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特開2024-50244製番別個別原価管理装置、製番別個別原価管理方法、および、製番別個別原価管理プログラム
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  • 特開-製番別個別原価管理装置、製番別個別原価管理方法、および、製番別個別原価管理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050244
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】製番別個別原価管理装置、製番別個別原価管理方法、および、製番別個別原価管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240403BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156984
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 歩
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】日々の仕入、移動、経費発生等の様々な取引発生時に登録された仕訳データを、製番別原価データへと変換することができる製番別個別原価管理装置、製番別個別原価管理方法、および、製番別個別原価管理プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】製番マスタ、および、仕訳明細データに基づいて、製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた製番別個別原価管理装置であって、
前記記憶部は、
製造番号、ならびに、受注製番または在庫製番を示す製番種類を紐付けて設定した製番マスタと、
前記製造番号、勘定科目、および、明細金額を紐付けて設定した仕訳明細データを記憶する取引記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する原価計算手段、
を備えたことを特徴とする製番別個別原価管理装置。
【請求項2】
前記仕訳明細データは、
更に、仕訳発生日が紐付けて設定され、
前記原価計算手段は、
前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、原価集計処理日、ならびに、当月発生仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする請求項1に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項3】
前記原価計算手段は、
前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、原価集計処理日、および、原価を紐付けて設定した原価変換レコードを原価ワークに設定し、前記製番マスタ、および、前記原価ワークに基づいて、前記製造番号、前記費目、ならびに、前記仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする請求項1に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項4】
前記仕訳明細データは、
更に、連携対象の有無が紐付けて設定され、
前記原価計算手段は、
前記連携対象が有と設定された前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、前記原価集計処理日、および、前記原価を紐付けて設定した前記原価変換レコードを前記原価ワークに設定し、前記製番マスタ、および、前記原価ワークに基づいて、前記製造番号、前記費目、ならびに、前記仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする請求項3に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項5】
前記製番マスタは、
更に、原価管理部門、および、前記製造番号の状態が紐付けて設定され、
前記記憶部は、
前記費目、および、費用科目を紐付けて設定した費目マスタと、
前記製番種類と前記製造番号の状態との組み合わせに対応する勘定科目を設定した仕訳パターンマスタと、
を更に備え、
前記原価計算手段は、
更に、前記製番別費目別原価集計データ、前記費目マスタ、前記仕訳パターンマスタ、および、前記製番マスタに基づいて、前記製造番号、前記費目、前記原価集計処理日、前記原価管理部門、前記費用科目、および、前記原価を紐付けて設定した仕訳連携レコードを前記原価ワークに設定することを特徴とする請求項4に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記原価ワークに基づいて、前記製造番号、前記原価集計処理日、前記原価管理部門、前記費用科目、および、前記明細金額を紐付けて設定した原価振替仕訳データを作成する仕訳原価変換手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項7】
前記仕訳原価変換手段は、
前記原価ワークに基づいて、借方科目に仕掛品を設定し、貸方科目に前記費用科目を設定し、且つ、前記製造番号、前記原価集計処理日、前記原価管理部門、および、前記明細金額を紐付けて設定した前記原価振替仕訳データを作成することを特徴とする請求項6に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項8】
前記仕訳連携レコードは、
更に、原価振替科目が設定され、
前記仕訳原価変換手段は、
更に、前記原価振替科目として前記仕掛品以外が設定された前記原価ワークに対応する前記原価振替仕訳データを振り替えた、借方科目に前記原価振替科目を設定し、且つ、貸方科目に前記仕掛品を設定した再振替仕訳データを作成することを特徴とする請求項7に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項9】
前記仕訳明細データは、
更に、費用計上部門が紐付けて設定され、
前記原価計算手段は、
前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、前記費用計上部門、ならびに、前記仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする請求項1に記載の製番別個別原価管理装置。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた製番別個別原価管理装置に実行させるための製番別個別原価管理方法であって、
前記記憶部は、
