(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050103
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240403BHJP
【FI】
G06T7/00 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156732
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】高原 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英則
(72)【発明者】
【氏名】山根木 明子
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA02
5L096FA52
(57)【要約】
【課題】異常の誤検知を低減すること。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、検出部と、分析部と、検知部とを具備する。検出部は、撮像部によって撮像された撮像画像から人物を検出する。分析部は、撮像画像から検出部によって検出された人物の行動を分析する。検知部は、新たに撮像された撮像画像から検出部によって複数の人物が検出された場合に、分析部によって作成された複数の人物の行動の分析結果と、通常時の撮像画像から分析部によって作成された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づいて異常を検知する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部によって撮像された撮像画像から人物を検出する検出部と;
前記撮像画像から前記検出部によって検出された前記人物の行動を分析する分析部と;
新たに撮像された撮像画像から前記検出部によって複数の人物が検出された場合に、前記分析部によって作成された前記複数の人物の行動の分析結果と、通常時の撮像画像から前記分析部によって作成された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づいて異常を検知する検知部と;
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記新たに撮像された撮像画像の撮像時刻を含む時間帯に撮像された撮像画像における前記基準分析結果を用いて前記比較を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記撮像画像内における人物の密集度を算出し、算出した前記密集度と前記比較結果とに基づいて前記異常を検知する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
撮像部によって撮像された撮像画像から人物を検出する検出工程と;
前記撮像画像から前記検出工程によって検出された前記人物の行動を分析する分析工程と;
新たに撮像された撮像画像から前記検出工程によって複数の人物が検出された場合に、前記分析工程によって作成された前記複数の人物の行動の分析結果と、通常時の撮像画像から前記分析工程によって作成された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づいて異常を検知する検知工程と;
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データ内の人物の骨格画像データから当該人物の行動を分析する行動分析装置が知られている(特許文献1参照)。また、かかる行動分析装置を用いて人物の特定の行動を検知した場合に、警告を通知する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような人物の骨格情報を用いて特定の行動を検知する場合、画像中の人物の向きなどによって誤検知が発生する可能性があり、その結果、過剰に警告を通知してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異常の誤検知を低減することができる情報処理装置および情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る情報処理装置は、検出部と、分析部と、検知部とを具備する。検出部は、撮像部によって撮像された撮像画像から人物を検出する。分析部は、撮像画像から検出部によって検出された人物の行動を分析する。検知部は、新たに撮像された撮像画像から検出部によって複数の人物が検出された場合に、分析部によって作成された複数の人物の行動の分析結果と、通常時の撮像画像から分析部によって作成された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づいて異常を検知する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、異常の誤検知を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理装置によって実行される処理の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る照明装置の側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る照明装置の下面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