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特開2024-50099情報処理装置、学習モデル、学習モデル生成方法、情報処理方法、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050099
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、学習モデル、学習モデル生成方法、情報処理方法、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20240403BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240403BHJP
   G09B 23/28 20060101ALI20240403BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20240403BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20240403BHJP
   G16H 50/50 20180101ALI20240403BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240403BHJP
   G06F 16/90 20190101ALI20240403BHJP
【FI】
G16H50/20
G09B19/00 Z
G09B23/28
G09B5/02
G16H30/00
G16H50/50
G06T7/00 350B
G06T7/00 612
G06F16/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156724
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】吉本 翔成
(72)【発明者】
【氏名】井坂 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】河村 知哉
(72)【発明者】
【氏名】舘崎 祐馬
【テーマコード(参考)】
2C028
2C032
5B175
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
2C028AA12
2C028BB04
2C028BC05
2C028BD01
2C032CA03
2C032CA06
5B175DA02
5B175GB05
5L096BA06
5L096BA13
5L096DA02
5L096HA11
5L096JA03
5L096KA04
5L096KA15
5L099AA04
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】患者の血管を撮像して得た画像データに基づいて、画像データが示す血管走行及び病変部と、医療トレーニング用の血管モデルに係る血管走行及び病変部との一致度を算出するための情報処理装置を提供する。
【解決手段】病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、該モデル特定情報が示す血管モデルに係る病変部及び血管走行と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行との一致度を出力する学習モデルと、病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データを取得する取得部と、該取得部にて取得した画像データを学習モデルに入力することによって、モデル特定情報及び一致度を出力させる制御部とを備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルと、
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データを取得する取得部と、
該取得部にて取得した画像データを前記学習モデルに入力することによって、前記モデル特定情報及び前記一致度を出力させる制御部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記一致度が特定の一致度基準以上の前記モデル特定情報、又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記モデル特定情報に係る、前記一致度基準以上の前記一致度を外部出力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記一致度基準を取得する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、
血管内治療を行う術者を識別する術者IDを取得し、
前記制御部は、
血管内治療を行う術者を識別する術者IDと、該術者がトレーニングを受けた前記血管モデルを示す前記モデル特定情報とを対応付けて記憶した記憶部の情報に基づいて、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報、又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、
血管内治療を行う術者を識別する術者IDと、該術者がトレーニングを受けた前記血管モデルを示す前記モデル特定情報と、該血管モデルに関連する画像、動画、助言又は医療用デバイス情報とを対応付けて記憶しており、
前記制御部は、
前記記憶部の情報に基づいて、前記取得部が取得した前記術者IDと、前記一致度が前記一致度基準以上の前記モデル特定情報とに対応付けられた前記血管モデルに関連する画像、動画、助言又は医療用デバイス情報を外部出力する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記術者IDと、該術者がトレーニングを受けた前記血管モデルを示す前記モデル特定情報と、前記一致度と、該血管モデルに関連する画像、動画、助言又は医療用デバイス情報とを、表示部に表示させる
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報が存在しない場合、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDと異なる他の前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、
複数の術者の前記術者IDを対応付けて記憶しており、
前記制御部は、
前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報が存在しない場合、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた他の前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する
学習モデル。
【請求項11】
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た複数の画像データを収集し、
収集した前記複数の画像データが示す病変部及び血管走行の特徴を特定し、
病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の複数の血管モデルに係る病変部及び血管走行の特徴を特定し、
前記複数の画像データから選択される一の画像データに係る病変部及び血管走行と、前記複数の血管モデルから選択される一の血管モデルに係る病変部及び血管走行との一致度を、前記複数の画像データ及び前記複数の血管モデルから選択される複数組の前記画像データ及び前記血管モデルについて特定し、
前記複数の画像データと、前記複数の血管モデルを示すモデル特定情報と、前記一致度とに基づく機械学習によって、病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、前記モデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルを生成する
学習モデル生成方法。
【請求項12】
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データを取得し、
