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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050251
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】マスクの製造方法及びマスク
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
C23C14/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156999
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 博司
(72)【発明者】
【氏名】小幡 勝也
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA62
4K029BC07
4K029BD01
4K029HA01
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蒸着マスクの貫通孔の位置精度を向上させる、マスクの製造方法及びマスクを提供する。
【解決手段】マスクの製造方法は、無機第1面41、無機第1面の反対側の面である無機第2面42、及び、無機第1面から無機第2面に至る複数の無機開口44を含む無機層40と、無機第2面を覆う樹脂層30と、を含む積層体25を準備する積層体準備工程と、プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスに無機第1面をさらすことによって、樹脂層に、複数の無機開口に対応する複数の第1開口34を形成する第1ドライエッチング工程と、を備える。第1ドライエッチング工程は、等方性エッチング工程を含む。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機第1面、前記無機第1面の反対側の面である無機第2面、及び、前記無機第1面から前記無機第2面に至る複数の無機開口を含み、金属又はセラミックスからなる無機層と、前記無機第2面及び前記複数の無機開口を覆う樹脂層と、を含む積層体を準備する積層体準備工程と、
プラズマ化した処理ガス又は励起されたオゾンを含むエッチングガスに前記無機第1面をさらすことによって、前記樹脂層に、前記複数の無機開口に対応する複数の第1開口を形成する第1ドライエッチング工程と、を備え、
前記第1ドライエッチング工程は、等方性エッチング工程を含む、マスクの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂層は、前記無機第2面に対向する樹脂第1面と、前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面と、前記第1開口に面する樹脂壁面と、を含み、
前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度が、85度以下である、請求項1に記載のマスクの製造方法。
【請求項3】
前記マスクの製造方法は、
前記無機第1面に対向する支持第2面、及び前記支持第2面の反対側の面である支持第1面を含み、前記積層体を支持する支持層を準備する支持層準備工程と、
平面視において前記複数の無機開口に重なる少なくとも1つの第2開口を前記支持層に形成する支持フレーム形成工程と、を備え、
前記第1ドライエッチング工程は、前記支持フレーム形成工程の後に実施される、請求項1に記載のマスクの製造方法。
【請求項4】
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層と、前記樹脂第2面に対向する無機第1面、前記無機第1面の反対側の面である無機第2面、及び、前記無機第1面から前記無機第2面に至る複数の無機開口を含む無機層と、を含む積層体を準備する積層体準備工程と、
プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスに前記無機第2面をさらすことによって、前記樹脂層に、前記複数の無機開口に対応する複数の第1開口を形成する第1ドライエッチング工程と、を備え、
前記第1ドライエッチング工程は、異方性エッチング工程を含む、マスクの製造方法。
【請求項5】
前記第1開口は、前記樹脂第1面において第1寸法を有し、前記樹脂第2面において第2寸法を有し、前記樹脂第1面と前記樹脂第2面との間の中間位置において第3寸法を有し、
前記第1寸法に対する前記第2寸法の比率、及び前記第1寸法に対する前記第3寸法の比率が、0.9以上1.1以下である、請求項4に記載のマスクの製造方法。
【請求項6】
前記マスクの製造方法は、
前記樹脂第1面に対向する支持第2面、及び前記支持第2面の反対側の面である支持第1面を有し、前記積層体を支持する支持層を準備する支持層準備工程と、
平面視において前記複数の第1開口に重なる少なくとも1つの第2開口を前記支持層に形成する支持フレーム形成工程と、を備える、請求項4に記載のマスクの製造方法。
【請求項7】
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層と、前記樹脂第2面に対向する無機第1面、前記無機第1面の反対側の面である無機第2面、及び、前記無機第1面から前記無機第2面に至る複数の無機開口を含む無機層と、を含む積層体を準備する積層体準備工程と、
プラズマ化した処理ガス又は励起されたオゾンを含むエッチングガスに前記無機第2面をさらすことによって、前記樹脂層に、前記複数の無機開口に対応する複数の第1開口を形成する第1ドライエッチング工程と、
プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスに前記樹脂第1面をさらすことによって、前記樹脂層の厚みを減少させる第2ドライエッチング工程と、を備える、マスクの製造方法。
【請求項8】
前記第1ドライエッチング工程は、等方性エッチング工程を含む、請求項7に記載のマスクの製造方法。
【請求項9】
前記樹脂第1面に対向する支持第2面、及び前記支持第2面の反対側の面である支持第1面を有し、前記積層体を支持する支持層を準備する支持層準備工程と、
平面視において前記複数の第1開口に重なる少なくとも1つの第2開口を前記支持層に形成する支持フレーム形成工程と、を備える、請求項7に記載のマスクの製造方法。
【請求項10】
平面視において前記支持層に重なる前記樹脂層の部分の厚みは、平面視において前記第2開口に重なる前記樹脂層の部分の厚みよりも大きい、請求項9に記載のマスクの製造方法。
【請求項11】
前記支持層は、前記支持第1面を形成する第1層と、前記第1層と前記積層体との間に位置する第2層と、を含み、
前記支持フレーム形成工程は、
前記支持層の前記支持第1面上に部分的にレジスト層を形成する工程と、
前記第1層をエッチングすることによって、前記第1層を部分的に除去する工程と、を含む、請求項3、6又は9に記載のマスクの製造方法。
【請求項12】
前記第1層は、非金属の無機物を含み、
前記第2層は、金属材料を含む、請求項11に記載のマスクの製造方法。
【請求項13】
前記支持層は、金属材料を含む、請求項3、6又は9に記載のマスクの製造方法。
【請求項14】
前記積層体準備工程は、スパッタリング又はめっきによって前記無機層を形成する工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のマスクの製造方法。
【請求項15】
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層であって、前記樹脂第1面から前記樹脂第2面に至る複数の第1開口を含む少なくとも1つの樹脂マスク部と、平面視において前記樹脂マスク部を囲む周囲部と、を含む樹脂層と、
前記樹脂第1面に対向する無機第2面、及び前記無機第2面の反対側の面である無機第1面を含み、金属又はセラミックスからなる無機層であって、平面視において前記樹脂層の前記周囲部に重なる少なくとも1つの金属周囲部を含む無機層と、を備え、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記第1開口に面する樹脂壁面を含み、
前記樹脂層は、前記樹脂第1面と前記樹脂壁面とが成す角度である第1角度と、前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度と、を有し、
90度から前記第2角度を引いた値の絶対値である第2絶対値が、90度から前記第1角度を引いた値の絶対値である第1絶対値よりも大きい、マスク。
【請求項16】
前記第1絶対値と前記第2絶対値の差が5度以上である、請求項15に記載のマスク。
【請求項17】
前記無機層は、金属材料又はセラミックスを含む、請求項15に記載のマスク。
【請求項18】
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層であって、前記樹脂第1面から前記樹脂第2面に至る複数の第1開口を含む少なくとも1つの樹脂マスク部と、平面視において前記樹脂マスク部を囲む周囲部と、を含む樹脂層を備え、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記第1開口に面する樹脂壁面を含み、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記樹脂第1面と前記樹脂壁面とが成す角度である第1角度と、前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度と、を有し、
前記第1角度及び前記第2角度が、75度以上105度以下であり、
前記第1開口は、前記樹脂第1面において第1寸法を有し、前記樹脂第2面において第2寸法を有し、前記樹脂第1面と前記樹脂第2面との間の中間位置において第3寸法を有し、
前記第1寸法に対する前記第2寸法の比率、及び前記第1寸法に対する前記第3寸法の比率が、0.90以上1.10以下である、マスク。
【請求項19】
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層であって、前記樹脂第1面から前記樹脂第2面に至る複数の第1開口を含む少なくとも1つの樹脂マスク部と、平面視において前記樹脂マスク部を囲む周囲部と、を含む樹脂層を備え、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記第1開口に面する樹脂壁面を含み、
前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度が、85度以下であり、
前記周囲部の厚みに対する前記樹脂マスク部の厚みの比率が、0.70以下である、マスク。
【請求項20】
前記マスクは、前記樹脂第1面に対向する支持第2面、前記支持第2面の反対側の面である支持第1面、及び、前記支持第1面から前記支持第2面に至り、平面視において前記樹脂マスク部に重なる少なくとも1つの第2開口を含む支持フレームを備え、
前記支持フレームは、無機物を含む、請求項15~19のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項21】
前記支持フレームは、前記支持第1面を形成する第1層と、前記第1層と前記支持第2面との間に位置する第2層と、を含み、
前記第1層は、非金属の無機物を含む、請求項20に記載のマスク。
【請求項22】
前記第2層は、金属材料を含む、請求項21に記載のマスク。
【請求項23】
請求項15~19のいずれか一項に記載のマスクの前記第1開口を通過した蒸着材料が基板に付着する蒸着工程を備える、蒸着層の形成方法。
【請求項24】
請求項15~19のいずれか一項に記載のマスクの前記第1開口を通過した蒸着材料が基板に付着する蒸着工程を備える、有機デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、マスクの製造方法及びマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド等の樹脂で作製された樹脂フィルムに貫通孔を形成した蒸着マスクが知られている。蒸着マスクは、例えば有機EL表示装置を製造する際に、有機EL素子を構成する有機層や電極を基板上に形成するために用いられる。蒸着マスクの貫通孔の形成は、樹脂フィルムにレーザ加工用マスクを重ね、樹脂フィルムにレーザ加工用マスクを通じてレーザ光を照射することにより行う。蒸着マスクの広い範囲に亘って貫通孔を形成する場合、一回のレーザ光の照射で樹脂フィルムの全面にレーザ光を照射するためには、レーザ光の照射範囲を広げる必要があり、レーザ光のエネルギー密度が下がってしまう。このため、蒸着マスクの広い範囲に亘って貫通孔を形成する場合は、レーザ光の照射範囲を小さく維持したまま、樹脂フィルムにおけるレーザ光の照射位置を移動させながら、樹脂フィルムへのレーザ光の照射を複数回行う。樹脂フィルムにおけるレーザ光の照射位置の移動は、樹脂フィルムをステージに載せ、ステージ又はレーザ装置の照射ヘッドを移動させることにより行う。このとき、照射位置の移動に応じて、樹脂フィルムに対するレーザ加工用マスクの位置も移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-42762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂フィルムに対するレーザ加工用マスクの位置を移動させたり、樹脂フィルムにおけるレーザ光の照射位置を移動させたりすると、蒸着マスクの貫通孔の位置精度が低下する虞がある。このことは、蒸着マスクを用いて基板上に形成された有機層や電極の位置精度の低下に繋がる。
