(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050133
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】モビリティ管理装置、モビリティ管理システム、モビリティ管理方法およびモビリティ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 8/02 20090101AFI20240403BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20240403BHJP
【FI】
H04W8/02
H04W92/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156790
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 智啓
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD30
5K067DD36
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して接続先と通信接続を行うまでの時間を短縮可能なモビリティ管理装置を提供する。
【解決手段】モビリティ管理装置(10)は、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、ホーム国の複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、複数のセッション管理装置から接続先を選択する選択部(11)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理装置であって、
前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段を備える、モビリティ管理装置。
【請求項2】
ネットワーク情報管理装置から、前記タイムゾーン情報を受信する通信手段をさらに備える、請求項1に記載のモビリティ管理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記ホーム国の各時間帯と前記複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す関係情報にさらに基づいて、前記接続先を選択する、請求項2に記載のモビリティ管理装置。
【請求項4】
前記関係情報は、前記ホーム国の前記複数のタイムゾーンごとの各時間帯と前記複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す情報である、請求項3に記載のモビリティ管理装置。
【請求項5】
前記モビリティ管理装置が前記接続先と通信接続を行うことができない場合に、前記選択手段は、前記接続先とは別のタイムゾーンに属するセッション管理装置から別の接続先を選択する、請求項4に記載のモビリティ管理装置。
【請求項6】
前記モビリティ管理装置は、MME(Mobility Management Entity)であり、
前記ネットワーク情報管理装置は、DNS(Domain Name System)であり、
前記セッション管理装置は、PGW(Packet data network Gateway)である、請求項2~5のいずれか1項に記載のモビリティ管理装置。
【請求項7】
前記モビリティ管理装置は、AMF(Access and Mobility Management Function)であり、
前記ネットワーク情報管理装置は、NRF(Network repository Function)であり、
前記セッション管理装置は、SMF(Session Management Function)である、請求項2~5のいずれか1項に記載のモビリティ管理装置。
【請求項8】
モビリティ管理装置と、ネットワーク情報管理装置と、複数のセッション管理装置と、を備え、
前記モビリティ管理装置は、
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理装置であって、
前記ネットワーク情報管理装置から、前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報を受信し、前記接続先と通信接続を行う通信手段と、
前記タイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段と、を備え、
前記ネットワーク情報管理装置は、
前記モビリティ管理装置の前記通信手段に前記タイムゾーン情報を送信する通信手段を備え、
前記セッション管理装置は、
前記モビリティ管理装置の前記通信手段と通信接続を行う通信手段を備える、モビリティ管理システム。
【請求項9】
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理方法であって、
少なくとも1つのプロセッサが、
前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択することを含む、モビリティ管理方法。
【請求項10】
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段として機能させる、モビリティ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介した国際ローミング接続を行う接続先を選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホーム国とローミング国との間の国際ローミング接続を行う通信技術およびその関連技術が知られている。いくつかの場合、ホーム国とローミング国とでは時刻帯が異なっている。このため、ローミング国にいるユーザは、ホーム国が深夜であるにもかかわらず、国際ローミングを行ってしまう場合がある。これに対し、特許文献1には、ホーム国(自国)の時刻、および、ローミング先のローミング国とホーム国との時差とに基づいて、ホーム国の時間帯が深夜である場合に、その旨を警告表示したり、ホーム国のサービスサーバへの接続を制限したりする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は有用である。一方で、国際ローミングにおいて解決すべき技術的課題は他にも存在する。例えば、国際ローミング接続による、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して接続先と通信接続を行うまでの時間を短縮することは有用である。
【0005】