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルに、取得した画像データを前記学習モデルに入力することによって、前記モデル特定情報及び前記一致度を出力させる
情報処理方法。
【請求項13】
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データを取得し、
病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルに、取得した画像データを前記学習モデルに入力することによって、前記モデル特定情報及び前記一致度を出力させる
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、学習モデル、学習モデル生成方法、情報処理方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテル治療を受ける患者の血管走行及び病変部位は多岐にわたる。医療従事者等の術者は、様々な病変部位の治療を行うため、治療に用いる医療機器を適正に使用するための十分な知識や技能と経験が必要とされる。術者は、様々な病変部位の治療の経験を得るための1つの手段として、医療従事者向けのトレーニング(医療トレーニング)を活用している。血管内治療の医療トレーニングにおいては、病変部及びその周囲の血管を模した医療トレーニング用の血管モデルが活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-57451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
術者は、カテーテル治療で患者の病変部位を治療する際、術者自身の経験に基づいて、病変部位の治療方針を決定している。その際、術者は、多岐にわたる選択肢の中から患者の病変部位に最適な治療方針を選択しなければならない。術者は、治療方針策定の精度が向上するため、医療トレーニングを受講しているが、医療トレーニングの種類も多岐にわたるため、各医療トレーニングの全ての詳細を記憶に定着させることが難しい。そのため、医療トレーニングの経験を記憶に定着させつつ、術者の治療方針策定を補助するため、適時に医療トレーニングの振り返りを行えることが望ましい。
【0005】
例えば、患者の病変部位を治療する際、事前にこの患者の血管走行及び病変部に類似する血管モデルを特定し、その血管モデルに関する情報を確認することができれば、術者の治療方針策定の参考にできるため、好ましい。しかしながら、このような作業は、相当の時間を要する。
【0006】
本開示の目的は、患者の血管を撮像して得た画像データに基づいて、画像データが示す血管走行及び病変部と、医療トレーニング用の血管モデルに係る血管走行及び病変部との一致度を算出するための情報処理装置、学習モデル、学習モデル生成方法、情報処理方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(1)病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルと、病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データを取得する取得部と、該取得部にて取得した画像データを前記学習モデルに入力することによって、前記モデル特定情報及び前記一致度を出力させる制御部とを備える情報処理装置である。
(2)上記(1)の情報処理装置は、更に前記制御部が、前記一致度が特定の一致度基準以上の前記モデル特定情報、又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力することが好ましい。
(3)上記(1)又は(2)の情報処理装置は、更に、前記制御部が、前記モデル特定情報に係る、前記一致度基準以上の前記一致度を外部出力することが好ましい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つに記載の情報処理装置は、更に前記取得部が、前記一致度基準を取得することが好ましい。
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の情報処理装置は、更に前記取得部が、血管内治療を行う術者を識別する術者IDを取得し、前記制御部は、血管内治療を行う術者を識別する術者IDと、該術者がトレーニングを受けた前記血管モデルを示す前記モデル特定情報とを対応付けて記憶した記憶部の情報に基づいて、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報、又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力することが好ましい。
(6)上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の情報処理装置は、更に前記記憶部が、血管内治療を行う術者を識別する術者IDと、該術者がトレーニングを受けた前記血管モデルを示す前記モデル特定情報と、該血管モデルに関連する画像、動画、助言又は医療用デバイス情報とを対応付けて記憶しており、前記制御部は、前記記憶部の情報に基づいて、前記取得部が取得した前記術者IDと、前記一致度が前記一致度基準以上の前記モデル特定情報とに対応付けられた前記血管モデルに関連する画像、動画、助言又は医療用デバイス情報を外部出力することが好ましい。
(7)上記(1)~(6)のいずれか一つに記載の情報処理装置は、更に前記制御部が、前記術者IDと、該術者がトレーニングを受けた前記血管モデルを示す前記モデル特定情報と、前記一致度と、該血管モデルに関連する画像、動画、助言又は医療用デバイス情報とを、表示部に表示させることが好ましい。
(8)上記(1)~(7)のいずれか一つに記載の情報処理装置は、更に前記制御部が、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報が存在しない場合、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDと異なる他の前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力することが好ましい。
(9)上記(1)~(8)のいずれか一つに記載の情報処理装置は、更に前記記憶部は、複数の術者の前記術者IDを対応付けて記憶しており、前記制御部は、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報が存在しない場合、前記一致度が前記一致度基準以上であって、前記取得部が取得した前記術者IDに対応付けられた他の前記術者IDに対応付けられた前記モデル特定情報又は該モデル特定情報によって特定される前記血管モデルに関連する情報を外部出力することが好ましい。
【0008】
本発明は、(10)病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルである。
【0009】
本発明は、(11)病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た複数の画像データを収集し、収集した前記複数の画像データが示す病変部及び血管走行の特徴を特定し、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の複数の血管モデルに係る病変部及び血管走行の特徴を特定し、前記複数の画像データから選択される一の画像データに係る病変部及び血管走行と、前記複数の血管モデルから選択される一の血管モデルに係る病変部及び血管走行との一致度を、前記複数の画像データ及び前記複数の血管モデルから選択される複数組の前記画像データ及び前記血管モデルについて特定し、前記複数の画像データと、前記複数の血管モデルを示すモデル特定情報と、前記一致度とに基づく機械学習によって、病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、前記モデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルを生成する学習モデル生成方法である。
【0010】