製造番号、ならびに、受注製番または在庫製番を示す製番種類を紐付けて設定した製番マスタと、
前記製造番号、勘定科目、および、明細金額を紐付けて設定した仕訳明細データを記憶する取引記憶手段と、
を備え、
前記制御部において実行される、
前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する原価計算ステップ、
を含むことを特徴とする製番別個別原価管理方法。
【請求項11】
記憶部と制御部とを備えた製番別個別原価管理装置に実行させるための製番別個別原価管理プログラムであって、
前記記憶部は、
製造番号、ならびに、受注製番または在庫製番を示す製番種類を紐付けて設定した製番マスタと、
前記製造番号、勘定科目、および、明細金額を紐付けて設定した仕訳明細データを記憶する取引記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する原価計算ステップ、
を実行させるための製番別個別原価管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製番別個別原価管理装置、製番別個別原価管理方法、および、製番別個別原価管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、毎月発生する各製番の仕掛原価のうち、対象製番の仕掛原価の仕訳データを作成することで、各製番の個別原価を自動で会計仕訳に連携させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-57288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、各種取引データを様々なシステムで管理している場合に、各システムより仕訳明細データを連携し、一つのシステムに集中させるように管理する必要があるが、その中で仕訳データを原価計算のための原価変換をすることができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、日々の仕入、移動、経費発生等の様々な取引発生時に登録された仕訳データを、製番別原価データへと変換することができる製番別個別原価管理装置、製番別個別原価管理方法、および、製番別個別原価管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る製番別個別原価管理装置は、記憶部と制御部とを備えた製番別個別原価管理装置であって、前記記憶部は、製造番号、ならびに、受注製番または在庫製番を示す製番種類を紐付けて設定した製番マスタと、前記製造番号、勘定科目、および、明細金額を紐付けて設定した仕訳明細データを記憶する取引記憶手段と、を備え、前記制御部は、前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する原価計算手段、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記仕訳明細データは、更に、仕訳発生日が紐付けて設定され、前記原価計算手段は、前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、原価集計処理日、ならびに、当月発生仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記原価計算手段は、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、原価集計処理日、および、原価を紐付けて設定した原価変換レコードを原価ワークに設定し、前記製番マスタ、および、前記原価ワークに基づいて、前記製造番号、前記費目、ならびに、前記仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記仕訳明細データは、更に、連携対象の有無が紐付けて設定され、前記原価計算手段は、前記連携対象が有と設定された前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、前記原価集計処理日、および、前記原価を紐付けて設定した前記原価変換レコードを前記原価ワークに設定し、前記製番マスタ、および、前記原価ワークに基づいて、前記製造番号、前記費目、ならびに、前記仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記製番マスタは、更に、原価管理部門、および、前記製造番号の状態が紐付けて設定され、前記記憶部は、前記費目、および、費用科目を紐付けて設定した費目マスタと、前記製番種類と前記製造番号の状態との組み合わせに対応する勘定科目を設定した仕訳パターンマスタと、を更に備え、前記原価計算手段は、更に、前記製番別費目別原価集計データ、前記費目マスタ、前記仕訳パターンマスタ、および、前記製番マスタに基づいて、前記製造番号、前記費目、前記原価集計処理日、前記原価管理部門、前記費用科目、および、前記原価を紐付けて設定した仕訳連携レコードを前記原価ワークに設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記制御部は、前記原価ワークに基づいて、前記製造番号、前記原価集計処理日、前記原価管理部門、前記費用科目、および、前記明細金額を紐付けて設定した原価振替仕訳データを作成する仕訳原価変換手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記仕訳原価変換手段は、前記原価ワークに基づいて、借方科目に仕掛品を設定し、貸方科目に前記費用科目を設定し、且つ、前記製造番号、前記原価集計処理日、前記原価管理部門、および、前記明細金額を紐付けて設定した前記原価振替仕訳データを作成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記仕訳連携レコードは、更に、原価振替科目が設定され、前記仕訳原価変換手段は、更に、前記原価振替科目として前記仕掛品以外が設定された前記原価ワークに対応する前記原価振替仕訳データを振り替えた、借方科目に前記原価振替科目を設定し、且つ、貸方科目に前記仕掛品を設定した再振替仕訳データを作成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る製番別個別原価管理装置において、前記仕訳明細データは、更に、費用計上部門が紐付けて設定され、前記原価計算手段は、前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、前記費目、前記費用計上部門、ならびに、前記仕掛原価もしくは前記製品振替原価を紐付けて設定した前記製番別費目別原価集計データを取得することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る製番別個別原価管理方法は、記