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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050227
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】決済処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/00 20120101AFI20240403BHJP
【FI】
G06Q20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156951
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】595095135
【氏名又は名称】GMOペイメントゲートウェイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】長澤 亮佑
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA22
5L055AA22
(57)【要約】
【課題】カード会社のシステムに対する与信照会リクエストが集中することを避けることができる決済処理システムを提供する。
【解決手段】加盟店からの請求データは、利用者のカードに対してあらかじめ付与されたトークンを含む。トークンは決済処理システム100内でカード番号に変換可能である。決済情報記憶部106は、利用者により登録されたカード毎に、(1)カードに付与されたトークン、(2)決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグ、を記憶する。決済処理システムは、(A)加盟店システムからの請求データに含まれるトークンに対応する与信要否フラグを参照し、(B)当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要である場合、請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、(C)前記カード番号を用いて与信照会を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を行う決済処理システムであって、
前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンとを含み、
前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能であり、
前記決済処理システムは、プロセッサと、決済情報記憶部とを備え、
前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、
当該カードに付与されたトークンと、
当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、
を対応付けて記憶し、
前記プロセッサは、
前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれるトークンに対応付けて前記決済情報記憶部に記憶されている与信要否フラグを参照し、
参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、
前記カード番号を用いて与信照会を実行する、
決済処理システム。
【請求項2】
加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を行う決済処理システムであって、
前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンと、当該利用者のカードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグとを含み、
前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能であり、
前記決済処理システムは、プロセッサと、決済情報記憶部とを備え、
前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、
当該カードに付与されたトークンと、
当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、
を対応付けて記憶し、
前記プロセッサは、
前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれる与信要否フラグを参照し、
参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、
前記カード番号を用いて与信照会を実行する、
決済処理システム。
【請求項3】
前記決済情報記憶部が、利用者のカードのカード番号とトークンとを対応付けて記憶している、請求項1または2に記載の決済処理システム。
【請求項4】
前記トークンをカード番号に変換する処理は、前記トークンを所定のアルゴリズムで復号することを含む、請求項1または2に記載の決済処理システム。
【請求項5】
加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を、決済処理システムのコンピュータのプロセッサに実行させる決済処理プログラムであって、
前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンとを含み、
前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能であり、
前記決済処理システムは、前記プロセッサと、決済情報記憶部とを備え、
前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、
当該カードに付与されたトークンと、
当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、
を対応付けて記憶し、
前記決済処理プログラムは、前記プロセッサに、
前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれるトークンに対応付けて前記決済情報記憶部に記憶されている与信要否フラグを参照し、
