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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050100
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20240403BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20240403BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20240403BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240403BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240403BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/18
F24F8/167
F24F8/108 300
F24F8/80 155
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156725
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】柴原 雄右
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淳
(72)【発明者】
【氏名】福田 直生
(72)【発明者】
【氏名】大武 寛和
(72)【発明者】
【氏名】小西 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 章裕
(72)【発明者】
【氏名】冨山 彩弥香
(72)【発明者】
【氏名】森 聖也
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180CC03
4C180CC12
4C180DD03
4C180DD09
4C180EA27Y
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH14
4C180HH15
4C180HH19
4C180JJ05
4C180KK03
4C180KK05
4C180LL04
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】 フィルタが清掃を要することをユーザに知らせることが可能な空気処理装置を提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、空気処理装置は、筒状の筐体、筐体内に空気の流れを作り出すファン、筐体内に設けられた光触媒フィルタ、プレフィルタ、光源、ファン、センサ、及び、プロセッサを有する。プレフィルタは、筐体内において、光触媒フィルタの空気の流れの上流側に設けられる。光源は、光触媒フィルタに光を照射する。センサは、プレフィルタ及び光触媒フィルタの少なくとも一方の汚れ度合を検知する。プロセッサは、センサで検知した汚れ度合に基づいてプレフィルタ及び光触媒フィルタの少なくとも一方のメンテナンスタイミングをアラートする。
【選択図】 図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筐体と;
前記筐体内に空気の流れを作り出すファンと;
前記筐体内に設けられた光触媒フィルタと;
前記筐体内において、前記光触媒フィルタの前記空気の流れの上流側に設けられたプレフィルタと;
前記光触媒フィルタに光を照射する光源と;
前記プレフィルタ及び前記光触媒フィルタの少なくとも一方の汚れ度合を検知するセンサと;
前記センサで検知した前記汚れ度合に基づいて前記プレフィルタ及び前記光触媒フィルタの少なくとも一方のメンテナンスタイミングをアラートするプロセッサと;
を有する空気処理装置。
【請求項2】
前記光源は、前記光触媒フィルタの前記空気の流れの下流側に設けられ、
前記センサは、前記光触媒フィルタの前記空気の流れの上流側に設けられ、前記光源からの光量を検知するフォトセンサを有する、請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記光源は、前記光触媒フィルタの前記空気の流れの下流側に設けられ、
前記センサは、前記プレフィルタの前記空気の流れの上流側に設けられ、前記光源からの光量を検知するフォトセンサを有する、請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記センサは、風速センサを用いる、請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記センサは、前記光触媒フィルタ及び前記プレフィルタの少なくとも一方を撮像する画像センサを用いる、請求項1に記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気処理装置は、周囲の空気を筐体内に取り込んで、筐体内に配置した光源から紫外線を光触媒フィルタの表面に照射して、光触媒フィルタの表面を通る空気や、光触媒フィルタの周囲の空気を除菌し、その空気を筐体の外部に排出する。このような空気処理装置においては、長期間動作していると、光触媒フィルタが汚れてしまい空気処理性能が低下してしまうため、光触媒フィルタを洗浄し、光触媒フィルタに付着したゴミを落とす必要がある。そして、この光触媒フィルタの洗浄時期を使用者に適切に通知することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6965271号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、フィルタが清掃を要することをユーザに知らせることが可能な空気処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、空気処理装置は、筒状の筐体、筐体内に空気の流れを作り出すファン、筐体内に設けられた光触媒フィルタ、プレフィルタ、光源、ファン、センサ、及び、プロセッサを有する。プレフィルタは、筐体内において、光触媒フィルタの空気の流れの上流側に設けられる。光源は、光触媒フィルタに光を照射する。センサは、プレフィルタ及び光触媒フィルタの少なくとも一方の汚れ度合を検知する。プロセッサは、センサで検知した汚れ度合に基づいてプレフィルタ及び光触媒フィルタの少なくとも一方のメンテナンスタイミングをアラートする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、フィルタが清掃を要することをユーザに知らせることが可能な空気処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る空気処理装置を示す概略的な斜視図である。
図2図2は、図1に示す空気処理装置の一点鎖線の符号IIで示すあるZX平面から+Y軸方向を見た断面図である。
図3図3は、図1に示す空気処理装置の要素を示す概略図である。
図4図4は、図1に示す空気処理装置のプレフィルタを示す図である。
図5図5は、図1に示す空気処理装置の光触媒フィルタユニットを示す図である。
図6図6は、図1に示す空気処理装置のコントローラの概略的なブロック図である。
図7図7は、図1に示す空気処理装置のコントローラを用いた制御フローを示す図である。
図8図8は、図7に続く制御フローを示す図である。
