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特開2024-50230コンテンツ補正装置及びコンテンツ補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050230
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】コンテンツ補正装置及びコンテンツ補正方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240403BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20240403BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06F3/04815
G09B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156959
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴之
(72)【発明者】
【氏名】勝又 大介
(72)【発明者】
【氏名】加畑 亮一
(72)【発明者】
【氏名】成田 賀仁
(72)【発明者】
【氏名】菊地 克朗
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA09
5B050EA27
5B050FA08
5B050FA13
5B050FA15
5B050FA16
5E555AA04
5E555AA27
5E555AA76
5E555AA78
5E555AA79
5E555BA38
5E555BA83
5E555BB38
5E555BC04
5E555BE16
5E555BE17
5E555CB65
5E555CC22
5E555CC27
5E555DA08
5E555DB53
5E555DC24
5E555DC43
5E555EA11
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2DベースのコンテンツのVRコンテンツ化に際し、VR酔い回避及びコスト低減を図るコンテンツ補正装置及びコンテンツ補正方法を提供する。
【解決手段】コンテンツ補正装置がネットワークを介して、複数のユーザ端末と通信可能に接続されているコンテンツ補正システムにおいて、コンテンツ補正装置100は、2次元環境で表示するコンテンツに含まれるオブジェクトの3DCGデータを保持する記憶部101と、オブジェクトの実サイズを算定する測定部1021と、コンテンツの表示時における視点移動処理を解析する処理部1022と、コンテンツをVRコンテンツに変換する生成部1023を備える。オブジェクトの実サイズがユーザの身体サイズよりも大きい場合、生成部1023が、オブジェクトの3DCGデータをVRコンテンツ中のオブジェクトである回転操作用のテーブル上に配置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元環境で表示するコンテンツに含まれるオブジェクトの3DCGデータを保持する記憶部と、前記オブジェクトの実サイズを前記3DCGデータに基づき算定する測定部と、前記コンテンツの表示時における視点移動処理を解析する処理部と、前記コンテンツをVRコンテンツに変換する生成部とを備え、
前記測定部により算定した前記オブジェクトの実サイズが、予め情報を保持する当該コンテンツのユーザの身体サイズよりも大きい場合、前記生成部は、前記オブジェクトの3DCGデータをVRコンテンツ中のオブジェクトである回転操作用のテーブル上に配置するものである、
ことを特徴とするコンテンツ補正装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも大きい場合、前記VRコンテンツ中において前記オブジェクトの3DCGデータを前記テーブル上に配置するとともに、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ補正装置。
【請求項3】
前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも小さい場合、前記生成部は、VRコンテンツ中における当該オブジェクトに関する視点移動は付加せず、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ補正装置。
【請求項4】
情報処理装置が、
2次元環境で表示するコンテンツに含まれるオブジェクトの3DCGデータを保持する記憶部と、前記オブジェクトの実サイズを前記3DCGデータに基づき算定する測定部と、前記コンテンツの表示時における視点移動処理を解析する処理部と、前記コンテンツをVRコンテンツに変換する生成部とを備え、
前記測定部により算定した前記オブジェクトの実サイズが、予め情報を保持する当該コンテンツのユーザの身体サイズよりも大きい場合、前記生成部において、前記オブジェクトの3DCGデータをVRコンテンツ中のオブジェクトである回転操作用のテーブル上に配置する、
ことを特徴とするコンテンツ補正方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、
前記生成部において、前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも大きい場合、前記VRコンテンツ中において前記オブジェクトの3DCGデータを前記テーブル上に配置するとともに、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ補正方法。