本発明は、(12)病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データを取得し、病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルに、取得した画像データを前記学習モデルに入力することによって、前記モデル特定情報及び前記一致度を出力させる情報処理方法である。
【0011】
本発明は、(13)病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データを取得し、病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、病変部及び該病変部に至る血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報と、入力された画像データが示す病変部及び血管走行に対する前記モデル特定情報が示す前記血管モデルに係る病変部及び血管走行の一致度とを出力する学習モデルに、取得した画像データを前記学習モデルに入力することによって、前記モデル特定情報及び前記一致度を出力させる処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、患者の血管を撮像して得た画像データに基づいて、画像データが示す血管走行及び病変部と、医療トレーニング用の血管モデルに係る血管走行及び病変部との一致度を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る情報処理システムの構成例を示す説明図である。
図2】実施形態1に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図3】端末装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】実施形態1に係る学習モデルの一例を示す概念図である。
図5】訓練DBの一例を示す概念図である。
図6】実施形態1に係る受講済血管モデルDBの一例を示す概念図である。
図7】学習モデルの生成方法を示すフローチャートである。
図8】訓練データの詳細を示す図表である。
図9】患者画像データ情報の詳細を示す図表である。
図10】血管モデル情報の詳細を示す図表である。
図11】実施形態1に係る医療トレーニング振り返り支援に係る処理手順を示すフローチャートである。
図12】入力画面の一例である。
図13】実施形態1に係る医療トレーニング振り返り画面の一例である。
図14】実施形態2に係る受講済血管モデルDBの一例を示す概念図である。
図15】実施形態2に係る医療トレーニング振り返り支援に係る処理手順を示すフローチャートである。
図16】実施形態2に係る医療トレーニング振り返り画面の一例である。
図17】実施形態3に係る受講済血管モデルDBの一例を示す概念図である。
図18】実施形態3に係る医療トレーニング振り返り支援に係る処理手順を示すフローチャートである。
図19】実施形態3に係る医療トレーニング振り返り画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態に係る情報処理装置、学習モデル、学習モデル生成方法、情報処理方法、コンピュータプログラムを、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0015】
(実施形態1)
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、実施形態1に係る情報処理システム100の構成例を示す説明図である。情報処理システム100は、サーバ装置1と、端末装置2と、血管撮影装置3とを含む。
【0016】
<背景と課題>
血管の病変部の状態及び位置、病変部に至る血管走行は患者によって様々であり、治療方針の選択肢は多岐にわたる。カテーテル治療を行う術者は、治療方針策定の精度を向上させるため、病変部及びその周囲の血管を模した医療トレーニング用の血管モデルを活用した医療トレーニングを受講しており、自身の経験と記憶を基に治療方針を決定している。しかし、医療トレーニングの種類も多岐にわたるため、各医療トレーニングの全ての詳細を記憶に定着させることが難しい。そのため、医療トレーニングの経験を記憶に定着させつつ、術者の治療方針策定を補助するため、適時に医療トレーニングの振り返りを行えることが望ましい。
また、血管モデルは、血管走行を再現した血管走行モデルと、血管の狭窄、石灰化等の病変部を再現した病変部とを含むため、その種類が多く、各医療トレーニングで用いた血管モデルを記憶しておくことも難しい。
血管走行モデルと、病変部を再現した病変パーツとを組み合わせることによって血管モデルを構成する場合、血管走行モデルと病変パーツとの様々な組み合わせが存在し、各医療トレーニングで用いた血管走行モデルと病変パーツを記憶しておくことも難しい。
血管モデルの上記構成は一例であり、その構成は特に限定されるものでは無い。
【0017】
<情報処理システム100の概要>
実施形態1に係るサーバ装置1は、カテーテル治療の対象となった患者の血管走行及び病変部に類似する血管モデルを特定することによって、術者が過去に受講した医療トレーニングの経験を簡単に振り返ることができ、血管モデルを用いた医療トレーニング経験の定着を支援しつつ、術者の治療方針策定を補助するものである。術者は、患者を治療する際、過去に医療トレーニングを受講したときに使用した血管モデルであって、実際に治療する患者の血管走行及び病変部に類似する血管モデルを確認し、その血管モデルを用いた医療トレーニングを振り返ることが可能になる。
【0018】
血管撮影装置3は、血管内治療を要する患者の血管の病変部、及び当該病変部に至る血管を撮像し、撮像して得た画像データを端末装置2へ送信する装置である。血管撮影装置3は、例えば血管造影検査を行うアンギオ装置(血管造影装置)である。アンギオ装置は、患者の血管に造影剤を注入しながら、患者の生体外からX線を用いて血管を撮像し、当該血管のX線透視画像である血管造影画像の画像データを得る。なお、血管撮影装置3は、アンギオ装置に限定されるものでは無く、血管の血管部と、当該病変部に至る血管を撮影することができる装置であれば、X線CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、PET(Positron Emission Tomography)、超音波エコー等、他の撮影装置であってもよい。
【0019】
サーバ装置1は、術者が過去に受講した医療トレーニングに関する情報を管理している。例えば、サーバ装置1は、医療トレーニングを受講した術者を示す術者IDと、当該術者が受講した医療トレーニングにおいて使用した血管モデルを示す血管モデルIDと、当該血管モデルの画像と、当該血管モデルの取り扱い方法を実演した動画、医療トレーニングの様子等を撮影した動画とを記憶している。
本実施形態においては、血管モデルIDは、血管モデルを構成する血管走行モデルを識別するための血管走行IDと、病変パーツを示すための病変No(病変ID)とを含んで構成されている(図10参照)。また、血管モデルの画像は、血管走行モデルの画像と、病変パーツの画像とを別に含む形態であってもよい。
【0020】
端末装置2は、例えばタブレットコンピュータ、スマートフォン、ノートパソコン等である。端末装置2は、近距離通信、又は病院内ネットワークを介した通信により、血管撮影装置3から患者の画像データを取得する。端末装置2は、患者の画像データに基づいて、実際の患者の血管走行及び病変部と、複数の血管モデルの血管走行及び病変部の一致度を算出する。端末装置2は、ネットワークNを介してサーバ装置1と通信を行うことができ、過去に受講した医療トレーニングで使用した血管モデルであって、患者の血管走行及び病変部との一致度が高い血管モデルに関する情報を取得する。そして、端末装置2は、当該一致度が高い血管モデルのモデルID、当該一致度、血管モデルに関する画像及び動画等を表示する。
【0021】
<サーバ装置1>
図2、実施形態1に係るサーバ装置1の構成例を示すブロック図である。サーバ装置1は、コンピュータであり、処理部11、通信部12、記憶部13、及び読み取り部14を備える。各部はバスにより接続されている。なお、サーバ装置1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであってもよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0022】
