11eを収容する。
【0014】
(移載部)
移載部12は、搬送部11のY方向前端側(一端側)に設置され、第1移載位置P1に配置された第1容器17に収容された物品2を保持して、第2移載位置P2に配置された第2容器18へ移載するものである。移載部12は、搬送部11の移動機構11eおよび筐体11fのZ方向上側に、架台等(図示せず)によって設置される。
【0015】
移載部12は、物品2を保持するピッキングヘッド(保持部)12aと、ピッキングヘッド12aをZ方向へ昇降させると共に、平面視においてピッキングヘッド12aをX方向およびY方向の2方向へ移動させる駆動部12bとを含む。ピッキングヘッド12aは、例えば、物品2を吸着する1つ又は複数の吸着パッド等から構成される。ピッキングヘッド12aは、第1容器17に収容される物品2に対して上方から吸着し、物品2を吊った状態で保持する。
【0016】
駆動部12bは、固定レール12c、第1可動レール12d、第2可動レール12e、および支持アーム12fを含む。固定レール12cは、X方向に沿って設置される。第1可動レール12dは、Z方向に沿って設置され、固定レール12cに沿ってX方向に往復移動する。第2可動レール12eは、Y方向に沿って設置され、第1可動レール12dに沿ってZ方向に往復移動する。
【0017】
支持アーム12fは、Z方向に沿って設置され、第2可動レール12eに沿ってY方向に往復移動する。また、支持アーム12fは、Z方向下側にピッキングヘッド12aが取り付けられている。これにより、移載部12は、駆動部12bの動作を制御することにより、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させることができる。
【0018】
移載部12は、例えば6軸ロボット等の移載ユニットに比べて、構造がシンプルであり、多列のコンベヤレイアウトにも適応し易い。このため、移載部12を用いることにより、移載システム101のレイアウト設計の自由度が向上する。
【0019】
(カメラ部)
カメラ部13は、移載部12の上方に配置され、物品2を撮影して撮影画像を作成するものである。カメラ部13は、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bを含む。第1カメラ13aは、第1移載位置P1に配置された第1容器17を撮影することにより、第1容器17に収容された1又は複数の物品2を撮影する。第2カメラ13bは、第2移載位置P2に配置された第2容器18を撮影することにより、第2容器18に収容された1又は複数の物品2を撮影する。なお、カメラ部13は、ライト等を含んでいてもよく、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、各々ライト等により所定の照度で照らした状態で、物品2を撮影してもよい。
【0020】
(支持フレーム)
支持フレーム14は、カメラ部13を支持する枠体である。支持フレーム14は、平面視で移載部12に対しY方向と直交するX方向に隣接してそれぞれ設置される柱部材14a・14aおよび柱部材14b・14bと、柱部材14a・14a間に架設される梁部材14gと、柱部材14b・14b間に架設される梁部材14hとを含む。Y方向前側の梁部材14gの適所には、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bが設置される。なお、梁部材14g・梁部材14hは、それぞれ1本でもよいし、それぞれ2本以上でもよい。
【0021】
柱部材14aおよび柱部材14bは、Y方向に配列され、固定部材14e・14fにより、移載システム101の設置場所に固定される。桁部材14cおよび補強部材14dは、柱部材14a・14b間に架設される。
【0022】
なお、梁部材14g・14hは、桁部材14c上に設置されてもよいし、柱部材14a・14bに設置されてもよい。また、補強部材14dは、2本以上であってもよいし、省略してもよい。また、4本以上の柱部材を用いる場合、すなわち、上記のように、4本の柱部材14a・14aおよび柱部材14b・14bを用いる場合、およびこれ以上の本数の柱部材を用いる場合、梁部材14g・14hを省略してもよい。この場合、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、支持フレーム14の適所にそれぞれ設置すればよい。
【0023】
(制御部および端末部)
制御部15は、移載システム101における各部を制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。なお、制御部15の詳細は後述する。
【0024】
端末部16は、移載システム101に対する操作を作業者が行うためのものである。端末部16は、キーボード、タッチパネル、ジョイスティック等の入力部16aと、所定の情報を表示する表示部16bとを有している。これらの制御部15および端末部16は、移載システム101の制御機器の一例であり、後述の前ガード部24の外側であって、かつ作業エリア25に対し移載部12が設けられている側とは反対側(Y方向前側)に設置されている。
【0025】
具体的には、制御部15は、図示しない電気配線を各々介して搬送部11、移載部12、カメラ部13、端末部16、および表示部51に接続されている。制御部15は、搬送部11および移載部12から各々動作状態などの所定の情報を取得するとともに、搬送部11および移載部12への指示信号などの所定の指令信号を各々出力する。制御部15は、カメラ部13の第1カメラ13aおよび第2カメラ13bに対して、オン・オフ信号などの所定の指示信号を各々出力するとともに、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bから各々撮影データを取得する。制御部15は、端末部16から作業者Sの操作に応じた指示信号などを受信するとともに、搬送部11、移載部12、およびカメラ部13から取得した情報を端末部16に送信する。さらに、制御部15は、手作業移載時に作業者Sが作業エリア25において移載作業を行うために必要なピッキング情報を有線又は無線によって表示部51に送信する。表示部51の詳細については後述する。