憶部と制御部とを備えた製番別個別原価管理装置に実行させるための製番別個別原価管理方法であって、前記記憶部は、製造番号、ならびに、受注製番または在庫製番を示す製番種類を紐付けて設定した製番マスタと、前記製造番号、勘定科目、および、明細金額を紐付けて設定した仕訳明細データを記憶する取引記憶手段と、を備え、前記制御部において実行される、前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する原価計算ステップ、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る製番別個別原価管理プログラムは、記憶部と制御部とを備えた製番別個別原価管理装置に実行させるための製番別個別原価管理プログラムであって、前記記憶部は、製造番号、ならびに、受注製番または在庫製番を示す製番種類を紐付けて設定した製番マスタと、前記製造番号、勘定科目、および、明細金額を紐付けて設定した仕訳明細データを記憶する取引記憶手段と、を備え、前記制御部において、前記製番マスタ、および、前記仕訳明細データに基づいて、前記製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する原価計算ステップ、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各原価に付随する仕訳データに製番を持つことによって製番別原価へ変換・集約し、それによる製番別原価計算をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、原価計算結果を仕訳作成し、外部連携時の仕訳明細生成時の判断をすることが可能となるという効果を奏する。また、本発明によれば、大型装置等の製造業において製番別の個別原価管理を行う場合、会計システムに各システムから原価データが集まり、会計システムから原価管理システムに原価データを参入することができ、原価管理の効率化に有用であるという効果を奏する。また、本発明によれば、製番別個別原価管理の効率化、会計システムからの原価連携によるデータ一元化をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、原価として計算された結果を原価科目へ振り替える仕訳データを会計システムに返すことができ、仕訳データと原価とを相互でやり取りすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、原価変換対象区分を持たせることにより、あらゆる取引を原価参入要素とすることができ、様々なシステムと互換性を持たせることが可能であるという効果を奏する。また、本発明によれば、原価振替仕訳を計算する取引データから計算することが不要なことによる業務効率を向上することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、原価振替仕訳を同時に返すことにより、即時原価の会計分析をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態における製番別個別原価管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本実施形態における製番別個別原価管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態における製番別個別原価管理の概要の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
図8図8は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
図9図9は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0020】
[1.概要]
まず、図1および図2を参照して、本発明の概要を説明する。図1および図2は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
【0021】
従来から、各種取引データを様々なシステムで管理している場合、各システムより仕訳明細データを連携し、一つのシステムに集中させることで、P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)等の各種財務諸表を出力させるようなケースが多かった。
【0022】
そこで、本実施形態においては、借方科目および借方金額と、貸方科目および貸方金額とをそれぞれ1レコードに保持し、同一レコードに伝票番号および部門データ等の付随データを保持した仕訳データ、ならびに、製番別費目別の原価金額を保持した原価データを管理し、材料費、労務費もしくは経費等の費目をマスタ管理することで、各種取引データに対して、原価計算を処理し原価管理をする仕組みを提供している。
【0023】
例えば、図1に示すように、本実施形態においては、各種取引における仕訳が発生した際の仕訳明細データに対して、原価ワークへの変換による製番原価連携を実行し、製番別の原価要素の積み上げ等の原価計算を実行している。
【0024】
また、図2に示すように、本実施形態においては、外部システムからの連携(仕訳データ集計)時に、連携元の外部システムの種類によって受入種別が振り分けられ、受入種別を参照して、原価連携の対象フラグのON/OFFを判断し、連携される科目によって変換リストを元に費目を特定している。
【0025】
[2.構成]
本実施形態に係る製番別個別原価管理装置100の構成の一例について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態における製番別個別原価管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図3に示すように、製番別個別原価管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、製番別個別原価管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0027】
製番別個別原価管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。製番別個別原価管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0028】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、製番別個別原価管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、製番別個別原価管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0029】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0030】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、製番マスタ106aと費目マスタ106bと仕訳パターンマスタ106cと原価ワーク106dと取引データベース106eとを備えている。