る照明装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、分析結果記憶部の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理装置が実行する異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、照明装置による撮像画像の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、通常時における撮像画像の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、新たに撮像された撮像画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する情報処理装置300は、検出部122と、分析部123と、検知部124とを具備する。検出部122は、撮像部31によって撮像された撮像画像から人物を検出する。分析部123は、撮像画像から検出部122によって検出された人物の行動を分析する。検知部124は、新たに撮像された撮像画像から検出部122によって複数の人物が検出された場合に、分析部123によって作成された複数の人物の行動の分析結果と、通常時の撮像画像から分析部123によって作成された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づいて異常を検知する。
【0010】
以下で説明する情報処理装置300において、検知部124は、新たに撮像された撮像画像の撮像時刻を含む時間帯に撮像された撮像画像における基準分析結果を用いて比較を行う。
【0011】
以下で説明する情報処理装置300において、検知部124は、撮像画像内における人物の密集度を算出し、算出した密集度と比較結果とに基づいて異常を検知する。
【0012】
以下で説明する情報処理方法は、検出工程と、分析工程と、検知工程とを含む。検出工程は、撮像部によって撮像された撮像画像から人物を検出する。分析工程は、撮像画像から検出工程によって検出された人物の行動を分析する。検知工程は、新たに撮像された撮像画像から検出工程によって複数の人物が検出された場合に、新たに撮像された撮像画像から分析工程によって作成された複数の人物の行動の分析結果と、通常時の撮像画像から分析工程によって作成された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づいて異常を検知する。
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置および情報処理方法について説明する。なお、以下に示す実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0014】
(実施形態)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理装置300によって実行される処理の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置300によって実行される処理の概要を示す図である。
【0015】
情報処理システム1は、照明装置100と、情報処理装置300と、端末装置400とを含む。
【0016】
照明装置100は、例えば、工場等の建物の天井に取り付けられる照明装置である。情報処理装置300は、例えば、クラウドサーバである。端末装置400は、例えば、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PC、スマートフォン、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)である。端末装置400は、例えば、照明装置100が設置された建物を管理する利用者によって使用される。
【0017】
照明装置100は、照明ユニット20とカメラユニット30とを有している。かかる照明装置100は、カメラユニット30を用いて、照明ユニット20による照明エリアを撮像することができる。照明装置100は、カメラユニット30を用いて照明エリアを撮像し(ステップS1)、撮像された撮像画像を情報処理装置300に送信する(ステップS2)。
【0018】
情報処理装置300は、照明装置100から取得した撮像画像に対して所定の画像処理を行うことによって撮像画像から複数の人物TG1、TG2を検出する(ステップS3)。
【0019】
つづいて、情報処理装置300は、検出した複数の人物TG1、TG2のそれぞれの行動を分析する(ステップS4)。分析結果には、たとえば、複数の人物TG1、TG2の位置、向き、動作などの情報が含まれる。
【0020】
つづいて、情報処理装置300は、複数の人物TG1、TG2の分析結果を用いて密集度を算出し、密集判定処理を行う(ステップS5)。具体的には、情報処理装置300は、算出した密集度が閾値以上である場合に、照明装置100が設置された建物内において密集が発生したと判定する。
【0021】
つづいて、情報処理装置300は、複数の人物TG1、TG2の分析結果と、予め記憶部に記憶された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づく異常検知処理を行う(ステップS6)。例えば、情報処理装置300は、複数の人物TG1、TG2の分析結果と基準分析結果とに基づいて比較スコアを算出してもよい。比較スコアとは、複数の人物TG1、TG2の分析結果と、基準分析結果との相違度を示すスコアである。この場合、情報処理装置300は、算出した比較スコアが閾値以上である場合に、照明装置100が設置された建物内において異常を検知することができる。
