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特開2024-50097情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050097
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240403BHJP
   G06Q 10/1057 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q10/10 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156718
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】517157927
【氏名又は名称】株式会社SmartHR
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】塚本 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】三上 拓也
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】育児に関する休業の申請又は要件判定を容易にする。
【解決手段】情報処理方法は、情報処理装置が、育児に関する休業の申請情報を取得すること、申請情報に含まれる取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報が育児・介護休業法で定められた各要件を満たすかを判定すること、各要件を満たさないと判定された場合、休業の申請を拒否する通知を行うこと、を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
育児に関する休業の申請情報を取得すること、
前記申請情報に含まれる取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報が育児・介護休業法で定められた各要件を満たすかを判定すること、
前記各要件を満たさないと判定された場合、前記休業の申請を拒否する通知を行うこと、
を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記判定することは、
前記育児に関する休業が出生時育児休業を含む場合、前記休業の申請者が父親であるか、及び/又は前記取得期間が出生日から第1所定期間内であるかを判定することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記判定することは、
前記休業が分割される場合、分割取得の期間の合計が第2所定期間内であるか、及び/又は分割取得の回数が所定値以下であるかを判定することを含む、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記判定をすることは、
前記育児に関する休業が出生時育児休業を含む場合、前記休業の申請者が母であるか、及び、前記育児の対象となる子が養子であるかを判定することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記判定することは、
前記申請情報が育児休業の延長申請に関する情報を含む場合、前記延長申請の申請情報に含まれる各情報が、延長申請の各要件を満たすかを判定することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記判定することは、
前記申請情報が育児休業に対する追加の所定期間を申請する情報を含む場合、配偶者の育児休業の取得状況に基づいて、当該休業の申請の際に取得された各情報が、前記追加の所定期間に関する各要件を満たすかを判定することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記判定することは、
前記配偶者の雇用保険被保険者番号又は基礎年金番号から前記育児休業の取得状況を特定することを含む、請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記休業の申請が拒否された場合、要件を満たさない申請情報の項目を特定すること、
前記項目が前記要件を満たす提案内容をユーザに対して出力すること、
をさらに実行する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
男性労働者の配偶者が所定期間に出産した数に対する、前記男性労働者が前記育児に関する休業を前記所定期間に取得した数の割合、又は、男性労働者の配偶者が所定期間に出産した数に対する、前記男性労働者が前記育児に関する休業を前記所定期間に取得した数及び小学校就学の始期に達するまでの子を養育する前記男性労働者が育児を目的とした休暇制度であって、前記育児に関する休業を除く前記休暇制度を利用した数の割合、を算出すること、
前記割合を出力すること、
をさらに実行する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置に、
育児に関する休業の申請情報を取得すること、
前記申請情報に含まれる取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報が育児・介護休業法で定められた各要件を満たすか否かを判定すること、
前記各要件を満たさないと判定された場合、前記休業の申請を拒否する通知を行うこと、
を実行させるプログラム。
【請求項11】
プロセッサを含む情報処理装置であって、
前記プロセッサが、
育児に関する休業の申請情報を取得すること、
前記申請情報に含まれる取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報が育児・介護休業法で定められた各要件を満たすか否かを判定すること、
前記各要件を満たさないと判定された場合、前記休業の申請を拒否する通知を行うこと、
