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特開2024-50176モータコアの製造方法及びモータコアのかしめ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050176
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】モータコアの製造方法及びモータコアのかしめ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156856
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雅紀
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP07
5H615SS05
5H615SS19
5H615SS25
(57)【要約】
【課題】モータコアの厚みが小さくなりすぎることを阻止することができるモータコアの製造方法及びモータコアのかしめ装置を提供する。
【解決手段】ステータコア10の製造方法は、かしめ工程と、焼鈍工程と、再かしめ工程とを備えている。再かしめ工程では、第1型41と第2型42とによってステータコア10を挟むことで荷重を印加する。また、再かしめ工程では、第1型41から第2型42に向かって延在する治具47の先端47bが第2型42に当接することにより、積層方向におけるステータコア10の厚みTCが積層方向における治具47の長さLよりも小さくなることを阻止する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の鉄心片を積層して形成されるモータコアの製造方法であって、
前記鉄心片の各々は、前記鉄心片の積層方向の一側に膨出するダボを有し、
前記積層方向において前記モータコアに対して第1所定値の荷重を印加することで、互いに隣り合う前記鉄心片の前記ダボ同士をかしめるかしめ工程と、
前記かしめ工程の後に、前記モータコアを焼鈍する焼鈍工程と、
前記焼鈍工程の後に、前記積層方向において前記モータコアに対して前記第1所定値よりも大きい第2所定値の荷重を印加することで、互いに隣り合う前記鉄心片のダボ同士をかしめる再かしめ工程と、を備え、
前記再かしめ工程では、第1型と第2型とによって前記モータコアを挟むことで荷重を印加するとともに、前記第1型から前記第2型に向かって延在する治具の先端が前記第2型に当接することにより、前記積層方向における前記モータコアの厚みが前記積層方向における前記治具の長さよりも小さくなることを阻止する、
モータコアの製造方法。
【請求項2】
前記再かしめ工程では、前記モータコアに対して印加される荷重が前記第2所定値となるまで前記荷重を増大させる一方、前記治具の先端が前記第2型に当接した後は、前記荷重の増大を禁止する、
請求項1に記載のモータコアの製造方法。
【請求項3】
複数枚の鉄心片を積層して形成されるモータコアを製造する際に用いられ、前記鉄心片の積層方向において前記モータコアに対して荷重を印加することで、互いに隣り合う前記鉄心片のダボ同士をかしめるかしめ装置であって、
前記モータコアの一端面が当接する第1型と、
前記モータコアの前記一端面とは反対側の他端面が当接するとともに、前記第1型と共に前記モータコアに対して前記荷重を印加する第2型と、
前記第1型から前記第2型に向かって延在する治具と、を備え、
前記治具は、前記治具の先端が前記第2型に当接することにより、前記積層方向における前記モータコアの厚みが前記積層方向における前記治具の長さよりも小さくなることを阻止するように構成されている、
モータコアのかしめ装置。
【請求項4】
3つ以上の前記治具が、前記モータコアの外周側において前記モータコアの周方向に互いに間隔をあけて設けられている、
請求項3に記載のモータコアのかしめ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータコアの製造方法及びモータコアのかしめ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉄心片が複数枚積層されたステータコアの製造方法が記載されている。特許文献1に記載の製造方法は、かしめ工程と、焼鈍工程と、再かしめ工程とを備えている。
【0003】
かしめ工程では、鉄心片の積層方向においてステータコアに対して所定の荷重を印加することによって、互いに隣り合う鉄心片に設けられたダボ同士をかしめることで、ダボ同士の間の隙間を小さくする。
【0004】