【0005】
このため、マスクの貫通孔の位置精度を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態による、マスクの製造方法は、無機第1面、前記無機第1面の反対側の面である無機第2面、及び、前記無機第1面から前記無機第2面に至る複数の無機開口を含む無機層と、前記無機第2面及び前記複数の無機開口を覆う樹脂層と、を含む積層体を準備する積層体準備工程と、プラズマ化した処理ガス又は励起されたオゾンを含むエッチングガスに前記無機第1面をさらすことによって、前記樹脂層に、前記複数の無機開口に対応する複数の第1開口を形成する第1ドライエッチング工程と、を備えてもよい。前記第1ドライエッチング工程は、等方性エッチング工程を含んでもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、マスクの貫通孔の位置精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態による有機デバイスの一例を示す断面図である。
図2】マスクを備えた蒸着装置の一例を示す図である。
図3】マスクの一例を示す平面図である。
図4】マスクの一例を示す下面図である。
図5図3に示すマスクのV-V線に沿った断面を示す図である。
図6A】樹脂マスク部の一例を示す断面図である。
図6B】樹脂マスク部の一例を示す断面図である。
図7】マスクの製造方法を説明するための図である。
図8】マスクの製造方法を説明するための図である。
図9】マスクの製造方法を説明するための図である。
図10】マスクの製造方法を説明するための図である。
図11】マスクの製造方法を説明するための図である。
図12】マスクの製造方法を説明するための図である。
図13】マスクの製造方法を説明するための図である。
図14】マスクの製造方法を説明するための図である。
図15】マスクの製造方法を説明するための図である。
図16】マスクの製造方法を説明するための図である。
図17】ドライエッチング装置の一例を示す断面図である。
図18】マスクの一例を示す断面図である。
図19】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図20】マスクの一例を示す断面図である。
図21】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図22】マスクの一例を示す断面図である。
図23】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図24】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図25】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図26】マスクの一例を示す断面図である。
図27】樹脂マスク部の一例を示す断面図である。
図28】ドライエッチング装置の一例を示す断面図である。
図29】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図30】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図31】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図32】マスクの製造方法の一例を示す図である。
図33】マスクの一例を示す断面図である。
図34】樹脂マスク部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」、「シート」、「フィルム」などの、ある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0010】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待してもよい程度の範囲を含めて解釈する。
【0011】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0012】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、要素Aの面が要素Bの面に「対向する」という状態は、要素Aの面が要素Bの面に接している場合だけでなく、要素Aの面と要素Bの面の間に要素Cが位置している場合も含む。すなわち、「対向する」という用語は、2つの面の向きを表す用語である。
【0013】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0014】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、本明細書の一実施形態は、矛盾の生じない範囲で、その他の例と組み合わせられ得る。また、その他の例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
【0015】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して2つ以上のステップ又はプロセスを開示する場合に、開示されているステップ又はプロセスの間に、開示されていないその他のステップ又はプロセスが実施されてもよい。また、開示されているステップ又はプロセスの順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0016】
本明細書の一実施形態においては、マスクが、有機EL表示装置を製造する際に有機層又は電極を基板上に形成するために用いられる例について説明する。ただし、マスクの用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスクに対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置の電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、液晶表示装置の電極などの、有機EL表示装置以外の表示装置の電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、圧力センサの電極などの、表示装置以外の有機デバイスの電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。
【0017】
本開示の第1の態様は、マスクの製造方法であって、
無機第1面、前記無機第1面の反対側の面である無機第2面、及び、前記無機第1面から前記無機第2面に至る複数の無機開口を含む無機層と、前記無機第2面及び前記複数の無機開口を覆う樹脂層と、を含む積層体を準備する積層体準備工程と、
プラズマ化した処理ガス又は励起されたオゾンを含むエッチングガスに前記無機第1面をさらすことによって、前記樹脂層に、前記複数の無機開口に対応する複数の第1開口を形成する第1ドライエッチング工程と、を備え、
前記第1ドライエッチング工程は、等方性エッチング工程を含む、マスクの製造方法である。
【0018】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様によるマスクの製造方法において、前記樹脂層は、前記無機第2面に対向する樹脂第1面と、前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面と、前記第1開口に面する樹脂壁面と、を含んでもよく、前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度が、85度以下であってもよい。
【0019】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様又は第2の態様によるマスクの製造方法において、前記マスクの製造方法は、前記無機第1面に対向する支持第2面、及び前記支持第2面の反対側の面である支持第1面を含み、前記積層体を支持する支持層を準備する支持層準備工程と、平面視において前記複数の無機開口に重なる少なくとも1つの第2開口を前記支持層に形成する支持フレーム形成工程と、を備えてもよく、前記第1ドライエッチング工程は、前記支持フレーム形成工程の後に実施されてもよい。
【0020】
本開示の第4の態様は、マスクの製造方法であって、
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層と、前記樹脂第2面に対向する無機第1面、前記無機第1面の反対側の面である無機第2面、及び、前記無機第1面から前記無機第2面に至る複数の無機開口を含む無機層と、を含む積層体を準備する積層体準備工程と、
プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスに前記無機第2面をさらすことによって、前記樹脂層に、前記複数の無機開口に対応する複数の第1開口を形成する第1ドライエッチング工程と、を備え、
前記第1ドライエッチング工程は、異方性エッチング工程を含む、マスクの製造方法である。
【0021】
本開示の第5の態様は、上述した第4の態様によるマスクの製造方法において、前記第1開口は、前記樹脂第1面において第1寸法を有し、前記樹脂第2面において第2寸法を有し、前記樹脂第1面と前記樹脂第2面との間の中間位置において第3寸法を有してもよく、前記第1寸法に対する前記第2寸法の比率、及び前記第1寸法に対する前記第3寸法の比率が、0.9以上1.1以下であってもよい。
【0022】
本開示の第6の態様は、上述した第4の態様又は第5の態様によるマスクの製造方法において、前記マスクの製造方法は、前記樹脂第1面に対向する支持第2面、及び前記支持第2面の反対側の面である支持第1面を有し、前記積層体を支持する支持層を準備する支持層準備工程と、平面視において前記複数の第1開口に重なる少なくとも1つの第2開口を前記支持層に形成する支持フレーム形成工程と、を備えてもよい。
【0023】
本開示の第7の態様は、マスクの製造方法であって、
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層と、前記樹脂第2面に対向する無機第1面、前記無機第1面の反対側の面である無機第2面、及び、前記無機第1面から前記無機第2面に至る複数の無機開口を含む無機層と、を含む積層体を準備する積層体準備工程と、
プラズマ化した処理ガス又は励起されたオゾンを含むエッチングガスに前記無機第2面をさらすことによって、前記樹脂層に、前記複数の無機開口に対応する複数の第1開口を形成する第1ドライエッチング工程と、
プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスに前記樹脂第1面をさらすことによって、前記樹脂層の厚みを減少させる第2ドライエッチング工程と、を備える、マスクの製造方法である。
【0024】
本開示の第8の態様は、上述した第7の態様によるマスクの製造方法において、前記第1ドライエッチング工程は、等方性エッチング工程を含んでもよい。
【0025】
本開示の第9の態様は、上述した第7の態様又は第8の態様によるマスクの製造方法において、前記マスクの製造方法は、前記樹脂第1面に対向する支持第2面、及び前記支持第2面の反対側の面である支持第1面を有し、前記積層体を支持する支持層を準備する支持層準備工程と、平面視において前記複数の第1開口に重なる少なくとも1つの第2開口を前記支持層に形成する支持フレーム形成工程と、を備えてもよい。
【0026】
本開示の第10の態様は、上述した第9の態様によるマスクの製造方法において、平面視において前記支持層に重なる前記樹脂層の部分の厚みは、平面視において前記第2開口に重なる前記樹脂層の部分の厚みよりも大きくてもよい。
【0027】
本開示の第11の態様は、上述した第3の態様、第6の態様、第9の態様又は第10の態様によるマスクの製造方法において、前記支持層は、前記支持第1面を形成する第1層と、前記第1層と前記積層体との間に位置する第2層と、を含んでもよく、前記支持フレーム形成工程は、前記支持層の前記支持第1面上に部分的にレジスト層を形成する工程と、前記第1層をエッチングすることによって、前記第1層を部分的に除去する工程と、を含んでもよい。
【0028】
本開示の第12の態様は、上述した第11の態様によるマスクの製造方法において、前記第1層は、非金属の無機物を含んでもよく、前記第2層は、金属材料を含んでもよい。
【0029】
本開示の第13の態様は、上述した第3の態様、第6の態様、第9の態様又は第10の態様によるマスクの製造方法において、前記支持層は、金属材料を含んでもよい。
【0030】
本開示の第14の態様は、上述した第1の態様~第10の態様のいずれか1つによるマスクの製造方法において、前記積層体準備工程は、スパッタリング又はめっきによって前記無機層を形成する工程を含んでもよい。
【0031】
本開示の第15の態様は、マスクであって、
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層であって、前記樹脂第1面から前記樹脂第2面に至る複数の第1開口を含む少なくとも1つの樹脂マスク部と、平面視において前記樹脂マスク部を囲む周囲部と、を含む樹脂層と、
前記樹脂第1面に対向する無機第2面、及び前記無機第2面の反対側の面である無機第1面を含む無機層であって、平面視において前記樹脂層の前記周囲部に重なる少なくとも1つの金属周囲部を含む無機層と、を備え、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記第1開口に面する樹脂壁面を含み、
前記樹脂層は、前記樹脂第1面と前記樹脂壁面とが成す角度である第1角度と、前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度と、を有し、
