(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050199
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/14 20060101AFI20240403BHJP
G06F 11/10 20060101ALI20240403BHJP
G06F 11/16 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06F11/14 648
G06F11/10 604
G06F11/16 658
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156896
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東出 功一
【テーマコード(参考)】
5B034
【Fターム(参考)】
5B034BB17
5B034DD06
(57)【要約】
【課題】バックアップの回数、処理時間、コスト等の制限下、データの整合性を保ちつつミラリングを行うことできる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、取得部と、SRAMと、DRAMと、判定部と、同期部とを有する。取得部は、更新指示を取得し、SRAMは、データ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶し、DRAMは、バックアップデータ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶し、判定部は、取得部により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定し、同期部は、判定部により判定されたデータ種別に対応する方法により、取得部により取得された更新指示に従って、SRAMに記憶されたデータと、DRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新指示を取得する取得部と、
データ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶するSRAMと、
バックアップデータ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶するDRAMと、
前記取得部により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定する判定部と、
前記判定部により判定されたデータ種別に対応する方法により、前記取得部により取得された更新指示に従って、前記SRAMに記憶されたデータと、前記DRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う同期部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、取得部により取得された更新指示に含まれるメモリデータが積算値データであると判定した場合、前記SRAMに記憶されたデータと、前記DRAMに記憶されたバックアップデータとが一致するか否かを判定し、
前記同期部は、前記判定部により一致すると判定された場合、前記取得部により取得された更新指示に従ってSRAMのメモリデータ及び更新するデータをもとに演算したチェックサム値を更新し、当該更新されたSRAMに記憶されたデータと、DRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、演算したチェックサム値を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記同期部は、前記判定部により積算値データでないと判定された場合、前記取得部により取得された更新指示に従って、SRAMのメモリデータを更新し、当該更新されたSRAMに記憶されたデータと、DRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
制御装置で実行される方法であって、
前記制御装置は、
データ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶するSRAMと、
バックアップデータ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶するDRAMとを有し、
更新指示を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定する判定工程と、
前記判定工程により判定されたデータ種別に対応する方法により、前記取得工程により取得された更新指示に従って、前記SRAMに記憶されたデータと、前記DRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う同期工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
更新指示を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより判定されたデータ種別に対応する方法により、前記取得ステップにより取得された更新指示に従って、データ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶するSRAMに記憶されたデータと、バックアップデータ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶するDRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う同期ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
同一のデータを複数のストレージに書き込むことにより、データ損失を防ぐミラリングという技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックアップの回数、処理時間、コスト等の制限下、データの整合性を保ちつつミラリングを行うことが困難である場合があった。
【0005】
例えば、復元するためのデータをバックアップする不揮発メモリとして、フラッシュROMを使用する場合、書き込み回数に制限があるため、製品寿命を考慮すると1日1回のデータバックアップしか行えない。
【0006】
こうした状況でバックアップを行うと前日のデータに復元されるため、積算値が前日の値に戻ってしまったり、前日のスケジュール実行される値に戻ったり、動作パラメータが前日の設定に戻ったりして運用上のトラブルが発生することがあった。
【0007】
このため、SRAMのような揮発性のメモリにバッテリを搭載することで、バックアップとして利用するという対応もあるが、毎回バックアップするための処理時間やコスト面を考えると、直前のデータを記録しておくことが難しい。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、バックアップの回数、処理時間、コスト等の制限下、データの整合性を保ちつつミラリングを行うことができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る制御装置は、取得部と、SRAMと、DRAMと、判定部と、同期部とを有する。取得部は、更新指示を取得し、SRAMは、データ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶し、DRAMは、バックアップデータ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶し、判定部は、取得部により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定し、同期部は、判定部により判定されたデータ種別に対応する方法により、取得部により取得された更新指示に従って、SRAMに記憶されたデータ、DRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う。
