(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050117
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】つなぎ用金具のガイド治具
(51)【国際特許分類】
E04G 5/04 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
E04G5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156754
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
(72)【発明者】
【氏名】小濱 洋輔
(57)【要約】
【課題】シンプルでありながら、つなぎ用金具の固定作業を容易に行うことが可能なつなぎ用金具のガイド治具を提供する。
【解決手段】ガイド治具101は、仮設足場Sを保持するつなぎ用金具1を、躯体B(外壁パネルB1)の表面に固定する際に用いられる。ガイド治具101は、外壁パネルB1の表面に配置されるベース部110と、ベース部の裏面から外壁パネルに向かって突出し、目地B3に差し込まれる差し込み部120とを備えている。ベース部110の表面には、つなぎ用金具1を通す保持穴130が形成される。差し込み部120は、ベース部110の延出方向の一端側に配置され、保持穴130は、ベース部の延出方向の他端側に配置される。ガイド治具101が躯体Bに取り付けられ、つなぎ用金具1が保持穴130の内部に収容されたとき、ガイド治具は、外壁パネルB1につなぎ用金具を対向させた状態で保持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体よりも外側に設置される仮設構造体を保持するつなぎ用金具を、前記建物の躯体に固定するために用いられるつなぎ用金具のガイド治具であって、
前記ガイド治具は、前記つなぎ用金具を建築用パネルの表面に固定するために用いられ、
前記建築用パネルの表面に対向するように配置されるベース部と、
前記ベース部の裏面から前記建築用パネルに向かって突出し、前記躯体の間口方向又は上下方向に並ぶ前記建築用パネルの間の目地に差し込まれる差し込み部と、を備え、
前記ベース部の表面には、前記ベース部の表面から前記裏面まで貫通し、前記つなぎ用金具を通す大きさを有する保持穴が形成され、
前記ベース部は、前記建築用パネルの並び方向に沿うように延びており、
前記差し込み部は、前記ベース部の延出方向の一端側に配置され、
前記保持穴は、前記ベース部の延出方向において前記差し込み部よりも他端側に配置され、
前記ガイド治具が前記躯体に取り付けられ、前記つなぎ用金具が前記保持穴の内部に収容されたとき、前記ガイド治具は、前記建築用パネルの表面に前記つなぎ用金具を対向させた状態で前記つなぎ用金具を保持することを特徴とするつなぎ用金具のガイド治具。
【請求項2】
前記ベース部と、前記差し込み部とが同じ材料から一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載のつなぎ用金具のガイド治具。
【請求項3】
前記保持穴は、前記ベース部の延出方向に沿って複数並ぶように形成され、
複数の前記保持穴は、それぞれ前記ベース部の延出方向において前記差し込み部が設けられた位置から所定距離離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のつなぎ用金具のガイド治具。
【請求項4】
前記差し込み部は、前記ベース部の長さ方向の一端側に設けられ、
前記保持穴は、前記ベース部の長さ方向において前記差し込み部よりも他端側に設けられ、
前記差し込み部と前記保持穴とが、前記ベース部の長さ方向に並ぶように配置され、
前記ベース部の幅方向における前記差し込み部の長さが、前記ベース部の幅方向における前記保持穴の長さと同じ又は前記保持穴の長さよりも短くなっていることを特徴とする請求項3に記載のつなぎ用金具のガイド治具。
【請求項5】
前記差し込み部は、前記ベース部の延出方向において一端部よりも内側位置に配置され、
前記ガイド治具が前記躯体に取り付けられたとき、
前記ベース部が第1建築用パネルの表面に対向して配置され、かつ、