参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、
前記カード番号を用いて与信照会を実行する、
処理を実行させる命令を含む、決済処理プログラム。
【請求項6】
加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を、決済処理システムのコンピュータのプロセッサに実行させる決済処理プログラムであって、
前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンと、当該利用者のカードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグとを含み、
前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能であり、
前記決済処理システムは、前記プロセッサと、決済情報記憶部とを備え、
前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、
当該カードに付与されたトークンと、
当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、
を対応付けて記憶し、
前記決済処理プログラムは、前記プロセッサに、
前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれる与信要否フラグを参照し、
参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、
前記カード番号を用いて与信照会を実行する、
処理を実行させる命令を含む、決済処理プログラム。
【請求項7】
前記決済情報記憶部に、利用者のカードのカード番号とトークンとを対応付けて記憶させる命令をさらに含む、請求項5または6に記載の決済処理プログラム。
【請求項8】
前記トークンをカード番号に変換する処理は、前記トークンを所定のアルゴリズムで復号することを含む、請求項5または6に記載の決済処理プログラム。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の決済処理プログラムを記録したプログラム記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードによる売上の決済を行う決済処理システムおよびそのシステムを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サービスや商品を継続的にまたは定期的に利用する消費者が、当該サービスや商品の代金の決済をクレジットカードにより行うことは、従来一般的に行われている。この場合、サービスや商品を提供する業者(クレジットカードの加盟店)は、消費者がユーザ登録をする際に、カード情報(カード番号、カード名義人氏名、有効期限等)を入力させ、カード会社に対して与信照会を行った後に、利用者登録を承認する。利用者登録が承認された後は、消費者が利用したサービスや商品の代金は、そのカード情報に基づいて定期的に(例えば毎月)決済される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-312677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
なお、近年は、加盟店とカード会社との間に決済処理を支援するシステム(決済処理システム)が介入することがある。決済処理システムは、加盟店からの請求データをとりまとめてカード会社との間で決済を処理するが、加盟店に利用者登録をしている消費者が決済に用いるカードは様々である。一方、カード会社によっては、定期的な決済に際して、都度の与信照会を要求する会社もあるが、多数の消費者の決済に関する与信照会リクエストが集中することは、決済処理システムおよびカード会社のシステムの両方にとって負荷が大きくなるため避けたい事象である。
【0005】
そこで、上記の課題を解決するために、本発明は、加盟店システムと決済処理システムとの間で、決済の都度の与信照会が必要か否かの情報を適切に共有することにより、カード会社のシステムに対する与信照会リクエストが集中することを避けることができる決済処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る決済処理システムは、加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を行う決済処理システムである。前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンとを含む。前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能である。前記決済処理システムは、プロセッサと、決済情報記憶部とを備える。前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、(1)当該カードに付与されたトークンと、(2)当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、を対応付けて記憶する。前記プロセッサは、(A)前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれるトークンに対応付けて前記決済情報記憶部に記憶されている与信要否フラグを参照し、(B)参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、(C)前記カード番号を用いて与信照会を実行する。
【0007】