90度から前記第2角度を引いた値の絶対値である第2絶対値が、90度から前記第1角度を引いた値の絶対値である第1絶対値よりも大きい、マスクである。
【0032】
本開示の第16の態様は、上述した第15の態様によるマスクにおいて、前記第1絶対値と前記第2絶対値の差が5度以上であってもよい。
【0033】
本開示の第17の態様は、上述した第15の態様又は第16の態様によるマスクにおいて、前記無機層は、金属材料又はセラミックスを含んでもよい。
【0034】
本開示の第18の態様は、マスクであって、
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層であって、前記樹脂第1面から前記樹脂第2面に至る複数の第1開口を含む少なくとも1つの樹脂マスク部と、平面視において前記樹脂マスク部を囲む周囲部と、を含む樹脂層を備え、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記第1開口に面する樹脂壁面を含み、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記樹脂第1面と前記樹脂壁面とが成す角度である第1角度と、前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度と、を有し、
前記第1角度及び前記第2角度が、75度以上105度以下であり、
前記第1開口は、前記樹脂第1面において第1寸法を有し、前記樹脂第2面において第2寸法を有し、前記樹脂第1面と前記樹脂第2面との間の中間位置において第3寸法を有し、
前記第1寸法に対する前記第2寸法の比率、及び前記第1寸法に対する前記第3寸法の比率が、0.90以上1.10以下である、マスクである。
【0035】
本開示の第19の態様は、マスクであって、
樹脂第1面、及び前記樹脂第1面の反対側の面である樹脂第2面を含む樹脂層であって、前記樹脂第1面から前記樹脂第2面に至る複数の第1開口を含む少なくとも1つの樹脂マスク部と、平面視において前記樹脂マスク部を囲む周囲部と、を含む樹脂層を備え、
前記樹脂マスク部の前記樹脂層は、前記第1開口に面する樹脂壁面を含み、
前記樹脂第2面と前記樹脂壁面とが成す角度である第2角度が、85度以下であり、
前記周囲部の厚みに対する前記樹脂マスク部の厚みの比率が、0.70以下である、マスクである。
【0036】
本開示の第20の態様は、上述した第15の態様~第19の態様のいずれか1つによるマスクにおいて、前記マスクは、前記樹脂第1面に対向する支持第2面、前記支持第2面の反対側の面である支持第1面、及び、前記支持第1面から前記支持第2面に至り、平面視において前記樹脂マスク部に重なる少なくとも1つの第2開口を含む支持フレームを備えてもよく、前記支持フレームは、無機物を含んでもよい。
【0037】
本開示の第21の態様は、上述した第20の態様によるマスクにおいて、前記支持フレームは、前記支持第1面を形成する第1層と、前記第1層と前記支持第2面との間に位置する第2層と、を含んでもよく、前記第1層は、非金属の無機物を含んでもよい。
【0038】
本開示の第22の態様は、上述した第21の態様によるマスクにおいて、前記第2層は、金属材料を含んでもよい。
【0039】
本開示の第23の態様は、蒸着層の形成方法であって、上述した第15の態様~第22の態様のいずれか1つによるマスクの前記第1開口を通過した蒸着材料が基板に付着する蒸着工程を備える、蒸着層の形成方法である。
【0040】
本開示の第24の態様は、有機デバイスの製造方法であって、上述した第15の態様~第22の態様のいずれか1つによるマスクの前記第1開口を通過した蒸着材料が基板に付着する蒸着工程を備える、有機デバイスの製造方法である。
【0041】
本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
【0042】
まず、マスクを用いることにより形成される有機層を備える有機デバイス100について説明する。図1は、有機デバイス100の一例を示す断面図である。
【0043】
有機デバイス100は、基板と、基板の面内方向に沿って並ぶ複数の素子115と、を含む。素子115は、例えば画素に対応する。以下の説明において、基板などの基礎となる要素の面の法線方向に沿って見ることを、平面視とも称する。
【0044】
有機デバイス100は、基板110、複数の第1電極120、複数の有機層130、及び第2電極140を備えてもよい。基板110は、第1面111及び第2面112を含む。第2面112は、第1面111の反対側に位置する。
【0045】
複数の第1電極120は、第1面111上に位置してもよい。複数の有機層130は、第1電極120上に位置してもよい。第2電極140は、有機層130上に位置してもよい。第2電極140は、平面視において複数の第1電極120に重なるように広がっていてもよい。素子115は、第1電極120、有機層130及び第2電極140を含む積層構造体によって構成されている。素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることにより、又は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることにより、何らかの機能を実現できる。
【0046】
図1に示すように、複数の有機層130は、複数の第1有機層130Aと、複数の第2有機層130Bと、を含んでもよい。図示はしないが、複数の有機層130は、複数の第3有機層を含んでいてもよい。第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層は、例えば、赤色発光層、青色発光層及び緑色発光層である。第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層に共通する構成を説明する場合には、「有機層130」という用語及び符号を用いる。
【0047】
図1に示すように、複数の第1電極120は、複数の第1A電極120Aと、複数の第1B電極120Bと、を含んでいてもよい。図示はしないが、複数の第1電極120は、複数の第1C電極を含んでいてもよい。第1A電極120Aは、平面視において第1有機層130Aに重なる。第1B電極120Bは、平面視において第2有機層130Bに重なる。第1C電極は、平面視において第3有機層に重なる。第1A電極120A、第1B電極120B及び第1C電極に共通する構成を説明する場合には、「第1電極120」という用語及び符号を用いる。
【0048】
1つの素子115は、少なくとも1つの第1サブ素子115Aと、少なくとも1つの第2サブ素子115Bと、を含んでもよい。図示はしないが、1つの素子115は、少なくとも1つの第3サブ素子を含んでいてもよい。第1サブ素子115Aは、第1A電極120A、第1有機層130A及び第2電極140を含む。第2サブ素子115Bは、第1B電極120B、第2有機層130B及び第2電極140を含む。第3サブ素子は、第1C電極、第3有機層及び第2電極140を含む。
【0049】
マスクを用いることにより形成される要素は、有機層130であってもよく、第2電極140であってもよい。マスクを用いることにより形成される要素のことを、蒸着層とも称する。
【0050】
有機デバイス100は、平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160を備えていてもよい。絶縁層160は、例えばポリイミドを含んでいる。絶縁層160は、平面視において第1電極120の端に重なっていてもよい。
【0051】
次に、有機層130などの蒸着層を蒸着法によって形成する方法について説明する。図2は、蒸着装置10を示す図である。蒸着装置10は、基板110に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する。
【0052】
図2に示すように、蒸着装置10は、その内部に、蒸着源6、ヒータ8、及びマスク20を備えてもよい。また、蒸着装置10は、蒸着装置10の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。蒸着源6は、例えばるつぼであり、有機材料、金属材料などの蒸着材料7を収容する。ヒータ8は、蒸着源6を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料7を蒸発させる。マスク20は、蒸着源6と対向するよう配置されている。
【0053】
マスク20は、図2に示すように、基板110の第1面111に対面するよう、蒸着装置10内に配置されている。マスク20は、基板110の第1面111に接していてもよい。マスク20は、入射面201及び出射面202を含む。入射面201は、蒸着源6と対向している。出射面202は、入射面201の反対側に位置する。出射面202は、基板110の第1面111と対向している。
【0054】
マスク20には、その平面視において規則的に並ぶ複数の貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、蒸着源6から飛来した蒸着材料7を通過させる。したがって、貫通孔21の形状及びパターンが、基板110の第1面111上に形成される蒸着材料7の層の形状及びパターンに反映される。例えば、マスク20を有機ELディスプレイにおける有機層の形成に用いる場合には、貫通孔21の形状及びパターンが、当該有機層の形状及びパターンに反映される。
【0055】
図2に示すように、蒸着装置10は、基板110の第2面112側に対向する磁石5を備えていてもよい。マスク20が金属材料を含む場合、磁石5は、磁力によってマスク20を基板110に向けて引き寄せることができる。これにより、マスク20と基板110との間の隙間を低減したり、隙間をなくしたりすることができる。このことにより、蒸着工程においてシャドウが発生することを抑制できる。本願において、シャドウとは、貫通孔21の壁面の近傍に形成される有機層130の厚みが、貫通孔21の中心に形成される有機層130の厚みよりも小さくなる現象である。シャドウは、蒸着材料7がマスク20の壁面に付着すること、蒸着材料7がマスク20と基板110との間の隙間に入り込むこと、などに起因して生じる。
【0056】
次に、マスク20について詳細に説明する。図3は、マスク20の一例を示す平面図である。図3においては、マスク20が入射面201側から観察されている。図4は、マスク20の一例を示す下面図である。図3においては、マスク20が出射面202側から観察されている。図5は、図3及び図4に示すマスク20のV-V線に沿った断面を示す断面図である。
【0057】
マスク20は、複数の貫通孔21を含む少なくとも1つの貫通孔群23を含む。1つの貫通孔群23は、1つの有機デバイス100に対応する。例えば、1つの有機デバイス100に含まれる複数の第1有機層130Aは、1つの貫通孔群23の複数の貫通孔21を通った蒸着材料によって構成される。図3乃至図5に示すマスク20は、複数の有機デバイス100の蒸着層を同時に形成するためのマスクであり、複数の貫通孔群23を含む。
【0058】
図5に示すように、マスク20は、樹脂層30、無機層40及び支持フレーム50を備える。
【0059】
樹脂層30には複数の第1開口34が形成されている。樹脂層30は、樹脂第1面31、樹脂第2面32及び樹脂壁面33を含む。樹脂第2面32は、樹脂第1面31の反対側に位置する面である。樹脂第1面31は入射面201側に位置し、樹脂第2面32は出射面202側に位置している。樹脂壁面33は、第1開口34に面している。
【0060】
無機層40は、樹脂第1面31に対向する無機第2面42、及び無機第2面42の反対側の面である無機第1面41を含む。無機第1面41は、支持フレーム50に対向している。無機層40は、樹脂層30と支持フレーム50との間に位置している。
【0061】
支持フレーム50は、樹脂層30及び無機層40を支持する。支持フレーム50は、無機第1面41に対向する支持第2面52、及び支持第2面52の反対側の面である支持第1面51を含む。支持フレーム50は、樹脂層30及び無機層40を支持する。
【0062】
樹脂層30、無機層40及び支持フレーム50について詳細に説明する。まず、樹脂層30について説明する。
【0063】
樹脂層30は、複数の第1開口34が形成された樹脂マスク部36と、樹脂層30の平面視において樹脂マスク部36を囲む周囲部37と、を含む。図示された例では、樹脂層30は、複数の樹脂マスク部36を含む。各樹脂マスク部36は、周囲部37によって囲まれている。各樹脂マスク部36は、1つの有機デバイス100に対応する。各樹脂マスク部36の樹脂第1面31は、マスク20の蒸着源6に対向する面の一部を形成する。樹脂層30の樹脂第2面32は、マスク20の出射面を構成する。
【0064】
樹脂マスク部36の各第1開口34は、樹脂層30を貫通している。言い換えると、第1開口34は、樹脂第1面31から樹脂第2面32に至る。図示された例では、第1開口34によって、マスク20の貫通孔21が形成されている。1つの樹脂マスク部36の複数の第1開口34は、1つの第1開口群35を形成する。図示された例では、樹脂層30の1つの第1開口群35によって、マスク20の1つの貫通孔群23が形成されている。
【0065】