前記ベース部の前記一端部が、前記目地を介して前記第1建築用パネルに隣り合う第2建築用パネルの表面に対向して配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のつなぎ用金具のガイド治具。
【請求項6】
前記差し込み部は、前記躯体の間口方向に並ぶ建築用パネル同士の間に形成される前記目地の内部に差し込まれ、
前記ガイド治具が前記躯体に取り付けられたとき、前記差し込み部は、一対の前記建築用パネルの仕上げ面材の間に挟まれた状態で支持され、かつ、前記仕上げ面材の表面部を避けて前記仕上げ面材の裏面部に当接していることを特徴とする請求項5に記載のつなぎ用金具のガイド治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つなぎ用金具のガイド治具に係り、建物の躯体よりも外側に設置される仮設構造体を保持するつなぎ用金具を、建物の躯体に固定するために用いられるつなぎ用金具のガイド治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の施工時又は修繕時(補修時)において、室外側から施工作業を行うために仮設足場や仮設手摺り等の仮設構造体が設置されている。
このとき、建物の躯体よりも外側に設置された仮設構造体の安定化を図るために、建物の躯体と、仮設構造体とを連結するつなぎ用金具が利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
なお、つなぎ用金具は、仮設構造体に直接取り付けられても良いし、仮設構造体を保持するつなぎ部材に取り付けられても良い。
【0003】
特許文献1のつなぎ用金具は、仮設足場を保持するために外壁パネルの表面に固定され、仮設足場に固定されたつなぎ部材と連結される。また、建物の施工終了後又は修繕終了後には、つなぎ用金具は、建物の意匠性を確保するためにカバー材によって被覆される。
特許文献2のつなぎ用金具のガイド治具は、つなぎ用金具を外壁パネルの表面に固定するためのガイド治具である。詳しく述べると、つなぎ用金具を把持しながら工具を用いて外壁パネルに固定することは、作業に慣れていない者にとって困難である。そのため、当該ガイド治具を利用することで、作業に不慣れな者であっても、外壁パネルの表面につなぎ用金具を固定する作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-102885号公報
【特許文献2】特開2017-166171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、つなぎ用金具を外壁パネルの表面に固定するにあたって、従来よりもシンプルでありながら、つなぎ用金具の固定作業(けがき作業を含む)を容易に行うことが可能なガイド治具が求められていた。
また、建物の種類や大きさによっては、つなぎ用金具の固定位置が異なってくるところ、そのような場合であっても対応可能なガイド治具が求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来よりもシンプルでありながら、つなぎ用金具の固定作業を容易に行うことが可能なつなぎ用金具のガイド治具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、建物の種類や大きさによってつなぎ用金具の固定位置が異なる場合であっても、つなぎ用金具の固定作業を良好に行うことが可能なつなぎ用金具のガイド治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明のつなぎ用金具のガイド治具によれば、建物の躯体よりも外側に設置される仮設構造体を保持するつなぎ用金具を、前記建物の躯体に固定するために用いられるつなぎ用金具のガイド治具であって、前記ガイド治具は、前記つなぎ用金具を建築用パネルの表面に固定するために用いられ、前記建築用パネルの表面に対向するように配置されるベース部と、前記ベース部の裏面から前記建築用パネルに向かって突出し、前記躯体の間口方向又は上下方向に並ぶ前記建築用パネルの間の目地に差し込まれる差し込み部と、を備え、前記ベース部の表面には、前記ベース部の表面から前記裏面まで貫通し、前記つなぎ用金具を通す大きさを有する保持穴が形成され、前記ベース部は、前記建築用パネルの並び方向に沿うように延びており、前記差し込み部は、前記ベース部の延出方向の一端側に配置され、前記保持穴は、前記ベース部の延出方向において前記差し込み部よりも他端側に配置され、前記ガイド治具が前記躯体に取り付けられ、前記つなぎ用金具が前記保持穴の内部に収容されたとき、前記ガイド治具は、前記建築用パネルの表面に前記つなぎ用金具を対向させた状態で前記つなぎ用金具を保持すること、により解決される。