本発明の他の実施形態に係る決済処理システムは、加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を行う決済処理システムである。前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンと、当該利用者のカードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグとを含む。前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能である。前記決済処理システムは、プロセッサと、決済情報記憶部とを備える。前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、(1)当該カードに付与されたトークンと、(2)当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、を対応付けて記憶している。前記プロセッサは、(A)前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれる与信要否フラグを参照し、(B)参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、(C)前記カード番号を用いて与信照会を実行する。
【発明の効果】
【0008】
上記の決済処理システムによれば、加盟店システムと決済処理システムとの間で、決済の都度の与信照会が必要か否かの情報を適切に共有することにより、カード会社のシステムに対する与信照会リクエストが集中することを避けることができる決済処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態にかかる決済処理システムの機能的な概略構成を示すブロック図である。
図2】加盟店への利用者申込時の処理を示す模式図である。
図3】第1の実施形態にかかる決済処理システムの利用者登録時の動作の概略を示すフローチャートである。
図4】利用者登録がなされた後に記憶されているデータの例を示す模式図である。
図5】第1の実施形態にかかる決済処理システムの決済時の処理を示す模式図である。
図6】第1の実施形態にかかる決済処理システムの決済時の動作の概略を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態において利用者登録がなされた後に記憶されているデータの例を示す模式図である。
図8】第2の実施形態にかかる決済処理システムの利用者登録時の処理を示す模式図である。
図9】第2の実施形態にかかる決済処理システムの利用者登録時の動作の概略を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態にかかる決済処理システムの決済時の処理を示す模式図である。
図11】第2の実施形態にかかる決済処理システムの決済時の動作の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、第1の実施形態にかかる決済処理システム100の機能的な概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、決済処理システム100は、加盟店システム200およびカード会社システム300と、通信ネットワーク(図示せず)を介して接続されている。この通信ネットワークは専用線であることが望ましい。なお、図1においては加盟店システム200を1つのみ示しているが、決済処理システム100に対して複数の加盟店システム200を接続可能である。また、図1においてはカード会社システム300も1つのみ示しているが、決済処理システム100に対して複数のカード会社システム300が接続される。
【0012】
加盟店システム200は、サービスや商品を提供する業者がそれぞれ有するシステムであり、1台または複数台のコンピュータおよび1台または複数台の記憶装置により実現される。加盟店システム200のコンピュータは、サーバであっても良いし、パーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータ、あるいはスマートフォン等であっても良い。また、加盟店システム200は、加盟店の店舗内に設置された(オンプレミス型)システムであっても良いし、クラウド環境に構築されたシステムであっても良く、そのハードウエア構成は任意である。記憶装置はコンピュータに内蔵されたものであっても良いし、コンピュータからアクセス可能な任意の場所に設置された記憶装置として実現しても良い。
【0013】
加盟店システム200は、利用者登録処理部201、請求処理部202、および利用者情報記憶部203を備えている。なお、利用者登録処理部201、請求処理部202は、加盟店システム200のコンピュータが所定のプログラムを実行することによって実現される機能的ブロックである。利用者情報記憶部203は、コンピュータ内部の記憶装置、またはコンピュータがアクセス可能な外部の記憶装置として実現される。利用者登録処理部201は、加盟店のサービスを利用したり商品を購入したりする消費者を、利用者として登録する処理を行う。なお、加盟店が提供するサービスまたは商品としては、例えば、書籍や動画または音楽等の各種コンテンツの配信サービス、ソフトウエアライセンス、電話やデータ通信サービス、食料品や日用品等の定期購入品、学習教材や情報商材の提供、様々な組織(会)の運営、ガス・水道・電気等のインフラサービス、有料テレビ放送、各種保険の提供等が含まれるが、これらに限定されない。加盟店システム200に利用者として登録されるためには、消費者は、氏名、住所、およびメールアドレス等の連絡先に関する情報の他に、利用代金の決済に用いるクレジットカードの情報を登録する必要がある。利用者登録の処理内容については後で説明する。請求処理部202は、所定の締め日(例えば毎月所定日)に、前回の締め日以降に利用されたサービス等に応じて利用者に請求する金額を、利用者毎に計算する。
【0014】
決済処理システム100は、加盟店システム200とカード会社システム300との間に介在し、クレジットカードの決済に関する総合的な支援処理を行う。決済処理システム100は、1台または複数台のコンピュータおよび1台または複数台の記憶装置により実現される。決済処理システム100のコンピュータも、そのハードウエア構成は任意である。決済処理システム100の記憶装置も、コンピュータに内蔵されたものであっても良いし、コンピュータからアクセス可能な任意の場所に設置された記憶装置として実現しても良い。
【0015】
図1に示すように、決済処理システム100は、登録時与信照会部101、トークン発行処理部102、BIN判定処理部103、与信要否判定部104、決済時与信照会部105、決済情報記憶部106を備える。これらのブロックは、決済処理システム100のコンピュータが所定のプログラムを実行することによって実現される機能的ブロックである。
【0016】
