IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三浦工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-異常対応支援システム 図1
  • 特開-異常対応支援システム 図2
  • 特開-異常対応支援システム 図3
  • 特開-異常対応支援システム 図4
  • 特開-異常対応支援システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050207
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】異常対応支援システム
(51)【国際特許分類】
   B63B 79/00 20200101AFI20240403BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20240403BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240403BHJP
【FI】
B63B79/00
B63B49/00 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156913
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 和洋
(72)【発明者】
【氏名】山内 一生
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】異常の原因の調査および異常対応を効果的かつ速やかに実施できる異常対応支援システムを提供する。
【解決手段】異常対応支援システム1は、船舶3に設けられた管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データから異常対応用運転状態時系列データを生成するデータ管理装置10と、異常対応用運転状態時系列データを表示する表示装置20とを備える。データ管理装置10は、複数種類の運転状態時系列データのうち、異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データにおける異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを抽出し、抽出された運転状態時系列データを異常時アラームと関連付けて、異常対応用運転状態時系列データとして生成する異常対応データ作成部を備える。表示装置20は、運転状態時系列データを、異常時アラームとともに表示する表示部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶または工場に設けられた管理対象機器の異常対応支援を遠隔で行う異常対応支援システムであって、
前記船舶または工場に対して遠隔の地に設けられており、前記管理対象機器の複数種類の運転状態時系列データから異常対応用運転状態時系列データを生成するデータ管理装置と、
前記異常対応用運転状態時系列データを表示する表示装置と、
を備え、
前記データ管理装置は、
前記管理対象機器の前記複数種類の運転状態時系列データおよび異常時アラームを受信し、前記異常対応用運転状態時系列データを送信する通信部と、
受信された前記管理対象機器の前記複数種類の運転状態時系列データのうち、受信された前記異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データにおける前記異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを抽出し、前記抽出された運転状態時系列データを前記異常時アラームと関連付けて、前記異常対応用運転状態時系列データとして生成する異常対応データ作成部と、
を備え、
前記表示装置は、
前記管理対象機器の前記異常対応用運転状態時系列データを受信する通信部と、
受信された前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを、前記異常時アラームとともに表示する表示部と、
を備える、
異常対応支援システム。
【請求項2】
前記データ管理装置の前記通信部は、更に、前記複数種類の運転状態時系列データの各々に関連付けされた前記管理対象機器の処理工程情報を受信し、
前記データ管理装置の前記異常対応データ作成部は、受信された前記処理工程情報に基づいて、受信された前記異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データを抽出し、前記抽出された運転状態時系列データを、前記異常時アラームおよび関連の処理工程情報と関連付けて、前記異常対応用運転状態時系列データとして生成し、
前記表示装置の前記表示部は、受信された前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを、前記異常時アラームおよび前記関連の処理工程情報とともに表示する、
請求項1に記載の異常対応支援システム。
【請求項3】
前記データ管理装置の前記異常対応データ作成部によって生成される前記異常対応用運転状態時系列データは、WEBブラウザに対応する表示データであって、前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを前記異常時アラームとともに表示する表示データであり、