を実行する情報処理装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等において休暇の管理を行う技術として、消滅期限が早い休暇から優先的に取得することが可能な技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-4301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、育児に関する休業(休暇)の申請については考慮されていない。この点、育児に関する休業については、法律で定められた複雑な各要件を満たす必要がある。育児休業の申請者が複雑な各要件を把握した状態で申請をするのは困難であり、また、育児休業に関する各要件を満たすか否かの判定を人手で行うのは煩雑な確認作業が強いられていた。
【0005】
そこで、開示技術は、育児に関する休業の申請又は要件判定を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の一態様における情報処理方法は、情報処理装置が、育児に関する休業の申請情報を取得すること、前記申請情報に含まれる取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報が育児・介護休業法で定められた各要件を満たすかを判定すること、前記各要件を満たさないと判定された場合、前記休業の申請を拒否する通知を行うこと、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
開示技術によれば、育児に関する休業の申請又は要件判定を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係るサーバの一例を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係るユーザ情報の一例を示す図である。
図4】一実施形態に係る申請情報の一例を示す図である。
図5】一実施形態に係る要件情報の一例を示す図である。
図6】一実施形態に係る処理装置の一例を示す図である。
図7】一実施形態に係る休業申請処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】一実施形態に係る給付金申請に関する処理の一例を示すフローチャートである。
図9】一実施形態に係る育児休業給付金申請の一覧画面の一例を示す図である。
図10】一実施形態に係る育児休業に関する申請フォーム画面の一例を示す図である。
図11】一実施形態に係る所定従業員の給付金申請画面の一例を示す図である。
図12】一実施形態に係る出生時育休に関する申請フォーム画面の一例を示す図である。
図13】一実施形態に係る案内機能の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
[実施形態]
<システム構成>
図1は、開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。図1に示すとおり、情報処理システム1は、サーバ10と、1又は複数のユーザの処理装置20A、20B、20Cを含む。以下、処理装置を個別に区別しない場合は、処理装置20と表記する。例えば、実施形態に係る情報処理システム1は、従業員による育児に関する休業の申請、休業に係る要件判定、又は指定機関への給付金の申請等を行うシステムを構成する。
【0011】
サーバ10と、処理装置20とは、ネットワークNを介して相互にデータの送受信が可能である。サーバ10は複数の処理装置により構成されてもよい。処理装置20は任意の数でもよい。処理装置20は、本件サービスの提供を受ける組織(例、企業)に属する各ユーザ(例、労働者、従業員等)が、業務において使用する情報処理装置であってもよい。
【0012】
情報処理システム1は、例えば育児・介護休業法で定められる各要件を記憶し、申請者の申請情報が育児に関する休業の各要件を満たすか否かを判定することにより、従業員による育児に関する休業の申請のサポートを行う。また、情報処理システム1は、出産手当金や育児休業給付金などの給付金の申請のサポートを行ってもよい。
【0013】
育児に関する休業は、例えば、令和4年10月1日より施行される育児・介護休業法で定められる出生時育児休業(産後パパ育休とも称される)及び育児休業などを含み、以降に法改正により規定される育児に関する休業を含めてもよい。なお、以下に表記される「休業」は、「休暇」に置き換えてもよい。
【0014】
これにより、情報処理システム1は、育児休業に関する申請情報が法律で定められる各要件を満たすか否かを判定するため、申請者は複雑な各要件を全て把握する必要がなく、また、給付金の申請の際に各要件を満たさない申請を減らすことができる。以下、本件サービスを実行可能にする情報処理システム1の各構成等について詳細に説明する。
【0015】
<サーバの構成>
図2は、開示の一実施形態に係るサーバ10の一例を示すブロック図である。サーバ10は、1つ又は複数のプロセッサ(例えばCPU)110、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース120、記憶装置(記憶部)130、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス170を含む。
【0016】
サーバ10は、場合によりユーザインタフェース150を含んでもよい。ユーザインタフェース150は、例えば、ディスプレイ、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)である。
【0017】
記憶装置130は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、記憶装置130は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、記憶装置130は、プログラム等を記憶した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、記憶装置130は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0018】
記憶装置130は、情報処理システム1により用いられるデータ、プログラム等を記憶する。例えば、記憶装置130は、システムを利用するユーザ情報(例えば図3)、育児休業申請情報(例えば図4)、育児休業の要件情報(例えば図5)などを記憶する。
【0019】
