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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050113
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】防火戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156744
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長津 伸二
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA01
2E239CA12
2E239CA29
2E239CA32
2E239CA52
2E239CA66
2E239CA69
(57)【要約】
【課題】走行部及び駆動装置への伝熱を抑制する防火戸を提供する。
【解決手段】防火戸は、開口1に固定される無目5と、無目5の外面に取り付けられるとともに、開口1を開閉する第1引戸11及び第2引戸12を支持するレールベース21と、第1引戸11及び第2引戸12に取り付けられてレールベース21を走行する吊車23と、第1引戸11及び第2引戸12を開閉駆動する駆動装置20と、を備える。防火戸は、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において、無目5、吊車23、駆動装置20の順に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口に固定される固定部と、
前記固定部の外面に取り付けられるとともに、前記開口を開閉する引戸を支持する引戸支持部と、
前記引戸に取り付けられて前記引戸支持部を走行する走行部と、
前記引戸を開閉駆動する駆動装置と、を備え、
前記引戸の厚さ方向において、前記固定部、前記走行部、前記駆動装置の順に配置される
防火戸。
【請求項2】
前記固定部は、前記開口の幅方向に延びる無目であって、
前記無目の内側であって前記引戸支持部が取り付けられる面に断熱材を備える
請求項1に記載の防火戸。
【請求項3】
前記固定部は、前記開口の幅方向に延びる無目であって、
前記無目と前記引戸支持部との間の距離を広げる離間部を備える
請求項1に記載の防火戸。
【請求項4】
前記離間部の内部に断熱材を備える
請求項3に記載の防火戸。
【請求項5】
前記固定部は、前記開口の幅方向に延びる無目であって、
前記無目と前記引戸支持部との間にステンレス板を備える
請求項1に記載の防火戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火戸に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の防火戸は、上吊り引戸と、上吊り引戸の上方に位置する横枠とを備える。横枠内には、上吊り引戸の上方に引戸支持材と、引戸を駆動するエンジンとを備える。引戸支持材は、上下に延びるとともに、横枠の室外側の内壁に取り付けられる。引戸支持材は、引戸支持材の下部から室内へ突出する吊りレール部を有する。吊りレール部に上吊り引戸に取り付けられた吊車が係合する。エンジンは、引戸支持材の上部に取り付けられる。よって、防火戸は、上吊り引戸、吊りレール、吊車、エンジンが下から順に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-111890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の防火戸では、引戸、吊車、吊車を介して引戸と連結されるタイミングベルト、及びエンジンが上下方向に並んでいる。このため、室外において火災が発生した場合、遮熱板を設けていても無目の中に熱が伝わったときには、可燃性の高い吊車、タイミングベルト、及びエンジンが短時間で発火するおそれがある。このため、吊車、タイミングベルト、及びエンジンへの伝熱を抑制することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する防火戸は、開口に固定される固定部と、前記固定部の外面に取り付けられるとともに、前記開口を開閉する引戸を支持する引戸支持部と、前記引戸に取り付けられて前記引戸支持部を走行する走行部と、前記引戸を開閉駆動する駆動装置と、を備え、前記引戸の厚さ方向において、前記固定部、前記走行部、前記駆動装置の順に配置される。
【0006】
上記構成によれば、走行部と駆動装置とが引戸の厚さ方向において固定部から離れている。このため、火災が固定部の外側で発生したときに、熱が走行部と駆動装置とに伝わるまでの時間を長くすることができる。よって、駆動装置の発火までの時間を長くすることができる。
【0007】
上記防火戸について、前記固定部は、前記開口の幅方向に延びる無目であって、前記無目の内側であって前記引戸支持部が取り付けられる面に断熱材を備えることが好ましい。
