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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050183
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/013 20060101AFI20240403BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20240403BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H02G15/013
H02G3/22
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156873
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】櫛間 貴雄
【テーマコード(参考)】
5G309
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G363AA16
5G363BA02
5G363CB08
5G375AA02
5G375AA09
5G375BA02
5G375BB10
5G375BB44
5G375CB07
5G375DA36
(57)【要約】
【課題】組み付け性を向上可能としたワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス11は、複数の電線部材としての2つの電線21及び1つの信号線部材31と、ゴムまたはエラストマよりなり、2つの電線21及び1つの信号線部材31を挿入可能な単一の挿入孔45を有するグロメット41と、2つの電線21及び1つの信号線部材31と挿入孔45の内周面との間の隙間を埋めるスペーサ51とを備える。スペーサ51は、2つの電線21及び1つの信号線部材31が挿入孔45に挿入されている状態において、挿入孔45に挿入可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線部材と、
ゴムまたはエラストマよりなり、前記複数の電線部材を挿入可能な単一の挿入孔を有するグロメットと、
前記複数の電線部材と前記挿入孔の内周面との間の隙間を埋めるスペーサと、
を備えたワイヤハーネスであって、
前記スペーサは、前記複数の電線部材が前記挿入孔に挿入されている状態において、前記挿入孔に挿入可能に構成されている、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記複数の電線部材は、2つの電線と、1つの信号線部材とを含み、
前記信号線部材は、複数の信号線と、前記複数の信号線同士の間を埋めつつ前記複数の信号線の外周全体を覆う止水部材とを有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記止水部材の外径は、前記電線の外径よりも小さく、
前記止水部材は、前記2つの電線の間に配置され、
前記スペーサは、前記止水部材を挟む一対のスペーサ分割体によって構成されている、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記挿入孔は、前記電線の外周面の一部と接触する挿入孔接触部を有し、
前記スペーサ分割体は、前記電線の外周面の一部と接触するスペーサ接触部を有し、
前記挿入孔接触部と前記スペーサ接触部とが前記電線の外周面の全周と接触する、
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記スペーサは、前記グロメットよりも硬い、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記スペーサは、ゴムまたはエラストマよりなる、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、複数の電線部材と、ゴムまたはエラストマよりなるグロメットとを備えたものがある。グロメットは、例えば、複数の電線部材のそれぞれを挿入可能な複数の挿入孔を有する。複数の挿入孔のそれぞれの内周面は、複数の電線部材のそれぞれの外周面と圧接するように設定されている。これにより、挿入孔を介した液体の通過が阻止される。
【0003】