前記表示装置は、WEBブラウザを用いて、前記表示データを表示する、
請求項1に記載の異常対応支援システム。
【請求項4】
前記データ管理装置の前記異常対応データ作成部によって生成される前記異常対応用運転状態時系列データは、WEBブラウザに対応する表示データであって、前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを前記異常時アラームおよび前記関連の処理工程情報とともに表示する表示データであり、
前記表示装置は、WEBブラウザを用いて、前記表示データを表示する、
請求項2に記載の異常対応支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常対応支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、船舶に搭載されるバラスト水処理装置およびボイラ装置等の種々の機器の管理を、船舶側だけでなく、管理センタ等の陸上側でも行う技術がある(例えば、特許文献1および2)。このような技術において、陸上の管理センタは、船舶に搭載されたバラスト水処理装置およびボイラ装置の状態情報を船舶から取得し、取得した状態情報に基づいて、バラスト水処理装置およびボイラ装置の管理情報を生成し、管理情報を船舶に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-103637号公報
【特許文献2】特開2022-17036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような管理対象機器の管理は、管理対象機器の異常時アラームの管理も含む。
管理対象機器において異常が発生した場合、管理対象機器を操作する作業者は、アラーム対応マニュアル等を参照して、異常の原因および対応を調べていた。しかし、限られた作業時間(緊急を要する)の中で、作業者がアラーム対応マニュアルを十分に理解して対応することは難しい。また、設備管理会社(船舶管理会社)や機器メーカ(舶用機器メーカ)に異常発生を連絡して対策を求めるにしても、必要項目を調査し連絡すべき情報を整理するためには異常発生に関する経験と知識が必要であった。このような異常の原因の調査および異常対応を効果的かつ速やかに実施できることが求められている。
【0005】
本発明は、異常の原因の調査および異常対応を効果的かつ速やかに実施できる異常対応支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る異常対応支援システムは、船舶または工場に設けられた管理対象機器の異常対応支援を遠隔で行う異常対応支援システムであって、前記船舶または工場に対して遠隔の地に設けられており、前記管理対象機器の複数種類の運転状態時系列データから異常対応用運転状態時系列データを生成するデータ管理装置と、前記異常対応用運転状態時系列データを表示する表示装置と、を備える。前記データ管理装置は、前記管理対象機器の前記複数種類の運転状態時系列データおよび異常時アラームを受信し、前記異常対応用運転状態時系列データを送信する通信部と、受信された前記管理対象機器の前記複数種類の運転状態時系列データのうち、受信された前記異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データにおける前記異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを抽出し、前記抽出された運転状態時系列データを前記異常時アラームと関連付けて、前記異常対応用運転状態時系列データとして生成する異常対応データ作成部と、を備える。前記表示装置は、前記管理対象機器の前記異常対応用運転状態時系列データを受信する通信部と、受信された前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを、前記異常時アラームとともに表示する表示部と、を備える。
【0007】
(2) (1)に記載の異常対応支援システムにおいて、前記データ管理装置の前記通信部は、更に、前記複数種類の運転状態時系列データの各々に関連付けされた前記管理対象機器の処理工程情報を受信してもよく、前記データ管理装置の前記異常対応データ作成部は、受信された前記処理工程情報に基づいて、受信された前記異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データを抽出し、前記抽出された運転状態時系列データを、前記異常時アラームおよび関連の処理工程情報と関連付けて、前記異常対応用運転状態時系列データとして生成してもよく、前記表示装置の前記表示部は、受信された前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを、前記異常時アラームおよび前記関連の処理工程情報とともに表示してもよい。
【0008】
(3) (1)に記載の異常対応支援システムにおいて、前記データ管理装置の前記異常対応データ作成部によって生成される前記異常対応用運転状態時系列データは、WEBブラウザに対応する表示データであって、前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを前記異常時アラームとともに表示する表示データであってもよく、前記表示装置は、WEBブラウザを用いて、前記表示データを表示してもよい。