また、記憶装置130の他の例として、プロセッサ110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置でもよい。ある実施形態において、記憶装置130はプロセッサ110により実行されるプログラム、モジュール及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。
【0020】
(各データの例)
ここで、記憶装置130に格納される各データの例について図3乃至図5を用いて説明する。図3は、一実施形態に係るユーザ情報の一例を示す図である。図4は、一実施形態に係る申請情報の一例を示す図である。図5は、一実施形態に係る要件情報の一例を示す図である。
【0021】
図3に示すユーザ情報は、従業員に関する各情報を含む。例えば、ユーザ情報は、識別情報(ID)に関連付けて、氏名、部署、基礎年金番号などの各情報を含む。IDは、組織内のユーザ(例えば従業員等)を識別する識別情報(ID)であり、社員番号などを含む。氏名は、ユーザの氏名を含む。部署は、ユーザが所属する部署名を含む。基礎年金番号は、ユーザの基礎年金番号を含む。基礎年金番号は、雇用保険被保険者番号でもよい。ユーザ情報は、その他、連絡先を示すメールアドレスや電話番号、配偶者の育休状況の情報などを含んでもよい。
【0022】
図4に示す申請情報は、識別情報(ID)に関連付けて、休業の種別、開始日、終了日、復帰予定日、休業の取得回数などの各情報を含む。IDは、例えばユーザを識別する識別情報であり、図3に示すIDと同じ情報である。種別は、育児に関する休業の種別を示し、例えば、出生時育児休業(略称:「出生時育休」)と、育児休業(略称:「育休」とも称す。)とを含む。開始日は、育児に関する休業の開始日を含む。終了日は、育児に関する休業の終了日を含む。復帰予定日は、育児に関する休業から復帰する日を含み、休業の申請時に必要な情報ではない。回数は、育児に関する休業の取得回数を含む。なお、回数は、種別ごとに分けて回数をカウントしてもよい。例えば、回数は、出生時育休2回、育休2回などを含んでもよい。さらに回数は、子供ごとに育休や出生時育休の回数をわけてカウントしてもよい。申請情報は、その他、出産日、給付金の振込口座情報、生まれた子供の情報、母子手帳の画像などを含んでもよい。
【0023】
図5に示す要件情報は、各項目に対して、出生時育児休業と、育児休業との要件を含む。項目「対象期間および取得可能日数」について、「出生時育児休業」は「子の出生後8週間以内の4週間まで取得可能」であり、「育児休業」は「原則子が1歳(最長で2歳)まで」である。「申出期限」について、「出生時育児休業」は「原則として休業の2週間前まで」であり、「育児休業」は「原則として1か月前まで」である。
【0024】
「分割取得の回数」について、「出生時育児休業」は「分割して2回(*初めにまとめて分割取得の旨を申し出ることが必要)」であり、「育児休業」は「分割して2回(*取得の際にそれぞれ申し出る流れ)」である。
【0025】
「休業中の就業」について、「出生時育児休業」は「労使協定を締結している場合に限り、 労働者が合意した範囲で休業中に就業できる」であり、「育児休業」は「原則就業不可」である。
【0026】
「1歳以降の延長」について、「出生時育児休業」は適用されず、「育児休業」は「育休開始日を柔軟に調整可能」である。「1歳以降の再取得」について、「出生時育児休業」は適用されず、「育児休業」は「特別な事情(*認可の保育施設の入所が決定しないなど)に限り再取得可能」である。
【0027】
また、図5に示す要件情報は、後述する育児に関する休業を申請する際の要件を含んでもよい。例えば、要件情報は、申請者に関する要件を含んでもよい。育児・介護休業法には、育児に関する休業を取得できない人の要件が規定されているため、以下の要件を要件情報に含めてもよい。
・労使協定の締結により、引き続き雇用された期間が1年未満は対象外としている場合は、正社員、契約社員、アルバイト・パート社員は取得できない。
・子が1歳6か月になるまでの間に契約が満了することが明らかな場合は、契約社員、アルバイト・パート社員は取得できない。
・出生時育休については子の出生後8週間となる日の翌日から6か月以内に契約が満了することが明らかな場合は、契約社員、アルバイト・パート社員は取得できない。
【0028】
申請者からの申請情報に含まれる各情報が、図5に示す要件情報に含まれる各要件を満たすか否かが、サーバ10のプロセッサ110により判定される。
【0029】
図2に戻り、プロセッサ110は、記憶装置130に記憶されるプログラムを実行することで、例えば、サービス制御部111、取得部112、判定部113、通知部114、特定部115、出力部116、算出部117を構成する。
【0030】
サービス制御部111は、実施形態に開示されるサービスを制御する。例えば、サービス制御部111は、各処理装置20からの育児に関する休業の申請情報を取得したり、育児・介護休業法に規定された要件の判定を行ったり、育児休業中の従業員への給付金の申請をしたり、育児休業に関する統計を求めたりする。また、サービス制御部111は、実施形態に開示されるサービスの実行を制御するために、取得部112、判定部113、通知部114、特定部115、出力部116、算出部117を有する。以下、サービス制御部111が提供可能な処理毎に説明する。
【0031】
(要件判定)
取得部112は、育児に関する休業の申請情報を取得する。例えば、取得部112は、組織(例えば企業)内の従業員の処理装置20から、ネットワーク通信インタフェース120を介して申請情報を取得する。申請情報は、従業員が処理装置20に入力したり、設定したりして生成され得る。
【0032】
例えば、申請情報は、育児に関する休業の取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報を含み、従業員を識別する識別情報、出産日、給付金を受け取る金融機関などの各情報を含んでもよい。取得期間は、休業の開始日及び終了日により指定されてもよく、取得時期は、休業の開始日又は終了日により特定されてもよい。育児に関する休業は、例えば、上述した出生時育児休業、育児休業を含む。
【0033】