【0026】
(ガード)
本実施形態の移載システム101では、移載部12は、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させる動作を行う。このため、
図1および
図2に示すように、移載部12の周囲には、安全性の観点から、作業者Sなどが移載部12と接触する可能性を大幅に低減するためのガードが設けられている。具体的には、本実施形態では、ガードとして、上記制御機器側からY方向後方に向かって、横ガード部21と、前ガード部24と、後ガード部41とが順次設けられている。
【0027】
(横ガード部)
図1および
図2に示すように、支持フレーム14の柱部材14aと柱部材14bとの間に、移載部12とそのX方向の外部とを仕切る横ガード部21が設けられている。横ガード部21は、透明板22と透明板22を保持する枠部材23とを含む。これにより、作業者Sを含む人がX方向から進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム101の安全性を向上することができる。
【0028】
さらに、支持フレーム14に横ガード部21が設けられているので、移載部12とそのX方向の外部とを仕切るガード部を、支持フレーム14のX方向外側に新たに設ける必要が無い。その結果、移載システム101の省スペース化を図ることができる。
【0029】
ところで、支持フレーム14は、移載部12に対し、X方向に隣接して設置されているから、移載部12のZ方向下側に位置する搬送部11の筐体11fとも隣接している。そこで、本実施形態では、支持フレーム14の下部の領域、すなわち、筐体11fと対向する領域では、横ガード部21が省略されている。これにより、横ガード部21を設ける領域を減らすことができる。一方、作業者Sが支持フレーム14の下部から進入して移載部12と接触することは、筐体11fによって防止できる。すなわち、支持フレーム14の下部の領域は、筐体11fが移載部12とそのX方向の外部との仕切となる。
【0030】
(前ガード部)
図1および
図2に示すように、移載システム101において、平面視で移載部12に対して搬送部11とは反対側に設定される作業エリア25と、その外部とを仕切るように前ガード部24が設けられている。前ガード部24は、支持フレーム14と接続されている。
【0031】
作業エリア25は、作業者Sが物品2を保持して移載する手作業移載を行うためのスペースである。つまり、本実施形態の移載システム101は、移載部12が物品2を保持して自動的に移載する自動移載(自動運転モード)と、作業者Sが作業エリア25内に入って物品2を保持して移載する手作業移載(手動運転モード)との両方を実行可能となっている。また、前ガード部24は、作業エリア25の周囲に作業エリア25に隣接して設けられている。
【0032】
具体的には、前ガード部24は、複数の固定式ガード部26と可動式ガード部27とを連結して含む。固定式ガード部26は、透明板31と透明板31を保持する枠部材32とを含む。枠部材32のZ方向下側の隅部は、固定部材26aにより、移載システム101の設置場所に固定される。また、Y方向後側の固定式ガード部26・26は、支持フレーム14のY方向前側にそれぞれ連結している。
【0033】
可動式ガード部27は、作業エリア25への作業者Sの出入口扉を構成するものであり、固定用枠部材33と、固定用枠部材33内に設けられる可動部材34とを含む。固定用枠部材33のZ方向下側の隅部は、固定部材33aにより、移載システム101の設置場所に固定される。可動部材34は、固定用枠部材33に対しヒンジ部材(図示せず)等を介して回動可能に設けられている。可動部材34は、透明板35と、透明板35を保持する枠部材36とを含む。
【0034】
以上により、作業者Sを含む人が作業エリア25に不用意に進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム101の安全性を向上することができる。また、前ガード部24が作業エリア25に隣接して設けられているので、前ガード部24を設けることによる移載システム101の設置空間の増大を抑制することができる。
【0035】
なお、移載システム101が自動移載のみ実行可能である場合、作業エリア25は、移載部12を監視者が監視するための監視エリアとして設定されてもよい。或いは、作業エリア25は省略されてもよい。このとき、前ガード部24は、移載部12のY方向前側に、移載部12と隣接して設ければよい。
【0036】
(後ガード部)
図1および
図2に示すように、移載システム101には、搬送部11のY方向前端に対し、X方向に隣接し、かつ、上記前端とそのX方向の外部とを仕切る後ガード部41・41が設けられている。後ガード部41は、透明板42と、透明板42を保持する枠部材43とを含む。後ガード部41・41のY方向前側は、支持フレーム14のY方向後側にそれぞれ連結(接続)している。また、枠部材43のZ方向下側の隅部は、固定部材43aにより、移載システム101の設置場所に固定される。さらに、後ガード部41・41の間には補強部材44・45が設けられている。
【0037】
これにより、作業者Sを含む人が搬送部11から進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム101の安全性を向上することができる。また、後ガード部41が搬送部11に隣接して設けられているので、後ガード部41を設けることによる移載システム101の設置空間の増大を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の前ガード部24、横ガード部21、および後ガード部41では、透明板22・31・35・42を実質的なガードとして設けている。これにより、本実施形態では、移載システム101の作業者Sは、監視者として移載システム101の外部から搬送部11および移載部12を監視することができる。なお、透明板22・31・35・42の代わりに、柵、網、その他の形状のガードを用いてもよい。
【0039】
(移載部および搬送部の動作)