【0022】
つづいて、情報処理装置300は、異常検知処理の検知結果を端末装置400に送信する(ステップS7)。検知結果には、たとえば、異常が発生した旨の情報、異常検知処理に用いられた撮像画像、異常が検出された日時などが含まれていてもよい。
【0023】
端末装置400は、情報処理装置300から異常検知処理の検知結果を取得した場合に、かかる検知結果の情報を利用者に対して報知する。
【0024】
例えば、端末装置400は、判定結果を取得した場合に、異常が発生した旨の情報、異常判定処理に用いられた撮像画像、異常が検出された日時を含む確認画面を表示部に表示させる。利用者は、かかる確認画面を参照することで、異常が発生したことを認識することができる。
【0025】
<情報処理システム1の構成例>
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理システム1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、情報処理システム1は、複数の照明装置100と、情報処理装置300と、端末装置400とを有する。複数の照明装置100、情報処理装置300および端末装置400は、インターネット等のネットワークNを介して互いに通信可能に接続される。
【0027】
照明装置100は、例えば、工場等の建物の天井に取り付けられる照明装置である。照明装置100は、撮像機能を有しており、照明エリアを撮像することができる。照明装置100の構成については
図3および
図4を参照して説明する。
【0028】
ここでは、情報処理システム1が複数の照明装置100を備える場合の例を示しているが、情報処理システム1は、少なくとも1つの照明装置100を備えていればよい。
【0029】
情報処理装置300は、例えば、クラウドサーバである。情報処理装置300は、ネットワークNを介して照明装置100から撮像画像を取得し、取得した撮像画像に基づいて人物の行動の分析処理および異常検知処理を行う。また、情報処理装置300は、異常検知処理の検知結果をネットワークN経由で端末装置400に送信する。情報処理装置300の構成については
図6を参照して説明する。
【0030】
端末装置400は、情報処理装置300からネットワークNを介して異常検知処理の検知結果を取得した場合に、かかる検知結果を利用者に対して通知する。
【0031】
<照明装置100の構成例>
次に、照明装置100の構成の一例について
図3および
図4を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る照明装置100の側面図である。
図4は、実施形態に係る照明装置100の下面図である。
【0032】
図3に示すように、実施形態に係る照明装置100は、照明ユニット20と、カメラユニット30と、電源ユニット40とを備える。また、照明ユニット20と、カメラユニット30とは、L字金具を介してネジ止めされ、照明ユニット20と、電源ユニット40とは、連結部12を介して連結される。
【0033】
連結部12は、さらに、取付部11と接合し、取付部11を介して、照明装置100が天井などの設置面に取り付けられる。
【0034】
照明ユニット20は、光源部21と、フィン25とを備える。フィン25は、光源部21の上部に設けられ、光源部21の発光による発熱を冷却する。
図4に示すように、光源部21は、基板21a上にLED(Light Emitting Diode)等の発光素子21bが設けられる。
【0035】
光源部21の出射面は、カバー(図示せず)によって覆われる。なお、カバーは、例えば、透過性のガラスや樹脂である。なお、
図4に示す例では、光源部21が4つの基板21aから構成される場合を示しているが、これに限定されるものではない。
【0036】
カメラユニット30は、撮像部31と、レンズ32とを備える。撮像部31は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像センサや、画像または映像を撮影するのに必要となる各種部品が含まれる。また、撮像部31の下面は、レンズ32によって覆われる。
【0037】
図4に示すように、光源部21と、撮像部31との向きは、それぞれ取り付け時に同一の方向を向くことになる。これにより、光源部21によって光が照射されたエリアを撮像部31によって撮像することができるので、撮影対象の照度を確保することができるので、鮮明な画像を撮像することができる。
【0038】
照明装置100は、天井に設置されるので、天井から空間内を俯瞰した画像を撮影することができる。なお、
図3および
図4に示す照明装置100の外観形状は、一例であり、ベースライト、シーリングライトなど、その他の形状であってもよい。
【0039】
<照明装置100の機能構成例>
次に、
図5を用いて、実施形態に係る照明装置100の機能構成の一例について説明する。
図5は、実施形態に係る照明装置100の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、照明装置100は、通信部10と、照明ユニット20と、カメラユニット30と、制御部50とを有する。
【0040】