申請情報を入力するユーザは、育児に関する休業を申請する従業員でもよいし、育児に関する休業を申請する従業員の上司、人事担当者などの責任者でもよい。例えば、従業員は、育児に関する休業の各要件を全て把握しているわけではなく、要件を満たさない設定をして休業を申請することもあり得る。
【0034】
判定部113は、取得部112により取得された申請情報に含まれる取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報が育児・介護休業法で定められた各要件を満たすか否かを判定する。例えば、判定部113は、所定の申請フォームの各項目に入力又は設定された各情報に対し、各項目に対応する要件を用いて、入力又は設定された各情報が要件を満たすか否かを判定する。
【0035】
具体例として、判定部113は、申請情報に含まれる取得期間に対し、図5に示す項目「対象期間および取得可能日数」を参照して要件を満たすか否かを判定する。判定部113は、申請情報に含まれる取得回数に対し、図5に示す項目「分割取得の回数」を参照して要件を満たすか否かを判定する。また、判定部113は、申請情報に含まれる取得時期に対して、図5に示す項目「対象期間および取得可能日数」を参照して要件を満たすか否かを判定する。なお、判定部113は、申請者に関する情報を取得し、上述した育児に関する休業を取得できない人の要件に該当するか否かを判定してもよい。
【0036】
通知部114は、判定部113により、申請情報が各要件を満たさないと判定された場合、育児に関する休業の申請を拒否する通知を行う。例えば、判定部113の判定結果が、申請情報が少なくとも1つの要件を満たさないことを示す場合、通知部114は、申請者に対して申請拒否を通知する。また、判定部113の判定結果が、申請情報が全ての要件を満たすことを示す場合、通知部114は、申請を許可する通知を申請者に対して行う。具体例として、通知部114は、申請情報を含むリクエストを送信した処理装置20に対して、判定結果を含むレスポンスを送信する。
【0037】
以上の処理により、サーバ10は、育児に関する休業の申請に対して、複雑な育児休業に関する各要件を満たすか否かを判定するため、申請者に対して育児に関する休業の申請をするユーザに対して申請処理を容易にし、又は申請の認否を判断するユーザに対して要件判定を容易にすることが可能になる。例えば、申請者は、申請フォームに沿って各項目に入力することで申請が可能になり、各要件を満たすか否かの判定結果の通知を受けることで、申請状況を適切に把握することが可能になる。
【0038】
また、判定部113は、育児に関する休業が出生時育児休業を含む場合、この休業の申請者が父であるか、及び/又は休業の取得期間が出生日から第1所定期間内であるかを判定することを含んでもよい。
【0039】
例えば、判定部113は、申請情報に含まれ得る休業種別を取得し、休業種別が出生時育児休業か育児休業かを特定する。休業種別が出生時育児休業の場合、申請者が父(男性)であるか否かを判定し、さらに、申請された取得時期が、子の出生後8週間以内であるか否かを判定し、申請された取得期間(分割されている場合は合計期間)が4週間以内であるか否かを判定する。
【0040】
以上の処理により、法改正により新設される出生時育児休業の要件を満たす申請情報であるか否かを判定することが可能であり、申請者は複雑な要件を全て把握する必要がなく、育児に関する休業の申請を行うことが可能になる。
【0041】
また、判定部113は、出生時育児休業が分割される場合、分割取得の期間の合計が第2所定期間内であるか、及び/又は分割取得の回数が所定値以下であるかを判定することを含んでもよい。
【0042】
例えば、判定部113は、申請情報に2つの取得期間が含まれる場合、又は複数の申請情報を取得した場合に、2つの取得期間の合計が4週間以内であるか否か、複数の申請情報を取得した場合に、分割取得の回数が2回以下であるか否かを判定する。
【0043】
以上の処理により、法改正により新設される出生時育児休業の要件を満たす申請情報であるか否かを判定すること、具体的には、分割取得の場合、合計4週間以内、回数が2回以下であるか否かを判定することにより、申請者は複雑な要件を全て把握する必要がなく、育児に関する休業の申請を行うことが可能になる。
【0044】
また、判定部113は、育児に関する休業が出生時育児休業を含む場合、この休業の申請者が母であるか、及び、育児の対象となる子が養子であるかを判定することを含んでもよい。出生時育児休業は、基本的に父親が取得できる休暇であるが、対象となる子が養子である場合、母親も取得することが可能である。
【0045】
例えば、申請情報に申請者の性別、対象となる子が養子であるか否かが含まれる場合、判定部113は、申請者の性別が女性(母親)、対象となる子が養子であれば、母親でも出生時育児休業の取得を許可する。また、生時育児休業の対象者に関する要件は、図5に示す要件情報に含まれてもよい。
【0046】
以上の処理により、法改正により新設される出生時育児休業の要件に関する情報をシステムに入力させることで、出生時育児休業の要件を満たす申請情報であるか否かを判定すること、具体的には、申請者が母親、及び対象となる子が養子であるか否かを判定することにより、申請者は特殊な要件を全て把握する必要がなく、育児に関する休業の申請を行うことが可能になる。
【0047】
また、判定部113は、申請情報が育児休業の延長申請に関する情報である場合、延長申請の申請情報に含まれる各情報が、延長申請の各要件を満たすか否かを判定することを含んでもよい。基本的に、育児休業は子の1歳の誕生日の前日まで取得可能であるが、以下の要件を満たす場合に、育児休業を延長又は再取得することが可能である。
・育児休業の対象の子どもが1歳になる誕生日の前日(再延長の場合は、1歳6カ月になる前日)までに、従業員本人又は配偶者が育児休業を取得している状態であること
・育児休業の対象の子どもが保育所に入所できない等、1歳を超えても休業が必要と認められる場合
【0048】
例えば、延長申請情報に保育所に入所できなかったことを示す証明書情報(画像等)や配偶者情報(例えば基礎年金番号)などが含まれる場合、判定部113は、延長申請情報に含まれる証明書情報、取得期間、配偶者情報に基づいて、延長を許可するか否かを判定する。なお、延長申請が許可された場合は、子が1歳6か月まで育児休業が延長され、状況が変わらなければ、申請者は再延長申請をすることで、子が2歳になるまで育児休業が延長され得る。