上記構成の移載システム101において、制御部15は、まず、搬送部11の搬入用コンベア11a・11bに指示して、第1容器17および第2容器18をY方向後方からY方向前端に搬入し、これを継続する。また、制御部15は、搬送部11の搬出用コンベア11c・11dに指示して、第1容器17および第2容器18をY方向前端部からY方向後方に搬出し、これを継続する。
【0040】
次に、制御部15は、搬送部11の移動機構11eに対し、第1容器17および第2容器18の移動指示を行う。これにより、移動機構11eは、搬入された第1容器17および第2容器18を第1移載位置P1および第2移載位置P2にそれぞれ移動させる。次に、制御部15は、カメラ部13が撮影した第1容器17および第2容器18の撮影画像に基づき移載部12に移載指示を行う。これにより、移載部12は、第1移載位置P1の第1容器17に収容された物品2を保持して、第2移載位置P2の第2容器18に移載する。
【0041】
次に、制御部15は、搬送部11の移動機構11eに対し、第1容器17の移動指示を行う。これにより、移動機構11eは、第1移載位置P1の第1容器17を搬出用コンベア11cに移動させると共に、搬入された次の第1容器17を第1移載位置P1に移動させる。搬出用コンベア11cに移動された第1容器17は、Y方向後方に搬出される。
【0042】
制御部15が上記第1容器17の移動指示と上記移載指示とを繰り返すことにより、第2容器18に所要の物品2が収容される。そして、制御部15は、搬送部11の移動機構11eに対し、第1容器17および第2容器18の移動指示を行う。これにより、第1移載位置P1の第1容器17を搬出用コンベア11cに移動させると共に、第2移載位置P2の第2容器18を搬出用コンベア11dに移動させる。搬出用コンベア11cに移動された第1容器17と、搬出用コンベア11dに移動された第2容器18とは、Y方向後方に搬出される。
【0043】
(表示部)
図3は、
図1に示す移載システム101における自動移載を実行する際の表示部51の設置位置を示す斜視図である。
図4は、
図1に示す移載システム101における手作業移載を実行する際の表示部51の設置位置を示す斜視図である。
【0044】
表示部51は、例えば液晶パネルからなり、手作業移載時のピッキング情報を表示する。表示部51は、前ガード部24のアルミフレーム24aに着脱自在に構成されており、予め設定された位置(手作業移載を行うときに表示部51を載置する位置)に設置されて使用される。例えば自動移載時には、
図3に示すように、表示部51は、移載部12のピッキングヘッド12aによる移載動作の邪魔にならないように、作業者Sの左側の前ガード部24のアルミフレーム24aに設置される。一方、手作業移載時には、
図4に示すように、表示部51は、手作業移載位置を行うときに表示部51を載置する位置、すなわち作業者Sの正面の移載部12の支持アーム12f上に設けられた設置部53に設置される。なお、手作業移載時における表示部51の設置位置は、移載部12の支持アーム12f上に限定されず、作業者Sが手作業移載する際にピッキング情報を目視し易い位置であればよい。
【0045】
前ガード部24のアルミフレーム24aには、
図4に示すように、表示部51がアルミフレーム24aの設置位置(装着位置)から取り外されたか否かを検知する第1検知部52が設けられている。第1検知部52としては、例えば、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置されている状態では、常に信号を制御部15に送信し続け、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態では、信号を制御部15に送信しない構造のセンサを用いてもよい。この場合、制御部15は、第1検知部52からの信号を受信している間は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置されている状態であると判断し、第1検知部52からの信号が途絶えれば、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外されたと判断する。なお、第1検知部52としては、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置されている状態では、制御部15に信号を送信しないで、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態では、制御部15に信号を送信し続ける構造のセンサを用いてもよい。この場合、制御部15は、第1検知部52からの信号を受信したとき、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外されたと判断する。
【0046】
また、設置部53には、
図3に示すように、表示部51が設置部53内の所定の位置(手作業移載位置)に設置されたか否かを検知する第2検知部54が設けられている。ここで、設置部53の手作業移載位置は、表示部51に表示されるピッキング情報を目視し易く、かつ、表示部51が設置された状態で安定する位置である。
【0047】
第2検知部54としては、例えば、表示部51が設置部53の手作業移載位置に設置されている状態では、常に信号を制御部15に送信し続け、表示部51が設置部53から取り外された状態では、信号を制御部15に送信しない構造のセンサを用いる。この場合、制御部15は、第2検知部54からの信号を受信している間は、表示部51が設置部53の手作業移載位置に設置されていると判断し、第2検知部54からの信号が途絶えれば、表示部51が設置部53から取り外されたと判断する。なお、第2検知部54としては、表示部51が設置部53の手作業移載位置に設置されている状態では、制御部15に信号を送信しないで、表示部51が設置部53から取り外された状態では、制御部15に信号を送信し続ける構造のセンサを用いてもよい。この場合、制御部15は、第2検知部54からの信号を受信したとき、表示部51が設置部53から取り外されたと判断する。
【0048】