【0009】
(4) (2)に記載の異常対応支援システムにおいて、前記データ管理装置の前記異常対応データ作成部によって生成される前記異常対応用運転状態時系列データは、WEBブラウザに対応する表示データであって、前記異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データを前記異常時アラームおよび前記関連の処理工程情報とともに表示する表示データであってもよく、前記表示装置は、WEBブラウザを用いて、前記表示データを表示してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異常の原因の調査および異常対応を効果的かつ速やかに実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る異常対応支援システムの構成および船舶管理システムの構成を示す概略図である。
図2図1に示す異常対応支援システムにおけるデータ管理装置の構成を示す図である。
図3図1に示す異常対応支援システムにおける表示装置の構成を示す図である。
図4】表示装置による表示の一例、すなわちデータ管理装置による表示データの一例、を示す図である。
図5】表示装置によるリンク表示の一例であって図4に示す表示にリンクするリンク表示の一例、すなわちデータ管理装置によるリンク表示データの一例であって図4に示す表示データにリンクするリンク表示データの一例、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0013】
図1は、本実施形態に係る異常対応支援システムを示す概略図である。図1には、本実施形態の異常対応支援システム1とともに、船舶管理システム100が示されている。船舶管理システム100は、例えば船舶管理事業者が船舶の全体管理を行うためのシステムである。一方、異常対応支援システム1は、船舶に設けられた機器のメーカが船舶管理事業者または船舶乗員による機器の異常対応を支援するためのシステムである。
【0014】
船舶管理システム100は、船舶3と、船上サーバ4と、陸上サーバ5とを備える。船舶3には、種々の機器、例えば蒸気ボイラ装置3aおよびバラスト水処理装置3b、が設けられている。船上サーバ4は、船舶3に設けられており、船舶乗員によって管理され、船舶の運航情報等の種々の情報、および機器の状態情報等の種々の情報を、船内LANを介して収集する。船上サーバ4は、船内LANを経由して衛星通信の船舶局に接続し、種々の情報を陸上サーバ5に送信する。陸上サーバ5は、舶用通信プラットフォームベンダーによって管理され、船上サーバ4から送信されたデータ(船舶の運航情報等の種々の情報、および機器の状態情報等の種々の情報を含む)を受信し保存する。陸上サーバ5は、インターネット回線を経由して衛星通信の地上局、または携帯基地局(図示せず)に接続し、船上サーバ4から種々の情報を取得する。
【0015】
異常対応支援システム1は、船舶3に設けられた管理対象の機器3a,3bの異常対応支援を遠隔で行うシステムである。異常対応支援システム1は、インターネットを経由して、陸上サーバ5から機器の状態情報等の種々の情報を取得する。なお、異常対応支援システム1は、インターネット回線を経由して衛星通信の地上局、または携帯基地局(図示せず)に接続し、船上サーバ4から機器の状態情報等の種々の情報を取得してもよい。異常対応支援システム1は、データ管理装置10と表示装置20(船舶表示装置20a)とを備える。また、異常対応支援システム1は、複数台の陸上表示装置20bを備えてもよい。例えば、陸上表示装置20bは船舶を管理する管理会社に備えられ、船舶に搭載された機器の管理に利用される。また、陸上表示装置20bは船舶に搭載された機器のメーカに備えられ、機器の異常対応支援に利用される。
【0016】
図2は、図1に示す異常対応支援システムにおけるデータ管理装置の構成を示す図である。図2に示すデータ管理装置10は、船舶3に対して遠隔の地に設けられており、船上の管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データから異常対応に要求される異常対応用運転状態時系列データを生成する。データ管理装置10は、通信部11と、制御部14と、記憶部15と、異常対応データ作成部17とを備える。
【0017】
通信部11は、船舶管理システム100における陸上サーバ5または船上サーバ4と通信を行い、船上の管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データ、複数種類の運転状態時系列データの各々に関連付けされた処理工程情報、および異常時アラームを受信する。また、通信部11は、表示装置20(船舶表示装置20a)と通信を行い、後述のように生成された異常対応用運転状態時系列データを送信する。また、通信部11は、表示装置20(船舶表示装置20a)からの各種情報を受信する。
【0018】
制御部14は、データ管理装置10の全体制御を行う。制御部14(および、後述する異常対応データ作成部17)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部14(および、後述する異常対応データ作成部17)の各種機能は、例えば記憶部15に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部14(および、後述する異常対応データ作成部17)の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0019】