処理部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)、TPU(Tensor Processing Unit)等を有する演算処理装置又はプロセッサである。処理部11は、記憶部13が記憶するサーバプログラムP1(プログラム製品)を読み出して実行することにより、実施形態1に係る学習モデル生成方法を実施し、学習モデル4の生成及び提供を行う。また、処理部11は、端末装置2からの要求に応じて、術者が受講した医療トレーニングに関する情報の提供処理を行う。なお、学習モデル4の生成及び配信は、他のコンピュータが行ってもよい。
【0023】
通信部12は、ネットワークNを介して通信処理を行うための通信回路を含む。通信部12は、端末装置2との間で各種情報の送受信を行う。
【0024】
記憶部13は、例えば主記憶部及び補助記憶部を有する。主記憶部は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、処理部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。補助記憶部は、ハードディスク、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の記憶装置である。補助記憶部は、処理部11が実行するサーバプログラムP1、学習モデル4、訓練DB131,受講済血管モデルDB132、その他の処理に必要な各種データを記憶する。実施形態においては、学習モデル4は端末装置2に提供され、端末装置2が学習モデル4を用いて演算処理を実行するものとする。
【0025】
サーバプログラムP1は、コンピュータを実施形態1に係るサーバ装置1として機能させるためのプログラムである。サーバプログラムP1の処理に使用する学習モデル4、訓練DB131,受講済血管モデルDB132の詳細は後述する。
【0026】
なお、補助記憶部はサーバ装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。サーバプログラムP1は、サーバ装置1の製造段階において補助記憶部に書き込まれてもよいし、外部のサーバ装置1が配信するものをサーバ装置1が通信にて取得して補助記憶部に記憶させてもよい。サーバプログラムP1は、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体1aに読み出し可能に記録された態様であってもよく、読み取り部14が記録媒体1aから読み出して補助記憶部に記憶させてもよい。
【0027】
<端末装置2>
図3は、端末装置2のハードウェア構成例を示すブロック図である。端末装置2は制御部21、通信部22、記憶部23、表示部24及び操作部25を備える。各部はバスで接続されている。
【0028】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置又はプロセッサを有する。制御部21は、補助記憶部に記憶された端末プログラムP2(プログラム製品)を読み出して実行することにより、実施形態1に係る情報処理方法を実施する情報処理装置として機能する。具体的には、制御部21は、学習モデル4を用いて、患者の血管走行及び病変部と、特定の血管モデルに係る血管走行及び病変部との一致度を算出する等の処理を実行する。そして、制御部21は、過去に受講した医療トレーニングで活用した血管モデルであって、患者の血管走行及び病変部との一致度が高い血管モデルのモデルID、当該一致度、血管モデルに関する画像及び動画等を表示する処理を実行する。
なお、実施形態で説明するサーバ装置1の処理と、端末装置2の処理の分担は一例であり、処理の分散方法は特に限定されるものでは無い。
【0029】
記憶部23は、主記憶部及び補助記憶部を有する。主記憶部は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。補助記憶部はハードディスク又はEEPROM等であり、制御部21が、本実施形態1に係る情報処理方法を実施するために必要な端末プログラムP2、学習モデル4、各種データを記憶する。学習モデル4は、端末プログラムP2に従って制御部21が情報処理を実行することにより実現される。記憶部23は、学習モデル4を実現するために必要なデータを記憶している。学習モデル4は、全部又は一部がハードウェアを用いて構成されていてもよい。端末装置2は、サーバ装置1の学習モデル4を利用して処理を実行する形態であってもよい。
【0030】
なお、補助記憶部はサーバ装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。端末プログラムP2及び学習モデル4は、端末装置2の製造段階において補助記憶部に書き込まれてもよいし、サーバ装置1が配信するものを端末装置2が通信にて取得して補助記憶部に記憶させてもよい。端末プログラムP2及び学習モデル4は、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体2aに読み出し可能に記録された態様であってもよく、読取部が記録媒体2aから読み出して補助記憶部に記憶させてもよい。
【0031】
通信部22はネットワークNを介して通信処理を行うための通信回路を含む。通信部22は近距離無線通信回路を含む構成でもよい。通信部22は、ネットワークNを介して、サーバ装置1と通信を行う。また、通信部22は、血管撮影装置3との間で通信を行い、患者の血管の病変部及び血管を撮像して得た画像データを受信する。なお、通信部22は、血管撮影装置3と直接情報を送受信してもよいし、図示しないルータを介して、病院内ネットワークにアクセスし、患者の画像データを受信するように構成してもよい。
【0032】
表示部24は、例えば、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。
【0033】
操作部25は、例えば、表示部24に組み込まれたタッチパネル、ハードウェアキーボード、マウス等の入力装置である。術者は、操作部25を用いて端末装置2を操作し、患者の画像データの取り込み、医療用トレーニングに関する情報の表示操作を行うことができる。
【0034】
<学習モデル4>
図4、実施形態1に係る学習モデル4の一例を示す概念図である。学習モデル4は、患者の画像データが入力された場合に、モデルID及び一致度を出力するように、予め学習されたモデルである。本実施形態の血管モデルは、血管モデルのベースとなる血管走行を再現した血管走行モデルと、血管の狭窄、石灰化等の病変部を再現した病変パーツとを組み合わせることによって構成される。そのため、図4では、血管モデルIDを数字で表現しているが、血管モデルIDは、血管走行IDと、病変Noとを含むものである。なお、学習モデル4が出力するモデルIDは、特定の血管モデルを示すモデル特定情報の一例である。一の血管モデル(血管走行モデル及び病変パーツ)を特定することができる情報であれば、そのデータ表現の方法は特に限定されるものでは無い。以下の説明では、血管モデルを特定する情報がモデルID(血管走行ID及び病変No)であるものとして説明する。
【0035】
患者の画像データは、少なくとも、患者の血管の病変部と、当該病変部に至る血管とを撮像して得た画像を含むデータである。画像データは複数であってもよい。画像データは、病変部及び血管走行の双方を含む画像であってもよいし、病変部を含む画像データと、血管走行を含む画像データとを別に含む形態であってもよい。
モデルIDは、複数種類の血管モデルを識別するための識別子である。本実施形態1では既知の血管モデルを取り扱うものとする。一致度は、複数種類の血管モデルから選択される一の血管モデルに係る血管走行及び病変部と、入力された患者の画像データが示す血管走行及び病変部との類似の程度を示す情報である。学習モデル4は、図4に示すように、入力された患者の画像データに対する複数種類の血管モデルそれぞれの一致度を出力する。一致度は、0~100%の値、又は0~1の数値で表される。
【0036】
学習モデル4は、例えば、深層学習による学習済みの畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional neural network)、トランスフォーマ等のニューラルネットワークを有する。学習モデル4は、CNN以外のニューラルネットワーク、Vision Transformer、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、又は、XGBoost等の決定木、等を用いたモデルであってもよい。以下、実施形態1に係る学習モデル4が、CNNを用いて構成されている例を説明する。