通信部10は、情報処理装置300等の他の装置との間で情報の送受信を行う。通信部10は、例えば、所定の通信回路またはNIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部10による通信方式は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)などの無線通信であってよい。なお、通信部10による通信方式は、任意の通信方式であってよく、例えば、有線通信等であってもよい。
【0041】
カメラユニット30は、撮像部31と、撮像制御部33と、記憶部34とを有する。撮像部31は、特定の画角(以下、「撮像領域」と記載する)を撮影して画像データ(「撮像画像」ともいう)を生成する。なお、画像データは、動画データであってもよく、静止画データであってもよい。画像データには、撮像日時(日付、曜日、時刻等)、フレームレート、撮像部31の識別情報等が含まれてもよい。
【0042】
撮像制御部33は、撮像部31による撮影を制御する。また、撮像制御部33は、撮像部31の撮影により生成した画像データを制御部50に出力する。
【0043】
記憶部34は、カメラユニット30の各種制御を実現するためのプログラムやデータを記憶する。記憶部34は、撮像部31によって生成された画像データを記憶してもよい。記憶部34は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実装される。
【0044】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部メモリに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。制御部50は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部50は、取得部51と、送信処理部52とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部50の内部構成は、
図5に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0045】
取得部51は、各種情報を取得する。例えば、取得部51は、カメラユニット30から各種情報を取得する。送信処理部52は、通信部10を介して外部装置に各種情報を送信する処理を行う。例えば、送信処理部52は、取得部51によって取得された画像データを通信部10およびネットワークNを介して情報処理装置300へ送信する処理を行う。
【0046】
<情報処理装置300の機能構成例>
次に、
図6を用いて、実施形態に係る情報処理装置300の構成例について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置300の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、情報処理装置300は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを具備する。
【0047】
通信部110は、例えば、所定の通信回路またはNIC等によって実現される。通信部10による通信方式は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)などの無線通信であってよい。
【0048】
記憶部130は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部130は、分析結果記憶部131と、基準分析結果記憶部132とを有する。
【0049】
分析結果記憶部131は、後述する分析部123によって作成される人物の行動の分析結果を格納するデータベースである。
図7は、分析結果記憶部131の一例を示す図である。
【0050】
図7に示す例において、分析結果記憶部131は、例えば、「日付」および「時刻」と、「人物情報」とを互いに対応付けて記憶する。「日付」項目には、後述する分析部123によって分析された撮像画像を撮像した日付、例えば、年月日が格納される。「時刻」項目には、かかる撮像画像を撮像した時刻が格納される。
【0051】
「人物情報」は、例えば、「人物」、「位置」、「姿勢」、「動作」、「向き」といった項目を有する。「人物」項目には、撮像画像内において後述する検出部122によって検出された人物の識別子が格納される。かかる「人物」項目の識別子の数は、撮像画像内で検出された人物の数に相当する。「位置」項目には、人物が検出された位置が格納される。「姿勢」項目には、人物の姿勢、たとえば、立っているか座っているかなどを示す情報が格納される。「動作」項目には、人物の動作、たとえば、物を持っているなどの情報が格納される。「向き」項目には、人物の向きを示す情報が格納される。後述する分析部123は、撮像画像内における人物の行動を分析し、分析結果を分析結果記憶部131に記録する。
【0052】
基準分析結果記憶部132は、通常時の人物の行動の分析結果である基準分析結果を格納するデータベースである。基準分析結果記憶部132に格納される基準分析結果は、後述する異常検知処理において、新たに撮像された撮像画像内における複数の人物の行動の分析結果、言い換えると、分析結果記憶部131に格納される分析結果と比較するために用いられる。基準分析結果記憶部132のデータ構成は、たとえば
図7を用いて前述した分析結果記憶部131のデータ構成と同様である。
【0053】
図6の説明に戻り、制御部120について説明する。制御部120は、例えば、CPUやMPU等によって、内部メモリに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。制御部120は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。
