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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050179
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】バッテリ温調装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20240403BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20240403BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20240403BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20240403BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240403BHJP
【FI】
B60K11/02
H01M10/633 ZHV
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6561
B60K11/06
B60R16/04 Y
B60K1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156863
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 靖
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA06
3D038AA09
3D038AA10
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC15
3D235FF42
3D235HH34
5H031CC09
(57)【要約】
【課題】低電圧バッテリの温度および高電圧バッテリの温度を適切に調節する。
【解決手段】バッテリ温調装置は、車両に搭載される高電圧バッテリと、前記車両に搭載される低電圧バッテリと、前記車両の外部から供給される空気により前記低電圧バッテリの温度の調節が可能な第1温調系統と、前記第1温調系統とは異なる温調系統であって、前記車両の内部において循環する熱媒体により前記高電圧バッテリの温度の調節が可能な第2温調系統と、を備え、前記第2温調系統は、前記高電圧バッテリと前記熱媒体との熱交換が可能な第1熱交換器と、前記低電圧バッテリと前記熱媒体との熱交換が可能な第2熱交換器と、を有し、前記第2熱交換器に供給される前記熱媒体により前記低電圧バッテリの温度の調節が可能な構成となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される高電圧バッテリと、
前記車両に搭載される低電圧バッテリと、
前記車両の外部から供給される空気により前記低電圧バッテリの温度の調節が可能な第1温調系統と、
前記第1温調系統とは異なる温調系統であって、前記車両の内部において循環する熱媒体により前記高電圧バッテリの温度の調節が可能な第2温調系統と、
を備え、
前記第2温調系統は、
前記高電圧バッテリと前記熱媒体との熱交換が可能な第1熱交換器と、
前記低電圧バッテリと前記熱媒体との熱交換が可能な第2熱交換器と、
を有し、
前記第2熱交換器に供給される前記熱媒体により前記低電圧バッテリの温度の調節が可能な構成となっている、バッテリ温調装置。
【請求項2】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記低電圧バッテリの温度が適正温度範囲の上限温度より高い場合、前記第1温調系統に供給された空気の温度と前記低電圧バッテリの温度とを比較することと、
前記第1温調系統に供給された空気の温度が前記低電圧バッテリの温度より低ければ、前記第1温調系統により前記低電圧バッテリの冷却を実行することと、
前記第1温調系統に供給された空気の温度が前記低電圧バッテリの温度以上であれば、前記第2温調系統により前記低電圧バッテリの冷却を実行することと、
を含む処理を実行する、請求項1に記載のバッテリ温調装置。
【請求項3】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記第1温調系統は、前記第1温調系統に供給された空気を加熱する空気加熱器を有し、
前記プロセッサは、
前記低電圧バッテリの温度が適正温度範囲の下限温度より低い場合、前記空気加熱器により加熱された空気である加熱空気の温度と前記低電圧バッテリの温度とを比較することと、
前記加熱空気の温度が前記低電圧バッテリの温度より高ければ、前記第1温調系統により前記低電圧バッテリの加熱を実行することと、
前記加熱空気の温度が前記低電圧バッテリの温度以下であれば、前記第2温調系統により前記低電圧バッテリの加熱を実行することと、
を含む処理を実行する、請求項1に記載のバッテリ温調装置。
【請求項4】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記第1温調系統は、前記第1温調系統に供給された空気を加熱する空気加熱器を有し、
前記プロセッサは、
前記低電圧バッテリの温度が適正温度範囲内である場合、前記第1温調系統に供給された空気のうち前記空気加熱器により加熱された空気である加熱空気と、前記第1温調系統に供給された空気のうち前記空気加熱器による加熱が行われていない空気である非加熱空気との混合気の温度を導出することと、
前記混合気の温度が前記低電圧バッテリの適正温度範囲内であるかを判定することと、
前記混合気の温度が前記低電圧バッテリの適正温度範囲内であれば、前記混合気を前記低電圧バッテリに供給して前記混合気により前記低電圧バッテリの温度を適正温度範囲内に維持することと、
を含む処理を実行する、請求項1に記載のバッテリ温調装置。
【請求項5】
前記第1温調系統は、
前記車両の外部から空気を取得する吸気口と、
前記第1温調系統に供給された空気を加熱する空気加熱器と、
第1ポートと、第2ポートと、第3ポートとを有し、前記第1ポート、前記第2ポートおよび前記第3ポートに繋がる内部流路を切替可能な三方弁と、
前記三方弁の前記第1ポートと前記吸気口とを連通させる第1ダクトと、
前記三方弁の前記第2ポートと前記空気加熱器とを連通させる第2ダクトと、
前記三方弁の前記第3ポートと前記低電圧バッテリとを連通させる第3ダクトと、
を有し、
前記三方弁は、少なくとも、前記第1ポートと前記第3ポートとが連通する第1状態と、前記第2ポートと前記第3ポートとが連通する第2状態とを切替可能な構成となっている、請求項1に記載のバッテリ温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、高電圧バッテリと低電圧バッテリとを備える車両における各バッテリの温度を調節する技術が開示されている。かかる特許文献1では、冷媒(LLC)により高電圧バッテリの温度が調節され、空冷により低電圧バッテリの温度が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-79152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低電圧バッテリおよび高電圧バッテリには、充放電の動作を適切に行うことが可能な適正温度範囲が予め決められている。ここで、例えば、適正温度範囲が狭いバッテリにより低電圧バッテリが構成されているとする。この場合、低電圧バッテリの温度を調節するための空気の温度や低電圧バッテリの発熱状態によっては、空冷により低電圧バッテリの温度を十分に調節することができないことがある。
【0005】
そこで、高電圧バッテリの温度を調節する冷媒により、低電圧バッテリの温度も調節することが挙げられる。しかし、低電圧バッテリと高電圧バッテリとは使用状態が異なるため、低電圧バッテリの温度と高電圧バッテリの温度とが互いに独立して変化する。そうすると、例えば、低電圧バッテリを冷却することで高電圧バッテリが適正温度範囲を外れて過冷却されるようなことがあり、低電圧バッテリの温度および高電圧バッテリの温度を適切に調整することができないことがある。
【0006】
そこで、本発明は、低電圧バッテリの温度および高電圧バッテリの温度を適切に調節することが可能なバッテリ温調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るバッテリ温調装置は、
車両に搭載される高電圧バッテリと、
前記車両に搭載される低電圧バッテリと、
前記車両の外部から供給される空気により前記低電圧バッテリの温度の調節が可能な第1温調系統と、