【0037】
学習モデル4は、患者の画像データが入力される入力層4aと、画像の特徴量を抽出する中間層4bと、上記一致度を出力する出力層4cとを有する。中間層4bは、入力層4aに入力された画像の各画素の画素値を畳み込む畳み込み層と、畳み込み層で畳み込んだ画素値をマッピングするプーリング層とが交互に連結された構成を有し、患者の血管画像の画素情報を圧縮しながら画像の特徴量を抽出する。出力層4cは、複数種類の血管モデルそれぞれのモデルIDと、各モデルIDが示す血管モデル及び画像データの一致度を出力する。
【0038】
なお、本実施形態では、患者の画像データが入力された場合に、モデルID及び一致度を出力する学習モデル4を説明したが、患者の画像データと、血管モデルの画像データ又は特徴マップとが入力された場合、当該画像データと血管モデルとの一致度を出力する学習モデルを用いて、モデルID及び一致度を演算するように構成してもよい。
【0039】
<各種データベース>
図5は、訓練DB131の一例を示す概念図である。訓練DB131は、学習モデル4を生成するための訓練データを記憶する。訓練DB131は、No列、患者画像データ情報列、血管モデル情報列、一致度列を有する。No列は、各レコードを示す数値を格納する。
【0040】
患者画像データ情報列は、少なくとも複数の患者の血管を撮像して得られた画像データを格納する。画像データは、血管の病変部の画像と、当該病変部に至る血管の画像とを含むデータである。
【0041】
血管モデル情報列は、複数種類の医療トレーニング用の血管モデルを示すモデル特定情報を格納する。モデル特定情報は、例えばモデルIDを格納する。なお、訓練データにおけるモデルIDは、血管モデルを示すモデル特定情報の一例である。一の血管モデルを特定することができる情報であれば、そのデータ表現の方法は特に限定されるものでは無い。
【0042】
一致度は、患者の画像データに係る血管走行及び病変部の特徴と、血管モデルに係る血管走行及び病変部の特徴との類似の程度を示す一致度を格納する。
【0043】
学習モデル4を生成するための訓練データは、少なくとも各列に格納された患者の画像データ、モデルID及び一致度を含む。学習モデル4は、訓練データを用いて、患者の血管を撮像して得た画像データと、各血管モデルとの類似の程度を学習する。機械学習及び訓練データの詳細は後述する。
【0044】
図6は、実施形態1に係る受講済血管モデルDB132の一例を示す概念図である。受講済血管モデルDB132は、術者が受講した血管モデルに関する情報を格納する。受講済血管モデルDB132は、術者ID列、モデルID列、モデル画像列及びモデル動画列を有する。モデルID列は、血管走行ID列及び病変No.列を含む。
【0045】
術者ID列は、血管モデルを用いた医療トレーニングを受講した術者を識別する術者IDを格納する。モデルID列は、医療トレーニングにおいて使用した血管モデルを識別するモデルID(血管走行ID及び病変No)を格納する。具体的には、モデルIDの血管走行列は、医療トレーニングにおいて使用した血管モデルを構成する血管走行モデルを識別する血管走行IDを格納する。モデルIDの病変No列は、血管モデルを構成する病変部を識別する番号を格納する。モデル画像列は、血管モデルの画像データを格納する。モデル動画列は、血管モデルに関する動画データを格納する。動画データは、血管モデルの取り扱い方法を実演した動画、医療トレーニングの様子を撮影した動画等である。
【0046】
<冠動脈血管走行について>
冠動脈の血管走行は、米国心臓協会において、1~15番の番号で分類されており、数字の前に#を付与することで表現する。冠動脈の血管走行#1~15のうち、#1~4は右冠動脈(RCA)、#5は左冠動脈主幹部(LM)、#6~10は左冠動脈前下行枝(LAD)、#11~15は左冠動脈回旋枝(LCX)に位置する。
本実施形態では、#1~15と冠動脈血管位置を組合せて表記する。例えば、RCA#2、LM#5、LAD#7、LCX#13の様に冠動脈血管位置を表記する。
【0047】
<学習モデル4の生成方法>
図7は、学習モデル4の生成方法を示すフローチャート、図8は、訓練データの詳細を示す図表、図9は、患者画像データ情報の詳細を示す図表、図10は、血管モデル情報の詳細を示す図表である。
【0048】
実施形態1では、サーバ装置1が学習モデル4を生成する例を説明する。サーバ装置1の処理部11は、患者の画像データを収集する(ステップS11)。画像データには患者IDが付与されている。画像データの収集源は特に限定されるものでは無い。
【0049】
患者の血管画像データは、例えば、大動脈(上行大動脈、下行大動脈、腹部大動脈)の分岐部から病変部位までの血管走行を捉えた画像のデータと、病変部位の位置及び状態を捉えた画像のデータを含む。
患者の血管画像データのフォーマット形式は、例えばDICOM又はSTL等の拡張子で表される形式であるが、フォーマット形式は限定されるものではない。また、画像データとしては、CT画像、血管造影画像等が主に用いられるが、超音波エコーの測定画像、FFR測定の測定画像、IVUS測定の測定画像等を使用してもよい。
【0050】
次いで、処理部11は、収集した画像データから血管走行を認識できる画像データ(以下、血管走行画像データと呼ぶ)を抽出する(ステップS12)。血管走行は、病変部位の周辺の血管走行を意図し、少なくとも病変部位の上流に位置する血管分岐部を含む。例えば、大動脈(上行大動脈、下行大動脈、腹部大動脈)の分岐部から病変部位までの血管走行を、CTによる患者の画像データから抽出する。
なお、大動脈(上行大動脈、下行大動脈、腹部大動脈)の分岐部から病変部位までの血管走行を捉えた画像データを抽出する際、複数の画像データを使用してもよい。
【0051】
次いで、処理部11は、同一部位を撮像した複数の血管走行の画像データがある場合、優先度が高い画像データを選択する(ステップS13)。例えば、CT画像と、血管造影画像の2つの画像データがある場合において、血管走行の特徴を特定する際、画像の鮮明さ等が異なることがある。CT画像のみで抽出した特徴と血管造影画像のみで抽出した特徴には微妙に誤差がでる可能性がある。そのため、例えば、血管走行の特徴を抽出するためには、精度が高い方の画像データ、例えば、精度が高いCT画像データを選択する。血管造影画像の方が、より精度が高い場合、血管造影画像データを選択する。なお、選択対象の画像データとしてCT画像、血管造影画像の2つの画像データを説明したが、これらは一例である。
【0052】
そして、処理部11は、抽出した血管走行画像データに基づいて、血管走行の特徴を特定する(ステップS14)。例えば、処理部11は、図9に示すように、血管走行に係る距離、角度、分岐数、血管径を特定する。具体的には、処理部11は、病変部位が冠動脈に位置する場合、冠動脈起始から病変部までの距離、冠動脈起始と病変部の角度、冠動脈起始から病変部の間に位置する分岐数、冠動脈起始から病変部までの平均血管径を特定する。特定された血管走行の特徴は、文字又は数値データで表される。
【0053】
例えば、LAD#6までの血管走行を捉えた画像データから当該血管走行の特徴を特定する場合、冠動脈起始からの軌道を抽出し、距離、角度、分岐数、血管径の要素を数値化する。追加情報として、上行大動脈のCT画像又は血管造影画像がデータとして存在すれば、当該データを用いて、距離、角度、血管径の要素で数値化し、あわせて利用してもよい。追加情報として、鎖骨下冠動脈のCT画像又は血管造影画像がデータとして存在すれば、当該データを用いて距離、角度、分岐数、血管径の要素を数値化し、あわせて利用してもよい。
【0054】
また、処理部11は、収集した画像データから病変部を認識できる画像データ(以下、病変部画像データと呼ぶ)を抽出する(ステップS15)。例えば、病変部の位置及び状態を捉えた病変部の画像データを、血管造影検査による血管造影の画像データからを抽出する。なお、病変部の位置及び状態を捉えた画像データを抽出する際、複数の画像データを使用してもよい。
【0055】