【請求項6】
前記情報処理装置が、
前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも小さい場合、前記生成部において、VRコンテンツ中における当該オブジェクトに関する視点移動は付加せず、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ補正装置及びコンテンツ補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種機器や構造物といった様々な事物の操作や組み立て、分解、点検等の分野で、3DCGを用いたシミュレーション学習の技術が進化している。当該技術に基づく学習用コンテンツを適宜に利用することで、ユーザが対象機器等を実際に手にせずとも、多岐に亘る手順や注意事項等を理解しやすくなる。
【0003】
こうしたコンテンツに関する従来技術としては、VRコンテンツの作成を容易にする管理システムの技術(特許文献1参照)などが提案されている。
【0004】
この技術は、特定フォーマットのオブジェクトデータを、前記特定フォーマットとは異なる共通フォーマットのオブジェクトデータに変換して、前記共通フォーマットのオブジェクトデータと前記共通フォーマットのオブジェクトデータの仮想空間における状態が保存された設定ファイルとを含むVR(Virtual Reality)コンテンツを管理するサーバと
、前記特定フォーマットのオブジェクトデータを作成し、前記サーバにアップロードするオブジェクト作成装置と、前記サーバからダウンロードされた前記共通フォーマットのオブジェクトデータ、および当該オブジェクトデータの仮想空間における状態が保存された設定ファイルを含むVRコンテンツを作成し、当該設定ファイルを前記サーバにアップロードするコンテンツ作成装置と、前記サーバからダウンロードされた視聴対象のVRコンテンツへの没入を仮想的に視聴者に体験させる視聴装置とを備える、VRコンテンツ管理システムにかかるものである。
【0005】
また、2D及び3Dコンテンツを共有及び表示するためのシステム、方法、及びデバイス(特許文献2参照)も提案されている。
【0006】
この技術は、動作を実行するためにコンピュータ実行可能であるプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記動作が、第1デバイスのディスプレイ上にアプリケーションを介して表示するためのコンテンツ項目によって参照される2次元(2D)コンテンツを取得することと、前記コンテンツ項目が前記2Dコンテンツに関連付けられた3次元(3D)コンテンツを参照することを検出することと、第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することであって、前記第2デバイスが、前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツを表示することが可能である、ことと、前記第2デバイスへの前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツを識別することと、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体にかかるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-168934号公報
【特許文献2】特開2020-074058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の3DCGの技術に基づく2Dベースのコンテンツは確かに有用である。しかし、PCやタブレット端末の2D画面上で再生・視聴する利用形態を想定したコンテンツであ
って、学習対象の実サイズや周囲環境の特性によっては、没入感や現実感の乏しさにつながり、期待した学習効果が得られない恐れもあった。
【0009】
そこで、より没入感をもってリアリティある学習を行うべく、上述の2DベースのコンテンツをVR(Virtual Reality)コンテンツに転用するとすれば、低コストでさらに好ましい学習効果が期待できる。
【0010】
ところが、2DベースのコンテンツとVRコンテンツとではGUIの表現方法が異なっており、2DベースのものをそのままVRコンテンツに適用すると、ユーザビリティの観点で大きな問題が生じやすい。
【0011】
具体的には、2Dベースのコンテンツ上では、特定の領域に視点が達した際に、当該領域と隣接する又は奥行き方向の領域等を眺められるよう、視点の自動移動を行うGUI制御がなされるケースがある。
【0012】
ところが、この制御をVRコンテンツでも同様に行うと、人間の通常行動からすると考えにくい動きとなるため、当該ユーザには所謂VR酔いが生じやすい。
【0013】
上述のVR酔い発生の具体的な背景は、実寸大で一人称視点での視聴体験をするVRコンテンツにおいて、ユーザ自身の身体は停止しているにも関わらず、VRコンテンツ中における目の前の視界だけが急速に移動することで、「視覚誘導性自己運動感覚」が発生することにある。
【0014】
他方、そうしたVR酔いを防ぐべく、2Dベースのコンテンツ中の全てのオブジェクトに関して、VR対応のために一律の補正等を行うとしても、コストや手間の点で限界がある。
【0015】