前記第1温調系統とは異なる温調系統であって、前記車両の内部において循環する熱媒体により前記高電圧バッテリの温度の調節が可能な第2温調系統と、
を備え、
前記第2温調系統は、
前記高電圧バッテリと前記熱媒体との熱交換が可能な第1熱交換器と、
前記低電圧バッテリと前記熱媒体との熱交換が可能な第2熱交換器と、
を有し、
前記第2熱交換器に供給される前記熱媒体により前記低電圧バッテリの温度の調節が可能な構成となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低電圧バッテリの温度および高電圧バッテリの温度を適切に調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態にかかるバッテリ温調装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、三方弁の状態を説明する図である。
図3図3は、温度制御部の制御の流れを説明するフローチャートである。
図4図4は、温度制御部の制御の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態にかかるバッテリ温調装置1の構成を示す概略図である。以後、バッテリの温度を調節することを、温調という場合がある。バッテリ温調装置1は、車両2に適用される。車両2は、例えば、電気自動車またはハイブリッド電気自動車である。
【0012】
バッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10、高電圧バッテリ12、第1温調系統14、第2温調系統16および制御装置18を備える。バッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10と高電圧バッテリ12との両方が搭載される車両2に適用される。
【0013】
低電圧バッテリ10は、例えば、リチウムイオンバッテリなどの充放電が可能な2次バッテリである。低電圧バッテリ10をリチウムイオンバッテリとすることで、低電圧バッテリ10を鉛バッテリとする態様と比べ、鉛の使用を回避することができ、環境に配慮した車両2を実現することができる。
【0014】
低電圧バッテリ10の電圧は、例えば、12Vまたは24Vなどであり、後述の高電圧バッテリ12の電圧よりも低い。低電圧バッテリ10は、例えば、ビークルダイナミックコントロール(VDC)や電動パワーステアリング(EPS)など、車両2における低電圧系統に接続される各機器に電力を供給する。なお、低電圧バッテリ10が電力を供給する機器は、例示した機器に限らず、低電圧系統に接続される任意の機器であってもよい。
【0015】
高電圧バッテリ12は、例えば、リチウムイオンバッテリなどの充放電が可能な2次バッテリである。高電圧バッテリ12の電圧は、例えば、100V以上の所定の電圧であり、低電圧バッテリ10の電圧よりも高い。高電圧バッテリ12は、例えば、車両2の走行用の駆動源であるモータなど、車両2における高電圧系統に接続される各機器に電力を供給する。なお、高電圧バッテリ12が電力を供給する機器は、例示した機器に限らず、高電圧系統に接続される任意の機器であってもよい。また、高電圧バッテリ12は、DCDCコンバータを通じて低電圧系統に電力を供給可能であってもよい。
【0016】
本実施形態のバッテリ温調装置1では、低電圧バッテリ10と高電圧バッテリ12とが同じ種類のバッテリで構成されている。例えば、低電圧バッテリ10および高電圧バッテリ12は、共にリチウムイオンバッテリである。
【0017】
ここで、低電圧バッテリ10および高電圧バッテリ12には、それぞれ充放電の動作を適切に行うことが可能な温度範囲である適正温度範囲が予め決められている。なお、バッテリの温度が適正温度範囲から外れても充放電が可能であるが、バッテリの温度が適正温度範囲から外れると、十分な量の充放電ができないおそれがある。この適正温度範囲は、バッテリの種類によって異なる。リチウムイオンバッテリでは、鉛バッテリと比べ、適正温度範囲が狭い。適正温度範囲が狭いバッテリでは、バッテリの温度が適正温度範囲内に収まるようにバッテリの温度を積極的に調節する必要がある。そこで、バッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10の温度の調節、および、高電圧バッテリ12の温度の調節を行う。
【0018】
また、低電圧バッテリ10と高電圧バッテリ12とが同じ種類のバッテリで構成されている場合、低電圧バッテリ10の適正温度範囲と高電圧バッテリ12の適正温度範囲とが、実質的に同じ、あるいは、互いに近い範囲となり得る。このような場合、低電圧バッテリ10と高電圧バッテリ12とを同じ温調系統で温調する構成とすることが可能である。
【0019】
ここで、例えば、VDCやEPSが頻繁に動作するなどにより低電圧バッテリ10の電力消費量が比較的多く、走行用のモータの出力が低いなどにより高電圧バッテリ12の電力消費量が比較的少ないというような状況が起こり得る。この場合、高電圧バッテリ12については、電力消費量が少なくて高電圧バッテリ12の温度が適正温度範囲内に収まるが、低電圧バッテリ10については、電力消費量が多くて低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲から外れることがある。このように、低電圧バッテリ10の温度と高電圧バッテリ12の温度とが、互いに独立して変化する。
【0020】
これらを踏まえると、低電圧バッテリ10と高電圧バッテリ12とを同じ温調系統で温調する構成とすることが可能であるものの、低電圧バッテリ10の温度と高電圧バッテリ12の温度とを独立して調節することがより好ましい。
【0021】
そこで、本実施形態のバッテリ温調装置1は、第1温調系統14および第2温調系統16の2つの温調系統を含む。第1温調系統14は、車両2の外部から供給される空気を利用して温調を行う。第2温調系統16は、車両2の内部において循環する熱媒体を利用して温調を行う。第1温調系統14は、低電圧バッテリ10の温調に利用される。第2温調系統16は、高電圧バッテリ12の温調に利用されるが、低電圧バッテリ10の温調に利用することも可能な構成となっている。つまり、バッテリ温調装置1は、第1温調系統14と第2温調系統16とのいずれにおいても低電圧バッテリ10の温調が可能な構成となっている。
【0022】
これにより、例えば、第1温調系統14の温度調節能力の範囲内で低電圧バッテリ10の温調が可能な状況においては、第1温調系統14により低電圧バッテリ10の温調を行ってもよい。一方、第1温調系統14の温度調節能力の範囲を超えて低電圧バッテリ10の温調が必要となると、第2温調系統16により低電圧バッテリ10の温調を行ってもよい。このように、第1温調系統14の温度調節能力および低電圧バッテリ10の温度に応じて温調系統を切り替えてもよい。これにより、低電圧バッテリ10の温度を適切に調節することができる。なお、第1温調系統14の温度調節能力は、第1温調系統14に供給された空気の温度、および、第1温調系統14に供給されて加熱された空気の温度に応じて変化する。
【0023】
また、例えば、第1温調系統14により低電圧バッテリ10が温調されている間、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の温調を行わないようにしてもよい。そうすると、第1温調系統14により低電圧バッテリ10が温調されている間、低電圧バッテリ10が第1温調系統14のみにより温調されるとともに、高電圧バッテリ12が第2温調系統16のみにより温調される。つまり、低電圧バッテリ10の温度と高電圧バッテリ12の温度とを、それぞれ独立して調節することができる。これにより、高電圧バッテリ12の温度に依らず低電圧バッテリ10の温度を適切に調節することができるとともに、低電圧バッテリ10の温度に依らず高電圧バッテリ12の温度を適切に調節することができる。
【0024】
このように、本実施形態のバッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10の温度および高電圧バッテリ12の温度を適切に調節することが可能である。以下、バッテリ温調装置1の詳細を説明する。
【0025】
第1温調系統14は、車両2の外部から供給される空気により低電圧バッテリ10の温度の調節が可能な構成となっている。第1温調系統14は、三方弁20、第1ダクト22、第2ダクト24、第3ダクト26、吸気口28および空気加熱器30を含む。
【0026】
三方弁20は、第1ポート32、第2ポート34および第3ポート36の合計3つのポートを有する。三方弁20の内部には、内部流路38が形成されている。三方弁20は、第1ポート32、第2ポート34および第3ポート36に繋がる内部流路38を切替可能な構成となっている。三方弁20については、後に詳述する。