次いで、処理部11は、同一部位を撮像した複数の病変部画像データがある場合、優先度が高い画像データを選択する(ステップS16)。例えば、CT画像と、血管造影画像の2つの画像データがある場合において、病変部の特徴を特定する際、画像の鮮明さ等が異なることがある。CT画像のみで抽出した特徴と血管造影画像のみで抽出した特徴には微妙に誤差がでる可能性がある。そのため、例えば、病変部の特徴を抽出するためには、精度が高い方の画像データ、例えば、精度が高い血管造影画像データを選択する。CT画像の方が、より精度が高い場合、CT画像データを選択する。なお、選択対象の画像データとしてCT画像、血管造影画像の2つの画像データを説明したが、これらは一例である。
【0056】
次いで、処理部11は、抽出した病変部画像データに基づいて、病変部の特徴を特定する(ステップS17)。例えば、処理部11は、図9に示すように、病変部の位置、病変部位の状態(血管狭窄度合、石灰化度合)を特定する。特定された病変部の特徴は、文字又は数値データで表される。
【0057】
図9の「疾患(位置)」は、病変部画像データにおける病変部の位置を示している。例えば、LAD#8は、冠動脈の血管走行の8番のセグメントに、病変部が位置することを示している。なお、「疾患(位置)」には、血管走行における更に詳細な病変部の位置情報を加えてもよい。例えば、病変部位置がLAD#6の場合、病変部がLAD#6のセグメントの中央付近に位置するのか、病変部が隣接するLAD#7側に位置するのか、などの病変部の位置に関する要素を数値化して加えてもよい。
図9の「疾患(狭窄)」は、病変部画像データにおける病変部の血管の狭窄度合を示している。例えば、血管の狭窄度合は、血管外径に対して残存内腔の比率がx%である場合、その狭窄度(100-x)%、残存内腔の実寸値等の要素を病変部の特徴として数値化する。なお、「疾患(狭窄)」は、冠血流予備量比FFR又は瞬時血流予備量比iFRの数値結果を用いて、病変部におけるこれらの値と、病変部前後のこれらの値の比率を病変部の特徴として数値化してもよい。また、「疾患(狭窄)」は、IVUSの測定結果を用いて得られる残存内腔の実寸値を病変部の特徴としてもよい。
図9の「疾患(石灰)」は、病変部画像データに基づき、病変部の石灰化度合を示している。例えば、図9の「疾患(石灰)」では、CT画像における正常部位の平均輝度に対する、病変部の輝度の比率を、病変部の特徴として数値化している。また、例えば、「疾患(石灰)」は、IVUSの測定結果を用いて、正常部位の平均輝度に対する、病変部の輝度の比率を、病変部の特徴として数値化してもよい。
【0058】
次いで、処理部11は、既知の血管モデルの情報、例えば血管モデルの写真に基づいて、血管走行の特徴を特定する(ステップS18)。処理部11は、図10に示すように、血管モデルの血管走行に係る距離、角度、分岐数、血管径を特定する。血管モデルにおける血管走行の特徴は、血管走行を捉えた画像データから特定される特徴と同様であり、上記した方法で特定することができる。
なお、血管モデル作成時のCADデータ及び物性データから、血管走行の3次元形状データを抽出し、その特徴を特定してもよい。また、患者の画像データを得たときと同条件で血管モデルを撮像して得た画像データを活用して、当該画像データから同様にして血管走行の特徴を特定してもよい。
【0059】
また、処理部11は、既知の血管モデルの情報、例えば血管モデルに係る病変部の写真に基づいて、病変部の特徴を特定する(ステップS19)。処理部11は、図10に示すように、血管モデルに係る病変部の位置、狭窄の程度、石灰化の程度を示す数値を特定する。血管モデルにおける病変部の特徴は、病変部を捉えた画像データから特定される特徴と同様であり、上記した方法で特定することができる。
なお、血管モデル作成時のCADデータ及び物性データから、病変部の3次元形状データを抽出し、その特徴を特定してもよい。また、患者の画像データを得たときと同条件で血管モデルを撮像して得た画像データを活用して、当該画像データから同様にして血管走行の特徴を特定してもよい。
【0060】
そして、処理部11は、画像データが示す血管走行及び病変部の特徴と、血管モデルに係る血管走行及び病変部の特徴とを比較し、画像データの血管モデルに対する一致度を特定する(ステップS20)。ステップS20では、収集された各画像データに対して、既知の複数の血管モデルそれぞれの一致度を特定する。例えば、収集された画像データが1000枚、血管モデルの種類が50個(血管走行モデルが5種類、病変パーツが10種類)である場合、50000の組み合わせそれぞれについて一致度を特定する。
【0061】
一致度は、画像データから抽出した情報と、血管モデルから抽出した情報の一致度を表現したデータであり、例えば0~100%までの数値で表される。「血管走行」「病変部」の情報に関し、係数や比重をかけて算出する。また、医療従事者が一致度の数値そのものを定義してラベル付けしても良い。
【0062】
次いで、処理部11は、患者の画像データと、モデルID(血管走行ID及び病変No)と、一致度とを対応付けた訓練データを訓練データとして作成し、記憶部13に記憶する(ステップS21)。
【0063】
処理部11は、作成した訓練データに基づく機械学習によって、病変部及び該病変部に至る血管を撮像して得た画像データが入力された場合に、訓練データから特定されるモデルID(血管走行ID及び病変No)及び一致度を出力する学習モデル4を生成する(ステップS22)。
【0064】
具体的には、訓練データである画像データを未学習のニューラルネットワークに入力した場合に得られる出力結果が、訓練データが示すモデルID(血管走行ID及び病変No)及び一致度に整合するように、当該ニューラルネットワークのパラメータを最適化する。当該パラメータは、例えばノード間の重み(結合係数)などである。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えば処理部11は最急降下法等を用いて各種パラメータの最適化を行う。
【0065】
なお、上記した各種特定処理は、人手で行ってもよいし、当該特定処理の一部又は全部を処理部11が実行するように構成してもよい。
【0066】
<医療トレーニング振り返り支援処理>
図11は、実施形態1に係る医療トレーニング振り返り支援に係る処理手順を示すフローチャートである。端末装置2の制御部21は、端末装置2である術者のログイン認証処理を実行する(ステップS31)。具体的には、制御部21は、ログイン画面を表示部24に表示し、術者ID及びパスワード等を受け付ける。制御部21は、術者によって入力された術者ID及びパスワードを照合する。認証に成功した場合、制御部21は以下の処理を実行する。なお、認証方法は特に限定されるものでは無い。
【0067】
術者の認証を終えた制御部21は、入力画面90を表示し(ステップS32)、一致度基準、患者ID及び患者画像データのファイル名を受け付ける(ステップS33)。術者は、操作部25を操作することによって、これらの情報を端末装置2に入力する。なお、基準一致度を受け付ける例を示したが、90%等、所定の一致度基準を用いて処理するように構成してもよい。
【0068】
図12は、入力画面90の一例である。入力画面90は、ログインしている術者を示す術者ID表示部90aを有する。また、入力画面90は、一致度基準入力フィールド90b、患者ID入力フィールド90c、患者画像データファイル名入力フィールド90dを有する。術者は、各フィールドをタップし、各項目に該当する情報、つまり、一致度基準、患者ID、画像データのファイル名を入力することができる。制御部21は、術者によって入力された情報を取得する。
【0069】
制御部21は、入力された患者画像データのファイル名に基づいて、血管撮影装置3から患者の画像データを取得する(ステップS34)。そして、制御部21は、取得した患者の画像データを学習モデル4に入力し、入力された画像データに対する複数の血管モデルそれぞれのモデルID(血管走行ID及び病変No)及び一致度を算出する(ステップS35)。
【0070】
次いで、制御部21は、一致度基準以上の血管モデルの有無を判定する(ステップS36)。一致度基準以上の血管モデルが無いと判定した場合(ステップS36:NO)、制御部21は処理を終える。
【0071】
一致度基準以上の血管モデルがあると判定した場合(ステップS36:YES)、制御部21は、一致度基準以上の一又は複数の血管モデルに係る情報を表示部24に表示する(ステップS37)。例えば、当該血管モデルのモデルID及び一致度の一覧を表示する。