本発明の一態様は、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介した国際ローミング接続を行う接続先と通信接続を行うまでの時間を短縮可能なモビリティ管理装置およびその関連技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るモビリティ管理装置は、複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の国際ローミング接続による、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理装置であって、前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るモビリティ管理システムは、モビリティ管理装置と、ネットワーク情報管理装置と、複数のセッション管理装置と、を備え、前記モビリティ管理装置は、複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理装置であって、前記ネットワーク情報管理装置から、前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報を受信し、前記接続先と通信接続を行う通信手段と、前記タイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段と、を備え、前記ネットワーク情報管理装置は、前記モビリティ管理装置の前記通信手段に前記タイムゾーン情報を送信する通信手段を備え、前記セッション管理装置は、前記モビリティ管理装置の前記通信手段と通信接続を行う通信手段を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るモビリティ管理方法は、複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理方法であって、少なくとも1つのプロセッサが、前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択することを含む。
【0009】
本発明の一態様に係るモビリティ管理プログラムは、複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理プログラムであって、コンピュータを、前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して接続先と通信接続を行うまでの時間を短縮可能なモビリティ管理装置およびその関連技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的実施形態1に係るモビリティ管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】例示的実施形態1に係るモビリティ管理方法の流れを示すフロー図である。
【
図3】例示的実施形態2に係るモビリティ管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】例示的実施形態2に係るモビリティ管理方法の流れを示すフロー図である。
【
図8】各例示的実施形態に係る各装置の各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態が解決しようとする課題〕
以下、例示的実施形態が解決しようとする課題について、ホーム国(居住地国)がアメリカ合衆国のユーザがローミング国である日本に訪問してLTE(Long Term Evolution)ネットワークに接続する場合の問題点を例に説明する。
【0013】
ローミング国に位置するモビリティ管理装置は、LTEの接続シーケンス(Initial Attach)の一連の処理の一部として、接続先のセッション管理装置(例えば、PGW(Packet data network Gateway))の選択処理を実施することが考えられる。
【0014】
また、ローミング国にあるモビリティ管理装置(例えば、MME(Mobility Management Entity))が、ユーザの端末装置(UE)が有するAPN情報に基づいてFQDN方式のクエリキーを作成することが考えられる。モビリティ管理装置は、クエリキーに基づいて、ホーム国にある接続先の候補である複数のセッション管理装置(PGW)をネットワーク情報管理装置(DNS)に問い合わせることが考えられる。
【0015】
ネットワーク情報管理装置の記憶部は、接続すべきセッション管理装置の優先度に関する情報が紐づけられている接続先の候補である複数のセッション管理装置に関する情報を記憶することが考えられる。また、モビリティ管理装置は、接続すべきセッション管理装置の優先度に関する情報に基づいて、接続すべき優先度の高いセッション管理装置を接続先として選択することが考えられる。
【0016】
また、モビリティ管理装置は、ホーム国の接続先と通信接続しようとする際に接続先が輻輳している場合には、接続先から輻輳による通信接続エラーであることを応答するエラー応答情報を受信することが考えられる。そして、モビリティ管理装置は、別のセッション管理装置を接続先として再選択し、別のセッション管理装置と通信接続することが考えられる。
【0017】
このような構成の場合、別の接続先を再選択した処理の分だけ時間が余計にかかり、接続先と接続するまでの時間が伸びるため、ユーザエクスペリエンス(UX:User Experience)が低下するという問題がある。よって、例示的実施形態が解決しようとする課題の1つは、上述したような別の接続先を再選択する処理の発生を減らして、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して接続先と通信接続を行うまでの時間を短縮可能なモビリティ管理装置およびその関連技術を提供することにある。
【0018】
〔例示的実施形態1〕
本発明の例示的実施形態1について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0019】
(モビリティ管理装置10の構成)
本例示的実施形態に係るモビリティ管理装置10の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、モビリティ管理装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、モビリティ管理装置10は、選択部(選択手段)11を備える。
【0020】
モビリティ管理装置10は、複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行う。選択部11は、複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、接続先を選択する。
【0021】
ここで、「ホーム国」とは、ユーザの端末装置(不図示)が契約している国のことを意味し、例えば、ユーザの居住地国(自国)などが挙げられる。「ローミング国」とは、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介した国際ローミング接続を行うモビリティ管理装置10が位置する国のことを意味し、例えば、ユーザの訪問先の国などが挙げられる。「タイムゾーン」とは、同じ標準時を使う地域のことを意味する。セッション管理装置の詳細については、例示的実施形態2において説明する。