記憶部15は、制御部14(および、後述する異常対応データ作成部17)により実行される所定のソフトウェア(プログラム)を記憶する。また、記憶部15は、船舶管理システム100から常時受信する、管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データ、複数種類の運転状態時系列データの各々に関連付けされた処理工程情報、および異常時アラームを記憶する。また、記憶部15は、後述するように異常対応データ作成部17によって生成される異常対応用運転状態時系列データを記憶する。後述するように異常対応用運転状態時系列データがWEBブラウザに対応する表示データである場合、記憶部15はWEBサーバとして機能する。この場合、管理装置10は、クラウドサーバ等の仮想サーバに構築されてもよい。また、記憶部15は、通信部11または操作部12から入力される情報を記憶してもよい。記憶部15は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
【0020】
異常対応データ作成部17は、受信されて記憶部15に記憶された管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データのうち、受信された異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データにおける異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データ(例えば、1分単位データ、1秒単位データ)を抽出する。このとき、異常対応データ作成部17は、受信された処理工程情報に基づいて、すなわち、異常時アラームの発生時点の処理工程情報を考慮して、異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データを抽出する。
【0021】
そして、異常対応データ作成部17は、抽出された異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを、異常時アラームと関連付けて、異常対応用運転状態時系列データとして生成する。また、異常対応データ作成部17は、抽出された異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを、異常時アラームおよび関連の処理工程情報と関連付けて、異常対応用運転状態時系列データとして生成する。例えば、これらの異常対応用運転状態時系列データは、WEBブラウザに対応する表示データである。
【0022】
図3は、図1に示す異常対応支援システムにおける表示装置の構成を示す図である。図3に示す表示装置20(船舶表示装置20a)は、例えば船上の管理対象機器3a,3bの異常対応を行う作業者(例えば、船舶乗員)のための表示装置であり、データ管理装置10によって生成された異常対応用運転状態時系列データを表示する。異常対応用運転状態時系列データがWEBブラウザに対応する表示データである場合、表示装置20(船舶表示装置20a)としては、PC、タブレット、スマートフォン等のWEBブラウザを実装した情報端末が挙げられる。表示装置20(船舶表示装置20a)は、通信部21と、操作部22と、制御部24と、記憶部25と、表示部28とを備える。
【0023】
通信部21は、データ管理装置10と通信を行い、管理対象機器3a,3bの異常対応用運転状態時系列データを受信する。また、通信部21は、データ管理装置10と通信を行い、作業者によって入力される各種情報を、データ管理装置10に送信する。通信部21は、例えば、船内LAN等の無線通信規格に準拠した通信インタフェースデバイスで構成される。
【0024】
操作部22は、船上の管理対象機器の異常対応を行う作業者(例えば船舶乗員)によって操作されることにより、情報を入力する操作部である。操作部22は、例えば、物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等、で構成される。
【0025】
制御部24は、表示装置20(船舶表示装置20a)の全体制御を行う。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部24の各種機能は、例えば記憶部25に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部24の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0026】
記憶部25は、制御部24により実行される所定のソフトウェア(プログラム)を記憶する。また、記憶部25は、受信された異常対応用運転状態時系列データを記憶してもよい。また、記憶部25は、通信部21または操作部22から入力される情報を記憶してもよい。記憶部25は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
【0027】