【0049】
以上の処理により、育児休業の延長申請をシステムに入力させることで、育児休業の延長申請が要件を満たすか否かを自動で判定することにより、申請者にとって延長申請が容易になり、システムにとって法定の要件に基づいて延長申請を許可するか否かを容易に判定することができるようになる。
【0050】
また、判定部113は、申請情報が育児休業に対する追加の所定期間(例、2か月)を申請する情報である場合、配偶者の育児休業の取得状況に基づいて、この休業の申請の際に取得された各情報が、追加の所定期間に関する各要件を満たすかを判定することを含んでもよい。
【0051】
ここで、パパママ育休プラスについて説明する。パパママ育休プラスは、両親がともに育児休業を取得する場合、原則子が1歳までの休業可能期間が、子が1歳2か月に達するまで(2か月分はパパ又はママのプラス分)に延長される(2ケ月追加される)制度である。具体的な要件は以下のとおりである。
・配偶者が、子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
・本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
・本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
・1人当たりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)以下であること
【0052】
例えば、パパママ育休プラスの申請情報に配偶者の育児休業の情報が含まれる場合、判定部113は、配偶者の育児休業の状況を取得し、申請情報が上述した要件を満たすか否かを判定する。
【0053】
以上の処理により、パパママ育休プラスの申請情報をシステムに入力させることで、パパママ育休プラスの申請情報が要件を満たすか否かを自動で判定することにより、申請者にとってパパママ育休プラスの延長申請が容易になり、システムにとって法定の要件に基づいて延長申請を許可するか否かを容易に判定することができるようになる。
【0054】
また、判定部113は、パパママ育休プラスの申請情報に配偶者の雇用保険被保険者番号又は基礎年金番号が含まれる場合、この雇用保険被保険者番号又は基礎年金番号から配偶者の育児休業の取得状況を特定することを含んでもよい。例えば、判定部113は、雇用保険被保険者番号又は基礎年金番号を用いて、社会保険を管理する他のデータベースから配偶者の育児休業の取得状況を取得してもよい。
【0055】
以上の処理により、雇用保険被保険者番号又は基礎年金番号を用いることで、配偶者の育児休業の取得状況を適切に把握することが可能になる。
【0056】
(UI処理)
特定部115は、育児に関する休業の申請が拒否された場合、要件を満たさない申請情報の項目を特定する。例えば、申請が拒否された場合、特定部115は、申請者の要件、取得時期又は取得期間の要件、分割回数の要件のうち、要件を満たさなかった少なくとも1つの項目を特定する。また、特定部115は、要件を満たさなかった項目の情報と要件情報とに基づいて、いずれの情報なら要件を満たすのかを特定してもよい。
【0057】
出力部116は、特定部115により特定された項目が要件を満たすように、この項目の提案内容をユーザに対して出力する。例えば、申請者が設定又は入力した情報と要件情報とに基づいて、いずれの情報なら要件を満たすのかが特定部115により特定され、この特定された情報が出力部116により出力され得る。具体例として、出力部116は、出生時育児休業の場合、開始日を起算日とし、分割取得を含む休業期間のトータルが4週間以内となるような終了可能日を示す情報を、ユーザインタフェースを利用して出力する。
【0058】
以上の処理により、要件を満たさない項目に対して、ユーザに適切な情報の入力を促すことで、申請が許可されやすくなり、不要なデータのやり取りを削減することができる。
【0059】
なお、上述した要件を満たすようなユーザインタフェースについては、ユーザが申請情報を入力又は設定する際に実装してもよい。例えば、サービス制御部111は、申請フォームを処理装置20に送る際に、処理装置20とインタラクティブな通信を行うことで、ユーザが取得開始日を設定すると、要件を満たす取得終了可能日を表示するようにしたり、分割回数も上限2回を超えて申請できないようにしたりすることが可能である。
【0060】
(統計処理)
算出部117は、男性従業委員が育児に関する休業を取得した数に関する割合を算出する。例えば、算出部117は、以下のいずれかの割合を算出する。
・男性労働者の配偶者が所定期間(例えば取得割合の公表前事業年度)に出産した数に対する、この男性労働者が育児に関する休業を所定期間に取得した数の割合
・男性労働者の配偶者が所定期間に出産した数に対する、この男性労働者が育児に関する休業を所定期間に取得した数及び小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者が育児を目的とした休暇制度であって、育児に関する休業を除く休暇制度を利用した数の割合
これにより、算出部117は、組織内の男性の育児休業の取得割合を求めることができる。
【0061】
出力部116は、算出部117により算出された取得割合を出力してもよい。例えば、出力部116は、組織のホームページなどに、この取得割合のウェブページのURLにアクセスするリンクを掲載してもよい。また、出力部116は、少なくとも年に1回は取得割合を出力してもよい。例えば、予め設定された時期になると、算出部117は、上述したいずれかの取得割合を算出し、出力部116は、算出された取得割合を出力してもよい。
【0062】
以上の処理により、組織における男性の育児休業の取得割合の統計を取り、この取得割合を出力することによって、男性の育児休業の取得割合を公開することが可能になる。
【0063】
(給付金申請処理)
サービス制御部111は、育児に関する休業の要件を満たす申請をリストとして記憶装置130に記憶して管理する。給付金は、出産育児一時金、出産手当金、育児休業給付金などがある。出産育児一時給付金は、父親又は母親に対して、申請すれば要件なしで必ず支給される。出産手当金は、母親のみ、組織の社会保険の被保険者であれば至急される。育児休業給付金は、父親又は/及び母親に対して、雇用保険に加入した受給資格があれば至急される。受給資格は以下のとおりである。