【0027】
第1ダクト22は、管状に形成されている。第1ダクト22の2つの端部のうち第1端部は、三方弁20の第1ポート32に接続されている。第1ダクト22の2つの端部のうち第2端部には、吸気口28が形成されている。第1ダクト22は、三方弁20の第1ポート32と吸気口28とを連通させる。吸気口28は、車両2の外部から空気を取得することができる。つまり、車両2の外部の空気が、吸気口28を通じて第1ダクト22内に供給される。以後、説明の便宜のため、吸気口28を通じて取得した空気を、吸気という場合がある。
【0028】
第2ダクト24は、管状に形成されている。第2ダクト24の2つの端部のうち第1端部は、三方弁20の第2ポート34に接続されている。第2ダクト24の2つの端部のうち第2端部は、空気加熱器30に接続されている。第2ダクト24は、三方弁20の第2ポート34と空気加熱器30とを連通させる。
【0029】
空気加熱器30は、例えば、ラジエタなどの熱交換器である。空気加熱器30は、第1温調系統14に供給された空気を加熱することができる。空気加熱器30は、熱発生源40に接続されている。熱発生源40は、例えば、モータなどであるが、熱を発生する任意の機器であってもよい。空気加熱器30は、熱発生源40で発生した熱と第1温調系統14に供給された空気との熱交換を行うことで、第1温調系統14に供給された空気を加熱し、加熱した空気を第2ダクト24内に供給する。以後、説明の便宜のため、第1温調系統14に供給された空気のうち空気加熱器30により加熱された空気を、加熱空気という場合がある。また、第1温調系統14に供給された空気のうち空気加熱器30による加熱が行われていない空気、つまり、吸気口28および第1ダクト22を通じて三方弁20の第1ポート32に送られる空気を、非加熱空気という場合がある。
【0030】
なお、空気加熱器30は、ラジエタに限らず、例えば、ヒータなど、空気を加熱することが可能な任意の機器であってもよい。また、空気加熱器30が熱発生源40として機能する場合には、熱発生源40を省略してもよい。
【0031】
第3ダクト26は、管状に形成されている。第3ダクト26の2つの端部のうち第1端部は、三方弁20の第3ポート36に接続されている。第3ダクト26の2つの端部のうち第2端部は、低電圧バッテリ10が収容されるバッテリパックの壁面に接続されている。第3ダクト26の第2端部は、低電圧バッテリ10のバッテリパック内に開口している。第3ダクト26は、三方弁20の第3ポート36と低電圧バッテリ10とを連通させる。
【0032】
図2は、三方弁20の状態を説明する図である。図2で示すように、三方弁20は、第1状態、第2状態、第3状態および第4状態の4つの状態のうちいずれかの状態をとることができる。三方弁20は、第1状態、第2状態、第3状態および第4状態のうち、いずれか1つの状態から他の1つの状態に切替可能となっている。
【0033】
三方弁20の内部流路38は、T字状の管状に形成されている。この内部流路38は、三方弁20の内部に回転可能に収容されている。三方弁20は、内部流路38の姿勢に応じた状態をとることができる。内部流路38が三方弁20の内部において回転することで、三方弁20は、状態を切り替えることができる。
【0034】
第1状態は、第1ポート32と第3ポート36とが連通し、第2ポート34が第1ポート32および第3ポート36と連通していない状態である。図2中の破線の矢印A10で示すように、第1状態では、第1ポート32と第3ポート36とが連通する冷却流路が形成される。
【0035】
三方弁20が第1状態のとき、吸気口28を通じて取得した車両2の外部の空気が、第1ダクト22、三方弁20および第3ダクト26を通じて低電圧バッテリ10に送られる。この場合、第1温調系統14は、冷却流路を流通する非加熱空気により低電圧バッテリ10の冷却を行うことができる。
【0036】
第2状態は、第2ポート34と第3ポート36とが連通し、第1ポート32が第2ポート34および第3ポート36と連通していない状態である。図2中の破線の矢印A20で示すように、第2状態では、第2ポート34と第3ポート36とが連通する加熱流路が形成される。
【0037】
三方弁20が第2状態のとき、空気加熱器30により加熱された空気が、第2ダクト24、三方弁20および第3ダクト26を通じて低電圧バッテリ10に送られる。この場合、第1温調系統14は、空気加熱器30により加熱されて加熱流路を流通する加熱空気により低電圧バッテリ10の加熱を行うことができる。
【0038】
第3状態は、第1ポート32、第2ポート34および第3ポート36がそれぞれ連通している状態である。図2中の破線の矢印A30、A32で示すように、第3状態では、第1ポート32と第3ポート36が連通し、かつ、第2ポート34と第3ポート36とが連通する混合流路が形成される。
【0039】
三方弁20が第3状態のとき、第1ダクト22を流通する非加熱空気と、空気加熱器30により加熱されて第2ダクトを流通する加熱空気とが、三方弁20の内部で混合される。以後、説明の便宜のため、非加熱空気と加熱空気とが混合された空気を、混合気という場合がある。
【0040】
三方弁20が第3状態のとき、三方弁20の内部で混合された混合気が、第3ダクト26を通じて低電圧バッテリ10に送られる。この場合、第1温調系統14は、三方弁20から送られる混合気により低電圧バッテリ10の温度を調節することができる。
【0041】
第4状態は、第1ポート32と第2ポート34とが連通し、第3ポート36が第1ポート32および第2ポート34と連通していない状態である。図2中の破線の矢印A40で示すように、第4状態では、第1ポート32と第2ポート34とが連通するバイパス流路が形成される。また、第4状態では、第3ポート36が第1ポート32および第2ポート34から遮断されるため、上述の冷却流路、加熱流路および混合流路は形成されない。つまり、第4状態では、非加熱空気および加熱空気が低電圧バッテリ10に送られない。
【0042】
三方弁20が第4状態のとき、第1ダクト22を流通する非加熱空気は、三方弁20および第2ダクト24を通じて空気加熱器30に流通可能となっている。また、三方弁20が第4状態のとき、第2ダクトを流通する加熱空気は、三方弁20、第1ダクト22および吸気口28を通じて車両2の外部に流通可能となっている。
【0043】
このように、三方弁20は、上述の冷却流路、加熱流路、混合流路およびバイパス流路のうち、いずれか1つから他の1つに切替可能な構成となっている。
【0044】
なお、三方弁20は、第1状態から第4状態までの4つの状態のいずれかの状態をとり得る態様に限らない。例えば、三方弁20は、第1状態および第2状態の2つの状態のいずれかを取り得る態様であって、第3状態や第4状態が省略されたものであってもよい。すなわち、三方弁20は、少なくとも、第1状態と第2状態とを切替可能な構成、換言すると、上述の冷却流路と加熱流路とを切替可能な構成となっていてもよい。
【0045】
また、第1温調系統14は、空気加熱器30で加熱される空気が、吸気口28から取得される空気とは別に取得される構成となっていた。しかし、第1温調系統14は、吸気口28から取得された空気の一部が空気加熱器30に供給される構成となっていてもよい。
【0046】
図1に戻って、第2温調系統16は、第1温調系統14とは異なる温調系統である。第2温調系統16は、車両2の内部において循環する熱媒体により高電圧バッテリ12の温度の調節が可能な構成となっている。熱媒体は、第2温調系統16に沿って循環し、第2温調系統16を構成する各要素において熱交換を行うことができる。熱媒体は、例えば、水などであるが、熱交換に利用できる任意の流体であってもよい。また、第2温調系統16は、後述するが、高電圧バッテリ12の温度の調節が可能であるだけでなく、低電圧バッテリ10の温度の調節も可能な構成となっている。また、例えば、第1温調系統14の空気と第2温調系統16の熱媒体とが混合しないように、第1温調系統14における空気の流路と、第2温調系統16における熱媒体の流路とが、互いに独立している。
【0047】
第2温調系統16は、第1熱交換器50を含む。第1熱交換器50は、高電圧バッテリ12に接触して配置される。例えば、第1熱交換器50は、内部に熱媒体が流通するプレート状に形成され、高電圧バッテリ12は、第1熱交換器50の上部に設置される。第1熱交換器50は、高電圧バッテリ12と熱媒体との熱交換が可能な構成となっている。
【0048】
第2温調系統16は、第2熱交換器52を含む。第2熱交換器52は、低電圧バッテリ10に接触して配置される。例えば、第2熱交換器52は、内部に熱媒体が流通するプレート状に形成され、低電圧バッテリ10は、第2熱交換器52の上部に設置される。第2熱交換器52は、低電圧バッテリ10と熱媒体との熱交換が可能な構成となっている。