【0031】
製番マスタ106aは、製造番号(製番)を設定したマスタである。ここで、製番マスタ106aは、製造番号、ならびに、受注製番または在庫製番を示す製番種類が紐付けて設定されていてもよい。ここで、受注製番は、受注データに紐付いた製番であり、売上のタイミングで売上原価に振り替わってもよい。また、在庫製番は、注文に紐付かない製番であり、製番の進捗を完了にすることで製品に振り替わってもよい。また、製番マスタ106aは、原価管理部門、および、製造番号の状態が紐付けて設定されていてもよい。ここで、状態(区分):未完了は、製番が未完了(=仕掛)の状態であり、状態(区分):完了は、製番が完了状態であるため仕掛から別の原価勘定に振り替わる状態であってもよい。また、製番マスタ106aは、製番管理部門(原価管理部門)が紐付けて設定されていてもよい。
【0032】
費目マスタ106bは、費目の勘定科目である費用科目を設定したマスタである。ここで、費目マスタ106bは、費目コード、費目、および、費用科目が紐付けて設定されていてもよい。
【0033】
仕訳パターンマスタ106cは、仕訳パターンを設定したマスタである。ここで、仕訳パターンマスタ106cは、製番種類と製造番号の状態との組み合わせに対応する勘定科目が設定されていてもよい。
【0034】
原価ワーク106dは、原価計算処理、および、仕訳原価変換処理に用いるメモリである。ここで、原価ワーク106dは、原価変換レコード、および/または、仕訳連携レコードが格納(設定)されていてもよい。また、原価ワーク106dは、仕訳連携番号、製番費目コード、費目名、仕訳発生日、原価集計処理日、部門、費用科目、原価振替科目、および/または、金額等が紐付けて設定されていてもよい。
【0035】
取引データベース106eは、取引データを記憶する。ここで、取引データベース106eは、製造番号、勘定科目、および、明細金額を紐付けて設定した仕訳明細データを記憶していてもよい。ここで、仕訳明細データは、仕訳発生日、連携対象の有無、および、費用計上部門が紐付けて設定されていてもよい。また、仕訳明細データは、仕訳番号、仕訳発生日、部門、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額、製番、費目、連携対象フラグ、および/または、仕訳連携済フラグ等が紐付けて設定されていてもよい。また、取引データは、製番別費目別原価集計データ(原価データ)、および/または、仕訳データ(原価振替仕訳データおよび/または再振替仕訳データ)等を含んでいてもよい。
【0036】
制御部102は、製番別個別原価管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、原価計算部102aと仕訳原価変換部102bとを備えている。
【0037】
原価計算部102aは、原価計算処理を実行する。ここで、原価計算部102aは、製番マスタ106a、および、仕訳明細データに基づいて、製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得してもよい。また、原価計算部102aは、製番マスタ106a、および、仕訳明細データに基づいて、製造番号、費目、原価集計処理日、ならびに、当月発生仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得してもよい。また、原価計算部102aは、仕訳明細データに基づいて、製造番号、費目、原価集計処理日、および、原価を紐付けて設定した原価変換レコードを原価ワーク106dに設定し、製番マスタ106a、および、原価ワーク106dに基づいて、製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得してもよい。また、原価計算部102aは、連携対象が有と設定された仕訳明細データに基づいて、製造番号、費目、原価集計処理日、および、原価を紐付けて設定した原価変換レコードを原価ワーク106dに設定し、製番マスタ106a、および、原価ワーク106dに基づいて、製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得してもよい。また、原価計算部102aは、製番別費目別原価集計データ、費目マスタ106b、仕訳パターンマスタ106c、および、製番マスタ106aに基づいて、製造番号、費目、原価集計処理日、原価管理部門、費用科目、および、原価を紐付けて設定した仕訳連携レコードを原価ワーク106dに設定してもよい。ここで、仕訳連携レコードは、原価振替科目が設定されていてもよい。また、原価計算部102aは、製番マスタ106a、および、仕訳明細データに基づいて、製造番号、費目、費用計上部門、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得してもよい。
【0038】
仕訳原価変換部102bは、仕訳原価変換処理を実行する。ここで、仕訳原価変換部102bは、原価ワーク106dに基づいて、製造番号、原価集計処理日、原価管理部門、費用科目、および、明細金額を紐付けて設定した原価振替仕訳データを作成してもよい。また、仕訳原価変換部102bは、原価ワーク106dに基づいて、借方科目に仕掛品を設定し、貸方科目に費用科目を設定し、且つ、製造番号、原価集計処理日、原価管理部門、および、明細金額を紐付けて設定した原価振替仕訳データを作成してもよい。また、仕訳原価変換部102bは、原価振替科目として仕掛品以外が設定された原価ワーク106dに対応する原価振替仕訳データを振り替えた、借方科目に原価振替科目を設定し、且つ、貸方科目に仕掛品を設定した再振替仕訳データを作成してもよい。また、仕訳原価変換部102bは、原価振替仕訳データまたは再振替仕訳データ等の仕訳データを新たな仕訳明細データとして取引データベース106eに登録してもよい。
【0039】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、図4から図10を参照して説明する。
【0040】
[製番別個別原価管理処理]
ここで、図4を参照して、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例について説明する。図4は、本実施形態における製番別個別原価管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