上記防火戸について、前記固定部は、前記開口の幅方向に延びる無目であって、前記無目と前記引戸支持部との間の距離を広げる離間部を備えることが好ましい。
【0008】
上記防火戸について、前記離間部の内部に断熱材を備えることが好ましい。
上記防火戸について、前記固定部は、前記開口の幅方向に延びる無目であって、前記無目と前記引戸支持部との間にステンレス板を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走行部及び駆動装置への伝熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】防火戸の概略構成を示す正面図である。
図2】第1実施形態の防火戸の概略構成を示す縦断面拡大図である。
図3】第2実施形態の防火戸の概略構成を示す縦断面拡大図である。
図4】第3実施形態の防火戸の概略構成を示す縦断面拡大図である。
図5】第4実施形態の防火戸の概略構成を示す縦断面拡大図である。
図6】第5実施形態の防火戸の概略構成を示す縦断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図1及び図2を参照して、防火戸の第1実施形態について説明する。図1は、室内側から見た正面図である。
【0012】
(防火戸10)
図1に示すように、防火戸10は、建物の開口1に設けられる。開口1の左端には、上下方向に延びる左縦枠2が固定されている。開口1の右端には、上下方向に延びる右縦枠3が固定されている。開口1の上端には、開口1の幅方向に延びる上枠4が固定されている。開口1の上枠4寄りには、開口1の幅方向に延びる横枠である無目5が設けられている。無目5は、左縦枠2と右縦枠3とに固定されている。無目5は、固定部に相当する。上枠4と無目5との間には、ガラスが嵌め込まれて嵌め殺し窓6が構成されている。開口1の左縦枠2には、左固定壁7が固定されている。左固定壁7は、無目5及び開口1の下端にも固定されている。開口1の右縦枠3には、右固定壁8が固定されている。右固定壁8は、無目5及び開口1の下端にも固定されている。左固定壁7及び右固定壁8は、枠にガラスが嵌め込まれた透明壁である。左縦枠2、右縦枠3、上枠4、無目5、左固定壁7及び右固定壁8の枠は、アルミで形成されている。
【0013】
防火戸10は、両開きの第1引戸11と第2引戸12とを備えている。第1引戸11と第2引戸12とは、左固定壁7と右固定壁8との間に設けられて、開口1を開閉する。第1引戸11は、左固定壁7寄りに設けられて、左方向へ移動すると開口1を開き、右方向へ移動すると開口1を閉じる。第2引戸12は、右固定壁8寄りに設けられて、右方向へ移動すると開口1を開き、左方向へ移動すると開口1を閉じる。
【0014】
(開閉装置20)
防火戸10は、開閉装置20を備える。開閉装置20は、第1引戸11及び第2引戸12を開閉駆動する。第1引戸11及び第2引戸12は、開閉装置20に保持されている。第1引戸11の上部には、第1ドアハンガ13が固定されている。第2引戸12の上部には、第2ドアハンガ14が固定されている。
【0015】
図2に示すように、開閉装置20は、無目5の室内側の外面に取り付けられる。開閉装置20は、レールベース21と、吊車23と、駆動装置30と、を備える。レールベース21は、引戸支持部に相当する。吊車23は、走行部に相当する。
【0016】
レールベース21は、開口1の幅方向に延びて設けられる。レールベース21は、取付部21Aと、走行レール21Bと、支持部21Cと、を備える。取付部21Aは、無目5に取り付けられる。走行レール21Bは、吊車23が走行する。支持部21Cは、駆動装置30を吊り下げた状態で支持する。無目5の内側には、取付板40が設けられる。取付部21Aは、取付板40に螺子41で固定される。取付部21Aの取付面と無目5の外面とが接触して取り付けられる。走行レール21Bは、取付部21Aの下部から室内側に突出する。支持部21Cは、取付部21Aの上部から室内側に突出する。支持部21Cの先端には、蓋22が回転軸22Aを中心に回転可能に設けられる。蓋22は、開口1の幅方向に延びる部材である。蓋22は、駆動装置30を覆うように設けられる。よって、駆動装置30は、レールベース21及び蓋22によって覆われている。回転軸22Aは、回転軸22Aを中心に蓋22を回転させることで駆動装置30を露出させて、駆動装置30の点検や修理を行うことができるようにする。
【0017】
吊車23は、第1引戸11及び第2引戸12の厚み方向に回転軸を有する回転体である。吊車23は、第1ドアハンガ13の上部及び第2ドアハンガ14の上部のそれぞれに設けられる。吊車23は、走行レール21Bの上を転がる。
【0018】
(駆動装置30)