図9図9は、図8に続く制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る空気処理装置100においては、空気処理装置100内の除菌・脱臭エリア(除菌処理部)112内に紫外線を照射することで、除菌・脱臭エリア112内に流通もしくは滞在する空気を除菌、殺菌、もしくは滅菌することが可能である。空気を除菌、殺菌、滅菌とは、空気内に存在する菌やウイルス、におい物質などを不活化したり、吸着したりすることをいう。また、以下の実施形態においては除菌を例に用いて説明を行うが、「除菌」の用語は、「殺菌」ないし「滅菌」に置き換えることが可能である。
【0009】
実施形態の空気処理装置(100)は、筒状の筐体(102)と、ファン(118)と、筐体(102)内に設けられた光触媒フィルタ(110a)と、プレフィルタ(108)と、光源(134)と、センサ(124)と、プロセッサ(142)とを有する。ファン(118)は、筐体(102)内に空気の流れを作り出す。プレフィルタ(108)は、筐体(102)内において、光触媒フィルタ(110a)の空気の流れの上流側に設けられる。光源(134)は、光触媒フィルタ(110a)に光を照射する。センサ(124)は、プレフィルタ(108)及び光触媒フィルタ(110a)の少なくとも一方の汚れ度合を検知する。プロセッサ(142)は、センサ(124)で検知した汚れ度合に基づいてプレフィルタ(108)及び光触媒フィルタ(110a)の少なくとも一方のメンテナンスタイミングをアラートする。
このため、フィルタ(108;110a)が清掃を要することをユーザに知らせることが可能な空気処理装置(100)が提供される。
【0010】
実施形態に係る空気処理装置(100)の光源(134)は、光触媒フィルタ(110a)の空気の流れの下流側に設けられる。また、センサ(124)は、光触媒フィルタ(110a)の空気の流れの上流側に設けられ、光源(110a)からの光量を検知するフォトセンサを有する。
光触媒フィルタ(110a)を通る光の透過度の変化等を取得することで、光触媒フィルタ(110a)の汚れ度合を判定し、光触媒フィルタ(110a)のメンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0011】
実施形態に係る空気処理装置(100)の光源(134)は、光触媒フィルタ(110a)の空気の流れの下流側に設けられる、また、センサ(124)は、プレフィルタ(108)の空気の流れの上流側に設けられ、光源(134)からの光量を検知するフォトセンサを有する。
光触媒フィルタ(110a)及びプレフィルタ(108)を通る光の透過度の変化等を取得することで、光触媒フィルタ(110a)及びプレフィルタ(108)の汚れ度合を判定し、光触媒フィルタ(110a)及びプレフィルタ(108)のメンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0012】
実施形態に係る空気処理装置(100)のセンサ(124)は、風速センサを用いる。
風速センサ(124)は、センサ(124)に当たる位置に流れる空気の流速を計測することができる。風速センサ(124)が配置される位置は、筐体(102)内でもよく、筐体(102)外でもよい。例えば、ファン(118)が単位時間あたり、所定の回転量のときに、プレフィルタ(108)、光触媒フィルタ(110a)が汚れているときには、単位時間あたりの風量が減る。これを検知することで、光触媒フィルタ(110a)及びプレフィルタ(108)の汚れ度合を判定し、光触媒フィルタ(110a)及びプレフィルタ(108)のメンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0013】
実施形態に係る空気処理装置(100)のセンサ(124)は、光触媒フィルタ(110a)及びプレフィルタ(108)の少なくとも一方を撮像する画像センサを用いる。
このため、光触媒フィルタ(110a)及び/又はプレフィルタ(108)の画像情報から、メンテナンスの要否を判断し、メンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る空気循環式の空気処理装置100を示す概略的な斜視図である。実施形態に係る空気処理装置100は、例えば住居内、オフィス環境、医療施設・介護施設、飲食店、宿泊施設、トイレブースなど、種々の場所に置かれる。空気処理装置100に対し、図1に示すように、XYZ直交座標系を設定する。
【0016】
なお、図2は、図1中の符号IIで示す位置の概略的な断面図である。図3は、空気処理装置100の模式図である。図4は、空気処理装置100のプレフィルタ108の概略図である。図5は、空気処理装置100の光触媒フィルタユニット110の概略図である。図6は、コントローラ122の概略的なブロック図である。
【0017】
図7から図9は、コントローラ122により行われる実施形態に係る空気処理装置100の制御フローチャートの一例である。
【0018】
図1から図3に示すように、空気処理装置100は、筐体102と、吸気口104と、第1の遮光グリル106と、プレフィルタ108と、光触媒フィルタユニット(光触媒フィルタアセンブリ)110と、除菌・脱臭エリア112と、光源部114と、第2の遮光グリル116と、ファン118と、排気口120と、コントローラ122と、センサ124とを有する。
【0019】
筐体102は、筒状に形成される。本実施形態では、略略直方体の矩形筒状に形成される。本実施形態では、筐体102の下端が吸気口104として開放され、上端が排気口120として開放される。なお、筐体102の外側の大きさは、一例として、X軸方向に沿う幅が310mm、Y軸方向に沿う奥行きが130mm、Z軸方向沿う高さが800mmである。
【0020】
筐体102の下端の吸気口104の上側(下流側)には、第1の遮光グリル106が設けられる。第1の遮光グリル106は、筐体102の内側のXY平面の全面を覆うように形成される。第1の遮光グリル106は、吸気口104、第1の遮光グリル106を通して本実施形態では上側への空気の流れを許容するが、光源部114の後述する光源134からの光が下側に漏れることを抑制又は防止する。第1の遮光グリル106として、略L字状又は略「く」字状に曲げられた多数の板が、筐体102の幅方向に並べられている。
【0021】
第1の遮光グリル106の上側(空気の流れの下流側)には、プレフィルタ108が設けられる。図4に示すように、プレフィルタ108は、筐体102の内側のXY平面の全面を覆うようにメッシュ状に形成される。プレフィルタ108は、一例として、金属材で形成され、幅が300mm、奥行きが120mmの略矩形状で、線径Φ0.16mm、50メッシュとすることができる。
【0022】
なお、プレフィルタ108は、筐体102から前面パネル102aが取り外された状態で、筐体102に対して着脱可能である。プレフィルタ108は、例えば-Y軸方向に動かすことにより、筐体102の前面から取り外すことができ、+Y軸方向に動かすことにより、筐体102の前面から取り付けることができる。プレフィルタ108は、例えば+X軸方向に動かすことにより、筐体102の側面から取り外すことができ、-X軸方向に動かすことにより、筐体102の側面から取り付けることができるように構成されていてもよい。±X軸方向は反対であってもよい。
【0023】
プレフィルタ108の上側(空気の流れの下流側)には、光触媒フィルタユニット110が設けられる。光触媒フィルタユニット110は、幅が300mm、奥行きが120mmの略矩形状に形成される。