【0008】
上記構成により、従来よりもシンプルでありながら、つなぎ用金具の固定作業を容易に行うことが可能なつなぎ用金具のガイド治具を実現できる。
詳しく述べると、ガイド治具は、建築用パネルの表面に対向するベース部と、ベース部の裏面から突出し、目地に差し込まれる差し込み部とを備え、ベース部の表面につなぎ用金具を通す保持穴が形成されたシンプルな形状となっている。
ガイド治具が、シンプルな形状でありながら、建築用パネルの表面につなぎ用金具を対向させた状態でつなぎ用金具を保持することができる。つまりは、つなぎ用金具の固定作業を容易に行うことができる。
【0009】
このとき、前記ベース部と、前記差し込み部とが同じ材料から一体形成されていると良い。
上記構成により、シンプルな形状で製造し易いガイド治具を実現できる。
【0010】
このとき、前記保持穴は、前記ベース部の延出方向に沿って複数並ぶように形成され、複数の前記保持穴は、それぞれ前記ベース部の延出方向において前記差し込み部が設けられた位置から所定距離離間した位置に配置されていると良い。
上記構成により、建物の種類や大きさによっては、つなぎ用金具の固定位置、すなわち、建築用パネル同士の間の目地から所定距離離間した位置が異なってくるところ、そのような場合であっても対応可能なガイド治具を実現できる。つまりは、ベース部に形成された複数の保持穴のいずれかを選択することで、つなぎ用金具の固定位置を任意に定めることができる。
【0011】
このとき、前記差し込み部は、前記ベース部の長さ方向の一端側に設けられ、前記保持穴は、前記ベース部の長さ方向において前記差し込み部よりも他端側に設けられ、前記差し込み部と前記保持穴とが、前記ベース部の長さ方向に並ぶように配置され、前記ベース部の幅方向における前記差し込み部の長さが、前記ベース部の幅方向における前記保持穴の長さと同じ又は前記保持穴の長さよりも短くなっていると良い。
上記構成により、ベース部の大きさをよりコンパクトにすることができる。つまりは、ガイド治具の大きさをコンパクトにすることができる。
【0012】
このとき、前記差し込み部は、前記ベース部の延出方向において一端部よりも内側位置に配置され、前記ガイド治具が前記躯体に取り付けられたとき、前記ベース部が第1建築用パネルの表面に対向して配置され、かつ、前記ベース部の前記一端部が、前記目地を介して前記第1建築用パネルに隣り合う第2建築用パネルの表面に対向して配置されると良い。
上記のように、ベース部が第1建築用パネルの表面だけでなく、第2建築用パネルの表面に対しても対向して配置されることで、建築用パネルの表面にベース部を安定して配置することができる。つまりは、躯体にガイド治具を安定して取り付けることができる。
【0013】
このとき、前記差し込み部は、前記躯体の間口方向に並ぶ建築用パネル同士の間に形成される前記目地の内部に差し込まれ、前記ガイド治具が前記躯体に取り付けられたとき、前記差し込み部は、一対の前記建築用パネルの仕上げ面材の間に挟まれた状態で支持され、かつ、前記仕上げ面材の表面部を避けて前記仕上げ面材の裏面部に当接していると良い。
上記構成により、ガイド治具が躯体(建築用パネル)に取り付けられたとき、ガイド治具が仕上げ面材の表面部(厳密には、表面材の側面)を変形、傷つけることを防止することができる。そのため、仕上げ面材の意匠性に影響を与えることを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のつなぎ用金具のガイド治具によれば、従来よりもシンプルでありながら、つなぎ用金具の固定作業を容易に行うことが可能となる。
また、建物の種類や大きさによってつなぎ用金具の固定位置が異なる場合であっても、つなぎ用金具の固定作業を良好に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】建物の躯体、つなぎ用金具、つなぎ部材及び仮設足場の斜視図である。
【
図2】建物の躯体、つなぎ用金具(カバー材を含む)の斜視図である。
【