登録時与信照会部101は、加盟店への利用者登録の申し込みがあった際に、決済に用いられるクレジットカードの与信照会を行う。トークン発行処理部102は、加盟店システム200が請求処理時に使用するトークンを発行する。トークンの発行処理については後に説明する。BIN判定処理部103は、加盟店への利用者登録の申し込みがあった際に、決済に用いられるクレジットカードのBINコードに基づいて、決済処理時に都度の与信照会が必要か否かを判定する。与信要否判定部104は、決済処理時に加盟店システム200から送られるトークンに基づいて利用者のカード番号を特定し、決済時の与信照会が必要か否かを判定する。決済時与信照会部105は、決済処理時に与信照会が必要と判断された場合に与信照会を実行する。決済情報記憶部106は、決済時に必要なデータを利用者毎に記憶する。
【0017】
ここで、図2および図3を参照しながら、加盟店への利用者登録があった際の処理について説明する。消費者は、加盟店に利用者登録を申し込む場合、加盟店システム200に対して、氏名や連絡先に関する情報の他に、利用代金の決済に用いるクレジットカードの情報を入力する。なお、ここで、これらの情報を消費者が自ら入力する代わりに、加盟店システム200以外のシステムに登録済みの情報(例えば、他システムでのアカウント情報等)を援用することの承諾を、消費者が加盟店システム200へ与えるようにしても良い。加盟店システム200は、消費者から申込入力を受け付けると、クレジットカードに関する情報(カード情報)を含む利用者データを決済処理システム100へ送信する。このカード情報には、クレジットカード番号、カード所有者の氏名、カードの有効期限の他に、必要に応じてセキュリティコード(CVCコード)が含まれる。決済処理システム100は、受け取った利用者データを決済情報記憶部106へ記憶する。
【0018】
決済処理システム100は、加盟店システム200からカード情報を受け取ると(図3のステップS1)、登録時与信照会部101がカード会社システム300へカード情報を送り、与信照会を実行する(ステップS2)。カード会社システム300では、与信処理部301が、カード情報に基づいて、カードが有効であるか否か等のチェックを行い、与信審査の結果を決済処理システム100へ返す。ここで、与信審査に不合格であった場合は、登録時与信照会部101はその旨を加盟店システム200へ通知する。
【0019】
与信審査が問題なく終了した場合は、決済処理システム100のトークン発行処理部102が、当該利用者に固有に付与されるトークンを生成する(ステップS3)。トークンは任意のデータ長を有するデジタルデータであり、加盟店システム200に登録された利用者に一対一に対応することを条件として、その生成方法は任意である。ただし、セキュリティの観点から、トークンは、決済処理システム100の外部でトークンのみから利用者個人や利用者カード番号を特定することは不可能なデータとして生成されることが望ましい。例えば、利用者登録の都度に乱数を発生させ、既に発行されたトークンと重複しないことを条件にそれを用いても良い。また、加盟店システム200から受け取った利用者データの一部または全部に基づき、ハッシュ関数や暗号化アルゴリズム等を用いてトークンを生成しても良い。生成されたトークンは、決済処理システム100の決済情報記憶部106に記憶されると共に、加盟店システム200へ送られ、利用者情報記憶部203に記憶される(ステップS4)。
【0020】
また、決済処理システム100のBIN判定処理部103は、利用者が決済に用いるクレジットカードのカード番号に含まれるBINコード(発行者識別コード)を参照し、そのクレジットカードの発行会社が決済の都度の与信照会を必要とするか否かを判定する(ステップS5)。クレジットカードの発行会社の中には、決済の都度の与信照会を必要とする発行会社と、決済の都度の与信照会は必要としない発行会社とが存在する。BIN判定処理部103は、利用者が決済に用いるクレジットカードが、決済の都度の与信照会を必要とする発行会社のBINコードを有するものである場合、利用者情報記憶部203において、その利用者のカード情報に与信要否フラグ「1」を付与する。また、BIN判定処理部103は、利用者が決済に用いるクレジットカードが、決済の都度の与信照会を必要としない発行会社のBINコードを有するものである場合、利用者情報記憶部203において、その利用者のカード情報に与信要否フラグ「0」を付与する。なお、与信要否フラグの値は上記の例に限定されず任意である。
【0021】
図4は、利用者登録がなされた後に、加盟店システム200における利用者情報記憶部203と、決済処理システム100における決済情報記憶部106とのそれぞれに記憶されているデータの例を示す模式図である。加盟店システム200における利用者情報記憶部203には、利用者情報として、例えば、加盟店システム200内で各利用者に固有に付与される利用者IDと、その利用者に対して発行されたトークンとが対応付けられた態様で記憶されている。なお、利用者情報記憶部203には、利用者に関して、図4に示した利用者IDおよびトークン以外の情報が記憶されていても良い。決済処理システム100における決済情報記憶部106には、利用者のカード毎に、カード番号と、発行されたトークンと、与信要否フラグとが対応付けられた態様で記憶されている。なお、決済情報記憶部106には、図4に示した以外の情報が記憶されていても良い。ここに示した例では、カード番号の先頭6桁のBINコードが「123456」であるカードについては決済の都度の与信が必要とされ、BINコードが「123789」であるカードについては決済の都度の与信は必要とされていない。なお、図4に示したデータはあくまで一例であって、それぞれのデータの桁数等はここに示された例に限定されない。
【0022】
次に、図5および図6を参照しながら、加盟店から送られる請求に基づいて行われる決済処理について説明する。
【0023】
加盟店システム200の請求処理部202は、例えば毎月の締め日に、前回の締め日以降の利用額を集計することにより、利用者毎の請求金額を決定する。請求処理部202は、利用者毎の請求金額を含む請求データを決済処理システム100へ送信する。この請求データには、利用者毎に、請求金額と共に利用者を特定するためのトークンが含まれている。
【0024】