表示部28は、各種情報を表示する表示部である。表示部28は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成される。表示部28は、受信された異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データ(例えば、1分単位データ、1秒単位データ)を、異常時アラームとともに表示する。或いは、表示部28は、受信された異常対応用運転状態時系列データに含まれる運転状態時系列データ(例えば、1分単位データ、1秒単位データ)を、異常時アラームおよび関連の処理工程情報とともに表示する。例えば、表示装置20(船舶表示装置20a)は、WEBブラウザを用いて、表示データを表示する。
【0028】
また、表示装置20(陸上表示装置20b)は、例えば船上の管理対象機器3a,3bの管理を行う管理者(例えば、船舶管理会社の監督者)のための表示装置であり、データ管理装置10によって生成された管理情報、例えば上述した異常対応用運転状態時系列データの表示データ、を表示してもよい。管理情報がWEBブラウザに対応する表示データである場合、表示装置20(陸上表示装置20b)としては、上述した表示装置20(船舶表示装置20a)と同様の構成であればよく、PC、タブレット、スマートフォン等のWEBブラウザを実装した情報端末が挙げられる。
【0029】
これによれば、陸上表示装置20bにより、陸上の管理者(例えば、船舶管理会社の監督者)は、船舶表示装置20aの異常対応用運転状態時系列データと同じ画面(内容)を見ることができ、異常対応運転状態時系列データを共有できる。
これにより、陸上の管理者(例えば、船舶管理会社の監督者)は、異常対応用運転状態時系列データを船舶での作業者と同様に把握でき、作業者からの問い合わせ対応および異常対応の支援を効果的に行うことができ、また、異常対応のリモート監視に利用することもできる。
【0030】
また、表示装置20(陸上表示装置20b)は、例えば船上の管理対象機器3a,3bの管理を行う管理者(例えば、機器メーカの管理者)のための表示装置であり、データ管理装置10によって生成された管理情報、例えば上述した異常対応用運転状態時系列データの表示データ、を表示してもよい。管理情報がWEBブラウザに対応する表示データである場合、表示装置20(陸上表示装置20b)としては、上述した表示装置20(船舶表示装置20a)と同様の構成であればよく、PC、タブレット、スマートフォン等のWEBブラウザを実装した情報端末が挙げられる。
【0031】
これによれば、陸上表示装置20bにより、陸上の管理者(例えば、機器メーカの管理者)は、船舶表示装置20aの異常対応用運転状態時系列データと同じ画面(内容)を見ることができ、異常対応用運転状態時系列データを共有できる。
これにより、陸上の管理者(例えば、機器メーカの管理者)は、異常対応用運転状態時系列データを船舶での作業者と同様に把握でき、作業者からの問い合わせ対応および異常対応の支援を効果的に行うことができ、また、異常対応のリモート監視に利用することもできる。
【0032】
以下では、図4および図5を参照して、データ管理装置10および表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b)について詳細に説明する。図4は、表示装置による表示の一例、すなわちデータ管理装置による表示データの一例、を示す図である。図5は、表示装置によるリンク表示の一例であって図4に示す表示にリンクするリンク表示の一例、すなわちデータ管理装置によるリンク表示データの一例であって図4に示す表示データにリンクするリンク表示データの一例、を示す図である。
【0033】
図4に示す表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b)による表示の一例、すなわちデータ管理装置10による表示データの一例では、管理対象機器であるボイラ装置(蒸気ボイラ、補助ボイラ)の所定の運転状態時系列データ(1分単位データ)が、異常時アラームとともに表示されている。
【0034】
ここで、管理対象機器の異常時アラームの種類によって、異常対応用運転状態時系列データが生成される際に、参照すべき時系列データの種類が異なる。
【0035】
この点に関し、データ管理装置10における記憶部15は、複数種類の異常時アラームと、複数種類の異常時アラームの各々の異常対応に必要とされる複数種類の運転状態時系列データとが関連付けされた関連付け情報を予め記憶している。
【0036】
データ管理装置10における異常対応データ作成部17は、記憶部15に記憶された関連付け情報に基づいて、管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データのうち、異常時アラームと関連付けされた種類の運転状態時系列データを、異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データとする。異常対応データ作成部17は、この運転状態時系列データにおける異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを抽出し、抽出された運転状態時系列データを異常時アラームと関連付けて、異常対応用運転状態時系列データとして生成する。
【0037】
例えば、図4に示す表示の一例、すなわち表示データの一例では、蒸気ボイラ(補助ボイラ)の通常の運転状態を把握するための運転状態時系列データとして、蒸気圧(Steam pressure:実線)および燃料油温度(Fuel oil temperature:破線)の時系列データ(1分単位データ)が1時間(表示範囲)分表示されている。