【0022】
(モビリティ管理方法S1の流れ)
本例示的実施形態に係るモビリティ管理方法S1の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、モビリティ管理方法S1の流れを示すフロー図である。
【0023】
図2に示すように、モビリティ管理方法S1は、ステップS11を含む。以下、モビリティ管理方法S1が、モビリティ管理装置10の各部によって実行される場合を例に説明するが、モビリティ管理方法S1は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、モビリティ管理装置10に備えられていてもよいし、他の装置に備えられていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0024】
ステップS11において、モビリティ管理装置10の選択部11は、複数のセッション管理装置が属する複数のタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、接続先のセッション管理装置を選択する。
【0025】
(例示的実施形態1の効果)
本例示的実施形態においては、モビリティ管理装置10は、複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行い、選択部11は、タイムゾーン情報に基づいて、接続先を選択する構成が採用されている。
【0026】
この構成によれば、選択部11は、ホーム国の複数のタイムゾーンごとの時差に基づいて低負荷の時間帯のタイムゾーンに属するセッション管理装置を接続先として選択することができる。このため、本例示的実施形態によれば、上述したような別の接続先を再選択する処理の発生を減らして、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して接続先と通信接続を行うまでの時間を短縮できるという効果が得られる。
【0027】
(モビリティ管理プログラム)
モビリティ管理装置10がコンピュータによって構成されている場合、モビリティ管理装置10の機能は、コンピュータが参照するメモリに記憶された、以下のモビリティ管理プログラムによっても実現することができる。
【0028】
モビリティ管理プログラムは、コンピュータを、複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理プログラムであって、コンピュータを、タイムゾーン情報に基づいて、接続先を選択する選択部11として機能させる。
【0029】
コンピュータがモビリティ管理プログラムをメモリから読み込んで実行することによって上述のモビリティ管理方法S1を実行し、当該方法と同様の効果を奏することができる。
【0030】
〔例示的実施形態2〕
本発明の例示的実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を適宜省略する。
【0031】
(モビリティ管理システム1の構成)
本例示的実施形態に係るモビリティ管理システム1の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、モビリティ管理システム1の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、モビリティ管理システム1は、モビリティ管理装置10Xと、ネットワーク情報管理装置20と、セッション管理装置30と、を備える。
【0032】
ネットワーク情報管理装置20とモビリティ管理装置10Xとは、ネットワークN1を介して互いに通信可能に接続されている。モビリティ管理装置10Xとセッション管理装置30とは、ネットワークN2を介して互いに通信可能に接続される。ネットワークN1およびN2としては、通信事業者のモバイルネットワークなどが挙げられる。
【0033】
図3に示す例では、複数のセッション管理装置のうち接続先のみをセッション管理装置30として図示し、接続先でないセッション管理装置については図示を省略する。
図3に示す例では、各装置を1つずつ示しているが、各装置の個数は、複数であってもよい。
【0034】
(モビリティ管理装置10Xの構成)
モビリティ管理装置10Xとしては、例えば、MMEなどが挙げられる。モビリティ管理装置10XがMMEである場合、モビリティ管理装置10Xは、ユーザの端末装置であるUE(User Equipment)の制御信号を扱い、端末情報の管理および認証(セキュリティ制御)ならびにユーザのパケットデータの転送経路の管理などを行うゲートウェイとして機能する。また、モビリティ管理装置10Xは、UEおよび基地局の位置情報の管理および接続を制御する装置としても機能する。
【0035】
モビリティ管理装置10Xは、通信部14と、制御部15と、記憶部16と、を備える。
【0036】
通信部14は、ネットワーク情報管理装置20の通信部23に接続先の候補である複数のセッション管理装置に関する問い合わせ情報を送信する。通信部14は、ネットワーク情報管理装置20の通信部23から、複数のセッション管理装置が属する複数のタイムゾーンを示すタイムゾーン情報を受信する。通信部14は、接続先のセッション管理装置30の通信部32と通信接続を行う。
【0037】
制御部15は、モビリティ管理装置10Xの各部を統括して制御し、モビリティ管理装置10X(例えば、MME)の接続先情報を管理する。制御部15は、選択部11Xを備える。選択部11Xは、タイムゾーン情報に基づいて、接続先のセッション管理装置30を選択する。選択部11Xの詳細については、後述の「モビリティ管理方法S1Xの流れ」において説明する。
【0038】
記憶部16は、制御部15が参照する各種データを記憶する。記憶部16は、制御部15における選択部11Xが参照するホーム国の各時間帯と複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す関係情報をあらかじめ記憶している。記憶部16は、HSS(Home Subscriber Server)などのユーザの端末装置の通信ネットワークを利用するために必要なユーザに関する情報をさらに記憶していてもよい。
【0039】
(ネットワーク情報管理装置20の構成)
ネットワーク情報管理装置20としてはDNS(Domain Name System)などが挙げられる。ネットワーク情報管理装置20がDNSである場合、ネットワーク情報管理装置20は、ユーザのドメイン名とIPアドレスとを対応付けて管理するシステムとして機能する。
【0040】