焼鈍工程は、かしめ工程の後に行われる。焼鈍工程を行うことにより、ステータコアの磁気特性の改善及び鉄損低減が図られる。また、鉄心片の表面に酸化被膜が形成される。このとき、上記ダボ同士の間の隙間が大きくなるので、積層方向におけるステータコアの厚み(以下、単にステータコアの厚みという)が大きくなる。
【0005】
再かしめ工程は、焼鈍工程の後に行われる。再かしめ工程では、上記積層方向においてステータコアに対して所定の荷重を印加することによって、上記ダボ同士をかしめることで、焼鈍工程によって増大したステータコアの厚みを小さくする。このとき、酸化被膜がダボ同士をかしめる際の抵抗となる。このため、再かしめ工程では、かしめ工程よりも大きな荷重が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-201446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、焼鈍工程後のステータコアの厚みには、ステータコア毎のばらつきがある。このため、再かしめ工程後のステータコアの厚みには、ステータコア毎でばらつきがある。その結果、ステータコアの個体によっては、再かしめ工程後のステータコアの厚みが小さくなり過ぎるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのモータコアの製造方法は、複数枚の鉄心片を積層して形成されるモータコアの製造方法であって、前記鉄心片の各々は、前記鉄心片の積層方向の一側に膨出するダボを有し、前記積層方向において前記モータコアに対して第1所定値の荷重を印加することで、互いに隣り合う前記鉄心片の前記ダボ同士をかしめるかしめ工程と、前記かしめ工程の後に、前記モータコアを焼鈍する焼鈍工程と、前記焼鈍工程の後に、前記積層方向において前記モータコアに対して前記第1所定値よりも大きい第2所定値の荷重を印加することで、互いに隣り合う前記鉄心片のダボ同士をかしめる再かしめ工程と、を備え、前記再かしめ工程では、第1型と第2型とによって前記モータコアを挟むことで荷重を印加するとともに、前記第1型から前記第2型に向かって延在する治具の先端が前記第2型に当接することにより、前記積層方向における前記モータコアの厚みが前記積層方向における前記治具の長さよりも小さくなることを阻止する。
【0009】
同方法によれば、再かしめ工程において、第2所定値の荷重が積層方向においてモータコアに対して印加される。これにより、焼鈍工程において増加したモータコアの厚みを小さくできる。
【0010】
また、上記方法によれば、再かしめ工程において治具の先端が第2型に当接することにより、積層方向におけるモータコアの厚みが積層方向における治具の長さよりも小さくなることが阻止される。したがって、モータコアの厚みが小さくなり過ぎることを阻止できる。
【0011】
また、上記課題を解決するためのモータコアのかしめ装置は、複数枚の鉄心片を積層して形成されるモータコアを製造する際に用いられ、前記鉄心片の積層方向において前記モータコアに対して荷重を印加することで、互いに隣り合う前記鉄心片のダボ同士をかしめるかしめ装置であって、前記モータコアの一端面が当接する第1型と、前記モータコアの前記一端面とは反対側の他端面が当接するとともに、前記第1型と共に前記モータコアに対して前記荷重を印加する第2型と、前記第1型から前記第2型に向かって延在する治具と、を備え、前記治具は、前記治具の先端が前記第2型に当接することにより、前記積層方向における前記モータコアの厚みが前記積層方向における前記治具の長さよりも小さくなることを阻止するように構成されている。
【0012】
同構成によれば、モータコアをかしめる際に、治具の先端が第2型に当接することにより、積層方向におけるモータコアの厚みが積層方向における治具の長さよりも小さくなることが阻止される。したがって、モータコアの厚みが小さくなりすぎることを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るステータコアの斜視図である。
図2図2は、図1の2-2線に沿った断面の一部を拡大して示す断面図である。
図3図3は、図1のステータコアの製造手順を示すフローチャートである。
図4図4は、かしめ工程を示す断面図である。
図5図5は、焼鈍工程を示す断面図である。
図6図6は、図7の6-6線に沿った断面であって、再かしめ工程を示す断面図である。
図7図7は、図6の再かしめ工程において用いられるかしめ装置の平面図である。
図8図8は、図6に対応する図であって、かしめ装置の作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図8を参照して、モータコアの製造方法及びモータコアのかしめ装置をステータコアの製造方法及びステータコアのかしめ装置として具体化した一実施形態について説明する。