【0054】
制御部120は、取得部121と、検出部122と、分析部123と、検知部124と、通知部125とを有する。
【0055】
取得部121は、照明装置100の撮像部31によって撮像された撮像画像を取得する。たとえば、取得部121は、リアルタイムで各照明装置100の撮像部31から撮像画像を取得し、取得した撮像画像を検出部122に渡す。
【0056】
検出部122は、取得部121によって取得された撮像画像から人物を検出する。たとえば、検出部122は、既存の骨格推定技術を用いて撮像画像から人物の骨格情報を検出することで人物を検出する。骨格情報は、たとえば、関節位置や骨の位置に関する情報であるが、肉付きや姿勢、歩き方、仕草等に関する情報を含んでもよい。検出部122は、骨格情報を検出すると、検出した骨格情報を分析部123へ渡す。検出部122は、フレーム毎に検出処理を行う。
【0057】
分析部123は、取得部121によって取得された撮像画像から検出部122によって検出された複数の人物の行動を分析する。例えば、分析部123は、検出部122によって検出された骨格情報に基づいて、各人物の位置、姿勢、動作、向きなどの情報を分析する。分析部123は、分析結果を作成して、作成した分析結果を分析結果記憶部131に追加する。
【0058】
検知部124は、分析部123によって作成された分析結果を用いて密集度を算出し、密集判定処理を行う。ここで、検知部124による密集判定処理の一例について
図9を参照して説明する。
図9は、照明装置100による撮像画像の一例を示す図である。
【0059】
密集判定処理において、まず検知部124は、
図9に示すように、撮像画像内における任意の範囲Rを設定する。つづいて、検知部124は、分析結果記憶部131における分析結果に含まれる人物の位置情報を用いて、範囲R内における人物の人数を算出する。検知部124は、範囲Rの面積に対する人物の人数の割合を範囲Rにおける密集度とする。その後、検知部124は、範囲Rにおける密集度と閾値とを比較し、密集度が閾値よりも大きい場合に、範囲Rにおいて密集が発生したと判定する。検知部124は、例えば撮像画像の全範囲をスキャンするように範囲Rの位置を変えながら上記判定処理を繰り返し行う。すなわち、検知部124は、撮像画像の全範囲において、上述した任意の範囲Rの設定処理から密集の判定処理までを繰り返し行う。そして、検知部124は、撮像画像内の全範囲のうち密集が発生したと判定した範囲Rを密集範囲CRとする。すなわち、検知部124は、撮像画像内に密集度が閾値よりも大きい密集範囲CRが存在する場合に、密集が発生したと判定する。なお、
図9を用いて説明した密集判定処理は、あくまで一例である。検知部124は、任意の公知技術を用いて密集判定処理を行うことが可能である。
【0060】
一般的に、異常が発生した場合には、複数の人物が異常の発生場所に集まることで密集状態が形成される。実施形態に係る情報処理装置300は、密集度に基づいて異常を検知するため、密集状態でない場合における異常の検知を防ぎ、過剰な警告を抑制することができる。
【0061】
また、検知部124は、分析部123によって作成された分析結果と、基準分析結果記憶部132に記憶された基準分析結果とを比較して、比較結果に基づいて異常検知処理を行う。
【0062】
ここで、
図10および
図11を用いて、検知部124が行う異常検知処理について説明する。
図10は、通常時における撮像画像の一例を示す図である。
図11は、新たに撮像された撮像画像の一例を示す図である。
【0063】
異常検知処理において、まず検知部124は、分析結果記憶部131に記憶された分析結果と、基準分析結果記憶部132に記憶された基準分析結果とにおける撮像された時間帯、検出された人物の人数、向き、姿勢、動作などを比較する。検知部124は、各比較項目に対して分析結果と、基準分析結果との相違度を示す比較スコアを算出する。
【0064】
たとえば、
図10に示す撮像画像から基準分析結果が作成され、
図11に示す撮像画像から分析結果が作成されたものとする。
図10において検出された人物の人数は「4人」であるのに対し、
図11において検出された人物の人数も「4人」であり、同じである。この場合、検知部124は、検出された人物の人数に対する比較スコアを例えば「0」とする。また、
図10において人物TG2は人物TG1の方向に向いているのに対し、
図11において人物TG2は物体Sの方向に向いている。この場合、人物TG2は基準分析結果とは異なる方向を向いていることから、検知部124は、人物TG2の向きに対する比較スコアを例えば「5」とする。かかる例のように、分析結果と、基準分析結果とにおける違いが大きいほど高い比較スコアとなるようにする。検知部124は、かかる比較スコアを各比較項目に対して算出した後、各比較項目の比較スコアを合計して、比較スコアを算出する。検知部124は、比較スコアと閾値とを比較し、比較スコアが閾値を超えている場合に、異常を検知する。
【0065】
検知部124は、新たに撮像された撮像画像の撮像時刻を含む時間帯に撮像された撮像画像における基準分析結果を用いて比較を行うこととしてもよい。かかる処理によれば、撮像された時間帯の異なる基準分析結果との比較をせずに、効率的に比較処理を行うことができる。
【0066】
通知部125は、検知部124による検知結果を通信部110およびネットワークNを介して端末装置400へ送信する。例えば、通知部125は、検知部124によって異常が検知された場合に、異常を検知した旨の情報、異常検知処理に用いられた撮像画像および異常が検知された日時などを通知する。