樹脂層30の材料は、特に限定されない。樹脂層30の材料は、従来公知の樹脂材料を適宜選択して用いてもよい。好ましくは、樹脂層30の材料として、ドライエッチングによって高精細な第1開口34の形成が可能である材料が用いられる。好ましくは、樹脂層30の材料として、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さい材料が用いられる。好ましくは、樹脂層30の材料として、軽量な材料が用いられる。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料のうち、熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましい。上記に例示した材料のうち、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましい。上記に例示した材料のうち、熱膨張係数及び吸湿率の両方の条件を満たす樹脂材料が特に好ましい。これらの樹脂材料を用いて樹脂層を構成することによって、第1開口34の寸法精度を向上でき、かつ熱や経時での寸法変化率や吸湿率を小さくできる。
【0066】
樹脂層30の厚みT30についても特に限定はないが、0.2μm以上5.0μm以下であることが好ましい。樹脂層30の厚みT30をこの範囲内とすることで、ピンホール等の欠陥や変形等が樹脂層30に生じるというリスクを低減でき、かつシャドウの発生を効果的に抑制できる。特に、樹脂層の厚みT30を、0.5μm以上4.0μm以下、より好ましくは0.8μm以上3.5μm以下、更に好ましくは1.0μm以上3.0μm以下とすることで、例えば画素数が3000ppi以上である有機ELディスプレイのための蒸着層を高精細なパターンで形成する際のシャドウの影響を、より効果的に低減できる。したがって、樹脂層30の厚みT30は、例えば、0.2μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、0.8μm以上でもよく、1.0μm以上でもよい。厚みT30は、例えば、3.0μm以下でもよく、3.5μm以下でもよく、4.0μm以下でもよく、5.0μm以下でもよい。厚みT30の範囲は、0.2μm、0.5μm、0.8μm及び1.0μmからなる第1グループ、及び/又は、3.0μm、3.5μm、4.0μm及び5.0μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT30の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT30の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT30の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT30は、例えば、0.2μm以上5.0μm以下でもよく、0.2μm以上4.0μm以下でもよく、0.2μm以上3.5μm以下でもよく、0.2μm以上3.0μm以下でもよく、0.2μm以上1.0μm以下でもよく、0.2μm以上0.8μm以下でもよく、0.2μm以上0.5μm以下でもよく、0.5μm以上5.0μm以下でもよく、0.5μm以上4.0μm以下でもよく、0.5μm以上3.5μm以下でもよく、0.5μm以上3.0μm以下でもよく、0.5μm以上1.0μm以下でもよく、0.5μm以上0.8μm以下でもよく、0.8μm以上5.0μm以下でもよく、0.8μm以上4.0μm以下でもよく、0.8μm以上3.5μm以下でもよく、0.8μm以上3.0μm以下でもよく、0.8μm以上1.0μm以下でもよく、1.0μm以上5.0μm以下でもよく、1.0μm以上4.0μm以下でもよく、1.0μm以上3.5μm以下でもよく、1.0μm以上3.0μm以下でもよく、3.0μm以上5.0μm以下でもよく、3.0μm以上4.0μm以下でもよく、3.0μm以上3.5μm以下でもよく、3.5μm以上5.0μm以下でもよく、3.5μm以上4.0μm以下でもよく、4.0μm以上45.0μm以下でもよい。
【0067】
図6Aは、樹脂マスク部36の一例を示す断面図である。樹脂層30は、樹脂第1面31と樹脂壁面33とが成す角度である第1角度θ1と、樹脂第2面32と樹脂壁面33とが成す角度である第2角度θ2と、を有している。後述するように、第1開口34は、樹脂第1面31から樹脂第2面32に進行するドライエッチングによって樹脂層30を加工することによって形成される。ドライエッチングの工程は、樹脂層30を等方的にエッチングする等方性エッチング工程を含む。この場合、第2角度θ2は90度未満になる。
【0068】
第2角度θ2は、例えば、50度以上でもよく、60度以上でもよく、70度以上でもよい。第2角度θ2は、例えば、75度以下でもよく、80度以下でもよく、85度以下でもよい。第2角度θ2の範囲は、50度、60度及び70度からなる第1グループ、及び/又は、75度、80度及び85度からなる第2グループによって定められてもよい。第2角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2角度θ2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2角度θ2は、例えば、50度以上85度以下でもよく、50度以上80度以下でもよく、50度以上75度以下でもよく、50度以上70度以下でもよく、50度以上60度以下でもよく、60度以上85度以下でもよく、60度以上80度以下でもよく、60度以上75度以下でもよく、60度以上70度以下でもよく、70度以上85度以下でもよく、70度以上80度以下でもよく、70度以上75度以下でもよく、75度以上85度以下でもよく、75度以上80度以下でもよく、80度以上85度以下でもよい。
【0069】
第1角度θ1は、第2角度θ2よりも大きくてもよい。第1角度θ1は、90度よりも大きくてもよく、90度よりも小さくてもよい。第1角度θ1は、例えば、60度以上でもよく、70度以上でもよく、75度以上でもよい。第1角度θ1は、例えば、85度以下でもよく、100度以下でもよく、115度以下でもよい。第1角度θ1の範囲は、60度、70度及び75度からなる第1グループ、及び/又は、85度、100度及び115度からなる第2グループによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1は、例えば、60度以上115度以下でもよく、60度以上100度以下でもよく、60度以上85度以下でもよく、60度以上75度以下でもよく、60度以上70度以下でもよく、70度以上115度以下でもよく、70度以上100度以下でもよく、70度以上85度以下でもよく、70度以上75度以下でもよく、75度以上115度以下でもよく、75度以上100度以下でもよく、75度以上85度以下でもよく、85度以上115度以下でもよく、85度以上100度以下でもよく、100度以上115度以下でもよい。
【0070】
等方性エッチングによって第1開口34が形成される場合、第2角度θ2と90度との差が、第1角度θと90度との差よりも大きくなる可能性が高い。すなわち、第2絶対値が、第1絶対値よりも大きくなる可能性が高い。第1絶対値は、90度から第1角度θ1を引いた値の絶対値である。第2絶対値は、90度から第2角度θ2を引いた値の絶対値である。
【0071】
第2絶対値から第1絶対値を引いた値は、例えば、5度以上でもよく、10度以上でもよく、15度以上でもよい。第2絶対値から第1絶対値を引いた値は、例えば、20度以下でもよく、30度以下でもよく、40度以下でもよい。第2絶対値から第1絶対値を引いた値の範囲は、5度、10度及び15度からなる第1グループ、及び/又は、20度、30度及び40度からなる第2グループによって定められてもよい。第2絶対値から第1絶対値を引いた値の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2絶対値から第1絶対値を引いた値の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2絶対値から第1絶対値を引いた値の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2絶対値から第1絶対値を引いた値は、例えば、5度以上40度以下でもよく、5度以上30度以下でもよく、5度以上20度以下でもよく、5度以上15度以下でもよく、5度以上10度以下でもよく、10度以上40度以下でもよく、10度以上30度以下でもよく、10度以上20度以下でもよく、10度以上15度以下でもよく、15度以上40度以下でもよく、15度以上30度以下でもよく、15度以上20度以下でもよく、20度以上40度以下でもよく、20度以上30度以下でもよく、30度以上40度以下でもよい。
【0072】
図6Aに示すように、第1開口34は、樹脂第1面31において第1寸法S1を有し、樹脂第2面32において第2寸法S2を有し、中間位置において第3寸法S3を有する。中間位置は、樹脂層30の厚み方向における、樹脂第1面31と樹脂第2面32の中間の位置である。第1寸法S1、第2寸法S2及び第3寸法S3はいずれも、平面視において複数の第1開口34が並ぶ方向における、第1開口34の寸法である。
【0073】
図6Aに示すように、第1寸法S1は、第2寸法S2及び第3寸法S3よりも大きくてもよい。第3寸法S3は、第2寸法S2よりも大きくてもよい。
【0074】
第2寸法S2は、例えば、1μm以上でもよく、2μm以上でもよく、3μm以上でもよい。第2寸法S2は、例えば、5μm以下でもよく、10μm以下でもよく、25μm以下でもよい。第2寸法S2の範囲は、1μm、2μm及び3μmからなる第1グループ、及び/又は、5μm、10μm及び25μmからなる第2グループによって定められてもよい。第2寸法S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2寸法S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2寸法S2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2寸法S2は、例えば、1μm以上25μm以下でもよく、1μm以上10μm以下でもよく、1μm以上5μm以下でもよく、1μm以上3μm以下でもよく、1μm以上2μm以下でもよく、2μm以上25μm以下でもよく、2μm以上10μm以下でもよく、2μm以上5μm以下でもよく、2μm以上3μm以下でもよく、3μm以上25μm以下でもよく、3μm以上10μm以下でもよく、3μm以上5μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよい。
【0075】
第2寸法S2に対する第3寸法S3の比率であるS3/S2は、例えば、1.01以上でもよく、1.03以上でもよく、1.05以上でもよい。S3/S2は、例えば、1.10以下でもよく、1.20以下でもよく、1.30以下でもよい。S3/S2の範囲は、1.01、1.03及び1.05からなる第1グループ、及び/又は、1.10、1.20及び1.30からなる第2グループによって定められてもよい。S3/S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。S3/S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S3/S2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S3/S2は、例えば、1.01以上1.30以下でもよく、1.01以上1.20以下でもよく、1.01以上1.10以下でもよく、1.01以上1.05以下でもよく、1.01以上1.03以下でもよく、1.03以上1.30以下でもよく、1.03以上1.20以下でもよく、1.03以上1.10以下でもよく、1.03以上1.05以下でもよく、1.05以上1.30以下でもよく、1.05以上1.20以下でもよく、1.05以上1.10以下でもよく、1.10以上1.30以下でもよく、1.10以上1.20以下でもよく、1.20以上1.30以下でもよい。
【0076】
第2寸法S2に対する第1寸法S1の比率であるS1/S2は、例えば、1.01以上でもよく、1.05以上でもよく、1.10以上でもよい。S1/S2は、例えば、1.20以下でもよく、1.30以下でもよく、1.50以下でもよい。S1/S2の範囲は、1.01、1.05及び1.10からなる第1グループ、及び/又は、1.20、1.30及び1.50からなる第2グループによって定められてもよい。S1/S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。S1/S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S1/S2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S1/S2は、例えば、1.01以上1.50以下でもよく、1.01以上1.30以下でもよく、1.01以上1.20以下でもよく、1.01以上1.10以下でもよく、1.01以上1.05以下でもよく、1.05以上1.50以下でもよく、1.05以上1.30以下でもよく、1.05以上1.20以下でもよく、1.05以上1.10以下でもよく、1.10以上1.50以下でもよく、1.10以上1.30以下でもよく、1.10以上1.20以下でもよく、1.20以上1.50以下でもよく、1.20以上1.30以下でもよく、1.30以上1.50以下でもよい。
【0077】
図6Bは、樹脂マスク部36のその他の一例を示す断面図である。図6Bに示すように、第1寸法S1は、第3寸法S3よりも小さくてもよい。このような第1開口34は、図6Aの場合に比べて等方性エッチングの時間を長くすることによって形成されてもよい。
【0078】