なお、第1検知部52は、上述した構成のセンサに限定されるものではなく、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外されたか否かを検知できるセンサであればよい。同様に、第2検知部54についても、上述した構成のセンサに限定されるものではなく、表示部51が設置部53の手作業移載位置から取り外されたか否かを検知できるセンサであればよい。
【0049】
表示部51には、制御部15から送信されるピッキング情報が表示される。作業者Sは、表示部51に表示されるピッキング情報を見ながら手作業移載を行う。ここで、制御部15からの表示部51へのピッキング情報の送信は、基本的に無線で行う。従って、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外されたタイミングで、制御部15からのピッキング情報が表示部51に送信される。具体的には、第1検知部52によって表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外されたと検知されたタイミングで、制御部15からのピッキング情報が表示部51に送信される。この場合、表示部51がアルミフレーム24aに装着されている状態では、制御部15は、基本的にピッキング情報を表示部51に送信しないが、送信してもよい。表示部51がアルミフレーム24aに装着されている状態で、制御部15から表示部51へのピッキング情報の送信は、無線でなく、有線であってもよい。例えば、アルミフレーム24aに制御部15からの配線が引き込まれ、アルミフレーム24aの装着位置に設置された状態のとき表示部51が配線に接続できるようにすれば、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置されている状態で、制御部15から表示部51にピッキング情報の送信することができる。
【0050】
また、制御部15から表示部51へのピッキング情報の送信開始および停止は、例えば第2検知部54の検知結果に基づいて行ってもよい。この場合、第2検知部54によって、表示部51が設置部53に設置された状態であると検知されたとき、制御部15は、表示部51へのピッキング情報の送信を開始する。一方、第2検知部54によって、表示部51が設置部53から取り外された状態であると検知されたとき、制御部15は、表示部51へのピッキング情報の送信を停止する。また、制御部15から表示部51へのピッキング情報の送信開始および停止は、作業者Sが端末部16を操作することで行ってもよい。
【0051】
(手作業移載)
手作業移載を行う場合、作業者Sは、作業エリア25(
図1)に入り、アルミフレーム24aの装着位置に設置された状態(
図3)の表示部51の両サイドに設けられた把手51a・51aを掴んで、アルミフレーム24aに装着された状態から取り外す。次に、表示部51に表示されるピッキング情報が目視し易いように、移載部12の支持アーム12f上に設けられた設置部53に表示部51を設置する(
図4)。ここで、表示部51は、設置部53の手作業移載位置に設置されることで、作業者Sの正面に表示画面が向くようになる。
【0052】
その後、作業者Sは、正面の表示部51に表示されるピッキング情報(移載情報)に基づき、移載作業を行う。ここで、手作業移載時に作業者Sが移載作業を行う作業領域は、自動移載時に移載部12が移動可能な移動可能領域Q内に含まれる。移動可能領域Qは、
図1および
図2に示すように、移載部12が移動する範囲であって、平面的な領域ではなく、Z方向の空間も含む立体的な領域となっている。従って、作業者Sが手作業移載を行っているときに、移載部12が誤って運転を開始すると、移動可能領域Q内で作業している作業者Sに対して、移載部12のピッキングヘッド12a等が当たる可能性があり、危険である。一方、移動可能領域Q内に表示部51があれば、移載部12のピッキングヘッド12a等の移動の邪魔になる。なお、移動可能領域Qには、アルミフレーム24aの装着位置に設置されている状態の表示部51は含まれない。従って、制御部15は、表示部51の位置に基づいて移載部12の制御を行うことで、手作業移載時に移載部12が誤って運転を開始しないようにする一方、自動移載時に表示部51が移載部12の移動を邪魔しないようにすることが可能となる。制御部15は、後述するように、例えば手作業移載時に作業者Sが表示部51を目視し易い位置に移動させた状態では移載部12が運転できないようにするなどの制御(インターロック制御)を行う。これにより、手作業移載時に移載部12が誤って運転を開始することを回避することができる。
【0053】
(移載制御)
図5は、移載システム101の制御ブロックである。制御部15は、上述した通り、搬送部11の搬入用コンベア11a・11b、搬送部11の搬出用コンベア11c・11d、移載部12、カメラ部13、表示部51を制御する。制御部15は、端末部16からの指示により移載部12による自動移載又は手作業移載を切替える。ここでは、制御部15は、端末部16から手作業移載の指示を受付けたときの移載制御について説明する。
【0054】
制御部15には、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外されたか否かを検知する第1検知部52と、表示部51が設置部53内で移載作業位置に設置されたか否かを検知する第2検知部54とが接続されている。制御部15は、第1検知部52による検知結果に基づいて、移載部12の制御を行う。ここで、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態をそれぞれ特定配置としたとき、制御部15は、第1検知部52によって、表示部51が特定配置なっていることを検知したことにより、移載部12に対して特定制御を行う。この場合、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態を特定配置とすれば、制御部15は、表示部51が特定配置になったときに、移載部12が運転できないようにする等の特定制御を行う。一方、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態を特定配置とすれば、制御部15は、表示部51が特定配置になったときに、移載部12が運転できるようにする等の特定制御を行う。
【0055】