図3】外壁パネル、ガイド治具、つなぎ用金具の分解斜視図であって、ガイド治具が組み付けられた状態を示す図である。
【
図4】外壁パネル、ガイド治具、つなぎ用金具の組図である。
【
図5】外壁パネル、つなぎ用金具の組図であって、ガイド治具が取り外された状態を示す図である。
【
図6】外壁パネル、つなぎ用金具、つなぎ部材、仮設足場の組図である。
【
図8】異なる向きから見たときのガイド治具である。
【
図9】建築用パネル、ガイド治具の平面図であって、ガイド治具が組み付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図9を参照して説明する。
本実施形態は、建物の躯体よりも外側に設置される仮設構造体(仮設足場)を保持するつなぎ用金具を、建物の躯体(建築用パネル)の表面に固定するために用いられるつなぎ用金具のガイド治具であって、シンプルでありながら、つなぎ用金具の固定作業を容易に行うことを可能とする「ガイド治具」に関するものである。
まずは、つなぎ用金具について説明し、その後につなぎ用金具を保持するガイド治具について説明することとする。
【0017】
<つなぎ用金具の用途>
つなぎ用金具1は、
図1に示すように、建物の躯体Bを構成する外壁パネルB1の表面に取り付けられる連結金具であって、躯体Bよりも外側に設置される仮設足場Sを保持するために用いられる。
つなぎ用金具1は、仮設足場Sを保持するために利用されるほか、仮設手摺り等のような転落防止用の仮設構造体を保持するために利用されても良い。
【0018】
なお、建物の躯体Bは、
図1、
図9に示すように、建物の間口方向及び上下方向に並ぶ複数の外壁パネルB1、B2と、外壁パネルB1、B2の間に形成される目地B3と、を備えている。
外壁パネルB1は、建物の外部に面して設置される建築用パネルである。具体的には、外壁パネルB1は、
図9に示すように、矩形状のパネルフレームB1aと、パネルフレームB1aの表面に固定される矩形状の仕上げ面材B1bと、を備えている。外壁パネルB2についても同様である。
左右の外壁パネルB1、B2の間には、気温変化等による膨張を考慮して目地B3(隙間)が形成されている。目地B3には、建物の施工作業又は修繕作業を終えた後、目地材(例えばシーリング材や乾式ガスケット等)が充填されることになる。
本実施形態では、つなぎ用金具1が外壁パネルB1の表面に固定される構成としているが、特に限定されるものではない。つなぎ用金具1が、建物の外部に面して設置される建築用パネルの表面に固定されても良い。具体的には、つなぎ用金具1が、腰壁パネルの表面に固定されても良いし、庇パネルや天井パネルの表面に固定されても良い。
【0019】
また、つなぎ用金具1は、
図1に示すように、仮設足場Sを保持するつなぎ部材S4と接続されている。
仮設足場Sは、建物の施工中又は修繕中に用いられる仮設構造体であって、建物の躯体Bよりも外側に設置されている。
仮設足場Sは、上下方向に長尺な複数の支柱S1と、互いに隣り合う支柱S1に架け渡され、建物の出幅方向に延びている複数の連結部材S2と、互いに隣り合う連結部材S2に架け渡され、建物の間口方向に延びている複数の足場板S3と、を備えている。
つなぎ部材S4は、建物の躯体Bに対して仮設足場Sを保持するために用いられる部材である。
つなぎ部材S4は、建物の出幅方向において躯体B側に設けられ、つなぎ用金具1に接続される接続部材S4aと、接続部材S4aから仮設足場S側に向かって延びており、伸縮自在な伸縮部材S4bと、伸縮部材S4bの延出端部に設けられ、仮設足場S(支柱S1)に取り付けられるクランプS4cと、を備えている。
【0020】
なお、つなぎ用金具1は、仮設足場Sを保持するつなぎ部材S4と接続されているが、特に限定されず、仮設足場S(例えば支柱S1や足場板S3)と直接接続され、仮設足場Sを直接保持することとしても良い。
【0021】
上記のように、つなぎ用金具1は、
図1に示すように、建物の施工中又は修繕中に、仮設足場S又は仮設足場Sに固定されたつなぎ部材S4と連結される。
そして、建物の施工作業又は修繕作業を終えた後には、
図2に示すように、つなぎ用金具1は、建物の意匠性を確保するためにカバー材40によって被覆される。
【0022】
<つなぎ用金具の構成>
つなぎ用金具1は、
図3、
図4に示すように、楕円体の金具本体10と、金具本体10の裏面に取り付けられる止水材20と、金具本体10を固定するためのビス30と、