【0015】
<ステータコア10>
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態のステータコア10について説明する。
なお、各図面において、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。
【0016】
図1に示すように、ステータコア10は、中心孔10Aを有する略円筒状である。ステータコア10は、電磁鋼板製の鉄心片20がステータコア10の軸線方向に複数枚積層された積層体により形成されている。
【0017】
なお、以降において、鉄心片20の積層される方向を単に積層方向とし、ステータコア10の径方向を単に径方向とし、ステータコア10の周方向を単に周方向として説明する。
【0018】
ステータコア10は、円環状のヨーク12と、ヨーク12から径方向の内側に向かって延在するとともに、周方向において互いに間隔をあけて形成された複数のティース13とを有している。
【0019】
周方向において隣り合うティース13同士の間には、径方向の内側に向かって開口するとともに径方向に延在するスロット14が形成されている。
ステータコア10の外周面には、ステータコア10を図示しない回転電機のケースに固定するための複数の取付部15が設けられている。取付部15は、ヨーク12から径方向の外側に向かって突出するとともに、周方向において互いに間隔をあけて設けられている。本実施形態のステータコア10には、3つの取付部15が設けられている。取付部15には、積層方向に貫通する取付孔15aが形成されている。本実施形態のステータコア10では、1つの取付部15に対して1つの取付孔15aが設けられている。各取付孔15aに挿通される図示しないボルトによってステータコア10と上記ケースとが固定される。
【0020】
<鉄心片20>
図1及び図2に示すように、複数枚の鉄心片20は、連続して積層される複数枚の第1鉄心片21と、複数枚の第1鉄心片21の一側(図1及び図2の上側)に積層される1枚の第2鉄心片25とを有している。
【0021】
複数枚の第1鉄心片21は、基本的には同じ構成を有している。このため、ここでは1枚の第1鉄心片21について説明し、残りの第1鉄心片21については、その詳細な説明を省略することがある。
【0022】
図2に示すように、第1鉄心片21は、積層方向における第2鉄心片25側に向かって膨出するダボ22を有している。ダボ22は、第1鉄心片21におけるヨーク12に形成されるとともに、周方向において互いに間隔をあけて複数設けられている(図1参照)。ダボ22は、第1鉄心片21の一方の面から突出する凸部22aと、第1鉄心片21の他方の面において凸部22aが形成されている位置に設けられる凹部22bを有している。積層方向において隣り合う第1鉄心片21同士は、ダボ22同士が互いにかしめられることで結合されている。詳しくは、積層方向において隣り合う第1鉄心片21同士は、一方の第1鉄心片21のダボ22の凸部22aが、他方の第1鉄心片21のダボ22の凹部22bに嵌入されるとともに、かしめられることによって互いに結合されている。
【0023】
第2鉄心片25は、第2鉄心片25と隣り合う第1鉄心片21のダボ22の凸部22aが嵌入される孔26を有している。孔26は、第2鉄心片25におけるヨーク12に形成されるとともに、周方向において互いに間隔をあけて複数設けられている(図1参照)。孔26は、積層方向においてダボ22と重なる位置に設けられている。孔26は、周方向に延在する長方形状である。
【0024】
次に、図3図8を参照して、ステータコア10の製造手順について説明する。
図3に示すように、ステータコア10の製造工程は、プレス積層工程と、かしめ工程と、焼鈍工程と、再かしめ工程とを備えている。
【0025】
<プレス積層工程>
まず、プレス積層工程においては、図示しないプレス装置によって電磁鋼板製のワークをプレスすることで、ワークから複数枚の鉄心片20を打ち抜くとともに積層する。
【0026】
プレス積層工程は、ダボ形成工程及び孔形成工程を備えている。
ダボ形成工程及び孔形成工程は、いずれもワークから鉄心片20を打ち抜く打ち抜き工程の前に行われる。
【0027】
ダボ形成工程においては、プレス装置によってワークをプレスすることで、ワークのうち第1鉄心片21の各々となる部分に対し、ダボ22を形成する。
孔形成工程においては、プレス装置によってワークをプレスすることで、ワークのうち第2鉄心片25となる部分に対し、孔26を形成する。
【0028】