具体的には、制御部15は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態(特定配置)であると第1検知部52が検知すれば、移載部12が運転できないようにするなどの制御(特定制御:例えばインターロック制御)を行う。また、制御部15は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態(特定配置)であると第1検知部52が検知すれば、手作業移載のピッキング情報を表示部51に送信する。制御部15による手作業移載のピッキング情報を表示部51に送信するタイミングは、上述のように、第1検知部52によって表示部51がアルミフレーム24aから取り外れた状態であると検知したタイミングの他に、表示部51が設置部53内で移載作業位置に設置された状態であると第2検知部54が検知したタイミングであってもよい。
【0056】
従って、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態を特定配置とした場合、制御部15は、移載部12に対して以下に示すような特定制御を行う。すなわち、特定制御は、例えば移載部12の停止、又は移載部12を予め定めた退避状態に変更したうえでの停止であってもよい。これにより、表示部51が特定配置になった場合、すなわち、表示部51がアルミフレーム24aから取り外された状態になった場合、移載部12を自動停止、又は予め定めた退避状態に変更したうえで移載部12を自動停止させることができる。
【0057】
また、特定制御は、例えば自動移載にあるとき、すなわち移載部12が物品2を自動的に移載する自動運転モードにあるときに、自動運転モードの中断であってもよい。これにより、表示部51が特定配置になった場合、すなわち、表示部51がアルミフレーム24aから取り外された状態になった場合、移載部12の自動運転モードを中断し、移載部12を自動で停止させることができる。
【0058】
さらに、特定制御は、例えば自動移載にあるとき、すなわち移載部12が物品2を自動的に移載する自動運転モードから、作業者Sによる物品2の手作業移載を許容する手動運転モードへの切替であってもよい。これにより、表示部51が特定配置になった場合、すなわち、表示部51がアルミフレーム24aから外れた状態になった場合、移載部12のモードを自動運転モードから手動運転モードへ自動で切り替えることができる。
【0059】
制御部15は、上述した特定制御を実行した後、表示部51の配置が特定配置から外れた場合に、移載部12を自動運転モードへ復帰させてもよい。これにより、表示部51が特定配置から外れた場合に、移載部12のモードを手動運転モードから自動運転モードへ自動で復帰させることができる。
【0060】
なお、上述した各特定制御を移載部12に実行させる場合、表示部51の特定配置は、移載部12の移動可能領域Q内であってもよい。
【0061】
一方、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に装着された状態を特定配置とすれば、この場合の特定配置には移動可能領域Qは含まれない。従って、制御部15は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態(特定配置)であると第1検知部52が検知すれば、移動可能領域Q内に表示部51が配置されていないため、移載部12が運転できるようにするなどの制御(特定制御)を行う。例えば特定制御は、例えば移載部12の動作の開始であってもよい。これにより、表示部51が特定配置になった場合、すなわち、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態になった場合、移載部12の動作を開始できるので、表示部51に邪魔されずに自動移載を実行できる。つまり、表示部51が特定配置になったということは、表示部51が移載部12の移動可能領域Q外に配置されていることを示すので、特に移載部12のピッキングヘッド12aを表示部51に邪魔されずに動かすことができる。
【0062】
また、特定制御は、移載部12が物品2を自動的に移載する自動運転モードが中断しいているときに、自動運転モードの再開であってもよい。これにより、表示部51が特定配置になった場合、すなわち、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態になった場合、一時的に停止していた自動運転モードを再開し、表示部51に邪魔されずに移載部12を自動で運転させることができる。
【0063】
さらに、特定制御は、作業者Sによる物品2の手作業移載を許容する手動運転モードから、移載部12が物品2を自動的に移載する自動運転モードへの切替であってもよい。これにより、表示部51が特定配置になった場合、すなわち、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態になった場合、移載部12のモードを手動運転モードから自動運転モードへ自動で切り替えることができる。つまり、端末部16を操作して運転モードを切替える必要がなくなる。
【0064】
制御部15は、上述した特定制御を実行した後、表示部51の配置が特定配置から外れた場合に、移載部12を手動運転モードへ復帰させもよい。これにより、表示部51が特定配置から外れた場合、すなわち、表示部51がアルミフレーム24aの設置位置から外れた場合、移載部12のモードを自動運転モードから手動運転モードへ自動で復帰させることができる。この場合も、端末部16を操作して運転モードを切替える必要がなくなる。
【0065】
本実施形態では、表示部51をタブレット端末のように使用することで、作業者Sが目視し易い位置に自由に配置することが可能となる。これにより、作業者Sの安全性を確保しつつ、表示部51のレイアウトの自由度を向上させることができるという効果を奏する。
【0066】
なお、本実施形態では、手作業移載時に、移載部12の支持アーム12f上に設けられた設置部53に表示部51をアルミフレーム24aから取り外して、作業者Sの正面に設置する例について説明したが、以下の実施形態では、手作業移載時に、伸縮自在な支持アームを用いてアルミフレーム24aから取り外さずに、表示部51を作業者Sの正面に設置する例について説明する。