そこで本発明の目的は、2DベースのコンテンツのVRコンテンツ化に際し、VR酔い回避及びコスト低減を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する本発明のコンテンツ補正装置は、2次元環境で表示するコンテンツに含まれるオブジェクトの3DCGデータを保持する記憶部と、前記オブジェクトの実サイズを前記3DCGデータに基づき算定する測定部と、前記コンテンツの表示時における視点移動処理を解析する処理部と、前記コンテンツをVRコンテンツに変換する生成部とを備え、前記測定部により算定した前記オブジェクトの実サイズが、予め情報を保持する当該コンテンツのユーザの身体サイズよりも大きい場合、前記生成部は、前記オブジェクトの3DCGデータをVRコンテンツ中のオブジェクトである回転操作用のテーブル上に配置するものである、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明のコンテンツ補正方法は、情報処理装置が、2次元環境で表示するコンテンツに含まれるオブジェクトの3DCGデータを保持する記憶部と、前記オブジェクトの実サイズを前記3DCGデータに基づき算定する測定部と、前記コンテンツの表示時における視点移動処理を解析する処理部と、前記コンテンツをVRコンテンツに変換する生成部とを備え、前記測定部により算定した前記オブジェクトの実サイズが、予め情報を保持する当該コンテンツのユーザの身体サイズよりも大きい場合、前記生成部において、前記オブジェクトの3DCGデータをVRコンテンツ中のオブジェクトである回転操作用のテーブル上に配置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2DベースのコンテンツのVRコンテンツ化に際し、VR酔い回避及びコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態のコンテンツ補正装置を含むネットワーク構成図である。
図2】本実施形態におけるコンテンツ補正装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態におけるコンテンツ補正方法のフロー例を示す図である。
図4】本実施形態における画面例を示す図である。
図5】本実施形態における画面例を示す図である。
図6】本実施形態における画面例を示す図である。
図7】本実施形態における画面例を示す図である。
図8】本実施形態におけるコンテンツ補正方法のフロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<ネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の
コンテンツ補正装置100を含むネットワーク構成図である。図1に示すコンテンツ補正装置100は、2DベースのコンテンツのVRコンテンツ化に際し、VR酔い回避及びコスト低減を図るコンピュータである。
【0021】
本実施形態のコンテンツ補正装置100は、図1で示すように、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)などの適宜なネットワーク1を介して、ユーザ端末200らと通信可能に接続されている。よって、これらを総称してコンテンツ補正システム10としてもよい。
【0022】
本実施形態のコンテンツ補正装置100は、タブレット端末や一般的なPC(Personal Computer)のディスプレイといった、2D画面での再生・出力を想定して用意されている、すなわち2Dベースのコンテンツを、VR(Virtual Reality)コンテンツに変換、再生するためのサービス提供装置と言える。
【0023】
一方、ユーザ端末200は、上述のVRコンテンツの再生先となる端末である。このユーザ端末200は、操作等のトレーニングを行うための訓練コンテンツの再生装置であって、本実施形態のコンテンツ補正装置100が2Dベースのコンテンツから変換・生成したVRコンテンツの再生先となる。具体的には、VRコンテンツの視聴用機器(いわゆるVRグラスなど)を想定する。
<ハードウェア構成>
また、本実施形態のコンテンツ補正装置100のハードウェア構成は、図2に以下の如くとなる。
【0024】
すなわちコンテンツ補正装置100は、補助記憶部101、主記憶部103、演算部104、及び通信部105を備える。
【0025】
このうち補助記憶部101は、例えば、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置である。
【0026】
また、主記憶部103は、RAM(Random Access Memory)など揮発性記憶素子で構成される記憶装置である。
【0027】
また、演算部104は、補助記憶部101に保持されるプログラム102を主記憶部1
03に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU(Central Processing Unit)である。
【0028】
また、通信部105は、上述のネットワーク1と接続してユーザ端末200との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0029】
なお、コンテンツ補正装置100がスタンドアロンマシンである場合、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置、を更に備えるとすれば好適である。
【0030】
また、補助記憶部101には、本実施形態のコンテンツ補正装置として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、訓練コンテンツDB1011が格納されている。この訓練コンテンツDB1011は、タブレット端末等のディスプレイで再生・表示する2Dベースのコンテンツを格納したデータベースである。