プレス積層工程においては、第2鉄心片25の上に、複数枚の第1鉄心片21を積層することで、鉄心片20が複数枚積層された積層体が形成される。
<かしめ工程>
図4に示すように、かしめ工程においては、まず、下型31の上面にステータコア10を載置する。その後、ステータコア10の上面に上型32を載置する。そして、上型32を下型31に向けて押し込むことで、ステータコア10を積層方向において押圧する。このとき、上型32及び下型31によって、積層方向においてステータコア10に対して第1所定値P1の荷重が印加される。第1所定値P1は、例えば1tである。これにより、積層方向において互いに隣り合うダボ22同士をかしめるとともに、積層方向において孔26と隣り合うダボ22を孔26に嵌入する。
【0029】
<焼鈍工程>
図5に示すように、焼鈍工程においては、ステータコア10が、加熱炉50の内部に搬送されることで、ステータコア10の焼鈍が行われる。
【0030】
加熱炉50の内部には、高温の雰囲気ガスが充填されている。雰囲気ガスは、例えば都市ガスを不完全燃焼させるとともに除湿処理を行うことで生成された低露点のDXガスである。
【0031】
<再かしめ工程>
再かしめ工程においては、図6及び図7に示すかしめ装置40が用いられる。
まず、かしめ装置40について説明する。
【0032】
図6に示すように、かしめ装置40は、第1型41と、第2型42と、治具47とを備えている。
第1型41は、平面視正方形板状であり、図示しないテーブル上に配置される。
【0033】
第1型41は、ステータコア10の一端面が載置される上面を有している。
第1型41の上面には、上下方向に延在する治具47の下端部が固定されている。なお、第1型41に対する治具47の固定態様は、例えばねじ込み式である。
【0034】
図7に示すように、治具47は、ステータコア10の外周側においてステータコア10の周方向に互いに間隔をあけて3つ以上設けられていることが好ましい。
本実施形態では、3つの治具47が周方向において等間隔、すなわち120度間隔にて設けられている。3つの治具47は、上下方向、すなわち積層方向における長さLを有している(図6参照)。
【0035】
図6に示すように、第2型42は、平面視正方形板状であり、ステータコア10の他端面、すなわち上端面が当接する下面を有している。
第2型42の中央部には、上方に突出する受け部43が設けられている。
【0036】
受け部43の上面には、球体45を転動可能に支持する凹球面状の下側支持部43aが設けられている。
受け部43の上方には、球体45を転動可能に支持する凹球面状の上側支持部44aを有する取付部44が設けられている。
【0037】
取付部44は、図示しない荷重印加装置に取り付けられる。受け部43と取付部44とは図示しない連結部により連結されている。
図示しない荷重印加装置により取付部44及び球体45を介して第2型42が降下されることで、第2型42及び第1型41によってステータコア10に対して荷重が印加される。
【0038】
第2型42には、上下方向に貫通する貫通孔42aが設けられている。
図7に示すように、貫通孔42aは、ステータコア10の外周側においてステータコア10の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。本実施形態では、3つの貫通孔42aが設けられている。貫通孔42aは、周方向において互いに隣り合う治具47同士の間に1つ設けられている。
【0039】
図6に示すように、再かしめ工程においては、かしめ装置40により、積層方向においてステータコア10に対して、第1所定値P1よりも大きい第2所定値P2の荷重を印加することで、互いに隣り合う鉄心片20のダボ22同士をかしめる。第2所定値P2は例えば10tである。
【0040】
かしめ装置40は、ステータコア10に対して印加される荷重が第2所定値P2となるまで荷重を増大させる。
図8に示すように、かしめ装置40は、治具47の先端47bが第2型42に当接することにより、積層方向におけるステータコア10の厚みTCが積層方向における治具47の長さLよりも小さくなることが阻止される。
【0041】
また、治具47の先端47bが第2型42に当接した後は、荷重の増大を禁止するように図示しない荷重印加装置を制御する。
再かしめ工程の後においては、かしめ装置40により、第1所定値P1の荷重をステータコア10に印加した状態で、積層方向におけるステータコア10の厚みTCを測定する。ここでは、各貫通孔42aを通じてデプスメータ60の測定面を第1型41の上面に当接させるとともに基準面を第2型42の上面に当接させることで、各貫通孔42aの位置における第1型41の上面と第2型42の上面との間の距離Lxを測定する。そして、距離Lxから第2型42の厚みT2を減じることで、第1型41の上面から各貫通孔42aの下端までの長さL1,L2,L3を算出する。そして、これら3つの長さL1,L2,L3に基づいて、3つの貫通孔42aの下端を含む仮想平面の座標を算出する。そして、上記座標に基づいて、周知の方法により、積層方向におけるステータコア10の厚みTCを算出する。