ネットワーク情報管理装置20は、通信部23と、記憶部22と、取得部25と、を備える。通信部23は、モビリティ管理装置10Xの通信部14から、複数のセッション管理装置に関する問い合わせ情報を受信し、モビリティ管理装置10Xの通信部14にタイムゾーン情報を送信する。記憶部22は、通信部23が送信するタイムゾーン情報などの各種データを記憶する。取得部25は、タイムゾーン情報などの各種データを取得する。
【0041】
(セッション管理装置30の構成)
セッション管理装置30としては、例えば、PGWなどのノードが挙げられる。セッション管理装置30がPGWである場合、セッション管理装置30は、外部ネットワークに接続するためのゲートウェイとして機能する。
【0042】
具体的には、セッション管理装置30は、4Gのパケットコア装置であるEPC(Evolved Packet Core)と外部のネットワーク(例えば、インターネット)とを接続する機能を有し、パケットの転送、携帯端末(例えば、スマートフォン)などのユーザの端末装置(UE)へのIPアドレスの付与(割り当て)およびネットワークの接続の切断の処理などを行う。セッション管理装置30は、PDN(Packed Data Network)との接続点であり、IPアドレスの付与およびモビリティ管理装置10Xの通信部14(SGW)へのパケットの転送などを行うゲートウェイとしても機能する。また、セッション管理装置30は、サービスごとの帯域制限およびユーザの端末装置に付与するIPアドレスを管理する。
【0043】
セッション管理装置30は、通信部32と、記憶部33と、を備える。通信部32は、モビリティ管理装置10Xの通信部14と通信接続を行う。セッション管理装置30は、SGW(Serving gateway)へのパケット転送などを行うゲートウェイとして機能する。記憶部33は、各種データを記憶する。
【0044】
(モビリティ管理方法S1Xの流れ)
本例示的実施形態に係るモビリティ管理方法S1Xの流れについて、
図4~6を参照して説明する。
図4は、モビリティ管理方法S1Xの流れを示すフロー図である。
図5は、タイムゾーン情報の一例を示す図である。
図6は、関係情報の一例を示す図である。
【0045】
図4に示すように、モビリティ管理方法S1Xは、ステップS101と、S102と、S103と、S104と、S105と、を含む。以下、モビリティ管理方法S1Xが、モビリティ管理装置10Xの各部によって実行される場合を例に説明するが、モビリティ管理方法S1Xは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、モビリティ管理装置10Xに備えられていてもよいし、他の装置に備えられていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0046】
図4では、あらかじめ、ネットワーク情報管理装置20の取得部25が、外部のタイムゾーン情報を有する保有者などから受信または入力の受付によりタイムゾーン情報を取得し、ネットワーク情報管理装置20の記憶部22が、タイムゾーン情報を記憶している。また、モビリティ管理装置10Xの通信部14が、ネットワーク情報管理装置20の通信部23に、接続先の候補である複数のセッション管理装置に関する問い合わせ情報をあらかじめ送信している。
【0047】
また、
図4に示す例では、ホーム国(居住地国)がアメリカ合衆国であるユーザが訪問先のローミング国である日本に来て、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介した国際ローミング接続を行う場合を想定している。この場合、ユーザの端末装置およびモビリティ管理装置10Xは、ローミング国である日本から、LTEネットワークへの接続を開始する。これにより、ユーザの端末装置(UE)とモビリティ管理装置10Xとは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Network)などのLTEを提供するための無線ネットワークなどによって接続される。また、モビリティ管理装置10Xと、ネットワーク情報管理装置20とは、ネットワークN1により接続される。
【0048】
ローミング国のモビリティ管理装置10Xの通信部14は、ユーザの端末装置が有するAPN(Access Point Name)情報に基づいてFQDN(Fully Qualified Domain Name)方式のクエリキーを作成する。モビリティ管理装置10Xの通信部14は、クエリキーに基づいて、ホーム国におけるホーム事業者の複数のセッション管理装置に関する問い合わせ情報をネットワーク情報管理装置20の通信部23に送信する。
【0049】
(ステップS101)
ステップS101において、ネットワーク情報管理装置20の通信部23は、モビリティ管理装置10の通信部14に複数のセッション管理装置が属する複数のタイムゾーンを示すタイムゾーン情報を送信する。
【0050】
例えば、ネットワーク情報管理装置20の通信部23がモビリティ管理装置10Xの通信部14から問い合わせ情報を受信した場合、ネットワーク情報管理装置20の通信部23は、モビリティ管理装置10の通信部14にタイムゾーン情報を送信する。
【0051】
タイムゾーン情報としては、
図5のタイムゾーン情報DB1のように、ホーム国の複数のタイムゾーンと、複数のタイムゾーンの各々に属する接続先の候補である複数のセッション管理装置との関係を示すテーブルを有するデータベースが挙げられる。
【0052】
(ステップS102)
ステップS102において、モビリティ管理装置10Xの通信部14は、ネットワーク情報管理装置20の通信部23から、複数のセッション管理装置が属する複数のタイムゾーンを示すタイムゾーン情報を受信する。
【0053】
(ステップS103)
ステップS103において、モビリティ管理装置10Xの選択部11Xは、複数のセッション管理装置が属する複数のタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、接続先であるセッション管理装置30を選択する。
【0054】
例えば、選択部11Xは、タイムゾーン情報を参照して、接続先の候補であるホーム国の複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンの時間帯を算出する。続いて、選択部11Xは、複数のセッション管理装置のうち、通信接続を行うのに適した時間帯にあるセッション管理装置を選択してもよい。通信接続を行うのに適した時間帯は、あらかじめ定められていてもよく、当該時間帯としては、例えば、通信データ量の少ない低負荷の時間帯などが挙げられる。
【0055】
選択部11Xは、ホーム国の複数の時間帯と複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す関係情報にさらに基づいて、接続先であるセッション管理装置30を選択してもよい。
【0056】