駆動装置30は、第1引戸11及び第2引戸12を開閉駆動する。駆動装置30は、電動モータ31と、駆動プーリ32と、受動プーリ33と、駆動ベルト34と、制御部35と、を備える。電動モータ31は、第1引戸11及び第2引戸12を開閉駆動するための駆動力を発生する。駆動プーリ32は、電動モータ31の駆動軸に設けられ、電動モータ31の駆動軸が回転すると一緒に回転する。電動モータ31と制御部35は、レールベース21の支持部21Cに支持される。
【0019】
図1に示すように、レールベース21の右端には、駆動プーリ32が設けられている。レールベース21の左端には、受動プーリ33が回転可能に固定されている。駆動ベルト34は、駆動プーリ32と受動プーリ33とに巻き掛けられ、駆動プーリ32の回転によって周回する。第1ドアハンガ13及び第2ドアハンガ14は、図示しないベルト金具を介して駆動ベルト34に取り付けられている。第1ドアハンガ13は、駆動ベルト34の周回の下側部分に固定される。第2ドアハンガ14は、駆動ベルト34の周回の上側部分に固定される。よって、第1引戸11と第2引戸12とは反対方向に駆動される。
【0020】
制御部35は、電動モータ31を駆動制御することで、第1引戸11及び第2引戸12を開閉制御する。制御部35は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又はその組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスすることが可能な媒体を含む。
【0021】
防火戸10は、自動閉鎖装置(図示略)を備えている。自動閉鎖装置は、防火戸10が設置されている建物内で火災が検出されると、制御部35によって第1引戸11及び第2引戸12を閉じ方向に移動させる。
【0022】
図2に示すように、防火戸10は、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において、室外側から無目5、吊車23、駆動装置30の順に配置される。すなわち、開閉装置20は、無目5の中に収容されておらず、室外側から無目5の厚さT1離れている。そして、駆動装置30は、吊車23よりもさらに無目5から厚さT2離れている。
【0023】
(作用)
次に、上記のように構成された防火戸10の作用について説明する。
防火戸10の設置された開口1の室外側で火災が発生した場合には、防火戸10の室外側が火によって熱されることになる。
【0024】
火災による熱は、無目5からレールベース21の取付部21Aに伝わる。そして、熱は、レールベース21の取付部21Aから走行レール21Bを介して吊車23に伝わる。駆動装置30には、レールベース21の支持部21Cから伝わる、又はレールベース21から空気を介して伝わる。駆動装置30は、駆動プーリ32及び駆動ベルト34から電動モータ31に熱が伝わる。
【0025】
防火戸10は、無目5の室内側の外面に開閉装置20が取り付けられているので、無目5によって伝熱が抑制される。そして、吊車23と駆動装置30とが無目5から遠ざかる第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向に配置されているので、伝熱が抑制される。よって、熱が吊車23及び駆動装置30に伝わるまでの時間を長くすることができ、開閉装置20の発火までの時間を長くすることができる。
【0026】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)固定部である無目5の外面にレールベース21を取り付ける。このため、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において無目5の中にレールベース21を取り付けるよりも無目5の分だけ離れるので、火災の熱が吊車23と駆動装置30とに伝わることを抑制することができる。
【0027】
(1-2)吊車23と駆動装置30とが第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において固定部である無目5から離れている。このため、火災が無目5の外側で発生したときに、熱が吊車23と駆動装置30とに伝わるまでの時間を長くすることができる。よって、駆動装置30の発火までの時間を長くすることができる。
【0028】
上記の効果により、防火戸10が熱伝導率の高いアルミ製であっても、開閉装置20が発火するまでの時間を、耐火試験で要求される20分以上とすることができる。また、一般的に防火戸においては、耐火性向上のためにチェーンを駆動ベルトとして用いる。しかしながら、本実施形態においては、熱が伝わるまでの時間が長くなるように駆動装置30が無目5から離れて設けられているため、汎用のゴム製の駆動ベルト34を用いることができる。
【0029】
(第2実施形態)
以下、図3を参照して、防火戸の第2実施形態について説明する。この実施形態の防火戸は、アルミよりも熱伝導率の低いステンレス板を備える点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