図4に示すように、原価計算部102aは、取引データベース106eに記憶された連携対象が有と設定された仕訳明細データに基づいて、製造番号、費目、原価集計処理日、および、原価を紐付けて設定した原価変換レコードを原価ワーク106dに設定する(ステップSA-1)。
【0042】
そして、原価計算部102aは、製番マスタ106a、および、原価ワーク106dに基づいて、製造番号、費目、ならびに、仕掛原価もしくは製品振替原価を紐付けて設定した製番別費目別原価集計データを取得する(ステップSA-2)。
【0043】
そして、原価計算部102aは、製番別費目別原価集計データ、費目マスタ106b、仕訳パターンマスタ106c、および、製番マスタ106aに基づいて、製造番号、費目、原価集計処理日、原価管理部門、費用科目、および、原価を紐付けて設定した仕訳連携レコードを原価ワーク106dに設定する(ステップSA-3)。
【0044】
そして、仕訳原価変換部102bは、原価ワーク106dに基づいて、借方科目に仕掛品を設定し、貸方科目に費用科目を設定し、且つ、製造番号、原価集計処理日、原価管理部門、および、明細金額を紐付けて設定した原価振替仕訳データを作成し、当該原価振替仕訳データを新たな仕訳明細データとして取引データベース106eに登録し、原価振替科目として仕掛品以外が設定された原価ワーク106dに対応する原価振替仕訳データがある場合、当該原価振替仕訳データを振り替えた、借方科目に原価振替科目を設定し、且つ、貸方科目に仕掛品を設定した再振替仕訳データを作成し、当該再振替仕訳データを新たな仕訳明細データとして取引データベース106eに登録し(ステップSA-4)、処理を終了する。
【0045】
ここで、図5から図9を参照して、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例について説明する。図5は、本実施形態における製番別個別原価管理の概要の一例を示す図である。図6から図9は、本実施形態における製番別個別原価管理処理の一例を示す図である。
【0046】
図5および図6に示すように、本実施形態においては、仕訳データから原価ワーク106dが作成される。ここで、図6に示すように、本実施形態における原価ワーク106dの部門には、仕訳データの費用計上部門がセットされる。
【0047】
そして、図5および図7に示すように、本実施形態においては、原価ワーク106dを用いて原価計算処理が実行され、更新先の仕掛原価、売上原価、および、製品原価等が製番マスタ106aおよび仕訳パターンマスタ106cの条件により判別され、製番別費目別原価集計データが取得される。ここで、図7に示すように、本実施形態においては、製番:X01のデータが、受注製番かつ未完了のため、当月発生仕掛原価に更新され、製番:Y01のデータが、在庫製番かつ完了のため、製品振替原価に更新される。
【0048】
そして、図5および図8に示すように、本実施形態においては、原価振替仕訳用のデータが原価ワーク106dに作成され、すなわち、貸方の費用科目が費目コードで判別され、費目マスタ106bに対応する費用科目がセットされ、借方の原価振替科目が製番マスタ106aおよび仕訳パターンマスタ106cの条件により判別され、原価ワーク106dが設定される。ここで、図8に示すように、本実施形態においては、原価ワーク106dに、製番:X01のデータが、受注製番かつ未完了のため、仕掛品勘定が設定され、製番:Y01が、在庫製番かつ完了のため、製品勘定が設定され、製番マスタ106aより製番管理部門(原価管理部門)がセットされる。
【0049】
そして、図5および図9に示すように、本実施形態においては、原価仕訳変換処理として、原価振替科目が仕掛品以外の場合、「仕掛品への振替仕訳データ」+「仕掛品から製品または売上原価への振替仕訳データ」が作成される。ここで、図9に示すように、本実施形態における仕訳NO:SM001、SM003、SM004、SM006およびSM007の仕訳明細データおいては、Aの処理で原価データに連携済であるため、連携済フラグが1:連携済に更新され、本実施形態における仕訳NO:SM002およびSM005の仕訳明細データにおいては、連携対象フラグ=0:対象外であるため、連携対象フラグ=0のままであり、本実施形態におけるBの処理で新たに作成された原価科目振替の仕訳明細データにおいては、原価データに返すことがないので、連携対象フラグ=0:対象外となる。
【0050】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0053】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0054】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0055】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0056】
また、製番別個別原価管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0057】
例えば、製番別個別原価管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて製番別個別原価管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0058】
また、このコンピュータプログラムは、製番別個別原価管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0059】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0060】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0061】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0062】
また、製番別個別原価管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、製番別個別原価管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0063】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、仕訳データを一元集中型の管理をしており、原価計算を実施する必要がある業界において有用である。
【符号の説明】
【0065】
100 製番別個別原価管理装置
102 制御部
102a 原価計算部
102b 仕訳原価変換部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 製番マスタ
106b 費目マスタ
106c 仕訳パターンマスタ
106d 原価ワーク
106e 取引データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9