【0067】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0068】
(表示部)
図6は、本実施形態に係る移載システム102における自動移載を実行する際の表示部51の設置位置を示す斜視図である。
図7は、移載システム102における手作業移載を実行する際の表示部51の設置位置を示す斜視図である。
図8は、支持アーム61による表示部51の配置位置の変更を説明する概略構成図である。
【0069】
表示部51は、
図6に示す自動移載を実行する際に配置された状態から、
図7に示す手動移載を実行する際に配置された状態に遷移するように、支持アーム61によって支持されている。
【0070】
支持アーム61は、アルミフレーム24aに対して直交する方向に伸縮するように、2つの支持棒(第1支持棒61a、第2支持棒61b)で構成されている。第1支持棒61aは、一端がアルミフレーム24aに回転自在に支持され、他端が回転軸61cを介して第2支持棒61bに接続されている。第2支持棒61bは、一端が回転軸61cを介して第1支持棒61aに接続され、他端が表示部51に固定されている。また、第1支持棒61aは、アルミフレーム24aの所定の高さの位置に固定された支持部62によって、回転自在に軸支されている。
【0071】
アルミフレーム24aに固定された支持部62によって回転自在に軸支された支持アーム61に取付けられた表示部51は、作業者Sが手に持って、
図8の符号1081に示す支持アーム61が収縮した状態、すなわち表示部51の待機位置から、
図8の符号1082に示す支持アーム61が伸張した状態、すなわち表示部51の手作業移載位置に移動させる。この状態は、作業者Sは、表示部51に表示されたピッキング情報を目視し易い状態であり、手作業移載時の表示部51が適正な位置に配置された状態といえる。従って、支持アーム61は、表示部51を支持しつつ表示部51の配置を変更可能な支持部である。
【0072】
(移載制御)
図9は、移載システム102の制御ブロックである。
図9に示す制御ブロックは、
図5に示す移載システム101の制御ブロックとほぼ同じであり、異なるのは第1検知部52、第2検知部54の代わりに、第3検知部55が接続されている点である。
【0073】
第3検知部55は、第1支持棒61aと第2支持棒61bとが成す角度θを検知する検知部であり、例えば回転角センサである。回転角センサは、回転軸61c内に設けられ、第1支持棒61aと第2支持棒61bとが成す角度を検知する。例えば、
図8の符号1081に示すように、表示部51が待機位置のときの第1支持棒61aと第2支持棒61bとが成す角度をθ1としたとき、制御部15は、回転角センサによって検知された角度がθ1を超えた場合、表示部51は待機位置から移動していると判断する。一方、制御部15は、回転角センサによって検知された角度がθ1以下である場合、表示部51は待機位置にいると判断する。ここで、表示部51が待機位置から移動している状態、表示部51が待機位置にいる状態をそれぞれ特定配置としたとき、制御部15は、第3検知部55によって、支持アーム61による表示部51の配置が特定配置となったと検知されれば、移載部12に対して特定制御を行う。これにより、表示部51が特定配置になった場合に、特定制御に応じた動作を移載部12に実行させることができる。具体的には、制御部15は、表示部51が待機位置から移動した状態になったときに、移載部12が運転できないようにする等の特定制御を行う。一方、制御部15は、表示部51が待機位置にいる状態になったときに、移載部12が運転できるようにする等の特定制御を行う。
【0074】
この場合の特定制御は、前記実施形態1で説明した特定制御、すなわち、移載部12が運転できないようにする等の特定制御は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態を特定配置とした場合と同じ特定制御を行い、移載部12が運転できるようにする等の特定制御は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態を特定配置とした場合と同じ特定制御を行う。
【0075】
ここで、
図8の符号1082に示すように、回転角センサによって検知された角度がθ2となったとき、表示部51は手作業移載位置とする。この場合、制御部15から表示部51へのピッキング情報の送信開始および停止は、以下のように行われる。まず、制御部15は、回転角センサによって検知された角度がθ1を超えた場合に、表示部51へのピッキング情報の送信を開始する。そして、制御部15は、回転角センサによって検知された角度がθ2になった状態において表示部51へのピッキング情報の送信をしつづける。その後、制御部15は、回転角センサによって検知された角度がθ1になれば待機位置にいると判断する。なお、制御部15は、回転角センサによって検知された角度がθ2よりも小さくなったことが検知されると、制御部15は、表示部51へのピッキング情報の送信を停止する。
【0076】
なお、第3検知部55は、上述したように、支持アーム61を構成する第1支持棒61aと第2支持棒61bとが成す角度を検知する回転角センサを用いた例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、支持アーム61の伸縮による表示部51の姿勢を特定することで、表示部51が特定配置に配置されているか否かを判断するようにしてもよい。表示部51の姿勢を把握する方法としては、カメラで表示部51の姿勢を撮影し、所望する姿勢であるか否かを判断することで、表示部51が特定配置に配置されているか否かを判断する方法等がある。例えば、カメラによって、
図8の符号1081に示す表示部51と支持アーム61との状態(待機状態)を撮影して、この撮影データを基本姿勢とし、この基本姿勢と、次にカメラによって撮影した撮影データの姿勢とを比較することで、表示部51が待機位置から移動しているか否か、すなわち特定配置に配置されているか否かを判断する。
【0077】