【0072】
次いで、制御部21は、術者IDに基づいて、当該術者の医療トレーニングの受講情報をサーバ装置1に要求し、術者の受講情報を取得する(ステップS38)。受講情報には、術者ID、モデルID(血管走行ID及び病変No)、モデル画像及びモデル動画等の情報が含まれる。
【0073】
制御部21は、一致度基準以上の血管モデルのうち、医療トレーニング受講済みの血管モデルの有無を判定する(ステップS39)。受講済み血管モデルが無いと判定した場合(ステップS39:NO)、処理を終える。
【0074】
受講済み血管モデルがあると判定した場合(ステップS39:YES)、制御部21は、医療トレーニング振り返り画面91を表示し、一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に医療トレーニングを受講したことにある血管モデルに係る情報を表示部24に表示する(ステップS40)。例えば、制御部21は、当該血管モデルのモデルID及び一致度を表示部24に表示する。
【0075】
また、制御部21は、表示したモデルIDに対応するモデル画像及びモデル動画を表示部24に表示し(ステップS41)、処理を終える。
【0076】
図13は、実施形態1に係る医療トレーニング振り返り画面91の一例である。医療トレーニング振り返り画面91は、設定された一致度基準を表示する一致度基準表示部91a、術者ID等を表示する術者表示部91b、患者ID表示部91c、モデル番号表示部91d、一致度表示部91e、モデル画像表示部91f、モデル動画表示部91gを有する。モデル番号表示部91dは、推奨される血管モデルのモデルIDを表示する。なお、モデル番号表示部91dは、血管走行モデルIDのみを表示してもよいし、血管走行モデルID及び病変Noの双方を表示してもよい。一致度表示部91eは、患者の血管走行及び病変部に対する血管モデルの一致度を表示する。モデル画像表示部91fは、血管モデルの画像を表示する。モデル動画表示部91gは、血管モデルの取り扱い方法を実演した動画、医療トレーニングの様子を撮影した動画等、血管モデルに関する動画を表示する。
【0077】
<効果>
実施形態に係る情報処理方法等によれば、患者の血管を撮像して得た画像データに基づいて、画像データが示す血管の血管走行及び病変部と、医療トレーニング用の血管モデルに係る血管走行及び病変部との一致度を算出し、表示することができる。
具体的には、制御部21は、実施形態1に係る学習モデル4によれば、患者の画像データを学習モデル4に入力することによって、当該画像データが示す血管走行及び病変部と、血管モデルに係る血管走行及び病変部との一致度を算出することができる。
【0078】
また、一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に医療トレーニングを受講したことにある血管モデルもモデル番号を端末装置2の表示部24に表示することができる。
【0079】
更に、当該医療トレーニングで使用した血管モデルに関する画像及び動画を端末装置2の表示部24に表示することができる。
【0080】
更にまた、実施形態1に係る学習モデル生成方法によれば、患者の画像データが示す血管走行及び病変部に対する血管モデルの一致度を出力する学習モデル4を生成することができる。
【0081】
(実施形態2)
実施形態2に係る情報処理システム100は、患者の血管の血管走行及び病変部との一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に医療トレーニングを受講したことがある血管モデルのモデルID及び一致度と共に、当該医療トレーニング時に使用された医療用デバイスの情報を表示する点が、実施形態1と異なる。情報処理システム100のその他の構成は、実施形態1に係る情報処理ステムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0082】
図14は、実施形態2に係る受講済血管モデルDB232の一例を示す概念図である。実施形態2に係る受講済血管モデルDB232は、術者が受講した血管モデルに関する情報として、モデルIDに対応付けて、更に医療トレーニングで使用された医療用デバイスの情報を記憶する。具体的には、受講済血管モデルDB232は、術者ID列等に加え、デバイス1列、デバイス2列、デバイス3列、…等を有する。各デバイス列には、医療トレーニングで使用された医療用デバイスを特定するための情報が格納される。医療用デバイスは、例えば、ステント、イントロデューサ、ガイディングカテーテル、拡張カテーテル、血管造影用カテーテル、橈骨動脈止血器、PTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)用ガイドワイヤ等が含まれる。
【0083】
一方、端末装置2は、複数の術者の術者IDを対応付けて記憶することができる。例えば、術者は、手技が自身と類似する他の術者IDを端末装置2に登録することができる。術者は、同一の病院、協会、学会等、同一組織に属する術者ID、指導者の術者ID等を端末装置2に登録してもよい。端末装置2は術者IDと、登録された他の術者IDとを対応付けて記憶部23に記憶する。なお、複数の術者の術者IDの対応関係をサーバ装置1の記憶部13が記憶するように構成してもよい。
【0084】
図15は、実施形態2に係る医療トレーニング振り返り支援に係る処理手順を示すフローチャートである。制御部21は、実施形態1に係るステップS11~ステップS39と同一又は同様の処理を実行する。ステップS39において、一致度基準以上の血管モデルのうち、医療トレーニング受講済みの血管モデルがあると判定した場合(ステップS39:YES)、制御部21は、医療トレーニング振り返り画面91を表示し、一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に受講したことにある血管モデルに係る情報を表示部24に表示し(ステップS240)、当該モデルIDに対応するモデル画像及びモデル動画を表示部24に表示する(ステップS241)。また、制御部21は、当該モデルIDに対応付けられた医療用デバイス、つまり、医療トレーニング時に使用した医療用デバイスの情報を表示し(ステップS242)、処理を終える。
【0085】
図16は、実施形態2に係る医療トレーニング振り返り画面91の一例である。実施形態2に係る医療トレーニング振り返り画面91は、実施形態1に係る医療トレーニング振り返り画面91の表示項目に加え、デバイス一覧表示部91h及びデバイス表示部91iを有する。デバイス一覧表示部91hは、医療トレーニングで使用された一又は複数の医療用デバイスの名称の一覧を表示する。デバイス表示部91iは、医療トレーニングで使用されたデバイスの写真又は模式図等を示す画像を表示する。
【0086】
一方、ステップS39において、一致度基準以上の血管モデルのうち、医療トレーニング受講済みの血管モデルが無いと判定した場合(ステップS39:NO)、ログインしている術者IDと異なる他の術者IDに基づいて、当該他の医療トレーニングの受講情報をサーバ装置1に要求し、当該他の術者の受講情報を取得する(ステップS243)。
【0087】
制御部21は、他の術者の医療トレーニングの受講情報をサーバ装置1から取得し、一致度基準以上の血管モデルのうち、他の術者による医療トレーニング受講済みの血管モデルの有無を判定する(ステップS244)。受講済み血管モデルが無いと判定した場合(ステップS244:NO)、処理を終える。
【0088】
他の術者による医療トレーニング受講済みの血管モデルがあると判定した場合(ステップS244:YES)、制御部21は、医療トレーニング振り返り画面91を表示し、一致度が一致度基準以上であって、他の術者が過去に受講したことにある血管モデルに係る情報を表示部24に表示し(ステップS245)、当該モデルIDに対応するモデル画像及びモデル動画を表示部24に表示する(ステップS246)。また、制御部21は、当該モデルIDに対応付けられた医療用デバイス、つまり、医療トレーニング時に他の術者が使用した医療用デバイスの情報を表示し(ステップS247)、処理を終える。
【0089】
通常、過去のトレーニング時に使用した医療用デバイスの詳細に関しては、術者の記憶に委ねられている。