図2に示すように、金具本体10を外側から覆うカバー材40と、を備えている。
【0023】
金具本体10の表面の中央部には、つなぎ部材S4(接続部材S4a)に接続させるための接続穴11が形成されている。接続穴11は、つなぎ部材S4の接続部材S4a(接続ボルト)と螺合可能となっている。
また、金具本体10の表面のうち、接続穴11を挟む位置にある両端部分には、ビス30を貫通させるためのビス穴12がそれぞれ形成されている。止水材20においてビス穴12に対応する部分にもビス穴21が形成されている。
【0024】
止水材20は、
図3に示すように、例えばゴム止水材であって、外壁パネルB1(仕上げ面材B1b)の表面に直接当接するものである。
ビス30は、
図4、
図9に示すように、金具本体10及び止水材20を貫通し、外壁パネルB1の仕上げ面材B1bをさらに貫通し、パネルフレームB1aまで達するように取り付けられている。
図5、
図6に示すように、つなぎ用金具1(金具本体10、止水材20及びビス30)が外壁パネルB1の表面に固定されることで、躯体Bに対し仮設足場S(つなぎ部材S4)を連結させることができる。
【0025】
カバー材40は、
図2に示すように、外壁パネルB1の意匠性を確保するための化粧カバーであって、金具本体10、止水材20及びビス30を外側から覆うように配置される。
そうすることで、建物の施工作業又は修繕作業を終えた後には、つなぎ用金具1を目立たなくさせ、建物の見栄えを良くすることができる。
【0026】
つなぎ用金具1は、躯体Bの外壁パネルB1の表面のうち、目地B3から所定距離離間した位置に固定される。例えば、つなぎ用金具1は、外壁パネルB1の表面のうち、目地B3に近い側の端部位置であって、パネルフレームB1aに対応する位置に固定される。
つなぎ用金具1は、
図1、
図2に示すように、建物の上下方向及び間口方向に沿って所定の間隔を空けて配置される。詳しく述べると、複数のつなぎ用金具1は、上下方向に位置を揃えて配置され、かつ、間口方向に位置を揃えて配置されている。
なお、建物の種類や大きさによっては、つなぎ用金具1の固定位置が異なってくる。つまりは、建物の目地B3からの離間位置が異なってくる。そのような場合であっても、本実施形態のガイド治具101を利用することで、つなぎ用金具1の固定位置を任意に定めることができる。
【0027】
<ガイド治具>
ガイド治具101は、
図3、
図4に示すように、外壁パネルB1の表面につなぎ用金具1を固定するために用いられる。
詳しく述べると、
図4に示すように、ガイド治具101が外壁パネルB1に取り付けられ、つなぎ用金具1がガイド治具101の内部に収容されたとき、ガイド治具101は、外壁パネルB1の表面につなぎ用金具1を対向させた状態でつなぎ用金具1を保持する。
【0028】
ガイド治具101は、
図3、
図4、
図7、
図8に示すように、外壁パネルB1の表面に対向するように配置されるベース部110と、ベース部110の裏面から外壁パネルB1に向かって突出し、第1外壁パネルB1及び第2外壁パネルB2の間の目地B3に差し込まれる差し込み部120と、を備えている。
ベース部110と差し込み部120は、同じ樹脂材料から一体形成されている。
なお、ガイド治具101は、金型を用いて一体成形によって製造されても良いし、樹脂ブロックを削り出すことで製造されても良い。
【0029】
ベース部110は、矩形板状を有し、第1外壁パネルB1及び第2外壁パネルB2の並び方向に沿って長尺に延びている。
ベース部110の表面には、ベース部110の表面から裏面まで貫通し、つなぎ用金具1を通す大きさを有する保持穴130が形成されている。
【0030】
差し込み部120は、矩形板状を有し、目地B3に差し込み可能な大きさを有している。
差し込み部120は、ベース部110の延出方向の一端部111側に設けられている。詳しく述べると、差し込み部120は、ベース部110の延出方向において一端部111よりもやや内側位置に配置されている。
差し込み部120は、ベース部110とは直交するように延びている。
差し込み部120は、目地B3に差し込まれたときに、第1外壁パネルB1及び第2外壁パネルB2に当接して取り付けられる。
【0031】
保持穴130は、つなぎ用金具1を通すことが可能な大きさを有し、つなぎ用金具1の形状に対応した断面楕円形状の貫通穴となっている。