【0049】
第2温調系統16は、第1共通配管60、加熱配管62、冷却配管64および第2共通配管66を含む。第1共通配管60、加熱配管62、冷却配管64および第2共通配管66の各々の内部には、熱媒体が流通する。
【0050】
第2温調系統16は、第1切替バルブ70a、第2切替バルブ70b、第3切替バルブ70c、第4切替バルブ70d、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fを含む。第1切替バルブ70a、第2切替バルブ70b、第3切替バルブ70c、第4切替バルブ70d、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fを総称して、切替バルブと呼ぶ場合がある。第2温調系統16の各々の切替バルブは、例えば、三方弁である。
【0051】
第1共通配管60は、第1切替バルブ70aから延びて、第1熱交換器50に接続されている。また、第1共通配管60は、第1熱交換器50から延びて、第2切替バルブ70bに接続されている。第2温調系統16は、第1ポンプ72を含む。第1ポンプ72は、第1共通配管60における第1切替バルブ70aと第1熱交換器50との間に設けられる。第1ポンプ72は、第1共通配管60内の熱媒体を、第1切替バルブから第1熱交換器50に向かう方向に流通させる。
【0052】
第2温調系統16は、ヒータ74を含む。加熱配管62は、第2切替バルブ70bから延びて、ヒータ74を経由して第1切替バルブ70aに接続されている。ヒータ74は、加熱配管62における第2切替バルブ70bと第1切替バルブ70aとの間に設けられる。ヒータ74は、加熱配管62を流通する熱媒体を加熱する。ヒータ74は、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータであるが、熱媒体を加熱することができる任意のヒータであってもよい。
【0053】
第2温調系統16は、チラー76を含む。冷却配管64は、第2切替バルブ70bから延びて、チラー76を経由して第1切替バルブ70aに接続されている。チラー76は、冷却配管64における第2切替バルブ70bと第1切替バルブ70aとの間に設けられる。チラー76は、冷却配管64を流通する熱媒体を冷却する。
【0054】
第1切替バルブ70aおよび第2切替バルブ70bは、加熱配管62および冷却配管64のうち、第1共通配管60と連通する配管を切り替えることができる。
【0055】
例えば、第1切替バルブ70aおよび第2切替バルブ70bにより、第1共通配管60と加熱配管62とが連通され、冷却配管64が第1共通配管60および加熱配管62から遮断されているとする。この場合、熱媒体は、加熱配管62および第1共通配管60を循環する。つまり、ヒータ74で加熱された熱媒体が第1熱交換器50に供給される。その結果、第1熱交換器50に供給された熱媒体との熱交換により高電圧バッテリ12を加熱することができる。
【0056】
一方、第1切替バルブ70aおよび第2切替バルブ70bにより、第1共通配管60と冷却配管64とが連通され、加熱配管62が第1共通配管60および冷却配管64から遮断されているとする。この場合、熱媒体は、冷却配管64および第1共通配管60を循環する。つまり、チラー76で冷却された熱媒体が第1熱交換器50に供給される。その結果、第1熱交換器50に供給された熱媒体との熱交換により高電圧バッテリ12を冷却することができる。
【0057】
第3切替バルブ70cは、加熱配管62におけるヒータ74と第1切替バルブ70aとの間に設けられる。第4切替バルブ70dは、加熱配管62における第2切替バルブ70bとヒータ74との間に設けられる。
【0058】
第5切替バルブ70eは、冷却配管64におけるチラー76と第1切替バルブ70aとの間に設けられる。第6切替バルブ70fは、冷却配管64における第2切替バルブ70bとチラー76との間に設けられる。
【0059】
第2共通配管66は、第3切替バルブ70cから延びるとともに、第5切替バルブ70eから延びており、それらが合流部80で合流している。第2共通配管66は、合流部80から延びるとともに第2熱交換器52に接続されている。また、第2共通配管66は、第2熱交換器52から延びて、分岐部82で2分岐している。第2共通配管66は、分岐部82で2分岐されたうちの一方が第4切替バルブ70dに接続されているとともに、分岐部82で2分岐されたうちの他方が第6切替バルブ70fに接続されている。
【0060】
第2温調系統16は、第2ポンプ84を含む。第2ポンプ84は、第2共通配管66における合流部80と第2熱交換器52との間に設けられる。第2ポンプ84は、第2共通配管66内の熱媒体を、第3切替バルブ70cあるいは第5切替バルブ70eから第2熱交換器52に向かう方向に流通させる。
【0061】
第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dは、第2共通配管66と加熱配管62との接続のオンオフを切り替えることができる。
【0062】
例えば、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dにより、第2共通配管66と加熱配管62とが連通されているとする。この場合、熱媒体は、加熱配管62のヒータおよび第2共通配管66を循環する。つまり、ヒータ74で加熱された熱媒体が第2熱交換器52に供給される。その結果、第2熱交換器52に供給された熱媒体との熱交換により低電圧バッテリ10を加熱することができる。
【0063】
一方、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dにより、第2共通配管66が加熱配管62から遮断されているとする。この場合、ヒータ74により加熱された熱媒体が第2共通配管66に供給されないため、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の加熱は行われない。
【0064】
なお、第2共通配管66が加熱配管62に連通しているとき、ヒータ74により加熱された熱媒体は、第2共通配管66を通じて第2熱交換器52に供給されるとともに、第1共通配管60を通じて第1熱交換器50にも供給されてもよい。また、第2共通配管66が加熱配管62に連通しているとき、ヒータ74により加熱された熱媒体は、第1共通配管60および第1熱交換器50に供給されず、第2共通配管66を通じて第2熱交換器52にだけ供給されてもよい。
【0065】
第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fは、第2共通配管66と冷却配管64との接続のオンオフを切り替えることができる。
【0066】
例えば、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fにより、第2共通配管66と冷却配管64とが連通されているとする。この場合、熱媒体は、冷却配管64のチラー76および第2共通配管66を循環する。つまり、チラー76で冷却された熱媒体が第2熱交換器52に供給される。その結果、第2熱交換器52に供給された熱媒体との熱交換により低電圧バッテリ10を冷却することができる。
【0067】
一方、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fにより、第2共通配管66が冷却配管64から遮断されているとする。この場合、チラー76により冷却された熱媒体が第2共通配管66に供給されないため、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の冷却は行われない。
【0068】
なお、第2共通配管66が冷却配管64に連通しているとき、チラー76により冷却された熱媒体は、第2共通配管66を通じて第2熱交換器52に供給されるとともに、第1共通配管60を通じて第1熱交換器50にも供給されてもよい。また、第2共通配管66が冷却配管64に連通しているとき、チラー76により加熱された熱媒体は、第1共通配管60および第1熱交換器50に供給されず、第2共通配管66を通じて第2熱交換器52にだけ供給されてもよい。
【0069】
第2温調系統16は、サブ冷却配管90、コンプレッサ92、コンデンサ94および膨張弁96を含む。サブ冷却配管90は、チラー76から延びて、コンプレッサ92、コンデンサ94、膨張弁96の順に経由してチラー76に戻るように設けられる。サブ冷却配管90は、冷却配管64とは別の流路を形成する。サブ冷却配管90の内部には、冷却配管64の内部の熱媒体とは別に、サブ熱媒体が流通する。サブ熱媒体は、例えば、水などであるが、熱交換に利用できる任意の流体であってもよい。