図3に示すように、防火戸10は、無目5とレールベース21との間にステンレス板50を備える。ステンレス板50は、無目5の室内側の外面とほぼ同じ大きさの板である。ステンレス板50は、無目5からレールベース21への伝熱を抑制する。
【0031】
防火戸10は、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において、室外側から無目5、ステンレス板50、吊車23、駆動装置30の順に配置される。すなわち、開閉装置20は、無目5の中に収容されておらず、無目5の厚さT1分だけ室外側から離れている。そして、ステンレス板50で伝熱が抑制された上で、駆動装置30は、吊車23よりもさらに無目5から厚さT2離れている。
【0032】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)、(1-2)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)無目5とレールベース21との間にアルミよりも熱伝導率の低いステンレス板50を備える。このため、無目5からレールベース21への伝熱を抑制することができる。
【0033】
(第3実施形態)
以下、図4を参照して、防火戸の第3実施形態について説明する。この実施形態の防火戸は、離間部を備える点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0034】
図4に示すように、防火戸10は、無目5とレールベース21との間には、離間部60を備える。離間部60は、無目5とレールベース21との距離を広げる。離間部60は、中空部材であって、断面矩形状である。なお、離間部60は、中空部材に限らず、中が詰まった中実部材としてもよい。
【0035】
離間部60の内側には、取付板61が設けられる。取付部21Aは、離間部60に螺子62で固定される。取付部21Aの取付面と離間部60の外面とが接触して取り付けられる。離間部60は、無目5の中に設けられる取付板40に螺子41で固定される。離間部60の取付面と無目5の外面とが接触して取り付けられる。
【0036】
防火戸10は、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において、室外側から無目5、離間部60、吊車23、駆動装置30の順に配置される。すなわち、開閉装置20は、無目5の中に収容されておらず、室外側から無目5の厚さT1及び離間部60の厚さT3離れている。そして、駆動装置30は、吊車23よりもさらに無目5から厚さT2離れている。
【0037】
次に、上記のように構成された防火戸10の作用について説明する。
防火戸10の設置された開口1の室外側で火災が発生した場合には、防火戸10の室外側が火によって熱されることになる。
【0038】
火災による熱は、無目5から離間部60に伝わり、続いて離間部60からレールベース21の取付部21Aに伝わる。そして、熱は、レールベース21の取付部21Aから走行レール21Bを介して吊車23に伝わる。駆動装置30には、レールベース21の支持部21Cから伝わる、又はレールベース21から空気を介して伝わる。駆動装置30は、駆動プーリ32及び駆動ベルト34から電動モータ31に熱が伝わる。
【0039】
防火戸10は、無目5の室内側の外面に離間部60を介して開閉装置20が取り付けられているので、無目5及び離間部60によって伝熱が抑制される。そして、吊車23と駆動装置30とが無目5から遠ざかる第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向に配置されているので、さらに伝熱が抑制される。よって、熱が吊車23及び駆動装置30に伝わるまでの時間をより長くすることができ、開閉装置20の発火までの時間を長くすることができる。
【0040】
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-2)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(3-1)固定部である無目5の外面にレールベース21を取り付けるとともに、無目5とレールベース21との間に離間部60を備える。このため、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において無目5の中にレールベース21を取り付けるよりも無目5の厚さT1及び離間部60の厚さT3離れるので、火災の熱が吊車23と駆動装置30とに伝わることをより抑制することができる。
【0041】
(第4実施形態)
以下、図5を参照して、防火戸の第4実施形態について説明する。この実施形態の防火戸は、断熱材を備える点が上記第3実施形態と異なっている。以下、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