・育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上ある方
・当該完全月が12か月に満たない場合は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である完全月を含む
【0064】
上述した各要件は、例えば、給付金ごとに関連付けられた給付金要件情報として記憶装置130に記憶される。サービス制御部111は、給付金ごとに、定期的に申請情報をリスト化して、提出先に送信する。例えば、サービス制御部111は、出産育児一時金、及び出産手当金を申請する場合、組織が加入している健康保険組合に、対応する給付金用の申請情報のリストを提出する。また、サービス制御部111は、育児休業給付金を申請する場合、該当する自治体のハローワークに、育児休業給付金用の申請情報のリストを提出する。
【0065】
以上の処理により、煩雑な給付金の申請処理をシステムで行うことが可能になり、効率よく給付金の申請処理を実行することが可能になる。
【0066】
上述した休業申請処理と給付金申請処理とについて、それぞれの申請者は同じであってもよいし、異なってもよい。各申請者が同じである場合、組織内の人事担当者又は休業対象者の上司等が、それぞれの申請情報を設定したり入力したりしてもよい。各申請者が異なる場合、休業申請処理は、休業を申請する者が行い、給付金申請処理は、人事担当者又は休業対象者等が行ってもよい。
【0067】
<処理装置の構成>
図6は、開示の一実施形態に係る処理装置20の一例を示す図である。例えば、処理装置20は、組織の人事担当者等が利用する装置である。処理装置20は、1つ又は複数のプロセッサ(例、CPU)210、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース220、記憶装置(記憶部)230、ユーザインタフェース250、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス270を含む。
【0068】
ユーザインタフェース250は、ディスプレイ251、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)252を含む。
【0069】
記憶装置230は、例えば、DRAM、SRAM、又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、記憶装置230は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、記憶装置230は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、記憶装置230は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0070】
記憶装置230は、情報処理システム1により用いられるデータやプログラムを記憶する。例えば、記憶装置230は、情報処理システム1における処理装置20用のアプリケーションプログラムなどを記憶する。
【0071】
プロセッサ210は、記憶装置230に記憶されるプログラムを実行することで、サービス処理部211を構成する。サービス処理部211は、例えば、ウェブブラウザやメールアプリケーションなどを含む。ウェブブラウザは、サーバ10により提供されるウェブページの閲覧を可能にする。また、サービス処理部211は、インストールされたユーザ端末用のアプリケーションの実行により、本件サービスを受けることが可能になる。サービス処理部211は、サービス提供を受けるため、通信制御部212、表示制御部213、操作受付部214を有する。
【0072】
通信制御部212は、サーバ10から送信された育児に関する休業の申請フォーム画面、各要件の判定結果画面、申請情報の一覧画面、各要件を満たすための提案画面、給付金申請一覧画面などの各画面情報を取得する。また、通信制御部212は、サーバ10に対し、各画面を利用して選択、設定、入力された情報や、所定のリクエスト、本件サービスに関する作業情報などを出力する。
【0073】
表示制御部213は、通信制御部212により取得された各画面情報に基づいて、本件サービスに関する育児休業に関する給付金申請の一覧画面(例えば図9)、育児休業の申請フォーム画面(例えば図10)、従業員の給付金申請詳細画面(例えば図11)、出生時育児休業の申請画面(例えば図12)、要件を満たすための提案画面(例えば図13)などをディスプレイ251に表示するよう制御する。
【0074】
操作受付部214は、各画面に表示されたUI部品に対するユーザの操作を受け付け、操作情報を処理装置20のアプリケーションに伝達したり、サーバ10に向けて出力したりする。例えば、操作受付部214は、操作情報として、申請者が選択、入力、又は設定した申請情報、休業申請リクエスト、給付金申請リクエストなどをサーバ10に向けて出力したりする。
【0075】
通信制御部212は、操作受付部214が受け付けた各操作情報を、ネットワーク通信インタフェース220を介して、サーバ10に送信する。また、表示制御部213は、操作受付部214が受け付けた各操作情報に基づいて、画面遷移や情報表示を制御する。
【0076】
<動作説明>
次に、情報処理システム1の各動作について説明する。図7は、一実施形態に係る休業申請処理の一例を示すシーケンス図である。図7に示す例では、人事担当者等が利用する処理装置20と、開示の本件サービスを提供するサーバ10とが連携して処理を行う例である。
【0077】
ステップS102において、処理装置20の表示制御部213は、育児に関する休業の申請画面を表示制御し、操作受付部214は、申請画面に対するユーザからの入力、設定、又は選択を受け付け、通信制御部212は、ユーザの操作に基づく申請情報をサーバに10に出力する。
【0078】
ステップS104において、サーバ10の取得部112は、申請情報に含まれる各情報を取得する。各情報は、例えば、育児休業における取得期間、取得回数、及び/又は取得時期を含み、その他申請に必要な情報を含んでもよい。
【0079】