【0070】
コンプレッサ92は、サブ冷却配管90を通じてチラー76から供給されたサブ熱媒体を圧縮してコンデンサ94に送出する。コンデンサ94は、車両2の外部の空気と、コンプレッサ92で圧縮されたサブ熱媒体とを熱交換し、サブ熱媒体の熱を車両2の外部に放出する。コンデンサ94の内部のサブ熱媒体は、圧力が高い状態で冷却されるため、気相から液相に相転移する。コンデンサ94で熱交換された後のサブ熱媒体は、膨張弁96に送られる。
【0071】
膨張弁96は、コンデンサ94から供給されたサブ熱媒体をチラー76の内部に噴霧する。噴霧されたサブ熱媒体は、圧力が急激に低下して気相に相転移する。サブ熱媒体は、このような気化により温度が低下する。チラー76は、サブ冷却配管90内における温度が低下したサブ熱媒体と、冷却配管64内の熱媒体との熱交換を行い、冷却配管64内の熱媒体を冷却する。
【0072】
バッテリ温調装置1は、第1バッテリ温度センサ100、第2バッテリ温度センサ102、吸気温度センサ104、加熱空気温度センサ106を含む。
【0073】
第1バッテリ温度センサ100は、高電圧バッテリ12の温度を検出する。第2バッテリ温度センサ102は、低電圧バッテリ10の温度を検出する。吸気温度センサ104は、第1ダクト22に設けられる。吸気温度センサ104は、吸気口28を通じて取得されて第1ダクト22を流通する空気の温度、すなわち、非加熱空気の温度を検出する。加熱空気温度センサ106は、第2ダクト24に設けられる。加熱空気温度センサ106は、空気加熱器30により加熱されて第2ダクト24を流通する空気の温度、すなわち、加熱空気の温度を検出する。
【0074】
制御装置18は、1つまたは複数のプロセッサ110と、プロセッサ110に接続される1つまたは複数のメモリ112とを有する。メモリ112は、プログラム等が格納されたROMおよびワークエリアとしてのRAMを含む。制御装置18のプロセッサ110は、メモリ112に含まれるプログラムと協働して、車両2全体を制御する。プロセッサ110は、プログラムを実行することで、温度制御部120としても機能する。
【0075】
温度制御部120は、第1バッテリ温度センサ100により検出された高電圧バッテリ12の温度を取得する。温度制御部120は、高電圧バッテリ12の温度に基づいて、高電圧バッテリ12の温度の調節を行う。
【0076】
高電圧バッテリ12の温度が当該高電圧バッテリ12の適正温度範囲の上限温度より高い場合、温度制御部120は、第2温調系統16におけるチラー76によって冷却された熱媒体により、高電圧バッテリ12の冷却を実行する。より詳細には、温度制御部120は、第1切替バルブ70aおよび第2切替バルブ70bを、第1共通配管60と冷却配管64とが連通し、加熱配管62が第1共通配管60および冷却配管64から遮断された状態にさせる。第1共通配管60と冷却配管64とが連通することで、チラー76によって冷却された熱媒体が、冷却配管64および第1共通配管60を通じて第1熱交換器50に供給される。これにより、高電圧バッテリ12が冷却され、高電圧バッテリ12の温度を適正温度範囲内に戻すことができる。
【0077】
高電圧バッテリ12の温度が当該高電圧バッテリ12の適正温度範囲の下限温度より低い場合、温度制御部120は、第2温調系統16におけるヒータ74によって加熱された熱媒体により、高電圧バッテリ12の加熱を実行する。より詳細には、温度制御部120は、第1切替バルブ70aおよび第2切替バルブ70bを、第1共通配管60と加熱配管62とが連通し、冷却配管64が第1共通配管60および加熱配管62から遮断された状態にさせる。第1共通配管60と加熱配管62とが連通することで、ヒータ74によって加熱された熱媒体が、加熱配管62および第1共通配管60を通じて第1熱交換器50に供給される。これにより、高電圧バッテリ12が加熱され、高電圧バッテリ12の温度を適正温度範囲内に戻すことができる。
【0078】
なお、温度制御部120は、第1切替バルブ70aおよび第2切替バルブ70bを駆動させる所定のアクチュエータを制御することで、第1切替バルブ70aおよび第2切替バルブ70bの状態を切り替えることができる。
【0079】
温度制御部120は、第2バッテリ温度センサ102により検出された低電圧バッテリ10の温度を取得する。温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度に基づいて、低電圧バッテリ10の温度の調節を行う。
【0080】
温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度が当該低電圧バッテリ10の適正温度範囲の上限温度より高い場合、第1温調系統14に供給された空気の温度、すなわち、非加熱空気の温度と、低電圧バッテリ10の温度とを比較する。
【0081】
第1温調系統14に供給された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度より低ければ、第1温調系統14に供給された空気によって低電圧バッテリ10を効果的に冷却することが可能である。そこで、温度制御部120は、第1温調系統14に供給された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度より低ければ、第1温調系統14により低電圧バッテリ10の冷却を実行する。より詳細には、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を第1状態にさせる。第1状態では第1ダクト22と第3ダクト26とが連通するため、非加熱空気が低電圧バッテリ10に供給される。これにより、低電圧バッテリ10が冷却され、低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲内に戻すことができる。
【0082】
なお、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を駆動させる所定のアクチュエータを制御することで、当該三方弁20の状態を切り替えることができる。
【0083】
第1温調系統14に供給された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度以上であれば、第1温調系統14に供給された空気では、低電圧バッテリ10を十分に冷却することができない。そのため、このような場合、第2温調系統16により低電圧バッテリ10の冷却を実行する。すなわち、温度制御部120は、第1温調系統14に供給された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度以上であれば、第2温調系統16により低電圧バッテリ10の冷却を実行する。より詳細には、温度制御部120は、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fを、第2共通配管66と冷却配管64とが連通する状態にさせる。併せて、温度制御部120は、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dを、第2共通配管66が加熱配管62から遮断された状態にさせる。第2共通配管66と冷却配管64とが連通することで、チラー76によって冷却された熱媒体が、冷却配管64および第2共通配管66を通じて第2熱交換器52に供給される。これにより、低電圧バッテリ10が冷却され、低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲内に戻すことができる。
【0084】
なお、温度制御部120は、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fを駆動させる所定のアクチュエータを制御することで、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fの状態を切り替えることができる。温度制御部120は、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dを駆動させる所定のアクチュエータを制御することで、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dの状態を切り替えることができる。
【0085】
ところで、低電圧バッテリ10の発熱が比較的大きい場合、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の冷却を長時間実行しても、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内に戻らない事態が起こり得る。
【0086】