【0010】
上記制御装置において、判定部は、取得部により取得された更新指示に含まれるメモリデータが積算値データであると判定した場合、SRAMに記憶されたデータと、DRAMに記憶されたバックアップデータとが一致するか否かを判定し、同期部は、判定部により一致すると判定された場合、取得部により取得された更新指示に従ってSRAMのメモリデータ及び更新するデータをもとに算出したチェックサム値を更新し、当該更新されたSRAMに記憶されたデータ及びチェックサム値と、DRAMに記憶されたバックアップデータ及びチェックサム値とを同期し、演算したチェックサム値を更新する。
【0011】
上記制御装置において、同期部は、判定部により積算値データでないと判定された場合、取得部により取得された更新指示に従って、SRAMのメモリデータを更新し、当該更新されたSRAMに記憶されたデータと、DRAMに記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれ更新されたデータに基づいて、チェックサム値を更新する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バックアップの回数、処理時間、コスト等の制限下、データの整合性を保ちつつミラリングを行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る制御装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御装置による処理の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る制御装置による修復処理を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る制御装置による処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、ミラリングデータベース構築処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る制御装置の機能を実現するためのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[制御装置の構成]
まず、
図1を用いて、制御装置100の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る制御装置100の構成の一例を示す図である。
図1が示すように、制御装置100は、通信部110と、制御部120と、SRAM130と、DRAM140とを有する。なお、これらの各部は、複数の装置が分散して保持してもよい。以下にこれら各部の処理を説明する。
【0015】
通信部110は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した外部装置と制御部120の通信を可能とする。例えば、通信部110は、外部装置と制御部120との通信を可能とする。
【0016】
SRAM130は、SRAM(Static Random Access Memory)である。SRAM130は、データ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶する。例えば、SRAM130は、実行時データ、パラメータ、積算値データ、チェックサム値を記憶する。
【0017】
DRAM140は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。DRAM140は、バックアップデータ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶する。例えば、DRAM140は、実行時データ、パラメータ、積算値データ、チェックサム値を記憶する。制御装置100は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)といったDRAMをDRAM140として用いてもよい。
【0018】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やNP(Network Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。
図1に示すように、制御部120は、取得部121と、判定部122と、同期部123、診断部124、修復部125とを有する。以下、制御部120が有する各部について説明する。
【0019】
取得部121は、更新指示を取得する。例えば、取得部121は、更新指示に含まれる実行時データに関するメモリデータを、アプリケーションから取得する。また、例えば、取得部121は、更新指示に含まれる積算値データに関するメモリデータを、アプリケーションから取得する。なお、積算値データとは、SRAM130やDRAM140といったストレージに記憶された値をベースとして、加算、減算、乗算、除算といった処理により更新される連続的なデータをいう。
【0020】
判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定する。例えば、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータが実行時データであることを判定する。また、例えば、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータが積算値データであることを判定する。また、例えば、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータがパラメータであることを判定する。
【0021】
また、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータが積算値データであると判定した場合、SRAM130に記憶されたデータ、DRAM140に記憶されたバックアップデータとが一致するか否かを判定する。つまり、判定部122は、積算値データについての更新がある場合には、SRAM130とDRAM140とが記憶するデータ同士の比較を行う。
【0022】
同期部123は、判定部122により判定されたデータ種別に対応する方法により、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う。
【0023】
例えば、同期部123は、判定部122により一致すると判定された場合に、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130のメモリデータ及び更新するデータをもとに演算したチェックサム値を更新し、当該更新されたSRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期し、演算したチェックサム値を更新する。つまり、同期部123は、積算値データである場合、かつ、SRAM130とDRAM140とのデータが一致する場合に、更新と同期及びチェックサムの更新を行う。
【0024】
また、例えば、同期部123は、判定部122により積算値データでないと判定された場合、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130のメモリデータを更新し、当該更新されたSRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う。つまり、同期部123は、積算値データでない場合には、SRAM130とDRAM140のデータの比較を行わずに、更新と同期を行う。