ステップS106において、サーバ10の判定部113は、取得された申請情報に含まれる取得期間、取得回数、及び/又は取得時期の各情報が育児・介護休業法で定められた各要件を満たすか否かを判定する。
【0080】
ここで、ステップS106の判定結果が肯定判定(判定OK)であれば、ステップS108以降の処理が実行され、判定結果が否定判定(判定NG)であれば、ステップS112~S118の処理が実行される。
【0081】
ステップS108において、サーバ10の判定部113による判定がOKの場合(全ての要件を満たす場合)、サーバ10の通知部114は、判定部113による判定結果(OK)を処理装置20に送信する。
【0082】
ステップS110において、処理装置20の表示制御部213は、サーバ10から取得した休業申請の判定結果を表示するよう制御する。
【0083】
ステップS112において、サーバ10の判定部113による判定がNGの場合(少なくとも1つの要件を満たさない場合)、サーバ10の通知部114は、判定部113による判定結果(NG)を処理装置20に送信する。
【0084】
ステップS114において、処理装置20の表示制御部213は、サーバ10から取得した休業申請の判定結果を表示する。
【0085】
ステップS116において、処理装置20の表示制御部213は、サーバ10から取得した画面情報であって、要件を満たさない項目に対して要件を満たすような提案や案内がなされた画面情報に基づいて修正の提案内容を表示する。
【0086】
ステップS118において、処理装置20の操作受付部214は、表示された提案内容又は案内に従ってユーザに操作された修正情報(操作情報)を受け付ける。
【0087】
ステップS120において、処理装置20の通信制御部212は、ユーザにより操作された修正情報をサーバ10に出力する。
【0088】
ステップS122において、サーバ10の取得部112は、修正情報を取得し、この修正情報に基づいて、申請情報の対応項目を修正する。この後、ステップS106の要件判定がなされてもよい。
【0089】
以上の処理によれば、情報処理システム1は、育児休業に関する申請情報が法律で定められる各要件を満たすか否かを判定するため、申請者は複雑な各要件を全て把握する必要がなく、申請処理を行うことができる。
【0090】
図8は、一実施形態に係る給付金申請に関する処理の一例を示すフローチャートである。図8は、処理装置20からのリクエストに応じてサーバ10から画面情報などを取得することにより、処理装置20が処理を行う例を示す。
【0091】
ステップS202において、処理装置20の表示制御部213は、ユーザの操作に応じて、給付金申請に関する育休一覧画面(例えば図9)の表示を行う。
【0092】
ステップS204において、処理装置20の操作受付部214は、育休一覧画面の種別選択に対して、ユーザからの種別選択操作を受け付ける。処理は、育休が選択された場合はステップS206に進み、出生時育休が選択された場合はステップS210に進む。
【0093】
ステップS206において、処理装置20の表示制御部213は、育休の申請追加を示すユーザ操作に応じて、育休の申請フォーム(例えば図10)を表示する。
【0094】
ステップS208において、処理装置20の表示制御部213は、所定従業員の詳細表示を示すユーザ操作に応じて、育休の給付金申請画面(例えば図11)を表示する。
【0095】
ステップS210において、処理装置20の表示制御部213は、出生時育休の申請追加を示すユーザ操作に応じて、出生時育休の申請フォーム(例えば図12)を表示する。
【0096】
ステップS212において、処理装置20の表示制御部213は、所定従業員の詳細表示を示すユーザ操作に応じて、出生時育休の給付金申請画面を表示する。
【0097】
ステップS214において、処理装置20の操作受付部214は、給付金申請手続きの詳細を表示するユーザ操作を受け付けると、表示制御部213は、手続きの詳細画面を表示したり、操作受付部214は、編集操作を受け付けると、表示制御部213は、編集画面を表示したりする。
【0098】
ステップS216において、処理装置20の操作受付部214は、電子申請を指示する操作を受け付けると、通信制御部212は、電子申請リクエストをサーバ10に送信する。これにより、サーバ10は、給付金申請の申請情報をリスト化して、健康保険組合の処理装置や、ハローワークの処理装置に申請リストを送信することが可能になる。なお、ステップS206~S216の各処理は、給付金申請処理において必ずしも必要な処理ではない。
【0099】
図7及び8に示す各ステップにおける処理は、開示技術の内容を逸脱しない範囲で順序を入れ替えたり、他の処理が挿入されたりしてもよい。
【0100】
<画面例>
次に、情報処理システム1において表示される各画面の一例について説明する。図9は、一実施形態に係る育児休業給付金申請の一覧画面の一例を示す図である。図9に示す一覧画面D2には、各要件を満たす申請者のリストが表示される。図9に示す一覧画面D2には、従業員の申請名、育休種別、次回の申請回、次回の申請開始日、次回の申請終了日、給付金支給終了予定日が表示される。なお、一覧画面D2はフィルタ機能や並び替え機能を含む構成でもよい。この場合、給付金申請者は、例えば当月申請が必要な従業員をフィルタで絞って表示したり、リストの上位に来るように並べ替えて表示したりすることができる。
【0101】
ここで、新たに申請者を追加する場合は、ユーザは申請を追加するボックスB2を操作し、例えば「育児休業給付金申請」ボタンを操作すると、図10に示す育児休業に関する申請フォーム画面D4が表示される。
【0102】
図10は、一実施形態に係る育児休業に関する申請フォーム画面の一例を示す図である。図10に示す申請フォーム画面D4には、育児休業を申請するフォームの一部が表示される。図10に示す例では、申請者は、休業に関する日付として、出産日、育児休業開始日1、職場復帰予定日1を設定する。ここで、出産日と育児休業開始日とは必須の設定項目である。職場復帰予定日が入力されていない場合、育児休業の終了日は、子が1歳になる誕生日前日とみなしてもよい。なお、育児休業は分割が可能であるから、申請者は育児休業開始日の設定を追加することが可能である。また、申請フォームD4において育児休業終了日を設定させるようにしてもよい。
【0103】