例えば、選択部11Xは、ローミング国の時刻に対応するホーム国の複数のタイムゾーンの各々の時刻を算出する。続いて、選択部11Xは、関係情報を参照して、複数のタイムゾーンの各々の時刻が属する時間帯における複数のセッション管理装置の通信データ量を算出する。選択部11Xは、複数のセッション管理装置のうち、通信データ量の少ない低負荷の時間帯にあるセッション管理装置を、通信接続を行うのに適した時間帯にあるセッション管理装置として選択してもよい。
【0057】
(ステップS103の一例)
以下、選択部11Xが、
図5に示すタイムゾーン情報DB1と、
図6に示すホーム国の複数の時間帯と、セッション管理装置の通信データ量との関係を示す関係情報DB2とを参照して、選択部11Xが接続先を選択するステップS103の一例について説明する。
【0058】
ここで、
図6に示す関係情報DB2は、ホーム国のタイムゾーンごとではなく、ホーム国共通の複数の時間帯と、セッション管理装置の通信データ量との関係を示すデータベースである。また、関係情報DB2は、モビリティ管理装置10Xの記憶部16があらかじめ記憶している。このため、関係情報DB2の「通信データ量」は、複数のセッション管理装置の現在の通信データ量ではなく、「通信データ量」としては、例えば、所定の期間における複数のセッション管理装置の過去の通信データ量の平均値などが挙げられる。
【0059】
図6の関係情報DB2における「通信データ量」とは、トラヒック量を意味する。「少」とは、通信データ量があらかじめ定められた第1の閾値以上第2の閾値未満であり、当該通信データ量に対応する時間帯が閑散期にあることを意味する。「極少」とは、通信データ量があらかじめ定められた第1の閾値未満であり、当該通信データ量に対応する時間帯が極めて閑散期にあることを意味する。「多」とは、通信データ量があらかじめ定められた第3の閾値以上第4の閾値未満であって、輻輳する可能性があるほど多いことを意味する。「極多」とは、通信データ量があらかじめ定められた第4の閾値以上であって、輻輳している可能性が高いほど多いことを意味する。
【0060】
図6に示すように、業務時間外である0:01~9:00では、ユーザが端末装置を使用することが少ないため、セッション管理装置の通信データ量は少なく、深夜の時間帯である3:01~6:00では当該通信データ量は特に少ない。
【0061】
選択部11Xは、ホーム国のタイムゾーンごとの時刻にさらに基づいて、接続先であるセッション管理装置30を選択してもよい。例えば、選択部11Xは、ローミング国のタイムゾーンの時刻に対応するホーム国の複数のタイムゾーンの各々の時刻が属する時間帯における複数のセッション管理装置の通信データ量に基づいて、接続先であるセッション管理装置30を選択してもよい。
【0062】
この場合、選択部11Xは、
図5のタイムゾーン情報DB1を参照して、ローミング国である日本の時刻に対応する、ホーム国であるアメリカ合衆国の複数のタイムゾーンの各々の時刻を算出する。具体的には、選択部11Xは、東部標準時(EST:Eastern Standard Time)、中部標準時(CST:Central Standard Time)および山岳部標準時(MST:Mountain Standard Time)および太平洋標準時(PST:Pacific Standard Time)の各々の時刻を算出する。一例として、日本の時刻が8:01であれば、選択部11Xは、東部標準時の時刻を18:01、中部標準時の時刻を17:01、山岳部標準時の時刻を16:01、太平洋標準時の時刻を15:01と算出する。
【0063】
続いて、選択部11Xは、選択部11Xは、タイムゾーン情報DB1および関係情報DB2を参照し、アメリカ合衆国の複数のタイムゾーンの各々の時刻が属する時間帯における複数のセッション管理装置の通信データ量を予測する。
【0064】
例えば、選択部11Xは、東部標準時の時刻である18:01が属する時間帯である18:01~21:00におけるセッション管理装置-E1およびセッション管理装置-E2の通信データ量を「極多」と予測する。選択部11Xは、中部標準時の時刻である17:01が属する時間帯である15:01~18:00におけるセッション管理装置-C1の通信データ量を「少」と予測する。選択部11Xは、山岳部標準時の時刻である16:01が属する時間帯である15:01~18:00におけるセッション管理装置-M1の通信データ量を「少」と予測する。選択部11Xは、太平洋標準時の時刻である15:01が属する時間帯である15:01~18:00におけるセッション管理装置-P1の通信データ量を「少」と予測する。
【0065】
選択部11Xは、閑散期に該当する時間帯のタイムゾーンに属するセッション管理装置を接続先のセッション管理装置30として選択する。例えば、選択部11Xは、ローミング国のタイムゾーンの時刻に対応するホーム国の複数のタイムゾーンの各々の時刻が属する時間帯における通信データ量が所定の閾値未満であるセッション管理装置を接続先として選択してもよい。
【0066】
当該構成によれば、ユーザが設定した閾値に応じて選択部11Xが選択する接続先が変化する。例えば、ユーザが設定した所定の閾値が第4の閾値である場合、選択部11Xは、当該通信データ量が「極多」である高負荷のセッション管理装置以外のセッション管理装置を接続先として選択してもよい。一方、ユーザが設定した所定の閾値が第3の閾値である場合、選択部11Xは、当該通信データ量が「少」または「極少」である低負荷のセッション管理装置として選択してもよい。このように、当該構成によれば、選択部11Xは、ユーザが設定した閾値に応じて、ユーザにとって所望の接続先を選択する。
【0067】
上述の例では、通信データ量が「多」である接続先の候補のセッション管理装置には、太平洋標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-P1、中部標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-C1、山岳部標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-M1が該当する。
【0068】
このように、通信データ量が「極多」でない接続先の候補のセッション管理装置が複数存在する場合、選択部11Xは、通信データ量が第4の閾値未満のセッション管理装置のうち、通信データ量が最少のセッション管理装置を接続先として選択してもよい。これにより、通信データ量が閾値未満である低負荷の接続先の候補のセッション管理装置が複数存在したとしても、選択部11Xは、通信データ量が最少であり、最も低負荷のセッション管理装置を接続先セッション管理装置として選択する。
【0069】
上述の例では、太平洋標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-P1、中部標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-C1、および、山岳部標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-M1が、通信データ量が最少の接続先の候補のセッション管理装置に該当する。