【0024】
なお、光触媒フィルタユニット110は、筐体102から前面パネル102aが取り外された状態で、筐体102に対して着脱可能である。光触媒フィルタユニット110もプレフィルタ108と同様に、例えば-Y軸方向に動かすことにより、筐体102の前面から取り外すことができ、+Y軸方向に動かすことにより、筐体102の前面から取り付けることができる。光触媒フィルタユニット110は、例えば+X軸方向に動かすことにより、筐体102の側面から取り外すことができ、-X軸方向に動かすことにより、筐体102の側面から取り付けることができるように構成されていてもよい。±X軸方向は反対であってもよい。
【0025】
図5に示すように、光触媒フィルタユニット110は、例えば3つの光触媒フィルタ110aと、光触媒フィルタ110aを支持する枠体110bとを有する。
【0026】
光触媒フィルタ110aは、表面(上面)と背面(下面)とを接続する複数(無数)の孔を有する母材と、母材の表面に担持された光触媒とを備え、例えば矩形板状又は矩形シート状に形成される。そして、板状の光触媒フィルタ110aのうち、最も大きい面積の領域である表面は、光源134に対向する。
【0027】
光触媒フィルタ110aの母材は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料(セラミックス)で形成される。光触媒は、例えば酸化チタンや酸化タングステン等の金属酸化物で形成される。光触媒フィルタ110aは、例えば多孔質で、本実施形態では上下方向に通気性を有する状態に形成されるが、上下方向に紫外線(UV-A及びUV-C)を適宜に遮光する状態に形成されることが好適である。光触媒フィルタユニット110は、例えばUV-A、UV-Cなどの光を遮光し、かつ、プレフィルタ108を通した空気が光触媒フィルタユニット110を通して上側に流れるように形成される。光触媒フィルタ110aは、例えば光源134からの距離や、光源134からの光量との関係で、適宜の厚さで適宜の空隙率に形成される。本実施形態では、寸法□100mm、高さ8mm、穴径3mmのセラミック板が長手方向(X軸方向)に3つ並べて配置される。
【0028】
光触媒フィルタユニット110の上側(空気の流れの下流側)には、除菌・脱臭エリア(空気処理部)112が設けられる。除菌・脱臭エリア112は、本実施形態では、略直方体状の空間として形成される。除菌・脱臭エリア112の内壁は、光源部114の光源134からの光を吸収し難く、適宜に反射するように形成されることが好適である。
【0029】
除菌・脱臭エリア112の上部(空気の流れの下流側)には、光源部114が設けられる。光源部(LED光源部)114は、除菌・脱臭エリア112の上端の近傍に設けられる。光源部114は、例えば2列等に並べられる光源基板132と、光源134とを有する。光源基板132は、Y軸方向(短手方向)に離間し、X軸方向(長手方向)に延出する。光源基板132は、コントローラ122に電気的に接続される。光源基板132は、1列であってもよく、3列以上であってもよい。
【0030】
本実施形態では、光源部114の光源基板132には、発光方向が下向きとなる複数の光源134が設けられる。光源134は、除菌・脱臭エリア112の空気に対して、紫外線として、UV-A、及び、UV-Cを照射する。なお、光源134は、UV-Aを発する光源と、UV-Cを発する光源とを含む。UV-Aを発する光源、及び、UV-Cを発する光源は、例えばLEDで形成される。
【0031】
なお、UV-Aは、ピーク波長が例えば320nm以上400nm以下の第1の紫外線であり、光触媒フィルタユニット110の表面を照明するために用いられる。UV-Cは、ピーク波長が例えば200nm以上320nm以下の第2の紫外線であり、除菌・脱臭エリア112の空間内を通る空気にまんべんなく照射して、空気の除菌処理を行うために用いられる。
【0032】
光源部114の上側(空気の流れの下流側)には、第2の遮光グリル116が設けられる。第2の遮光グリル116は、筐体102の内側のXY平面の全面を覆うように形成される。第2の遮光グリル116は、吸気口104、第1の遮光グリル106、プレフィルタ108、光触媒フィルタユニット110、除菌・脱臭エリア112、光源部114を通して本実施形態では上側への空気の流れを許容するが、光源134からの光が上側に漏れることを抑制又は防止する。第2の遮光グリル116として、略L字状又は略「く」字状に曲げられた多数の板が、筐体102の幅方向に並べられている。
【0033】
第2の遮光グリル116の上側(空気の流れの下流側)には、1対のファン118がX軸方向(長手方向)に並べられている。ファン118は、筐体102内で、筐体102の上部と下部との間の中間部分より上部側に配設される。本実施形態では、2つのファン118を用いる例について説明する。ファンの数は、1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0034】
1対のファン118は、一例として、羽根、フレーム部ともに樹脂であり、寸法□120mm、高さ38mmの軸流方向式のものを用いることができる。
【0035】
1対のファン118は、コントローラ122に電気的に接続される。本実施形態では、1対のファン118は、コントローラ122に制御されながら回転し、筐体102内に、1対のファン118の下側から上側に向かう空気の流れを作り出す。すなわち、本実施形態では、1対のファン118は、筐体102の下側の吸気口104から空気を吸い、上側の排気口120から空気を排気する。1対のファン118は、例えば同じ構造であり、同じ方向に回転する。1対のファン118の中心軸Cの仮想的な延長線は、吸気口104及び排気口120を貫通するように配置される。
【0036】
1対のファン118の上側(空気の流れの下流側)には、排気口120及びコントローラ122が設けられる。本実施形態では、空気処理装置100の上端のうち、コントローラ122と、排気口120とが短手方向(Y軸方向)に並べられている。コントローラ122は、排気口120に対して-Y軸方向に配置される。
【0037】
排気口120は、格子状等に形成され、ユーザの指等がファン118に到達しないように形成される。
【0038】
図6は、実施形態に係る空気処理装置100のコントローラ(コンピュータ)122の一例を示すブロック図である。
【0039】
コントローラ122は、長手方向に延びる操作パネル(基板)141と、プロセッサ(制御部)142と、ROM(記憶部)143と、RAM144と、補助記憶デバイス(記憶部)145と、通信インタフェース(通信部)146と、入力部(各種スイッチ)147と、出力部(ディスプレイ)148とを有する。
【0040】
プロセッサ142は、コントローラ122の処理に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当し、コントローラ122全体を統合的に制御する。プロセッサ142は、ROM143又は補助記憶デバイス145などの記憶部に記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、コントローラ122の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ142は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、DSP(digital signal processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含む。あるいは、プロセッサ142は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。コントローラ122に設けられるプロセッサ142は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0041】