図4の例では、燃焼時の燃料油温度は適正に維持され、燃焼により蒸気圧が維持されている運転状態であることがわかる。その後、異常アラーム発生(時点A)により燃焼が停止すると、異常アラームの発生時点A以降では、蒸気圧が緩やかに低下し、燃焼が停止することで燃料油温度が低下している。
【0038】
図4の例では、蒸気圧と燃料油温度を表示する例を示したが、Y軸の項目は変更および追加することができる。例えば燃料油流量を追加してもよい。また、X軸の項目は期間(時分)に限らない、X軸に燃料流量、Y軸に蒸気圧を設定し燃料流量に対する蒸気圧の散布図を表示してもよい。燃料流量と蒸気圧には一定の関係があることから、燃料流量と蒸気圧の散布図において一定の関係から外れる点の存在は、何らかの異常発生を示すことが考えられる。
【0039】
図4の例では、作業者(または陸上の管理者等)によりカーソルが異常時アラームの発生時点Aに合わせられると、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b)は、図5に示すようにリンク表示データを表示してもよい。
また、図4の例のように、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b)は、メンテナンス実施時点Mを表示してもよい。作業者(または陸上の管理者等)によりカーソルがメンテナンス実施時点Mに合わせられると、表示装置20は、メンテナンスの種類を表示してもよい。
【0040】
図5に示すように、表示データはリンク表示データを含み、表示装置はリンク表示データを表示してもよい。例えば、上述したように、図4において作業者(または陸上の管理者等)によりカーソルが異常時アラームの発生時刻のバルーンAに合わせられると、図5に示すリンク表示が表示される。図5に示す表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b)によるリンク表示の一例、すなわちデータ管理装置10によるリンク表示データの一例では、管理対象機器であるボイラ装置(蒸気ボイラ、補助ボイラ)の異常対応用運転状態時系列データに含まれる異常時運転状態時系列データ(1秒単位データ)が、異常時アラームおよび関連の処理工程情報とともに表示されている。
【0041】
ここで、上述したように、管理対象機器の異常時アラームの種類によって、参照すべき時系列データの種類が異なる。また、管理対象機器の異常時アラームの種類が同一であっても、処理工程の種類によって異常発生原因が異なることがある。
【0042】
この点に関し、データ管理装置10における記憶部15は、複数種類の異常時アラームと複数種類の処理工程情報との複数種類の組合せと、複数種類の組合せの各々の異常対応に必要とされる複数種類の運転状態時系列データとが関連付けされた関連付け情報を予め記憶している。
【0043】
データ管理装置10における異常対応データ作成部17は、記憶部15に記憶された関連付け情報に基づいて、管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データのうち、異常時アラームとこの異常時アラーム発生時点の処理工程情報との組合せに関連付けされた種類の運転状態時系列データを、処理工程情報を考慮した異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データとする。異常対応データ作成部17は、この運転状態時系列データにおける異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを抽出し、抽出された運転状態時系列データを異常時アラームと関連付けて、異常対応用運転状態時系列データとして生成する。
【0044】
図5の例では、Combustion処理工程情報におけるMiss fireアラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データとして、Air damper position [×0.1%](エアダンパ開度)、Fuel oil FCV position [×0.1%](燃料油流量調整弁開度)、combustion rate [×0.1%](燃焼率)、Fuel oil return line pressure[×0.001MPa](燃料戻りライン圧)の運転状態時系列データが、アラーム種類(Miss fire)と処理工程情報(Pre-Ignition、Ignition 、Combustion、Post-purge)とともに表示されている。また、アラーム発生時点より60秒前から30秒後の時系列データを図4の表示よりも短い時間間隔(例えば、1秒単位データ)で表示されている。
【0045】