そこで、温度制御部120は、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の冷却を開始したタイミングから所定時間が経過した場合、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の冷却を中止し、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の冷却に切り替えてもよい。熱媒体による冷却は、通常、非加熱空気による冷却と比べ、冷却能力が高い。このことから、第1温調系統14による冷却から、第1温調系統14よりも冷却能力が高い第2温調系統16による冷却に切り替えられる。
【0087】
例えば、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を第4状態にさせる。温度制御部120は、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fを、第2共通配管66と冷却配管64とが連通する状態にさせる。併せて、温度制御部120は、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dを、第2共通配管66が加熱配管62から遮断された状態にさせる。これにより、低電圧バッテリ10が、より冷却され、低電圧バッテリ10の発熱が比較的大きくても、低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲内に戻すことができる。
【0088】
なお、ここでは、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の冷却が中止されて、第1温調系統14による冷却から第2温調系統16による冷却に切り替えられていた。しかし、温度制御部120は、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の冷却を継続しつつ、さらに、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の冷却を、併せて実行するようにしてもよい。
【0089】
温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度が当該低電圧バッテリ10の適正温度範囲の下限温度より低い場合、空気加熱器30により加熱された空気の温度、すなわち、加熱空気の温度と、低電圧バッテリ10の温度とを比較する。
【0090】
空気加熱器30により加熱された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度より高ければ、空気加熱器30により加熱された空気によって低電圧バッテリ10を効果的に加熱することが可能である。そこで、温度制御部120は、空気加熱器30により加熱された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度より高ければ、第1温調系統14により低電圧バッテリ10の加熱を実行する。より詳細には、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を第2状態にさせる。第2状態では第2ダクト24と第3ダクト26とが連通するため、加熱空気が低電圧バッテリ10に供給される。これにより、低電圧バッテリ10が加熱され、低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲内に戻すことができる。
【0091】
空気加熱器30により加熱された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度以下であれば、空気加熱器30により加熱された空気では、低電圧バッテリ10を十分に加熱することができない。そのため、このような場合、第2温調系統16により低電圧バッテリ10の加熱を実行する。すなわち、温度制御部120は、空気加熱器30により加熱された空気の温度が低電圧バッテリ10の温度以下であれば、第2温調系統16により低電圧バッテリ10の加熱を実行する。より詳細には、温度制御部120は、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dを、第2共通配管66と加熱配管62とが連通する状態にさせる。併せて、温度制御部120は、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fを、第2共通配管66が冷却配管64から遮断された状態にさせる。第2共通配管66と加熱配管62とが連通することで、ヒータ74によって加熱された熱媒体が、加熱配管62および第2共通配管66を通じて第2熱交換器52に供給される。これにより、低電圧バッテリ10が加熱され、低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲に戻すことができる。
【0092】
ところで、例えば、車両2の外部の気温が氷点下であるなどのように低電圧バッテリ10が冷却される環境の場合には、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の加熱を長時間実行しても、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内に戻らない事態が起こり得る。
【0093】
そこで、温度制御部120は、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の加熱を開始したタイミングから所定時間が経過した場合、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の加熱を中止し、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の加熱に切り替えてもよい。熱媒体による加熱は、通常、加熱空気による加熱と比べ、加熱能力が高い。このことから、第1温調系統14による加熱から、第1温調系統14よりも加熱能力が高い第2温調系統16による加熱に切り替えられる。
【0094】
例えば、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を第4状態にさせる。温度制御部120は、第3切替バルブ70cおよび第4切替バルブ70dを、第2共通配管66と加熱配管62とが連通する状態にさせる。併せて、温度制御部120は、第5切替バルブ70eおよび第6切替バルブ70fを、第2共通配管66が冷却配管64から遮断された状態にさせる。これにより、低電圧バッテリ10が、より加熱され、低電圧バッテリ10が冷却される環境であっても、低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲内に戻すことができる。
【0095】
なお、ここでは、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の加熱が中止されて、第1温調系統14による加熱から第2温調系統16による加熱に切り替えられていた。しかし、温度制御部120は、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の加熱を継続しつつ、さらに、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の加熱を、併せて実行するようにしてもよい。
【0096】
温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内である場合、加熱空気と非加熱空気との混合気の温度を導出する。例えば、温度制御部120は、吸気温度センサ104により検出された温度と、加熱空気温度センサ106により検出された温度との平均値を、混合気の温度として導出する。そして、温度制御部120は、導出した混合気の温度が低電圧バッテリ10の適正温度範囲内であるかを判定する。
【0097】
温度制御部120は、混合気の温度が低電圧バッテリ10の適正温度範囲内であれば、混合気を低電圧バッテリ10に供給して混合気により低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲内に維持する。これにより、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲から外れることを抑制することができる。
【0098】
図3および図4は、温度制御部120の制御の流れを説明するフローチャートである。図3の「A」は、図4の「A」に繋がっている。図3および図4では、低電圧バッテリ10の温調について説明し、高電圧バッテリ12の温調については説明を省略する。