ROM143は、プロセッサ142を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM143は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM143は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM143は、プロセッサ142が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0042】
RAM144は、プロセッサ142を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM144は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM144は、プロセッサ142が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0043】
補助記憶デバイス145は、プロセッサ142を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス145は、例えばフラッシュメモリ、HDD(hard disk drive)又はSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス145は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス145は、プロセッサ142が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ142での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0044】
ROM143又は補助記憶デバイス145に記憶されるプログラムは、コントローラ122を制御するためのプログラムを含む。例えば、プレフィルタ108、及び/又は、光触媒フィルタユニット110のメンテナンスを判断するプログラムは、ROM143又は補助記憶デバイス145に記憶されることが好適である。
【0045】
通信インタフェース146は、ネットワークなどを介して他の装置と有線又は無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。コントローラ122は、通信インタフェース146を介してセンサ124で取得する電気信号を取得する。また、コントローラ122は、通信インタフェース146を介して、ユーザのスマートフォンやタブレット端末等の端末に信号を送ることができる。
【0046】
コントローラ122には、入力部147が接続される。入力部147は、通信インタフェース146を介して無線で各種の情報をプロセッサ142に対して入力可能としてもよい。
【0047】
コントローラ122は、ROM143及び/又は補助記憶デバイス145等に記憶されるプログラム等をプロセッサ142に実行させることにより、各種の機能を発揮させる処理を実行する。なお、コントローラ122の制御プログラムは、コントローラ122のROM143及び/又は補助記憶デバイス145に記憶されておらず、適宜のサーバー上やクラウド上に置かれていることも好適である。この場合、制御プログラムは、通信インタフェース146を介して例えば空気処理装置100が有するプロセッサ142と通信しながら実行される。すなわち、本実施形態に係るコントローラ122は、空気処理装置100が有していてもよく、空気処理装置100から離れた、空気処理装置100のメーカーのシステムのサーバーやクラウド上にあってもよい。このため、ROM143又は補助記憶デバイス145に記憶されるのではなく、サーバー又はクラウド上に、プレフィルタ108、及び/又は、光触媒フィルタユニット110のメンテナンスを判断するプログラムがあり、通信インタフェース146を介して例えば空気処理装置100が有するプロセッサ142と通信しながらプログラムが実行されることも好適である。したがって、プロセッサ142(コントローラ122)は、プレフィルタ108、及び/又は、光触媒フィルタユニット110のメンテナンスを判断するプログラムを実行し得る。
【0048】
プロセッサ142(コントローラ122)は、光源部114、ファン118等を制御する。
【0049】
操作パネル141は、略長方形状に形成される。入力部147は、各種のスイッチとして例えば4つの押圧ボタン(操作ボタン)147a,147b,147c,147dを有する。操作パネル141には、入力部147として、例えば4つの押圧ボタン(操作ボタン)147a,147b,147c,147dが設けられる。4つの押圧ボタン147a,147b,147c,147dは、操作パネル141の長辺端間に長手方向(X軸方向)に沿う方向に例えば等間隔に並べられている。4つの押圧ボタン147a,147b,147c,147dの押圧方向は、下向き(吸気口104側)である。なお、4つの押圧ボタン147a,147b,147c,147dには、適宜に機能が設定される。
【0050】
第1の押圧ボタン147aは、例えば電源のON/OFFボタンとして設定される。第1の押圧ボタン147aが例えば1回押圧されると、空気処理装置100の電源のON/OFFが切り換えられる。
【0051】
第2の押圧ボタン147bは、例えば風量切替ボタンとして設定される。第2の押圧ボタン147bが押圧されると、1対のファン118の回転速度を制御し、例えば押圧回数に応じて排気口120から排出される風量が複数段階に切り換えられる。
【0052】
第3の押圧ボタン147cは、例えば除菌パワー切替ボタンとして設定される。第3の押圧ボタン147cが押圧されると、光源部114の光源134からのUV-Cの光量を制御し、例えば光源部114の光源134のUV-Cの光量の調整に基づく除菌パワーの強弱が押圧回数に応じて複数段階に切り換えられる。
【0053】
第4の押圧ボタン147dは、例えば脱臭機能オン/オフ、及び、脱臭パワー切替ボタンとして設定される。第4の押圧ボタン147dが押圧されると、光源部114の光源134からのUV-Aの光量を制御し、例えば光源部114の光源134のUV-Aの光量の調整に基づく脱臭パワーの強弱が押圧回数に応じて複数段階に切り替えられる。なお、光源部114の光源134の光量の調整により、脱臭機能のオン/オフを切り替えることができる。
【0054】
出力部148は、例えばディスプレイ又はインジケータ等として形成される。図1中、出力部148は、例えばディスプレイとして示す。ディスプレイ148には、例えばプレフィルタ108のメンテナンス表示、光触媒フィルタユニット110のメンテナンス表示を示すことができる。出力部148としては、空気処理装置100と通信インタフェース146を介して通信される、ユーザのスマートフォンやタブレット端末等の端末を用いることができる。
【0055】
本実施形態では、センサ124は、プレフィルタ108と第1の遮光グリル106との間に設けられる。センサ124は、光源134からの光量に基づいて電圧値等の出力値が変化するフォトセンサを用いることとする。