図5の例では、Combustion工程のAir damper positionがcombustion rate [×0.1%](燃焼率の指示値)に対応して増加していないことが明らであり、エアダンパ駆動系の異常が失火の原因となったことが推測される。他の運転状態時系列データに異常が認められる場合、例えば、Fuel oil FCV positionの異常は、燃料流調調整弁に関する異常を表しており、Fuel oil FCV position(いわゆる開度)が正常で、Fuel oil return line pressureが正常より低い場合は、燃料油ラインのストレーナ閉塞或いは燃料油漏れが推測される。図4はCombustion工程の場合を示したが、Ignition工程で失火のアラーム発生があった場合、火炎検知がされたタイミングを把握するためにFlame eye(火炎検知器)の運転状態時系列データを異常対応運転状態時系列データに付加し、火炎検知状態の情報を得ることが必要となる。Flame eyeの火炎検知情報は、運転時系列データに代えてカーソルで指定された時刻の火炎検知の「ON」「OFF」を表示してもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の異常対応支援システム1によれば、管理対象機器3a,3bの異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データにおける異常時アラームの発生時点から所定時間前後までの運転状態時系列データを生成して表示する。これにより、管理対象機器3a,3bの異常対応を行う作業者(または陸上の管理者)は、異常時アラームの発生時点の前後の時系列データの詳細な変化を参照して、異常の原因の調査および異常対応を効果的かつ速やかに実施することができる。
【0047】
例えば、優先度の高い(選択された)情報を表示することで作業者(または陸上の管理者等)の確認及び外部(監督、機器メーカ)との情報交換を的確に行うことへと誘導することができる。
また、例えば、適切な情報(測定項目)を選択し、状況確認、原因究明を行うことができる。
また、例えば、異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データが表示されるので、緊急事態に対応できる。
【0048】
ここで、管理対象機器の異常時アラームの種類によって、参照すべき時系列データの種類が異なる。この点に関し、この異常対応支援システムによれば、管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データの中から、異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データを、異常時アラームと関連付けて自動で適切に生成して表示する。これにより、管理対象機器の異常対応を行う作業者(または陸上の管理者等)は、適切な時系列データから、異常の原因の調査および異常対応をより効果的かつ速やかに実施することができる。
【0049】
また、管理対象機器の異常時アラームの種類が同一であっても、処理工程の種類によって異常発生原因が異なることがある。この点に関し、この異常対応支援システムによれば、管理対象機器3a,3bの複数種類の運転状態時系列データの中から、受信された処理工程情報を考慮して、異常時アラームの異常対応に必要とされる種類の運転状態時系列データを、異常時アラームおよび処理工程情報と関連付けて自動で適切に生成して表示する。これにより、管理対象機器の異常対応を行う作業者(または陸上の管理者等)は、適切な時系列データから、異常の原因の調査および異常対応をより効果的かつ速やかに実施することができる。
【0050】
例えば、管理対象機器が航海中の船舶に設けられていると、管理対象機器にトラブルが発生した場合に、機器メーカのメンテナンス作業者または熟練作業者が直接の判断および対応を行うことが難しく、限られた現場の作業者(例えば、船舶乗員)が判断および対応を行う必要がある。本実施形態の特徴は、このように船舶に設けられた管理対象機器の異常対応支援を行う異常対応支援システムにおいて特に効果が高い。
【0051】
また、例えば、船舶管理会社は、船主の委託を受け船舶管理業務を事業とし、日常の船の運航に関わる荷物の運び方や航海のスピード等について意見交換を行い、また、船船の機械・機関に関わるメンテナンスやトラブル対応・修理、また整備計画の立案を行うことがある。本システムによれば、船舶管理会社の陸上の監督者は、船上の作業者と異常発生およびその対応に必要となる情報を共有し、確実かつ速やかに異常原因を把握し、船上の作業員に対して適切かつ効率的な作業指示を行うことができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、データ管理装置10における異常対応データ作成部17は、異常対応用運転状態時系列データとして、WEBブラウザに対応する表示データを生成する形態を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、データ管理装置10における異常対応データ作成部17は種々の異常対応用運転状態時系列データを生成し、表示装置が異常対応用運転状態時系列データに基づいて種々の表示を行う種々の形態にも適用可能である。
【0053】
また、上述した実施形態では、船舶に設けられた管理対象機器の異常対応支援を行う異常対応支援システムについて説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば工場に設けられた管理対象機器の異常対応支援を行う異常対応支援システムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 異常対応支援システム
3 船舶
3a,3b 機器(管理対象機器)
4 船上サーバ
5 陸上サーバ
10 データ管理装置
11 通信部
14 制御部
15 記憶部
17 異常対応データ作成部
20,20a 表示装置(船舶表示装置)
20b 陸上表示装置
21 通信部
22 操作部
24 制御部
25 記憶部
28 表示部
100 船舶管理システム
図1
図2
図3
図4
図5