【0025】
診断部124は、所定時間ごとに、SRAM130のデータとDRAM140のデータの破損を交互に診断する。例えば、診断部124は、1分周期で、SRAM130に記憶されたデータと記録されたデータから算出したチェックサム値とSRAM130に記録されたチェックサム値と、DRAM140に記憶されたデータと記録されたデータから算出したチェックサム値とDRAM140に記録されているチェックサム値とをそれぞれ比較することにより、SRAM130またはDRAM140の破損の有無を診断する。
【0026】
修復部125は、SRAM130のデータに破損があったと診断された場合には、DRAM140のデータを用いて、修復を行い、DRAM140のデータに破損があったと診断された場合には、SRAM130のデータを用いて修復を行う。
【0027】
[処理の概要]
次に、制御装置100が行う処理の概要について
図2を用いて説明する。
図2のインターフェイスは、取得部121に該当する。
図2のメモリデータ管理部は、判定部122及び同期部123に該当する。
図2のSRAMは、SRAM130に該当する。
図2のDRAMは、DRAM140に該当する。
【0028】
まず、取得部121は、更新指示を取得する。つまり、制御装置100は、アプリケーションから直接データの更新を行わず、メモリデータ管理部(判定部122、同期部123)が提供するAPIを通じてメモリデータを更新する。SRAM130は、データ及びデータ種別ごとに演算して算出したチェックサム値を記憶する。DRAM140は、バックアップデータ及びデータ種別ごとに演算して算出したチェックサム値を記憶する。
【0029】
次に、判定部122は、更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定する。そして、同期部123は、判定部122によりデータ種別に応じて、SRAM130とDRAM140との同期を行う。
【0030】
例えば、判定部122により、更新指示に含まれるメモリデータの種別が実行時データであると判定された場合、同期部123は、更新指示に従ってSRAM130を更新し(1)、更新されたSRAM130とDRAM140との同期を行う(2)。
【0031】
また、例えば、判定部122により、更新指示に含まれるメモリデータの種別がパラメータであると判定された場合についても、同期部123は、同様の流れで処理を行う。同期部123は、更新指示に従ってSRAM130を更新し(3)、更新されたSRAM130とDRAM140との同期を行う(4)。
【0032】
また、例えば、判定部122により、更新指示に含まれるメモリデータの種別が積算値データであると判定された場合、続いて判定部122によりSRAM130とDRAM140とが記憶するデータの比較が行われる(5)。そして、同期部123は、判定部122によりSRAM130とDRAM140とで記憶するデータが一致すると判定された場合には、更新指示に従って、SRAM130を更新し(6)、更新されたSRAM130とDRAM140との同期を行う(7)。
【0033】
上述の処理により、制御装置100は、アプリケーションの暴走や、ソフトエラーによるデータを基とした複製を防止することができる。例えば、制御装置100は、積算値データについて、誤った値に加算するような更新を防ぐことができる。
【0034】
[修復処理]
次に、制御装置100による修復処理について
図3を用いて説明する。
図3のメモリデータ管理部は、取得部121、判定部122、同期部123、修復部125に該当する。
図3のSRAMは、SRAM130に該当する。
図3のDRAMは、DRAM140に該当する。
図3のメモリデータ診断部は、診断部124に該当する。
【0035】
アプリケーションの動作が正常であれば、上述の
図2で説明した流れにより処理が行われるが、例えば、アプリケーションの暴走により、SRAM130のメモリデータが破損したり、ソフトエラーによるビット化けがSRAM130のメモリデータに発生することがある。この場合、診断部124は、SRAM130の破損を診断する。続いて、修復部125は、DRAM140が記憶するデータを用いてSRAM130の修復を行う。
【0036】
一方、DRAM140のメモリデータが破損した場合、診断部124は、DRAM140の破損を診断する。続いて、修復部125は、SRAM130が記憶するデータを用いてDRAM140の修復を行う。
【0037】
なお、SRAM130が記憶する積算値データについてソフトエラーによるビット化けが発生した場合であっても、DRAM140側のデータには影響しない。上述の
図2で説明したように、積算値データについては、判定部122及び同期部123により、SRAM130とDRAM140とが記憶するメモリデータ同士が一致していなければ、DRAM140への同期が行われないためである。
【0038】
[フローチャート]
次に、上述した構成の制御装置100による処理について、
図4のフローチャートを参照して説明する。まず、取得部121は、更新指示を取得する(ステップS101)。例えば、取得部121は、更新指示に含まれる実行時データに関するメモリデータを、アプリケーションから取得する。また、例えば、取得部121は、更新指示に含まれる積算値データに関するメモリデータをアプリケーションから取得する。
【0039】
次に、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定する(ステップS102)。例えば、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータが実行時データであることを判定する。また、例えば、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータが積算値データであることを判定する。
【0040】
それから、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータが積算値データであると判定した場合(ステップS102“YES”)、SRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとが一致するか否かを判定する(ステップS103)。
【0041】
そして、同期部123は、判定部122により一致すると判定された場合(ステップS103“YES”)、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130のメモリデータを更新するとともにチェックサム値を算出してチェックサム値を更新(ステップS104)し、当該更新されたSRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期することにより、DRAM140のデータを更新するするとともにチェックサム値を算出してチェックサム値を更新する(ステップS105)。なお、同期部123は、判定部122により一致しないと判定された場合(ステップS103“NO”)、同期処理を行わない。
【0042】
一方、同期部123は、判定部122により積算値データでないと判定された場合(ステップS102“NO”)、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130のメモリデータを更新し(ステップS106)、当該更新されたSRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期することにより、DRAM140のデータを更新する(ステップS107)。
【0043】
[フローチャート]