【0056】
なお、このような空気処理装置100の筐体102の下端は、台座126により支持されている。台座126は、筐体102の吸気口104との干渉を抑制するため、単位時間あたり、適宜の量の空気を吸気可能である。
【0057】
次に、本実施形態に係る空気処理装置100の作用について説明する。
【0058】
電源に接続された空気処理装置100は、入力部147の例えば第1の押圧ボタン147aを例えば1回押圧すると、オフの状態であった電源がオンに切り替えられる。電源がオンに切り替えられると、例えばコントローラ122を通して供給される電力により、光源部114の光源134が発光するとともに、1対のファン118が回転する。
【0059】
ファン118の回転により、吸気口104、第1の遮光グリル106、プレフィルタ108、光触媒フィルタユニット110を通して、空気が除菌・脱臭エリア112に吸気される。除菌・脱臭エリア112に入った空気は、ファン118の回転により、ファン118を通して排気口120から排気される。このとき、吸気口104から筐体102内に入った空気は、筐体102内を、第1の遮光グリル106、プレフィルタ108、光触媒フィルタユニット110、除菌・脱臭エリア112、第2の遮光グリル116を通して略真っ直ぐに移動し、排気口120から排出される。このため、空気処理装置100内に空気の流れを大きく曲げる箇所がなく、空気処理装置100内を流れる空気に圧力損失を生じることを抑制することができる。
【0060】
このように、空気処理装置100は、空気処理装置100の外側の吸気口104から、空気処理装置100の周囲の空気を空気処理装置100内に取り込む。光源134からは、除菌・脱臭エリア112内を通してUV-Aが光触媒フィルタユニット110の表面に向かって照射される。このとき、光触媒フィルタユニット110の表面(上面)では、UV-Aを吸収し、活性酸素とOHラジカルを生成し、生成した活性酸素とOHラジカルによって、光触媒フィルタユニット110を通る空気や光触媒フィルタユニット110周囲の空気に含まれる菌、ウイルス、臭い物質を水と二酸化炭素に分解したり、ウイルスや菌(細菌)の活動を抑制したりする。このため、光触媒フィルタユニット110の表面にUV-Aが照射されると、UV-Aを吸収し、光触媒フィルタユニット110を通る空気の除菌、脱臭効果を発揮する。したがって、光触媒フィルタユニット110を通る空気は、除菌、脱臭されながら除菌・脱臭エリア112内に入る。
【0061】
光源134からは、UV-Cが除菌・脱臭エリア112内に照射される。UV-Cは、除菌・脱臭エリア112内の反射光を用いて除菌・脱臭エリア112内の広い範囲に照射される。このため、除菌・脱臭エリア112内の空気には、UV-Cがまんべんなく照射される。このとき、UV-Cの照射により、光触媒を用いて除菌、脱臭された後の除菌・脱臭エリア112内の空気に含まれるウイルスや菌(細菌)の活動を抑制し、除菌効果を発揮する。
【0062】
除菌・脱臭エリア112内を大きな空間とし、UV-Cを広い空間内に照射し続けることにより、除菌・脱臭エリア112内を通る空気が除菌・脱臭エリア112内に存在している間中、除菌することができる。このため、UV-Cにより効果的に除菌効果を発揮し、除菌した空気を排気口120から排出することができる。
【0063】
本実施形態の光源134が発光し続ける間、空気処理装置100は、光源134の発光によるUV-Aを用いた光触媒フィルタユニット110での物質の分解による除菌、脱臭効果と、UV-Cを用いた除菌効果とを発揮し続ける。このため、空気処理装置100は、光触媒フィルタユニット110を通す空気の除菌と、除菌・脱臭エリア112の空間内の空気の除菌とのダブル効果により、空気をより効果的に除菌することができる。
【0064】
なお、光源134からのUV-Aが光触媒フィルタユニット110の表面を照らすとき、UV-Aは、光触媒フィルタユニット110の表面に全てが吸収されるわけではなく、一部が透過し、残りの一部が光触媒フィルタユニット110の表面で反射する可能性がある。光触媒フィルタユニット110の表面で反射したUV-Aの一部は、除菌・脱臭エリア112内の空間を通して光源部114側に向かう可能性がある。ここで、光の強さは、光源からの距離の2乗に反比例する。本実施形態では、筐体102はZ軸方向に沿う縦長に形成されている。このため、光触媒フィルタユニット110の表面で反射したUV-Aは、光源部114の近傍に近づくにつれて減衰する。
【0065】
本実施形態では、仮に、UV-A、UV-Cが除菌・脱臭エリア112の上側に到達したとき、除菌・脱臭エリア112及び光源部114の上側には、第2の遮光グリル116が存在する。このため、UV-A、UV-Cは、第2の遮光グリル116で反射し、UV-A、UV-Cが第2の遮光グリル116から上側に到達することを防止する。
【0066】
また、光触媒フィルタユニット110の表面に照射したUV-A及びUV-Cの少なくとも一部は、光触媒フィルタユニット110の下側のプレフィルタ108、さらには、第1の遮光グリル106に到達し得る。このとき、UV-A、UV-Cは、第1の遮光グリル106で反射する。このため、UV-A、UV-Cは、第1の遮光グリル106から下側に到達することを防止する。
【0067】
このように、ファン118の回転、光源134の発光により、空気処理装置100は、吸気口104から空気を取り込み、筐体102を通しながら吸気口104を通した空気を連続的に除菌、脱臭しながら、排気口120から排気し続けることができる。
【0068】
プレフィルタ108は、通常の使用では、例えば1カ月に1回程度など、定期的に掃除機等でゴミを取り除くことが求められる。また、光触媒フィルタユニット110は、通常の使用では、例えば3カ月に1回程度など、定期的に水につけ置き洗浄することが求められる。すなわち、プレフィルタ108、及び、光触媒フィルタユニット110は、それぞれ定期的にメンテナンスすることが求められる。そして、プレフィルタ108を定期的にメンテナンスする場合、3回に1回は、光触媒フィルタユニット110のメンテナンス時期と重なることとなる。
【0069】
例えば空気処理装置100が設置される環境等によっては、空気処理装置100の性能低下を防止するため、それよりも早期にプレフィルタ108及び/又は光触媒フィルタユニット110のメンテナンス(プレフィルタ108の掃除、及び/又は、光触媒フィルタユニット110の洗浄)が必要になる場合が生じる。
【0070】
プレフィルタ108及び/又は光触媒フィルタユニット110のメンテナンスを行う場合、筐体102に取り付けられた前面パネル102aが取り外される。筐体102に取り付けられた前面パネル102aが取り外される場合、コントローラ122は、図示しない接触センサ等のセンサの検知により、筐体102から前面パネル102aが取り外されたと判断する。筐体102から前面パネル102aが取り外されたと判断した直後、コントローラ122は、第1の押圧ボタン147aの押圧による電源OFFが行われなくても、光源134からの発光を停止させる。筐体102から前面パネル102aが一旦取り外された後、筐体102に前面パネル102aが適切に取り付けられる前は、コントローラ122は、第1の押圧ボタン147aの押圧を機能させない。筐体102に前面パネル102aが適切に取り付けられた後、コントローラ122は、第1の押圧ボタン147aの押圧を機能させる。
【0071】
プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110は、筐体102から前面パネル102aが取り外された状態で、筐体102に対して着脱可能である。
【0072】
筐体102と前面パネル102aとの関係を、プレフィルタ108に適用してもよい。筐体102と前面パネル102aとの関係を、光触媒フィルタユニット110に適用してもよい。例えば、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の両方又は一方が筐体102に適切に取り付けられていない場合、筐体102に前面パネル102aが適切に取り付けられても、コントローラ122は、第1の押圧ボタン147aの押圧を機能させない。プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の両方が筐体102に適切に取り付けられ、筐体102に前面パネル102aが取り付けられた後、コントローラ122は、第1の押圧ボタン147aの押圧を機能させる。
【0073】
このような機能は、例えば筐体102に配置される、プレフィルタ108との接触センサ、光触媒フィルタユニット110との接触センサを用いることで実施可能となり得る。これら接触センサは、コントローラ122で制御可能である。
【0074】
光触媒フィルタユニット110の光触媒フィルタ110aの汚れは主に、触媒と反応して生成される分解生成物や不純物等、及び、流入される空気に含まれている異物(コンタミネーション)等の堆積である。異物等の量を勘案することは難しいことが想定されるため、空気処理装置100に流入される微小な異物を効率良いタイミングで光触媒フィルタユニット110から除去することで、光触媒フィルタ110aの性能が維持される。
【0075】
なお、空気処理装置100に流入される異物は、吸気口104、プレフィルタ108、光触媒フィルタユニット110の順に流入されるため、プレフィルタ108の汚れ度合は、光触媒フィルタユニット110の汚れ度合と一定の相関関係を有すると想定される。そのため、本実施形態では、プレフィルタ108の汚れ度合をセンサ124で検知することで、光触媒フィルタユニット110のメンテナンスタイミングをアラートする。このため、本実施形態に係る空気処理装置100は、プレフィルタ108及び/又は光触媒フィルタユニット110のメンテナンスの要否を出力する機能を有する。
【0076】
例えば、コントローラ122は、工場出荷前の製品チェック時等に、空気処理装置100の新品状態で、光源134から所定光量の光(UV-C及び/又はUV-A)を出射させ、その光をセンサ124で取得させる。コントローラ122は、このときにセンサ124で取得した光量を初期値(基準値)とし、ROM143及び/又は補助記憶デバイス145等の記憶部(メモリ)に記憶させておく(ST101)。又は、コントローラ122は、工場出荷後、空気処理装置100の使用開始時に、光源134から所定光量の光を出射させ、その光をセンサ124で取得させる。コントローラ122は、このときにセンサ124で取得した光量を初期値(基準値)とし、記憶部(メモリ)に記憶させておく(ST101)。
【0077】
なお、所定光量の光は、光源134がUV-C及びUV-Aとは異なる光を出射するものであれば、その光をフィルタのメンテナンスの要否の判断用の光として用いてもよい。
【0078】
そして、空気処理装置100の使用開始後、コントローラ122は、例えば数時間や、数日などの所定の時間間隔で、光源134から所定光量の光を出射させ、その光をセンサ124で取得させ、基準値に対するその光量の低下量、又は、低下割合を取得する(ST102)。コントローラ122は、記憶部に記憶させた光量の、基準値に対する低下量、又は、基準値に対する低下割合が所定値を超えたか否か出力する(ST103)。すなわち、コントローラ122は、プレフィルタ108の清掃が必要か否か判断する。なお、基準値に対する低下量、又は、基準値に対する低下割合は、例えば工場からの出荷時に予め設定され、記憶部に記憶されている。
【0079】
なお、コントローラ122は、光源134から所定光量の光を出射させ、その光をセンサ124で取得させたとき、その時間と、出力値とを、記憶部に記憶させる。これは、後述するST107、ST112でも同様である。
【0080】
コントローラ122は、プレフィルタ108の清掃が必要と判断したとき(ST103-Yes)、図1に示す操作パネル141に設けられた出力部148としてのディスプレイ等にその旨を表示させる。または、コントローラ122は、通信インタフェース146を介して、空気処理装置100のユーザの端末に、「空気処理装置のメンテナンスのお知らせ」等として通知させる。すなわち、コントローラ122は、プレフィルタ108の清掃が必要とのアラートを発生させる(ST104)。
【0081】
なお、ST103において、コントローラ122がプレフィルタ108の清掃が不要と判断したとき(ST103-No)、適宜の時間の経過後、再びST102の処理をやり直す。
【0082】
ST104においてアラートを発生させた後、プレフィルタ108が取り外され、取り付けられ、筐体102に前面パネル102aが取り付けられる際、空気処理装置100の電源はOFFとなる。その後、第1の押圧ボタン147aの押圧により、空気処理装置100の電源がONに切り替えられる。コントローラ122は、再び、光源134から所定光量の光を出射させ、その光をセンサ124で取得させ、ST102において取得したセンサ124の出力値に対する、その取得した出力値の上昇量、上昇割合等の変化を取得する。すなわち、コントローラ122は、プレフィルタ108が清掃されたか否か、判断する(ST105)。
【0083】
プレフィルタ108が清掃されたと判断した場合(ST105-Yes)、プレフィルタ108の第1回目の清掃をカウントする(ST106)。そして、コントローラ122は、アラートの出力(プレフィルタ108の清掃が必要である旨のアラートの出力)を停止する。
【0084】
センサ124の出力値の上昇変化が所定値以下であった場合(ST105-No)、プレフィルタ108の掃除がされていない、又は、不十分であったと判断し、アラートの出力(プレフィルタ108の清掃が必要である旨のアラートの出力)を継続する。
【0085】
そして、再び、ST104におけるアラートの出力から適宜の時間の経過後、コントローラ122は、センサ124の出力値を初期値、及び、ST102での出力値と比較する(ST107)。
【0086】
コントローラ122は、記憶部に記憶させた光量の、基準値(初期値)に対する低下量、又は、基準値に対する低下割合が所定値を超えたか否か出力する(ST108)。または、センサ124で前回取得した光量の出力値に対する低下量又はその出力値に対する低下割合が所定値を超えたか否か出力する。すなわち、コントローラ122は、プレフィルタ108の清掃が必要か否か判断する。
【0087】
コントローラ122は、プレフィルタ108の清掃が必要と判断したとき(ST108-Yes)、出力部148としてのディスプレイ等にその旨を表示させる。または、コントローラ122は、通信インタフェース146を介して、空気処理装置100のユーザの端末に、「空気処理装置のメンテナンスのお知らせ」等として通知させる。すなわち、コントローラ122は、プレフィルタ108の清掃が必要とのアラートを発生させる(ST109)。
【0088】