図5に示すように、防火戸10は、離間部60の内部に断熱材であるケイカル板70を備える。ケイカル板70は、ケイ酸カルシウム板であって、耐火性及び耐水性の高い材料である。ケイカル板70は、離間部60における伝熱を抑制する。
【0043】
防火戸10は、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において、室外側から無目5、離間部60及びケイカル板70、吊車23、駆動装置30の順に配置される。すなわち、開閉装置20は、無目5の中に収容されておらず、室外側から無目5の厚さT1及び離間部60の厚さT3離れている。そして、ケイカル板70で伝熱が抑制された上で、駆動装置30は、吊車23よりもさらに無目5から厚さT2離れている。
【0044】
次に、第4実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-2)及び第3実施形態の(3-1)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(4-1)離間部60の内部に断熱材としてケイカル板70を備える。このため、無目5からレールベース21への伝熱を抑制することができる。
【0045】
(第5実施形態)
以下、図6を参照して、防火戸の第5実施形態について説明する。この実施形態の防火戸は、断熱材を備える点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0046】
図6に示すように、防火戸10は、無目5の内側であってレールベース21が取り付けられる面に断熱材であるケイカル板70を備える。ケイカル板70は、ケイ酸カルシウム板であって、耐火性及び耐水性の高い材料である。ケイカル板70は、無目5における伝熱を抑制する。
【0047】
防火戸10は、第1引戸11及び第2引戸12の厚さ方向において、室外側から無目5及びケイカル板70、吊車23、駆動装置30の順に配置される。すなわち、ケイカル板70で伝熱が抑制された上で、開閉装置20は、無目5の中に収容されておらず、室外側から無目5の厚さT1離れている。そして、駆動装置30は、吊車23よりもさらに無目5から厚さT2離れている。
【0048】
次に、第5実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)、(1-2)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(5-1)無目5のレールベース21寄りの内側に断熱材としてケイカル板70を備える。このため、無目5からレールベース21への伝熱を抑制することができる。
【0049】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・上記各実施形態では、左縦枠2、右縦枠3、上枠4、無目5、左固定壁7、及び右固定壁8の枠をアルミで形成した。しかしながら、これらの枠をアルミ以外の金属材料で形成してもよい。
【0051】
・上記第2~4実施形態において、第5実施形態のように、無目5のレールベース21寄りの内面に断熱材であるケイカル板70を備えてもよい。
・上記各実施形態において、断熱材はケイカル板に限らず、断熱効果のある材料であれば他の材料を採用してもよい。また、無目5や離間部60に断熱材を充填してもよい。
【0052】
・上記各実施形態では、開口1に固定される固定部を無目5としたが、開口1に固定される固定部を壁としてもよい。固定部が壁であったとしても、壁から走行部である吊車23及び駆動装置30が離れて設置されるため、伝熱を抑制して、駆動装置30が発火するまでの時間を長くすることができる。
【0053】
・上記各実施形態では、無目5の上部に嵌め殺し窓6を設けた。嵌め殺し窓6を設けなくてもよい。この場合、無目5は開口1の上端に直接固定される。
・上記各実施形態では、防火戸10の開閉扉を駆動装置30に駆動される両引きの引戸とした。しかしながら、引戸は、第1引戸11又は第2引戸12のいずれか一方のみで開口を閉じる片引きの引戸としてもよい。また、引戸に代えて、駆動装置30に駆動される開き戸、又は駆動装置30に駆動される折戸を用いてもよい。
【0054】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0055】
1…開口
2…左縦枠
3…右縦枠
4…上枠
5…固定部である無目
6…嵌め殺し窓
7…固定壁
10…防火戸
11…第1引戸
12…第2引戸
13…第1ドアハンガ
14…第2ドアハンガ
20…開閉装置
21…引戸支持部であるレールベース
21A…取付部
21B…走行レール
21C…支持部
22…蓋
22A…回転軸
23…走行部である吊車
30…駆動装置
31…駆動部である電動モータ
32…駆動プーリ
33…受動プーリ
34…駆動ベルト
35…制御部
40…取付板
41…螺子
50…ステンレス板
60…離間部である中空部材
61…取付板
62…螺子
70…断熱材としてのケイカル板
図1
図2
図3
図4
図5
図6