図6Bに示す例において、S1/S2は、例えば、0.90以上でもよく、0.95以上でもよく、0.98以上でもよい。S1/S2は、例えば、1.02以下でもよく、1.05以下でもよく、1.10以下でもよい。S1/S2の範囲は、0.90、0.95及び0.98からなる第1グループ、及び/又は、1.02、1.05及び1.10からなる第2グループによって定められてもよい。S1/S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。S1/S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S1/S2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S1/S2は、例えば、0.90以上1.10以下でもよく、0.90以上1.05以下でもよく、0.90以上1.02以下でもよく、0.90以上0.98以下でもよく、0.90以上0.95以下でもよく、0.95以上1.10以下でもよく、0.95以上1.05以下でもよく、0.95以上1.02以下でもよく、0.95以上0.98以下でもよく、0.98以上1.10以下でもよく、0.98以上1.05以下でもよく、0.98以上1.02以下でもよく、1.02以上1.10以下でもよく、1.02以上1.05以下でもよく、1.05以上1.10以下でもよい。
【0079】
図6Bに示す例において、第2寸法S2の数値範囲、及びS3/S2の数値範囲としては、図6Aに示す例における上述の数値範囲を採用できる。
【0080】
図6Bに示すように、第1角度θ1は、90度未満であってもよい。第1角度θ1は、例えば、50度以上でもよく、60度以上でもよく、70度以上でもよい。第1角度θ1は、例えば、75度以下でもよく、80度以下でもよく、85度以下でもよい。第1角度θ1の範囲は、50度、60度及び70度からなる第1グループ、及び/又は、75度、80度及び85度からなる第2グループによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1は、例えば、50度以上85度以下でもよく、50度以上80度以下でもよく、50度以上75度以下でもよく、50度以上70度以下でもよく、50度以上60度以下でもよく、60度以上85度以下でもよく、60度以上80度以下でもよく、60度以上75度以下でもよく、60度以上70度以下でもよく、70度以上85度以下でもよく、70度以上80度以下でもよく、70度以上75度以下でもよく、75度以上85度以下でもよく、75度以上80度以下でもよく、80度以上85度以下でもよい。
【0081】
図6Bに示す例において、第2角度θ2の数値範囲としては、図6Aに示す例における上述の数値範囲を採用できる。
【0082】
第1角度θ1、第2角度θ2、第1寸法S1、第2寸法S2及び第3寸法S3は、マスク20のサンプルの断面画像に基づいて算出される。断面画像は、25個の第1開口34並びにそれらに隣接する樹脂層30における測定結果を平均することにより算出される。25個の第1開口34は、平面視における第1開口群35の中央に位置する、5列×5列の第1開口34の集合である。断面画像は、走査型電子顕微鏡を用いてサンプルの断面を観察することによって算出される。走査型電子顕微鏡としては、ZEISS製の走査型電子顕微鏡 ULTRA55を用いる。
【0083】
無機層40について詳細に説明する。図5に示すように、無機層40は、樹脂層30の周囲部37の樹脂第1面31の少なくとも一部を覆っている。無機層40は、樹脂層30の周囲部37の樹脂第1面31の全てを覆っていてもよい。図示された例では、無機層40は、平面視において、少なくとも1つの第3開口48を含む。第3開口48は、無機層40を貫通している。無機層40は、複数の第3開口48を含んでいてもよい。第3開口48は、平面視において、樹脂層30の樹脂マスク部36に重なっている。すなわち、第3開口48は、平面視において、複数の第1開口34に重なっている。
【0084】
無機層40のうち、平面視において樹脂層30の周囲部37に重なる部分を、金属周囲部47とも称する。無機層40は、少なくとも1つの金属周囲部47を含む。図3乃至図5に示す例では、無機層40は、金属周囲部47から成る。
【0085】
無機層40は、例えば、金属材料、セラミックス又はその他の無機化合物からなる。金属材料は、例えば、ニッケル又は銅を含む。ニッケルを含む金属材料の具体例は、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などである。セラミックスは、例えば窒化チタンである。
無機層40に含まれる無機元素は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ゲルマニウム(Ge)、イリジウム(Ir)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、アンチモン(Sb)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)などである。無機層40は、これらの無機元素の化合物又は合金を含んでもよい。無機層40は、これらの無機元素を2種以上含んでもよい。無機層40は、これらの無機元素の化合物又は合金を2種以上含んでもよい。2種以上の無機元素、2種以上の化合物又は合金は、混合された状態で無機層40に含まれてもよく、積層された状態で無機層40に含まれてもよい。
無機元素の化合物又は合金は、アルミ・ネオジム合金(Al-Nd)、酸化アルミニウム(Al2O3)、アルミニウム銅合金(Al-Cu)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミニウム・シリコン化合物(AlSi)、アルミニウム・シリコン合金(Al-Si)、アルミニウム・シリコン・銅合金(Al-Si-Cu)、窒化ホウ素(BN)、酸化セリウム(CeO2)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、マグネシウム(Mg)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化モリブデン(MoO3)、硫化モリブデン(MoS)、ニッケル・クロム合金(Ni-Cr)、ニッケル・鉄化合物(NiFe)、多結晶シリコン(Poly-Si)、白金(Pt)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)、シリコン・ゲルマニウム合金(Si-Ge)、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiON)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化タンタル(TaN)、炭化チタン(TiC)、チタン・ニッケル合金又はチタン・ニッケル化合物(Ti-Ni)、二酸化チタン(TiO2)、チタン・タングステン合金又はチタン・タングステン化合物(Ti-W)、タングステン・ケイ素合金又はタングステン・ケイ素化合物(W-Si)、酸化イットリウム(Y2O3)、YBCO(YBa2Cu3O7)、亜鉛(Zn)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ジルコニウム(ZrN)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)などである。
【0086】
無機層40の厚みT40については、特に限定はない。無機層40の厚みT40は、例えば0.05μm以上である。後述するドライエッチング工程で無機層40が破断したり変形したりする虞が効果的に低減されるよう、厚みT40は、0.5μm以上又は1.0μm以上であることがより好ましく、1.2μm以上であることが更に好ましく、1.5μm以上であることが特に好ましい。一方、後述するドライエッチング工程で樹脂層30の第1開口34を高精細に形成する観点から、無機層40の厚みT40は、10.0μm以下であることが好ましく、8.0μm以下であることがより好ましく、7.0μm以下であることがより好ましく、6.0μm以下であることが特に好ましい。
【0087】
無機層40の第3開口48は、無機第1面41と無機第2面42の間で膨大してもよい。言い換えると、第3開口48の壁面は、無機層40の面方向に窪む凹部を有してもよい。この場合、無機第1面41における第3開口48の寸法、及び無機第2面42における第3開口48の寸法が、無機第1面41と無機第2面42の間の中間位置における第3開口48の寸法よりも小さい。このような第3開口48は、後述するように、無機層40をエッチングする際のサイドエッチングに起因して形成され得る。
【0088】
支持フレーム50について詳細に説明する。支持フレーム50は、無機層40の無機第1面41に設けられている。支持第2面52は、無機第1面41及び樹脂第1面31に対向している。支持第1面51は、マスク20の入射面201を構成する。支持フレーム50は、樹脂層30及び無機層40を支持する。
【0089】
支持フレーム50は、樹脂層30が撓まないように、樹脂層30を、その面方向に引っ張った状態で支持してもよい。支持フレーム50は、樹脂層30の周囲部37の樹脂第1面31の少なくとも一部を覆っている。支持フレーム50は、樹脂層30の周囲部37の樹脂第1面31の全てを覆っていてもよい。支持フレーム50は、平面視において、少なくとも1つの第2開口54を含む。第2開口54は、支持フレーム50を貫通している。支持フレーム50は、複数の第2開口54を含んでいてもよい。第2開口54は、樹脂層30の樹脂マスク部36に重なる。すなわち、第2開口54は、平面視において、複数の第1開口34に重なっている。
【0090】
第2開口54は、平面視において無機層40の第3開口48と重なっている。平面視において支持フレーム50の第2開口54及び無機層40の第3開口48が樹脂マスク部36に重なっていることにより、マスク20を支持フレーム50から樹脂層30に向かう方向に見て、樹脂マスク部36の樹脂第1面31が第2開口54及び第3開口48内に露出している。
【0091】
支持フレーム50は、複数の層を含んでいてもよい。図5に示す例では、支持フレーム50は、支持第1面51を形成する第1層55と、第1層55と支持第2面52との間に位置する第2層56とを含んでいる。図示された例では、第2層56は、支持フレーム50の支持第2面52を形成する。第2層56は、無機層40に接していてもよい。また、図示された例では、第2層56は、第1層55上に形成されている。言い換えると、第2層56は、第1層55に接している。支持フレーム50が第1層55及び第2層56を含む場合、第1層55及び第2層56は、それぞれ、第2開口54に対応する第1層開口54a及び第2層開口54bを含む。この場合、第1層開口54aと第2層開口54bとは、互いに接続している。このような第1層開口54aと第2層開口54bによって、支持フレーム50を貫通する第2開口54が形成される。
【0092】
支持フレーム50の材料について特に限定はない。支持フレーム50は、例えば、無機物を含む材料で形成される。支持フレーム50の材料として、剛性が大きい金属材料、例えば、SUS、インバー材、セラミック材料などを用いてもよい。金属製の支持フレーム50は、変形等の影響が小さいという点で好ましい。
【0093】
支持フレーム50が第1層55及び第2層56を含む場合、第1層55は、非金属の無機物を含んでいてもよい。また、第2層56は、金属材料を含んでいてもよい。後述するように、第1層開口54aが、エッチャントを用いて第1層55をエッチングすることにより形成される場合、第2層56は、当該エッチャントに対する耐性を有する材料で形成されてよい。この場合、第2層56は、第1層55のエッチングをストップさせるストッパ層として機能してもよい。第2層56は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン又はチタン合金を含んでいてもよい。
【0094】
支持フレーム50の厚みT50についても特に限定はない。好ましくは、支持フレーム50の厚みT50は、剛性等の点から0.3mm以上である。
【0095】
図5に示すように、支持フレーム50が第1層55及び第2層56を含む場合、第1層55の厚みT55は、例えば、20μm以上でもよく、100μm以上でもよく、500μm以上でもよく、1000μm以上でもよい。厚みT55は、例えば、2000μm以下でもよく、3000μm以下でもよく、4000μm以下でもよく、5000μm以下でもよい。厚みT55の範囲は、20μm、100μm、500μm及び1000μmからなる第1グループ、及び/又は、2000μm、3000μm、4000μm及び5000μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT55の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT55の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT55の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT55は、例えば、20μm以上5000μm以下でもよく、20μm以上4000μm以下でもよく、20μm以上3000μm以下でもよく、20μm以上2000μm以下でもよく、20μm以上1000μm以下でもよく、20μm以上500μm以下でもよく、20μm以上100μm以下でもよく、100μm以上5000μm以下でもよく、100μm以上4000μm以下でもよく、100μm以上3000μm以下でもよく、100μm以上2000μm以下でもよく、100μm以上1000μm以下でもよく、100μm以上500μm以下でもよく、500μm以上5000μm以下でもよく、500μm以上4000μm以下でもよく、500μm以上3000μm以下でもよく、500μm以上2000μm以下でもよく、500μm以上1000μm以下でもよく、1000μm以上5000μm以下でもよく、1000μm以上4000μm以下でもよく、1000μm以上3000μm以下でもよく、1000μm以上2000μm以下でもよく、2000μm以上5000μm以下でもよく、2000μm以上4000μm以下でもよく、2000μm以上3000μm以下でもよく、3000μm以上5000μm以下でもよく、3000μm以上4000μm以下でもよく、4000μm以上5000μm以下でもよい。