【0070】
通信データ量が最少の接続先の候補のセッション管理装置が複数存在する場合、選択部11Xは、ランダムまたはセッション管理装置の番号に基づいて接続先を選択してもよい。例えば、選択部11Xは、ランダムで太平洋標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-P1を接続先として選択してもよいし、番号が最小のセッション管理装置-C1を接続先として選択してもよい。この場合、選択部11Xは、セッション管理装置-P1またはセッション管理装置-C1のIPアドレスを選択することによって、セッション管理装置-P1またはセッション管理装置-C1を接続先として選択してもよい。
【0071】
これにより、通信データ量が最少の接続先の候補のセッション管理装置が複数存在したとしても、選択部11Xは、あらかじめ定められた法則に基づいて接続先のセッション管理装置30を選択する。このため、通信データ量が最少の接続先の候補のセッション管理装置が複数存在したとしても、選択部11Xは、自動的に接続先を選択する。
【0072】
(ステップS104)
ステップS104において、モビリティ管理装置10Xの通信部14は、接続先のセッション管理装置30の通信部32と通信接続を行う。
【0073】
例えば、ローミング国である日本のモビリティ管理装置10Xの通信部14は、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークN2を介して、ホーム国の接続先であるセッション管理装置30の通信部32と通信接続を行う。
【0074】
ステップS104において、モビリティ管理装置10Xの通信部14が接続先のセッション管理装置30の通信部32と通信接続できない場合に、選択部11Xは、接続先とは別のタイムゾーンに属するセッション管理装置から、別の接続先を選択してもよい。
【0075】
例えば、東部標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-E1が輻輳しており、モビリティ管理装置10XであるMMEの通信部14がセッション管理装置-E1の通信部32と通信接続できない場合について説明する。この場合、選択部11Xは、東部標準時のタイムゾーンと時差が3時間である太平洋標準時のタイムゾーンに属するセッション管理装置-P1を別の接続先として選択してもよい。
【0076】
(ステップS105)
ステップS105において、接続先のセッション管理装置30の通信部32は、モビリティ管理装置10Xの通信部14と通信接続を行う。
【0077】
例えば、ローミング国である日本に位置するモビリティ管理装置10Xの通信部14が、国際ローミング接続を行って、ホーム国であるアメリカ合衆国の接続先のセッション管理装置30の通信部32と通信接続を行う。この場合、通信部32と通信部14との通信接続が完了すると、ローミングサービスが開始される。
【0078】
(例示的実施形態2の効果)
本例示的実施形態においては、ネットワーク情報管理装置20の記憶部22は、複数のセッション管理装置が属する複数のタイムゾーンを示すタイムゾーン情報を記憶する構成が採用されている。また、ネットワーク情報管理装置20の通信部23は、モビリティ管理装置10Xの通信部14にタイムゾーン情報を送信し、通信部14は、通信部23からタイムゾーン情報を受信する構成が採用されている。
【0079】
この構成によれば、特許文献1のような技術と異なり、記憶部22は、タイムゾーン情報を記憶し、通信部14は、通信部23からタイムゾーン情報を受信する。このため、本例示的実施形態によれば、モビリティ管理装置10Xは、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、選択部11Xは、接続先のセッション管理装置30の選択の際に参照するタイムゾーン情報を容易に取得することができるという効果が得られる。
【0080】
また、本例示的実施形態においては、モビリティ管理装置10Xの選択部11Xが、タイムゾーン情報に基づいて接続先を選択し、モビリティ管理装置10Xの通信部14が、接続先と通信接続を行う構成が採用されている。
【0081】
この構成によれば、選択部11Xは、ホーム国の複数のタイムゾーンごとの時差に基づいて低負荷の時間帯のタイムゾーンに属するセッション管理装置を接続先として選択することができる。このため、本例示的実施形態によれば、上述したような別の接続先を再選択する処理の発生を減らして、国を跨いだ通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して接続先と通信接続を行うまでの時間を短縮することができるという効果が得られる。
【0082】
また、本例示的実施形態においては、モビリティ管理装置10Xの選択部11Xは、ホーム国の各時間帯と複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す関係情報にさらに基づいて、接続先を選択する構成が採用されている。
【0083】
この構成によれば、例えば、選択部11Xは、ローミング国の時刻に対応するホーム国の複数のタイムゾーンの各々の時刻が属する時間帯における複数のセッション管理装置の通信データ量に基づいて、接続先を選択する。このため、本例示的実施形態によれば、選択部11Xは、通信データ量の少ない低負荷の時間帯にあるセッション管理装置を接続先に選択しやすくなる。その結果、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、高負荷であり、輻輳中のセッション管理装置を選択することによってエラー応答が生じるリスクおよび低負荷のセッション管理装置の再選択処理を回避しやすくなるという効果が得られる。
【0084】
また、本例示的実施形態では、モビリティ管理装置10Xの通信部14が接続先のセッション管理装置30と通信接続できない場合に、選択部11Xは、接続先とは別のタイムゾーンに属するセッション管理装置から、別の接続先を選択する構成が採用されている。
【0085】
この構成によれば、例えば、選択部11Xは、高負荷であり、輻輳中である時間帯の接続先とは別のタイムゾーンに属するセッション管理装置から、別の接続先を再選択する。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、別のタイムゾーンにおける通信データ量の少ない低負荷の時間帯にある別の接続先を再選択しやすくなるという効果が得られる。
【0086】
また、本例示的実施形態においては、モビリティ管理装置10XはMMEであり、ネットワーク情報管理装置20はDNSであり、セッション管理装置30はPGWであるという構成が採用されている。
【0087】
この構成によれば、モビリティ管理システム1を4Gコアネットワークに適用することになる。このため、本例示的実施形態では、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、別の接続先の再選択により別の接続先と接続するまでの時間が伸びるという、上述のシステムを4Gコアネットワークに適用した場合に生じやすい問題を解決できるという効果が得られる。