【0042】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図6に示すように、再かしめ工程において、第2所定値P2の荷重が積層方向においてステータコア10に対して印加される。これにより、焼鈍工程において増加したステータコア10の厚みTCを小さくできる。
【0043】
また、図8に示すように、再かしめ工程において治具47の先端47bが第2型42に当接することにより、積層方向におけるステータコア10の厚みTCが積層方向における治具47の長さLよりも小さくなることが阻止される。したがって、ステータコア10の厚みTCが小さくなり過ぎることを阻止できる。
【0044】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)ステータコア10の製造方法は、かしめ工程と、焼鈍工程と、再かしめ工程とを備えている。再かしめ工程では、第1型41と第2型42とによってステータコア10を挟むことで荷重を印加する。また、再かしめ工程では、第1型41から第2型42に向かって延在する治具47の先端47bが第2型42に当接することにより、積層方向におけるステータコア10の厚みTCが積層方向における治具47の長さLよりも小さくなることを阻止する。
【0045】
こうした方法によれば、上記作用を奏することから、ステータコア10の厚みTCが小さくなりすぎることを阻止することができる。
(2)再かしめ工程では、ステータコア10に対して印加される荷重が第2所定値P2となるまで荷重を増大させる一方、治具47の先端47bが第2型42に当接した後は、荷重の増大を禁止する。
【0046】
こうした方法によれば、治具47の先端47bが第2型42に当接した後、すなわちステータコア10に対して印加される荷重を増大させる必要がなくなった後には荷重の増大が禁止される。したがって、治具47に対して不要な荷重が印加されることを阻止することができる。
【0047】
(3)かしめ装置40は、第1型41から第2型42に向かって延在する治具47を備えている。
こうした構成によれば、ステータコア10をかしめる際に、治具47の先端47bが第2型42に当接することにより、積層方向におけるステータコア10の厚みTCが積層方向における治具47の長さLよりも小さくなることが阻止される。したがって、ステータコア10の厚みTCが小さくなりすぎることを阻止できる。
【0048】
(4)3つの治具47が、ステータコア10の外周側においてステータコア10の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。
こうした構成によれば、治具47が第2型42に対して当接した際に、治具47の先端47bを起点として第2型42が傾くことが抑制される。したがって、ステータコア10に対して安定して荷重を印加することができる。
【0049】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・本実施形態では、治具47を3つ設けるようにしたが、治具は1つまたは2つでもよいし、4つ以上でもよい。
・本実施形態では、複数の治具47を、ステータコア10の周方向において等間隔にて設けるようにしたが、不等間隔にて設けるようにしてもよい。
【0051】
・本実施形態では、3つの治具47の全てが、第1型41から第2型42に向かって延在する構成について例示したが、3つの治具47のうちの少なくとも1つが第2型42から第1型41に向かって延在するようにしてもよい。
【0052】
・本発明を、ロータコアの製造方法として具体化することもできる。
【符号の説明】
【0053】
10…ステータコア
10A…中心孔
12…ヨーク
13…ティース
14…スロット
15…取付部
15a‥取付孔
20…鉄心片
21…第1鉄心片
22…ダボ
22a…凸部
22b…凹部
25…第2鉄心片
26…孔
31…下型
32…上型
40…かしめ装置
41…第1型
42…第2型
42a…貫通孔
43…受け部
43a…下側支持部
44…取付部
44a…上側支持部
45…球体
47…治具
47b‥先端
50…加熱炉
60…デプスメータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8