なお、ST108において、コントローラ122がプレフィルタ108の清掃が不要と判断したとき(ST108-No)、適宜の時間の経過後、再びST107の処理をやり直す。このときの出力値は、例えば、基準値、又は、ST102でプレフィルタ108の清掃が必要と判断した出力値を用いて比較を行う。
【0089】
ST109においてアラートを発生させた後、プレフィルタ108が取り外され、取り付けられ、筐体102に前面パネル102aが取り付けられる際、空気処理装置100の電源はOFFとなる。その後、第1の押圧ボタン147aの押圧により、空気処理装置100の電源がONに切り替えられる。コントローラ122は、再び、光源134から所定光量の光を出射させ、その光をセンサ124で取得させ、ST107において取得したセンサ124の出力値に対し、その取得した出力値の上昇量、上昇割合等の変化を取得する。すなわち、コントローラ122は、プレフィルタ108が清掃されたか否か、判断する(ST110)。
【0090】
プレフィルタ108が清掃されたと判断した場合(ST110-Yes)、プレフィルタ108の第2回目の清掃をカウントする(ST111)。そして、コントローラ122は、アラートの出力(プレフィルタ108の清掃が必要である旨のアラートの出力)を停止する。
【0091】
センサ124の出力値の上昇変化が所定値以下であった場合(ST110-No)、プレフィルタ108の掃除がされていない、又は、不十分であったと判断し、アラートの出力(プレフィルタ108の清掃が必要である旨のアラートの出力)を継続する。
【0092】
そして、再び、ST109におけるアラートの出力から適宜の時間の経過後、コントローラ122は、センサ124の出力値を初期値、及び、ST107での出力値と比較する(ST112)。
【0093】
コントローラ122は、記憶部に記憶させた光量の、基準値(初期値)に対する低下量、又は、基準値に対する低下割合が所定値を超えたか否か出力する(ST113)。または、センサ124で前回取得した光量の出力値に対する低下量又はその出力値に対する低下割合が所定値を超えたか否か出力する。ここでは、コントローラ122は、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の清掃が必要か否か判断する。
【0094】
コントローラ122は、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の清掃が必要と判断したとき(ST113-Yes)、出力部148としてのディスプレイ等にその旨を表示させる。または、コントローラ122は、通信インタフェース146を介して、空気処理装置100のユーザの端末に、「空気処理装置のメンテナンスのお知らせ」等として通知させる。すなわち、コントローラ122は、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の清掃が必要とのアラートを発生させる(ST114)。このため、コントローラ122は、光触媒フィルタユニット110の洗浄時期を使用者に適切に通知する。
【0095】
なお、ST1113において、コントローラ122がプレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の清掃が不要と判断したとき(ST113-No)、適宜の時間の経過後、再びST112の処理をやり直す。このときの出力値は、例えば、基準値、又は、ST107でプレフィルタ108の清掃が必要と判断した出力値を用いて比較を行う。
【0096】
ST114においてアラートを発生させた後、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110が取り外され、取り付けられ、筐体102に前面パネル102aが取り付けられる際、空気処理装置100の電源はOFFとなる。その後、第1の押圧ボタン147aの押圧により、空気処理装置100の電源がONに切り替えられる。コントローラ122は、再び、光源134から所定光量の光を出射させ、その光をセンサ124で取得させ、ST112において取得したセンサ124の出力値に対し、その取得した出力値の上昇量、上昇割合等の変化を取得する。すなわち、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110が清掃されたか否か、判断する(ST115)。
【0097】
プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110が清掃されたと判断した場合(ST115-Yes)、プレフィルタ108の第3回目の清掃、光触媒フィルタユニット110の第1回目の清掃をカウントする(ST116)。そして、コントローラ122は、アラートの出力(プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の清掃が必要である旨のアラートの出力)を停止する。
【0098】
センサ124の出力値の上昇変化が所定値以下であった場合(ST115-No)、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の掃除がされていない、又は、不十分であったと判断し、アラートの出力(プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の清掃が必要である旨のアラートの出力)を継続する。
【0099】
その後、コントローラ122は、ST102の処理に戻す。又は、コントローラ122は、ST112の処理に戻してもよい。
【0100】
なお、コントローラ122は、空気処理装置100の使用開始から、プレフィルタ108の定期メンテナンス時期である例えば1カ月経過する前に上述した処理を開始する。ST103において、空気処理装置100の使用開始から1カ月の間、コントローラ122がプレフィルタ108の清掃が必要と判断しなかった場合、コントローラ122は、定期メンテンナンスを行う時期に、アラートの出力(プレフィルタ108の清掃が必要である旨のアラートの出力)を行う。
【0101】
このように、本実施形態に係る空気処理装置100のプレフィルタ108及び/又は光触媒フィルタユニット110は、使用環境毎に適切なタイミングでメンテナンスがアラートされ、効率の良いメンテナンスを実施できる。本実施形態に係る空気処理装置100のメンテナンスのアラートに沿ってプレフィルタ108及び/又は光触媒フィルタユニット110のメンテナンスを行うことで、空気処理装置100の性能を良好に維持することができる。本実施形態に係る空気処理装置100は、光触媒フィルタユニット110の洗浄時期を使用者に適切に通知することができる。
【0102】
本実施形態では、センサ124としてフォトセンサを採用することで、光触媒フィルタユニット110及びプレフィルタ108に対する、例えばUV-A及び/又はUV-Cの透過度からプレフィルタ108の汚れ状態を類推し、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110のメンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0103】
なお、フォトセンサ124は、例えばプレフィルタ108と光触媒フィルタユニット110との間に配置してもよい。また、UV-A、UV-Cの光源134とは別の可視光などの光源を、プレフィルタ108と光触媒フィルタユニット110との間、又は、光触媒フィルタユニット110の上側にセンサ124のための光源を配置してもよい。本実施形態では、センサ124をプレフィルタ108の空気の流れの上流側に設けることで、光源134からセンサ124を離すことができ、UV-A及びUV-Cの暴露量が抑制されるため、センサ124の劣化を抑制することができる。また、センサ124をプレフィルタ108の空気の流れの上流側に設けることで、プレフィルタ108の汚れと、光触媒フィルタユニット110の汚れと、をまとめて(合算して)判定することが可能となる。