また、本実施形態では、支持アーム61をアルミフレーム24aに取付けた例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、表示部51の待機位置が移動可能範囲Qの外であり、手作業移載時に、作業者Sが目視し易い位置に来るように表示部51を移動させることができる位置に支持アーム61を取付ければよい。
【0078】
なお、前記実施形態1,2では、手作業移載時に、表示部51を作業者Sの正面又は正面近くに配置する例について説明したが、以下の実施形態では、手作業移載時に、表示部51を作業者Sの正面ではなく側面の上下の所定位置に配置する例について説明する。
【0079】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0080】
(表示部)
図10は、本実施形態に係る移載システム103における手作業移載を実行する際の表示部51の設置位置を示す斜視図である。
図11は、表示部の移動機構を示す3面図である。
【0081】
表示部51は、
図10に示すように、支持フレーム14の柱部材14aと、柱部材14aに並行に設けられた前ガード部24のアルミフレーム24aとによって上下方向に移動可能に設けられている。つまり、表示部51は、アルミフレーム24aに沿って上下方向に移動可能な移動式の表示部である。具体的には、表示部51は、固定式ガード部26に接続された前ガード部24のアルミフレーム24aに可動可能に設けられた可動式取付板73に取付けられている。可動式取付板73は、アルミフレーム24a側に突起付反転ブラケット72が設けられ、柱部材14a側にガイド部76が設けられている。突起付反転ブラケット72は、アルミフレーム24aを両側から挟み込むように突起部72aが設けられている。突起部72aは、アルミフレーム24aに沿って設けられている。これら突起部72aにより可動式取付板73はアルミフレーム24a上で上下移動可能に支持される。一方、ガイド部76は、柱部材14aに上下方向に形成されている溝(図示せず)に沿って上下方向に移動するように設けられている。従って、可動式取付板73は、アルミフレーム24aおよび柱部材14aに沿って上下方向に移動可能なので、可動式取付板73に取付けられた表示部51も上下方向に移動可能になる。これら可動式取付板73、突起付反転ブラケット72およびガイド部76は、配置変更可能に表示部51を支持する支持部を構成している。
【0082】
可動式取付板73には、さらに、アルミフレーム24aに沿って可動式取付板73から下方に突出するように形成された板状部材77が取付けられている。板状部材77の下端には、フリースライドロック74が設けられている。フリースライドロック74は、アルミフレーム24aの任意の位置で固定できる構造となっている。このフリースライドロック74を用いることで、可動式取付板73をアルミフレーム24aの任意の位置に固定することができる。つまり、フリースライドロック74を用いることで、可動式取付板73に取付けられた表示部51をアルミフレーム24aの任意の位置で固定することができる。
【0083】
アルミフレーム24aの上端および下端には、ストッパー75がそれぞれ設けられている。ストッパー75は、可動式取付板73に取付けられた板状部材77の上端および下端(フリースライドロック74)に当接する構造である。これにより、表示部51がアルミフレーム24aに沿って上方および下方に行き過ぎないようにしている。
【0084】
(移載制御)
図12は、移載システム103の制御ブロックである。
図12に示す制御ブロックは、
図9に示す移載システム102の制御ブロックとほぼ同じであり、異なるのは第3検知部55の代わりに、第4検知部56が接続されている点である。
【0085】
第4検知部56は、アルミフレーム24a上で表示部51が予め設定した設定位置に停止されているか否かを検知する検知部である。ここで、設定位置は、手作業移載時に、作業者Sが左を向いて目視し易い高さに表示部51が設置される位置とする。なお、設定位置は、1箇所だけでなく、作業者Sの身長などに応じて若干上下に移動させた所定の範囲内の位置とする。従って、第4検知部56は、設定位置として設定した所定の範囲内の位置に表示部51が停止されていれば、表示部51が設定位置に停止されていると検知する。
【0086】
表示部51が設定位置に停止されている状態、表示部51が設定位置に停止されていない状態をそれぞれ特定配置としたとき、制御部15は、第4検知部56によって、表示部51が特定配置なっていることが検知されれば、移載部12に対して特定制御を行う。具体的には、制御部15は、表示部51が設定位置に停止されている状態になったときに、移載部12が運転できないようにする等の特定制御(インターロック制御等)を行う。一方、制御部15は、表示部51が設定位置に停止されていない状態になったときに、移載部12が運転できるようにする等の特定制御を行う。
【0087】
この場合の特定制御は、前記実施形態1で説明した特定制御、すなわち、移載部12が運転できないようにする等の特定制御は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置から取り外された状態を特定配置とした場合と同じ特定制御を行い、移載部12が運転できるようにする等の特定制御は、表示部51がアルミフレーム24aの装着位置に設置された状態を特定配置とした場合と同じ特定制御を行う。
【0088】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係る移載システムは、物品を移載位置に搬送する搬送部と、前記移載位置に搬送された前記物品を保持して移載する移載部と、前記移載位置に搬送された前記物品を作業者により移載する手作業移載時に、前記作業者へ移載情報を表示する移動式の表示部と、前記表示部の配置に基づいて前記移載部の制御を行う制御部と、を備える。
【0089】
上記の構成によると、移動式の表示部の配置に基づいて移載部の運転が制御されるため、例えば手作業移載時に作業者が表示部を目視し易い位置に移動させた状態では移載部が運転できないようにするなどの制御(インターロック制御)が可能となる。これにより、手作業移載時に移載部が誤って運転を開始することを回避することができる。従って、前記構成によれば、作業者の安全性を確保しつつ、表示部のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0090】