【0096】
第2層56の厚みT56は、第1層55をエッチングする工程において無機層40及び樹脂層30がエッチングされることを抑制できる限り、特には限定されない。例えば、厚みT56は、無機層40及び樹脂層30の厚みよりも小さくてもよく、無機層40及び樹脂層30の厚み以上でもよい。厚みT56は、例えば、0.05μm以上でもよく、0.10μm以上でもよく、0.15μm以上でもよく、0.20μm以上でもよい。厚みT56は、例えば、0.5μm以下でもよく、1.0μm以下でもよく、2.0μm以下でもよく、5.0μm以下でもよい。厚みT56の範囲は、0.05μm、0.10μm、0.15μm及び0.20μmからなる第1グループ、及び/又は、0.5μm、1.0μm、2.0μm及び5.0μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT56の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT56の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT56の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT56は、例えば、0.05μm以上5.0μm以下でもよく、0.05μm以上2.0μm以下でもよく、0.05μm以上1.0μm以下でもよく、0.05μm以上0.5μm以下でもよく、0.05μm以上0.20μm以下でもよく、0.05μm以上0.15μm以下でもよく、0.05μm以上0.10μm以下でもよく、0.10μm以上5.0μm以下でもよく、0.10μm以上2.0μm以下でもよく、0.10μm以上1.0μm以下でもよく、0.10μm以上0.5μm以下でもよく、0.10μm以上0.20μm以下でもよく、0.10μm以上0.15μm以下でもよく、0.15μm以上5.0μm以下でもよく、0.15μm以上2.0μm以下でもよく、0.15μm以上1.0μm以下でもよく、0.15μm以上0.5μm以下でもよく、0.15μm以上0.20μm以下でもよく、0.20μm以上5.0μm以下でもよく、0.20μm以上2.0μm以下でもよく、0.20μm以上1.0μm以下でもよく、0.20μm以上0.5μm以下でもよく、0.5μm以上5.0μm以下でもよく、0.5μm以上2.0μm以下でもよく、0.5μm以上1.0μm以下でもよく、1.0μm以上5.0μm以下でもよく、1.0μm以上2.0μm以下でもよく、2.0μm以上5.0μm以下でもよい。第1層55用のエッチャントに対する第2層56の耐性が高いほど、厚みT56を小さくできる。
【0097】
支持フレーム50の各第2開口54は、支持第1面51及び支持第2面52の間で膨大してもよい。言い換えると、第2開口54の壁面は、マスク20の面方向に窪む凹部を有してもよい。この場合、支持第1面51における第2開口54の寸法、及び支持第2面52における第2開口54の寸法が、支持第1面51と支持第2面52の間の中間位置における第2開口54の寸法よりも小さい。このような第2開口54は、後述するように、支持フレーム50を形成する材料で形成された支持層57をエッチングする際のサイドエッチングに起因して形成され得る。支持フレーム50が第1層55及び第2層56を含む場合、第1層開口54aは、支持第1面51と第2層56との間で膨大してもよい。第2層開口54bは、第1層55と支持第2面52との間で膨大してもよい。
【0098】
支持フレーム50が第1層55及び第2層56を含む場合、支持フレーム50の厚みは、6.0mm以下であってもよい。各層の厚みは、走査型電子顕微鏡を用いてマスク20の断面の画像を観察することによって測定される。
【0099】
図示はしないが、支持フレーム50の支持層57は、金属材料によって構成されていてもよい。この場合、支持層57の厚みは、支持層57が第1層55及び第2層56を含む場合に比べて大きくてもよい。支持フレーム50の厚みは、70.0mm以下であってもよい。
【0100】
次に、マスク20を製造する方法について説明する。まず、支持層準備工程を実施する。具体的には、図7に示すように、支持層57を準備する。支持層57は、支持フレーム50を形成する材料で形成される。図示された例では、まず、第1層55を構成する基材を準備する。続いて、第1層55の一方の面上に第2層56を形成する。第2層56は、第1層55の当該一方の面の全面に形成されてよい。第2層56は、第1層55用のエッチャントに対する耐性を有する材料により形成される。第2層56は、例えば、スパッタリング法などの真空成膜法によって形成されてもよい。以上により、支持層57が形成される。支持層57は、支持第1面51及び支持第2面52を含む。支持第1面51は、第1層55によって構成されてもよい。支持第2面52は、第2層56によって構成されてもよい。
【0101】
続いて、積層体準備工程を実施する。具体的には、無機層40及び樹脂層30を含む積層体25を準備する。図示された例では、まず、図8に示すように、支持層57の支持第2面52上に無機層40を形成する。無機層40は、支持第2面52の全面に形成されてよい。無機層40は、例えば、スパッタリング法などの真空成膜法により形成されてもよく、めっき法によって形成されてもよい。無機層40は、支持層57に対向する無機第1面41と、無機第1面41の反対側の面である無機第2面42と、を有する。
【0102】
続いて、図9に示すように、無機層40の無機第2面42上に、第1レジスト層60を部分的に形成する。第1レジスト層60は、複数の第1レジスト開口61を有する。第1レジスト開口61は、樹脂層30の複数の第1開口34に対応して形成される。第1レジスト層60は、公知の方法により形成されてよい。具体的には、第1レジスト層60を形成するための材料である第1レジスト層材料を準備し、これを無機層40の無機第2面42上に部分的に塗工する。続いて、無機第2面42上の第1レジスト層材料を露光し、この第1レジスト層材料を現像する。これにより、複数の第1レジスト開口61を有する第1レジスト層60が形成される。
【0103】
続いて、図10に示すように、第1レジスト層60の側から無機層40をエッチングして、無機層40を部分的に除去する。無機層40のエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行ってもよいし、エッチング液を用いたウェットエッチングにより行ってもよい。エッチングガスおよびエッチング液は、上述のエッチャントの一例である。無機層40を部分的に除去することにより、無機層40に複数の開口44が形成される。以下では、この開口44を無機開口とも称する。各無機開口44は、無機第1面41から無機第2面42に至る。上述したように第1レジスト開口61が樹脂層30の複数の第1開口34に対応して形成されているため、複数の無機開口44は、複数の第1開口34に対応して形成される。無機層40は、樹脂マスク部36の樹脂第1面31を覆う遮蔽部46と、無機層40の平面視において遮蔽部46を囲む金属周囲部47と、を含む。図示された例では、無機層40は、複数の樹脂マスク部36に対応する複数の遮蔽部46を含む。各遮蔽部46は、複数の無機開口44を含む。各遮蔽部46の複数の無機開口44は、第3開口群45を形成する。第3開口群45は、上述した樹脂層30の第1開口群35に対応する。無機層40に無機開口44を形成した後、無機層40から第1レジスト層60を除去する。第1レジスト層60は、例えば、レジスト処理液を用いて除去できる。
【0104】
続いて、図11に示すように、無機層40の無機第2面42上に樹脂層30を形成する。樹脂層30は、例えば、スピンコート法などのコーティング法によって形成されてもよい。樹脂層30は、無機第2面42及び複数の無機開口44を覆うように形成される。樹脂層30は、無機第2面42の全面に形成されてよい。樹脂層30の一部によって無機開口44が埋められてもよい。樹脂層30は、無機第2面42に対向する樹脂第1面31と、樹脂第1面31の反対側の面である樹脂第2面32と、を含む。
【0105】
樹脂層30の材料を無機層40上にコーティングした後、樹脂層30を加熱する加熱工程を実施してもよい。これにより、樹脂層30を固化させることができる。例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を無機層40上にコーティングした後、加熱工程を実施することにより、イミド化反応を生じさせることができる。これにより、ポリイミドを含む樹脂層30を形成できる。
【0106】
以上により、複数の無機開口44を含む無機層40と、無機第2面42及び複数の無機開口44を覆う樹脂層30と、を含む積層体25が、形成される。
【0107】
続いて、保護層形成工程を実施する。具体的には、図12に示すように、積層体25の面上に保護層63を形成する。保護層63は、樹脂層30を保護するための層である。保護層63は、樹脂層30の樹脂第2面32に形成される。保護層63を形成する材料は、樹脂層30を保護することができる限りにおいて、特に限定されない。保護層63は、無機層40を形成する材料と同じ材料で形成されてよい。保護層63は、例えば、スパッタリング法などの真空成膜法により形成されてよい。保護層63の厚みは、樹脂層30を保護することができる限りにおいて、特に限定されない。保護層63の厚みは、例えば、0.1μm以上であってよく、0.5μm以上であってもよく、1.0μm以上であってもよい。
【0108】
続いて、支持フレーム形成工程を実施する。具体的には、支持層57を加工することによって支持フレーム50を形成する。図示された例では、図13に示すように、支持層57の支持第1面51に、第2レジスト層65を部分的に形成する。第2レジスト層65は、第2レジスト開口66を有する。第2レジスト開口66は、支持フレーム50の第2開口54に対応して形成される。図示された例では、支持フレーム50に複数の第2開口54が形成されるよう、第2レジスト層65は、複数の第2レジスト開口66を有する。第2レジスト層65は、公知の方法により形成されてよい。具体的には、第2レジスト層65を形成するための材料である第2レジスト層材料を準備し、支持第1面51上に部分的に塗工する。続いて、支持第1面51上の第2レジスト層材料を露光し、第2レジスト層材料を現像する。これにより、支持第1面51上に、第2レジスト開口66を有する第2レジスト層65が形成される。
【0109】
続いて、図14に示すように、第2レジスト層65の側から支持層57の第1層55をエッチングし、第1層55を部分的に除去する。これにより、図14に示すように、第1層55に、第1層開口54aが形成される。第1層55のエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングであってもよい。エッチングガスは、上述のエッチャントの一例である。第2層56がエッチャントに対する耐性を有するので、図14に示すように、エッチングが無機層40及び樹脂層30まで進行することを抑制できる。
【0110】
続いて、図15に示すように、第2層56をエッチングして、第2層56を部分的に除去する。これにより、第2層56に第2層開口54bが形成される。第2層56のエッチングは、第1層開口54aに第2層56用のエッチャントを供給することにより行ってよい。これにより、第1層開口54aに接続した第2層開口54bが形成される。第2層56のエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行ってもよいし、エッチング液を用いたウェットエッチングにより行ってもよい。
【0111】
第1層開口54a及び第2層開口54bにより、支持層57を貫通する第2開口54が形成される。この結果、無機層40の遮蔽部46の無機第1面41が、第2開口54内に露出する。第2開口54は、支持フレーム50の平面視において、遮蔽部46の複数の無機開口44に重なる。一方で、金属周囲部47は、支持層57に覆われたままである。第1層開口54aを形成した後、或いは第2層開口54bを形成した後、第2レジスト層65を除去する。第2レジスト層65は、例えば、レジスト処理液を用いて除去できる。以上により、支持フレーム50が形成される。
【0112】
続いて、第1ドライエッチング工程を実施する。具体的には、図16に示すように、プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスP1に、無機層40の遮蔽部46の無機第1面41をさらす。無機層40は、エッチングガスP1に対する耐性を有する。エッチングガスP1は、無機層40に重なっていない樹脂層30をエッチングする。エッチングは、樹脂第1面31から樹脂第2面32に進行する。これにより、樹脂層30に、複数の無機開口44に対応する複数の第1開口34が形成される。複数の第1開口34が、無機層40の第3開口群45と重なる第1開口群35を構成する。
【0113】