実施形態2に係る情報処理方法等によれば、端末装置2は、過去に受講した医療トレーニング時に使用した医療用デバイスの情報を表示することによって、過去に受講した医療トレーニングの経験をより詳細に振り返り、血管モデルを用いたトレーニング経験の定着を支援することができる。加えて、術者は、患者の病変部を治療する際、過去に受講した医療トレーニングを振り返ることができるため、治療方針策定の参考にすることができる。
【0090】
実施形態2に係る医療トレーニング振り返り91は、術者ID、患者の画像データに基づいて振り返りが推奨される血管モデルのモデルID、算出された一致度、医療トレーニングで使用した医療用デバイスの情報、血管モデルの画像、動画、医療用デバイスの画像等を表示することができる。術者は、これらの情報に基づいて、医療トレーニングを効果的に振り返り、医療トレーニングの経験を定着させることができる。加えて、術者は、患者の病変部を治療する際、過去に受講した医療トレーニングを振り返ることができるため、治療方針策定の参考にすることができる。
【0091】
また、端末装置2は、一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に医療トレーニングを受講した血管モデルが無い場合、他の術者に係る医療トレーニングに関する情報を表示することができる。具体的には、一致度が一致度基準以上であって、他の術者が過去に医療トレーニングを受講したことがある血管モデルのモデルID、一致度、医療トレーニングで使用された医療用デバイス、血管モデルに関する画像及び動画、医療用デバイスの画像等を表示することができる。術者は、他の術者の医療トレーニングの情報を参考にすることができる。
【0092】
更に、術者は、関連する任意の他の術者の術者IDを端末装置2に登録することができる。端末装置2は、一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に医療トレーニングを受講したことなる血管モデルが無い場合、例えば自身と手技が類似の他の術者に係る医療トレーニングに関する情報を表示することができる。
【0093】
なお、実施形態では、一致度基準以上の血管モデルであって、過去に医療トレーニングを受講したことのあるモデルが無い場合、手技が類似の他の術者、同一組織に属する他の術者、指導者である術者の医療トレーニングに関する情報を表示する例を説明したが、任意の他の術者の医療トレーニングに関する情報を表示するように構成してもよい。
【0094】
(実施形態3)
実施形態3に係る情報処理システム100は、患者の血管の血管走行及び病変部との一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に医療トレーニングを受講したことがある血管モデルのモデルID及び一致度と共に、医療トレーニング自体の詳細情報を表示する点が、実施形態1又は実施形態2と異なる。情報処理システム100のその他の構成は、実施形態1又は実施形態2に係る情報処理ステムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0095】
図17は、実施形態3に係る受講済血管モデルDB332の一例を示す概念図である。実施形態3に係る受講済血管モデルDB332は、術者が受講した血管モデルに関する情報として、モデルIDに対応付けて、更に医療トレーニング自体の詳細情報を記憶する。具体的には、受講済血管モデルDB332は、術者ID列等に加え、受講日付(トレーニング日付)列、講師列、会場列、熟練度列、アドバイス1列、アドバイス2列を含む。受講日付列は、術者が医療トレーニングを受講した年月日を格納する。講師列及び会場列は、医療トレーニングの講師及び会場を示す情報を格納する。熟練度列は、医療トレーニング後の術者の熟練度を格納する。熟練度は、例えば、医療トレーニング後に講師が受講済血管モデルDB332に登録するものである。アドバイス列は、医療トレーニングの講師によるアドバイスを示す文字、画像、動画等を格納する。アドバイスは、例えば、医療トレーニング後に講師が受講済血管モデルDB132に登録するものである。図17では、アドバイス1に処置名(例えば、止血、穿刺など)やデバイス名(例えば、バルーン、シースなど)を記載し、アドバイス2にその処置に対するアドバイスやそのデバイスに対するアドバイスを記載している。 なお、実施形態3に係る受講済血管モデルDB332は、実施形態2で説明した医療用デバイスの情報も記憶している。
【0096】
図18は、実施形態3に係る医療トレーニング振り返り支援に係る処理手順を示すフローチャートである。制御部21は、実施形態1に係るステップS11~ステップS39と同一又は同様の処理を実行する。ステップS39において、一致度基準以上の血管モデルのうち、医療トレーニング受講済みの血管モデルがあると判定した場合(ステップS39:YES)、制御部21は、医療トレーニング振り返り画面91を表示し、一致度が一致度基準以上であって、術者が過去に受講したことにある血管モデルに係る情報を表示部24に表示し(ステップS340)、当該モデルIDに対応するモデル画像及びモデル動画を表示部24に表示する(ステップS341)。また、制御部21は、当該モデルIDに対応付けられた医療用デバイス、つまり、医療トレーニング時に使用した医療用デバイスの情報を表示する(ステップS342)。更に、制御部21は、モデルIDに対応付けられた受講日付、講師、会場、熟練度、アドバイス等、医療トレーニングの詳細情報を表示部24に表示し(ステップS343)、処理を終える。
【0097】
図19は、実施形態3に係る医療トレーニング振り返り画面91の一例である。実施形態3に係る医療トレーニング振り返り画面91は、実施形態2に係る医療トレーニング振り返り画面91の表示項目に加え、受講詳細表示部91j及びアドバイス表示部91kを有する。受講詳細表示部91jは、受講日付、講師、会場、熟練度等の医療トレーニングの詳細情報を表示する。アドバイス表示部91kは、血管モデル及び医療用デバイスに関するアドバイスを表示する。
【0098】
実施形態3に係る情報処理方法等によれば、端末装置2は、過去に受講した医療トレーニングの詳細情報及びアドバイスを表示することによって、過去に受講した医療トレーニングの経験をより詳細に振り返り、血管モデルを用いたトレーニング経験の定着を支援することができる。加えて、術者は、患者の病変部を治療する際、過去に受講した医療トレーニングを振り返ることができるため、治療方針策定の参考にすることができる。
【0099】
実施形態3に係る医療トレーニング振り返り画面91は、術者ID、患者の画像データに基づいて振り返りが推奨される血管モデルのモデルID、算出された一致度、当該血管モデルを用いた医療トレーニングの受講履歴の情報、医療トレーニングで使用した医療用デバイスの情報、アドバイス、血管モデルの画像、動画、医療用デバイスの画像等を表示することができる。術者は、これらの情報に基づいて、医療トレーニングを効果的に振り返り、医療トレーニングの経験を定着させることができる。加えて、術者は、患者の病変部を治療する際、過去に受講した医療トレーニングを振り返ることができるため、治療方針策定の参考にすることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 :サーバ装置
1a :記録媒体
2 :端末装置
2a :記録媒体
3 :血管撮影装置
4 :学習モデル
4a :入力層
4b :中間層
4c :出力層
11 :処理部
12 :通信部
13 :記憶部
14 :読み取り部
21 :制御部
22 :通信部
23 :記憶部
24 :表示部
25 :操作部
90 :入力画面
90a :術者ID表示部
90b :一致度基準入力フィールド
90c :患者ID入力フィールド
90d :患者画像データファイル名入力フィールド
91 :画面
91a :一致度基準表示部
91b :術者表示部
91c :患者ID表示部
91d :モデル番号表示部
91e :一致度表示部
91f :モデル画像表示部
91g :モデル動画表示部
91h :デバイス一覧表示部
91i :デバイス表示部
91j :受講詳細表示部
91k :アドバイス表示部
100 :情報処理システム
131 :訓練DB
132,232,332 :受講済血管モデルDB
N :ネットワーク
P1 :サーバプログラム
P2 :端末プログラム
図1
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