本発明の態様2に係る移載システムは、上記態様1において、前記表示部が特定配置となったことを検知する検知部を備え、前記制御部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記移載部の制御を行ってもよい。これにより、表示部が特定配置になっているか否かの検知結果に基づいて、移載部を制御することができる。
【0091】
本発明の態様3に係る移載システムは、上記態様2において、前記制御部は、前記検知部によって前記特定配置を検知したことにより、前記移載部に対して特定制御を行ってもよい。これにより、表示部が特定配置になった場合に、特定制御に応じた動作を移載部に実行させることができる。
【0092】
本発明の態様4に係る移載システムは、上記態様1~3において、前記表示部を支持しつつ前記表示部の配置を変更可能な支持部を備え、前記制御部は、前記支持部による前記表示部の配置が特定配置となることにより、前記移載部に対して特定制御をおこなってもよい。これにより、表示部が特定配置になった場合に、特定制御に応じた動作を移載部に実行させることができる。
【0093】
本発明の態様5に係る移載システムは、上記態様3・4において、前記特定制御は、前記移載部の停止、又は前記移載部を予め定めた退避状態に変更したうえでの停止であってもよい。これにより、表示部が特定配置になった場合に、移載部を自動停止、又は予め定めた退避状態に変更したうえで移載部を自動停止させることができる。
【0094】
本発明の態様6に係る移載システムは、上記態様3・4において、前記特定制御は、前記移載部が前記物品を自動的に移載する自動運転モードにあるときに、前記自動運転モードの中断である請求項3又は4に記載の移載システム。
【0095】
本発明の態様7に係る移載システムは、上記態様3・4において、前記特定制御は、前記移載部の、前記物品を自動的に移載する自動運転モードから、前記作業者による前記物品の手作業移載を許容する手動運転モードへの切替であってもよい。これにより、表示部が特定配置になった場合に、移載部のモードを自動運転モードから手動運転モードへ自動で切り替えることができる。
【0096】
本発明の態様8に係る移載システムは、上記態様6・7において、前記制御部は、前記特定制御を実行した後、前記表示部の配置が前記特定配置から外れた場合に、前記移載部を前記自動運転モードへ復帰させてもよい。これにより、表示部が特定配置から外れた場合に、移載部のモードを手動運転モードから自動運転モードへ自動で復帰させることができる。
【0097】
本発明の態様9に係る移載システムは、上記態様3・4において、前記特定制御は、前記移載部の動作の開始であってもよい。これにより、表示部が特定配置になった場合に、移載部の動作を開始できるので、自動移載を実行できる。
【0098】
本発明の態様10に係る移載システムは、上記態様3・4において、前記特定制御は、前記移載部が前記物品を自動的に移載する自動運転モードが中断しいているときに、前記自動運転モードの再開であってもよい。これにより、表示部が特定配置になった場合に、手動運転モードから、一時的に停止していた自動運転モードを再開し、移載部を自動で運転させることができる。
【0099】
本発明の態様11に係る移載システムは、上記態様3・4において、前記特定制御は、前記作業者による前記物品の手作業移載を許容する手動運転モードから、前記移載部が前記物品を自動的に移載する自動運転モードへの切替であってもよい。これにより、表示部が特定配置になった場合に、移載部のモードを手動運転モードから自動運転モードへ自動で切り替えることができる。
【0100】
本発明の態様12に係る移載システムは、上記態様11において、前記制御部は、前記特定制御を実行した後、前記表示部の配置が前記特定配置から外れた場合に、前記移載部を前記手動運転モードへ復帰させてもよい。これにより、表示部51が特定配置から外れた場合に、移載部12のモードを自動運転モードから手動運転モードへ自動で復帰させることができる。
【0101】
本発明の態様12に係る移載システムは、上記態様2~12において、前記特定配置は、前記移載部の移動可能領域内に前記表示部が配置されていてもよい。これにより、移動可能領域内に表示部が配置された場合に、特定制御に応じた動作を移載部に実行させることができる。
【0102】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
2 物品
11 搬送部
11a・11b 搬入用コンベア
11c・11d 搬出用コンベア
11e 移動機構
11f 筐体
12 移載部
12a ピッキングヘッド(保持部)
12b 駆動部
12c 固定レール
12d 第1可動レール
12e 第2可動レール
12f 支持アーム
13 カメラ部
13a 第1カメラ
13b 第2カメラ
14 支持フレーム
14a 柱部材
14b 柱部材
14c 桁部材
14d 補強部材
14e 固定部材
14f 固定部材
14g 梁部材
14h 梁部材
15 制御部
16 端末部
16a 入力部
16b 表示部
17 第1容器
18 第2容器
21 横ガード部
22 透明板
23 枠部材
24 前ガード部
24a アルミフレーム
25 作業エリア
26 固定式ガード部
26a 固定部材
27 可動式ガード部
31 透明板
32 枠部材
33 固定用枠部材
33a 固定部材
34 可動部材
35 透明板
36 枠部材
41 後ガード部
42 透明板
43 枠部材
43a 固定部材
44・45 補強部材
51 表示部
51a把手
52 第1検知部
53 設置部
54 第2検知部
55 第3検知部
56 第4検知部
61 支持アーム
61a 第1支持棒
61b 第2支持棒
61c 回転軸
62 支持部
72 突起付反転ブラケット
72a 突起部
73 可動式取付板
74 フリースライドロック
75 ストッパー
76 ガイド部
77 板状部材
101 移載システム
102 移載システム
103 移載システム
P1 第1移載位置
P2 第2移載位置
Q 移動可能領域
S 作業者