【0099】
図3および図4において、「TL」は、第1バッテリ温度センサ100により検出された温度であり、低電圧バッテリ10の温度を示す。「TBa」は、低電圧バッテリ10の適正温度範囲の下限温度を示す。「TBb」は、低電圧バッテリ10の適正温度範囲の上限温度を示す。「Ta」は、吸気温度センサ104により検出された温度であり、第1温調系統14に供給された空気のうち加熱されていない空気、すなわち、非加熱空気の温度を示す。「TRd」は、加熱空気温度センサ106により検出された温度であり、第1温調系統14に供給された空気のうち空気加熱器30により加熱された空気、すなわち、加熱空気の温度を示す。「Tmix」は、混合気の温度を示す。
【0100】
温度制御部120は、所定時間が経過するごとに訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図3および図4の処理を繰り返し実行する。図3で示すように、所定の割込みタイミングが到来すると、温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度「TL」、非加熱空気の温度「Ta」、および、加熱空気の温度「TRd」を取得する(S10)。
【0101】
第1温調系統14の三方弁20が、第1状態で所定時間経過しておらず(S11におけるNO)、かつ、第2状態で所定時間経過していない場合(S12におけるNO)、温度制御部120は、ステップS13の処理に進む。
【0102】
ステップS13において、低電圧バッテリが、現在、第2温調系統16により温調されていない場合(S13におけるNO)、温度制御部120は、図3の「A」から図4の「A」に進み、図4のステップS20の処理に進む。
【0103】
ステップS20において、温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の上限温度「TBb」より高いか否かを判定する(S20)。
【0104】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の上限温度「TBb」より高い場合(S20におけるYES)、温度制御部120は、非加熱空気の温度「Ta」が低電圧バッテリ10の温度「TL」より低いか否かを判定する(S21)。
【0105】
非加熱空気の温度「Ta」が低電圧バッテリ10の温度「TL」より低い場合(S21におけるYES)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20の状態を、非加熱空気が三方弁20を通じて低電圧バッテリ10に送られる第1状態とし(S22)、一連の処理を終了する。なお、三方弁20の状態が既に第1状態であれば、第1状態が維持される。これにより、低電圧バッテリ10は、第1温調系統14により冷却される。
【0106】
非加熱空気の温度「Ta」が低電圧バッテリ10の温度「TL」以上の場合(S21におけるNO)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20の状態を、三方弁20と低電圧バッテリ10と間の流路が遮断される第4状態とする(S23)。なお、三方弁20の状態が既に第4状態であれば、第4状態が維持される。そして、温度制御部120は、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の冷却を実行し(S24)、一連の処理を終了する。なお、既に第2温調系統16による低電圧バッテリ10の冷却が行われている場合、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の冷却が継続される。
【0107】
ステップS20において、低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の上限温度「TBb」以下である場合(S20におけるNO)、温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の下限温度「TBa」より低いかを判定する(S30)。
【0108】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の下限温度「TBa」より低い場合(S30におけるYES)、温度制御部120は、加熱空気の温度「TRd」が低電圧バッテリ10の温度「TL」より高いか否かを判定する(S31)。
【0109】
加熱空気の温度「TRd」が低電圧バッテリ10の温度「TL」より高い場合(S31におけるYES)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20の状態を、加熱空気が三方弁20を通じて低電圧バッテリ10に送られる第2状態とし(S32)、一連の処理を終了する。なお、三方弁20の状態が既に第2状態であれば、第2状態が維持される。これにより、低電圧バッテリ10は、第1温調系統14により加熱される。
【0110】
加熱空気の温度「TRd」が低電圧バッテリ10の温度「TL」以下である場合(S31におけるNO)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20の状態を、三方弁20と低電圧バッテリ10と間の流路が遮断される第4状態とする(S33)。なお、三方弁20の状態が既に第4状態であれば、第4状態が維持される。そして、温度制御部120は、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の加熱を実行し(S34)、一連の処理を終了する。なお、既に第2温調系統16による低電圧バッテリ10の加熱が行われている場合、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の加熱が継続される。
【0111】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の上限温度「TBb」以下であり(S20におけるNO)、かつ、低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の下限温度「TBa」以上である場合(S30におけるNO)、低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲内であることに相当する。この場合、温度制御部120は、混合気の温度「Tmix」を導出する(S40)。
【0112】
温度制御部120は、導出した混合気の温度「Tmix」が、低電圧バッテリ10の適正温度範囲の下限温度「TBa」以上であり、かつ、上限温度「TBb」以下であるか、すなわち、低電圧バッテリ10の適正温度範囲内に収まっているかを判定する(S41)。
【0113】
混合気の温度「Tmix」が低電圧バッテリ10の適正温度範囲内に収まっていると判定した場合(S41におけるYES)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20の状態を、混合気が低電圧バッテリ10に送られる第3状態とし(S42)、一連の処理を終了する。なお、三方弁20の状態が既に第3状態であれば、第3状態が維持される。これにより、混合気が低電圧バッテリ10に供給され、混合気により低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内に維持される。
【0114】
混合気の温度「Tmix」が低電圧バッテリ10の適正温度範囲内に収まっていないと判定した場合(S41におけるNO)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20の状態を、三方弁20と低電圧バッテリ10と間の流路が遮断される第4状態とし(S43)、一連の処理を終了する。三方弁20の状態が既に第4状態であれば、第4状態が維持される。この場合、低電圧バッテリ10の温調が行われないが、低電圧バッテリ10が既に適正温度範囲内に収まっているため、低電圧バッテリ10の温調が行われなくとも、低電圧バッテリ10は適切に充放電を行うことができる。
【0115】
図3のステップS11において、第1温調系統14の三方弁20が、第1状態で所定時間経過した場合(S11におけるYES)、温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の上限温度「TBb」より高いかを判定する(S50)。