【0104】
また、出力側の光源134を、光触媒を励起する除菌・脱臭用の紫外線光源(UV-A光源)または、除菌用の紫外線光源(UV-C光源)として兼ねることで、空気処理装置100のアラート発生機構を簡易、かつ安価に形成することができる。
【0105】
なお、ST102においてセンサ124で出力値を取得する時期は、空気処理装置100の使用開始から数分後、数時間後、数日後など、適宜に設定可能である。
【0106】
また、ST107、ST112においてセンサ124で出力値を取得する時期は、アラートの発生(ST104、ST109)から数時間後、数日後など、適宜に設定可能である。なお、プレフィルタ108のメンテナンスに比べて、光触媒フィルタユニット110のメンテナンスには時間がかかる可能性が高い。このため、ST107においてセンサ124で出力値を取得する時期は、アラートの発生(ST104)から数時間後としてもよいが、ST112においてセンサ124で出力値を取得する時期は、それよりも長く、アラートの発生(ST109)から数時間後又は数日後とすることが好適である。
【0107】
本実施形態では、図3に示すセンサ124の配置は、筐体102の内壁(側壁)の位置として示した。センサ124の位置は、筐体102の内側であれば、種々の配置が許容される。
【0108】
本実施形態では、出力部148としては、例えば空気処理装置100の操作パネル141に設けられるディスプレイ等を用いる例、空気処理装置100と通信インタフェース146を介して通信される、スマートフォンやタブレット端末等の端末を用いることができる例について説明した。出力部148は、これらの少なくとも一方があればよい。このため、空気処理装置100自体には、必ずしも、ユーザに視覚的にプレフィルタ108及び/又は光触媒フィルタユニット110の洗浄の要請を知らせる機能が不要となる可能性がある。
【0109】
センサ124は、上述した例では、フォトセンサを用いる例について説明したが、例えば風速センサ又は風量センサを用いることとする。風速センサ124は、そのセンサ124に当たる位置に流れる空気の流速を計測することができる。空気処理装置100のファン118を例えば定速回転させる。このとき、吸気口104から排気口120に流れる単位時間あたりの空気の量は一定となり得る。空気処理装置100の稼働直後を基準値(代表値)として記憶部(メモリ)に記憶させておく。その後、その基準値との風速の差を取得し、差が適宜の閾値を超えたときに、メンテナンスが必要とのアラートを発することができる。
したがって、例えばファン118が単位時間あたり、所定の回転量のときに、プレフィルタ108、光触媒フィルタ110aが汚れているときには、単位時間あたりの風量が減る。これを検知することで、光触媒フィルタ110a及びプレフィルタ108の汚れ度合を判定し、光触媒フィルタ110a及びプレフィルタ108のメンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0110】
なお、風速センサ124が配置される位置は、筐体102内でもよく、筐体102外でもよい。例えば、光源134とセンサ(風速センサ)124との間に第1の遮光グリル106が設けられる場合、第1の遮光グリル106は、光源134からの光を筐体102の外側に出すことを防止する。このため、光源134からの光が遮光される位置にセンサ124を配置することができる。したがって、光源134からの光として紫外線を用いる場合などにセンサ124が劣化しやすくなることを抑制することができる。
【0111】
また、センサ124は、画像センサ(撮像素子)を用いることも可能である。画像センサ124は、光触媒フィルタ110a及びプレフィルタ108の少なくとも一方を撮像するように配置される。このため、コントローラ122は、画像センサ124で得られる光触媒フィルタ110a及び/又はプレフィルタ108の画像情報を画像処理し、光触媒フィルタ110a及びプレフィルタ108のメンテナンスの要否を判断し、メンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0112】
なお、コントローラ122は、画像センサ124で取得する画像データを、人工知能を用いて処理し、光触媒フィルタ110a及びプレフィルタ108のメンテナンスの要否を判断し、メンテナンスタイミングをアラートすることができる。
【0113】
なお、本実施形態では、筐体102は、略直方体状を例にして説明した。筐体102は、円筒状や、楕円筒状、その他、三角形、五角形、六角形等の適宜の多角パイプ状であってもよい。この場合、プレフィルタ108及び光触媒フィルタユニット110の形状が、筐体102の内側の形状に合わせて変更される。
【0114】
本実施形態に係る空気処理装置100では、吸気口104を下側に、排気口120を上側に配置する例について説明した。吸気口104は、筐体102の下側から空気を吸気するのではなく、筐体102の下部の側面から空気を吸気してもよい。排気口120は、筐体102の上側に空気を排気するのでなく、筐体102の上部の側面に空気を排気してもよい。
【0115】
また、本実施形態に係る空気処理装置100は、筐体102の上側を符号120で示す吸気口として空気を吸気してもよく、筐体102の上部の側面から空気を吸気してもよい。本実施形態に係る空気処理装置100は、筐体102の下側を符号104で示す排気口として空気を排気してもよく、筐体102の下部の側面に空気を排気してもよい。
【0116】
また、ファン118による空気の気流の向きを反対にし、上側の第1の通気部(第1の口)120から空気を筐体102内に取り込み、下側の第2の通気部(第2の口)104から筐体102内の空気を排出するようにしてもよい。この場合、プレフィルタ108は、例えば、符号120で示す吸気口と、光源部114との間に配置され、符号104で示す排気口から除菌・脱臭された空気が排出される。
【0117】
本実施形態に係る空気処理装置100は、床面に載置されてもよく、壁面に支持されてもよい。空気処理装置100が壁面に支持される場合、台座(脚部)126は不要となり得る。
【0118】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の空気処理装置100によれば、フィルタが清掃を要することをユーザに知らせることができる。このため、本実施形態に係る空気処理装置100によれば、光触媒フィルタユニット110の洗浄時期を使用者に適切に通知することができる。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
100…空気処理装置、102…筐体、102a…前面パネル、104…吸気口、106…第1の遮光グリル、108…プレフィルタ、110…光触媒フィルタユニット、112…除菌・脱臭エリア、114…光源部、116…第2の遮光グリル、118…ファン、120…排気口、122…コントローラ、124…センサ、126…台座、134…光源、141…操作パネル、142…プロセッサ、147…入力部、147a…第1の押圧ボタン、148…出力部。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9