【0088】
〔変形例1〕
上述の例では、モビリティ管理装置10Xは、MMEであり、ネットワーク情報管理装置20は、DNSであり、セッション管理装置30は、PGWであるが、本例示的実施形態では、この構成に限定されない。モビリティ管理装置10Xは、AMF(Access and Mobility Management Function)であってもよい。ネットワーク情報管理装置20は、NRF(Network repository Function)であってもよい。セッション管理装置30は、SMF(Session Management Function)であってもよい。
【0089】
モビリティ管理装置10XがAMFである場合、モビリティ管理装置10Xは、ユーザ端末情報の位置情報管理や認証などのモビリティ管理機能を有する装置として機能してもよい。
【0090】
ネットワーク情報管理装置20がNRFである場合、ネットワーク情報管理装置20は、各NF(Network Function)のサービスの登録および認可ならびに必要なNFサービスを発見の機能を有する装置として機能してもよい。この場合、ネットワーク情報管理装置20の取得部25は、ネットワーク情報管理装置20がDNSである場合と異なり、外部のタイムゾーン情報を有する保有者などからの受信または入力の受付ではなく、収集することによってタイムゾーン情報を取得してもよい。
【0091】
セッション管理装置30がSMFである場合、セッション管理装置30は、データのやり取りを行うための仮想的な通信路、またはそのやり取りそのものであるセッションの管理を司る装置として機能してもよい。セッション管理装置30は、アプリケーションを利用するデータの転送パスを設定したり、開放したりする装置として機能してもよい。
【0092】
(変形例1の効果)
変形例1においては、モビリティ管理装置10XはAMFであり、ネットワーク情報管理装置20はNRFであり、セッション管理装置30はSMFであるという構成が採用されている。
【0093】
この構成によれば、モビリティ管理システム1を5Gコアネットワークに適用することになる。このため、変形例1においては、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、別の接続先の再選択により接続先と接続するまでの時間が伸びるという、上述のシステムを5Gコアネットワークに適用した場合に生じやすい問題を解決できるという効果が得られる。また、この構成によれば、NRFであるネットワーク情報管理装置20は、DNSと異なり、外部のタイムゾーン情報を有する保有者などからの受信または入力の受付ではなく、収集することによってタイムゾーン情報を取得する。このため、変形例1においては、ネットワーク情報管理装置20がタイムゾーン情報を自動的に取得することができるという効果が得られる。
【0094】
〔変形例2〕
上述の例では、関係情報は、
図6の関係情報DB2に示すように、ホーム国共通の各時間帯と、セッション管理装置の通信データ量との関係を示すデータベースである。ただし、本例示的実施形態では、関係情報は、ホーム国の複数のタイムゾーンごとの各時間帯と複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す情報であってもよい。
【0095】
以下、変形例2について、
図7を参照して説明する。
図7は、関係情報の一例を示す図である。
図7の関係情報DB2Xに示すように、関係情報は、ホーム国の複数のタイムゾーンごとの時間帯と、セッション管理装置の通信データ量との関係を示すテーブルを備えるデータベースであってもよい。
【0096】
図7に示す例では、関係情報DB2Xは、
図6に示す関係情報DB2と異なり、ホーム国の時間帯がホーム国の複数のタイムゾーンごとの時間帯になっている。また、関係情報DB2Xでは、太平洋標準時のタイムゾーンの0:01~3:00の時間帯におけるセッション管理装置の通信データ量が、他のタイムゾーンの当該時間帯におけるセッション管理装置の通信データ量よりも少なくなっている。このため、モビリティ管理装置10Xの選択部11Xは、ローミング国である日本の時刻に対応するホーム国であるアメリカ合衆国の時刻が0:01~3:00の時間帯である場合、最も通信データ量が少ないセッション管理装置を接続先として選択しやすくなる。
【0097】
(変形例2の効果)
このように、変形例2においては、関係情報は、ホーム国の複数のタイムゾーンごとの各時間帯と複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す情報である構成が採用されている。
【0098】
この構成によれば、モビリティ管理装置10Xの選択部11Xは、ホーム国の複数のタイムゾーン各々の各時間帯におけるセッション管理装置の通信データ量に基づいて、接続先を選択する。このため、変形例2によれば、より適切な接続先を選択しやすくなるという効果が得られる。
【0099】
〔変形例3〕
上述の例では、モビリティ管理装置10Xの選択部11Xは、通信データ量が閾値未満のセッション管理装置のうち、通信データ量が最少のセッション管理装置を接続先として選択している。
【0100】
ただし、本例示的実施形態では、選択部11Xは、ユーザの入力情報に基づいて、通信データ量が閾値未満のセッション管理装置のうち、接続先を選択してもよい。選択部11Xが参照するユーザの入力情報の取得方法は特に限定されない。例えば、ユーザの入力情報は、モビリティ管理装置10Xの通信部14が外部のユーザの端末装置(UE)の通信部からユーザの入力情報を受信してもよい。モビリティ管理装置10Xは、入力受付部(不図示)をさらに備え、当該入力受付部がユーザの入力を受け付けることにより、モビリティ管理装置10Xは、ユーザの入力情報を取得してもよい。
【0101】
(変形例3の効果)
変形例3においては、選択部11Xは、ユーザの入力情報に基づいて、通信データ量が閾値未満のセッション管理装置のうち、接続先を選択するという構成が採用されている。
【0102】
この構成によれば、通信データ量が閾値未満である低負荷のセッション管理装置が複数存在しても、選択部11Xは、ユーザが入力したユーザの入力情報に基づいて、実質的にユーザが接続先を選択する。このため、変形例3によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、ユーザにとって所望の接続先を選択できるという効果が得られる。
【0103】
〔ソフトウェアによる実現例〕
モビリティ管理システム1を構成する各装置の一部または全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0104】