決済処理システム100は、請求データを受け取ると(図6のステップS11)、請求データの1件ずつ(すなわち1利用者の請求データ)について、与信要否判定部105が決済情報記憶部106を参照し、その請求データに含まれるトークンに対応付けて記憶されている与信要否フラグを取得する(ステップS12)。ここで取得された与信要否フラグが「1」であれば(ステップ13でYes)、当該請求データについては決済の都度の与信照会が必要である。この場合、与信要否判定部105は、請求データに含まれるトークンに対応するカード番号を決済情報記憶部106から読み出し、読み出したカード番号と請求金額とを決済時与信照会部105へ送り、与信照会の実行を指示する(ステップS14)。決済時与信照会部105は、与信照会の実行指示を受け取ると、カード会社システム300へカード番号と請求金額とを送信し、与信照会を行う。与信照会が正常に終了すると、決済処理システム100は請求データの決済処理を行う(ステップS15)。なお、決済時与信照会部105からカード会社システム300への与信照会は、複数の利用者の請求データをまとめたバッチ処理で行っても良い。
【0025】
以上のように、本実施形態の決済処理システム100によれば、定期的な決済の際に、都度の与信照会が必要とされているカードについてのみカード会社システム300に対して与信照会を実行する。これにより、決済時にカード会社システム300に対して与信照会リクエストが多数発生することが回避され、決済処理システム100およびカード会社システム300の両方において処理負荷を軽減することが可能となる。また、加盟店システム200ではカード情報ではなくトークンを保持すると共に、加盟店システム200から決済処理システム100へ送信する請求データ内には利用者のカード情報が含まれないので、カード情報の漏洩の無い信頼性の高いシステムを構築することができる。
【0026】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態にかかる決済処理システムについて、以下に説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部分については同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0027】
第2の実施形態にかかる決済処理システムの機能的な構成は、第1の実施形態にかかる決済処理システム100と同様である。ただし、図4図7とを比較することからわかるように、第2の実施形態(図7)では、与信要否フラグが、決済処理システム100の決済情報記憶部106ではなく、加盟店システム200の利用者情報記憶部203に保持されている点において、第1の実施形態と異なる。
【0028】
ここで、第2の実施形態における利用者登録の際の処理を、図8および図9を参照しながら説明する。第2の実施形態の決済処理システム100は、加盟店システム200からカード情報を受け取ると(図9のステップS31)、登録時与信照会部101がカード会社システム300へカード情報を送り、与信照会を実行する(ステップS32)。カード会社システム300では、与信処理部301が、カード情報に基づいて、カードが有効であるか否か等のチェックを行い、与信審査の結果を決済処理システム100へ返す。ここで、与信審査に不合格であった場合は、登録時与信照会部101はその旨を加盟店システム200へ通知する。
【0029】
与信審査が問題なく終了した場合は、決済処理システム100のトークン発行処理部102が、当該利用者に固有に付与されるトークンを生成する(ステップS33)。生成されたトークンは、決済処理システム100の決済情報記憶部106に記憶される。
【0030】
次に、決済処理システム100のBIN判定処理部103は、利用者が決済に用いるクレジットカードのカード番号に含まれるBINコード(発行者識別コード)を参照し、そのクレジットカードの発行会社が決済の都度の与信照会を必要とするか否かを判定する(ステップS34)。BIN判定処理部103は、利用者が決済に用いるクレジットカードが、決済の都度の与信照会を必要とする発行会社のBINコードを有するものである場合は、与信要否フラグ「1」を生成する。利用者が決済に用いるクレジットカードが、決済の都度の与信照会を必要としない発行会社のBINコードを有するものである場合は、与信要否フラグ「0」を生成する。
【0031】
決済処理システム100は、ステップS33で生成されたトークンと、ステップS34で決定された与信要否フラグとを対応付けて、加盟店システム200へ送信する(ステップS35)。加盟店システム200では、決済処理システム100から送信されたトークンと与信要否フラグとを対応付けて、利用者情報記憶部203に記憶する(図7および図8参照)。
【0032】
次に、図10および図11を参照しながら、加盟店から送られる請求に基づいて行われる決済処理について説明する。
【0033】
加盟店システム200の請求処理部202は、例えば毎月の締め日に、前回の締め日以降の利用額を集計することにより、利用者毎の請求金額を決定する。請求処理部202は、利用者毎の請求金額を含む請求データを決済処理システム100へ送信する。第2の実施形態の場合、請求データには、利用者毎に、請求金額と共に利用者を特定するためのトークンと与信要否フラグとが含まれている(図10参照)。
【0034】
決済処理システム100は、請求データを受け取ると(図11のステップS41)、与信要否判定部105が、請求データの1件ずつ(すなわち1利用者の請求データ)について、請求データに含まれる与信要否フラグを参照する(ステップS42)。ここで与信要否フラグが「1」であれば(ステップ43でYes)、当該請求データについては決済の都度の与信照会が必要である。この場合、与信要否判定部105は、請求データに含まれるトークンに対応するカード番号を決済情報記憶部106から読み出し、読み出したカード番号と請求金額とを決済時与信照会部105へ送り、与信照会の実行を指示する(ステップS44)。決済時与信照会部105は、与信照会の実行指示を受け取ると、カード会社システム300へカード番号と請求金額とを送信し、与信照会を行う。与信照会が正常に終了すると、決済処理システム100は請求データの決済処理を行う(ステップS45)。なお、決済時与信照会部105からカード会社システム300への与信照会は、複数の利用者の請求データをまとめたバッチ処理で行っても良い。
【0035】