また、ワイヤハーネスとしては、複数の電線部材と、ゴムまたはエラストマよりなるグロメットと、スペーサとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このグロメットは、複数の電線部材を挿入可能な単一の挿入孔を有する。スペーサは、挿入孔に嵌め込まれるホルダと、ホルダの内側に保持されるゴム栓とを有する。ゴム栓は、複数の電線部材のそれぞれを挿入可能な複数の挿入孔を有する。複数の挿入孔のそれぞれの内周面は、複数の電線部材のそれぞれの外周面と圧接するように設定されている。スペーサは、複数の電線に固定された状態でグロメットに組み付けられる。これにより、グロメットの挿入孔及びゴム栓の挿入孔を介した液体の通過が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-213976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなワイヤハーネスでは、複数の電線部材のそれぞれをグロメットまたはゴム栓における複数の挿入孔のそれぞれに挿入する必要があるため、組み付け性が悪かった。例えば、グロメットの挿入孔を治具等によって広げた状態で挿入孔に電線部材を挿入する必要があった。また、例えば、スペーサをグロメットに組み付ける前にゴム栓の挿入孔に電線部材を圧入によって挿入しておく必要があった。そして、それらの作業は電線部材の数だけ必要である。
【0006】
本開示の目的は、組み付け性を向上可能としたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のワイヤハーネスは、複数の電線部材と、ゴムまたはエラストマよりなり、前記複数の電線部材を挿入可能な単一の挿入孔を有するグロメットと、前記複数の電線部材と前記挿入孔の内周面との間の隙間を埋めるスペーサと、を備えたワイヤハーネスであって、前記スペーサは、前記複数の電線部材が前記挿入孔に挿入されている状態において、前記挿入孔に挿入可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示のワイヤハーネスによれば、組み付け性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
図2図2は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部断面図である。
図4図4は、一実施形態における止水部材を説明するための斜視図である。
図5図5は、別例におけるワイヤハーネスの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]複数の電線部材と、ゴムまたはエラストマよりなり、前記複数の電線部材を挿入可能な単一の挿入孔を有するグロメットと、前記複数の電線部材と前記挿入孔の内周面との間の隙間を埋めるスペーサと、を備えたワイヤハーネスであって、前記スペーサは、前記複数の電線部材が前記挿入孔に挿入されている状態において、前記挿入孔に挿入可能に構成されている。
【0011】
同構成によれば、グロメットは、複数の電線部材を挿入可能な単一の挿入孔を有するため、例えば、挿入孔を治具等によって広げた状態とすることなく、複数の電線部材を挿入孔に容易に挿入することができる。スペーサは、複数の電線部材と挿入孔の内周面との間の隙間を埋めるため、挿入孔を介した液体の通過が阻止される。そして、スペーサは、複数の電線部材が挿入孔に挿入されている状態において、挿入孔に挿入可能に構成されているため、グロメットに容易に組み付けることができる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記複数の電線部材は、2つの電線と、1つの信号線部材とを含み、前記信号線部材は、複数の信号線と、前記複数の信号線同士の間を埋めつつ前記複数の信号線の外周全体を覆う止水部材とを有していてもよい。
【0013】
同構成によれば、2つの電線と、1つの信号線部材とを含むワイヤハーネスにおいて、組み付け性が良好となる。また、信号線部材は、複数の信号線と、複数の信号線同士の間を埋めつつ複数の信号線の外周全体を覆う止水部材を有するため、複数の信号線同士の間を介した液体の通過を阻止できる。
【0014】
[3]上記[2]において、前記止水部材の外径は、前記電線の外径よりも小さく、前記止水部材は、前記2つの電線の間に配置され、前記スペーサは、前記止水部材を挟む一対のスペーサ分割体によって構成されていてもよい。
【0015】
同構成によれば、止水部材の外径は、電線の外径よりも小さく、止水部材は、2つの電線の間に配置されるため、複数の電線部材をバランス良く配置することができる。また、スペーサは、止水部材を挟む一対のスペーサ分割体によって構成されるため、例えば、3つ以上のスペーサ分割体によって構成されるものに比べて、スペーサを簡素な構成とすることができる。
【0016】
[4]上記[3]において、前記挿入孔は、前記電線の外周面の一部と接触する挿入孔接触部を有し、前記スペーサ分割体は、前記電線の外周面の一部と接触するスペーサ接触部を有し、前記挿入孔接触部と前記スペーサ接触部とが前記電線の外周面の全周と接触していてもよい。
【0017】
同構成によれば、挿入孔接触部とスペーサ接触部とが電線の外周面の全周と接触するため、電線の外周面に沿った液体の通過を阻止できる。また、挿入孔の一部を電線の外周面の一部と接触する挿入孔接触部として利用しているため、例えば、スペーサが電線の全周を覆う必要が無くなる。よって、例えば、スペーサの小型化を図ることができる。
【0018】
[5]上記[1]から上記[4]のいずれか1つにおいて、前記スペーサは、前記グロメットよりも硬くてもよい。