【0067】
<情報処理装置300の具体的動作>
次に、
図8を用いて、実施形態に係る情報処理装置300が実行する異常検知処理の手順について説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理装置300が実行する異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【0068】
図8に示すように、情報処理装置300は、照明装置100から撮像画像を取得し(ステップS101)、取得した撮像画像から人物を検出する(ステップS102)。そして、情報処理装置300は、複数の人物を検出したか否かを判定し(ステップS103)、複数の人物を検出した場合には(ステップS103,Yes)、検出した各人物の行動を分析する(ステップS104)。
【0069】
つづいて、情報処理装置300は、密集度を算出し(ステップS105)、算出した密集度が閾値より大きいか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、情報処理装置300は、
図9を用いて前述したように、密集度が閾値よりも大きい密集範囲CRが存在するか否かを判定する。この処理において密集度が閾値よりも大きい密集範囲CRが存在する判定した場合(ステップS106,Yes)、情報処理装置300は、密集が発生したとして、処理をステップS107に進める。
【0070】
つづいて、情報処理装置300は、ステップS104において作成した分析結果と、基準分析結果記憶部132における基準分析結果とを比較して、比較スコアを算出する(ステップS107)。その後、情報処理装置300が、ステップS107において算出した比較スコアが閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS108)。この処理において、比較スコアが閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS108,Yes)、情報処理装置300は、端末装置400に対して異常を通知する(ステップS109)。具体的には、情報処理装置300は、異常を検知した旨の情報、異常検知処理に用いられた撮像画像および異常が検出された日時などの情報を端末装置400に送信する。
【0071】
ステップS109の処理を終えた場合、ステップS106において密集度が閾値を超えていない場合(ステップS106,No)、または、ステップS108において比較スコアが閾値を超えていない場合(ステップS108,No)、情報処理装置300は、処理を終了する。
【0072】
上述したように、実施形態にかかる情報処理装置300は、検出部122と、分析部123と、検知部124とを具備する。検出部122は、撮像部31によって撮像された撮像画像から人物を検出する。分析部123は、撮像画像から検出部122によって検出された人物の行動を分析する。検知部124は、新たに撮像された撮像画像から検出部122によって複数の人物が検出された場合に、分析部123によって作成された複数の人物の行動の分析結果と、通常時の撮像画像から分析部123によって作成された基準分析結果とを比較し、比較結果に基づいて異常を検知する。
【0073】
したがって、実施形態に係る情報処理装置300によれば、異常の誤検知を低減することができる。
【0074】
(変形例)
上述した実施形態では、情報処理装置300が異常を検知した場合に、端末装置400に対して異常を通知する例について説明した。これに限らず、情報処理装置300は他の方法で異常を通知することとしてもよい。たとえば、異常を検知した場合に、照明装置100に対して異常を通知することとしてもよい。照明装置100は異常通知結果を情報処理装置300から受信した場合に、照明を点滅させることによって異常が発生したことを報知させることとしてもよい。
【0075】
また、情報処理装置300は、例えば電子メールを用いて異常検知結果を端末装置400に送信することとしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、密集判定処理において密集度が閾値よりも大きい密集範囲CRについて説明したが、かかる密集範囲CRの情報を、新たに撮像された撮像画像からの分析結果と基準分析結果との比較処理に用いることとしてもよい。具体的に、検知部124は、密集判定処理において(ステップS105~S106)、密集が発生していると判定した場合に、撮像画像内における各人物が密集範囲CRに含まれるか否かの情報を、かかる人物情報と紐づけて分析結果記憶部131に記録する。つづいて、検知部124は、比較スコア算出処理において(ステップS107)、新たに撮像された撮像画像の分析結果における人物情報のうち、密集範囲CRに含まれる人物の人物情報のみを比較処理に用いる。かかる処理によれば、密集範囲CRに含まれない人物について比較対象とされないため、より効率的に異常検知処理を行うことができる。
【0077】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理システム
20 照明ユニット
30 カメラユニット
31 撮像部
100 照明装置
110 通信部
120 制御部
121 取得部
122 検出部
123 分析部
124 検知部
125 通知部
130 記憶部
131 分析結果記憶部
132 基準分析結果記憶部
300 情報処理装置
400 端末装置