【0031】
このコンテンツは、例えば、各種機器の操作訓練のためのコンテンツであって、ユーザが当該機器を仮想空間上で観察・操作するためのコンテンツである。元来は、上述のように2Dベースのコンテンツであり、VRコンテンツ化されているものではない。本実施形態のコンテンツ補正装置100のコンテンツ生成部1023が、ユーザ端末200からの指示に応じるなどして、2Dベースのコンテンツを、その3DCGデータに基づいてVR化したコンテンツがVRコンテンツとなる。
【0032】
また、プログラム102は、本発明のコンテンツ補正装置としての機能を実装するためのプログラムであって、図2で示すように、サイズ測定部1021、視点移動処理部1022、コンテンツ生成部1023、回転制御部1024、及び作業部位表示部1025といった各機能に対応したプログラムを予め備えている。
<フロー例>
以下、本実施形態におけるコンテンツ補正方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するコンテンツ補正方法に対応する各種動作は、コンテンツ補正装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0033】
本実施形態のコンテンツ補正方法は、既に述べたように、PCディスプレイやタブレット端末など2D画面での再生用に作った3DCGベースの訓練コンテンツを、VR(Virtual Reality)対応のヘッドセットで過度の違和感なく(VR酔いの発生無しに)視聴すべく、その視点移動の補正を効率的に行うものである。
【0034】
こうした補正手法を選択せず、スクラッチでVRコンテンツを開発する場合、相応のコストや手間が必要であり、既存の訓練コンテンツが存在する状況下での最適解とは言い難い。よって、本実施形態のコンテンツ補正方法により、3DCGを用いた訓練コンテンツを適宜に改修しVRコンテンツ化した形で再生可能とすれば、手間及びコストの両面での優れた改善効果が見込まれることとなる。
【0035】
そこで、図3に基づき本実施形態におけるコンテンツ補正方法のフロー例を示す。この場合、コンテンツ補正装置100のコンテンツ生成部1023は、補助記憶部101の訓練コンテンツDB1011より、例えば、ユーザ端末200からの指示に応じた訓練コンテンツを主記憶部103に読み込む(s10)。ここで読み込む訓練コンテンツは、通常のディスプレイなど2Dの画面で表示させる3DCGデータからなるものである。
【0036】
ここで、コンテンツ補正装置100のコンテンツ生成部1023は、上述のs10で読
み込んだ訓練コンテンツの3DCGデータを再生して、VRグラスたるユーザ端末200に出力し、当該ユーザ端末200からの操作指示を受け付けることとなる(図4図5参照)。
【0037】
ここでの操作指示の仕組みは、既存のVRグラスにおけるものと同様であり、ユーザ端末200を装着したユーザの視点、視点(や眼球)の動き、瞬きといった事象を操作指示として観測し、この観測値をVRグラスたるユーザ端末200から、コンテンツ補正装置100でのコンテンツ再生制御等にフィードバックするものとなる。
【0038】
そこでコンテンツ補正装置100の視点移動処理部1022は、ユーザ端末200において表示されている上述の訓練コンテンツ中で、訓練対象となっている機器(以後、対象機器)に対応したオブジェクトに関して、特定の視点移動の観測値をユーザ端末200から取得する(s11)。
【0039】
この場合の視点移動は、どのような視点移動についても対象とするものではなく、例えば、上述の対象機器の部位のうち、次の訓練動作位置に視点を移動すべき部位およびタイミングに対応したものが対象となる。
【0040】
コンテンツ補正装置100の視点移動処理部1022は、例えば、あるユーザが、対象機器の部位Aを観察しつつ所定の訓練動作を行っていたところ、当該訓練動作が完了した場合、次の訓練動作の対象となる部位B(例:上述の部位Aから死角に入る部位)に視点移動すべき位置とタイミングが到来したと感知する。
【0041】
なお、コンテンツ補正装置100は、当然ながら、上述のコンテンツにおける訓練動作の手順と対象、タイミングについて予め情報を保持し、認識可能であるものとする。
【0042】
続いて、コンテンツ補正装置100のサイズ測定部1021は、上述のオブジェクトすなわち対象機器の実サイズとして体積及び高さを、当該訓練コンテンツにおける3DCGデータに基づき算定する(s12)。
【0043】
この算定は、例えば、対象機器の3DCGデータが示す各頂点を結んで構成される物体の体積及び高さ、またはバウンディングボックス(Bounding Box:物体全体を囲う直方体)の体積及び高さを算定することとする。
【0044】
コンテンツ補正装置100の回転制御部1024は、上述のs12での算定の結果、すなわち対象機器の体積及び高さが、予め定めた基準以上であるか判定する(s13)。この基準とは、人間の標準体積や標準身長の値を想定する。コンテンツ補正装置100は、補助記憶部101にて、こうした基準の値を保持しているものとする。
【0045】
上述の判定の結果、対象機器の実サイズが基準以上ではない場合(s13:No)、コンテンツ補正装置100の作業部位表示部1025は、特段の視点移動処理を行わず、上述のような次の訓練動作の対象部位を示す方向に、例えば、図6で例示するように矢印のオブジェクト1201を表示し(s15)、ユーザからの操作事象を受け付ける。ここでの操作事象は、当該ユーザが仮想空間内で上述の矢印にしたがってオブジェクトの周辺を移動し、次なる訓練動作に伴う操作に関するものとなる。
【0046】