同構成によれば、スペーサは、グロメットよりも硬いため、複数の電線部材が挿入孔に挿入されている状態において、挿入孔に挿入し易くなる。
【0019】
[6]上記[1]から上記[5]のいずれか1つにおいて、前記スペーサは、ゴムまたはエラストマよりなっていてもよい。
同構成によれば、スペーサは、ゴムまたはエラストマよりなるため、電線部材及び挿入孔と密着し易くなり、止水性が良好となる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
(ワイヤハーネス11の構成)
図1及び図2に示すように、ワイヤハーネス11は、複数の電線部材としての2つの電線21及び1つの信号線部材31と、グロメット41と、スペーサ51とを備える。ワイヤハーネス11は、例えば、車両に設けられる電気機器に接続されるものである。本実施形態のワイヤハーネス11は、例えば、車両外部に露出可能な図示しない充電用インレットと、バッテリ装置とを接続するためのものである。
【0022】
(電線21の構成)
図3に示すように、電線21は、芯線22と、該芯線22の外周を覆う絶縁被覆23とを有する。電線21は、高電圧用である。
【0023】
芯線22は、例えば、単線や、複数の導電性の素線をより合わせてなる撚線などである。芯線22の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。
【0024】
絶縁被覆23は、例えば、芯線22の外周面を全周にわたって被覆している。絶縁被覆23は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。絶縁被覆23の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂が用いられる。絶縁被覆23の材料としては、1種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0025】
図2に示すように、芯線22の端部は、絶縁被覆23が剥かれることで露出している。そして、芯線22の端部には、端子24が固定されている。
(信号線部材31の構成)
図3に示すように、信号線部材31は、複数の信号線32と、止水部材33とを有する。本実施形態の信号線部材31は、4つの信号線32を有する。信号線32は、芯線34と、該芯線34の外周を覆う絶縁被覆35とを有する。信号線32は、信号伝達用である。信号線32は電線21より細い。すなわち、信号線32の外径は、電線21の外径より小さく形成されている。
【0026】
芯線34は、例えば、単線や、複数の導電性の素線をより合わせてなる撚線などである。芯線34の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。
【0027】
絶縁被覆35は、例えば、芯線34の外周面を全周にわたって被覆している。絶縁被覆35は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。絶縁被覆35の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂が用いられる。絶縁被覆35の材料としては、1種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0028】
芯線34の端部は、絶縁被覆35が剥かれることで露出している。そして、図2に示すように、芯線34の端部には、端子36が固定されている。
止水部材33は、複数の信号線32の延在方向における一部に設けられている。
【0029】
図3に示すように、止水部材33は、複数の信号線32同士の間を埋めつつ複数の信号線32の外周全体を覆っている。
図4に示すように、本実施形態の止水部材33は、ブチルゴムシート33aによって構成されている。止水部材33は、例えば、ブチルゴムシート33aの主面に複数の信号線32が間隔を有して平行に並べられた状態で、ブチルゴムシート33aが複数の信号線32を巻き込むように巻き付けられることで円柱状に成形されている。止水部材33は電線21より細い。すなわち、止水部材33の外径は、電線21の外径より小さく形成されている。なお、図3ではブチルゴムシート33aが巻き付けられた様子を省略して止水部材33の断面を模式的に図示している。
【0030】
(グロメット41の構成)
グロメット41は、ゴムまたはエラストマよりなる。
図2に示すように、グロメット41は、筒状に形成されている。本実施形態のグロメット41は、第1端部42と、第2端部43と、第1端部42及び第2端部43の間で屈曲した屈曲部44とを有する。第1端部42は、単一の挿入孔45を有する。詳しくは、第1端部42には、筒状に突出する筒部46が設けられている。そして、筒部46の内面によって挿入孔45が構成されている。挿入孔45は、複数の電線部材としての2つの電線21及び1つの信号線部材31を挿入可能な大きさに形成されている。本実施形態の挿入孔45は、治具等によって広げた状態としなくても、端子24,36が固定されている電線21及び信号線部材31の各端部から、2つの電線21及び1つの信号線部材31を容易に挿入可能な大きさに形成されている。本実施形態の挿入孔45の横断面形状は、長孔である。