保持穴130は、ベース部110の延出方向において差し込み部120よりも他端部112側に配置されている。
保持穴130は、ベース部110の延出方向に沿って複数並ぶように形成されている。
具体的には、保持穴130は、第1保持穴131と、第2保持穴132と、第3保持穴133と、を備えている。
【0032】
第1保持穴131は、ベース部110の延出方向において一端部111側に形成されている。第2保持穴132は、第1保持穴131よりも他端部112側に形成され、第1保持穴131と一部重なるように配置されている。第3保持穴133は、第2保持穴132よりも他端部112側に形成され、第2保持穴132とは間隔を空けて配置されている。
これら保持穴131~133は、それぞれベース部110の延出方向において差し込み部120が設けられた位置から所定距離離間した位置に配置されている。
そうすることで、建物の種類や大きさによってつなぎ用金具1の固定位置、すなわち、目地B3からの離間位置が異なってくるところ、そのような場合であっても対応可能なガイド治具101となる。つまりは、複数の保持穴131~133のいずれかを選択することで、つなぎ用金具1の固定位置を任意に定めることができる。
【0033】
上記構成において、
図7、
図8に示すように、差し込み部120と保持穴130とが、ベース部110の長さ方向に並ぶように配置されている。そして、ベース部110の幅方向における差し込み部120の長さ(上下方向の長さ)が、ベース部110の幅方向における保持穴130の長さ(上下方向の長さ)と同じになっている。
そうすることで、ベース部110の大きさをよりコンパクトにすることができる。つまりは、ガイド治具101の大きさをコンパクトにすることができる。
なお、上記差し込み部120の長さは、上記保持穴130の長さよりも短くなっても良い。
【0034】
上記構成において、
図9に示すように、ガイド治具101が躯体Bに取り付けられたとき、ベース部110が第1外壁パネルB1の表面に対向して配置され、かつ、ベース部110の一端部111が、目地B3を介して第2外壁パネルB2の表面に対向して配置されている。
そうすることで、ベース部110が第1外壁パネルB1の表面だけでなく、第2外壁パネルB2の表面に対しても対向して配置される。そのため、外壁パネルB1の表面にベース部110を安定して配置することができる。つまりは、躯体Bにガイド治具101を安定して取り付けられる。
【0035】
上記構成において、
図9に示すように、差し込み部120は、外壁パネルB1、B2の間の目地B3の内部に差し込まれる。
そして、ガイド治具101が躯体Bに取り付けられたとき、差し込み部120は、一対の外壁パネルB1、B2の仕上げ面材B1b、B2bの間に挟まれた状態で支持される。
このとき、差し込み部120は、仕上げ面材B1bの表面部B1cを避けて、仕上げ面材B1bの裏面部B1dに当接している。また、差し込み部120は、仕上げ面材B2bの表面部を避けて裏面部に当接している。
そうすることで、ガイド治具101が外壁パネルB1に取り付けられたとき、ガイド治具101が仕上げ面材B1bの表面部B1c(厳密には、表面部B1cの側面)を変形、傷つけることを防止できる。そのため、仕上げ面材B1bの意匠性に影響を与えることを防止できる。
【0036】
上記ガイド治具101であれば、従来よりもシンプルな形状でありながら、つなぎ用金具1の固定作業を容易に行うことができる。また、建物の種類や大きさによってつなぎ用金具1の固定位置が異なる場合であっても、つなぎ用金具1の固定作業を良好に行うことができる。
【0037】
<ガイド治具を用いた建物施工方法>
次に、つなぎ用金具1、ガイド治具101を用いた建物施工方法について、
図3~
図6に基づいて説明する。
当該施工方法は、第1工程~第5工程を少なくとも含むものである。以下、詳しく説明する。
なお、建物の施工にあたって、上記以外の施工工程については説明を省略する。
【0038】
「第1の工程」では、作業者が、建物の躯体B(外壁パネルB1)の所定部位にガイド治具101を取り付ける。
具体的には、
図3に示すように、作業者が、躯体Bの目地B3に対しガイド治具101の差し込み部120を差し込み、外壁パネルB1に取り付ける。
このとき、ガイド治具101のベース部110が、外壁パネルB1の表面に対向して配置される。ガイド治具101が外壁パネルB1に取り付けられると、作業者は、ガイド治具101を把持しておかなくても良い。