エッチングガスP1によるエッチングは、等方性エッチングであってもよい。すなわち、第1ドライエッチング工程は、等方性エッチング工程を含んでもよい。等方性エッチングにおいては、エッチングの反応が複数の方向において進行する。例えば、エッチングは、樹脂層30の厚み方向、及び樹脂第1面31の面方向のいずれにおいても進行する。樹脂第1面31の位置においては、樹脂第2面32の位置に比べて、樹脂第1面31の面方向におけるエッチングの進行量が大きい。この結果、図6Aに示すように、樹脂第1面31における第1開口34の第1寸法S1が、樹脂第2面32における第1開口34の第2寸法S2よりも大きい。
【0114】
図17は、第1ドライエッチング工程を実施するためのドライエッチング装置70Aの一例を示す断面図である。ドライエッチング装置70Aは、第1電極71及び第2電極72を備える。第2電極72は、第1電極71に対向していてもよい。樹脂層30の樹脂第2面32が第1電極71に対向するよう、積層体25が第1電極71上に配置される。処理ガスF1が第2電極72に導入されてもよい。処理ガスF1は、第1電極71と第2電極72との間の空間へ第2電極72から噴出されてもよい。排気ガスF2が第1電極71の下方から外部へ排出されてもよい。
【0115】
処理ガスF1によって樹脂層30をドライエッチングできる限り、処理ガスF1は特には限られない。処理ガスF1は、希ガスでもよく、パーフルオロカーボン(PFC)ガスでもよく、ハイドロフルオロカーボン(HFC)ガスでもよく、クロロフルオロカーボン(CFC)ガスでもよく、その他のフルオロカーボンガスでもよく、フッ素を含まない有機ハロゲンガスでもよく、無機ハロゲンガスでもよく、炭化水素系ガスでもよい。希ガスは、Ar、He、Xe、Ne、Krなどである。PFCガスは、CF、C、C、C、C12、C、C、Cなどである。HFCガスは、CHF、CH、CHF、C、C、CHF、C、CFなどである。CFCガスは、CCl、CClF、CClF、CHClF、CHClF、CClF、CCl、CCl、CCl、CHClFCFなどである。その他のフルオロカーボンガスは、(CFCO)、(CFO、CBrF、(CBrF、CIなどである。フッ素を含まない有機ハロゲンガスは、CCl、CHCl、CBrCl、CCl、CCl、CHCl、CHCl、CHI、CI、CI、COClなどである。無機ハロゲンガスは、SF、NF、SiF、HF、F、ClF、Cl、HCl、BCl、SiCl、Br、HBr、BBr、BrF、I、HI、IBr、ICl、IFなどである。炭化水素系ガスは、CH、C、C、C、CHOH、(CHOなどである。その他にも、処理ガスF1として、O、H、N、CO、CO、NH、O、HO、NO、NO、SiH、B、SOなどが用いられてもよい。
【0116】
図17に示すように、第1電極71が設置電位73に接続され、第2電極72に交流電圧74が加えられてもよい。この場合、プラズマ化した処理ガスF1を含むエッチングガスP1は、主に、ラジカル反応によるエッチングを行う。積層体25の無機第1面41がエッチングガスP1にさらされることにより、樹脂層30が等方的にエッチングされる。
【0117】
第1ドライエッチング工程は、励起されたオゾンを含むエッチングガスP1を利用して実施されてもよい。オゾンに紫外線が照射されると、オゾンが励起されて酸素ラジカルが発生する。励起されたオゾンを含むエッチングガスP1に、無機層40の遮蔽部46の無機第1面41をさらすことによっても、樹脂層30を等方的にエッチングできる。
【0118】
本実施の形態では、樹脂層30を部分的に加工して複数の第1開口34を形成するためのマスクとして機能する無機層40が樹脂層30と共に積層体25を構成した状態で、樹脂層30のドライエッチング処理が実施される。このため、1つの有機デバイス100に対応する1つの第1開口群35の複数の第1開口34が、一括で形成される。
【0119】
比較の形態として、レーザ加工用マスクの移動とレーザ光の照射とを繰り返して1つの第1開口群35の複数の第1開口34を形成する場合を考える。この場合、樹脂層30に対するレーザ加工用マスクの位置が理想位置からずれて第1開口34の位置精度が低下する、という事態が生じる。また、レーザ加工用マスクの移動とレーザ光の照射とを繰り返すので、工程に要する時間も長くなる。
【0120】
これに対して、本実施の形態によれば、1つの第1開口群35の複数の第1開口34を一括で形成できるので、第1開口34の位置精度を高めることができる。また、工程に要する時間も短くなる。
【0121】
続いて、遮蔽部除去工程を実施する。具体的には、無機層40のうち、第2開口54内に露出した部分、すなわち遮蔽部46をエッチングする。これにより、無機層40に第3開口48が形成される。遮蔽部46のエッチングは、第2開口54に無機層40用のエッチャントを供給することにより行ってよい。これにより、第2開口54に接続した第3開口48が形成される。遮蔽部46のエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行ってもよいし、エッチング液を用いたウェットエッチングにより行ってもよい。第2開口54が第3開口48に接続されることにより、樹脂層30の樹脂マスク部36が、第2開口54及び第3開口48内に露出する。遮蔽部46のエッチングによって、支持層57をエッチングする際に遮蔽部46に付着した残留物を、遮蔽部46と共に除去することができる。なお、金属周囲部47は、支持フレーム50と樹脂層30とによって覆われているため遮蔽部除去工程で除去されず、支持フレーム50と樹脂層30との間に残る。
【0122】
また、保護層除去工程を実施する。保護層除去工程では、保護層63を除去する。保護層63は、例えば、エッチングにより除去できる。保護層63のエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行ってもよいし、エッチング液を用いたウェットエッチングにより行ってもよい。保護層63は、無機層40をエッチングするエッチャントによって、無機層40と共に除去されてもよい。言い換えると、遮蔽部除去工程と保護層除去工程が同時に実施されてもよい。さらに言い換えると、遮蔽部除去工程において保護層63が除去されてもよい。この場合、保護層63は、無機層40と同じ材料で形成されることが好ましい。
【0123】
以上により、図5に示す、貫通孔21が形成されたマスク20が製造される。
【0124】
上述した一実施形態を様々に変更できる。以下、必要に応じて図面を参照しながら、その他の実施形態について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した一実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の一実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いる。重複する説明は省略する。また、上述した一実施形態において得られる作用効果がその他の実施形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略する場合もある。
【0125】
(第2の例)
上述の実施の形態においては、遮蔽部除去工程で無機層40の遮蔽部46が除去され、この結果、マスク20が遮蔽部46を含まない例を示した。しかしながら、図18に示すように、マスク20は遮蔽部46を有していてもよい。言い換えると、マスク20の製造工程において、遮蔽部除去工程は実施されなくてもよい。この場合、マスク20の貫通孔21は、互いに連続する第1開口34と無機開口44とによって形成される。マスク20が遮蔽部46を含むことにより、蒸着装置10内において、遮蔽部46を磁力によって磁石5に向けて引き寄せることができ、したがって、樹脂マスク部36を磁石5に向けて引き寄せることができる。これにより、マスク20の貫通孔21が設けられた領域と基板110との間の隙間を低減したり、隙間をなくしたりできる。このことにより、蒸着工程においてシャドウが発生することを抑制できる。
【0126】
マスク20が遮蔽部46を含む場合、無機層40の厚みT40と樹脂層30の厚みT30との和は、例えば、2.0μm以上でもよく、2.5μm以上でもよく、3.0μm以上でもよく、4.0μm以上でもよい。厚みT40と厚みT30との和は、例えば、6.0μm以下でもよく、7.0μm以下でもよく、8.0μm以下でもよく、10.0μm以下でもよい。厚みT40と厚みT30との和の範囲は、2.0μm、2.5μm、3.0μm及び4.0μmからなる第1グループ、及び/又は、6.0μm、7.0μm、8.0μm及び10.0μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT40と厚みT30との和の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT40と厚みT30との和の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT40と厚みT30との和の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT40と厚みT30との和は、例えば、2.0μm以上10.0μm以下でもよく、2.0μm以上8.0μm以下でもよく、2.0μm以上7.0μm以下でもよく、2.0μm以上6.0μm以下でもよく、2.0μm以上4.0μm以下でもよく、2.0μm以上3.0μm以下でもよく、2.0μm以上2.5μm以下でもよく、2.5μm以上10.0μm以下でもよく、2.5μm以上8.0μm以下でもよく、2.5μm以上7.0μm以下でもよく、2.5μm以上6.0μm以下でもよく、2.5μm以上4.0μm以下でもよく、2.5μm以上3.0μm以下でもよく、3.0μm以上10.0μm以下でもよく、3.0μm以上8.0μm以下でもよく、3.0μm以上7.0μm以下でもよく、3.0μm以上6.0μm以下でもよく、3.0μm以上4.0μm以下でもよく、4.0μm以上10.0μm以下でもよく、4.0μm以上8.0μm以下でもよく、4.0μm以上7.0μm以下でもよく、4.0μm以上6.0μm以下でもよく、6.0μm以上10.0μm以下でもよく、6.0μm以上8.0μm以下でもよく、6.0μm以上7.0μm以下でもよく、7.0μm以上10.0μm以下でもよく、7.0μm以上8.0μm以下でもよく、8.0μm以上10.0μm以下でもよい。これにより、例えば画素数が3000ppi以上である有機ELディスプレイのための蒸着層を高精細なパターンで形成する際のシャドウの影響を、より効果的に低減できる。
【0127】
また、マスク20が遮蔽部46を含む場合、保護層63の材料として、無機層40の材料とは異なる材料が選択されることが好ましい。より具体的には、保護層63をエッチングする際のエッチャントによって無機層40が除去されることのないよう、保護層63の材料を選択することが好ましい。
【0128】
(第3の例)
上述の実施の形態においては、支持層57上に積層体25が形成された後、支持層57が加工されて支持フレーム50が形成される例を示した。図19に示すように、予め形成された支持フレーム50が、積層体25と組み合わされてもよい。例えば、支持フレーム50の支持第2面52に積層体25を配置する工程が実施されてもよい。この場合、支持フレーム50は、第2層56を含んでいなくてもよい。図20は、第2層56を含まないマスク20の一例を示す断面図である。
【0129】
(第4の例)
上述の実施の形態においては、支持フレーム50によって支持されている積層体25の樹脂層30がドライエッチングされる例を示した。図21に示すように、第1ドライエッチング工程は、支持フレーム50によって支持されていない積層体25の無機層40の無機第1面41をエッチングガスP1にさらしてもよい。図22は、図21に示す第1ドライエッチング工程の後、保護層63を除去することによって製造されたマスク20を示す断面図である。
【0130】
(第5の例)
図23図25を参照して、マスク20の製造方法の一例を説明する。まず、上述の実施の形態の場合と同様に、支持層57を準備する。続いて、図23に示すように、支持層57の支持第2面52上に積層体25を形成する積層体準備工程を実施する。積層体準備工程においては、まず、支持層57の支持第2面52上に樹脂層30を形成する。続いて、樹脂層30の樹脂第2面32上に無機層40を形成する。無機層40は、例えば、スパッタリング法などの真空成膜法により形成されてもよく、めっき法によって形成されてもよい。続いて、無機層40に複数の無機開口44を形成する。
【0131】
図23に示す積層体25において、樹脂層30は、支持層57に対向する樹脂第1面31と、樹脂第1面31の反対側の面である樹脂第2面32と、を含む。無機層40は、樹脂第2面32に対向する無機第1面41と、無機第1面41の反対側の面である無機第2面42と、を含む。
【0132】
続いて、第1ドライエッチング工程を実施する。具体的には、図24に示すように、プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスP2に、無機層40の遮蔽部46の無機第2面42をさらす。エッチングガスP2は、無機層40に重なっていない樹脂層30をエッチングする。エッチングは、樹脂第2面32から樹脂第1面31に進行する。これにより、樹脂層30に、複数の無機開口44に対応する複数の第1開口34が形成される。複数の第1開口34が、無機層40の第3開口群45と重なる第1開口群35を構成する。
【0133】
エッチングガスP2によるエッチングは、異方性エッチングであってもよい。すなわち、第1ドライエッチング工程は、異方性エッチング工程を含んでもよい。異方性エッチングにおいては、エッチングの反応が樹脂層30の厚み方向において優先的に進行する。
【0134】
続いて、図25に示すように、支持フレーム形成工程を実施する。すなわち、支持層57に第2開口54を形成することによって支持フレーム50を形成する。第2開口54は、平面視において複数の第1開口34に重なるよう形成される。続いて、無機層40の遮蔽部46を除去する遮蔽部除去工程を実施する。これにより、図26に示すように、マスク20が製造される。マスク20は、無機層40を備えていなくてもよい。