【0031】
詳しくは、図3に示すように、挿入孔45は、挿入孔45の貫通方向から見て平行に配置される一対の平行部45aと、平行部45aの端部同士を円弧で繋ぐ一対の挿入孔接触部45bとを有する。挿入孔45では、挿入孔45の貫通方向と直交し、かつ平行部45aと平行である幅方向の寸法が、幅方向と直交する方向である高さ方向の寸法よりも大きい。平行部45aは、幅方向に2つの電線21と止水部材33とが間隔を有して並ぶことが可能な長さに形成されている。本実施形態では、止水部材33は、2つの電線21の間に配置される。一対の挿入孔接触部45bは、電線21の外周面の一部と接触する。詳しくは、一対の挿入孔接触部45bは、それぞれ電線21の外周面における周方向の半分と面接触可能な半円弧形状に形成されている。
【0032】
(スペーサ51の構成)
スペーサ51は、複数の電線部材としての2つの電線21及び1つの信号線部材31と挿入孔45の内周面との間の隙間を埋める。スペーサ51は、2つの電線21及び1つの信号線部材31が挿入孔45に挿入されている状態において、挿入孔45に挿入可能に構成されている。
【0033】
詳しくは、図3に示すように、スペーサ51は、止水部材33を挟む一対のスペーサ分割体52によって構成されている。本実施形態の一対のスペーサ分割体52は、同じ形状である。一対のスペーサ分割体52は、挿入孔45の高さ方向から止水部材33を挟むことが可能な形状に形成されている。言い換えると、一対のスペーサ分割体52は、2つの電線21及び1つの信号線部材31が並ぶ方向と直交する方向から止水部材33を挟むことが可能な形状に形成されている。スペーサ分割体52は、挿入孔45の貫通方向から見て、挿入孔45の幅方向の中央に中央接触部53を有する。中央接触部53は、止水部材33の外周面における周方向の半分と面接触可能な半円弧形状に形成されている。スペーサ分割体52は、挿入孔45の貫通方向から見て、挿入孔45の幅方向の両端部にスペーサ接触部54を有する。スペーサ接触部54は、電線21の外周面の一部と接触する。詳しくは、スペーサ接触部54は、電線21の外周面における周方向の4分の1の範囲と面接触可能な円弧形状に形成されている。これにより、挿入孔接触部45bとスペーサ接触部54とは電線21の外周面の全周と接触する。
【0034】
スペーサ51は、グロメット41よりも硬いゴムまたはエラストマよりなる。言い換えると、一対のスペーサ分割体52のそれぞれは、グロメット41よりも硬度が大きいゴムまたはエラストマよりなる。スペーサ51は、2つの電線21及び1つの信号線部材31が挿入孔45に挿入されている状態において挿入孔45に圧入されることで、2つの電線21及び1つの信号線部材31と挿入孔45の内周面との間の隙間を埋めつつ保持される。
【0035】
次に、上記のように構成されたワイヤハーネス11の作用について説明する。
2つの電線21及び1つの信号線部材31は、端子24,36が固定されている電線21及び信号線部材31の各端部から、挿入孔45に挿入される。そして、端子24,36は、グロメット41の第2端部43からグロメット41に挿入される図示しない充電用インレットの端子と接続される。そして、2つの電線21及び1つの信号線部材31が挿入孔45に挿入されている状態においてスペーサ51が挿入孔45に挿入されることで、2つの電線21及び1つの信号線部材31と挿入孔45の内周面との間の隙間がスペーサ51により埋められる。これにより、挿入孔45を介した液体の通過が阻止される。
【0036】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)グロメット41は、2つの電線21及び1つの信号線部材31を挿入可能な単一の挿入孔45を有する。よって、例えば、挿入孔45を治具等によって広げた状態とすることなく、2つの電線21及び1つの信号線部材31を挿入孔45に容易に挿入することができる。スペーサ51は、2つの電線21及び1つの信号線部材31と挿入孔45の内周面との間の隙間を埋めるため、挿入孔45を介した液体の通過が阻止される。そして、スペーサ51は、2つの電線21及び1つの信号線部材31が挿入孔45に挿入されている状態において、挿入孔45に挿入可能に構成されているため、グロメット41に容易に組み付けることができる。また、例えば、スペーサ51をグロメット41に組み付ける前に、2つの電線21及び1つの信号線部材31をグロメット41の奥まで挿入したり手前に戻したりできるので、端子24,36を充電用インレットにおける端子と接続するような作業が容易となる。よって、ワイヤハーネス11の組み付け性が良好となる。
【0037】
(2)信号線部材31は、複数の信号線32と、複数の信号線32同士の間を埋めつつ複数の信号線32の外周全体を覆う止水部材33を有するため、複数の信号線32同士の間を介した液体の通過を阻止できる。
【0038】