【0039】
「第2の工程」では、
図3、
図4に示すように、作業者が、ガイド治具101の保持穴130の内部につなぎ用金具1(厳密には、金具本体10)を配置する。
このとき、金具本体10は、外壁パネルB1の表面に対向した状態で保持される。
【0040】
「第3の工程」では、
図4に示すように、金具本体10が保持された状態で、作業者が、金具本体10のビス穴12に対しビス30を打ち込む。
例えば、作業者は、打ち込み工具を用いてビス30を打ち込むところ、つなぎ用金具1及びガイド治具101を手から離して作業することができる。
ビス30が打ち込まれることで、つなぎ用金具1が外壁パネルB1の表面の所定位置に固定される。
【0041】
「第4の工程」では、
図5に示すように、作業者が、ガイド治具101を外壁パネルB1から取り外す。
詳しく述べると、作業者が、ガイド治具101を建物の出幅方向の外側に引っ張ることで、ガイド治具101を容易に取り外すことができる。
ガイド治具101を取り外した後には、つなぎ用金具1が残り、外壁パネルB1の表面に固定される。
【0042】
「第5の工程」では、
図6に示すように、作業者が、つなぎ用金具1の接続穴11につなぎ部材S4(接続部材S4a)を接続する。そして、作業者が、つなぎ用金具1及びつなぎ部材S4を介して、躯体B及び仮設足場Sを連結する。
【0043】
上記建物施工方法であれば、シンプルな形状からなるガイド治具101を利用して、つなぎ用金具1の固定作業を容易に行うことができる。
【0044】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、
図8に示すように、ベース部110と差し込み部120が同じ材料から一体形成されているが、特に限定されるものではなく、別材料であっても良い。
別材料の場合には、例えば、ベース部110と差し込み部120が取り付け部材によって連結されると良い。当該連結手段としては、ベース部110の裏面に差し込み部120を重ねた状態で、ベース部110の表面から取り付け部材(取り付けネジ)を打ち込むと良い。
【0045】
上記実施形態では、
図1、
図3に示すように、差し込み部120が、上下方向に沿って延びる目地B3(縦目地)に差し込まれているが、建物の間口方向に延びる目地(横目地)に差し込まれても良い。
すなわち、ガイド治具101が、躯体Bの上下方向に並ぶ外壁パネル同士の間の横目地に差し込まれ、当該横目地周辺の位置につなぎ用金具1を固定するために用いられても良い。
【0046】
上記実施形態では、
図7に示すように、保持穴130が複数形成されているが、特に限定されるものではない。すなわち、保持穴130は1つであっても良い。
【0047】
上記実施形態では、
図9に示すように、ガイド治具101が、第1外壁パネルB1、第2外壁パネルB2に跨るように取り付けられているが、特に限定されるものではない。
すなわち、ガイド治具101が、第1外壁パネルB1のみに対向して配置されても良い。
【0048】
上記実施形態では、
図9に示すように、差し込み部120が、外壁パネルB1のパネルフレームB1aには達しない位置まで差し込まれているが、特に限定されるものではない。
すなわち、差し込み部120が、パネルフレームB1aに達する位置まで差し込まれ、パネルフレームB1aに当接していても良い。
【0049】
上記実施形態では、主として本発明に係るつなぎ用金具のガイド治具に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
B 躯体(建物の躯体)
B1 外壁パネル(第1外壁パネル、建築用パネル、第1建築用パネル)
B1a パネルフレーム
B1b 仕上げ面材
B1c 表面部(表面部材)
B1d 裏面部(裏面部材)
B2 第2外壁パネル(第2建築用パネル)
B2b 仕上げ面材
B3 目地(隙間)
S 仮設足場(仮設構造体)
S1 支柱
S2 連結部材
S3 足場板
S4 つなぎ部材
S4a 接続部材
S4b 伸縮部材
S4c クランプ
1 つなぎ用金具
10 金具本体
11 接続穴
12 ビス穴
20 止水材
21 ビス穴
30 ビス
40 カバー材
101 ガイド治具
110 ベース部
111 一端部
112 他端部
120 差し込み部
130 保持穴
131 第1保持穴
132 第2保持穴
133 第3保持穴