後者の場合、モビリティ管理システム1を構成する各装置は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図8に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを、モビリティ管理システム1を構成する各装置として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、モビリティ管理システム1を構成する各装置の各機能が実現される。
【0105】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、または、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0106】
コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)をさらに備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースをさらに備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースをさらに備えていてもよい。
【0107】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、またはプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、または放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0108】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0109】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部または全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0110】
(付記1)
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理装置であって、
前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段を備える、モビリティ管理装置。
【0111】
(付記2)
ネットワーク情報管理装置から、前記タイムゾーン情報を受信する通信手段をさらに備える、付記1に記載のモビリティ管理装置。
【0112】
(付記3)
前記選択手段は、前記ホーム国の各時間帯と前記複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す関係情報にさらに基づいて、前記接続先を選択する、付記1または2に記載のモビリティ管理装置。
【0113】
(付記4)
前記関係情報は、前記ホーム国の前記複数のタイムゾーンごとの各時間帯と前記複数のセッション管理装置の通信データ量との関係を示す情報である、付記1~3のいずれか1つに記載のモビリティ管理装置。
【0114】
(付記5)
前記モビリティ管理装置が前記接続先と通信接続を行うことができない場合に、前記選択手段は、前記接続先とは別のタイムゾーンに属するセッション管理装置から別の接続先を選択する、付記1~4のいずれか1つに記載のモビリティ管理装置。
【0115】
(付記6)
前記モビリティ管理装置は、MME(Mobility Management Entity)であり、
前記ネットワーク情報管理装置は、DNS(Domain Name System)であり、
前記セッション管理装置は、PGW(Packet data network Gateway)である、付記2~5のいずれか1項に記載のモビリティ管理装置。
【0116】
(付記7)
前記モビリティ管理装置は、AMF(Access and Mobility Management Function)であり、
前記ネットワーク情報管理装置は、NRF(Network repository Function)であり、
前記セッション管理装置は、SMF(Session Management Function)である、付記2~5のいずれか1つに記載のモビリティ管理装置。
【0117】
(付記8)
モビリティ管理装置と、ネットワーク情報管理装置と、複数のセッション管理装置と、を備え、
前記モビリティ管理装置は、
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理装置であって、
前記ネットワーク情報管理装置から、前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報を受信し、前記接続先と通信接続を行う通信手段と、
前記タイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段と、を備え、
前記ネットワーク情報管理装置は、
前記モビリティ管理装置の前記通信手段に前記タイムゾーン情報を送信する通信手段を備え、
前記セッション管理装置は、
前記モビリティ管理装置の前記通信手段と通信接続を行う通信手段を備える、モビリティ管理システム。
【0118】
(付記9)
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理方法であって、
少なくとも1つのプロセッサが、
前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択することを含む、モビリティ管理方法。
【0119】
(付記10)
複数のタイムゾーンを有するホーム国とローミング国との間の通信事業者間の提携によって接続されるネットワークを介して、前記ホーム国の複数のセッション管理装置から選択される接続先と通信接続を行うモビリティ管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択する選択手段として機能させる、モビリティ管理プログラム。
【0120】
〔付記事項3〕
このモビリティ管理装置は、さらにメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記複数のセッション管理装置の各々が属するタイムゾーンを示すタイムゾーン情報に基づいて、前記接続先を選択することを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0121】
〔付記事項4〕
本発明は、セッション管理装置と接続するまでの時間を短縮し、インフラを整備できる。このため、本発明は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0122】
10、10X モビリティ管理装置
14、23、32 通信部(通信手段)
11、11X 選択部(選択手段)
20 ネットワーク情報管理装置
30 セッション管理装置
C1 プロセッサ
C2 メモリ
DB1 タイムゾーン情報
DB2、DB2X 関係情報
S1、S1X モビリティ管理方法