(3)止水部材33の外径は、電線21の外径よりも小さく、止水部材33は、2つの電線21の間に配置されるため、2つの電線21及び1つの信号線部材31をバランス良く配置することができる。また、スペーサ51は、止水部材33を挟む一対のスペーサ分割体52によって構成されるため、例えば、3つ以上のスペーサ分割体によって構成されるものに比べて、スペーサ51を簡素な構成とすることができる。
【0039】
(4)挿入孔接触部45bとスペーサ接触部54とが電線21の外周面の全周と接触するため、電線21の外周面に沿った液体の通過を阻止できる。また、挿入孔45の一部を電線21の外周面の一部と接触する挿入孔接触部45bとして利用しているため、例えば、スペーサ51が電線21の全周を覆う必要が無くなる。よって、例えば、スペーサ51の小型化を図ることができる。
【0040】
(5)スペーサ51は、グロメット41よりも硬いため、2つの電線21及び1つの信号線部材31が挿入孔45に挿入されている状態において、挿入孔45に挿入し易くなる。
【0041】
(6)スペーサ51は、ゴムまたはエラストマよりなるため、2つの電線21、1つの信号線部材31、及び挿入孔45と密着し易くなり、止水性が良好となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・上記実施形態では、挿入孔45が電線21の外周面の一部と接触する挿入孔接触部45bを有する構成としたが、これに限定されず、挿入孔45が挿入孔接触部45bを有していない構成としてもよい。
【0043】
例えば、図5に示すように変更してもよい。この例の挿入孔61の横断面形状は、電線21の外周面の一部と接触する挿入孔接触部45bを有していない長孔である。そして、スペーサ71は、止水部材33を挟む一対のスペーサ分割体72によって構成されている。詳しくは、スペーサ71は、止水部材33及び2つの電線21を挟む一対のスペーサ分割体72によって構成されている。
【0044】
一対のスペーサ分割体72は、同じ形状である。一対のスペーサ分割体72は、挿入孔61の高さ方向から止水部材33及び2つの電線21を挟むことが可能な形状に形成されている。言い換えると、一対のスペーサ分割体72は、2つの電線21及び1つの信号線部材31が並ぶ方向と直交する方向から止水部材33及び2つの電線21を挟むことが可能な形状に形成されている。
【0045】
スペーサ分割体72は、挿入孔61の貫通方向から見て、挿入孔61の幅方向の中央に中央接触部73を有する。中央接触部73は、止水部材33の外周面における周方向の半分と面接触可能な半円弧形状に形成されている。スペーサ分割体72は、挿入孔61の貫通方向から見て、挿入孔45の幅方向の両端側に端部接触部74を有する。端部接触部74は、電線21の外周面における周方向の半分と面接触可能な半円弧形状に形成されている。このようにしても、電線21の外周面に沿った液体の通過を阻止できるとともに、ワイヤハーネス11の組み付け性が良好となる。
【0046】
・上記実施形態では、複数の電線部材は、2つの電線21と、1つの信号線部材31とを含むとしたが、これに限定されず、他の数の電線部材としてもよいし、他の種類の電線部材としてもよい。例えば、複数の電線部材は、信号線部材31を有さず、3つの電線21であってもよい。
【0047】
・上記実施形態では、止水部材33は、ブチルゴムシート33aによって構成されているとしたが、これに限定されず、他の構成としてもよい。
・上記実施形態では、止水部材33の外径は、電線21の外径よりも小さく形成されているとしたが、これに限定されず、電線21の外径と同じであってもよいし、電線21の外径より大きくてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、止水部材33は、2つの電線21の間に配置されるとしたが、これに限定されず、例えば、2つ並んだ電線21の外側に配置されていてもよい。
・上記実施形態では、スペーサ51は、止水部材33を挟む一対のスペーサ分割体52によって構成されるとしたが、これに限定されず、例えば、3つ以上のスペーサ分割体によって構成されていてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、スペーサ51は、グロメット41よりも硬いとしたが、これに限定されず、グロメット41と同じ硬さとしてもよいし、グロメット41の方が硬くてもよい。
【0050】
・上記実施形態では、スペーサ51は、ゴムまたはエラストマよりなるとしたが、これに限定されず、例えば、樹脂よりなるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
11 ワイヤハーネス
21 電線
22 芯線
23 絶縁被覆
24 端子
31 信号線部材
32 信号線
33 止水部材
33a ブチルゴムシート
34 芯線
35 絶縁被覆
36 端子
41 グロメット
42 第1端部
43 第2端部
44 屈曲部
45 挿入孔
45a 平行部
45b 挿入孔接触部
46 筒部
51 スペーサ
52 スペーサ分割体
53 中央接触部
54 スペーサ接触部
61 挿入孔
71 スペーサ
72 スペーサ分割体
73 中央接触部
74 端部接触部
図1
図2
図3
図4
図5