また、申請フォームD4では、配偶者の「パパママ育休プラス」制度の利用状況を申請者に設定させてもよい。例えば、「パパママ育休プラス」制度を利用するか否か、及び配偶者の雇用保険被保険者番号が設定される。配偶者の雇用保険被保険者番号に基づき、雇用保険を管理するシステムのAPI(Application Programming Interface)を用いて配偶者の「パパママ育休プラス」制度の利用状況を把握することが可能になる。
【0104】
図11は、一実施形態に係る所定従業員の給付金申請画面の一例を示す図である。図11に示す画面は、従業員「ABD」の育児休業給付金申請画面D6の一例を示す。例えば、画面D6には、従業員情報、家族情報、及び申請状況が表示される。従業員情報は、出産日、育児休業開始日、職場復帰予定日(任意)、給付金を受け取る金融機関の口座情報などを含む。家族情報は、生まれた子の名前、母子手帳の情報(画像情報など)を含む。申請状況は、2か月単位での申請状況が示され、申請書類の作成に関するステータスや、申請名、申請開始日、申請終了日、支給単位期間、合計日数などを含む。なお、申請者により1か月単位の支給に設定されてもよい。
【0105】
また、育児休業給付金申請画面D6が表示するステータスは、申請書類作成に関するものに限定されず、例えば電子申請の送信状況に関するステータスを含んでもよい。この場合、給付金申請者は育児休業給付金申請画面D6において、書類作成から電子申請の送信までの一貫のプロセスを管理することができる。
【0106】
また、給付金申請者が「終了日を延長」ボタンを操作すると、1歳から1歳半までの6か月延長、又は1歳半から2歳までの6か月延長が可能になり、給付金申請が2か月単位の場合は3回分の申請情報が追加される。申請者は、「申請作成」ボタンを操作することで、給付金申請に必要な情報が入力された申請情報が、サーバ10のサービス制御部111により作成される。なお、給付金申請が1か月単位でもよく、給付金申請者により何カ月単位の申請にするか選択させるようにしてもよい。
【0107】
図12は、一実施形態に係る出生時育休に関する申請フォーム画面の一例を示す図である。図12に示す画面D8は、出生時育休について2回に分割可能であるため、2回分の休業期間の設定フォームが画面D8の一部に表示される。少なくとも取得期間の初日を示す育児休業開始日1と、取得期間の終了日を示す育児休業終了日1とが必須の設定項目である。
【0108】
また、現在の出生時育休は、分割は2回までしかできないため、申請フォームには、2回までの設定項目しか設けられていない。分割回数に関し、システム側が分割の上限値を取得し、上限値までの設定項目が設けられるようにするとよい。これにより、申請者は、出生時育休は2回まで分割可能であることを容易に把握することができる。また、日付の設定項目の右端にカレンダーマークがある。申請者がカレンダーマークを操作することで、カレンダーが画面に表示され、カレンダー内の日付を操作して育児休業開始日1、及び/又は、育児休業終了日1を申請者に設定させてもよい。
【0109】
日付設定の場合、サーバ10のサービス制御部111は、申請フォームの画面情報として、育児に関する休業の法定要件を満たすように、ユーザインタフェースを制御してもよい。例えば、出生時育児休業は、出生後8週間以内の4週間まで取得可能であるため、サービス制御部111は、この要件を満たすように、カレンダーの日付部分に案内機能を設けてもよい。例えば図13を用いて案内機能について説明する。
【0110】
図13は、一実施形態に係る案内機能の画面例を示す図である。図13に示す例では、7月初旬に子が誕生し、7月中に既に2週間の出生時育休が取得されているとする。このとき、8月中に2回目の申請が可能であるため、8月のカレンダー画面D10には、申請者が休業開始日を指定可能な案内枠W2が表示される。例えば、案内枠W2は、8月の平日を囲い、案内枠W2内の日付を申請者は指定可能であるとする。申請者が、8月中に2回目の出生時育休を取得しようとして、矢印Y2が示す8月9日を育児休業開始日2に選択すると、カレンダー画面D12が表示される。
【0111】
図13に示すカレンダー画面D12は、8月9日を2回目の育児休業開始日2とした場合、育児休業終了日2として選択可能な日付が案内枠W4により特定されて表示される。上述した例によれば、申請者は既に2週間の出生時育休を取得しているので、2回目の出生時育休として、最長で2週間の期間しか取得できない。この2週間が案内枠W4により表示される。申請者は、案内枠W4の日付の中から育児休業終了日2を選択すればよい。これにより、サービス制御部111は、育児に関する休業の申請時において入力された情報を基に要件判定を行い、次に設定される情報が要件を満たすようなユーザインタフェースを申請者に提供することで、申請者は容易に休業申請を行うことが可能になる。
【0112】
上述した画面例は、ユーザの操作により直接的に遷移するだけではく、他の画面を介して遷移する場合も含まれ得る。また、処理装置20の操作受付部214がユーザの操作を受け付け、表示制御部213がユーザの操作に基づいて画面を構成し、この画面をディスプレイ251に表示するよう制御する。また、画面の構成に用いられる情報は、ユーザの操作情報がサーバ10に送信されることで、サーバ10から取得されてもよい。
【0113】
以上、実施形態は、本開示技術を説明するための例示であり、本開示技術をその実施形態のみに限定する趣旨ではなく、本開示技術は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。また、サーバ側、ユーザの処理装置側の各処理を適宜統合したり、他方の装置に処理を移行したり、別の装置に処理を移行したりしてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1…情報処理システム、10…サーバ、20…処理装置、110…プロセッサ、130…記憶装置、111…サービス制御部、112…取得部、113…判定部、114…通知部、115…特定部、116…出力部、117…算出部、210…プロセッサ、211…サービス処理部、212…通信制御部、213…表示制御部、214…操作受付部、230…記憶装置、251…ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13