以上のように、第2の実施形態の決済処理システム100においても、定期的な決済の際に、都度の与信照会が必要とされているカードについてのみカード会社システム300に対して与信照会を実行する。これにより、決済時にカード会社システム300に対して与信照会リクエストが多数発生することが回避され、決済処理システム100およびカード会社システム300の両方において処理負荷を軽減することが可能となる。また、加盟店システム200ではカード情報ではなくトークンを保持すると共に、加盟店システム200から決済処理システム100へ送信する請求データ内には利用者のカード情報が含まれないので、カード情報の漏洩の無い信頼性の高いシステムを構築することができる。
【0036】
[変形例]
上記の実施形態に例示した具体例は、あくまでも一例であって、本発明の実施形態をこれに限定する趣旨ではない。
【0037】
例えば、上記の実施形態においては、カード番号がトークンと対応付けられて決済情報記憶部106に保持されている態様を例示した。しかし、カード番号に基づいて所定のアルゴリズムでトークンを生成し、生成されたトークンから可逆的にカード番号を復号できる場合は、カード番号を記憶部に保持しておく必要はない。
【0038】
上記の実施形態においては、本発明の一例である決済処理システム100を、1台または複数台のコンピュータおよびその周辺装置により、すなわちハードウエアとして実施する例を説明した。しかし、本発明は、決済処理システム100の機能を1台または複数台のコンピュータ等に実行させるためのプログラムまたはそのプログラムを記憶した記録媒体としても、実施することができる。
【0039】
なお、本発明は以下のように説明することもできる。
【0040】
[第1の構成]
第1の構成に係る決済処理システムは、加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を行う決済処理システムである。前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンとを含む。前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能である。前記決済処理システムは、プロセッサと、決済情報記憶部とを備える。前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、(1)当該カードに付与されたトークンと、(2)当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、を対応付けて記憶する。前記プロセッサは、(A)前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれるトークンに対応付けて前記決済情報記憶部に記憶されている与信要否フラグを参照し、(B)参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、(C)前記カード番号を用いて与信照会を実行する。
【0041】
この構成によれば、定期的な決済の際に都度の与信照会が必要とされているカードについてのみ、カード会社システムに対して与信照会が実行される。これにより、決済時にカード会社システムに対して与信照会リクエストが多数発生することが回避され、決済処理システムおよびカード会社のシステムの両方において処理負荷を軽減することが可能となる。また、加盟店ではカード情報ではなくトークンを保持すると共に、加盟店から決済処理システムへ送信する請求データ内には利用者のカード情報が含まれないので、カード情報の漏洩の無い信頼性の高いシステムを構築することができる。
【0042】
[第2の構成]
第2の構成に係る決済処理システムは、加盟店の利用者に対する請求データを加盟店システムから受け取り、前記利用者があらかじめ登録したカードによる決済処理を行う決済処理システムである。前記請求データは、前記利用者に対する請求金額と、当該利用者の前記カードに対してあらかじめ付与されたトークンと、当該利用者のカードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグとを含む。前記トークンは、前記カードのカード番号を含まず、前記決済処理システム内で前記カード番号に変換可能である。前記決済処理システムは、プロセッサと、決済情報記憶部とを備える。前記決済情報記憶部は、利用者により登録されたカード毎に、(1)当該カードに付与されたトークンと、(2)当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要か否かを表す与信要否フラグと、を対応付けて記憶している。前記プロセッサは、(A)前記加盟店システムから前記請求データを受け取り、受け取った請求データに含まれる与信要否フラグを参照し、(B)参照された与信要否フラグが、当該カードについて決済処理の都度の与信照会が必要であることを表している場合、受け取った請求データに含まれるトークンをカード番号に変換し、(C)前記カード番号を用いて与信照会を実行する。
【0043】
この第2の構成によっても、定期的な決済の際に都度の与信照会が必要とされているカードについてのみ、カード会社システムに対して与信照会が実行される。これにより、決済時にカード会社システムに対して与信照会リクエストが多数発生することが回避され、決済処理システムおよびカード会社のシステムの両方において処理負荷を軽減することが可能となる。また、加盟店ではカード情報ではなくトークンを保持すると共に、加盟店から決済処理システムへ送信する請求データ内には利用者のカード情報が含まれないので、カード情報の漏洩の無い信頼性の高いシステムを構築することができる。
【0044】
ここに開示する発明は、決済処理システムのコンピュータのプロセッサで実行されるプログラム、または、そのプログラムを記録した記録媒体としても実施可能である。
【符号の説明】
【0045】
100:決済処理システム、101:登録時与信照会部、102:トークン発行処理部、103:BIN判定処理部、104:与信要否判定部、105:決済時与信照会部、106:決済情報記憶部、200:加盟店システム、201:利用者登録処理部、202:請求処理部、203:利用者情報記憶部、300:カード会社システム、301:与信処理部
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11