一方、上述の判定の結果、対象機器の実サイズが基準以上である場合(s13:Yes)、コンテンツ補正装置100の回転制御部1024は、上述の対象機器のオブジェクト1301を、VR用のオブジェクトであって、回転操作用のターンテーブルを示すオブジェクト1302上に載置し、図7に例示するようにユーザ端末200にて表示させる(s
14)。つまりユーザは、仮想空間において、ターンテーブル上に対象機器が載せられたものをVRグラス等で視聴することになる。
【0047】
コンテンツ補正装置100の作業部位表示部1025は、上述のs14の実行とともに、次の訓練動作の対象部位を示す方向に、例えば、矢印のオブジェクトを表示し(s15)、ユーザからの操作事象を受け付ける。
【0048】
ここでの操作事象は、ターンテーブルを上述の矢印の方向に回転させる操作や、そうした回転を経たオブジェクトに対して行う所定の訓練動作に関するもの、となる。
【0049】
コンテンツ補正装置100は、上述のs15の実行以後、訓練動作の終了指示をユーザ端末200から受けて、本フローを終了する。
【0050】
なお、コンテンツ補正装置100は、2Dベースの訓練コンテンツをVR化した履歴について、そのオブジェクトの種類や特性等に紐付けて補助記憶部101に格納・保持しておくものとすれば好適である。
【0051】
その場合、以後のVR化に際し、過去のVR化の対象となった2Dコンテンツにおける対象機器が今回の対象機器と類似もの(例えば、機器の種類がサーバ機器)であれば、視点移動処理の選択制御(ターンテーブル上にオブジェクト配置か、或いは矢印オブジェクトのみ配置か)を過去件と同様に選択し処理を自動化する。
【0052】
この場合のフロー例を図8にて示す。ここでコンテンツ補正装置100は、(VR化がなされていない新たな)2Dの訓練コンテンツを補助記憶部101の訓練コンテンツDB1011から読み込み(s20)、当該訓練コンテンツと対象機器が類似の履歴があるか判定する(s21)。
【0053】
上述の判定の結果、類似機器に関する履歴がなかった場合(s21:No)、コンテンツ補正装置100は、(s23)、処理を終了する。
【0054】
一方、上述の判定の結果、類似機器に関する履歴が存在する場合(s21:Yes)、コンテンツ補正装置100は、補助記憶部101の履歴のうち対応するものに基づいてVR化を実行し(s22)、処理を終了する。
【0055】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0056】
こうした本実施形態によれば、2DベースのコンテンツのVRコンテンツ化に際し、VR酔い回避及びコスト低減を図ることが可能となる。
【0057】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態のコンテンツ補正装置において、前記生成部は、前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも大きい場合、前記VRコンテンツ中において前記オブジェクトの3DCGデータを前記テーブル上に配置するとともに、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示するものである、としてもよい。
【0058】
これによれば、ユーザの操作対象となるオブジェクト(機器等)に対する当該ユーザからの視点をユーザ自身で制御可能となり、VR酔いを回避できるとともに、次に視点を向けるべき方向を的確に認して次の動作にうつれることになる。
【0059】
また、本実施形態のコンテンツ補正装置において、前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも小さい場合、前記生成部は、VRコンテンツ中における当該オブジェクトに関する視点移動は付加せず、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示するものである、としてもよい。
【0060】
これによれば、ユーザのVR酔いが発生する恐れが少ない条件下では、ターンテーブル操作を可能とする制御は回避し、全体としての処理効率を良好なものとできる。
【0061】
また、本実施形態のコンテンツ補正方法において、前記情報処理装置が、前記生成部において、前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも大きい場合、前記VRコンテンツ中において前記オブジェクトの3DCGデータを前記テーブル上に配置するとともに、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示する、としてもよい。
【0062】
また、本実施形態のコンテンツ補正方法において、前記情報処理装置が、前記オブジェクトの実サイズが前記身体サイズよりも小さい場合、前記生成部において、VRコンテンツ中における当該オブジェクトに関する視点移動は付加せず、予め定めた次の作業対象部位の方向を指す所定オブジェクトを表示する、としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 コンテンツ補正システム
100 コンテンツ補正装置
101 補助記憶部
1011 訓練コンテンツDB
102 プログラム
1021 サイズ測定部(測定部)
1022 視点移動処理部(処理部)
1023 コンテンツ生成部(生成部)
1024 回転制御部
1025 作業部位表示部
103 主記憶部
104 演算部
105 通信部
200 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8