【0135】
図27は、樹脂マスク部36の一例を示す断面図である。異方性エッチングによって第1開口34が形成される場合、第1角度θ1及び第2角度θ2が90度に近い値になりやすい。
【0136】
第1角度θ及び第2角度θ2は、例えば、75度以上でもよく、80度以上でもよく、85度以上でもよい。第1角度θ及び第2角度θ2は、例えば、95度以下でもよく、100度以下でもよく、105度以下でもよい。第1角度θ及び第2角度θ2の範囲は、75度、80度及び85度からなる第1グループ、及び/又は、95度、100度及び105度からなる第2グループによって定められてもよい。第1角度θ及び第2角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ及び第2角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ及び第2角度θ2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ及び第2角度θ2は、例えば、75度以上105度以下でもよく、75度以上100度以下でもよく、75度以上95度以下でもよく、75度以上85度以下でもよく、75度以上80度以下でもよく、80度以上105度以下でもよく、80度以上100度以下でもよく、80度以上95度以下でもよく、80度以上85度以下でもよく、85度以上105度以下でもよく、85度以上100度以下でもよく、85度以上95度以下でもよく、95度以上105度以下でもよく、95度以上100度以下でもよく、100度以上105度以下でもよい。
【0137】
異方性エッチングによって第1開口34が形成される場合、第2寸法S2及び第3寸法S3が、第1寸法S1に近い値になりやすい。すなわち、第1寸法S1に対する第2寸法S2の比率であるS2/S1、及び第1寸法S1に対する第3寸法S3の比率であるS3/S1が、1.00に近い値になりやすい。
【0138】
S2/S1及びS3/S1は、例えば、0.90以上でもよく、0.95以上でもよく、0.98以上でもよい。S2/S1及びS3/S1は、例えば、1.02以下でもよく、1.05以下でもよく、1.10以下でもよい。S2/S1及びS3/S1の範囲は、0.90、0.95及び0.98からなる第1グループ、及び/又は、1.02、1.05及び1.10からなる第2グループによって定められてもよい。S2/S1及びS3/S1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。S2/S1及びS3/S1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S2/S1及びS3/S1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。S2/S1及びS3/S1は、例えば、0.90以上1.10以下でもよく、0.90以上1.05以下でもよく、0.90以上1.02以下でもよく、0.90以上0.98以下でもよく、0.90以上0.95以下でもよく、0.95以上1.10以下でもよく、0.95以上1.05以下でもよく、0.95以上1.02以下でもよく、0.95以上0.98以下でもよく、0.98以上1.10以下でもよく、0.98以上1.05以下でもよく、0.98以上1.02以下でもよく、1.02以上1.10以下でもよく、1.02以上1.05以下でもよく、1.05以上1.10以下でもよい。
【0139】
図28は、第1ドライエッチング工程を実施するためのドライエッチング装置70Bの一例を示す断面図である。樹脂層30の樹脂第1面31が第1電極71に対向するよう、積層体25が第1電極71上に配置される。
【0140】
図28に示すように、第1電極71に交流電圧74が加えられ、第2電極72が設置電位73に接続されてもよい。この場合、プラズマ化した処理ガスF1を含むエッチングガスP2は、主に、イオンによるエッチングを行う。積層体25の無機第2面42がエッチングガスP2にさらされることにより、樹脂層30が主に厚み方向に沿ってエッチングされる。
【0141】
図23図28に示す例においても、1つの有機デバイス100に対応する1つの第1開口群35の複数の第1開口34が、第1ドライエッチング工程において一括で形成される。このため、第1開口34の位置精度を高めることができる。また、工程に要する時間も短くなる。
【0142】
(第6の例)
図29図32を参照して、マスク20の製造方法の一例を説明する。まず、上述の実施の形態の場合と同様に、支持層57を準備する。続いて、図23に示す第5の例の場合と同様に、積層体準備工程を実施する。
【0143】
続いて、第1ドライエッチング工程を実施する。具体的には、図29に示すように、プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスP1に、無機層40の遮蔽部46の無機第2面42をさらす。エッチングガスP1は、無機層40に重なっていない樹脂層30をエッチングする。エッチングは、樹脂第2面32から樹脂第1面31に進行する。これにより、樹脂層30に、複数の無機開口44に対応する複数の第1開口34が形成される。複数の第1開口34が、無機層40の第3開口群45と重なる第1開口群35を構成する。
【0144】
エッチングガスP1によるエッチングは、図16に示す上述の実施の形態の場合と同様に等方性エッチングであってもよい。すなわち、第1ドライエッチング工程は、図17に示すドライエッチング装置70Aによって実施される等方性エッチング工程を含んでもよい。若しくは、第1ドライエッチング工程は、励起されたオゾンを含むエッチングガスP1を利用して実施されてもよい。この場合も、樹脂層30が等方的にエッチングされる。等方性エッチング工程によって形成される第1開口34は、図6Bに示す形状を有してもよい。
【0145】
続いて、図30に示すように、支持フレーム形成工程を実施する。すなわち、支持層57に第2開口54を形成することによって支持フレーム50を形成する。第2開口54は、平面視において複数の第1開口34に重なるよう形成される。続いて、図31に示すように、無機層40の遮蔽部46を除去する遮蔽部除去工程を実施する。
【0146】
続いて、樹脂マスク部36の樹脂層30の厚みを低減させる第2ドライエッチング工程を実施する。具体的には、図32に示すように、プラズマ化した処理ガスを含むエッチングガスP1に、樹脂マスク部36の樹脂層30の樹脂第1面31をさらす。エッチングは、樹脂第1面31から樹脂第2面32に向かって進行する。これにより、樹脂マスク部36を構成する樹脂層30の樹脂第1面31が、樹脂第2面32に向かって変位する。この結果、樹脂マスク部36を構成する樹脂層30の樹脂第1面31は、周囲部37を構成する樹脂層30の樹脂第1面31と樹脂第2面32の間に位置する。この場合、周囲部37を構成する樹脂層30は、第1開口34に面する樹脂壁面33よりも外側に位置する壁面38を含む。「外側」とは、平面視において樹脂マスク部36の中心から遠ざかる側である。第2ドライエッチング工程の時間は、エッチングが樹脂第2面32まで進行しないよう調整される。
【0147】
樹脂層30の厚みを低減させるためのエッチングは、等方性エッチングであってもよい。すなわち、第2ドライエッチング工程は、図17に示すドライエッチング装置70Aによって実施される等方性エッチング工程を含んでもよい。若しくは、第2ドライエッチング工程は、励起されたオゾンを含むエッチングガスP1を利用して実施されてもよい。第2ドライエッチング工程は、図28に示すドライエッチング装置70Bによって実施される異方性エッチング工程を含んでもよい。
【0148】
図33は、図29図32に示す製造方法によって製造されるマスク20の一例を示す断面図である。周囲部37を構成する樹脂層30Aは、第31厚みT31を有する。樹脂マスク部36を構成する樹脂層30Bは、第32厚みT32を有する。第32厚みT32は、第31厚みT31よりも小さい。第31厚みT31に対する第32厚みT32の比率であるT32/T31は、例えば、0.20以上でもよく、0.30以上でもよく、0.40以上でもよい。T32/T31は、例えば、0.50以下でもよく、0.60以下でもよく、0.70以下でもよい。T32/T31の範囲は、0.20、0.30及び0.40からなる第1グループ、及び/又は、0.50、0.60及び0.70からなる第2グループによって定められてもよい。T32/T31の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。T32/T31の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。T32/T31の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。T32/T31は、例えば、0.20以上0.70以下でもよく、0.20以上0.60以下でもよく、0.20以上0.50以下でもよく、0.20以上0.40以下でもよく、0.20以上0.30以下でもよく、0.30以上0.70以下でもよく、0.30以上0.60以下でもよく、0.30以上0.50以下でもよく、0.30以上0.40以下でもよく、0.40以上0.70以下でもよく、0.40以上0.60以下でもよく、0.40以上0.50以下でもよく、0.50以上0.70以下でもよく、0.50以上0.60以下でもよく、0.60以上0.70以下でもよい。
【0149】
図34は、樹脂マスク部36の一例を示す断面図である。図34に示す例において、符号30Cが付された点線の部分は、第2ドライエッチング工程によって除去された部分である。
【0150】
図16に示す上述の実施の形態における第1ドライエッチング工程においては、等方性エッチングが樹脂第1面31から樹脂第2面32に向かって進行する。一方、図29に示す本例の第1ドライエッチング工程においては、等方性エッチングが樹脂第2面32から樹脂第1面31に向かって進行する。この場合、樹脂第2面32における第1開口34の寸法が、樹脂第1面31における第1開口34の寸法よりも大きくなる可能性がある。
【0151】
本例においては、エッチングガスを樹脂第1面31にさらす第2エッチング工程が実施される。これにより、図34に点線で示す部分30Cが除去される。このため、図34に示すように、樹脂第2面32における第1開口34の第2寸法S2を、樹脂第1面31における第1開口34の第1寸法S1よりも小さくできる。
【0152】
図34に示すように、第1寸法S1は、第2寸法S2及び第3寸法S3よりも大きくてもよい。第3寸法S3は、第2寸法S2よりも大きくてもよい。
【0153】
図34に示す例において、第2寸法S2の数値範囲、S3/S2の数値範囲、及びS1/S2の数値範囲としては、図6Aに示す例における上述の数値範囲を採用できる。
【0154】
第2角度θ2は、90度未満であってもよい。第2角度θ2は、例えば、50度以上でもよく、60度以上でもよく、70度以上でもよい。第2角度θ2は、例えば、75度以下でもよく、80度以下でもよく、85度以下でもよい。第2角度θ2の範囲は、50度、60度及び70度からなる第1グループ、及び/又は、75度、80度及び85度からなる第2グループによって定められてもよい。第2角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2角度θ2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2角度θ2は、例えば、50度以上85度以下でもよく、50度以上80度以下でもよく、50度以上75度以下でもよく、50度以上70度以下でもよく、50度以上60度以下でもよく、60度以上85度以下でもよく、60度以上80度以下でもよく、60度以上75度以下でもよく、60度以上70度以下でもよく、70度以上85度以下でもよく、70度以上80度以下でもよく、70度以上75度以下でもよく、75度以上85度以下でもよく、75度以上80度以下でもよく、80度以上85度以下でもよい。
【0155】
第1角度θ1は、第2角度θ2よりも大きくてもよい。第1角度θ1は、90度よりも大きくてもよく、90度よりも小さくてもよい。第1角度θ1は、例えば、60度以上でもよく、70度以上でもよく、75度以上でもよい。第1角度θ1は、例えば、85度以下でもよく、100度以下でもよく、115度以下でもよい。第1角度θ1の範囲は、60度、70度及び75度からなる第1グループ、及び/又は、85度、100度及び115度からなる第2グループによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1角度θ1は、例えば、60度以上115度以下でもよく、60度以上100度以下でもよく、60度以上85度以下でもよく、60度以上75度以下でもよく、60度以上70度以下でもよく、70度以上115度以下でもよく、70度以上100度以下でもよく、70度以上85度以下でもよく、70度以上75度以下でもよく、75度以上115度以下でもよく、75度以上100度以下でもよく、75度以上85度以下でもよく、85度以上115度以下でもよく、85度以上100度以下でもよく、100度以上115度以下でもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
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図16
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図34