【0116】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の上限温度「TBb」より高い場合(S50におけるYES)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を、三方弁20と低電圧バッテリ10と間の流路が遮断される第4状態とする(S51)。そして、温度制御部120は、第2温調系統16による冷却を実行し(S51)、一連の処理を終了する。この場合、第1温調系統14による冷却を所定時間継続しても低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲内に戻らなかったため、第1温調系統14による冷却から第2温調系統16による冷却に切り替えられる。これにより、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内に戻され易くなる。
【0117】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の上限温度「TBb」以下である場合(S50におけるNO)、温度制御部120は、第1温調系統の三方弁を、三方弁20と低電圧バッテリ10と間の流路が遮断される第4状態とし(S53)、一連の処理を終了する。この場合、第1温調系統14による冷却が所定時間継続されたことで低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内に戻ったため、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の冷却が停止される。
【0118】
ステップS12において、第1温調系統14の三方弁20が、第2状態で所定時間が経過した場合(S12におけるYES)、温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の下限温度「TBa」より低いかを判定する(S60)。
【0119】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の下限温度「TBa」より低い場合(S60におけるYES)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を、三方弁20と低電圧バッテリ10と間の流路が遮断される第4状態とする(S61)。そして、温度制御部120は、第2温調系統16による加熱を実行し(S62)、一連の処理を終了する。この場合、第1温調系統14による加熱を所定時間継続しても低電圧バッテリ10の温度「TL」が所定温度範囲内に戻らなかったため、第1温調系統14による加熱から第2温調系統16による加熱に切り替えられる。これにより、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内に戻され易くなる。
【0120】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲の下限温度「TBa」以上である場合(S60におけるNO)、温度制御部120は、第1温調系統14の三方弁20を、三方弁20と低電圧バッテリ10と間の流路が遮断される第4状態とし(S63)、一連の処理を終了する。この場合、第1温調系統14による加熱が所定時間継続されたことで低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲内に戻ったため、第1温調系統14による低電圧バッテリ10の加熱が停止される。
【0121】
ステップS13において、低電圧バッテリ10が、現在、第2温調系統16により温調されている場合(S13におけるYES)、温度制御部120は、低電圧バッテリ10の温度「TL」が、適正温度範囲の下限温度「TBa」以上であり、かつ、適正温度範囲の上限温度「TBb」以下であるか、すなわち、適正温度範囲内であるかを判定する(S70)。
【0122】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲内である場合(S70におけるYES)、温度制御部120は、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の温調を停止し(S71)、上述したステップS20の処理に進む。
【0123】
低電圧バッテリ10の温度「TL」が適正温度範囲内ではない場合(S70におけるNO)、温度制御部120は、一連の処理を終了する。この場合、第2温調系統16による低電圧バッテリ10の温調が継続される。
【0124】
以上のように、本実施形態のバッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10の温度の調節が可能な第1温調系統14と、高電圧バッテリ12の温度の調節が可能な第2温調系統16とを備える。第2温調系統16は、高電圧バッテリ12との熱交換が可能な第1熱交換器50だけでなく、低電圧バッテリ10との熱交換が可能な第2熱交換器52を有する。そして、本実施形態のバッテリ温調装置1は、第2温調系統16の第2熱交換器52に供給される熱媒体により低電圧バッテリ10の温度の調節が可能な構成となっている。
【0125】
このような構成となっているため、本実施形態のバッテリ温調装置1は、第1温調系統14の温度調節能力や低電圧バッテリ10の発熱状態などに応じて、第1温調系統14と第2温調系統16との切り替えが可能である。これにより、本実施形態のバッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10の温度を適切に調節することができる。
【0126】
また、本実施形態のバッテリ温調装置1は、第1温調系統14により低電圧バッテリ10の温調を行い、第2温調系統16により高電圧バッテリ12の温調を行うことが可能である。これにより、本実施形態のバッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10の温度と高電圧バッテリ12の温度とを、それぞれ独立して調節することができる。
【0127】
したがって、本実施形態のバッテリ温調装置1によれば、低電圧バッテリ10の温度および高電圧バッテリ12の温度を適切に調節することができる。
【0128】
また、本実施形態のバッテリ温調装置1の温度制御部120は、非加熱空気の温度が低電圧バッテリ10の温度より低ければ、第1温調系統14により低電圧バッテリ10の冷却を実行する。温度制御部120は、非加熱空気の温度が低電圧バッテリ10の温度以上であれば、第2温調系統16により低電圧バッテリ10の冷却を実行する。これにより、本実施形態のバッテリ温調装置1は、非加熱空気の温度に依らず、低電圧バッテリ10の冷却を確実に行うことができる。
【0129】
また、本実施形態のバッテリ温調装置1の温度制御部120は、加熱空気の温度が低電圧バッテリ10の温度より高ければ、第1温調系統14により低電圧バッテリ10の加熱を実行する。温度制御部120は、加熱空気の温度が低電圧バッテリ10の温度以下であれば、第2温調系統16により低電圧バッテリ10の加熱を実行する。これにより、本実施形態のバッテリ温調装置1は、加熱空気の温度に依らず、低電圧バッテリ10の加熱を確実に行うことができる。
【0130】
また、本実施形態のバッテリ温調装置1の温度制御部120は、混合気の温度が低電圧バッテリ10の適正温度範囲内であれば、混合気を低電圧バッテリ10に供給して混合気により低電圧バッテリ10の温度を適正温度範囲内に維持する。これにより、本実施形態のバッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲から外れることを抑制することができる。
【0131】
また、本実施形態のバッテリ温調装置の第1温調系統14は、三方弁20を含んでいる。三方弁20の第1ポート32は、吸気口28と連通され、三方弁20の第2ポート34は、空気加熱器30と連通され、三方弁20の第3ポート36は低電圧バッテリ10と連通される。三方弁20は、少なくとも、第1ポート32と第3ポート36とが連通する第1状態と、第2ポート34と第3ポート36とが連通する第2状態とを切替可能な構成となっている。これにより、本実施形態のバッテリ温調装置1は、低電圧バッテリ10の温度が適正温度範囲の上限温度より高い場合と下限温度より低い場合との両方において、第1温調系統14により低電圧バッテリ10の温調を確実に行うことができる。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0133】
1 バッテリ温調装置
2 車両
10 低電圧バッテリ
12 高電圧バッテリ
14 第1温調系統
16 第2温調系統
18 制御装置
20 三方弁
22 第1ダクト
24 第2ダクト
26 第3ダクト
28 吸気口
30 空気加熱器
32 第1ポート
34 第2ポート
36 第3ポート
38 内部流路
50 第1熱交換器
52 第2熱交換器
110 プロセッサ
112 メモリ
図1
図2
図3
図4