次に、ミラリングデータベース構築処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。ミラリングデータベース構築処理とは、イニシャル時にSRAM130に配置されたデータと同じ構成のデータベースをDRAM140に構築する処理である。ミラリングデータベース構築処理は、制御装置100により行うことができる。
【0044】
まず、制御装置100は、SRAM130とDRAM140とのHW診断を実行する(ステップS201)。次に、制御装置100は、HW異常の有無を判定する(ステップS202)。ここで、HW異常がないと判定した場合(ステップS202“NO”)、制御装置100は、SRAM130のデータをロードし(ステップS203)、RAM破損診断を実行することで(ステップS204)、RAM破損の有無を判定する(ステップS205)。
【0045】
ここで、RAM破損がないと判定された場合(ステップS205“NO”)、制御装置100は、DRAM140にSRAM130のミラリングデータベースを構築する(S206)。
【0046】
一方、RAM破損があると判定された場合(ステップS205“YES”)、制御装置100は、フラッシュROMのバックアップデータベースをSRAM130のデータとしてロードし(ステップS207)、再びRAM破損の有無を判定する(ステップS208)。ここで、RAM破損がないと判定された場合(ステップS208“NO”)、制御装置100は、DRAM140にSRAM130のミラリングデータベースを構築する(ステップS209)。
【0047】
一方、再度のRAM破損の有無の判定でRAM破損があると判定された場合(ステップS208“YES”)、制御装置100は、初期値をSRAM130にロードする(ステップS210)。そして、制御装置100は、DRAM140にSRAM130のミラリングデータベースを構築する(ステップS211)。
【0048】
なお、HW異常があると判定された場合(ステップS202“YES”)、制御装置100は、初期値をSRAM130にロードし(ステップS212)、DRAM140にSRAM130のミラリングデータベースを構築する(ステップS213)。そして、重故障として停止する(ステップS214)。
【0049】
[効果]
上述したように、実施形態に係る制御装置100は、取得部121と、SRAM130と、DRAM140と、判定部122と、同期部123とを有する。取得部121は、更新指示を取得する。SRAM130は、データ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶する。DRAM140は、バックアップデータ及びデータ種別ごとにチェックサム値を記憶する。判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別を判定する。同期部123は、判定部122により判定されたデータ種別に対応する方法により、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う。
【0050】
これにより、実施形態に係る制御装置100は、メモリデータの種別に応じた同期方法により、バックアップの回数、処理時間、コスト等の制限下、データの整合性を保ちつつミラリングを行うことできる。
【0051】
また、実施形態に係る制御装置100において、判定部122は、取得部121により取得された更新指示に含まれるメモリデータの種別が積算値データである場合、SRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとが一致するか否かを判定し、同期部123は、判定部122により一致すると判定された場合、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130のメモリデータ及び更新するデータをもとに演算したチェックサム値を更新し、当該更新されたSRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期し、演算したチェックサム値を更新する。
【0052】
これにより、実施形態に係る制御装置100は、積算値データに対応した同期方法により、バックアップの回数、処理時間、コスト等の制限下、データの整合性を保ちつつミラリングを行うことができる。
【0053】
また、実施形態に係る制御装置100において、同期部123は、判定部122により積算値データでないと判定された場合、取得部121により取得された更新指示に従って、SRAM130のメモリデータを更新し、更新されたSRAM130に記憶されたデータと、DRAM140に記憶されたバックアップデータとを同期し、それぞれでチェックサム値の更新を行う。
【0054】
これにより、実施形態に係る制御装置100は、積算値データ以外のデータに対応する同期方法により、バックアップの回数、処理時間、コスト等の制限下、データの整合性を保ちつつミラリングを行うことができる。
【0055】
[ハードウェア構成]
図6は、ハードウェア構成例を説明する図である。
図6に示すように、制御装置100は、通信装置100a、HDD(Hard Disk Drive)100b、メモリ100c、プロセッサ100dを有する。また、
図6に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0056】
通信装置100aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を行う。HDD100bは、
図1に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0057】
プロセッサ100dは、
図1に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100b等から読み出してメモリ100cに展開することで、
図1等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、制御装置100を例にして説明すると、このプロセスは、制御装置100が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ100dは、取得部121、判定部122、同期部123、診断部124、修復部125と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0058】
このように、制御装置100は、プログラムを読み出して実行することで各種制御方法を実行する制御装置として動作する。また、制御装置100は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、制御装置100によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、上記実施形態が同様に適用されてもよい。
【0059】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布されてもよい。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行されてもよい。
【0060】
[その他]
ここまで、本発明に係る実施形態の一例について説明をしたが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。すなわち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の制御装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
100 制御装置
110 通信部
120 制御部
121 取得部
122 判定部
123 同期部
124 診断部
125 修復部
130 SRAM
140 DRAM